(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086115
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】コネクタ装置およびワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H01R 13/631 20060101AFI20240620BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R13/52 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201064
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小島 功司
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FB20
5E021FB21
5E021FC31
5E021FC38
5E021HA01
5E087EE03
5E087EE10
5E087FF02
5E087FF06
5E087FF12
5E087LL02
5E087LL04
5E087LL12
5E087MM08
5E087QQ03
5E087QQ04
5E087RR12
5E087RR25
(57)【要約】
【課題】第1コネクタと第2コネクタとの接続信頼性を向上可能にしたコネクタ装置およびワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】第2コネクタ14の第2ハウジング41は、内部に第2端子42が収容される第2収容凹部46を有している。第1ハウジング21が第2収容凹部46に組み付けられることで、第1コネクタ13の第1端子22と第2コネクタ14の第2端子42とが互いに接続される。第1ハウジング21は、誘い込み部としての第1傾斜面29を有している。第2ハウジング41は、誘い込み部としての第2傾斜面49を有している。第1ハウジング21が第2収容凹部46に対して組付方向に沿って組み付けられる際、第1傾斜面29と第2傾斜面49との互いの係合により、第1ハウジング21および第2ハウジング41の少なくとも一方は、軸線L1,L2が互いに近づくように、組付方向と直交する方向に移動される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ハウジングと、前記第1ハウジングに支持された第1端子とを有する第1コネクタと、
第2ハウジングと、前記第2ハウジングに支持された第2端子とを有する第2コネクタと、を備え、
前記第2ハウジングは、内部に前記第2端子が収容される収容凹部を有し、
前記第1ハウジングが前記収容凹部に組み付けられることで、前記第1端子と前記第2端子とが互いに接続されるコネクタ装置であって、
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングの少なくとも一方は、前記第1ハウジングが前記収容凹部に対して組付方向に沿って組み付けられる際、前記第1ハウジングの軸線と前記第2ハウジングの軸線とが互いに近づくように、前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングの少なくとも一方を、前記組付方向と直交する方向に移動させる誘い込み部を有している、
コネクタ装置。
【請求項2】
前記第1ハウジングは、前記誘い込み部としての第1傾斜面を有し、
前記第1傾斜面は、前記第2ハウジングに対する前記第1ハウジングの組付方向の前端側に向かうにつれて前記第1ハウジングの軸線に近づくように傾斜している、
請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記第1傾斜面は、前記第1ハウジングの軸線を中心とする前記第1ハウジングの周方向全周にわたって設けられている、
請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記第2ハウジングの前記収容凹部は、前記誘い込み部としての第2傾斜面を有し、
前記第2傾斜面は、前記第1ハウジングに対する前記第2ハウジングの組付方向の前端側に向かうにつれて前記第2ハウジングの軸線から離れるように傾斜している、
請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記第2傾斜面は、前記第2ハウジングの軸線を中心とする前記収容凹部の周方向全周にわたって設けられている、
請求項4に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記第1ハウジングは、前記誘い込み部としての第1傾斜面を有し、
前記第1傾斜面は、前記第2ハウジングに対する前記第1ハウジングの組付方向の前端側に向かうにつれて前記第1ハウジングの軸線に近づくように傾斜しており、
前記第2ハウジングの前記収容凹部は、前記誘い込み部としての第2傾斜面を有し、
前記第2傾斜面は、前記第1ハウジングに対する前記第2ハウジングの組付方向の前端側に向かうにつれて前記第2ハウジングの軸線から離れるように傾斜している、
請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記第1端子および前記第2端子の少なくとも一方は、前記組付方向における前記第1端子と前記第2端子との相対位置の公差を吸収する公差吸収部を有している、
請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項8】
前記公差吸収部は、前記第1端子および前記第2端子の少なくとも一方に形成された湾曲部である、
請求項7に記載のコネクタ装置。
【請求項9】
前記湾曲部は、前記第1端子および前記第2端子のうち、前記湾曲部が設けられた端子の他の部位よりも板厚が薄く形成された薄肉部を有している、
請求項8に記載のコネクタ装置。
【請求項10】
前記第1コネクタおよび前記第2コネクタの少なくとも一方は、前記第1ハウジングが前記収容凹部に組み付けられる際の衝撃を緩和可能に構成された衝撃緩和部を有している、
請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項11】
前記衝撃緩和部は、前記第1端子および前記第2端子の少なくとも一方に形成された湾曲部である、
請求項10に記載のコネクタ装置。
【請求項12】
前記第2コネクタが有する前記衝撃緩和部は、前記第2ハウジングの前記収容凹部に共に収容された可動プレートおよび付勢部材を有し、
前記可動プレートは、前記第1ハウジングに対する前記第2ハウジングの組付方向に沿った方向に変位可能に構成されるとともに、前記収容凹部に組み付けられる前記第1ハウジングに対して当接可能に構成され、
前記付勢部材は、前記第1ハウジングに対する前記第2ハウジングの組付方向に前記可動プレートを付勢している、
請求項10に記載のコネクタ装置。
【請求項13】
前記第1コネクタは、前記第1ハウジングと前記収容凹部との間を止水する止水部材を有している、
請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のコネクタ装置と、
前記コネクタ装置の前記第1コネクタに接続された電線、および、前記コネクタ装置の前記第2コネクタに接続された電線の少なくとも一方と、を備える、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ装置およびワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されたコネクタ装置を含むワイヤハーネスは、車両における高圧の電線経路を構成している。具体的には、同ワイヤハーネスは、例えば電気自動車やハイブリッド車における、車輪駆動用のモータとバッテリとの間の給電経路の一部を構成している。ワイヤハーネスに含まれるコネクタ装置は、互いに接続される第1コネクタと第2コネクタとを備える。第1コネクタは、第1ハウジングと、第1ハウジングに支持された第1端子とを有する。第2コネクタは、第2ハウジングと、第2ハウジングに支持された第2端子とを有する。そして、第1ハウジングと第2ハウジングとが互いに組み付けられることで、第1端子と第2端子とが互いに電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両の製造において、複数の部品をユニット化することで、組付工数等を低減させることが望まれている。この構成では、車両の構成部品を複数のユニットに分けて設計することで、車両の組み付けが複数のユニット同士の組み付けで済むこととなる。しかしながら、上記コネクタ装置の第1コネクタと第2コネクタとが互いに別のユニットに設けられる場合、各ユニットの寸法公差によって、第1コネクタと第2コネクタとの接続が困難になる問題があった。
【0005】
本開示の目的は、第1コネクタと第2コネクタとの接続信頼性を向上可能にしたコネクタ装置およびワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタ装置は、第1ハウジングと、前記第1ハウジングに支持された第1端子とを有する第1コネクタと、第2ハウジングと、前記第2ハウジングに支持された第2端子とを有する第2コネクタと、を備え、前記第2ハウジングは、内部に前記第2端子が収容される収容凹部を有し、前記第1ハウジングが前記収容凹部に組み付けられることで、前記第1端子と前記第2端子とが互いに接続されるコネクタ装置であって、前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングの少なくとも一方は、前記第1ハウジングが前記収容凹部に対して組付方向に沿って組み付けられる際、前記第1ハウジングの軸線と前記第2ハウジングの軸線とが互いに近づくように、前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングの少なくとも一方を、前記組付方向と直交する方向に移動させる誘い込み部を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示のコネクタ装置およびワイヤハーネスによれば、第1コネクタと第2コネクタとの接続信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態のワイヤハーネスを含む第1ユニットおよび第2ユニットの概略構成図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態におけるコネクタ装置の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態における第2コネクタの平面図である。
【
図6】第1実施形態における第1端子の斜視図である。
【
図7】第1実施形態における第1端子の側面図である。
【
図8】第1実施形態における第1端子の変更例を示す斜視図である。
【
図10】第2実施形態におけるコネクタ装置の分解斜視図である。
【
図11】第2実施形態における第2コネクタの分解斜視図である。
【
図12】第2実施形態における第2コネクタの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタ装置は、
[1]第1ハウジングと、前記第1ハウジングに支持された第1端子とを有する第1コネクタと、第2ハウジングと、前記第2ハウジングに支持された第2端子とを有する第2コネクタと、を備え、前記第2ハウジングは、内部に前記第2端子が収容される収容凹部を有し、前記第1ハウジングが前記収容凹部に組み付けられることで、前記第1端子と前記第2端子とが互いに接続されるコネクタ装置であって、前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングの少なくとも一方は、前記第1ハウジングが前記収容凹部に対して組付方向に沿って組み付けられる際、前記第1ハウジングの軸線と前記第2ハウジングの軸線とが互いに近づくように、前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングの少なくとも一方を、前記組付方向と直交する方向に移動させる誘い込み部を有している。
【0010】
この構成によれば、第1コネクタと第2コネクタとを互いに接続する際に、第1コネクタと第2コネクタとの間における組付方向と直交する方向の公差を誘い込み部によって吸収することが可能となる。したがって、第1コネクタと第2コネクタとの接続信頼性を向上させることが可能となる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記第1ハウジングは、前記誘い込み部としての第1傾斜面を有し、前記第1傾斜面は、前記第2ハウジングに対する前記第1ハウジングの組付方向の前端側に向かうにつれて前記第1ハウジングの軸線に近づくように傾斜していてもよい。
【0012】
この構成によれば、第1コネクタと第2コネクタとを互いに接続する際、第1ハウジングの第1傾斜面が第2ハウジングに当接することにより、第1コネクタと第2コネクタとの間における組付方向と直交する方向の公差を吸収することが可能となる。
【0013】
[3]上記[2]において、前記第1傾斜面は、前記第1ハウジングの軸線を中心とする前記第1ハウジングの周方向全周にわたって設けられていてもよい。
この構成によれば、第1コネクタと第2コネクタとの間における組付方向と直交する全方向の公差を第1傾斜面によって吸収することが可能となる。
【0014】
[4]上記[1]から[3]のいずれかにおいて、前記第2ハウジングの前記収容凹部は、前記誘い込み部としての第2傾斜面を有し、前記第2傾斜面は、前記第1ハウジングに対する前記第2ハウジングの組付方向の前端側に向かうにつれて前記第2ハウジングの軸線から離れるように傾斜していてもよい。
【0015】
この構成によれば、第1コネクタと第2コネクタとを互いに接続する際、第2ハウジングの第2傾斜面が第1ハウジングに当接することにより、第1コネクタと第2コネクタとの間における組付方向と直交する方向の公差を吸収することが可能となる。
【0016】
[5]上記[4]において、前記第2傾斜面は、前記第2ハウジングの軸線を中心とする前記収容凹部の周方向全周にわたって設けられていてもよい。
この構成によれば、第1コネクタと第2コネクタとの間における組付方向と直交する全方向の公差を第2傾斜面によって吸収することが可能となる。
【0017】
[6]上記[1]において、前記第1ハウジングは、前記誘い込み部としての第1傾斜面を有し、前記第1傾斜面は、前記第2ハウジングに対する前記第1ハウジングの組付方向の前端側に向かうにつれて前記第1ハウジングの軸線に近づくように傾斜しており、前記第2ハウジングの前記収容凹部は、前記誘い込み部としての第2傾斜面を有し、前記第2傾斜面は、前記第1ハウジングに対する前記第2ハウジングの組付方向の前端側に向かうにつれて前記第2ハウジングの軸線から離れるように傾斜していてもよい。
【0018】
この構成によれば、第1コネクタと第2コネクタとの間における組付方向と直交する方向の公差を、第1傾斜面と第2傾斜面とによって、より好適に吸収することが可能となる。
【0019】
[7]上記[1]から[6]のいずれかにおいて、前記第1端子および前記第2端子の少なくとも一方は、前記組付方向における前記第1端子と前記第2端子との相対位置の公差を吸収する公差吸収部を有していてもよい。
【0020】
この構成によれば、第1コネクタと第2コネクタとを互いに接続する際、組付方向における第1端子と第2端子との相対位置の公差を公差吸収部によって吸収することが可能となる。
【0021】
[8]上記[7]において、前記公差吸収部は、前記第1端子および前記第2端子の少なくとも一方に形成された湾曲部であってもよい。
この構成によれば、第1端子および第2端子の少なくとも一方に形成された湾曲部によって、組付方向における第1端子と第2端子との相対位置の公差を吸収することが可能となる。
【0022】
[9]上記[8]において、前記湾曲部は、前記第1端子および前記第2端子のうち、前記湾曲部が設けられた端子の他の部位よりも板厚が薄く形成された薄肉部を有していてもよい。
【0023】
この構成によれば、薄肉部を形成することにより、湾曲部を撓みやすくすることが可能となる。このため、薄肉部を有する湾曲部によって、組付方向における第1端子と第2端子との相対位置の公差を、より好適に吸収することが可能となる。
【0024】
[10]上記[1]から[9]のいずれかにおいて、前記第1コネクタおよび前記第2コネクタの少なくとも一方は、前記第1ハウジングが前記収容凹部に組み付けられる際の衝撃を緩和可能に構成された衝撃緩和部を有していてもよい。
【0025】
この構成によれば、第1ハウジングが第2ハウジングの収容凹部に組み付けられる際の衝撃を、衝撃緩和部によって緩和することが可能となる。
[11]上記[10]において、前記衝撃緩和部は、前記第1端子および前記第2端子の少なくとも一方に形成された湾曲部であってもよい。
【0026】
この構成によれば、第1端子および第2端子の少なくとも一方に形成された湾曲部によって、第1ハウジングが第2ハウジングの収容凹部に組み付けられる際の衝撃を緩和することが可能となる。
【0027】
[12]上記[10]または[11]において、前記第2コネクタが有する前記衝撃緩和部は、前記第2ハウジングの前記収容凹部に共に収容された可動プレートおよび付勢部材を有し、前記可動プレートは、前記第1ハウジングに対する前記第2ハウジングの組付方向に沿った方向に変位可能に構成されるとともに、前記収容凹部に組み付けられる前記第1ハウジングに対して当接可能に構成され、前記付勢部材は、前記第1ハウジングに対する前記第2ハウジングの組付方向に前記可動プレートを付勢していてもよい。
【0028】
この構成によれば、付勢部材によって付勢された可動プレートによって、第1ハウジングが第2ハウジングの収容凹部に組み付けられる際の衝撃を緩和することが可能となる。
[13]上記[1]から[12]のいずれかにおいて、前記第1コネクタは、前記第1ハウジングと前記収容凹部との間を止水する止水部材を有していてもよい。
【0029】
この構成によれば、止水部材によって、第2ハウジングの収容凹部内への水の浸入を抑制することが可能となる。したがって、止水部材によって、第1端子と第2端子との接続部分の被水を抑制することが可能となる。
【0030】
[14]本開示のワイヤハーネスは、上記[1]から[14]のいずれかに記載のコネクタ装置と、前記コネクタ装置の前記第1コネクタに接続された電線、および、前記コネクタ装置の前記第2コネクタに接続された電線の少なくとも一方と、を備える。
【0031】
この構成によれば、上記のコネクタ装置と同様の作用効果を奏することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
<第1実施形態>
本開示のコネクタ装置およびワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「平行」や「垂直」や「直交」は、厳密に平行や垂直や直交の場合のみでなく、各実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね平行や垂直や直交の場合も含まれる。
【0032】
(ワイヤハーネス10の構成)
図1に示すように、車両用のワイヤハーネス10は、コネクタ装置11と、電線12とを備える。ワイヤハーネス10は、例えば、数百ボルトの電圧がかかる高圧の電線経路を構成するものであって、車両走行の動力源となる図示しない車輪駆動用のモータとバッテリとの間の給電経路の一部を構成する。
【0033】
コネクタ装置11は、互いに組み付けられる第1コネクタ13と第2コネクタ14とを備える。第1コネクタ13は、第1ユニットU1を構成する第1フレーム15に対して、例えばブラケット16を介して組み付けられている。第1コネクタ13には、電線12が接続されている。第1コネクタ13、電線12、ブラケット16、および第1フレーム15は、第1ユニットU1に含まれている。
【0034】
第2コネクタ14は、インバータやバッテリ等の車載機器17に設けられている。第2コネクタ14は、車載機器17の内部部品に対して電気的に接続されている。車載機器17は、第2ユニットU2を構成する第2フレーム18に組み付けられている。第2コネクタ14、車載機器17、および第2フレーム18は、第2ユニットU2に含まれている。
【0035】
第1ユニットU1と第2ユニットU2とが互いに組み付けられることにより、第1コネクタ13と第2コネクタ14とが互いに組み付けられて、第1コネクタ13と第2コネクタ14との電気的な接続がなされるようになっている。
【0036】
(第1コネクタ13の構成)
図2に示すように、第1コネクタ13は、第1ハウジング21と、一対の第1端子22と、第1止水部材23と、を備える。第1ハウジング21は、例えば合成樹脂にて形成されている。
【0037】
図4および
図5に示すように、第1ハウジング21は、例えば、底部24と、底部24から延びる周壁部25とを有している。周壁部25は、例えば第1ハウジング21の軸線L1に沿って、底部24から延びている。なお、第1ハウジング21の軸線L1は、平面視における第1ハウジング21の中心軸線である。周壁部25は、第1ハウジング21の軸線L1に沿った方向から見て、軸線L1を中心とする環状をなす。なお、以下では、軸線L1に沿った方向を、軸線L1方向と称する場合がある。
【0038】
底部24および周壁部25は、第1収容凹部26を形成している。第1ハウジング21は、第1収容凹部26内において、各第1端子22を支持する端子支持部27を有している。各第1端子22には、前記電線12がそれぞれ接続される。なお、
図2、
図4および
図5では、第1端子22に接続された電線12の図示を省略している。第1端子22に接続された電線12は、第1ハウジング21からその外部に引き出される。
【0039】
第1ハウジング21は、第2コネクタ14の第2ハウジング41に対して、軸線L1に沿った方向に組み付けられる。図面では、第2ハウジング41に対する第1ハウジング21の組付方向を矢印D1で表している。第1ハウジング21の軸線L1方向において、底部24側が組付方向D1の後端側であり、その反対側が組付方向D1の前端である。以下の説明では、第1ハウジング21において、組付方向D1の前端、および、組付方向D1の後端を、それぞれ単に前端、および、後端と称する場合がある。
【0040】
第1ハウジング21は、例えば、組付方向D1の前端部において、第1収容凹部26に繋がる開口部28を有している。開口部28は、軸線L1に沿った方向に開口している。各第1端子22における後述の第1接続部32は、例えば、開口部28を通じて第1ハウジング21の外部に突出している。
【0041】
第1ハウジング21は、例えば組付方向D1の前端部において、誘い込み部としての第1傾斜面29を有している。第1傾斜面29は、例えば、周壁部25の組付方向D1の前端部における外周面に形成されている。第1傾斜面29は、組付方向D1の前端に向かうにつれて、軸線L1に近づくように傾斜している。第1傾斜面29は、周壁部25の周方向全周にわたって形成されている。すなわち、第1傾斜面29は、軸線L1方向から見て連続する環状をなしている。また、第1傾斜面29の前端は、開口部28を形成している。上記のように、周壁部25の前端部は、第1傾斜面29が形成されることで、前端に向かって縮径する形状をなしている。
【0042】
(第1端子22の構成)
図5、
図6および
図7に示すように、第1端子22は板状をなしている。第1端子22は、例えば、金属等の導体からなる板材からプレス加工により成形される。各第1端子22は、例えば、互いに同形状をなしている。
【0043】
第1端子22は、被支持部31と、第1接続部32と、連結部33とを備える。被支持部31は、第1端子22の基端部に設けられている。被支持部31は、端子支持部27に支持されている。第1接続部32は、第1コネクタ13と第2コネクタ14との連結状態において、第2コネクタ14の第2端子42に接続される。連結部33は、第1端子22において被支持部31と第1接続部32とを繋ぐ部位である。第1端子22は、連結部33において、公差吸収部および衝撃緩和部としての湾曲部34を有している。第1端子22において、基端部の被支持部31は、湾曲部34を含む連結部33を経て、先端部の第1接続部32に繋がっている。
【0044】
図7に示すように、被支持部31、連結部33および第1接続部32を含め板状をなす第1端子22は、第1主面22aと、その裏面である第2主面22bとを有する。第1主面22aと第2主面22bとは互いに平行である。第1端子22の板厚方向は、第1主面22aおよび第2主面22bに対して垂直な方向である。
【0045】
ここで、
図7は、第1端子22を側方から見た側方視図であって、第1端子22を第1主面22aおよび第2主面22bに対して平行な方向から視た図である。第1端子22の側方視において、平面状をなす被支持部31によって区画される領域のうち、被支持部31の第1主面22a側の領域を第1領域A1とし、被支持部31の第2主面22b側の領域を第2領域A2とする。
【0046】
同図に示すように、湾曲部34は、被支持部31における第2主面22b側に突出するように湾曲している。すなわち、側方視において、湾曲部34は、被支持部31から第2領域A2内に突出するように湾曲している。したがって、湾曲部34は、第2領域A2に位置している。
【0047】
第1接続部32は、湾曲部34から第1領域A1内にまで延びている。したがって、第1接続部32の少なくとも先端部は、第1領域A1に位置している。また、第1コネクタ13と第2コネクタ14との非連結状態、すなわち、第1接続部32が第2端子42に接続されていない状態においては、被支持部31と第1接続部32とがなす角度θは、例えば鈍角をなしている。
【0048】
湾曲部34は、第1端子22の他の部位よりも板厚が薄く形成された薄肉部35を有している。すなわち、薄肉部35の板厚T1は、被支持部31の板厚T2、および、第1接続部32の板厚T3の各々よりも小さい。
【0049】
(第1止水部材23の構成)
図2および
図3に示すように、第1止水部材23は、第1ハウジング21に固定される固定部23aと、固定部23aに一体に形成されたリップ部23bとを有している。固定部23aおよびリップ部23bは、軸線L1方向から見て環状をなしている。固定部23aは、周壁部25の外周面に固定されている。第1止水部材23は、弾性を有する材料にて形成されている。第1止水部材23の形成材料としては、エラストマ等のゴムが挙げられる。第1止水部材23のリップ部23bは、その周方向全周にわたって、第2ハウジング41における後述の第2傾斜面49に密着可能である。これにより、第1止水部材23のリップ部23bによって、第1ハウジング21と第2ハウジング41との間の止水が可能となっている。
【0050】
上記のような第1コネクタ13は、前記第1フレーム15に対して、軸線L1と直交する方向に移動可能に構成される。例えば、第1ハウジング21がブラケット16に支持される場合、ブラケット16が軸線L1と直交する方向に移動可能となるように、第1フレーム15に支持されていてもよい。また、例えば、第1ハウジング21自体が、軸線L1と直交する方向に移動可能となるように、ブラケット16に支持されていてもよい。
【0051】
(第2コネクタ14の構成)
図2および
図3に示すように、第2コネクタ14は、第2ハウジング41と、一対の第2端子42と、第2止水部材43と、を備える。第2ハウジング41は、例えば合成樹脂にて形成されている。
【0052】
図4および
図5に示すように、第2ハウジング41は、例えば、底部44と、底部44から延びる周壁部45とを有している。周壁部45は、例えば第2ハウジング41の軸線L2に沿って、底部44から延びている。なお、第2ハウジング41の軸線L2は、平面視における第2ハウジング41の中心軸線である。周壁部45は、第2ハウジング41の軸線L2に沿った方向から見て、軸線L2を中心とする環状をなす。なお、以下では、軸線L2に沿った方向を、軸線L2方向と称する場合がある。
【0053】
底部44および周壁部45は、第2収容凹部46を形成している。第2ハウジング41は、第2収容凹部46内において、各第2端子42を支持する端子支持部47を有している。各第2端子42は、車載機器17の内部部品に対して電気的に接続される。なお、
図2、
図4および
図5では、第2端子42に接続された車載機器17の内部部品の図示を省略している。
【0054】
第2ハウジング41は、第1コネクタ13の第1ハウジング21に対して、軸線L2に沿った方向に組み付けられる。図面では、第1ハウジング21に対する第2ハウジング41の組付方向を矢印D2で表している。なお、以下の説明では、組付方向D1,D2の区別のために、第2ハウジング41に対する第1ハウジング21の組付方向D1を第1組付方向D1と称する。また、第1ハウジング21に対する第2ハウジング41の組付方向D2を第2組付方向D2と称する。第1ハウジング21と第2ハウジング41とは、互いに反対向きの方向である。第2ハウジング41の軸線L2方向において、底部44側が第2組付方向D2の後端側であり、その反対側が第2組付方向D2の前端である。以下の説明では、第2ハウジング41において、第2組付方向D2の前端、および、第2組付方向D2の後端を、それぞれ単に前端、および、後端と称する場合がある。
【0055】
第2ハウジング41は、例えば、第2組付方向D2の前端部において、第2収容凹部46に繋がる開口部48を有している。開口部48は、軸線L2に沿った方向に開口している。
【0056】
第2ハウジング41は、例えば第2組付方向D2の前端部において、誘い込み部としての第2傾斜面49を有している。第2傾斜面49は、例えば、周壁部45の第2組付方向D2の前端部における内周面に形成されている。第2傾斜面49は、第2組付方向D2の前端に向かうにつれて、軸線L2から離れるように傾斜している。第2傾斜面49は、周壁部45の周方向全周にわたって形成されている。すなわち、第2傾斜面49は、軸線L2方向から見て連続する環状をなしている。また、第2傾斜面49の前端は、開口部48を形成している。上記のように、周壁部45の前端部は、第2傾斜面49が形成されることで、前端に向かって拡径する形状をなしている。
【0057】
(第2端子42の構成)
第2端子42は板状をなしている。第2端子42は、例えば、金属等の導体からなる板材からプレス加工により成形される。各第2端子42は、例えば、互いに同形状をなしている。
【0058】
図5に示すように、第2端子42は、例えば、第2接続部42aと、第2接続部42aから延びる一対の被支持部42bとを有している。一対の被支持部42bは、底部44に設けられた端子支持部47に支持されている。第2接続部42aは、例えば、第2ハウジング41の軸線L2に対して垂直をなしている。なお、軸線L2方向から見た第2接続部42aの面積は、例えば、軸線L1方向から見た第1接続部32の面積よりも大きく設定されている。
【0059】
(第2止水部材43の構成)
図2および
図3に示すように、第2止水部材43は、第2ハウジング41に固定される固定部43aと、固定部43aに一体に形成されたリップ部43bとを有している。固定部43aおよびリップ部43bは、軸線L2方向から見て環状をなしている。固定部43aは、周壁部45の外周面に固定されている。第2止水部材43は、弾性を有する材料にて形成されている。第2止水部材43の形成材料としては、エラストマ等のゴムが挙げられる。
【0060】
図3に示すように、上記したような第2コネクタ14において、第2ハウジング41は、車載機器17の筐体17aに取り付けられる。第2ハウジング41が筐体17aに取り付けられた状態において、第2止水部材43のリップ部43bは、筐体17aに対して密着する。これにより、第2止水部材43のリップ部43bによって、第2ハウジング41と筐体17aとの間の止水がなされる。
【0061】
(第1実施形態の作用)
第1ユニットU1の第1フレーム15と第2ユニットU2の第2フレーム18との組み付けに伴い、第1コネクタ13と第2コネクタ14とが互いに組み付けられる。なお、第1コネクタ13および第2コネクタ14は、それらの軸線L1,L2が第2フレーム18に対する第1フレーム15の組付方向(
図1の矢印を参照)に沿うように、第1フレーム15および第2フレーム18にそれぞれ配置される。
【0062】
このとき、第1ハウジング21の軸線L1と第2ハウジング41の軸線L2とは、同一直線上に位置することが望ましい。しかしながら、第1ユニットU1および第2ユニットU2の寸法公差等によって、必ずしも軸線L1,L2が同一直線上に位置するとは限らない。
【0063】
図3には、第1ハウジング21の軸線L1と第2ハウジング41の軸線L2とが同一直線上に位置していない軸ずれ状態を示している。この状態で、第1ハウジング21が第2ハウジング41の第2収容凹部46に組み付けられたとき、第1傾斜面29の周方向一部が第2傾斜面49の周方向一部に対して第1組付方向D1に当接する。すると、例えば、第1フレーム15に対して軸線L1と直交する方向に移動可能に構成された第1ハウジング21が、当該直交方向に移動する。このとき、第1ハウジング21の軸線L1が第2ハウジング41の軸線L2に近づくように、第1ハウジング21が第2ハウジング41に対して相対移動する(
図3の矢印を参照)。このように、第1傾斜面29と第2傾斜面49との互いの係合によって、軸線L1と直交する方向における第1コネクタ13の位置が調整される。その結果、第1ハウジング21が第2ハウジング41の第2収容凹部46内に確実に収容される。このため、第1端子22と第2端子42との接続信頼性を向上させることが可能となる。
【0064】
本実施形態の第1端子22では、湾曲部34が撓むことによって、第1接続部32が軸線L1方向に変位可能である。これにより、第1コネクタ13と第2コネクタ14との接続時において、第1接続部32が第2端子42の第2接続部42aに当接すると、湾曲部34が撓んで第1接続部32が軸線L1方向に変位する。したがって、第1組付方向D1における第1端子22と第2端子42との相対位置の公差を、湾曲部34によって吸収することが可能となっている。また、第1接続部32が第2接続部42aに当接したときに、湾曲部34の撓みにより第1接続部32が変位することで、第1ハウジング21が第2収容凹部46に組み付けられる際の衝撃が緩和される。
【0065】
なお、第1コネクタ13と第2コネクタ14とが組み付けられる際には、軸線L1,L2は互いに平行となることが望ましいが、第1ユニットU1および第2ユニットU2の寸法公差等によっては、必ずしも平行になるとは限らない。本実施形態では、軸線L1と軸線L2とが互いに非平行である場合であっても、湾曲部34の撓みによる第1接続部32の変位によって、第1接続部32と第2接続部42aとの接続信頼度が確保されている。
【0066】
上記のように、第1ユニットU1と第2ユニットU2との間の公差が吸収されるため、第1ユニットU1と第2ユニットU2との組み付けによって第1コネクタ13と第2コネクタ14とを自動的に接続することが可能となる。これにより、第1コネクタ13と第2コネクタ14とを手作業により接続する工程を省くことが可能となっている。
【0067】
第1実施形態の効果について説明する。
(1)第1コネクタ13の第1ハウジング21は、誘い込み部としての第1傾斜面29を有している。また、第2ハウジング41の第2収容凹部46は、誘い込み部としての第2傾斜面49を有している。第1ハウジング21が第2収容凹部46に対して第1組付方向D1に沿って組み付けられる際、第1傾斜面29と第2傾斜面49とが互いに当接する。そして、第1傾斜面29と第2傾斜面49の当接により、例えば第1ハウジング21は、その軸線L1が第2ハウジング41の軸線L2に近づくように、第1組付方向D1と直交する方向に移動される。これにより、第1コネクタ13と第2コネクタ14との間における第1組付方向D1と直交する方向の公差を、第1傾斜面29および第2傾斜面49によって吸収することが可能となる。したがって、第1コネクタ13と第2コネクタ14との接続信頼性を向上させることが可能となる。
【0068】
(2)第1傾斜面29は、第1組付方向D1の前端側に向かうにつれて第1ハウジング21の軸線L1に近づくように傾斜している。これにより、第1コネクタ13と第2コネクタ14とを互いに接続する際、第1傾斜面29が第2ハウジング41に当接することにより、第1コネクタ13と第2コネクタ14との間における第1組付方向D1と直交する方向の公差を吸収することが可能となる。
【0069】
(3)第1傾斜面29は、第1ハウジング21の軸線L1を中心とする第1ハウジング21の周方向全周にわたって設けられている。この構成によれば、第1コネクタ13と第2コネクタ14との間における第1組付方向D1と直交する全方向の公差を第1傾斜面29によって吸収することが可能となる。
【0070】
(4)第2傾斜面49は、第2組付方向D2の前端側に向かうにつれて第2ハウジング41の軸線L2から離れるように傾斜している。これにより、第1コネクタ13と第2コネクタ14とを互いに接続する際、第2傾斜面49が第1ハウジング21に当接することにより、第1コネクタ13と第2コネクタ14との間における第2組付方向D2と直交する方向の公差を吸収することが可能となる。
【0071】
(5)第2傾斜面49は、第2ハウジング41の軸線L2を中心とする第2収容凹部46の周方向全周にわたって設けられている。この構成によれば、第1コネクタ13と第2コネクタ14との間における第2組付方向D2と直交する全方向の公差を第2傾斜面49によって吸収することが可能となる。
【0072】
(6)第1ハウジング21および第2ハウジング41の双方が誘い込み部(第1傾斜面29および第2傾斜面49)を有している。このため、第1コネクタ13と第2コネクタ14との間における組付直交方向の公差を、第1傾斜面29と第2傾斜面49とによって、より好適に吸収することが可能となる。
【0073】
(7)第1コネクタ13は、第1ハウジング21と第2収容凹部46との間を止水する第1止水部材23を有している。この構成によれば、第1止水部材23によって、第2収容凹部46の内部への水の浸入を抑制することが可能となる。したがって、第1止水部材23によって、第1端子22と第2端子42との接続部分の被水を抑制することが可能となる。
【0074】
(8)第1端子22は、第1組付方向D1における第1端子22と第2端子42との相対位置の公差を吸収する公差吸収部としての湾曲部34を有している。この構成によれば、第1コネクタ13と第2コネクタ14とを互いに接続する際、第1組付方向D1における第1端子22と第2端子42との相対位置の公差を湾曲部34によって吸収することが可能となる。
【0075】
(9)第1端子22は、第1ハウジング21が第2収容凹部46に組み付けられる際の衝撃を緩和する衝撃緩和部として、湾曲部34を有している。すなわち、第1端子22の湾曲部34が前記公差吸収部および衝撃緩和部の両方を兼ねた構成とすることができる。
【0076】
(10)湾曲部34は、第1端子22における他の部位よりも板厚T1が薄く形成された薄肉部35を有している。この構成によれば、薄肉部35を形成することにより、湾曲部34を撓みやすくすることが可能となる。このため、薄肉部35を有する湾曲部34によって、第1組付方向D1における第1端子22と第2端子42との相対位置の公差を、より好適に吸収することが可能となる。
【0077】
(第1実施形態の変更例)
上記第1実施形態における第1端子22は、例えば
図8および
図9に示す構成に変更して実施することができる。なお、
図8および
図9に示す第1端子51において、上記第1実施形態の第1端子22と同様な構成については、上記第1実施形態と同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0078】
図8および
図9に示すように、第1端子51は、連結部33において、公差吸収部および衝撃緩和部としての複数の湾曲部52,53を有している。複数の湾曲部52,53は、第1端子51の被支持部31から第1接続部32にかけての延在方向において並設されている。第1端子51において、基端部の被支持部31は、複数の湾曲部52,53を含む連結部33を経て、先端部の第1接続部32に繋がっている。同図に示す例では、第1端子51は、例えば2つの湾曲部52,53を有している。以下の説明では、2つの湾曲部52,53のうち、被支持部31に近い方を第1湾曲部52と称し、第1接続部32に近い方を第2湾曲部53と称する。
【0079】
図9に示すように、被支持部31、連結部33および第1接続部32を含め板状をなす第1端子51は、第1主面51aと、その裏面である第2主面51bとを有する。第1主面51aと第2主面51bとは互いに平行である。第1端子51の板厚方向は、第1主面51aおよび第2主面51bに対して垂直な方向である。
【0080】
図9は、第1端子51を側方から見た側方視図であって、第1端子51を第1主面51aおよび第2主面51bに対して平行な方向から視た図である。第1端子51の側方視において、平面状をなす被支持部31によって区画される領域のうち、被支持部31の第1主面51a側の領域を第1領域A1とし、被支持部31の第2主面51b側の領域を第2領域A2とする。
【0081】
第1湾曲部52は、被支持部31における第1主面51a側に突出するように湾曲している。すなわち、側方視において、第1湾曲部52は、被支持部31から第1領域A1内に突出するように湾曲している。したがって、第1湾曲部52は、第1領域A1に位置している。第2湾曲部53は、第1湾曲部52とは反対側に突出するように湾曲している。すなわち、側方視において、第2湾曲部53は、第2領域A2内に突出するように湾曲している。したがって、第2湾曲部53は、第2領域A2に位置している。第1接続部32は、第2湾曲部53から第1領域A1内にまで延びている。したがって、第1接続部32の少なくとも先端部は、第1領域A1に位置している。
【0082】
第1湾曲部52は、第1端子51の他の部位よりも板厚が薄く形成された薄肉部54を有している。第2湾曲部53は、第1端子51の他の部位よりも板厚が薄く形成された薄肉部55を有している。すなわち、薄肉部54の板厚T4、および、薄肉部55の板厚T5の各々は、被支持部31の板厚T2、および、第1接続部32の板厚T3の各々よりも小さい。
【0083】
上記の変更例によれば、第1端子51が複数の湾曲部52,53を有するため、第1端子51をより撓みやすく構成することが可能となる。したがって、軸線L1方向における第1接続部32の変位量を大きく確保することが可能となる。なお、上記の変更例では、第1端子51が2つの湾曲部52,53を有する構成としたが、これに限らず、3つ以上の湾曲部を有していてもよい。
【0084】
<第2実施形態>
第2実施形態では、上記第1実施形態に対して第1端子22の構成、および、第2ハウジング41内の部品構成が異なる。このため、以下では、上記実施形態からの変更点について説明し、上記第1実施形態から変更しない構成については、上記第1実施形態と同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0085】
図10および
図13に示すように、第2実施形態におけるコネクタ装置60は、第1コネクタ61と第2コネクタ62とを備える。第1コネクタ61は、例えば一対の第1端子63を有している。各第1端子63は、第1ハウジング21の第1収容凹部26に収容されて支持されている。各第1端子63は、例えば有底筒状をなしている。各第1端子63は、軸線L1に沿って延びている。各第1端子63は、第1端子63の前端において開口する挿入孔64を有している。第1端子63の前端は、例えば、第1収容凹部26内に位置している。すなわち、第1端子63の前端は、開口部28から第1ハウジング21の外側に突出していない。
【0086】
第2実施形態における第1コネクタ61は、第1フレーム15に対して、軸線L1方向、および、軸線L1と直交する方向に移動可能に構成される。例えば、第1ハウジング21がブラケット16に支持される場合、ブラケット16が軸線L1方向および軸線L1と直交する方向に移動可能となるように、第1フレーム15に支持されていてもよい。また、例えば、第1ハウジング21自体が、軸線L1方向および軸線L1と直交する方向に移動可能となるように、ブラケット16に支持されていてもよい。
【0087】
図11、
図12および
図13に示すように、第2コネクタ62は、例えば一対の第2端子65を有している。各第2端子65は、例えば、軸線L2に沿って延びる柱状をなしている。第2ハウジング41は、底部44から軸線L2に沿って第2収容凹部46内に突出するベース部66を有している。各第2端子65は、ベース部66に支持されている。第2端子65が第1端子63の挿入孔64に挿入されることで、第1端子63と第2端子65との電気的接続がなされる。
【0088】
第2コネクタ62は、第2ハウジング41の第2収容凹部46内に衝撃緩和部70を有している。衝撃緩和部70は、第2収容凹部46に共に収容された可動プレート71および付勢部材72を有している。
【0089】
板状をなす可動プレート71は、例えば、軸線L2に対して垂直をなすように配置される。そして、可動プレート71は、第2組付方向D2に沿った方向、すなわち、軸線L2方向に変位可能に構成されている。詳しくは、可動プレート71の周縁部には、第2収容凹部46に設けられた第1ガイド部73と係合する第2ガイド部74が設けられている。そして、第1ガイド部73と第2ガイド部74との係合によって、軸線L2方向に沿った可動プレート71の移動がガイドされる。
【0090】
第1ガイド部73は、例えば、周壁部45の内周面から突出する凸部である。第1ガイド部73は、例えば、周壁部45の周方向において等角度に複数設けられている。各第1ガイド部73は、軸線L2に沿った直線状に形成されている。第2ガイド部74は、例えば、可動プレート71の周縁部に設けられた凹部である。第2ガイド部74は、複数の第1ガイド部73にそれぞれ対応して複数設けられている。複数の第1ガイド部73は、複数の第2ガイド部74に対してそれぞれ入り込む。そして、各第2ガイド部74に入り込んだ各第1ガイド部73によって、軸線L2方向に沿った可動プレート71の移動がガイドされる。また、各第2ガイド部74に入り込んだ各第1ガイド部73によって、可動プレート71の傾きが抑制される。可動プレート71は、可動プレート71を軸線L2方向に貫通する一対の貫通孔75を有している。一対の貫通孔75には、一対の第2端子65がそれぞれ貫通している。
【0091】
図11および
図13に示すように、付勢部材72は、例えば圧縮コイルばねである。また、付勢部材72は、例えば複数設けられている。各付勢部材72は、軸線L2方向において、第2ハウジング41の底部44と可動プレート71との間に配置されている。これにより、各付勢部材72は、軸線L2に沿った第2組付方向D2に可動プレート71を付勢している。すなわち、各付勢部材72は、可動プレート71に対して第2組付方向D2への付勢力を与える。
【0092】
(第2実施形態の作用)
第1ハウジング21を第2収容凹部46に対して第1組付方向D1に組み付けると、第1ハウジング21の前端部が可動プレート71に当接する。その後、第1ハウジング21を第1組付方向D1にさらに押し込むと、可動プレート71は、各付勢部材72の付勢力に抗して第1組付方向D1に後退する。すなわち、衝撃緩和部70は、第1ハウジング21が可動プレート71に当接したときの衝撃を、各付勢部材72の付勢力によって緩和可能である。可動プレート71が第1ハウジング21に押されて後退すると、第2端子65の先端部が貫通孔75から突出する。そして、第2端子65の先端部は、第1端子63の挿入孔64に挿入される。これにより、第1端子63と第2端子65とが電気的に導通される。
【0093】
また、第2実施形態では、例えば、第1ハウジング21と可動プレート71との当接により、第1コネクタ61が第1フレーム15に対して軸線L1方向に移動可能である。これにより、第1組付方向D1における第1端子22と第2端子42との相対位置の公差を吸収することが可能となっている。
【0094】
第2実施形態の効果について説明する。
第2実施形態によれば、上記第1実施形態の効果(1)から(7)と同様の効果を得ることができる。さらに、第2実施形態では、以下の効果を得ることができる。
【0095】
(11)第2コネクタ62は、第1ハウジング21が第2収容凹部46に組み付けられる際の衝撃を緩和可能に構成された衝撃緩和部70を有している。この構成によれば、第1ハウジング21が第2ハウジング41の第2収容凹部46に組み付けられる際の衝撃を、衝撃緩和部70によって緩和することが可能となる。
【0096】
(12)衝撃緩和部70は、第2ハウジング41の第2収容凹部46に共に収容された可動プレート71および付勢部材72を有している。可動プレート71は、第2組付方向D2に沿った方向に変位可能に構成されるとともに、第2収容凹部46に組み付けられる第1ハウジング21に対して当接可能に構成されている。付勢部材72は、第2組付方向D2に可動プレート71を付勢している。この構成によれば、付勢部材72によって付勢された可動プレート71によって、第1ハウジング21が第2ハウジング41の第2収容凹部46に組み付けられる際の衝撃を緩和することが可能となる。
【0097】
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0098】
・上記第1実施形態における第2コネクタ14は、衝撃緩和部70を備えていてもよい。
・上記第1実施形態において、第1端子22の形状等の構成と、第2端子42の形状等の構成とを入れ替えてもよい。すなわち、公差吸収部および衝撃緩和部としての湾曲部34が第2端子42に設けられていてもよい。
【0099】
・上記第2実施形態において、衝撃緩和部70の付勢部材72はダンパ等であってもよい。
・上記第2実施形態において、第2収容凹部46の第1ガイド部73が凹部であり、かつ、可動プレート71の第2ガイド部74が凸部であってもよい。
【0100】
・上記第2実施形態において、第1端子63の形状等の構成と、第2端子65の形状等の構成とを入れ替えてもよい。
・上記第2実施形態において、第1端子63および第2端子65の形状等の構成を、上記第1実施形態における第1端子22および第2端子42と同様の構成に変更してもよい。
【0101】
・上記第2実施形態におけるコネクタ装置60は、第2コネクタ62に衝撃緩和部70を備えるが、これに限らず、第1コネクタ61のみ、または、第1コネクタ61と第2コネクタ62の両方に衝撃緩和部を備えていてもよい。
【0102】
・上記各実施形態において、第1傾斜面29が、第1ハウジング21の周方向において部分的に設けられていてもよい。また、上記各実施形態において、第2傾斜面49が、第2ハウジング41の周方向において部分的に設けられていてもよい。
【0103】
・上記各実施形態において、第2コネクタ14,62が車載機器17の筐体17aに対して、軸線L2と直交する方向に移動可能に構成されていてもよい。この場合、第1コネクタ13,61は、第1フレーム15に対して、軸線L1と直交する方向に移動不能に構成することも可能である。
【0104】
・上記各実施形態において、第1ハウジング21の第1傾斜面29、および、第2ハウジング41の第2傾斜面49のいずれか一方を省略することも可能である。
例えば、コネクタ装置11,60において、第2傾斜面49を省略して誘い込み部を第1傾斜面29のみとした構成としてもよい。この場合、第1ハウジング21と第2ハウジング41との組み付けの際、第1ハウジング21の第1傾斜面29が第2ハウジング41の第2組付方向D2の前端部に当接する。このとき、例えば第1ハウジング21は、第1傾斜面29の傾斜によって、軸線L1,L2が互いに近づくように第1組付方向D1と直交する方向に移動する。また、第2ハウジング41が筐体17aに対して軸線L2と直交する方向に移動可能に構成される場合には、第2ハウジング41は、第1傾斜面29に対して摺接することによって、軸線L1,L2が互いに近づくように第2組付方向D2と直交する方向に移動する。このように、第1傾斜面29のみによっても、第1ハウジング21と第2ハウジング41との間における組付直交方向の公差を吸収することが可能となる。
【0105】
また、例えば、コネクタ装置11,60において、第1傾斜面29を省略して誘い込み部を第2傾斜面49のみとした構成としてもよい。この場合、第1ハウジング21と第2ハウジング41との組み付けの際、第2ハウジング41の第2傾斜面49が第1ハウジング21の第1組付方向D1の前端部に当接する。このとき、例えば第1ハウジング21は、第2傾斜面49に対して摺接することによって、軸線L1,L2が互いに近づくように第1組付方向D1と直交する方向に移動する。また、第2ハウジング41が筐体17aに対して軸線L2と直交する方向に移動可能に構成される場合には、第2ハウジング41は、第2傾斜面49の傾斜によって、軸線L1,L2が互いに近づくように第2組付方向D2と直交する方向に移動する。このように、第2傾斜面49のみによっても、第1ハウジング21と第2ハウジング41との間における組付直交方向の公差を吸収することが可能となる。
【0106】
・上記各実施形態において、ワイヤハーネス10は、第2コネクタ14,62に接続された電線を有していてもよい。
・今回開示された実施形態および変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0107】
10 ワイヤハーネス
11,60 コネクタ装置
12 電線
13,61 第1コネクタ
14,62 第2コネクタ
15 第1フレーム
16 ブラケット
17 車載機器
17a 筐体
18 第2フレーム
21 第1ハウジング
22 第1端子
22a 第1主面
22b 第2主面
23 第1止水部材(止水部材)
23a 固定部
23b リップ部
24 底部
25 周壁部
26 第1収容凹部
27 端子支持部
28 開口部
29 第1傾斜面(誘い込み部)
31 被支持部
32 第1接続部
33 連結部
34 湾曲部(公差吸収部、衝撃緩和部)
35 薄肉部
41 第2ハウジング
42 第2端子
42a 第2接続部
42b 被支持部
43 第2止水部材
43a 固定部
43b リップ部
44 底部
45 周壁部
46 第2収容凹部(収容凹部)
47 端子支持部
48 開口部
49 第2傾斜面(誘い込み部)
51 第1端子
51a 第1主面
51b 第2主面
52 第1湾曲部
53 第2湾曲部
54,55 薄肉部
63 第1端子
64 挿入孔
65 第2端子
66 ベース部
70 衝撃緩和部
71 可動プレート
72 付勢部材
73 第1ガイド部
74 第2ガイド部
75 貫通孔
θ 角度
A1 第1領域
A2 第2領域
D1 第1コネクタの組付方向
D2 第2コネクタの組付方向
L1 第1ハウジングの軸線
L2 第2ハウジングの軸線
T1,T2,T3,T4,T5 板厚
U1 第1ユニット
U2 第2ユニット