(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086114
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20240620BHJP
B61B 13/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
B61B13/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201062
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】稲留 慶太
(72)【発明者】
【氏名】坂本 純一
(72)【発明者】
【氏名】吉崎 豪
【テーマコード(参考)】
3D101
3F022
【Fターム(参考)】
3D101BB16
3D101BB17
3D101BB34
3D101BB39
3F022AA08
3F022CC02
3F022EE05
3F022LL12
3F022MM51
3F022PP06
3F022QQ12
(57)【要約】
【課題】搬送対象物が検知面を通過しない場合には、検知面を通過する物体を検知し、搬送対象物が検知面を通過する場合には、搬送対象物を検知しないように、侵入検知センサを適切にミューティングすることが可能な搬送装置の実現が望まれる。
【解決手段】搬送車と、カバー部材と、侵入検知センサと、侵入検知センサを無効にするミューティング装置と、を備えた搬送装置であって、搬送車は、載置部と、載置部を支持して走行する台車部と、を備え、検知面は、搬送対象物の移動軌跡に交差するように配置され、ミューティング装置は、載置センサの検知結果が肯定的であり、且つ、範囲検知センサの検知結果が肯定的である場合に、侵入検知センサを無効にし、載置センサの検知結果が否定的である場合、又は、範囲検知センサの検知結果が否定的である場合には、侵入検知センサを有効にする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた移動経路に沿って往復移動することで搬送対象物を搬送する搬送車と、前記移動経路を覆うカバー部材と、検知面を通過する物体を検知する侵入検知センサと、前記侵入検知センサを一時的に無効にするミューティング装置と、を備えた搬送装置であって、
前記搬送車は、前記搬送対象物が載置される載置部と、前記載置部を支持して走行する台車部と、を備え、
前記検知面は、前記載置部よりも上側であって、前記載置部に載置された前記搬送対象物の移動軌跡に交差するように配置され、
前記移動経路に沿う方向を移動方向とし、前記移動方向における、前記載置部に載置された前記搬送対象物が前記検知面と交差することになる前記搬送車の位置の範囲を検知対応範囲として、
前記ミューティング装置は、
前記搬送対象物が前記載置部に載置されているか否かを検知する載置センサと、前記搬送車が前記検知対応範囲に基づいて設定された対象範囲にいるか否かを検知する範囲検知センサと、を備え、
前記載置センサの検知結果が肯定的であり、且つ、前記範囲検知センサの検知結果が肯定的である場合に、前記侵入検知センサを無効にし、
前記載置センサの検知結果が否定的である場合、又は、前記範囲検知センサの検知結果が否定的である場合には、前記侵入検知センサを有効にする、搬送装置。
【請求項2】
前記範囲検知センサは、前記移動経路に沿って配置された被検知体と、前記搬送車に搭載されて前記被検知体を検知する車載センサと、を備え、
前記被検知体は、前記搬送車が前記対象範囲にいる場合に前記車載センサに検知され、前記搬送車が前記対象範囲の外にいる場合には前記車載センサに検知されないように設けられている、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送車は、前記台車部に対して前記載置部を昇降させる昇降機構を更に備え、
前記昇降機構は、前記搬送対象物が前記載置部に載置されていない場合には、前記載置部を第1高さに位置させ、前記搬送対象物が前記載置部に載置されている場合には、前記載置部を前記第1高さよりも上側の第2高さに位置させるように構成され、
前記検知面の下端は、前記第1高さの前記載置部よりも上側であって前記第2高さの前記載置部よりも下側に配置されている、請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記移動経路及び前記カバー部材が、壁部材を貫通するように配置され、
前記壁部材における前記搬送対象物の前記移動軌跡と交差する部分には、開口が形成され、
前記検知面は、前記開口における前記載置部よりも上側に設定された検知境界線よりも上側の全体を覆うように配置されている、請求項1又は2に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め定められた移動経路に沿って往復移動することで搬送対象物を搬送する搬送車と、前記移動経路を覆うカバー部材と、検知面を通過する物体を検知する侵入検知センサと、前記侵入検知センサを一時的に無効にするミューティング装置と、を備えた搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような搬送装置の一例が、特開2009-63362号公報(特許文献1)に開示されている。以下、この背景技術の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。特許文献1の搬送装置は、侵入検知センサ(11)と、複数のミュートセンサ(A1、A2、B1、B2)と、を備えている。ミュートセンサ(A1、A2)は、搬送対象物(ワークW)の搬送経路において、侵入検知センサ(11)よりも上流側に配置され、ミュートセンサ(B1、B2)は、侵入検知センサ(11)よりも下流側に配置されている。そして、搬送対象物がミュートセンサ(A1、A2)により検知されると、侵入検知センサ(11)に対するミューティングが開始され、搬送中の搬送対象物が侵入検知センサ(11)により検知されなくなる。また、搬送対象物が、最も下流側のミュートセンサ(B2)により検知されると、侵入検知センサ(11)に対するミューティングが終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたミュートセンサは、投光部と受光部とを備える光センサであり、投光部から射出された光が遮断されることにより、搬送経路上の搬送対象物を検知する。そのため、例えば、搬送対象物が透明であるような場合には、射出された光が搬送対象物を透過してしまうため、ミュートセンサが搬送対象物を検知できないことがあり、このような場合、侵入検知センサがミューティングされずに、搬送対象物を誤って検知してしまう恐れがある。すなわち、搬送対象物の材質や色によっては、侵入検知センサを適切にミューティングできないという問題が生じるが、特許文献1にはこの点について言及されていない。
【0005】
そこで、搬送対象物が検知面を通過しない場合には、検知面を通過する物体を検知し、搬送対象物が検知面を通過する場合には、搬送対象物を検知しないように、侵入検知センサを適切にミューティングすることが可能な搬送装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る搬送装置は、予め定められた移動経路に沿って往復移動することで搬送対象物を搬送する搬送車と、前記移動経路を覆うカバー部材と、検知面を通過する物体を検知する侵入検知センサと、前記侵入検知センサを一時的に無効にするミューティング装置と、を備えた搬送装置であって、
前記搬送車は、前記搬送対象物が載置される載置部と、前記載置部を支持して走行する台車部と、を備え、
前記検知面は、前記載置部よりも上側であって、前記載置部に載置された前記搬送対象物の移動軌跡に交差するように配置され、
前記移動経路に沿う方向を移動方向とし、前記移動方向における、前記載置部に載置された前記搬送対象物が前記検知面と交差することになる前記搬送車の位置の範囲を検知対応範囲として、
前記ミューティング装置は、
前記搬送対象物が前記載置部に載置されているか否かを検知する載置センサと、前記搬送車が前記検知対応範囲に基づいて設定された対象範囲にいるか否かを検知する範囲検知センサと、を備え、
前記載置センサの検知結果が肯定的であり、且つ、前記範囲検知センサの検知結果が肯定的である場合に、前記侵入検知センサを無効にし、
前記載置センサの検知結果が否定的である場合、又は、前記範囲検知センサの検知結果が否定的である場合には、前記侵入検知センサを有効にする。
【0007】
本構成によれば、搬送車が搬送対象物を搬送している場合であって、且つ、載置部に載置された搬送対象物が検知面と交差することになる範囲である検知対応範囲に搬送車がいる場合には、侵入検知センサが無効にされる。そのため、侵入検知センサが、搬送中の搬送対象物を誤って検知することが回避されるように、侵入検知センサのミューティングを適切に行うことができる。
また、本構成によれば、搬送車が搬送対象物を搬送していない場合には、搬送車の位置に拘らず侵入検知センサが有効な状態に維持される。このように、搬送車が搬送対象物を搬送していない場合に侵入検知センサが有効となることで、搬送対象物が存在しない検知面を、人体等の物体が通過しても侵入検知センサにより検知できない事態が生じることを回避できる。従って、検知面を通過する搬送対象物以外の物体を適切に検知できる可能性を高めることができる。
このように、本構成によれば、搬送対象物が検知面を通過しない場合には、検知面を通過する物体を検知し、搬送対象物が検知面を通過する場合には、搬送対象物を検知しないように、侵入検知センサを適切にミューティングすることができる。
【0008】
搬送装置のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、搬送装置1を処理装置10に適用した例について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態では、搬送装置1は、処理装置10に設けられており、搬送対象物Wを、処理装置10の内部と外部との間に亘って搬入及び搬出する。本例では、搬送装置1は、処理装置10が設置された床面から作業者の腰の高さ分だけ上方に設けられている。
【0011】
本実施形態では、搬送対象物Wは、処理装置10による直接の処理対象物を収容する容器であり、処理装置10は、搬送対象物Wに収容された処理対象物に対して処理を行う。具体的には、搬送対象物Wは、ウェハを収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)であり、処理装置10は、搬送対象物Wに収容されたウェハに対して処理(例えば、洗浄処理やエッチング処理等)を行う。
【0012】
図2及び
図3に示すように、搬送装置1は、予め定められた移動経路Rに沿って往復移動することで搬送対象物Wを搬送する搬送車2と、移動経路Rを覆うカバー部材3と、検知面4を通過する物体を検知する侵入検知センサ5と、侵入検知センサ5を一時的に無効にするミューティング装置6と、を備えている。本実施形態では、搬送装置1は、制御装置Hを更に備えている。以下では、搬送装置1の具体的な構成について説明する。
【0013】
なお、以下では、移動経路Rに沿う方向を移動方向Xとし、上下方向視で移動方向Xに直交する方向を幅方向Yとして説明する。また、移動方向Xの一方側を移動方向第1側X1とし、移動方向Xの他方側を移動方向第2側X2として説明する。
【0014】
図1及び
図2に示すように、本実施形態では、移動経路R及びカバー部材3が、壁部材8を貫通するように配置されている。また、壁部材8における搬送対象物Wの移動軌跡7と交差する部分には、開口81が形成されている。本例では、壁部材8は、処理装置10の内部を覆う壁体(ここでは、外壁)とされている。そして、移動経路R及びカバー部材3は、壁部材8に形成された開口81に挿通されて、処理装置10の内部と外部とを接続するように配置されている。開口81は、搬送車2及び搬送車2により搬送される搬送対象物Wが通過できるように、壁部材8を移動方向Xに貫通して形成されている。また、本実施形態では、移動経路Rに沿って搬送車2が走行可能な走行面Fが形成されている。すなわち、搬送車2は、走行面Fを走行することで、移動経路Rに沿って移動する。カバー部材3は、後述する搬送車2の台車部22の走行軌跡と、走行面Fとを覆うように配置されている。これにより、例えば、台車部22が移動する領域に、作業者の手などが侵入することを防ぐことができ、搬送装置1の安全性を高めることができる。
【0015】
本例では、
図1及び
図2に示すように、搬送装置1は、第1支持部11と、第2支持部12とを備えている。第1支持部11は、壁部材8の開口81に対して移動方向第1側X1(すなわち、処理装置10の外側)に設けられている。また、第2支持部12は、壁部材8の開口81に対して移動方向第2側X2(すなわち、処理装置10の内部側)に設けられている。そして、走行面Fは、第1支持部11と第2支持部12とを接続するように配置されている。すなわち、移動経路Rは、第1支持部11と第2支持部12とを接続する経路である。第1支持部11及び第2支持部12は、搬送対象物Wを支持できると共に、走行面Fを走行する搬送車2との間で搬送対象物Wを受け渡し可能に構成されている。そして、搬送車2は、走行面F上を走行することで、移動経路Rを往復移動し、第1支持部11及び第2支持部12との間で搬送対象物Wの受け渡しを行う。なお、本例では、搬送車2は、作業者が処理装置10の外部から第1支持部11に載置した搬送対象物Wを第2支持部12に向けて搬送する。そして、第2支持部12に搬送された搬送対象物Wは、処理装置10が備える搬送機構等によって、第2支持部12から処理対象物に対して例えば洗浄処理等が行われる処理部(不図示)に搬送される。また、そのような処理が行われた後の搬送対象物Wは、処理部から第2支持部12に搬送される。そして、搬送車2は、当該搬送対象物Wを、第2支持部12から第1支持部11に向けて搬送する。第1支持部11に搬送された処理後の搬送対象物Wは、作業者によって回収される。なお、第1支持部11と第2支持部12とのそれぞれは、搬送対象物Wを載置可能に構成されており、例えば、搬送対象物Wが載置されたことを検知する公知の在荷センサを備えていると好適である。
【0016】
図1及び
図2の例では、走行面Fは、移動方向Xに延在する板状部材の上面とされている。そして、走行面Fは、上下方向の位置が、第1支持部11及び第2支持部12のそれぞれの上面よりも下側になるように配置されている。また、走行面Fの始端(ここでは、移動方向第1側X1の端部)は、第1支持部11と上下方向視で重複し、走行面Fの終端(ここでは、移動方向第2側X2の端部)は、第2支持部12と上下方向視で重複するように配置されている。なお、第1支持部11と第2支持部12との上面は、互いに同じ高さになるように配置されている。
【0017】
また、
図1及び
図2の例では、カバー部材3は、第1カバー31と、第2カバー32と、第3カバー33とを備えており、これらはそれぞれ板状の部材とされている。第1カバー31は、走行面Fの始端から立ち上がるように設けられており、台車部22の走行軌跡に対して、移動方向第1側X1の外側に配置されている。第2カバー32は、走行面Fの幅方向Yの両端から立ち上がるように2つ設けられており、台車部22の走行軌跡に対して幅方向Yの両外側にそれぞれ配置されている。第3カバー33は、台車部22の走行軌跡の上側を覆うように配置されており、第1カバー31と、2つの第2カバー32とに下側から支持されるように設けられている。なお、第3カバー33には、後述する昇降機構23(ここでは、昇降体24)が、搬送車2の走行等により第3カバー33と干渉しないように、移動方向Xに沿うと共に上下方向に貫通した貫通孔34(言い換えれば、移動方向Xに沿って延びるスリット状の貫通孔)が形成されている。このようにして、カバー部材3は、移動経路R(ここでは、台車部22の走行軌跡)を覆っている。具体的には、本実施形態では、移動経路Rを覆うカバー部材3は、貫通孔34が形成されるように、移動経路Rを部分的に覆っている。本明細書では、「覆う」は、全体を覆う場合と部分的に覆う場合との双方を含む概念として用いている。
【0018】
図2及び
図3に示すように、搬送車2は、搬送対象物Wが載置される載置部21と、載置部21を支持して走行する台車部22と、を備えている。本実施形態では、台車部22は、載置部21を下側から支持している。台車部22は、走行面Fを転動する複数の車輪と、不図示の駆動モータとを備えている。そして、搬送車2は、駆動モータにより1つ又は複数の車輪を回転駆動させることで、台車部22が移動方向Xに走行するための推進力を得ることができる。なお、走行面Fには、例えば、1つ又は複数の車輪を移動方向Xに案内する案内レールが設けられていてもよく、車輪とは異なる案内輪が、例えば台車部22の側面等に別途設けられ、当該案内輪を移動方向Xに案内する案内レールが設けられていてもよい。また、本例では、台車部22は、処理装置10に設けられた給電部(不図示)から電力を供給するための給電線(不図示)と接続されているが、非接触給電により給電されてもよい。また、図示の例では、載置部21の上面には、搬送対象物Wの位置決めを行う複数(ここでは3つ)の位置決めピンKが設けられており、これにより、載置部21において、第1支持部11や第2支持部12から載せ替えられた搬送対象物Wの位置決めが行われる。このように、搬送車2は、搬送対象物Wを、載置部21の上面で支持して走行する。
【0019】
本実施形態では、搬送車2は、台車部22に対して載置部21を昇降させる昇降機構23を更に備えている。そして、
図2及び
図3に示すように、昇降機構23は、搬送対象物Wが載置部21に載置されていない場合には、載置部21を第1高さT1に位置させ、搬送対象物Wが載置部21に載置されている場合には、載置部21を第1高さT1よりも上側の第2高さT2に位置させるように構成されている。本例では、第1高さT1は、第1支持部11及び第2支持部12よりも下側であって、カバー部材3(ここでは、第3カバー33)よりも上側の位置に設定されている。第2高さT2は、第1支持部11及び第2支持部12よりも上側の位置に設定されている。また、本例では、昇降機構23は、昇降体24を備えている。昇降体24は、上下方向に移動自在に構成され、載置部21と台車部22とを接続するように設けられている。そして、昇降体24の昇降に伴い、載置部21が、第1高さT1と第2高さT2との間を移動する。なお、昇降機構23は、昇降体24を上下方向に往復移動させるためのシリンダ(例えば空気圧シリンダや電動シリンダ等)や、昇降体24を上下方向に案内するための直動案内機構等を備える構成とすることができる。
【0020】
図2の例では、搬送車2は、載置部21を第1高さT1に位置させることで、載置部21ごと第1支持部11及び第2支持部12の真下に移動することができる。また、第1支持部11及び第2支持部12のそれぞれは、上下方向に移動する昇降体24及び載置部21と干渉しないように構成されている。従って、第1支持部11又は第2支持部12の上に載せられた搬送対象物Wを受け取る場合には、搬送車2は、第1支持部11又は第2支持部12の真下にある状態で、載置部21を第1高さT1から第2高さT2に上昇させることで、搬送対象物Wを載置部21の上に載せ替えることができる。搬送車2が載置部21から第1支持部11又は第2支持部12の上に搬送対象物Wを載せる場合には、上記とは逆の手順を行えばよい。
【0021】
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、侵入検知センサ5は、開口81に検知面4が形成されるように配置される。本例では、侵入検知センサ5は、投光器51と受光器52とを備えている。そして、投光器51には、光が射出される複数の投光部が設けられている。受光器52には、複数の投光部のそれぞれから射出された光を受光する複数の受光部が設けられている。本例では、侵入検知センサ5は、壁部材8に設けられている。
図3の例では、投光器51及び受光器52は、それぞれ上下方向に延在するように形成されている。そして、侵入検知センサ5の投光器51と受光器52とが、開口81を挟んで幅方向Yに離間するように配置されている。そして、投光器51から受光器52に向けて上下方向に並ぶ複数の光が射出されることにより、検知面4(すなわち、ライトカーテン)が形成される。以下では、検知面4の下端41の上下方向の位置を第3高さT3として説明する。
【0022】
図2及び
図3に示すように、検知面4は、載置部21よりも上側であって、載置部21に載置された搬送対象物Wの移動軌跡7に交差するように配置されている。本実施形態では、検知面4の下端41は、第1高さT1の載置部21よりも上側であって第2高さT2の載置部21よりも下側に配置されている。すなわち、本実施形態のように、搬送車2の載置部21が昇降する場合には、第1高さT1が搬送対象物Wを載せていない載置部21の高さとして、第3高さT3は、第1高さT1よりも高く、第2高さT2よりも低い位置に配置される。これにより、侵入検知センサ5は、搬送車2が搬送対象物Wを搬送していない場合に、載置部21を検知することを回避できる。また、例えば、搬送車2が昇降機構23を備えず、載置部21が昇降しない場合は、搬送対象物Wを載せているかに拘らず、載置部21は常に第1高さT1に配置されており、第3高さT3は、当該第1高さT1よりも高い位置に配置される。また、本実施形態では、検知面4は、開口81における載置部21よりも上側に設定された検知境界線Lよりも上側の全体を覆うように配置されている。検知境界線Lは、検知面4の下端41を規定する仮想線である。本例では、検知面4は、開口81における検知境界線Lよりも上側の部分の、上下方向の全域及び幅方向Yの全域を覆うように配置されている。本実施形態のように載置部21が昇降する場合には、検知境界線Lは、第1高さT1に配置された載置部21よりも上側に設定される。本例では、検知境界線Lは、第1高さT1に配置された載置部21よりも上側であって第2高さT2に配置された載置部21よりも下側に設定されており、具体的には、第3高さT3に設定されている。なお、検知面4に交差することで侵入検知センサ5に検知される物体としては、例えば、人体の一部(腕や頭部等)のように、搬送装置1による搬送対象とならない異物とされているが、搬送対象物W自体も侵入検知センサ5で検知可能であるため、搬送対象物Wも、そのような物体の1つに含まれる。従って、搬送対象物Wの搬送中に侵入検知センサ5が作動すると、搬送途中の搬送対象物Wを侵入物として検知してしまうため、搬送対象物Wを搬送する場合には、侵入検知センサ5が作動しないようにミューティングされる必要がある。詳細は省略するが、侵入検知センサ5により物体が検知された場合、後述する制御装置Hは、例えば、搬送装置1及び処理装置10の作動を停止させ、或いは、警報音を発する等の作業者に対する注意喚起を行う。
【0023】
以下では、ミューティング装置6の具体的な構成について説明する。なお、移動方向Xにおける、載置部21に載置された搬送対象物Wが検知面4と交差することになる搬送車2の位置の範囲を検知対応範囲9として説明する。本例では、
図2に示すように、載置部21に載せられた搬送対象物Wの移動方向第2側X2の端部が、検知面4と重なり合う台車部22の位置から、載置部21に載せられた搬送対象物Wの移動方向第1側X1の端部が、検知面4と重なり合う台車部22の位置までを検知対応範囲9としている。すなわち、検知対応範囲9に、少なくとも台車部22の一部が進入した状態では、載置部21上の搬送対象物Wが、検知面4と交差する。このように検知対応範囲9を設定することで、検知対応範囲9を極力短い範囲とすることができる。これにより、搬送対象物Wの搬送中において、侵入検知センサ5がミューティングされる期間をできるだけ小さくすることが可能となる。なお、検知対応範囲9を設定する場合に、載置部21に載せられた搬送対象物Wの移動方向Xの両端のそれぞれが、移動方向Xにおいて、必ずしも正確に検知面4と重なり合っている必要はなく、移動方向Xに規定長さだけずれるようにして、検知対応範囲9を設定するようにしてもよい。
【0024】
図2及び
図3に示すように、ミューティング装置6は、搬送対象物Wが載置部21に載置されているか否かを検知する載置センサ61と、搬送車2が検知対応範囲9に基づいて設定された対象範囲にいるか否かを検知する範囲検知センサ62と、を備えている。対象範囲は、例えば、検知対応範囲9と同じ範囲に設定され、或いは、検知対応範囲9を移動方向Xのいずれか一方側又は両側に規定量だけ拡張した範囲に設定される。この規定量は、検知対応範囲9の大きさよりも小さい値に設定される。本実施形態では、ミューティング装置6は、ミューティング制御部65と、ミューティング制御部65と搬送車2側に設けられた載置センサ61及び範囲検知センサ62とを接続する有線又は無線の通信装置(不図示)と、ミューティング制御部65と侵入検知センサ5とを接続する有線又は無線の通信装置(不図示)と、を備えている。本例では、ミューティング制御部65は、後述の制御装置Hに設けられている。そのため、ミューティング制御部65は、制御装置Hを介して、載置センサ61及び範囲検知センサ62と、侵入検知センサ5との通信を可能としている。また、本例では、載置センサ61及び範囲検知センサ62が備える後述する車載センサ64は、搬送車2に設けられている。そして、搬送車2は、制御装置Hとの間で有線(通信ケーブル)で通信可能とされている。これにより、ミューティング制御部65は、載置センサ61が検知した検知情報や、車載センサ64が検知した検知情報を、制御装置Hを介して取得することができる。なお、上記のような通信ケーブルは、搬送車2と給電部(不図示)とを接続する給電線と共に、ケーブルベア(登録商標)等に収容されていると好適である。なお、搬送車2と制御装置Hとの通信は、無線で行われてもよい。
【0025】
図2及び
図3に示すように、載置センサ61は、載置部21に設けられている。本例では、載置部21に複数(ここでは、2つ)の載置センサ61が設けられており、それぞれの載置センサ61が搬送対象物Wを検知することで、載置部21に搬送対象物Wが載せられていることを認識する。
図2及び
図3の例では、載置センサ61は、投光部と受光部とが一体となっている反射型の光センサとされており、上方に射出した光が遮られて反射することにより、搬送対象物Wを検知する。しかし、載置センサ61は、このような光センサ以外にも、リミットスイッチ等の公知のセンサで構成されていてもよい。
【0026】
本実施形態では、範囲検知センサ62は、移動経路Rに沿って配置された被検知体63と、搬送車2に搭載されて被検知体63を検知する車載センサ64と、を備えている。また、被検知体63は、搬送車2が検知対応範囲9に基づいて設定された上記対象範囲にいる場合に車載センサ64に検知され、搬送車2が当該対象範囲の外にいる場合には車載センサ64に検知されないように設けられている。具体的に説明すると、車載センサ64は、搬送車2の台車部22(ここでは、台車部22の側面)に設けられている。そして、対象範囲が検知対応範囲9と同じ範囲に設定される場合には、被検知体63は、台車部22の少なくとも一部が検知対応範囲9に進入して搬送対象物Wが検知面4と交差する状態では、車載センサ64によって検知され、台車部22が検知対応範囲9から完全に退出して搬送対象物Wが検知面4と交差しない状態では、車載センサ64によって検知されないように、移動経路Rに沿って配置されている。この場合、範囲検知センサ62は、検知対応範囲9に台車部22の少なくとも一部が存在することを検知するが、例えば、検知対応範囲9よりも規定分だけ広く設定された範囲を対象範囲として設定し、台車部22の少なくとも一部が当該対象範囲に存在することを検知する構成としてもよい。なお、範囲検知センサ62として、移動経路Rの移動方向Xの一方側の端部又は台車部22にレーザー距離計を設けたり、台車部22の車輪にエンコーダを設けたりすることもできる。また、
図2の例では、車載センサ64は、台車部22における幅方向Yの一方側の側面に設けられており、これに対応して、台車部22に対して幅方向Yの当該一方側に被検知体63が設けられているが、台車部22における幅方向Yの両側の側面に車載センサ64が設けられ、これに対応して、台車部22に対して幅方向Yの両側に被検知体63が設けられていてもよい。
【0027】
図5に示すように、ミューティング装置6は、載置センサ61の検知結果が肯定的であり、且つ、範囲検知センサ62の検知結果が肯定的である場合に、侵入検知センサ5を無効にする。本実施形態では、ミューティング制御部65は、載置センサ61により載置部21に載置された搬送対象物Wが検知され、且つ、車載センサ64が、被検知体63を検知したと判定した場合には、侵入検知センサ5を無効とする。本例では、ミューティング制御部65が侵入検知センサ5を無効にすると判定した場合に、制御装置Hは、侵入検知センサ5への電力の給電を遮断して、投光器51及び受光器52により検知面4が形成されないようにする。なお、投光器51及び受光器52により検知面4を形成した状態のまま、侵入検知センサ5の検知結果を無視することで、侵入検知センサ5を無効にする構成としてもよい。また、ミューティング装置6は、載置センサ61の検知結果が否定的である場合、又は、範囲検知センサ62の検知結果が否定的である場合には、侵入検知センサ5を有効にする。本実施形態では、ミューティング制御部65は、載置センサ61により搬送対象物Wが検知されない場合、又は、車載センサ64が、被検知体63を検知していない場合には、侵入検知センサ5を有効とする。侵入検知センサ5がミューティングにより無効とされている状態で、ミューティング制御部65が侵入検知センサ5を有効にすると判定すると、制御装置Hは侵入検知センサ5のミューティング状態を解除する。すなわち、制御装置Hは、侵入検知センサ5に対する電力の給電を再開して、投光器51及び受光器52により検知面4が形成されるようにする。
【0028】
制御装置Hは、
図4に示すように、搬送車2と、侵入検知センサ5と、ミューティング装置6と、を制御する。また、制御装置Hには、上記のように、ミューティング制御部65が設けられている。本例では、このような制御装置Hは、処理装置10に設けられている。制御装置Hは、CPU等の演算処理装置を備えると共にメモリ等の周辺回路を備え、これらのハードウェアと、演算処理装置等のハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により、制御装置Hの各機能が実現される。制御装置Hは、1つのハードウェアではなく、互いに通信可能な複数のハードウェア(複数の分離したハードウェア)の集合によって構成されてもよい。
【0029】
本実施形態では、制御装置Hは、搬送車2を制御して、搬送車2に搬送対象物Wの搬送を行わせる。具体的には、制御装置Hは、第1支持部11に搬送対象物Wが載せられると、搬送車2を第1支持部11に向かわせる。そして、制御装置Hは、載置部21を第1高さT1から第2高さT2に移動させるように昇降機構23を制御して、搬送対象物Wを載置部21に載置する。その後、制御装置Hは、搬送車2を第2支持部12へ向かわせる。そして、制御装置Hは、載置部21を第2高さT2から第1高さT1に移動させるように昇降機構23を制御して、搬送対象物Wを第2支持部12の上に載置する。
【0030】
また、制御装置Hは、第2支持部12に処理後の搬送対象物Wが載せられると、搬送車2を第2支持部12に向かわせる。そして、制御装置Hは、載置部21を第1高さT1から第2高さT2に移動させるように昇降機構23を制御して、搬送対象物Wを載置部21に載置する。その後、制御装置Hは、搬送車2を第1支持部11へ向かわせる。そして、制御装置Hは、載置部21を第2高さT2から第1高さT1に移動させるように昇降機構23を制御して、搬送対象物Wを第2支持部12の上に載置する。
【0031】
次に、
図5に示す制御フローに従って、侵入検知センサ5に対するミューティングに関する制御について説明する。なお、本実施形態では、上記のとおり、侵入検知センサ5に対してミューティングを有効にするか否かの判定は、ミューティング制御部65で行われる。
【0032】
本実施形態では、ミューティング制御部65は、載置センサ61の検知結果が肯定的であると判定した場合(S01:Yes)、範囲検知センサ62の検知結果が肯定的であるか否かを判定する(S02)。そして、ミューティング制御部65は、範囲検知センサ62の検知結果が肯定的であると判定した場合(S02:Yes)、侵入検知センサ5を無効にする(S03)。また、ミューティング制御部65は、範囲検知センサ62の検知結果が否定的であると判定した場合(S02:Nо)、侵入検知センサ5を有効にする(S04)。また、ミューティング制御部65は、載置センサ61の検知結果が否定的であると判定した場合(S01:Nо)にも、侵入検知センサ5を有効にする(S04)。なお、
図5に示す例とは異なり、ステップS02の処理をステップS01の処理よりも前に行ってもよく、ステップS01の処理とステップS02の処理とを並行して行ってもよい。
【0033】
このように、搬送車2が搬送対象物Wを搬送している場合であって、且つ検知対応範囲9に搬送車2がいる場合には、侵入検知センサ5が無効にされる。そのため、搬送対象物Wの材質や色に拘らず、侵入検知センサ5が、搬送中の搬送対象物Wを誤って検知することが回避される。また、搬送車2が搬送対象物Wを搬送していない場合には、搬送車2の位置に拘らず侵入検知センサ5が有効な状態に維持される。このように、搬送車2が搬送対象物Wを搬送していない場合に侵入検知センサ5が有効となることで、搬送対象物Wが存在しない検知面4を、人体等の物体が通過しても侵入検知センサ5により検知できない事態が生じることを回避できる。更に、搬送車2が搬送対象物Wを搬送している場合であっても、検知対応範囲9に搬送車2がいない場合には、侵入検知センサ5が有効な状態とされる。従って、侵入検知センサ5が無効とされる期間を必要最低限の期間に設定することが可能になる。
【0034】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、処理装置10に搬送装置1を適用する構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、搬送対象物Wを保管する物品収容設備等に搬送装置1を適用することもできる。
【0035】
(2)上記の実施形態では、範囲検知センサ62は、搬送車2が検知対応範囲9に基づいて設定された対象範囲にいる場合に被検知体63を検知する構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、範囲検知センサ62は、搬送車2が対象範囲の外にいる場合に被検知体63を検知するようにしてもよい。この場合、範囲検知センサ62は、被検知体63を検知していない場合に、搬送車2が対象範囲にいると判定する。すなわち、範囲検知センサ62が被検知体63を検知していない場合に、範囲検知センサ62の検知結果が肯定的となる。この場合、仮に範囲検知センサ62が故障して、被検知体63を検知できなくなったとしても、搬送対象物Wが載置部21に載せられていれば、侵入検知センサ5は常にミューティングされるため、搬送車2による搬送対象物Wの搬送を継続することが可能になる。
【0036】
(3)上記の実施形態では、範囲検知センサ62は、移動経路Rに沿って配置された被検知体63と、搬送車2に搭載されて被検知体63を検知する車載センサ64と、を備えている構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、範囲検知センサ62として、移動経路Rに沿うように単一または複数のセンサが設けられて、搬送車2に、当該センサに検知される被検知体63が搭載される構成とすることもできる。
【0037】
(4)上記の実施形態では、搬送車2が台車部22に対して載置部21を昇降させる昇降機構23を備える場合、検知面4の下端41は、第1高さT1の載置部21よりも上側であって第2高さT2の載置部21よりも下側に配置される構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、検知面4の下端41を、第2高さT2よりも上側に設定することもできる。
【0038】
(5)上記の実施形態では、検知面4は、開口81における検知境界線Lよりも上側の全体を覆うように配置されている構成を例として説明したが、これには限定されない。この場合、検知面4は、必ずしも開口81における検知境界線Lよりも上側の全体を覆うように配置される必要はない。例えば、検知面4は、開口81に搬送対象物W以外の物体が侵入した場合に、当該物体が存在する可能性のある領域のみを覆うように配置されてもよい。
【0039】
(6)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0040】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送装置の概要について説明する。
【0041】
本開示に係る搬送装置は、予め定められた移動経路に沿って往復移動することで搬送対象物を搬送する搬送車と、前記移動経路を覆うカバー部材と、検知面を通過する物体を検知する侵入検知センサと、前記侵入検知センサを一時的に無効にするミューティング装置と、を備えた搬送装置であって、
前記搬送車は、前記搬送対象物が載置される載置部と、前記載置部を支持して走行する台車部と、を備え、
前記検知面は、前記載置部よりも上側であって、前記載置部に載置された前記搬送対象物の移動軌跡に交差するように配置され、
前記移動経路に沿う方向を移動方向とし、前記移動方向における、前記載置部に載置された前記搬送対象物が前記検知面と交差することになる前記搬送車の位置の範囲を検知対応範囲として、
前記ミューティング装置は、
前記搬送対象物が前記載置部に載置されているか否かを検知する載置センサと、前記搬送車が前記検知対応範囲に基づいて設定された対象範囲にいるか否かを検知する範囲検知センサと、を備え、
前記載置センサの検知結果が肯定的であり、且つ、前記範囲検知センサの検知結果が肯定的である場合に、前記侵入検知センサを無効にし、
前記載置センサの検知結果が否定的である場合、又は、前記範囲検知センサの検知結果が否定的である場合には、前記侵入検知センサを有効にする。
【0042】
本構成によれば、搬送車が搬送対象物を搬送している場合であって、且つ、載置部に載置された搬送対象物が検知面と交差することになる範囲である検知対応範囲に搬送車がいる場合には、侵入検知センサが無効にされる。そのため、侵入検知センサが、搬送中の搬送対象物を誤って検知することが回避されるように、侵入検知センサのミューティングを適切に行うことができる。
また、本構成によれば、搬送車が搬送対象物を搬送していない場合には、搬送車の位置に拘らず侵入検知センサが有効な状態に維持される。このように、搬送車が搬送対象物を搬送していない場合に侵入検知センサが有効となることで、搬送対象物が存在しない検知面を、人体等の物体が通過しても侵入検知センサにより検知できない事態が生じることを回避できる。従って、検知面を通過する搬送対象物以外の物体を適切に検知できる可能性を高めることができる。
このように、本構成によれば、搬送対象物が検知面を通過しない場合には、検知面を通過する物体を検知し、搬送対象物が検知面を通過する場合には、搬送対象物を検知しないように、侵入検知センサを適切にミューティングすることができる。
【0043】
ここで、前記範囲検知センサは、前記移動経路に沿って配置された被検知体と、前記搬送車に搭載されて前記被検知体を検知する車載センサと、を備え、
前記被検知体は、前記搬送車が前記対象範囲にいる場合に前記車載センサに検知され、前記搬送車が前記対象範囲の外にいる場合には前記車載センサに検知されないように設けられていると好適である。
【0044】
本構成によれば、搬送車が検知対応範囲に基づく対象範囲にいるか否かを、比較的簡易な構成で適切に検知することができる。
また本構成によれば、搬送対象物を検知するのではなく、搬送車に搭載された車載センサにより、移動経路に沿って配置された被検知体を検知するため、搬送対象物の種類や状態によって検知結果が変動することを回避できる。従って、侵入検知センサのミューティングを安定的に行うことができる。
【0045】
また、前記搬送車は、前記台車部に対して前記載置部を昇降させる昇降機構を更に備え、
前記昇降機構は、前記搬送対象物が前記載置部に載置されていない場合には、前記載置部を第1高さに位置させ、前記搬送対象物が前記載置部に載置されている場合には、前記載置部を前記第1高さよりも上側の第2高さに位置させるように構成され、
前記検知面の下端は、前記第1高さの前記載置部よりも上側であって前記第2高さの前記載置部よりも下側に配置されていると好適である。
【0046】
本構成によれば、搬送車が搬送対象物を搬送していない場合に、侵入検知センサが載置部を検知することを回避しつつ、当該載置部と検知面の下端との隙間を小さくし、当該隙間を人体等の物体が通過する可能性を低減することができる。
【0047】
また、前記移動経路及び前記カバー部材が、壁部材を貫通するように配置され、
前記壁部材における前記搬送対象物の前記移動軌跡と交差する部分には、開口が形成され、
前記検知面は、前記開口における前記載置部よりも上側に設定された検知境界線よりも上側の全体を覆うように配置されていると好適である。
【0048】
本構成によれば、侵入検知センサの検知面の外側から人体等の物体が侵入することを防止できる。従って、例えば検知面を超えた先に危険な装置等がある場合であっても、作業者の安全性を確保し易い。
【0049】
本開示に係る搬送装置は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0050】
1 :搬送装置
2 :搬送車
3 :カバー部材
4 :検知面
5 :侵入検知センサ
6 :ミューティング装置
7 :搬送対象物の移動軌跡
8 :壁部材
9 :検知対応範囲
21 :載置部
22 :台車部
23 :昇降機構
41 :検知面の下端
61 :載置センサ
62 :範囲検知センサ
63 :被検知体
64 :車載センサ
81 :開口
R :移動経路
T1 :第1高さ
T2 :第2高さ
W :搬送対象物
X :移動方向