(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086111
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ガス栓用保護ケース
(51)【国際特許分類】
F16K 27/12 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
F16K27/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201057
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000151977
【氏名又は名称】株式会社藤井合金製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】西川 忠良
(72)【発明者】
【氏名】木村 充志
(72)【発明者】
【氏名】植田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】増田 雄大
【テーマコード(参考)】
3H051
【Fターム(参考)】
3H051AA04
3H051BB10
3H051CC07
3H051FF01
(57)【要約】
【課題】壁面に固定されるガス栓に装着させてガス栓を保護する保護ケースに関し、ガス栓の使用時、不使用時に関わらず、ガス栓を全体的に包囲した状態に維持できるガス栓用保護ケースを提供する。
【解決手段】壁面(51)に添設固定される壁面取付枠(11)を有する基体ケース(1)と、基体ケース(1)の上部域に揺動自在に軸支されてガス栓(40)を覆う可動ケース(2)とからなり、可動ケース(2)の下被覆壁(23)に、ガス栓(40)に接続させたソケット(43)の一部又はゴム管(44)を突出可能な切欠部(20)と、切欠部(20)を開閉方向に移動可能な蓋部(3)が設けられ、蓋部(3)を開放方向に移動させた状態で可動ケース(2)を完全閉塞姿勢に維持できるようにしたこと。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側の配管接続用の配管接続部が壁板を水平に貫通し且つ下流側のソケット接続用のプラグ部が下を向く姿勢にて壁面に固定されるガス栓に被覆させて保護する保護ケースであって、
前記壁面に添設固定される壁面取付枠を有する基体ケースと、前記基体ケースの上部域に揺動自在に軸支され且つ前記基体ケース側に開放する可動ケースとからなり、
前記可動ケースは、最終揺動位置に達するまで前記壁面取付枠側へ揺動させた完全閉塞姿勢にて、前記プラグ部の左右側方を覆う左右被覆壁と、前記プラグ部の上方から正面側にかけてを覆う正面被覆壁と、前記プラグ部の下方を覆う下被覆壁とを有し、
前記完全閉塞姿勢における前記下被覆壁の所定位置に、前記プラグ部に接続させるソケットの一部又はソケットに接続されるゴム管を突出可能な切欠部が前記開放端縁に開放するように形成されると共に、前記切欠部を開閉自在な蓋部が設けられ、
前記蓋部は、ソケット非接続状態で前記可動ケースを前記完全閉塞姿勢とすると前記切欠部を閉塞し、ソケット接続状態で前記可動ケースを閉塞方向へ揺動させると前記ソケット又はゴム管に当接することにより前記切欠部を開放させる開放方向へ移動可能とし、
前記蓋部が前記開放方向に移動した状態で前記可動ケースは前記完全閉塞姿勢に維持できるようにしたガス栓用保護ケース。
【請求項2】
請求項1に記載のガス栓用保護ケースにおいて、
前記蓋部は、
前記可動ケース内に揺動自在に取り付けられており、
自由状態では自重により前記切欠部を閉塞する閉塞姿勢に維持され、
前記プラグ部に接続させたソケット又はゴム管に当接すると、前記開放方向に揺動すると同時に前記可動ケース内に収容されるガス栓用保護ケース。
【請求項3】
請求項1に記載のガス栓用保護ケースにおいて、
前記蓋部は、
前記可動ケース内にスライド自在に設けられており、
自由状態では自重により前記切欠部を閉塞する閉塞姿勢に維持され、
前記プラグ部に接続させたソケット又はゴム管に当接すると、前記開放方向にスライドすると同時に前記可動ケース内に収容されるガス栓用保護ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に固定されたガス栓に被覆させて保護するガス栓用保護ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
上流側の配管接続部(41)が壁板(5)を水平に貫通し且つ下流側のソケット接続用のプラグ部が下方を向く姿勢で壁面に固定されているガス栓を保護するための保護ケース(300)として、特願2022-78128号のものを出願した。
このものは、
図10に示すように、プラグ部を含むガス栓本体の上方及び左右両側方を覆うように壁板(5)に添設固定される基体ケース(310)と、基体ケース(310)の上端近傍に揺動自在に軸支されて基体ケース(310)の正面側及び下方開放部(311)をそれぞれ開閉自在に閉塞可能な正面被覆壁(322)と下被覆壁(323)を有する可動ケース(320)とからなるもので、可動ケース(320)を基体ケース(310)側へ揺動させれば、保護ケース(300)は、基体ケース(310)の正面側開放部及び下方開放部(311)を可動ケース(320)で完全に閉塞可能となり、不使用時のガス栓を上下左右及び正面側から全体的に包囲して、直射日光や風雨又は塵芥の侵入を防止すると共に外的衝撃等から保護することができる。そして、ガス栓の使用時には、可動ケース(320)を開放方向に揺動させて、保護ケース(300)の下方を開放させれば、基体ケース(310)の下方開放部(311)からソケット(43)を挿入させてプラグ部に接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2022-78128号のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した保護ケース(300)では、プラグ部にソケット(43)を接続させた後に、可動ケース(320)を閉塞方向に揺動させると、同図に示すように、可動ケース(320)の下被覆壁(323)の開放端縁(324)が、基体ケース(310)の下方開放部(311)から突出しているソケット(43)、又は、ソケット(43)に繋がっているゴム管(44)に当接するため、可動ケース(320)をそれ以上閉塞方向に揺動させることはできない。言い換えれば、ガス栓の使用中は、可動ケース(320)は半開き状態に保持されるから、下方開放部(311)のうち下被覆壁(323)の非被覆域から、塵や土埃、雨水の跳ね返りや虫等の異物が保護ケース(300)内に侵入するおそれがある。
また、可動ケース(320)が半開き状態にある保護ケース(300)では、基体ケース(310)の下方開放部(311)が可動ケース(320)の下被覆壁(323)によって完全閉塞状態にあるガス栓の不使用時の保護ケース(300)よりも、正面側への突出量が大きくなるから、その突出部分が邪魔になる。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、壁板に固定されたガス栓を全体的に覆うことで、当該ガス栓を直射日光や風雨、塵芥や外的衝撃等から保護するガス栓用保護ケースであって、プラグ部にソケットを接続させたガス栓の使用時でも、保護ケースが半開き状態になることなく、完全閉塞姿勢に維持することができるガス栓用保護ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために講じた本発明の解決手段は、
上流側の配管接続用の配管接続部が壁板を水平に貫通し且つ下流側のソケット接続用のプラグ部が下を向く姿勢にて壁面に固定されるガス栓に被覆させて保護する保護ケースであって、
前記壁面に添設固定される壁面取付枠を有する基体ケースと、前記基体ケースの上部域に揺動自在に軸支され且つ前記基体ケース側に開放する可動ケースとからなり、
前記可動ケースは、最終揺動位置に達するまで前記壁面取付枠側へ揺動させた完全閉塞姿勢にて、前記プラグ部の左右側方を覆う左右被覆壁と、前記プラグ部の上方から正面側にかけてを覆う正面被覆壁と、前記プラグ部の下方を覆う下被覆壁とを有し、
前記完全閉塞姿勢における前記下被覆壁の所定位置に、前記プラグ部に接続させるソケットの一部又はソケットに接続されるゴム管を突出可能な切欠部が前記開放端縁に開放するように形成されると共に、前記切欠部を開閉自在な蓋部が設けられ、
前記蓋部は、ソケット非接続状態で前記可動ケースを前記完全閉塞姿勢とすると前記切欠部を閉塞し、ソケット接続状態で前記可動ケースを閉塞方向へ揺動させると前記ソケット又はゴム管に当接することにより前記切欠部を開放させる開放方向へ移動可能とし、
前記蓋部が前記開放方向に移動した状態で前記可動ケースは前記完全閉塞姿勢に維持できるようにしたことである。
【0007】
上記手段は次のように作用する。
ガス栓は、配管接続部が壁板を水平に貫通し且つプラグ部の下流端が下方を向く姿勢にて壁面に固定され、それを囲むように、基体ケースの壁面取付枠が壁面に取り付けられる。
基体ケースと可動ケースとは、例えば、基体ケースの上部域の両外側面又は前記両外側面を覆う可動ケースの左右被覆壁の内面上端近傍のどちらか一方に設けた軸部が、どちらか他方に設けた軸受溝に嵌め込まれて揺動自在に軸支される態様とする。
【0008】
プラグ部にソケットを接続させないガス栓の不使用時には、可動ケースを最終揺動位置に達するまで基体ケース側へ揺動させれば完全閉塞姿勢とすることができ、この完全閉塞姿勢にて、前記プラグ部の上方から正面側、両側方、及び下方は、可動ケースの正面被覆壁、左右被覆壁、及び下被覆壁で包囲されると共に、下被覆壁に設けた切欠部は蓋部によって閉塞されている。これにより、不使用時のガス栓は保護ケースで全体的に包囲可能となる。
【0009】
可動ケースを基体ケースから離反する方向へ揺動させてプラグ部の下方を開放させればプラグ部へソケットを接続させてガス栓を使用することができる。ソケット接続後に、可動ケースを閉塞方向に揺動させると、ソケット又はそれに接続されているゴム管に蓋部の先端が当接すると同時にこれに押されて蓋部は開放方向に移動する。蓋部の移動によって切欠部の開放端縁側は開放し、この開放部分からソケットの一部又はゴム管が突出可能となる。この状態で、可動ケースは基体ケースに対して前記最終揺動位置に達するまで閉塞方向へ揺動させて前記完全閉塞姿勢に維持することができる。
【0010】
上記ガス栓用保護ケースにおいて、好ましくは、『前記蓋部は、
前記可動ケース内に揺動自在に取り付けられており、
自由状態では自重により前記切欠部を閉塞する閉塞姿勢に維持され、
前記プラグ部に接続させたソケット又はゴム管に当接すると、前記開放方向に揺動すると同時に前記可動ケース内に収容される』ことである。
プラグ部にソケットが接続されていないガス栓の不使用時にて、可動ケースを基体ケースに対して完全閉塞姿勢とすると、自由状態にある蓋部は自重によって切欠部を閉塞する方向へ揺動し、切欠部は蓋部によって閉塞される。これにより、ガス栓を保護ケースで全体的に包囲して保護することができる。
ガス栓の使用時には、可動ケースを開放方向に揺動させ、プラグ部にソケットを接続した後に、可動ケースを閉塞方向に揺動させると、前記蓋部の先端が前記ソケット又はゴム管に当接することにより蓋部は開放方向に揺動し、前記切欠部の一部が開放する。この開放部分からソケットの一部又はゴム管が突出可能となると共に、この状態で、可動ケースを完全閉塞姿勢に維持することができる。また、揺動させられた蓋部は可動ケース内へ収容されるから、蓋部が邪魔になることもない。
【0011】
上記ガス栓用保護ケースにおいて、好ましくは、『前記蓋部は、
前記可動ケース内にスライド自在に設けられており、
自由状態では自重により前記切欠部を閉塞する閉塞姿勢に維持され、
前記プラグ部に接続させたソケット又はゴム管に当接すると、前記開放方向にスライドすると同時に前記可動ケース内に収容される』ことである。
プラグ部にソケットが接続されていないガス栓の不使用時にて、可動ケースを基体ケースに対して完全閉塞姿勢とすると、自由状態にある蓋部は自重によって切欠部を閉塞する方向へスライドし、切欠部は蓋部によって閉塞される。これにより、ガス栓を保護ケースで全体的に包囲して保護することができる。
ガス栓の使用時には、可動ケースを開放方向に揺動させ、プラグ部にソケットを接続した後に、可動ケースを閉塞方向に揺動させると、前記蓋部の先端が前記ソケット又はゴム管に当接することにより蓋部は開放方向にスライドし、前記切欠部の一部が開放する。この開放部分からソケットの一部又はゴム管が突出可能となると共に、この状態で、可動ケースを完全閉塞姿勢に維持することができる。また、スライドさせられた蓋部は可動ケース内へ収容されるから、蓋部が邪魔になることもない。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、ガス栓の不使用時にはもちろん、プラグ部にソケットを接続させたガス栓の使用時にも、基体ケースに対して可動ケースを完全閉塞姿勢に維持できるようにしたから、壁面に固定されたガス栓は使用、不使用に関わらず、全体的に包囲可能となり、屋外壁面に設置されたガス栓では直射日光や風雨から確実に保護することができる。
なお、ガス栓の使用時においては、ソケットの一部やゴム管を突出させるために切欠部は開放端縁側に開放しているものの、内部に連通する部分は、ソケットやゴム管の周囲の僅かな部分である。よって、土埃や塵芥、又は、虫等が保護ケース内に侵入する不都合は殆どなく、ガス栓を、長期に渡って、操作性が損なわれることなく、常に安定した状態で保護することができる。
【0013】
また、ガス栓の使用時にも、可動ケースを完全閉塞状態に維持できるようにしたから、可動ケースの壁面からの突出量はガス栓の不使用時と同じである。よって、ガス栓の使用時に、可動ケースの突出部分が邪魔になったり、障害になったりするといった不都合がない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本願発明の第1番目の実施の形態のガス栓用保護ケースの取付状態を示す断面図である。
【
図2】本願発明の第1番目の実施の形態のガス栓用保護ケースの可動ケースを開放姿勢とした状態を示す断面図である。
【
図3】本願発明の第1番目の実施の形態のガス栓用保護ケースの可動ケースを開放姿勢とした状態を示す斜視図である。
【
図4】本願発明の第1番目の実施の形態のガス栓用保護ケースの蓋部を説明する可動ケースの要部拡大背面図である。
【
図5】本願発明の第1番目の実施の形態のガス栓用保護ケースで被覆させたガス栓にソケットを接続させたガス栓の使用状態を示す断面図である。
【
図6】本願発明の第1番目の実施の形態のガス栓用保護ケースで被覆させたガス栓にソケットを接続させたガス栓の使用状態を示す斜視図である。
【
図7】本願発明の第2番目の実施の形態のガス栓用保護ケースの取付状態を示す断面図である。
【
図8】本願発明の第2番目の実施の形態のガス栓用保護ケース斜視図である。
【
図9】本願発明の第2番目の実施の形態のガス栓用保護ケースで被覆させたガス栓にソケットを接続させたガス栓の使用状態を示す断面図である。
【
図10】従来のガス栓用保護ケースの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態にて採用したガス栓(40)は、
図1及び
図2に示すように、上流側の配管接続用の配管接続部(41)から下流側のソケット接続用のプラグ部(4)に至るガス流路が略L字状に形成されたガス栓であり、壁板(5)を貫通する開口(50)に配管接続部(41)が水平に挿通し且つプラグ部(4)の下流側先端が下に向く姿勢で、配管接続部(41)の基端部近傍に張り出させた鍔部(42)を、開口(50)の周辺の壁面(51)にネジ止め(図示せず)により固定されている。
【0016】
壁面(51)に添設固定させた鍔部(42)と鍔部(42)から正面側に突設するプラグ部(4)を全体的に包囲するように、保護ケース(100)を装着させる。
保護ケース(100)は、鍔部(42)を嵌め込み可能な大きさ形状の開口部(10)が形成された壁面取付枠(11)からなる基体ケース(1)と、基体ケース(1)に揺動自在に軸支される可動ケース(2)とから構成されている。
【0017】
壁面取付枠(11)は、ガス栓(40)の鍔部(42)を開口部(10)内に収容させた状態で、壁面(51)にネジ止め(図示せず)により固定され、壁面取付枠(11)の上方に延設させた上方延設部(12)に、可動ケース(2)の上端近傍が揺動自在に軸支されて取り付けられる。
また、壁面取付枠(11)の周縁には、可動ケース(2)を最終揺動位置に達するまで基体ケース(1)側へ揺動させた完全閉塞姿勢にて、可動ケース(2)の開放端縁(2a)が当接するフランジ板(13)が張り出している。
【0018】
可動ケース(2)は、
図1に示す完全閉塞姿勢にて、プラグ部(4)の左右側方を覆う左右被覆壁(21a)(21b)と、左右被覆壁(21a)(21b)の曲線状端縁に連続し且つプラグ部(4)の上方から正面側を被覆可能な正面被覆壁(22)と、正面被覆壁(22)の下端と左右被覆壁(21a)(21b)の下端に連続し且つプラグ部(4)の下方を覆う下被覆壁(23)とから構成されている(
図3参照)。
【0019】
左右被覆壁(21a)(21b)の上端近傍内面には、
図1及び
図2の点線で示すように、軸部(24)がそれぞれ内方へ突設しており、各軸部(24)が対向する上方延設部(12)の左右両側面部には、図示しないが、軸部(24)が軸支可能な軸受孔が形成されている。左右の軸部(24)を上方延設部(12)の左右両側部の軸受孔に各々嵌め込むことにより、基体ケース(1)と可動ケース(2)は一体となり、可動ケース(2)は基体ケース(1)に対して開閉方向に揺動可能に組み付けられる。
【0020】
可動ケース(2)が前記完全閉塞姿勢のとき、プラグ部(4)の下流側先端部に対向する下被覆壁(23)の中央域には、
図1乃至
図3に示すように、可動ケース(2)の開放端縁(2a)に開放するように矩形状に切り欠かれた切欠部(20)が形成されている。
切欠部(20)の大きさは、後述する、プラグ部(4)に接続させるソケット(43)の一部又はソケット(43)に接続されるゴム管(44)が突出可能な大きさとする。
【0021】
切欠部(20)は、可動ケース(2)内に設けられた蓋部(3)によって開閉自在に閉塞可能となっている。
蓋部(3)は、
図1、
図2及び
図4に示すように、切欠部(20)を略全域的に閉塞可能な大きさの矩形蓋板(30)とその両側辺から直立する略三角形の一対の支持板(31a)(31b)とからなり、支持板(31a)(31b)の頂部には、軸孔(32a)が貫通する略円形の突片(32)が延設されている。
【0022】
可動ケース(2)内における、切欠部(20)の左右両側方には、蓋部(3)の支持板(31a)(31b)を揺動自在に軸支するための一対の基板(25a)(25b)が下被覆壁(23)及び正面被覆壁(22)から一体的に直立するように設けられており、可動ケース(2)の開放端縁(2a)寄りの上端部には、蓋部(3)の突片(32)に設けた軸孔(32a)に挿通可能な回動軸(26)が内方へ突設している。
【0023】
蓋部(3)は、自由状態では自重により矩形蓋板(30)が切欠部(20)を閉塞する閉塞姿勢に維持されるように設定されており、ガス栓(40)の不使用時に、
図1に示すように、可動ケース(2)の開放端縁(2a)が基体ケース(1)のフランジ板(13)に当接する保護ケース(100)の完全閉塞姿勢とすると、切欠部(20)は蓋部(3)によって閉塞された状態となる。これにより、壁面(51)に固定されたガス栓(40)は保護ケース(100)で全体的に包囲可能となり、屋外設置型のガス栓(40)では、直射日光や風雨から確実に保護することができると共に、土埃や塵芥、又は、虫等の保護ケース(100)内への侵入を防止し、これらがプラグ部(4)に付着する不都合を確実に防止することができる。また、屋内の厨房の壁面に設置したものでは、保護ケース(100)によって、燃焼機器からの輻射熱や飛散する熱湯や高温の油から、ガス栓(40)、特に、そのプラグ部(4)を確実に保護することができる。
【0024】
ガス栓(40)を使用するには、
図2及び
図3に示すように、可動ケース(2)を軸部(24)を揺動支点として開放方向に揺動させて、保護ケース(100)の下方を開放させ、
図5に示すように、ガス栓(40)のプラグ部(4)にソケット(43)を接続する。
【0025】
ソケット(43)の接続後に、可動ケース(2)から手を離すと、可動ケース(2)は自重により閉塞方向に自動的に揺動する。このとき、可動ケース(2)の下被覆壁(23)に形成された切欠部(20)を閉塞している蓋部(3)の矩形蓋板(30)が、プラグ部(4)に接続されたソケット(43)のゴム管接続部(45)に当接し、矩形蓋板(30)は、これに押される態様で、蓋部(3)は、
図5及び
図6に示すように、可動ケース(2)内へ揺動させられ、切欠部(20)には、矩形蓋板(30)で閉塞されない非閉塞域(20a)が形成される。この非閉塞域(20a)からソケット(43)のゴム管接続部(45)及びそれに接続されるゴム管(44)が突出する態様となり、この状態を維持したまま、可動ケース(2)の開放端縁(2a)を基体ケース(1)のフランジ板(13)に当接させて、保護ケース(100)を完全閉塞姿勢とすることができる。
【0026】
言い換えれば、プラグ部(4)にソケット(43)を接続させたガス栓(40)の使用時においても、ガス栓(40)の不使用時と同様に、可動ケース(2)を完全閉塞姿勢に維持することができるから、可動ケース(2)の壁面(51)からの突出量が変わることはない。よって、ガス栓(40)の使用時に可動ケースが半開きとなるものに比べて、壁面(51)から可動ケース(2)が出っ張って邪魔になる不都合はない。
また、蓋部(3)は可動ケース(2)内に揺動させられて収容されるから、揺動時の蓋部(3)が邪魔になることもない。
ガス栓の使用時に、蓋体(3)が揺動することにより、可動ケース(2)の下被覆壁(23)の切欠部(20)に蓋部(3)によって閉塞されない非閉塞域(20a)が形成されるが、この非閉塞域(20a)からソケット(43)やゴム管(44)が突出するため、非閉塞域(20a)のうち、外部とが連通する部分は僅かとなる。よって、この部分から、土埃や塵芥、又は、虫等が保護ケース(100)内へ侵入することは殆どない。
【0027】
ソケット(43)を取り外す際には、再度、
図2及び
図3に示すように、可動ケース(2)を正面側に揺動させて、保護ケース(100)の下方を開放させれば、ソケット(43)の取外し作業を容易に行うことができる。
【0028】
ソケット(43)を取り外した後に、可動ケース(2)から手を離せば、可動ケース(2)は自重により閉塞方向に揺動し、
図1に示すように、可動ケース(2)の開放端縁(2a)が、基体ケース(1)のフランジ片(13)に当接すると同時に、蓋部(3)も自重により切欠部(20)を閉塞する態様となるから、上記したように、壁面(51)に取り付けられるガス栓(40)のプラグ部(4)を含むガス栓全体を確実に長期に渡って保護することができる。
【0029】
図7乃至
図9に示すものは、第2番目の実施の形態の保護ケース(110)の説明図であり、ガス栓(40)及び基体ケース(1)は、第1番目の実施の形態で採用したものと同様なものを採用している。
ガス栓(40)は、壁板(5)の開口(50)に水平に挿通させた配管接続部(41)から下向きのプラグ部(4)に至る略L字状のガス流路を有すると共に鍔部(42)によって開口(50)の周辺の壁面(51)にネジ止めされている。基体ケース(1)は、鍔部(42)を嵌め込み可能な大きさ形状の開口部(10)を有する壁面取付枠(11)と、その周囲に張り出すフランジ板(13)と、壁面取付枠(11)の上方に延設され且つ可動ケース(200)の上端近傍を揺動自在に軸支させるための延設部(12)とを具備している。
【0030】
第2番目の実施の形態で採用される可動ケース(200)は、
図7及び
図8に示す完全閉塞姿勢にて、プラグ部(4)の左右側方を覆う左右被覆壁(210a)(210b)と、左右被覆壁(210a)(210b)の曲線状端縁に連続し且つプラグ部(4)の上方、正面側、さらには下方を連続して覆う湾曲壁(220)とで構成されている。
なお、湾曲壁(220)は、発明特定事項の正面被覆壁と下被覆壁とを合わせたものに相当し、湾曲壁(220)における円弧状下部域(230)には、第1番目の実施の形態と同様に、略矩形状に切り欠かれた切欠部(20)が開放端縁(22a)に開放するように形成されている。切欠部(20)の大きさは、第1番目の実施の形態と同様、プラグ部(4)に接続させるソケット(43)の一部又はソケット(43)に接続されるゴム管(44)が突出可能な大きさに設定されている。
【0031】
第2番目の実施の形態の可動ケース(200)に形成した切欠部(20)を閉塞させる蓋部(33)は、円弧状下部域(230)の内周面に沿った円弧状断面を有し且つ切欠部(20)よりも大きな略矩形の湾曲板(34)とその両側辺部に設けられ且つ湾曲板(34)と同じ曲率の一対の湾曲スライド片(35)とから構成されている。
左右被覆壁(210a)(210b)又は図示しないが左右被覆壁(210a)(210b)に平行に位置させた支持板には、湾曲板(34)及び湾曲スライド片(35)と同じ曲率のリブ(27)を突設させており、湾曲スライド片(35)が、リブ(27)と円弧状下部域(230)の内面との間に介在されるように、蓋部(33)を配設する。
【0032】
自由状態にある蓋部(33)は、
図7、
図8に示すように、自重により湾曲板(34)が切欠部(20)を閉塞する閉塞姿勢に維持されており、ガス栓(40)の不使用時には、保護ケース(110)を完全閉塞姿勢とすることができる。これにより、壁面(51)に固定されたガス栓(40)を全体的に包囲して、直射日光や風雨または土埃や塵芥、又は、虫等から確実に保護することができる。
【0033】
ガス栓(40)を使用するには、可動ケース(200)を開放方向に揺動させて、保護ケース(110)の下方を開放させ、
図9に示すように、ガス栓(40)のプラグ部にソケット(43)を接続させる。
ソケット(43)接続後に、可動ケース(200)から手を離すと、可動ケース(200)は自重により閉塞方向に自動的に揺動する。このとき、可動ケース(200)の円弧状下部域(230)の切欠部(20)を閉塞している蓋部(33)の湾曲板(34)の先端縁(34a)が、ソケット(43)のゴム管接続部(45)に接続されたゴム管(44)に当接し、湾曲板(34)はこれに押されることにより、湾曲スライド片(35)がリブ(27)に沿って上方へ円弧状にスライドする。これにより切欠部(20)のうち、開放端縁(22a)側が開放し、ゴム管(44)が突出する態様となる。そして、この状態を維持したまま、可動ケース(200)の開放端縁(22a)を基体ケース(1)のフランジ板(13)に当接させることができ、保護ケース(110)を完全閉塞姿勢とすることができる。
【0034】
すなわち、第2番目の実施の形態の保護ケース(110)も、ガス栓(40)の使用時、不使用時に関わらず、完全閉塞姿勢とすることができ、プラグ部(4)を含むガス栓(40)を全体的に包囲した状態に維持することができる。よって、ガス栓(40)の使用時でも、ガス栓(40)を確実に長期に渡って保護することができると共に、可動ケース(200)及び蓋部(33)が不用意に突出することもない。
【0035】
なお、第1番目の実施の形態にて採用した蓋部(3)は揺動式とし、第2番目の実施の形態にて採用した蓋部(33)はスライド式としたが、プラグ部(4)に接続させるソケット(43)又はゴム管(44)に当接することにより、切欠部(20)を開放する方向に移動可能とし、自重により閉塞可能となる構成のものであれば、他の移動式のものを採用することも可能であり、また、蓋部(3)(33)を他の形状及び構成としても良い。
【0036】
また、保護ケース(100)(110)の壁面(51)への取付手段は、ネジ止めに限定されることはなく、接着剤等で取り付けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0037】
(1) ・・・・・・基体ケース
(2)(200)・・・・可動ケース
(2a)(22a) ・・・開放端縁
(3)(33) ・・・・蓋部
(4) ・・・・・・プラグ部
(5) ・・・・・・壁板
(11)・・・・・・壁面取付枠
(20)・・・・・・切欠部
(21a)(21b)(210a)(210b)・・左右被覆壁
(22)・・・・・・正面被覆壁
(23)・・・・・・下被覆壁
(40)・・・・・・ガス栓
(41)・・・・・・配管接続部
(42)・・・・・・鍔部
(43)・・・・・・ソケット
(44)・・・・・・ゴム管
(51)・・・・・・壁面
(100)(110)・・・保護ケース