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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008611
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】電池電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110615
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】512280080
【氏名又は名称】AZAPA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(72)【発明者】
【氏名】守屋 一成
(72)【発明者】
【氏名】楊 偉佳
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503CA08
5G503CA11
5G503CB11
5G503CC02
5G503DA04
5G503DA15
5G503EA05
5G503FA07
5G503GD02
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】二次電池を有効活用することが容易な電池電源装置を提供する。
【解決手段】各電池ブロックBBは、第一及び第二端子T1,T2に接続される二次電池Bに対して直列に接続される直列スイッチング素子SSと、二次電池Bと直列スイッチング素子SSとが直列に接続されるブロック内直列回路SCに対して並列に接続されるバイパススイッチング素子BSとを含むと共に二次電池Bを脱着可能であり、ブロック内直列回路SCとバイパススイッチング素子BSとの並列回路が直列接続され、脱着制御部31は、各電池ブロックBBを、バイパススイッチング素子BSをオフ、直列スイッチング素子SSをオンさせる加入状態と、直列スイッチング素子SSをオフ、バイパススイッチング素子BSをオンさせる離脱状態とに制御可能であり、電池ブロックBBの指定が受け付けられたとき、指定された電池ブロックBBを、離脱状態とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池ブロックが直列に接続された直列電池モジュールと、
前記電池ブロックの脱着に関する制御を行う脱着制御部と、
ユーザによる前記電池ブロックの指定を受け付ける操作受付部とを備え、
前記各電池ブロックは、
二次電池の一方の極と接続可能な第一端子と、
前記二次電池の他方の極に接続可能な第二端子と、
前記第一及び第二端子に接続される前記二次電池に対して直列に接続される直列スイッチング素子と、
前記二次電池と前記直列スイッチング素子とが直列に接続されるブロック内直列回路に対して並列に接続されるバイパススイッチング素子とを含み、
前記複数の電池ブロックのうち少なくとも一つは、前記二次電池を脱着可能であり、
前記直列電池モジュールは、前記各電池ブロックにおける、前記ブロック内直列回路と前記バイパススイッチング素子との並列回路が直列接続されることによって、前記複数の電池ブロックが直列に接続され、
前記脱着制御部は、前記各電池ブロックを、前記バイパススイッチング素子をオフ、前記直列スイッチング素子をオンさせる加入状態と、前記直列スイッチング素子をオフ、前記バイパススイッチング素子をオンさせる離脱状態とに制御可能であり、前記操作受付部により前記電池ブロックの指定が受け付けられたとき、前記指定された電池ブロックを、前記離脱状態とする電池電源装置。
【請求項2】
接地するための接地端子をさらに備え、
前記複数の電池ブロックのうち少なくとも一つは、前記第一及び第二端子のうちいずれか一方と前記接地端子との間に介設される接地スイッチング素子をさらに含み、
前記接地スイッチング素子を含む電池ブロックのブロック内直列回路は、前記二次電池の、前記直列スイッチング素子とは反対側に直列接続される切離スイッチング素子をさらに含み、
前記脱着制御部は、前記操作受付部により前記接地スイッチング素子を含む電池ブロックの指定が受け付けられたとき、前記指定された電池ブロックを前記離脱状態とすることにより前記直列スイッチング素子をオフすると共に、さらに前記切離スイッチング素子をオフ、前記接地スイッチング素子をオンする請求項1に記載の電池電源装置。
【請求項3】
前記脱着制御部は、前記二次電池が取り外された前記電池ブロックに前記二次電池が取り付けられたとき、さらに、前記二次電池が取り付けられた電池ブロックの、前記接地スイッチング素子をオフ、前記切離スイッチング素子をオンする請求項2に記載の電池電源装置。
【請求項4】
前記脱着制御部は、前記二次電池が取り外された前記電池ブロックに前記二次電池が取り付けられたとき、さらに、前記二次電池が取り付けられた電池ブロックを、前記加入状態とする請求項3に記載の電池電源装置。
【請求項5】
接地するための接地端子をさらに備え、
前記複数の電池ブロックのうち少なくとも一つは、前記二次電池の筐体に接触可能であって、かつ前記接地端子と導通する接触端子をさらに備える請求項1に記載の電池電源装置。
【請求項6】
前記各電池ブロックの二次電池のSOCを取得するSOC取得部と、
前記直列電池モジュールを充電する際に、前記複数の電池ブロックのうち前記二次電池のSOCが100%に満たない電池ブロックを、相対的に前記二次電池のSOCが大きい第一グループと、相対的に前記二次電池のSOCが小さい第二グループとにグルーピングし、前記第一グループの電池ブロックを前記加入状態とし、前記第二グループの電池ブロックを前記離脱状態とすることによって、前記第一グループの電池ブロックを優先的に充電する充電制御部とをさらに備える請求項1に記載の電池電源装置。
【請求項7】
前記充電制御部は、前記SOCが100%に満たない電池ブロックのうち最もSOCが大きい電池ブロックを前記第一グループとする請求項6に記載の電池電源装置。
【請求項8】
前記各電池ブロックの二次電池のSOCを取得するSOC取得部と、
前記直列電池モジュールを放電する際に、前記SOCが満充電を示す二次電池を含む前記電池ブロックを前記離脱状態とする放電制御部とをさらに備える請求項1に記載の電池電源装置。
【請求項9】
前記各電池ブロックの二次電池のSOCを取得するSOC取得部と、
前記各電池ブロックの二次電池のSOCを均等化するように前記各電池ブロックの、前記加入状態と前記離脱状態との切り替えを制御することによって、前記各電池ブロックの充電を制御する充電制御部とをさらに備える請求項1に記載の電池電源装置。
【請求項10】
前記充電制御部は、前記SOCに加えて、前記各電池ブロックの二次電池の温度、現時点から遡って連続して前記各電池ブロックが加入状態とされていた時間である連続通電時間、及び現時点から遡って連続して前記各電池ブロックが離脱状態とされていた時間である連続休止時間のうち少なくとも一つに基づいて、前記各電池ブロックの充電を制御する請求項9に記載の電池電源装置。
【請求項11】
前記各電池ブロックの二次電池のSOCを取得するSOC取得部と、
前記各電池ブロックの二次電池のSOCを均等化するように前記各電池ブロックの、前記加入状態と前記離脱状態との切り替えを制御することによって、前記各電池ブロックの放電を制御する放電制御部とをさらに備える請求項1に記載の電池電源装置。
【請求項12】
前記放電制御部は、前記SOCに加えて、前記各電池ブロックの二次電池の温度、現時点から遡って連続して前記各電池ブロックが加入状態とされていた時間である連続通電時間、及び現時点から遡って連続して前記各電池ブロックが離脱状態とされていた時間である連続休止時間のうち少なくとも一つに基づいて、前記各電池ブロックの放電を制御する請求項11に記載の電池電源装置。
【請求項13】
前記複数の電池ブロックのうち少なくとも一つは、前記二次電池の極性を反転させる反転回路をさらに備える請求項1~12のいずれか1項に記載の電池電源装置。
【請求項14】
前記各二次電池は、それぞれ、電動機器用の電池パックである請求項1~12のいずれか1項に記載の電池電源装置。
【請求項15】
複数の前記二次電池をさらに含む請求項1~12のいずれか1項に記載の電池電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を電源として用いる電池電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電動自転車、電動工具、電動キャリーカート、電動スーツケース、電動一輪手押し車、電動芝刈機、電動耕運機、及び電動キックボード等、電池パックを脱着可能な種々の電動機器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-079510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電動自転車や電動工具等の電動機器は、常時使用するものではない。そのため、電動機器を使用していない期間は、その電動機器の電池パックや単電池等の二次電池は活用されていない。
【0005】
本発明の目的は、二次電池を有効活用することが容易な電池電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電池電源装置は、複数の電池ブロックが直列に接続された直列電池モジュールと、前記電池ブロックの脱着に関する制御を行う脱着制御部と、ユーザによる前記電池ブロックの指定を受け付ける操作受付部とを備え、前記各電池ブロックは、二次電池の一方の極と接続可能な第一端子と、前記二次電池の他方の極に接続可能な第二端子と、前記第一及び第二端子に接続される前記二次電池に対して直列に接続される直列スイッチング素子と、前記二次電池と前記直列スイッチング素子とが直列に接続されるブロック内直列回路に対して並列に接続されるバイパススイッチング素子とを含み、前記複数の電池ブロックのうち少なくとも一つは、前記二次電池を脱着可能であり、前記直列電池モジュールは、前記各電池ブロックにおける、前記ブロック内直列回路と前記バイパススイッチング素子との並列回路が直列接続されることによって、前記複数の電池ブロックが直列に接続され、前記脱着制御部は、前記各電池ブロックを、前記バイパススイッチング素子をオフ、前記直列スイッチング素子をオンさせる加入状態と、前記直列スイッチング素子をオフ、前記バイパススイッチング素子をオンさせる離脱状態とに制御可能であり、前記操作受付部により前記電池ブロックの指定が受け付けられたとき、前記指定された電池ブロックを、前記離脱状態とする。
【0007】
この構成によれば、ユーザが二次電池を取り外したい電池ブロックを操作受付部によって指定すると、その電池ブロックが離脱状態となり、直列スイッチング素子がオフ、バイパススイッチング素子がオンされる。その結果、指定された電池ブロックの二次電池に流れる電流がゼロとなり、ユーザがその二次電池を電池ブロックから取り外して別用途に有効活用することが可能となる。その一方、バイパススイッチング素子がオンされるので、取り外された二次電池以外の残りの二次電池は、直列接続が維持されたままとなる。その結果、残りの二次電池の出力電圧を合計した電圧を出力することが可能となる。これにより、電池電源装置による高電圧出力と、二次電池の有効活用とを両立させることが可能となる。
【0008】
また、接地するための接地端子をさらに備え、前記複数の電池ブロックのうち少なくとも一つは、前記第一及び第二端子のうちいずれか一方と前記接地端子との間に介設される接地スイッチング素子をさらに含み、前記接地スイッチング素子を含む電池ブロックのブロック内直列回路は、前記二次電池の、前記直列スイッチング素子とは反対側に直列接続される切離スイッチング素子をさらに含み、前記脱着制御部は、前記操作受付部により前記接地スイッチング素子を含む電池ブロックの指定が受け付けられたとき、前記指定された電池ブロックを前記離脱状態とすることにより前記直列スイッチング素子をオフすると共に、さらに前記切離スイッチング素子をオフ、前記接地スイッチング素子をオンすることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、ユーザが二次電池を取り外したい電池ブロックを操作受付部によって指定すると、その電池ブロックが離脱状態となって直列スイッチング素子がオフし、さらに切離スイッチング素子がオフ、接地スイッチング素子がオンする。その結果、指定された二次電池に流れる電流がゼロとなり、かつ二次電池が電気的にフローティング状態となる。この状態で、接地スイッチング素子がオンされる結果、二次電池が接地電位となる。このように、指定された二次電池に流れる電流がゼロとなり、その二次電池が接地電位とされることによって、その二次電池を取り外そうとするユーザの安全性が向上する。
【0010】
また、前記脱着制御部は、前記二次電池が取り外された前記電池ブロックに前記二次電池が取り付けられたとき、さらに、前記二次電池が取り付けられた電池ブロックの、前記接地スイッチング素子をオフ、前記切離スイッチング素子をオンすることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、取り付けられた二次電池が、離脱状態及び加入状態に切り替え可能とされる。
【0012】
また、前記脱着制御部は、前記二次電池が取り外された前記電池ブロックに前記二次電池が取り付けられたとき、さらに、前記二次電池が取り付けられた電池ブロックを、前記加入状態とすることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、取り付けられた二次電池の出力電圧が、直列電池モジュールの出力電圧に加えられる。
【0014】
また、接地するための接地端子をさらに備え、前記複数の電池ブロックのうち少なくとも一つは、前記二次電池の筐体に接触可能であって、かつ前記接地端子と導通する接触端子をさらに備えることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、二次電池の筐体が接地電位になるので、二次電池を脱着しようとするユーザの安全性が向上する。
【0016】
また、前記各電池ブロックの二次電池のSOCを取得するSOC取得部と、前記直列電池モジュールを充電する際に、前記複数の電池ブロックのうち前記二次電池のSOCが100%に満たない電池ブロックを、相対的に前記二次電池のSOCが大きい第一グループと、相対的に前記二次電池のSOCが小さい第二グループとにグルーピングし、前記第一グループの電池ブロックを前記加入状態とし、前記第二グループの電池ブロックを前記離脱状態とすることによって、前記第一グループの電池ブロックを優先的に充電する充電制御部とをさらに備えることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、相対的にSOCが大きく、すなわち満充電になるまでの時間が短い二次電池が優先的に充電される。その結果、満充電になった二次電池の数が、早く増加するように各二次電池が充電される。満充電の二次電池の数が増加すると、ユーザが電動機器を用いるために二次電池を必要とする場合に、満充電の二次電池を電池電源装置から取り外して用いることが容易となる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0018】
また、前記充電制御部は、前記SOCが100%に満たない電池ブロックのうち最もSOCが大きい電池ブロックを前記第一グループとすることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、満充電の二次電池を一つ、増加させるまでの時間が最短となる。
【0020】
また、前記各電池ブロックの二次電池のSOCを取得するSOC取得部と、前記直列電池モジュールを放電する際に、前記SOCが満充電を示す二次電池を含む前記電池ブロックを前記離脱状態とする放電制御部とをさらに備えることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、満充電の二次電池は放電されないので、満充電の二次電池の数が、極力多い状態が維持される。満充電の二次電池の数が多いほど、ユーザが電動機器を用いるために二次電池を必要とする場合に、満充電の二次電池を電池電源装置から取り外して用いることが容易となる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0022】
また、前記各電池ブロックの二次電池のSOCを取得するSOC取得部と、前記各電池ブロックの二次電池のSOCを均等化するように前記各電池ブロックの、前記加入状態と前記離脱状態との切り替えを制御することによって、前記各電池ブロックの充電を制御する充電制御部とをさらに備えることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、加入状態と離脱状態とを切り替えることによって、各二次電池を選択的に充電することができるので、各二次電池のSOCを均等化することが容易となる。
【0024】
また、前記充電制御部は、前記SOCに加えて、前記各電池ブロックの二次電池の温度、現時点から遡って連続して前記各電池ブロックが加入状態とされていた時間である連続通電時間、及び現時点から遡って連続して前記各電池ブロックが離脱状態とされていた時間である連続休止時間のうち少なくとも一つに基づいて、前記各電池ブロックの充電を制御することが好ましい。
【0025】
二次電池の温度が高いと劣化し易くなる。連続通電時間が長いと劣化し易くなる。従って、二次電池の温度又は連続通電時間に基づいて各電池ブロックの充電を制御することにより、二次電池の劣化を低減することが容易となる。また、連続休止時間を考慮することにより、二次電池を定期的に離脱状態とし、開放端電圧を測定可能とすることで、二次電池のSOCを精度よく取得することが容易となる。
【0026】
また、前記各電池ブロックの二次電池のSOCを取得するSOC取得部と、前記各電池ブロックの二次電池のSOCを均等化するように前記各電池ブロックの、前記加入状態と前記離脱状態との切り替えを制御することによって、前記各電池ブロックの放電を制御する放電制御部とをさらに備えることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、加入状態と離脱状態とを切り替えることによって、各二次電池を選択的に放電させることができるので、各二次電池のSOCを均等化することが容易となる。
【0028】
また、前記放電制御部は、前記SOCに加えて、前記各電池ブロックの二次電池の温度、現時点から遡って連続して前記各電池ブロックが加入状態とされていた時間である連続通電時間、及び現時点から遡って連続して前記各電池ブロックが離脱状態とされていた時間である連続休止時間のうち少なくとも一つに基づいて、前記各電池ブロックの放電を制御することが好ましい。
【0029】
二次電池の温度が高いと劣化し易くなる。連続通電時間が長いと劣化し易くなる。従って、二次電池の温度又は連続通電時間に基づいて各電池ブロックの放電を制御することにより、二次電池の劣化を低減することが容易となる。また、連続休止時間を考慮することにより、二次電池を定期的に離脱状態とし、開放端電圧を測定可能とすることで、二次電池のSOCを精度よく取得することが容易となる。
【0030】
また、前記複数の電池ブロックのうち少なくとも一つは、前記二次電池の極性を反転させる反転回路をさらに備えることが好ましい。
【0031】
この構成によれば、直列接続された複数の電池ブロックの一部を、極性反転させて接続することが可能となる。その結果、直列電池モジュールから得られる電圧の自由度を増大させたり、直列電池モジュール内の電池ブロック間で充電量を移動させたりすることが容易となる。
【0032】
また、前記各二次電池は、それぞれ、電動機器用の電池パックであることが好ましい。
【0033】
この構成によれば、電動機器用の複数の電池パックを、各電池ブロックに取り付けることによって、複数の電池パックの直列電圧を得ることができるので、電池パックを有効活用することが容易となる。
【0034】
また、複数の前記二次電池をさらに含むことが好ましい。
【0035】
この構成によれば、電池電源装置は複数の二次電池を備える。
【発明の効果】
【0036】
このような構成の電池電源装置は、二次電池を有効活用することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の第一実施形態に係る電池電源装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図1に示す脱着制御部31による脱着制御の処理の一例を示すフローチャートである。
図3図1に示す充電制御部33による充電制御の処理の一例を示すフローチャートである。
図4図1に示す放電制御部34による放電制御の処理の一例を示すフローチャートである。
図5図1に示す直列電池モジュール2の変形例を示す概念的な回路図である。
図6】本発明の第二実施形態に係る電池電源装置1aの構成の一例を示すブロック図である。
図7図6に示す充電制御部33aによる充電制御の処理の一例を示すフローチャートである。
図8図6に示す放電制御部34aによる放電制御の処理の一例を示すフローチャートである。
図9】本発明の第三実施形態に係る電池電源装置1bの構成の一例を示すブロック図である。
図10図9に示す脱着制御部31bによる脱着制御の処理の一例を示すフローチャートである。
図11】ステップS2b,S51を説明するための説明図である。
図12図9に示す直列電池モジュール2bの変形例を示す概念的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0039】
(第一実施形態)
【0040】
図1は、本発明の第一実施形態に係る電池電源装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す電池電源装置1は、大略的に、直列電池モジュール2と、制御部3と、タッチパネルディスプレイ4(操作受付部)とを備えている。直列電池モジュール2は、複数の電池ブロックBBと、入出力端子TT1,TT2と、接地するための接地端子TEとを備えている。図1に示す例では、直列電池モジュール2は、N個の電池ブロックBBを備えている。
【0041】
複数の電池ブロックBBは、直列に接続されている。各電池ブロックBBには、高電位側から順に、1からNのブロック番号が付与されている。ブロック番号1の電池ブロックBBを電池ブロックBB1、ブロック番号2の電池ブロックBBを電池ブロックBB2、ブロック番号Nの電池ブロックBBを電池ブロックBBNのように記載する。
【0042】
電池ブロックBBは、二次電池Bの+極(一方の極)と接続可能な第一端子T1と、二次電池Bの-極(他方の極)に接続可能な第二端子T2と、第一端子T1及び第二端子T2に接続される二次電池Bに対して直列に接続される直列スイッチング素子SSと、二次電池Bと直列スイッチング素子SSとが直列に接続されるブロック内直列回路SCに対して並列に接続されるバイパススイッチング素子BSと、二次電池Bの筐体BHに接触可能であって、かつ接地端子TEと導通する接触端子CTとを含む。
【0043】
直列スイッチング素子SS及びバイパススイッチング素子BSは、トランジスタ等の半導体スイッチング素子であってもよく、機械式のリレースイッチであってもよい。直列スイッチング素子SS及びバイパススイッチング素子BSは、制御部3からの制御信号に応じてオン、オフする。
【0044】
ブロック内直列回路SCとバイパススイッチング素子BSとの並列回路の一端をP1、他端をP2とし、電池ブロックBB1の一端P1が入出力端子TT1に接続され、電池ブロックBBNの他端P2が入出力端子TT2に接続されている。電池ブロックBB1~BBNの相互間では、高電位側の電池ブロックBBの他端P2が、低電位側の電池ブロックBBの一端P1に接続されている。
【0045】
これにより、各電池ブロックBBにおける、ブロック内直列回路SCとバイパススイッチング素子BSとの並列回路が直列接続されることによって、複数の電池ブロックBBが直列に接続されている。入出力端子TT1,TT2は、直列電池モジュール2全体の入出力端子であり、電池電源装置1の入出力端子である。電池電源装置1の放電時は、複数の電池ブロックBBの直列電圧が入出力端子TT1,TT2に出力され、電池電源装置1の充電時は、入出力端子TT1,TT2に印加された充電電圧が複数の電池ブロックBBの直列回路に印加される。
【0046】
第一端子T1及び第二端子T2は、例えば接触端子やコネクタ等であり、二次電池Bの+極及び-極と接続可能とされている。これにより、電池ブロックBBは、二次電池Bを脱着可能とされている。以下、電池ブロックBB1の二次電池Bを二次電池B1、電池ブロックBB2の二次電池Bを二次電池B2、電池ブロックBBNの二次電池Bを二次電池BNのように、各電池ブロックBBに取り付けられる二次電池Bにブロック番号を付して記載する場合がある。
【0047】
なお、すべての電池ブロックBBが二次電池Bを脱着可能である例に限られず、電池ブロックBB1~BBNのうち少なくとも一つが二次電池Bを脱着可能であればよい。第一端子T1及び第二端子T2は、二次電池Bを接続可能であればよく、電池ブロックBB1~BBNの中に、第一端子T1及び第二端子T2として、固定的に二次電池Bを接続する接続端子を備えた電池ブロックBBが混在していてもよい。
【0048】
二次電池Bは、例えば電動自転車、電動工具、電動キャリーカート、電動スーツケース、電動一輪手押し車、電動芝刈機、電動耕運機、及び電動キックボード等、種々の電動機器に用いられる二次電池の電池パックであってよい。また、複数の二次電池Bには、異なる電動機器の電池パックが混在して含まれていてもよい。また、複数の二次電池Bには、二次電池の単電池が含まれていてもよい。
【0049】
二次電池Bは、筐体BHを有している。筐体BHは、二次電池Bの+極、-極、及び信号端子等とは絶縁された、二次電池Bの外殻部分である。
【0050】
接触端子CTは、例えば板バネ、コイルバネ、及び電極板等の導電性の接触部材である。接触端子CTは、電池ブロックBBに二次電池Bが取り付けられると、筐体BHに接触するようになっている。接触端子CTは接地端子TEと導通しているので、電池ブロックBBに二次電池Bが取り付けられると、その二次電池Bの筐体BHが、接触端子CT及び接地端子TEを介して接地される。二次電池B2が接地電位とされる結果、電池ブロックBBに対して二次電池Bを脱着しようとするユーザの安全性が向上する。
【0051】
なお、すべての電池ブロックBBが接触端子CTを備える例に限られず、複数の電池ブロックのうち少なくとも一つが接触端子CTを備える構成であってもよい。あるいは、すべての電池ブロックBBが接触端子CTを備えていなくてもよく、電池電源装置1は接地端子TEを備えていなくてもよい。
【0052】
タッチパネルディスプレイ4は、操作受付部の一例に相当する。タッチパネルディスプレイ4は、少なくとも、電池ブロックBB1~BBNのうちいずれかを指定するユーザにの操作入力を受け付ける。また、タッチパネルディスプレイ4は、制御部3からの制御信号に応じて情報を表示する。なお、操作受付部は、タッチパネルディスプレイに限られず、押しボタンスイッチ等、種々の操作入力装置であってよい。
【0053】
制御部3は、例えば所定の演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置、及びこれらの周辺回路等を用いて構成されている。そして、制御部3は、例えば上述の記憶装置に記憶されたプログラムを実行することによって、脱着制御部31、SOC取得部32、充電制御部33、及び放電制御部34として機能する。
【0054】
脱着制御部31は、各電池ブロックBBを、バイパススイッチング素子BSをオフ、直列スイッチング素子SSをオンさせる加入状態と、直列スイッチング素子SSをオフ、バイパススイッチング素子BSをオンさせる離脱状態とに制御可能である。図1に示す例では、電池ブロックBB1,BB3,BBNが加入状態、電池ブロックBB2が離脱状態とされた場合を例示している。
【0055】
脱着制御部31は、タッチパネルディスプレイ4により電池ブロックBBの指定が受け付けられたとき、指定された電池ブロックBBを、離脱状態とする。また、脱着制御部31は、二次電池Bが取り外された電池ブロックBBに二次電池Bが取り付けられたとき、二次電池Bが取り付けられた電池ブロックBBを、加入状態とする。
【0056】
各電池ブロックBBにおける二次電池Bの取り付けの有無は、例えば電池電源装置1が二次電池Bの有無を検出するセンサやスイッチ等の検出部を備えることによって検出されてもよく、ユーザがタッチパネルディスプレイ4を操作して、各電池ブロックBBにおける二次電池Bの取り付けの有無を入力してもよい。脱着制御部31は、これら検出部やタッチパネルディスプレイ4によって得られた情報により、各電池ブロックBBにおける二次電池Bの取り付けの有無を取得することができる。
【0057】
図2は、図1に示す脱着制御部31による脱着制御の処理の一例を示すフローチャートである。以下、同一の処理には同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
【0058】
例えば、電池ブロックBB1~BBNのすべてに二次電池Bが取り付けられ、電池ブロックBB1~BBNのすべてが加入状態になっていた場合、入出力端子TT1,TT2には、二次電池B1~BNの出力電圧を合計した電圧が出力される。これにより、電池電源装置1は、種々の電動機器に用いられる二次電池Bを有効活用して高電圧を出力することが容易である。
【0059】
そして、脱着制御部31は、タッチパネルディスプレイ4により電池ブロックBBの指定が受け付けられたか否かを確認する(ステップS1)。タッチパネルディスプレイ4により電池ブロックBBの指定が受け付けられた場合(ステップS1でYES)、脱着制御部31は、指定された電池ブロックBBを、離脱状態とし(ステップS2)、再び処理をステップS1へ移行する。
【0060】
これにより、ユーザが、例えば電動自転車を使いたい場合に、電動自転車用の二次電池Bが取り付けられた電池ブロックBBのブロック番号として、例えば“2”を、タッチパネルディスプレイ4を操作して入力する。そうすると、図1に示すように、脱着制御部31は、指定された電池ブロックBB2の直列スイッチング素子SSをオフ、バイパススイッチング素子BSをオンさせて離脱状態にする(ステップS2)。
【0061】
直列スイッチング素子SSがオフされた二次電池B2は、直列電池モジュール2を流れる電流経路から除外され、電池ブロックBB2から二次電池B2を取り外すことが可能となる。一方、電池ブロックBB2のバイパススイッチング素子BSがオンされることによって、二次電池B2を除く二次電池B1,B3~BNは直列接続が維持されたままとなる。その結果、二次電池B1,B3~BNの出力電圧を合計した電圧が入出力端子TT1,TT2に出力されるので、ユーザが所望する二次電池Bを電池電源装置1から取り外し可能としつつ、高電圧を出力することが可能となる。これにより、電池電源装置1による高電圧出力と、二次電池B1~BNの有効活用とを両立させることが可能となる。
【0062】
一方、電池ブロックBBの指定が受け付けられていない場合(ステップS1でNO)、脱着制御部31は、二次電池Bが取り外されていた電池ブロックBBに二次電池Bが取り付けられたか否かを確認する(ステップS3)。二次電池Bの取り付けが無ければ(ステップS3でNO)、脱着制御部31は、再び処理をステップS1へ移行する。
【0063】
一方、二次電池Bが取り外されていた電池ブロックBBに二次電池Bが取り付けられた場合(ステップS3でYES)、脱着制御部31は、二次電池Bが取り付けられた電池ブロックBBのバイパススイッチング素子BSをオフ、直列スイッチング素子SSをオンさせることにより加入状態とし(ステップS4)、再び処理をステップS1へ移行する。
【0064】
これにより、ユーザが電動自転車等の電動機器を使い終わった後、使用していない電動機器の二次電池Bを直列電池モジュール2に取り付けることによって、その二次電池Bが他の二次電池Bと直列接続され、新たに取り付けられた二次電池Bの出力電圧が入出力端子TT1,TT2の出力電圧に加算される。これにより、使用していない電動機器の二次電池Bを有効活用することが可能となる。また、後述するように、直列電池モジュール2に取り付けられた二次電池Bを充電することも可能となる。
【0065】
SOC取得部32は、各電池ブロックBBの二次電池BのSOC(State Of Charge)を取得する。具体的には、例えば二次電池B1~BNの、開放端電圧と、SOCとの関係を示す開放端電圧-SOC特性テーブルを上述の記憶装置に予め記憶しておき、電池電源装置1は、二次電池B1~BNの端子電圧をそれぞれ検出する図略の電圧検出部を備えていてもよい。
【0066】
そして、SOC取得部32は、離脱状態、すなわち直列スイッチング素子SSがオフ、バイパススイッチング素子BSがオンされた電池ブロックBBの二次電池Bから電圧検出部によって検出された端子電圧、すなわち開放端電圧を取得し、開放端電圧-SOC特性テーブルによってその開放端電圧と対応付けられているSOCを、その二次電池BのSOCとして取得してもよい。
【0067】
また、例えば二次電池B1~BNの満充電容量を上述の記憶装置に予め記憶しておき、電池電源装置1は、直列電池モジュール2に流れる電流を検出する図略の電流検出部を備えていてもよい。
【0068】
そして、SOC取得部32は、例えば加入状態、すなわちバイパススイッチング素子BSがオフ、直列スイッチング素子SSがオンされた電池ブロックBBの二次電池Bを処理対象として、電流検出部により検出された電流値を、充電方向の電流値をプラス、放電方向の電流値をマイナスとして積算する。そして、SOC取得部32は、処理対象の二次電池Bの満充電容量に対する、電流値を積算して得られた電荷量の比率から処理対象の二次電池BのSOCを算出してもよい。
【0069】
充電制御部33は、直列電池モジュール2を充電する際に、複数の電池ブロックBB1~BBNのうちSOCが100%に満たない電池ブロックBBを、相対的に二次電池BのSOCが大きい第一グループG1と、二次電池BのSOCが小さい第二グループG2とにグルーピングする。そして、充電制御部33は、SOCが大きい第一グループG1の電池ブロックBBを加入状態とし、SOCが小さい第二グループG2の電池ブロックBBを離脱状態とすることによって、SOCが大きい第一グループG1の電池ブロックBBの二次電池Bを優先的に充電する。
【0070】
第一グループG1にグルーピングされる電池ブロックBBの数は一つであってもよく、第二グループG2にグルーピングされる電池ブロックBBの数は一つであってもよい。
【0071】
図3は、図1に示す充電制御部33による充電制御の処理の一例を示すフローチャートである。直列電池モジュール2を充電する際は、例えばユーザが図略の充電装置を入出力端子TT1,TT2に接続してもよく、例えばユーザがタッチパネルディスプレイ4を操作して充電を指示することによって、充電制御部33が図略の充電装置を入出力端子TT1,TT2に接続してもよい。
【0072】
例えば、電池電源装置1を電気自動車に取り付けて使用している場合、充電スタンドが充電装置に相当し、充電スタンドから電気自動車へ供給された充電電圧が、入出力端子TT1,TT2に印加される。
【0073】
充電制御部33は、例えばユーザによるタッチパネルディスプレイ4の入力操作により充電制御の処理を開始してもよく、例えば入出力端子TT1,TT2に充電装置が接続されたことを自動的に検出して充電制御の処理を開始してもよく、外部からの制御信号に応じて充電制御の処理を開始してもよい。
【0074】
まず、SOC取得部32は、各二次電池B1~BNのSOCを取得する(ステップS11)。なお、説明の便宜上、充電制御の処理の1ステップとしてステップS11を記載したが、SOC取得部32によるSOCの取得処理は、充電及び放電と並行して常時実行され、各二次電池B1~BNのSOCは常時更新される。
【0075】
次に、充電制御部33は、複数の電池ブロックBB1~BBNを、二次電池BのSOCが100%のグループAと、二次電池BのSOCが100%未満のグループGとにグルーピングする(ステップS12)。
【0076】
次に、充電制御部33は、SOCが100%未満のグループGの電池ブロックBBを、相対的に二次電池BのSOCが大きい第一グループG1と、相対的に二次電池BのSOCが小さい第二グループG2とにグルーピングする(ステップS13)。
【0077】
例えば、充電制御部33は、グループGの電池ブロックBBのうち、SOCの大きいものから順に所定の設定個数の電池ブロックBBを第一グループG1とし、残りの電池ブロックBBを第二グループG2としてもよい。設定個数は、例えばユーザがタッチパネルディスプレイ4を操作するなどして適宜設定することができる。また、設定個数は1個であってもよい。この場合、グループGの電池ブロックBBのうち、最もSOCの大きい電池ブロックBBのみが第一グループG1となる。
【0078】
次に、充電制御部33は、第一グループG1の電池ブロックBBを加入状態とし、第二グループG2及びグループAの電池ブロックBBを離脱状態とすることによって、第一グループG1の電池ブロックBBを充電する(ステップS14)。
【0079】
ステップS11~S14により、相対的にSOCが大きく、すなわち満充電になるまでの時間が短い二次電池Bが、優先的に充電される。その結果、満充電になった二次電池Bの数が、早く増加するように各二次電池B1~BNが充電される。満充電の二次電池Bの数が増加すると、ユーザが電動機器を用いるために二次電池Bを必要とする場合に、満充電の二次電池Bを電池電源装置1から取り外して用いることが容易となる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0080】
以後、充電装置による充電が継続している期間中、ステップS11~S14が繰り返され、二次電池B1~BNが順次充電される。
【0081】
放電制御部34は、直列電池モジュール2を放電する際に、SOCが満充電を示す二次電池Bを含む電池ブロックBBを離脱状態とする。
【0082】
図4は、図1に示す放電制御部34による放電制御の処理の一例を示すフローチャートである。直列電池モジュール2を放電させる際は、例えばユーザが図略の負荷装置を入出力端子TT1,TT2に接続してもよく、例えばユーザがタッチパネルディスプレイ4を操作して放電を指示することによって、充電制御部33が図略の負荷装置を入出力端子TT1,TT2に接続してもよい。
【0083】
例えば、電池電源装置1を電気自動車に取り付けて使用している場合、電気自動車の駆動モータ等が負荷装置に相当し、電気自動車側の制御により入出力端子TT1,TT2が負荷装置に接続されてもよい。
【0084】
放電制御部34は、例えばユーザによるタッチパネルディスプレイ4の入力操作により放電制御の処理を開始してもよく、例えば入出力端子TT1,TT2に負荷装置が接続されたことを自動的に検出して放電制御の処理を開始してもよく、外部からの制御信号に応じて放電制御の処理を開始してもよい。
【0085】
まず、上述と同様のステップS11によって、各二次電池B1~BNのSOCが取得される。次に、上述と同様のステップS12を放電制御部34が実行することによって、電池ブロックBB1~BBNが、SOCが100%のグループAと、SOCが100%未満のグループGとにグルーピングされる。
【0086】
充電制御部33と放電制御部34とは、一体に構成されていてもよく、ステップS12は、充電制御部33が実行してもよく、放電制御部34が実行してもよい。
【0087】
次に、放電制御部34は、グループGの電池ブロックBBを加入状態、グループAの電池ブロックBBを離脱状態とすることによって、グループGの電池ブロックBBを放電させる(ステップS21)。以後、直列電池モジュール2の放電が継続している期間中、ステップS11~S21が繰り返され、グループGの電池ブロックBBが放電する。
【0088】
ステップS11~S21の処理によれば、満充電の二次電池Bは放電されないので、満充電の二次電池Bの数が、極力多い状態が維持される。満充電の二次電池Bの数が多いほど、ユーザが電動機器を用いるために二次電池Bを必要とする場合に、満充電の二次電池Bを電池電源装置1から取り外して用いることが容易となる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0089】
なお、放電制御部34は、ステップS21において、グループAの電池ブロックBBを離脱状態とすればよく、必ずしもグループGのすべての電池ブロックBBを加入状態とする必要はない。放電制御部34は、入出力端子TT1,TT2間に、所望の電圧が得られるように、グループGの中から電池ブロックBBを選択して加入状態とし、残りの電池ブロックBBを離脱状態としてもよい。
【0090】
なお、電池電源装置1は、放電制御部34を備えていなくてもよく、充電制御部33を備えていなくてもよく、SOC取得部32を備えていなくてもよい。
【0091】
図5は、直列電池モジュール2の変形例を示す概念的な回路図である。図5に示す直列電池モジュール2aは、電池ブロックBBの代わりに電池ブロックBBaを備える。図5に示す電池ブロックBBaは、電池ブロックBBに加えて、二次電池Bの極性を反転させる反転回路RCをさらに備えている。反転回路RCは、例えば反転スイッチング素子SR1,SR2の直列回路を用いて構成されている。
【0092】
反転スイッチング素子SR1の一端は他端P2と接続され、反転スイッチング素子SR1の他端は反転スイッチング素子SR2の一端と接続されている。反転スイッチング素子SR2の他端は、第一端子T1と直列スイッチング素子SSとの接続点に接続されている。
【0093】
そして、反転スイッチング素子SR1と反転スイッチング素子SR2の接続点P3が、自ブロックよりも低電位側に隣接する他の電池ブロックBBaの、一端P1に接続されている。一端P1と接続点P3とが、各電池ブロックBBaの入出力端子となる。
【0094】
電池ブロックBBaにおいては、各電池ブロックBBにおける、ブロック内直列回路SCとバイパススイッチング素子BSとの並列回路が、反転スイッチング素子SR1を介して直列接続されることによって、複数の電池ブロックBBaが直列に接続されている。
【0095】
反転スイッチング素子SR1,SR2は、トランジスタ等の半導体スイッチング素子であってもよく、機械式のリレースイッチであってもよい。反転スイッチング素子SR1,SR2は、制御部3からの制御信号に応じてオン、オフする。
【0096】
電池ブロックBBaは、上述の加入状態及び離脱状態に加えて、反転回路RCによって二次電池Bの極性を反転させた反転状態とすることができる。図5に示す例では、電池ブロックBB1aが加入状態、電池ブロックBB2aが離脱状態、電池ブロックBB3aが反転状態を示している。
【0097】
電池ブロックBBaを用いた場合、加入状態では、直列スイッチング素子SS及び反転スイッチング素子SR1がオン、バイパススイッチング素子BS及び反転スイッチング素子SR2がオフする。離脱状態では、バイパススイッチング素子BS及び反転スイッチング素子SR1がオン、直列スイッチング素子SS及び反転スイッチング素子SR2がオフする。反転状態では、バイパススイッチング素子BS及び反転スイッチング素子SR2がオン、直列スイッチング素子SS及び反転スイッチング素子SR1がオフする。なお、離脱状態では、バイパススイッチング素子BS及び反転スイッチング素子SR1をオフ、直列スイッチング素子SS及び反転スイッチング素子SR2をオンさせてもよい。
【0098】
すなわち、電池ブロックBBaを用いた場合、ステップS2,S4,S14,S21、及び後述のステップS37,S44,S2b,S4bにおいて、上述のように加入状態及び離脱状態における反転スイッチング素子SR1,SR2をオン、オフさせればよい。
【0099】
また、入出力端子TT1,TT2間の出力電圧、すなわち直列電池モジュール2aの出力電圧は、加入状態の電池ブロックBBaの出力電圧の合計から、反転状態の電池ブロックBBaの出力電圧を差し引いた電圧となる。従って、直列電池モジュール2aを用いた場合、放電制御部34は、ステップS21において、グループGの電池ブロックBBaを、加入状態、反転状態、及び離脱状態の三つの状態に制御することによって、直列電池モジュール2aの出力電圧を制御する自由度が増大する。
【0100】
なお、電池電源装置1において、複数の電池ブロックのうち少なくとも一つが反転回路RCを備えていればよく、直列電池モジュールは、電池ブロックBBと電池ブロックBBaとが混在して直列接続されたものであってよい。
【0101】
(第二実施形態)
【0102】
次に、本発明の第二実施形態に係る電池電源装置1aについて説明する。図6は、本発明の第二実施形態に係る電池電源装置1aの構成の一例を示すブロック図である。電池電源装置1aは、電池電源装置1とは、二次電池B1~BNの温度T(1)~T(N)を測定する図略の温度センサを備えている点と、制御部3aとが異なる。
【0103】
制御部3aは、制御部3とは、さらに温度取得部35、連続通電時間取得部36、及び連続休止時間取得部37として機能する点と、充電制御部33a及び放電制御部34aの動作とが異なる。
【0104】
その他の構成は電池電源装置1と同様であるのでその説明を省略し、以下本実施形態の特徴的な点について説明する。
【0105】
温度取得部35は、各電池ブロックBBの温度センサで測定された温度T(1)~T(N)を取得する。以下、温度T(1)~T(N)を総称して温度Tと称する。
【0106】
連続通電時間取得部36は、電池ブロックBB1~BBNの連続通電時間Pc(1)~Pc(N)を取得する。以下、連続通電時間Pc(1)~Pc(N)を総称して連続通電時間Pcと称する。
【0107】
連続通電時間Pc(1)~Pc(N)は、現時点を基準にして、現時点から遡って連続して、電池ブロックBB1~BBNが加入状態とされていた時間である。連続通電時間取得部36は、電池ブロックBB1~BBNが連続して加入状態となっている時間をそれぞれ計時することによって、連続通電時間Pc(1)~Pc(N)を取得することができる。
【0108】
連続休止時間取得部37は、電池ブロックBB1~BBNの連続休止時間Pd(1)~Pd(N)を取得する。以下、連続休止時間Pd(1)~Pd(N)を総称して連続休止時間Pdと称する。
【0109】
連続休止時間Pd(1)~Pd(N)は、現時点を基準にして、現時点から遡って連続して、電池ブロックBB1~BBNが離脱状態とされていた時間である。連続休止時間取得部37は、電池ブロックBB1~BBNが連続して離脱状態となっている時間をそれぞれ計時することによって、連続休止時間Pd(1)~Pd(N)を取得することができる。
【0110】
充電制御部33aは、各電池ブロックBBの二次電池BのSOCを均等化するように、各電池ブロックBBの、加入状態と離脱状態との切り替えを制御することによって、各電池ブロックBBの充電を制御する。
【0111】
放電制御部34aは、各電池ブロックBBの二次電池BのSOCを均等化するように、各電池ブロックBBの、加入状態と離脱状態との切り替えを制御することによって、各電池ブロックBBの放電を制御する。
【0112】
図7は、図6に示す充電制御部33aによる充電制御の処理の一例を示すフローチャートである。充電処理は、充電制御部33の場合と同様に開始することができる。まず、上述と同様のステップS11によって、各二次電池B1~BNのSOC(1)~SOC(N)が取得される。
【0113】
二次電池B1のSOCをSOC(1)、二次電池B2のSOCをSOC(2)、二次電池BNのSOCをSOC(N)のように、対応するブロック番号を括弧書きで記載する。同様に、温度T、連続通電時間Pc、連続休止時間Pdについても、対応する電池ブロックBB及び二次電池Bのブロック番号を括弧書きで示している。
【0114】
次に、温度取得部35は、各二次電池B1~BNの温度T(1)~T(N)を取得する(ステップS31)。ステップS31は、他の処理と並行して常時実行される。
【0115】
次に、連続通電時間取得部36は、電池ブロックBB1~BBNの連続通電時間Pc(1)~Pc(N)を取得する(ステップS32)。ステップS32は、他の処理と並行して常時実行される。
【0116】
次に、連続休止時間取得部37は、電池ブロックBB1~BBNの連続休止時間Pd(1)~Pd(N)を取得する(ステップS33)。連続休止時間取得部37は、連続休止時間Pdが予め設定された上限時間、例えば60秒を超えた場合、連続休止時間Pdをゼロに初期化する。ステップS33は、他の処理と並行して常時実行される。
【0117】
次に、充電制御部33aは、SOC(1)~SOC(N)、温度T(1)~T(N)、連続通電時間Pc(1)~Pc(N)、及び連続休止時間Pd(1)~Pd(N)に基づいて、電池ブロックBB1~BBNの充電指標Cc(1)~Cc(N)を算出する(ステップS34)。以下、充電指標Cc(1)~Cc(N)を総称して、充電指標Ccと称する。
【0118】
ブロック番号をiとすると、電池ブロックBBiの充電指標Cc(i)は、下記の式(1)で表される。
【0119】
充電指標Cc(i)=KsSOC(i)+KtT(i)+KcPc(i)+KdPd(i) ・・・(1)
【0120】
但し、SOC(i)は二次電池BiのSOC、T(i)は二次電池Biの温度、Pc(i)は電池ブロックBBiの連続通電時間、Pd(i)は電池ブロックBBiの連続休止時間である。また、KsはSOCの係数、Ktは温度Tの係数、Kcは連続通電時間Pcの係数、Kdは連続休止時間Pdの係数である。
【0121】
係数Ks,Kt,Kc,Kdは、例えばKs=Ds/Ns、Kt=Dt/Nt、Kc=Dc/Nc、Kd=Dd/Ndとすることができる。Ns,Nt,Nc,Ndは、正規化数であり、SOC、温度T、連続通電時間Pc、及び連続休止時間Pdの標準的な値を用いることができる。
【0122】
例えば、SOCの0~100%に対応して、Nsは0~100の値とすることができる。温度Tの-10℃~50℃に対応して、Ntは-10~50とすることができる。連続通電時間Pc、及び連続休止時間Pdについては、充電制御部33a内部での時間のデータ処理方法に応じて、例えば1msecを「1」、1secを「1000」として内部処理している場合、Nc,Ndを1000とすることができる。
【0123】
Ds,Dt,Dc,Ddは、重み付け数であり、SOC、温度T、連続通電時間Pc、及び連続休止時間Pdの各項目に対して、影響を大きくしたい項目の重み付け数を大きく、影響を小さくしたい項目の重み付け数を小さくすることによって、充電指標Ccを、SOC、温度T、連続通電時間Pc、及び連続休止時間Pdがバランスよく反映された指標とすることができる。
【0124】
係数Ks,Kt,Kc,Kd、重み付け数Ds,Dt,Dc,Dd、及び正規化数Ns,Nt,Nc,Ndは、例えば実験的に適宜設定してもよい。
【0125】
次に、充電制御部33aは、複数の電池ブロックBB1~BBNを、二次電池BのSOCが100%の、充電できないグループAと、二次電池BのSOCが100%未満の充電可能なグループGとにグルーピングする(ステップS35)。
【0126】
次に、充電制御部33aは、SOCが100%未満のグループGの電池ブロックBBを、相対的に充電指標Ccが小さい第一グループG1と、相対的に充電指標Ccが大きい第二グループG2とにグルーピングする(ステップS36)。具体的には、充電制御部33aは、グループGの電池ブロックBBのうち、充電指標Ccの小さいものから順に所定の設定個数の電池ブロックBBを第一グループG1とし、残りの電池ブロックBBを第二グループG2としてもよい。設定個数は、上述と同様、適宜設定することができる。設定個数を1個として、充電制御部33aは、グループGの電池ブロックBBのうち、最も充電指標Ccの小さい電池ブロックBBのみを第一グループG1としてもよい。
【0127】
次に、充電制御部33aは、第一グループG1の電池ブロックBBを加入状態とし、第二グループG2及びグループAの電池ブロックBBを離脱状態とすることによって、第一グループG1の電池ブロックBBを充電する(ステップS37)。
【0128】
以上、ステップS34~S37によって、充電制御部33aは、SOCに加えて、温度T(1)~T(N)、連続通電時間Pc(1)~Pc(N)、及び連続休止時間Pd(1)~Pd(N)に基づいて、各電池ブロックBBの充電を制御することができる。
【0129】
充電指標Ccは、KsSOCの項を含むので、SOCが大きいほど大きく、SOCが小さいほど小さくなる。従って、ステップS37で、相対的に充電指標Ccが小さい第一グループG1の電池ブロックBBを加入状態として充電することは、基本的に、SOCが相対的に小さな電池ブロックBBを充電することになる。
【0130】
従って、ステップS34~S37によれば、充電制御部33aは、各電池ブロックBBの二次電池BのSOCを均等化するように各電池ブロックBBの、加入状態と離脱状態との切り替えを制御することによって、各電池ブロックBBの充電を制御することができる。
【0131】
さらに、充電指標Ccは、+KtTの項を含むので、温度Tが高いほど大きく、温度Tが低いほど小さくなる。従って、充電指標Ccが相対的に小さな電池ブロックBBを充電することによって、上述のSOCに加えて、温度Tが相対的に低い電池ブロックBBが充電され易くなる。温度Tが高い二次電池Bは劣化し易く、温度Tが低い二次電池Bは劣化し難い。
【0132】
従って、ステップS34~S37によれば、充電制御部33aは、各電池ブロックBBの二次電池BのSOCを均等化しつつ、相対的に劣化し難い二次電池Bを優先的に充電することができるので、各二次電池Bの劣化を低減することが容易となる。
【0133】
さらに、充電指標Ccは、+KcPcの項を含むので、連続通電時間Pcが長いほど大きく、連続通電時間Pcが短いほど小さくなる。従って、充電指標Ccが相対的に小さな電池ブロックBBを充電することによって、上述のSOCに加えて、連続通電時間Pcが相対的に短い電池ブロックBBが充電され易くなる。
【0134】
連続通電時間Pcが長い二次電池Bは劣化し易く、連続通電時間Pcが短い二次電池Bは劣化し難くなる。従って、ステップS34~S37によれば、充電制御部33aは、各電池ブロックBBの二次電池BのSOCを均等化しつつ、相対的に劣化し難い二次電池Bを優先的に充電することができるので、各二次電池Bの劣化を低減することが容易となる。
【0135】
上述したように、SOC取得部32は、離脱状態の二次電池Bの端子電圧、すなわち開放端電圧から二次電池BのSOCを取得する方法と、充放電電流の積算により間接的に二次電池BのSOCを取得する方法とを用いることができる。開放端電圧から直接得られたSOCは、充放電電流の積算により間接的に得られたSOCよりも精度が高い。
【0136】
式(1)に示す充電指標Cc(i)のKdPd(i)の項によれば、開放端電圧から直接SOCを取得可能な離脱状態にある電池ブロックBBについて、離脱状態が継続している連続休止時間Pdが長いほど充電指標Cc(i)が大きくなり、従って充電されにくくなる。そして、連続休止時間Pdが上述の上限時間を超えた場合、連続休止時間Pdはゼロとなり、充電され易くなる。
【0137】
従って、充電指標Cc(i)のKdPd(i)以外の項の影響がなければ、電池ブロックBB1~BBNのうち、離脱状態とされて開放端電圧から直接高精度のSOCが得られる電池ブロックBBが、ローテーションされることとなる。その結果、充電指標Cc(i)がKdPd(i)の項を含むことによって、SOC取得部32によるSOC(1)~SOC(N)の取得精度が向上することになる。
【0138】
そこで、係数Ks,Kt,Kc,Kdを適宜設定することによって、KdPd(i)以外の項と、KdPd(i)の項とのバランスを取りつつ、SOC(1)~SOC(N)の精度を向上することが容易となる。
【0139】
なお、電池電源装置1aは、温度取得部35、連続通電時間取得部36、及び連続休止時間取得部37を備えず、ステップS31~S33を実行しなくてもよい。そして、充電指標Cc(i)は、KtT(i)、KcPc(i)、及びKdPd(i)の項を含まず、SOC(i)をそのまま充電指標Cc(i)として用いてもよい。SOC(i)をそのまま充電指標Cc(i)として用いた場合、充電制御部33aは、SOC以外のパラメータの影響を受けることなく、各二次電池BのSOCを均等化するように各電池ブロックBBの、加入状態と離脱状態との切り替えを制御することによって、各電池ブロックBBの充電を制御することができる。
【0140】
また、電池電源装置1aは温度取得部35を備えず、ステップS31を実行せず、充電指標Cc(i)はKtT(i)の項を含まなくてもよい。あるいは、電池電源装置1aは連続通電時間取得部36を備えず、ステップS32を実行せず、充電指標Cc(i)はKtT(i)の項を含まなくてもよい。あるいは、電池電源装置1aは連続休止時間取得部37を備えず、ステップS33を実行せず、充電指標Cc(i)はKdPd(i)の項を含まなくてもよい。
【0141】
図8は、図6に示す放電制御部34aによる放電制御の処理の一例を示すフローチャートである。放電処理は、放電制御部34の場合と同様に開始することができる。まず、上述と同様のステップS11でSOC(1)~SOC(N)が取得され、ステップS31で温度T(1)~T(N)が取得され、ステップS32で連続通電時間Pc(1)~Pc(N)が取得され、ステップS33で連続休止時間Pd(1)~Pd(N)が取得される。
【0142】
次に、充電制御部33aは、SOC(1)~SOC(N)、温度T(1)~T(N)、連続通電時間Pc(1)~Pc(N)、及び連続休止時間Pd(1)~Pd(N)に基づいて、電池ブロックBB1~BBNの放電指標Cd(1)~Cd(N)を算出する(ステップS41)。以下、放電指標Cd(1)~Cd(N)を総称して、放電指標Cdと称する。
【0143】
ブロック番号をiとすると、電池ブロックBBiの放電指標Cd(i)は、下記の式(2)で表される。
【0144】
放電指標Cd(i)=Ks(100-SOC(i))+KtT(i)+KcPc(i)+KdPd(i) ・・・(2)
【0145】
式(2)は、式(1)におけるKsSOC(i)の項が、Ks(100-SOC(i))とされている点で異なる。すなわち、放電指標Cd(i)は、充電指標Cc(i)とは逆に、SOCが大きいほど小さく、SOCが小さいほど大きくなる指標である。
【0146】
次に、放電制御部34aは、電池ブロックBB1~BBNを、二次電池BのSOCが0%の、放電できないグループAと、二次電池BのSOCが0%を超える、放電可能なグループGとにグルーピングする(ステップS42)。
【0147】
次に、放電制御部34aは、SOCが0%を超えるグループGの電池ブロックBBを、
【0148】
相対的に放電指標Cdが小さい第一グループG1と、相対的に放電指標Cdが大きい第二グループG2とにグルーピングする(ステップS43)。具体的には、放電制御部34aは、グループGの電池ブロックBBのうち、放電指標Cdの小さいものから順に所定の設定個数の電池ブロックBBを第一グループG1とし、残りの電池ブロックBBを第二グループG2としてもよい。設定個数は、上述と同様、適宜設定することができる。設定個数を1個として、放電制御部34aは、グループGの電池ブロックBBのうち、最も充電指標Ccの小さい電池ブロックBBのみを第一グループG1としてもよい。
【0149】
次に、放電制御部34aは、第一グループG1の電池ブロックBBを加入状態とし、第二グループG2及びグループAの電池ブロックBBを離脱状態とすることによって、第一グループG1の電池ブロックBBを放電する(ステップS44)。
【0150】
以上、ステップS41~S44によって、放電制御部34aは、SOCに加えて、温度T(1)~T(N)、連続通電時間Pc(1)~Pc(N)、及び連続休止時間Pd(1)~Pd(N)に基づいて、各電池ブロックBBの放電を制御することができる。
【0151】
放電指標Cdは、Ks(100-SOC(i))の項を含むので、SOCが大きいほど放電指標Cdは小さく、SOCが小さいほど放電指標Cdは大きくなる。従って、ステップS44で放電指標Cdが相対的に小さな電池ブロックBBを放電することは、基本的に、SOCが相対的に大きな電池ブロックBBを放電することになる。
【0152】
従って、ステップS41~S44によれば、放電制御部34aは、各電池ブロックBBの二次電池BのSOCを均等化するように各電池ブロックBBの、加入状態と離脱状態との切り替えを制御することによって、各電池ブロックBBの放電を制御することができる。
【0153】
放電指標Cd(i)に+KtT(i)、+KcPc(i)、及び+KdPd(i)を含むことの効果は、上述の充電指標Cc(i)と同様であるのでその説明を省略する。
【0154】
なお、放電制御部34aは、ステップS44において、第二グループG2及びグループAの電池ブロックBBを離脱状態とすればよく、必ずしも第一グループG1のすべての電池ブロックBBを加入状態とする必要はない。放電制御部34aは、入出力端子TT1,TT2間に、所望の電圧が得られるように、第一グループG1の中から電池ブロックBBを選択して加入状態とし、残りの電池ブロックBBを離脱状態としてもよい。
【0155】
また、電池電源装置1aは、温度取得部35、連続通電時間取得部36、及び連続休止時間取得部37を備えず、ステップS31~S33を実行しなくてもよい。そして、放電指標Cd(i)は、KtT(i)、KcPc(i)、及びKdPd(i)の項を含まず、SOC(i)をそのまま放電指標Cd(i)として用いてもよい。SOC(i)をそのまま放電指標Cd(i)として用いた場合、放電制御部34aは、SOC以外のパラメータの影響を受けることなく、各二次電池BのSOCを均等化するように各電池ブロックBBの、加入状態と離脱状態との切り替えを制御することによって、各電池ブロックBBの放電を制御することができる。
【0156】
また、電池電源装置1aは温度取得部35を備えず、ステップS31を実行せず、放電指標Cd(i)はKtT(i)の項を含まなくてもよい。あるいは、電池電源装置1aは連続通電時間取得部36を備えず、ステップS32を実行せず、放電指標Cd(i)はKtT(i)の項を含まなくてもよい。あるいは、電池電源装置1aは連続休止時間取得部37を備えず、ステップS33を実行せず、放電指標Cd(i)はKdPd(i)の項を含まなくてもよい。
【0157】
また、電池電源装置1aは、直列電池モジュール2の代わりに直列電池モジュール2aを備え、電池ブロックBBの代わりに電池ブロックBBaを用いてもよい。直列電池モジュール2aを充電する場合、加入状態の電池ブロックBBaが充電されているとき、反転状態の電池ブロックBBaは放電される。すなわち、直列電池モジュール2a内で、反転状態の電池ブロックBBaから加入状態の電池ブロックBBaへ、充電量を移動させることができる。
【0158】
従って、直列電池モジュール2aを用いた場合、充電制御部33aは、ステップS37において、第二グループG2及びグループAの電池ブロックBBaを反転状態としてもよい。第二グループG2及びグループAの電池ブロックBBaを反転状態とすれば、SOCの大きい第二グループG2及びグループAの電池ブロックBBaから、SOCの小さい第一グループG1の電池ブロックBBaへ、充電量が移動する。その結果、各二次電池BのSOCの均等化を、より迅速に行うことが可能となる。
【0159】
また、直列電池モジュール2aを用いた場合、放電制御部34aは、ステップS44において、第二グループG2及びグループAの電池ブロックBBaのうち少なくとも一つを反転状態としてもよい。このようにすれば、SOCの小さな第二グループG2及びグループAの少なくとも一つの電池ブロックBBaを充電しながら、SOCの大きな第一グループG1の電池ブロックBBaのうち少なくとも一つを放電させることが可能となる。その結果、各二次電池BのSOCの均等化を、より迅速に行うことが可能となる。
【0160】
なお、電池電源装置1aにおいても、電池電源装置1の場合と同様、直列電池モジュールは、電池ブロックBBと電池ブロックBBaとが混在して直列接続されたものであってよい。
【0161】
(第三実施形態)
【0162】
次に、本発明の第三実施形態に係る電池電源装置1bについて説明する。図9は、本発明の第三実施形態に係る電池電源装置1bの構成の一例を示すブロック図である。電池電源装置1bは、電池電源装置1とは、接地端子TEをさらに備える点、直列電池モジュール2の代わりに直列電池モジュール2bを備える点、及び脱着制御部31bの動作が異なる点で異なる。
【0163】
その他の構成は電池電源装置1と同様であるのでその説明を省略し、以下本実施形態の特徴的な点について説明する。
【0164】
直列電池モジュール2bは、電池ブロックBB1~BBNの代わりに電池ブロックBB1b~BBNbを備える。以下、電池ブロックBB1b~BBNbを総称して電池ブロックBBbと称する。
【0165】
電池ブロックBBbは接地スイッチング素子SEをさらに含み、電池ブロックBBbのブロック内直列回路SCは切離スイッチング素子SDをさらに含む点で、電池ブロックBBと異なる。その他の点では、電池ブロックBBbは、電池ブロックBBと同様に構成されている。
【0166】
接地スイッチング素子SEは、各電池ブロックBBbの第二端子T2と、接地端子TEとの間にそれぞれ介設されている。なお、接地スイッチング素子SEは、第二端子T2の代わりに第一端子T1と接地端子TEとの間に介設されていてもよい。
【0167】
電池ブロックBBbのブロック内直列回路SCには、さらに切離スイッチング素子SDが追加されている。切離スイッチング素子SDは、二次電池Bの、直列スイッチング素子SSとは反対側に直列接続されている。
【0168】
接地スイッチング素子SE及び切離スイッチング素子SDは、トランジスタ等の半導体スイッチング素子であってもよく、機械式のリレースイッチであってもよい。接地スイッチング素子SE及び切離スイッチング素子SDは、制御部3bからの制御信号に応じてオン、オフする。
【0169】
脱着制御部31bは、脱着制御部31と同様の処理に加えて、タッチパネルディスプレイ4により電池ブロックBBbの指定が受け付けられたとき、指定された電池ブロックBBbを、離脱状態とすることによりその電池ブロックBBbの直列スイッチング素子SSをオフすると共に、さらにその電池ブロックBBbの、切離スイッチング素子SDをオフ、接地スイッチング素子SEをオンする。
【0170】
また、脱着制御部31bは、二次電池Bが取り外された電池ブロックBBbに二次電池Bが取り付けられたとき、二次電池Bが取り付けられた電池ブロックBBbの、接地スイッチング素子SEをオフ、切離スイッチング素子SDをオンし、さらにその電池ブロックBBbを加入状態とする。
【0171】
図10は、図9に示す脱着制御部31bによる脱着制御の処理の一例を示すフローチャートである。図9では、電池ブロックBB1b~BBNbが加入状態となっている例を示している。この状態から、電池ブロックBB2bの二次電池B2を取り外す場合を例に脱着制御を説明する。
【0172】
まず、脱着制御部31bは、タッチパネルディスプレイ4により電池ブロックBBbの指定が受け付けられたか否かを確認する(ステップS1b)。タッチパネルディスプレイ4により電池ブロックBBbの指定が受け付けられた場合(ステップS1bでYES)、脱着制御部31bは、指定された電池ブロックBBbの直列スイッチング素子SSをオフ、バイパススイッチング素子BSをオンすることによって離脱状態とする(ステップS2b)。
【0173】
次に、脱着制御部31bは、指定された電池ブロックBBbの、切離スイッチング素子SDをオフ、接地スイッチング素子SEをオンし(ステップS51)、再び処理をステップS1bへ移行する。
【0174】
これにより、ユーザが、例えば電動自転車を使いたい場合に、電動自転車用の二次電池Bが取り付けられた電池ブロックBBbのブロック番号として、例えば“2”を、タッチパネルディスプレイ4を操作して入力する。
【0175】
図11は、ステップS2b,S51を説明するための説明図である。図11に示すように、電池ブロックBB2bが指定されると、ステップS2b,S51によって、図11に示すように、電池ブロックBB2bの、直列スイッチング素子SSがオフ、バイパススイッチング素子BSがオン、切離スイッチング素子SDがオフ、接地スイッチング素子SEがオンされる。
【0176】
ステップS2b,S51が実行される前の図9の状態では、二次電池B2に電流が流れる状態となっており、かつ電池ブロックBB2bの第二端子T2には、電池ブロックBB2bよりも低電位側の、二次電池B3~BNが直列接続され、二次電池B3~BNの出力電圧が加算された高電圧が印加されている。そのため、この状態のままユーザが電池ブロックBB2bから二次電池B2を取り外そうとすると、電流及び高電圧により感電が生じるおそれがある。
【0177】
一方、ステップS2b,S51が実行された後の図11の状態では、電池ブロックBB2bの、直列スイッチング素子SS及び切離スイッチング素子SDがオフされているので、二次電池B2に流れる電流がゼロとなり、かつ二次電池B2が電気的にフローティング状態となる。この状態で、電池ブロックBB2bの接地スイッチング素子SEがオンされ、第二端子T2が接地端子TEと導通する結果、二次電池B2が接地電位となる。
【0178】
このように、二次電池B2に流れる電流がゼロとなり、二次電池B2が接地電位とされることによって、二次電池B2を取り外そうとするユーザの安全性が向上する。
【0179】
一方、電池ブロックBBbの指定が受け付けられていない場合(ステップS1bでNO)、脱着制御部31bは、二次電池Bが取り外されていた電池ブロックBBbに二次電池Bが取り付けられたか否かを確認する(ステップS3)。二次電池Bの取り付けが無ければ(ステップS3でNO)、脱着制御部31bは、再び処理をステップS1bへ移行する。
【0180】
一方、二次電池Bが取り外されていた電池ブロックBBbに二次電池Bが取り付けられた場合(ステップS3でYES)、脱着制御部31bは、二次電池Bが取り付けられた電池ブロックBBbの、接地スイッチング素子SEをオフ、切離スイッチング素子SDをオンする(ステップS52)。これにより、二次電池Bが接地端子TEから切り離される。
【0181】
次に、脱着制御部31bは、二次電池Bが取り付けられた電池ブロックBBbのバイパススイッチング素子BSをオフ、直列スイッチング素子SSをオンさせることにより加入状態とし(ステップS4b)、再び処理をステップS1bへ移行する。これにより、取り付けられた二次電池Bが使用可能となる。
【0182】
なお、必ずしもステップS3,S52,S4bを実行する必要はなく、ステップS1bでNOのとき、ステップS1bを繰り返してもよい。また、制御部3bは、温度取得部35,連続通電時間取得部36,連続休止時間取得部37をさらに備え、充電制御部33、放電制御部34の代わりに充電制御部33a、放電制御部34aを備えてもよい。また、電池ブロックBBbは、接触端子CTを備えていなくてもよい。
【0183】
また、直列電池モジュール2bの電池ブロックのうち少なくとも一つが電池ブロックBBbであればよく、直列電池モジュールは、電池ブロックBBと電池ブロックBBbとが混在して直列接続されたものであってよい。
【0184】
図12は、直列電池モジュール2bの変形例を示す概念的な回路図である。図12に示すように、直列電池モジュール2cは、直列電池モジュール2bにおける電池ブロックBBbの代わりに電池ブロックBBcを備えてもよい。図12に示す電池ブロックBBcは、電池ブロックBBbに加えて、反転回路RCをさらに備えている。直列電池モジュール2cにおける反転回路RCの接続配線は、図5に示す直列電池モジュール2aにおける反転回路RCの接続配線と同様であるのでその説明を省略する。
【0185】
図5に示す例では、電池ブロックBB1cが加入状態、電池ブロックBB2cが離脱状態、電池ブロックBB3cが反転状態を示している。直列電池モジュール2cを用いることによって、直列電池モジュール2aと同様の効果が得られる。
【0186】
なお、電池電源装置1bにおいても、電池電源装置1の場合と同様、直列電池モジュールは、電池ブロックBBbと電池ブロックBBcとが混在して直列接続されたものであってよい。また、電池電源装置1,1a,1bにおいて、直列電池モジュールは、電池ブロックBB,BBa,BBb,BBcが混在して直列接続されたものであってよい。
【符号の説明】
【0187】
1,1a,1b 電池電源装置
2,2a,2b 直列電池モジュール
3,3a,3b 制御部
4 タッチパネルディスプレイ(操作受付部)
31,31b 脱着制御部
32 SOC取得部
33,33a 充電制御部
34,34a 放電制御部
35 温度取得部
36 連続通電時間取得部
37 連続休止時間取得部
B,B1~BN 二次電池
BB,BB1~BBN,BBa,BB1a~BBNa,BBb,BB1b~BBNb,BBc,BB1c~BBNc 電池ブロック
BS バイパススイッチング素子
Cc 充電指標
Cd 放電指標
CT 接触端子
A,G グループ
G1 第一グループ
G2 第二グループ
Ks,Kt,Kc,Kd 係数
Ns,Nt,Nc,Nd 正規化数
P1 一端
P2 他端
Pc 連続通電時間
Pd 連続休止時間
RC 反転回路
SC ブロック内直列回路
SD 切離スイッチング素子
SE 接地スイッチング素子
SR1,SR2 反転スイッチング素子
SS 直列スイッチング素子
T 温度
T1 第一端子
T2 第二端子
TE 接地端子
TT1,TT2 入出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12