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特開2024-86112車両用シートのウェビングのガイド構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086112
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】車両用シートのウェビングのガイド構造
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20240620BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20240620BHJP
   B60R 22/18 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B60N2/68
B60N2/90
B60R22/18 118
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201060
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 寛人
【テーマコード(参考)】
3B087
3D018
【Fターム(参考)】
3B087DE06
3B087DE10
3D018CA09
3D018CB02
(57)【要約】
【課題】フォースリミッタ荷重が安定しやすい車両用シートのウェビングのガイド構造を提供する。
【解決手段】車両用シートのウェビングのガイド構造は、シートベルトのウェビング14と、シートフレーム20と、ウェビング14をガイドするガイド部材31と、を備え、ガイド部材31は、前後方向Lに延びる頂壁32と、頂壁32の前端部分から下側に延びる前壁33と、頂壁32において幅方向の端部から下側に延びる側壁と、頂壁32の後端部分32aから下側に延びる後壁37と、ウェビング14が挿通される挿通口32cと、を備え、後壁37には、第1掛止部40が設けられており、ウェビング14は、下側から頂壁32の後端部分32aに向かって延びるとともに後端部分32aから前側に延びており、シートフレーム20には、第1掛止部40に掛止することで第1掛止部40が上下方向Zの上側に移動することを規制する第2掛止部42が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートベルトのウェビングと、シートバックを構成するシートフレームと、前記シートフレームの上端部分に取り付けられるとともに前記ウェビングをガイドする樹脂製のガイド部材と、を備える車両用シートのウェビングのガイド構造であって、
前記ガイド部材は、前記車両用シートにおける前後方向に延びる頂壁と、前記頂壁の前端部分から前記車両用シートにおける上下方向の下側に延びる前壁と、前記頂壁において前記車両用シートの幅方向の端部から前記下側に延びる側壁と、前記頂壁の後端部分から前記下側に延びる後壁と、前記ウェビングが挿通される挿通口と、を備え、
前記後壁には、第1掛止部が設けられており、
前記ウェビングは、前記下側から前記頂壁の前記後端部分に向かって延びるとともに当該後端部分から前記前後方向の前側に延びており、
前記シートフレームには、前記第1掛止部に掛止することで当該第1掛止部が前記上下方向の上側に移動することを規制する第2掛止部が設けられている、
車両用シートのウェビングのガイド構造。
【請求項2】
前記ガイド部材は、当該ガイド部材を前記シートフレームに締結する締結部を有し、
前記締結部は、前記後壁、前記前壁、及び前記側壁のうち、前記前壁及び前記側壁の少なくとも一方に設けられている、
請求項1に記載の車両用シートのウェビングのガイド構造。
【請求項3】
前記第1掛止部は、前記前後方向の後側に突出する突出部であり、
前記第2掛止部は、前記突出部の前記上側に位置することで当該突出部に掛止している、
請求項2に記載の車両用シートのウェビングのガイド構造。
【請求項4】
前記シートフレームには、前記上側に開口するとともに前記後壁が挿入される孔が設けられており、
前記第2掛止部は、前記孔の前記後側における縁部である、
請求項3に記載の車両用シートのウェビングのガイド構造。
【請求項5】
前記後壁において、前記シートフレームに対向する側の面には、リブが設けられており、
前記シートフレームには、前記前後方向において前記リブに対向するとともに当該リブに接触する接触面が設けられている、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用シートのウェビングのガイド構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートのウェビングのガイド構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シートベルトのウェビングをガイドする樹脂製のガイド部材を備える車両用シートが開示されている。
ガイド部材は、車両用シートのシートバックフレームの上側部分を覆うようにして当該上側部分に固定されている。ガイド部材は、略四角錐台形状に形成されており、前壁と、後壁と、前壁及び後壁の端部をそれぞれ連結する側壁と、前壁、後壁、及び側壁の上部を連結する頂壁とを有する。
【0003】
頂壁の後側部分には、車幅方向に延びるウェビング反転防止用の通過口が設けられている。通過口には、車両用シートに着座する乗員が装着するウェビングが挿通される。ウェビングは下側から上側に延びており、通過口に挿通されて前側に延びている。ウェビングが通過口に挿通されることで、ウェビングの上下反転が規制される。
【0004】
前壁及び側壁には、固定孔が設けられている。固定孔にビスが挿通されることで、ガイド部材はシートバックフレームに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-64715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車両の減速によって乗員の体が前側に移動すると、ウェビングに対して前側に荷重が働く。それに伴って、ウェビングが通過口の前縁を前側に押圧する。その結果、ガイド部材が弾性変形する。これによって、ガイド部材の後方部分が上側に浮き上がるとともにウェビングの位置も上側に変化する。このように、ウェビングの位置が変化することで、ウェビングが乗員に加える荷重であるフォースリミッタ荷重が不安定になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための車両用シートのウェビングのガイド構造の各態様を記載する。
[態様1]シートベルトのウェビングと、シートバックを構成するシートフレームと、前記シートフレームの上端部分に取り付けられるとともに前記ウェビングをガイドする樹脂製のガイド部材と、を備える車両用シートのウェビングのガイド構造であって、前記ガイド部材は、前記車両用シートにおける前後方向に延びる頂壁と、前記頂壁の前端部分から前記車両用シートにおける上下方向の下側に延びる前壁と、前記頂壁において前記車両用シートの幅方向の端部から前記下側に延びる側壁と、前記頂壁の後端部分から前記下側に延びる後壁と、前記ウェビングが挿通される挿通口と、を備え、前記後壁には、第1掛止部が設けられており、前記ウェビングは、前記下側から前記頂壁の前記後端部分に向かって延びるとともに当該後端部分から前記前後方向の前側に延びており、前記シートフレームには、前記第1掛止部に掛止することで当該第1掛止部が前記上下方向の上側に移動することを規制する第2掛止部が設けられている、車両用シートのウェビングのガイド構造。
【0008】
上記構成によれば、ウェビングに対して前側に荷重が働くと、ウェビングから頂壁の後端部分に対して前側に荷重が伝達する。これに伴い、後壁に対して上側に荷重が伝達する。ここで、ガイド部材の後壁の第1掛止部がシートフレームの第2掛止部に掛止することで上側への移動が規制されるため、ガイド部材が弾性変形してウェビングの位置が変化することを抑制できる。したがって、フォースリミッタ荷重が安定しやすくなる。
【0009】
[態様2]前記ガイド部材は、当該ガイド部材を前記シートフレームに締結する締結部を有し、前記締結部は、前記後壁、前記前壁、及び前記側壁のうち、前記前壁及び前記側壁の少なくとも一方に設けられている、[態様1]に記載の車両用シートのウェビングのガイド構造。
【0010】
ガイド部材の後壁に締結部を設けて後壁をシートフレームに締結した場合、以下のような問題が生じる。すなわち、後壁の締結部が上側からウェビングに覆われるため、ガイド部材をシートフレームに取り付ける際に、作業者が締結部の位置を確認しながら締結することが困難になる。
【0011】
その点、上記構成によれば、締結部がウェビングに覆われない。したがって、締結作業中に、締結部の位置を確認しやすくなる。
[態様3]前記第1掛止部は、前記前後方向の後側に突出する突出部であり、前記第2掛止部は、前記突出部の前記上側に位置することで当該突出部に掛止している、[態様1]または[態様2]に記載の車両用シートのウェビングのガイド構造。
【0012】
例えば、第1掛止部が凹部で、第2掛止部が凹部に掛止する凸部である場合、凹部と凸部との掛止が解除されにくくするには、凹部をより深くすることが好ましい。しかし、凹部をより深くするには、後壁を厚くする必要があるため、ガイド部材が大きくなってしまう。
【0013】
その点、上記構成によれば、突出部を設けるという簡単な構成によって第1掛止部を具現化できるため、ガイド部材が大きくなりにくい。
[態様4]前記シートフレームには、前記上側に開口するとともに前記後壁が挿入される孔が設けられており、前記第2掛止部は、前記孔の前記後側における縁部である、[態様3]に記載の車両用シートのウェビングのガイド構造。
【0014】
上記構成によれば、ガイド部材をシートフレームに取り付ける際に、突出部を孔に通すという簡単な作業で第1掛止部を第2掛止部に掛止させることができる。また、シートフレームに孔を設けることで、簡単に第2掛止部を具現化できる。
【0015】
[態様5]前記後壁において、前記シートフレームに対向する側の面には、リブが設けられており、前記シートフレームには、前記前後方向において前記リブに対向するとともに当該リブに接触する接触面が設けられている、[態様1]から[態様4]のいずれか一項に記載の車両用シートのウェビングのガイド構造。
【0016】
同構成によれば、ウェビングからガイド部材に対して前側に荷重が働くと、ガイド部材のリブが接触面に接触する。そして、ガイド部材においてリブが設けられている部分が接触面からの力を受けるため、ガイド部材が弾性変形しにくい。したがって、より一層フォースリミッタ荷重が安定する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シートベルトのフォースリミッタ荷重が安定しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、一実施形態に係る車両用シートの斜視図である。
図2図2は、同実施形態に係るガイド機構がシートフレームに取り付けられている斜視図である。
図3図3は、図2の3-3線に沿った断面図である。
図4図4は、同実施形態に係るシートフレーム及びガイド部材を前側から見た斜視図である。
図5図5は、同実施形態に係るガイド部材を下側から見た斜視図である。
図6図6は、同実施形態に係るシートフレーム及びガイド部材を外側から見た分解斜視図である。
図7図7は、同実施形態に係るシートフレーム及びガイド部材を外側から見た斜視図である。
図8図8は、変更例に係る図2の3-3線に沿った断面図である。
図9図9は、変更例に係る図2の3-3線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1図9を参照して、車両用シートのウェビングのガイド構造の一実施形態について説明する。なお、以降において、車両用シート10における前後方向を前後方向L、上下方向を上下方向Z、幅方向を幅方向Wとし、前後方向Lは、車両の前後方向と同一とする。また、幅方向Wにおいて、車両用シート10の中央から離れる方向を外側、中央に近づく方向を内側とする。
【0020】
図1に示すように、車両用シート10は、シートクッション11と、シートクッション11の後端に設けられたシートバック12と、シートバック12の上端に設けられたヘッドレスト13と、を備える。
【0021】
また、車両用シート10には、シートベルトのウェビング14が設けられている。ウェビング14には、タング15が取り付けられている。また、シートバック12の上端において、シートバック12の幅方向Wの中央から離れた位置には、ウェビング14をガイドするガイド機構30が設けられている。さらに、シートクッション11には、タング15が着脱されるバックル16が設けられている。バックル16は、シートクッション11において、幅方向Wの中央に対してガイド機構30とは反対側の端部に位置している。
【0022】
<シートバック12のシートフレーム20>
図2に示すように、シートバック12の内部には、シートフレーム20が設けられている。シートフレーム20には、図示しないクッション材が取り付けられている。
【0023】
シートフレーム20の上端部分において、シートフレーム20の幅方向Wの中央から離れた位置には、ガイド機構30が取り付けられる第1取付部分21が設けられている。
図3図7に示すように、第1取付部分21は、前後方向Lにおいて対向しながら上下方向Zに延びる前板23及び後板24と、幅方向Wにおいて対向しながら上下方向Zに延びる外側板25及び内側板26とを備える。
【0024】
図3に示すように、前板23の上端は、後側へ屈曲している。また、前板23には、第1取付孔23aが設けられている。
後板24は、下側から上側へ延びながら、前側へ屈曲する屈曲部24aと、屈曲部24aの前端から前側に傾きながら上側へ延びる傾斜部24bとを有する。傾斜部24bは、上端で前側へ屈曲している。すなわち、後板24は、屈曲部24a及び傾斜部24bによって構成される段差を有する。また、傾斜部24bの後側の表面を接触面24cとする。
【0025】
図3及び図6に示すように、第1取付部分21において、屈曲部24aと傾斜部24bとの接続部分には、上側に開口する孔24dが設けられている。本実施形態において、孔24dの後側の縁部43が「課題を解決するための手段」に記載の第2掛止部42である。
【0026】
図6及び図7に示すように、外側板25は、後板24の外側の端部から前側に延びており、前板23に接合されている。外側板25には、第2取付孔25aが設けられている。
内側板26は、後板24の内側の端部から前側に延びており、前板23に接合されている。
【0027】
図2及び図3に示すように、後板24には、ウェビング14が挿通されるパスカバー27が取り付けられている。
また、図2及び図4に示すように、シートフレーム20の前側には、ガイド機構30が取り付けられる第2取付部分22が設けられている。
【0028】
<ガイド機構30>
図2及び図3に示すように、ガイド機構30は、ガイド部材31、取付部材38、及び意匠部材39を備える。ガイド部材31、取付部材38、及び意匠部材39は、樹脂製である。
【0029】
図3図7に示すように、ガイド部材31は、頂壁32と、前壁33と、側壁34と、後壁37とを備える。
図3及び図4に示すように、頂壁32は、前後方向Lに延びている。頂壁32の後端部分32aには、上側に突出するとともに幅方向Wに延びる規制部32bが設けられている。規制部32bは、前後方向Lに貫通するとともにウェビング14が挿通される第1挿通口32cを備える。
【0030】
図3図5に示すように、前壁33は、頂壁32の前端部分から下側に延びている。前壁33には、シートフレーム20に締結される第1締結部33aとしてのビスが設けられている。また、前壁33には、第1締結部33aが挿入される第1締結孔33bが設けられている。第1締結孔33bは、シートフレーム20の前板23の第1取付孔23aの前側に位置している。前壁33の第1締結孔33b及び前板23の第1取付孔23aに第1締結部33aが挿入されることで、ガイド部材31がシートフレーム20に締結される。
【0031】
図4図7に示すように、側壁34は、外側壁35と、内側壁36とを備える。
外側壁35は、頂壁32の外側の端部から下側に延びている。外側壁35には、シートフレーム20に締結される第2締結部35aとしてのビスが設けられている。また、外側壁35には、第2締結部35aが挿入される第2締結孔35bが設けられている。第2締結孔35bは、シートフレーム20の外側板25の第2取付孔25aの外側に位置している。外側壁35の第2締結孔35b及び外側板25の第2取付孔25aに第2締結部35aが挿入されることで、ガイド部材31がシートフレーム20に締結される。
【0032】
また、内側壁36は、頂壁32の内側の端部から下側に延びている。
図3に示すように、後壁37は、頂壁32の後端部分32aから下側に延びている。後壁37の下端には、後側に突出する第1掛止部40としての突出部41が設けられている。
【0033】
図3及び図7に示すように、後壁37の下端は、シートフレーム20の孔24dに挿入されている。
そして、シートフレーム20の第2掛止部42は、ガイド部材31の第1掛止部40の上側に位置することで第1掛止部40に掛止している。
【0034】
また、図3及び図5に示すように、後壁37において、シートフレーム20の傾斜部24bに対向する面には、リブ50が設けられている。リブ50は複数の突出片によって形成されており、当該突出片は、幅方向Wに並んでいる。リブ50は、シートフレーム20の接触面24cに対向して接触している。
【0035】
図2及び図3に示すように、取付部材38は、ガイド部材31の規制部32b及びシートフレーム20の第2取付部分22に取り付けられている。取付部材38の前側には、ウェビング14が挿通される第2挿通口38aが設けられている。
【0036】
意匠部材39は、取付部材38の前側に取り付けられている。意匠部材39の前側には、ウェビング14が挿通される第3挿通口39aが設けられている。意匠部材39の第3挿通口39aは、取付部材38の第2挿通口38aの前側に位置している。
【0037】
図1に示すように、意匠部材39は、シートバック12の表面に配置されている。
<ウェビング14>
図3に示すように、ウェビング14は、パスカバー27の内部を通り、下側から頂壁32の後端部分32aに向かって延びるとともに後端部分32aから規制部32bの第1挿通口32cに挿通されて前側に延びている。そして、ウェビング14は、取付部材38の第2挿通口38a及び意匠部材39の第3挿通口39aに挿通されてシートバック12の前側に延びている。
【0038】
なお、本実施形態における第1挿通口32cが、「課題を解決するための手段」に記載の挿通口に対応する。また、本実施形態における第1締結部33a及び第2締結部35aが、「課題を解決するための手段」に記載の締結部に対応する。
【0039】
本実施形態の作用について説明する。
ウェビング14に対して前側に荷重が働くと、ウェビング14からガイド部材31の頂壁32の後端部分32aに対して前側に荷重が伝達する。これに伴い、後壁37に対して上側に荷重が伝達する。
【0040】
ここで、ガイド部材31の後壁37の第1掛止部40がシートフレーム20の第2掛止部42に掛止することで、後壁37が上側へ移動することが抑制される。したがって、ガイド部材31が弾性変形してウェビング14の位置が変化することが抑制される。
【0041】
本実施形態の効果について説明する。
(1)ガイド部材31の後壁37の第1掛止部40と、シートフレーム20の第2掛止部42とが掛止すると、上記作用を奏するため、フォースリミッタ荷重が安定しやすくなる。
【0042】
(2)第1締結部33aは前壁33に設けられており、第2締結部35aは外側壁35に設けられている。
同構成によれば、第1締結部33a及び第2締結部35aがウェビング14に覆われない。したがって、締結作業中に第1締結部33a及び第2締結部35aの位置を確認しやすくなる。
【0043】
また、ガイド部材31の内側壁36に締結部が設けられている場合と比較して、前壁33及び外側壁35がシートフレーム20の形状に沿って延びているため、ガイド部材31を締結しやすい。
【0044】
(3)第1掛止部40は、突出部41であり、第2掛止部42は、突出部41の上側に位置することで突出部41に掛止している。
同構成によれば、突出部41を設けるという簡単な構成によって第1掛止部40を具現化できる。
【0045】
(4)シートフレーム20には、ガイド部材31の後壁37が挿入される孔24dが設けられており、第2掛止部42は、孔24dの後側の縁部43である。
同構成によれば、ガイド部材31をシートフレーム20に取り付ける際に、突出部41を孔24dに通すという簡単な作業で第1掛止部40を第2掛止部42に掛止させることができる。また、シートフレーム20に孔24dを設けることで、簡単に第2掛止部42を具現化できる。
【0046】
(5)後壁37のリブ50は、シートフレーム20の接触面24c対して前後方向Lにおいて対向しながら接触している。
同構成によれば、ウェビング14からガイド部材31に対して前側に荷重が働くと、リブ50が接触面24cに接触する。そして、ガイド部材31においてリブ50が設けられている部分が接触面24cからの力を受けるため、ガイド部材31が弾性変形しにくい。したがって、より一層フォースリミッタ荷重が安定する。
【0047】
なお、本実施形態において、「掛止」は、2つの部材に荷重が作用したときに、両者が引っ掛かって動かない状態を意味している。一方で、「締結」は、ねじ等の、2つの部材とは異なる部材から両部材に作用する力によって両部材が固定されて動かない状態、すなわち、荷重の有無にかかわらず両者が固定されて動かない状態を意味している。
【0048】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0049】
・リブ50を省略してもよい。
・第2掛止部42は、孔24dの後側の縁部43に限定されない。例えば、図8に示すように、孔24dを省略して、第2掛止部42をシートフレーム20の背面から第1掛止部40としての突出部41の上側に向かって突出する鉤形状としてもよい。
【0050】
・第1掛止部40は、後側に突出する突出部41に限定されない。例えば、図9に示すように、第2掛止部42が傾斜部24bから後側へ突出する凸部で、第1掛止部40が当該凸部に掛止する凹部であってもよい。
【0051】
・ガイド部材31の内側壁36に締結部が設けられていてもよい。また、締結部は、前壁33及び外側壁35のいずれか一方に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10…車両用シート
11…シートクッション
12…シートバック
13…ヘッドレスト
14…ウェビング
15…タング
16…バックル
20…シートフレーム
21…第1取付部分
22…第2取付部分
23…前板
23a…第1取付孔
24…後板
24a…屈曲部
24b…傾斜部
24c…接触面
24d…孔
25…外側板
25a…第2取付孔
26…内側板
27…パスカバー
30…ガイド機構
31…ガイド部材
32…頂壁
32a…後端部分
32b…規制部
32c…第1挿通口(挿通口)
33…前壁
33a…第1締結部(締結部)
33b…第1締結孔
34…側壁
35…外側壁
35a…第2締結部(締結部)
35b…第2締結孔
36…内側壁
37…後壁
38…取付部材
38a…第2挿通口
39…意匠部材
39a…第3挿通口
40…第1掛止部
41…突出部
42…第2掛止部
43…縁部
50…リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9