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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086123
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】燃料電池ユニットおよび電源装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/241 20160101AFI20240620BHJP
   H01M 8/2465 20160101ALI20240620BHJP
   H01M 8/04014 20160101ALI20240620BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20240620BHJP
   H01M 8/04701 20160101ALI20240620BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20240620BHJP
【FI】
H01M8/241
H01M8/2465
H01M8/04014
H01M8/04 J
H01M8/04701
H01M8/04746
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201080
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】北條 芙美
(72)【発明者】
【氏名】高井 希紗
(72)【発明者】
【氏名】中根 孝浩
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126AA22
5H126AA23
5H126BB06
5H126DD05
5H126EE03
5H126EE11
5H126JJ03
5H127AA06
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA22
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127DC22
5H127DC72
5H127EE03
(57)【要約】
【課題】温度調整用流体との熱交換による積層体の温度調整効率を十分に向上させる。
【解決手段】セパレータ21,22およびMEA23を少なくとも含む複数の被積層物を積層したセル積層体11と、セル積層体11の両端に配設された一対のエンドプレート12,12とを備え、両プレート12,12の間において各被積層物が互いに密着させられ、かつ両プレート12,12に対してセル積層体11が密着させられると共に、積層体11に接して積層体11との熱交換によって積層体11の温度を調整する空気を積層体11における被積層物の一辺に沿って通過させる導風路Lを積層体11との間に形成する導風板13が積層体11に並設され、積層体11は、積層体11の外周面において導風板13と対向する第1の対向部に凸状部11aおよび凹状部11bが各被積層物の積層方向において交互に存在するように各被積層物が積層されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池用セパレータおよび燃料電池用膜電極接合体を少なくとも含む平面視N角形状(Nは、3以上の自然数)で平板状の複数の被積層物を積層したN角柱状の積層体と、
前記積層体の両端に配設された一対の基板とを備え、
前記両基板の間において前記各被積層物が互いに密着させられると共に当該両基板に対して前記積層体が密着させられた燃料電池ユニットであって、
前記積層体に接して当該積層体との熱交換によって当該積層体の温度を調整する温度調整用流体を当該積層体における前記被積層物の一辺に沿って通過させる流路を当該積層体との間に形成する流路形成部材が当該積層体に並設され、
前記積層体は、前記積層体の外周面において前記流路形成部材と対向する第1の対向部に、当該各被積層物の板面方向における外側に向かって突出した凸状部、および当該板面方向における内側に向かって凹んだ凹状部が当該各被積層物の積層方向において交互に存在するように当該各被積層物が積層されている燃料電池ユニット。
【請求項2】
前記流路形成部材は、前記積層体と対向する第2の対向部に、前記第1の対向部に接する当接部が形成されている請求項1記載の燃料電池ユニット。
【請求項3】
前記流路形成部材において前記積層体と対向する第2の対向部と、前記凸状部の突端との第1の離間距離、および当該第2の対向部と、前記凹状部の底部との第2の離間距離の少なくとも一方が、前記流路における前記温度調整用流体の通過方向における下流側ほど大きくなるように当該積層体および当該流路形成部材が構成されている請求項1記載の燃料電池ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池ユニットと、
前記温度調整用流体を移動させる流体移動機構とを備え、
前記流体移動機構によって移動させられて前記流路を通過させられる前記温度調整用流体によって前記積層体の温度を調整しつつ、前記燃料電池ユニットによって発電した電力を外部装置に供給可能に構成されている電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用セパレータおよび燃料電池用膜電極接合体を少なくとも含む複数の被積層物を積層した積層体が一対の基板の間に挟み込まれた燃料電池ユニット、およびそのような燃料電池ユニットを備えて供給対象に電力を供給可能に構成された電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記の特許文献には、固体高分子型燃料電池システム(以下、単に「燃料電池システム」ともいう)の発明が開示されている。この燃料電池システムでは、積層型の電池スタック、クロスフローファンおよび軸流ファンがケース内に収容されると共に、水素ガスが収容された燃料ボンベがケース外に配設されている。
【0003】
電池スタックは、金属セパレータを介して複数の単位電池セルが積層された電池集合体を2組備えて構成されている。この場合、この燃料電池システムでは、ヒートシンク部を一体に形成したヒートシンク一体型の金属セパレータを備えて電池スタックが構成されている。クロスフローファンは、電池スタックの各金属セパレータにおける一方のヒートシンク部と対向するように配置されている。軸流ファンは、電池スタック電池スタックを挟んでクロスフローファンと対向し、かつ金属セパレータにおける他方のヒートシンク部と対向するように配置されている。
【0004】
この燃料電池システムでは、クロスフローファンが、ケースに設けられた吸気口から吸入した冷却用の空気を電池スタック(金属セパレータにおける一方の各ヒートシンク部)に向けて送風すると共に、軸流ファンが、電池スタック側から空気を吸い込み、ケースに設けられた排気口からケース外に排気する。これにより、電池スタックの過剰な温度上昇が回避されて、発電効率の低下や単位電池セルの破損を防止することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-055832号公報(第6-12頁、第1-9図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献に開示の燃料電池システムには、以下のような解決すべき問題点が存在する。具体的には、上記特許文献に開示の燃料電池システムでは、電池スタック(金属セパレータ)における一方のヒートシンク部に対向配置されたクロスフローファンによって吸入口からケース外の空気を吸い込んで一方のヒートシンク部に向けて送風すると共に、電池スタック(金属セパレータ)における他方のヒートシンク部に対向配置された軸流ファンによって電池スタックの近傍の空気を吸い込んでケース外に排気口から排気することで、電池スタックの過剰な温度上昇を回避する構成が採用されている。
【0007】
この場合、クロスフローファンによって送風された空気は、電池スタック(一方のヒートシンク部)に接して一方のヒートシンク部との熱交換によってこれを冷却しつつ、電池スタックにおける一方のヒートシンクの形成面に沿ってケース内を移動して電池スタックから離脱する。このため、上記特許文献に開示の燃料電池システムでは、クロスフローファンによって送風された空気の進行方向が電池スタックに接した後に変化させられることに起因して、ケース内に冷却用の空気の乱流が生じる結果、クロスフローファンによって順次吸い込まれる空気を電池スタックにおける一方のヒートシンクに好適に接触させるのが困難となっている。
【0008】
また、上記特許文献に開示の燃料電池システムでは、軸流ファンによってケース内の空気をケース外に排気するときに、電池スタックにおける他方のヒートシンクに接してこれを冷却した空気の流れに引き摺られるようにして、他方のヒートシンクに接していない空気が排気されてしまう。このように、上記特許文献に開示の燃料電池システムでは、クロスフローファンによる吸気、および軸流ファンによる排気による電池スタックの冷却効率を向上させるのが困難となっている現状があり、これを解決する必要がある。
【0009】
本発明は、かかる解決すべき問題点に鑑みてなされたものであり、温度調整用流体との熱交換による積層体の温度調整効率を十分に向上させ得る燃料電池ユニット、およびそのような燃料電池ユニットを備えた電源装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の燃料電池ユニットは、燃料電池用セパレータおよび燃料電池用膜電極接合体を少なくとも含む平面視N角形状(Nは、3以上の自然数)で平板状の複数の被積層物を積層したN角柱状の積層体と、前記積層体の両端に配設された一対の基板とを備え、前記両基板の間において前記各被積層物が互いに密着させられると共に当該両基板に対して前記積層体が密着させられた燃料電池ユニットであって、前記積層体に接して当該積層体との熱交換によって当該積層体の温度を調整する温度調整用流体を当該積層体における前記被積層物の一辺に沿って通過させる流路を当該積層体との間に形成する流路形成部材が当該積層体に並設され、前記積層体は、前記積層体の外周面において前記流路形成部材と対向する第1の対向部に、当該各被積層物の板面方向における外側に向かって突出した凸状部、および当該板面方向における内側に向かって凹んだ凹状部が当該各被積層物の積層方向において交互に存在するように当該各被積層物が積層されている。
【0011】
請求項2記載の燃料電池ユニットは、請求項1記載の燃料電池ユニットにおいて、前記流路形成部材は、前記積層体と対向する第2の対向部に、前記第1の対向部に接する当接部が形成されている。
【0012】
請求項3記載の燃料電池ユニットは、請求項1記載の燃料電池ユニットにおいて、前記流路形成部材において前記積層体と対向する第2の対向部と、前記凸状部の突端との第1の離間距離、および当該第2の対向部と、前記凹状部の底部との第2の離間距離の少なくとも一方が、前記流路における前記温度調整用流体の通過方向における下流側ほど大きくなるように当該積層体および当該流路形成部材が構成されている。
【0013】
請求項4記載の電源装置は、請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池ユニットと、前記温度調整用流体を移動させる流体移動機構とを備え、前記流体移動機構によって移動させられて前記流路を通過させられる前記温度調整用流体によって前記積層体の温度を調整しつつ、前記燃料電池ユニットによって発電した電力を外部装置に供給可能に構成されている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の燃料電池ユニットでは、積層体に接して積層体との熱交換によって積層体の温度を調整する温度調整用流体を積層体における被積層物の一辺に沿って通過させる流路を積層体との間に形成する流路形成部材が積層体に並設され、積層体の外周面において流路形成部材と対向する第1の対向部に、各被積層物の板面方向における外側に向かって突出した凸状部、および板面方向における内側に向かって凹んだ凹状部が各被積層物の積層方向において交互に存在するように各被積層物が積層されている。また、請求項4記載の電源装置では、上記の燃料電池ユニットを備えて構成されている。
【0015】
したがって、請求項1記載の燃料電池ユニット、および請求項4記載の電源装置によれば、流路内に吸引される温度調整用流体が、積層体に接する位置から大きく離脱することなく、積層体における各被積層物の一辺に沿って流路内をスムースに移動させられるため、流路内において積層体と温度調整用流体とが好適に熱交換される結果、積層体を効率よく温度調整することができる。また、積層体における第1の対向部に凸状部や凹状部が存在しない構成と比較して、流路内における積層体の表面積が十分に広くなっており、積層体と温度調整用流体との熱交換効率が十分に向上するため、積層体を一層効率よく温度調整することができる。
【0016】
請求項2記載の燃料電池ユニット、およびそのような燃料電池ユニットを備えた電源装置によれば、流路形成部材の積層体と対向する第2の対向部に、第1の対向部に接する当接部を形成したことにより、積層体における第1の対向面(凸状部の突端)と流路形成部材における第2の対向部とが当接部の高さよりも短い距離に近接した状態となることがないため、燃料電池ユニット(電源装置)に振動や衝撃が加わったとしても、流路の有効断面積が過剰に小さくなる事態を回避することができる。これにより、冷却用の温度調整用流体をスムースに通過させることが可能な状態を維持することができる。
【0017】
請求項3記載の燃料電池ユニット、およびそのような燃料電池ユニットを備えた電源装置によれば、流路形成部材において積層体と対向する第2の対向部と、凸状部の突端との第1の離間距離、および第2の対向部と、凹状部の底部との第2の離間距離の少なくとも一方が、流路における温度調整用流体の通過方向における下流側ほど大きくなるように積層体および流路形成部材を構成したことにより、流路の有効断面積が上流側から下流側に向かって徐々に大きくなり、流路内の温度調整用流体の通過速度が上流側から下流側に移動するほど徐々に低下する状態となるため、流路の下流側においても積層体と温度調整用流体とを十分に熱交換させることが可能となり、これにより、積層体の第1の対向部における温度調整用流体の通過方法の上流側から下流側まで確実に温度調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】電源装置1の構成図である。
図2】燃料電池ユニット2の断面図である。
図3図2におけるB1-B1線断面図である。
図4図2におけるB2-B2線断面図である。
図5】セル積層体11の拡大断面図である。
図6図3,4におけるC1-C1線断面図である。
図7図3,4におけるC2-C2線断面図である。
図8図3,4におけるC3-C3線断面図である。
図9】燃料電池ユニット2Aの断面図である。
図10】燃料電池ユニット2Bの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、燃料電池ユニットおよび電源装置の実施の形態について説明する。
【0020】
図1に示す電源装置1は、「電源装置」の一例であって、発電用の気体(一例として、水素ガスおよび空気(大気:酸素))が供給されることによって電力を生じさせて各種の供給対象に対して供給することができるように構成されている。具体的には、電源装置1は、燃料電池ユニット2、水素ガス供給部3、吸引ポンプ4,5a、ファン5b、インバータ6および制御部7を備えて構成されている。
【0021】
燃料電池ユニット2は、「燃料電池ユニット」の一例であって、図2~4に示すように、セル積層体11、エンドプレート12,12、導風板13,13およびボルト14,14・・を備えて構成されている。また、セル積層体11は、「積層体」の一例であって、図5に示すように、セパレータ21,22、MEA23およびセパレータ24が積層されて両エンドプレート12,12の間に挟み込まれている。なお、図2~5では、燃料電池ユニット2の構成に関する理解を容易とするために、各セパレータ21,22,24やMEA23の厚みを厚く図示すると共に、エンドプレート12,12間に挟み込まれた各セパレータ21,22,24やMEA23の枚数についても実際の枚数よりも少なく図示している。
【0022】
セパレータ21は、「燃料電池用セパレータ」の一例であるメタルセパレータであって、複数のスリットが形成されたプレート21aと、プレート21aの各スリットを連通させる複数の貫通孔が形成されたプレート21bと、プレート21bの各貫通孔を閉塞するプレート20aとを備え、プレート21aのスリットおよびプレート21bの貫通孔によって水素ガスの流路(溝部)が形成されるように各プレート21a,21b,20aが積層されている。
【0023】
セパレータ22は、「燃料電池用セパレータ」の他の一例であるメタルセパレータであって、複数のスリットが形成されたプレート22aと、プレート22aの各スリットを連通させる複数の貫通孔が形成されたプレート22bと、プレート22bの各貫通孔を閉塞するプレート20bとを備え、プレート22aのスリットおよびプレート22bの貫通孔によって水素ガスと反応させる空気の流路(溝部)が形成されるように各プレート22a,22b,20bが積層されている。
【0024】
MEA23は、「燃料電池用膜電極接合体」の一例であって、電解質部23a(電解質膜)を挟んで燃料極部23b(触媒層およびガス拡散層)と空気極部23c(触媒層およびガス拡散層)とが設けられている。この場合、本例の燃料電池ユニット2では、燃料極部23bおよび空気極部23cを囲むようにして枠状のガスケット23dが配設されて、電解質部23aとセパレータ21,22(プレート21a,22a)との間にガスケット23dが挟み込まれるようにしてMEA23がセパレータ21,22の間に配設される構成が採用されている。
【0025】
セパレータ24は、セパレータ21,22およびMEA23の温度を調整する温度調整用流体(一例として、空気(大気))の通過が可能に構成されたメタルセパレータであって、複数のスリットが形成されたプレート24aと、プレート24aの各スリットを連通させる複数の貫通孔が形成されたプレート24bと、プレート24bの各貫通孔を閉塞するプレート20aとを備え、プレート24aのスリットおよびプレート24bの貫通孔によって温度調整用流体の流路(溝部)が形成されるように各プレート24a,24b,20aが積層されている。
【0026】
この場合、本例の燃料電池ユニット2では、一例として、セパレータ21,24において1枚のプレート20aを共用する構成が採用されているが、セパレータ21のプレート20aに代えて、セパレータ22のプレート20bをセパレータ22,24で共用する構成を採用することもできる。また、セパレータ24のプレート20aに代えて、セパレータ21のプレート20aやセパレータ22のプレート20bと同様の専用のプレートを配設して構成することもできる。
【0027】
なお、本例の燃料電池ユニット2では、上記の各プレート20a,20b,21a,21b,22a,22b,24a,24aや電解質部23a、燃料極部23bおよび空気極部23cがそれぞれ「平面視N角形状で平板状の被積層物」に相当し、本例では、一例として、これらの「被積層物」が、それぞれN=4角形状に形成されて、その積層物であるセル積層体11がN=4角柱状に形成されている。
【0028】
エンドプレート12は、「積層体の両端に配設された一対の基板」の一例であって、図2~4に示すように、上記の各プレート20a,20b,21a,21b,22a,22b,24a,24aよりも十分に厚みのある平板状に形成されてセル積層体11の両端に配設されている。この場合、本例の燃料電池ユニット2では、両エンドプレート12,12の間にセル積層体11が挟み込まれた状態においてボルト14,14・・によってエンドプレート12,12を互いに接近する方向(セル積層体11における「被積層物」の積層方向)に引き寄せることで、エンドプレート12,12の間において各「被積層物」が互いに密着させられると共にエンドプレート12,12に対してセル積層体11が密着させられた状態となるように構成されている。
【0029】
導風板13は、「流路形成部材」に相当し、一例として、エンドプレート12,12の間に挟み込まれるようにしてセル積層体11に並設されている。この導風板13は、セル積層体11に接してセル積層体11との熱交換によってセル積層体11の温度を調整する「温度調整用流体(一例として、空気(大気))」を、セル積層体11における「被積層物」の一辺に沿って通過させる導風路L(「流路」の一例)をセル積層体11との間に形成する。また、本例の燃料電池ユニット2では、導風板13の両端にボルト14をねじ込み可能なねじ孔が設けられており、前述のエンドプレート12を挿通させたボルト14を導風板13に対してねじ込むことで両エンドプレート12を互いに引き寄せて接近させることが可能に構成されている。
【0030】
この場合、図5に示すように、本例の燃料電池ユニット2では、上記のセル積層体11の外周面において導風板13と対向する部位(図3,4に示すセル積層体11における上側部位および下側部位:「第1の対向部」の一例)に、セル積層体11を構成する各「被積層物」の板面方向における外側に向かって突出した凸状部11a、および「被積層物」の板面方向における内側に向かって凹んだ凹状部11bが各「被積層物」の積層方向(図3~5における左右方向)において交互に存在するように各「被積層物」が積層されてセル積層体11が構成されている。
【0031】
具体的には、本例の燃料電池ユニット2では、一例として、前述のプレート20a,20b,21a,22a,24aおよびMEA23(電解質部23aおよびガスケット23d)が、プレート21b,22b,24bよりも大きく形成されており、これらの被積層物が積層されることで、前述のプレート20a,20b,21a,22a,24aおよびMEA23(電解質部23aおよびガスケット23d)によってN=4角柱状のセル積層体11における対向する2つの側面(2つの「「第1の対向部」)に凸状部11aが形成され、かつプレート21b,22b,24bによって凹状部11bの底部が形成されている。
【0032】
また、図3,4,6に示すように、本例の燃料電池ユニット2では、導風板13においてセル積層体11の外周面(第1の対向部)と対向する部位(「第2の対向部」の一例)に、セル積層体11の「第1の対向部」に接する当接部13a(「当接部」の一例)が複数形成されている。具体的には、本例の燃料電池ユニット2では、一例として、セル積層体11に並設された状態の導風板13における「被積層物の積層方向」の両端および中央部の3カ所に当接部13aがそれぞれ形成され、これらの突端がセル積層体11における「第1の対向部(凸状部11aの突端)」に接するように導風板13がセル積層体11に並設されている。
【0033】
さらに、図7,8に示すように、本例の燃料電池ユニット2では、導風板13における「第2の対向部」の当接部13a以外の部位がほぼ平坦に形成されている。これにより、本例の燃料電池ユニット2では、導風板13の「第2の対向部」と、セル積層体11における凸状部11aの突端との離間距離D1(図7参照:「第1の離間距離」の一例)よりも、導風板13の「第2の対向部」と、凹状部11bの底部との離間距離D2a~D2b(図8参照:「第2の離間距離」の一例)の方が大きくなるように形成されている。
【0034】
また、本例の燃料電池ユニット2では、図7に示すように、導風板13の「第2の対向部」と、セル積層体11における凸状部11aの突端との離間距離D1(第1の離間距離)が、「温度調整用流体」としての空気の通過させる導風路Lにおける空気の通過方向(図2,6~8における矢印Aの向き)における上流側から下流側まで一定の距離になると共に、図8に示すように、導風板13の「第2の対向部」と、セル積層体11における凹状部11bの底部との離間距離D2a~D2b(第2の離間距離)が、導風路Lにおける空気の通過方向における下流側ほど大きくなるように(離間距離D2aよりも離間距離D2bの方が大きくなるように)セル積層体11および導風板13が構成されている。
【0035】
具体的には、本例の燃料電池ユニット2では、図7に示すように、一例として、凸状部11aを構成するプレート20a,20b,21a,22a,24aおよびMEA23が平面視矩形状に形成されており、これらを凹状部11bを構成する他の「被積層物」の間に挟み込むことにより、「第1の離間距離」が上流側から下流側まで一定となるように構成されている。また、本例の燃料電池ユニット2では、図8に示すように、一例として、凹状部11bを構成するプレート21b,22b,24bが平面視台形状に形成されており、長辺(図8における左辺)を「流路」の上流側に位置させ、かつ短辺(図8における右辺)を「流路」の下流側に位置させるようにして、凸状部11aを構成する他の「被積層物」の間に挟み込むことにより、「第2の離間距離」が、上流側から下流側に向かって、同図に示す離間距離D2a~D2bのように徐々に大きくなっている。
【0036】
なお、図3,4,6~8、および後に参照する図9,10では、「燃料電池ユニット」の構成に関する理解を容易とするために、「流路」の一例である導風路Lの大きさ(各図における高さ:「第1の離間距離」や「第2の離間距離」)を誇張して大きく図示している。
【0037】
一方、水素ガス供給部3は、一例として、水素ガスが充填された携行型のガスタンクを接続可能に構成されると共に、制御部7の制御に従ってガスタンクから燃料電池ユニット2(各セパレータ21)に水素ガスを供給する。吸引ポンプ4は、制御部7の制御に従って燃料電池ユニット2(各セパレータ22)から空気を吸引することにより、水素ガスと反応させる新たな空気を燃料電池ユニット2(各セパレータ22)に供給する。なお、吸引ポンプ4に代えて、水素ガスと反応させる空気を燃料電池ユニット2(各セパレータ22)に向けて圧送する圧送ポンプを備えて「電源装置」を構成することもできる。
【0038】
吸引ポンプ5aは、制御部7の制御に従って燃料電池ユニット2(各セパレータ24)から空気を吸引することによって燃料電池ユニット2の温度を調整するための新たな空気を燃料電池ユニット2(各セパレータ24)に供給する。なお、吸引ポンプ5aに代えて、温度調整用の空気を燃料電池ユニット2(各セパレータ24)に向けて圧送する圧送ポンプを備えて「電源装置」を構成することもできる。ファン5bは、「流体移動機構」の一例であって、本例の電源装置1では、図2に破線で示すように燃料電池ユニット2における前述の導風路Lの下流側に配置されて燃料電池ユニット2に固定されている。このファン5bは、制御部7の制御に従って導風路L内の空気を吸引することで、新たな空気を導風路L内に流入させる。なお、ファン5bについては、導風路Lの上流側に配置して燃料電池ユニット2に固定することで、導風路L内に空気を流入させる構成とすることもできる。
【0039】
インバータ6は、制御部7の制御に従い、燃料電池ユニット2によって発電された直流の電力を交流に変換して出力する。制御部7は、電源装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部7は、水素ガス供給部3による燃料電池ユニット2への水素ガスの供給、吸引ポンプ4,5aによる燃料電池ユニット2からの空気の吸引(燃料電池ユニット2への空気の供給)、ファン5bによる燃料電池ユニット2(導風路L)からの空気の吸引(導風路Lへの空気の供給)、およびインバータ6による交流変換処理などを制御し、インバータ6によって変換された交流の電力を供給対象に対して供給する。
【0040】
この電源装置1によって供給対象に対して電力を供給するときには、制御部7が、水素ガス供給部3を制御して燃料電池ユニット2(セパレータ21)に水素ガスを供給させると共に、吸引ポンプ4を制御して燃料電池ユニット2(セパレータ22)から空気を吸引させることで新たな空気を燃料電池ユニット2(セパレータ22)に供給させる。これにより、燃料電池ユニット2において水素ガスと空気(酸素)との反応によって電力が発生し、この直流の電力がインバータ6において交流に変換されて供給対象に供給される。
【0041】
一方、この種の電源装置1では、燃料電池ユニット2における発電(水素と酸素との反応)によって燃料電池ユニット2の温度が上昇する。したがって、本例の電源装置1では、燃料電池ユニット2の過剰な温度上昇によってその発電効率が低下する状態となるのを回避すべく、吸引ポンプ5aによって燃料電池ユニット2(セパレータ24)から空気を吸引して新たな空気をセパレータ24に流入させることで、空気との熱交換によってセル積層体11(セパレータ21,22,24およびMEA23)を冷却する構成が採用されている。また、本例の電源装置1では、では、上記の吸引ポンプ5aによるセパレータ24からの空気の吸引と並行して、ファン5bによって燃料電池ユニット2の導風路Lから空気を吸引して新たな空気を導風路Lに流入させることで、空気との熱交換によってセル積層体11(セパレータ21,22,24およびMEA23)を冷却する構成が採用されている。
【0042】
この場合、本例の燃料電池ユニット2(電源装置1)では、前述したように、両エンドプレート12,12の間に挟み込まれるようにして導風板13がセル積層体11に並設され、これにより、セル積層体11と導風板13との間に温度調整用(冷却用)の空気を通過させる導風路Lが形成されている。したがって、本例の燃料電池ユニット2では、ファン5bによる導風路L内の空気の吸引によって導風路L内に吸引される新たな空気が、セル積層体11に接する位置から離脱することなく、セル積層体11における各「被積層物」の一辺に沿って導風路L内をスムースに移動させられる。
【0043】
また、本例の燃料電池ユニット2(電源装置1)では、前述のように、セル積層体11の外周面における導風板13との対向部(第1の対向部)に凸状部11aおよび凹状部11bが交互に存在するようにセル積層体11が構成されている。したがって、凸状部11aや凹状部11bが存在しない「積層体」を備えた構成と比較して、導風路L内におけるセル積層体11の表面積が十分に広くなっており、セル積層体11と空気との熱交換効率が十分に向上している。
【0044】
また、本例の燃料電池ユニット2(電源装置1)では、導風板13においてセル積層体11と対向する部位(第2の対向部)と、セル積層体11における凸状部11aの突端との離間距離D1よりも、導風板13においてセル積層体11と対向する部位(第2の対向部)と、セル積層体11における凹状部11bの底部との離間距離D2a~D2bの方が大きくなるように形成されている。つまり、本例の燃料電池ユニット2では、導風板13における「第2の対向部」がセル積層体11における「第1の対向部」よりも凹凸していない状態(本例では、ほぼ平坦の状態)となっている。これにより、本例の燃料電池ユニット2では、導風板13における「第2の対向部」がセル積層体11における「第1の対向部」と同様に凹凸している構成と比較して、導風路L内の空気の通過抵抗が過剰に大きくなる事態が回避されており、冷却用の空気が導風路L内をスムースに移動させられる。
【0045】
また、本例の燃料電池ユニット2では、導風板13においてセル積層体11と対向する部位(第2の対向部)と、セル積層体11における凹状部11bの底部との離間距離D2a~D2bが、導風路Lにおける空気(温度調整用流体)の通過方向における下流側ほど大きくなるようにセル積層体11および導風板13が構成されている。この場合、ファン5bによる吸引によって冷却用の空気が導風路L内を通過させられるときには、発電によって温度上昇しているセル積層体11との熱交換によって導風路L内の空気が下流側に移動するほど徐々に温度上昇する。この結果、空気の通過方法における上流側よりも下流側の方がセル積層体11の冷却効率が低下するおそれがある。
【0046】
したがって、本例の燃料電池ユニット2(電源装置1)では、上記のように導風板13における「第2の対向部」とセル積層体11における凹状部11bの底部との離間距離D2a~D2bが空気の通過方向における下流側ほど大きくすることで、導風路Lの有効断面積を上流側から下流側に向かって徐々に大きくし、導風路L内の空気の通過速度が上流側から下流側に移動するほど徐々に低下するようにセル積層体11および導風板13を形成している。これにより、導風路Lの下流側においてもセル積層体11と空気とを十分に熱交換させることが可能となっている。
【0047】
また、本例の燃料電池ユニット2では、前述したように、導風板13においてセル積層体11と対向する部位(第2の対向部)にセル積層体11の外周面(第1の対向部)に接する当接部13aが形成されている。具体的には、本例の燃料電池ユニット2では、図6に示すように、セル積層体11における凸状部11aの突端に接するようにして導風板13に当接部13aが形成されている。これにより、セル積層体11における凸状部11aの突端と導風板13における「第2の対向部」とが当接部13aの高さよりも短い距離に近接した状態となることがないため、燃料電池ユニット2(電源装置1)に振動や衝撃が加わったとしても、導風路Lの有効断面積が過剰に小さくなる事態を回避することができる。
【0048】
この場合、本例の燃料電池ユニット2では、セル積層体11に導風板13が並設されてセル積層体11と導風板13との間に導風路Lが形成されており、セル積層体11を構成する各「被積層物」の一辺に沿って導風路L内を冷却用の空気が通過するようにファン5bによって吸引する構成が採用されている。したがって、導風路L内に流入してセル積層体11(第1の対向面)に接した空気がセル積層体11から離脱することなく導風路L内を移動させられるため、この空気との熱交換によってセル積層体11を効率良く冷却することが可能となっている。
【0049】
このように、この燃料電池ユニット2では、セル積層体11に接してセル積層体11との熱交換によってセル積層体11の温度を調整する「温度調整用流体(本例では、空気)」をセル積層体11における「被積層物」の一辺に沿って通過させる導風路Lをセル積層体11との間に形成する導風板13がセル積層体11に並設され、セル積層体11の外周面において導風板13と対向する「第1の対向部」に、各「被積層物」の板面方向における外側に向かって突出した凸状部11a、および板面方向における内側に向かって凹んだ凹状部11bが各「被積層物」の積層方向において交互に存在するように各「被積層物」が積層されている。また、この電源装置1では、上記の燃料電池ユニット2を備えて構成されている。
【0050】
したがって、この燃料電池ユニット2および電源装置1によれば、導風路L内に吸引される空気が、セル積層体11に接する位置から大きく離脱することなく、セル積層体11における各「被積層物」の一辺に沿って導風路L内をスムースに移動させられるため、導風路L内においてセル積層体11と空気とが好適に熱交換される結果、セル積層体11を効率よく冷却することができる。また、セル積層体11における「第1の対向部」に凸状部11aや凹状部11bが存在しない構成と比較して、導風路L内におけるセル積層体11の表面積が十分に広くなっており、セル積層体11と空気との熱交換効率が十分に向上するため、セル積層体11を一層効率よく冷却することができる。
【0051】
また、この燃料電池ユニット2および電源装置1によれば、導風板13の「第2の対向部」に、セル積層体11の「第1の対向部」に接する当接部13aを形成したことにより、セル積層体11における「第1の対向面(本例では、凸状部11aの突端)」と導風板13における「第2の対向部」とが当接部13aの高さよりも短い距離に近接した状態となることがないため、燃料電池ユニット2(電源装置1)に振動や衝撃が加わったとしても、導風路Lの有効断面積が過剰に小さくなる事態を回避することができる。これにより、冷却用の空気をスムースに通過させることが可能な状態を維持することができる。
【0052】
また、この燃料電池ユニット2および電源装置1によれば、導風板13の「第2の対向部」と、セル積層体11の凹状部11bの底部との「第2の離間距離(離間距離D2a~D2b)」が、導風路Lにおける「温度調整用流体(空気)」の通過方向における下流側ほど大きくなるようにセル積層体11および導風板13を構成したことにより、導風路Lの有効断面積が上流側から下流側に向かって徐々に大きくなり、導風路L内の空気の通過速度が上流側から下流側に移動するほど徐々に低下する状態となるため、導風路Lの下流側においてもセル積層体11と空気とを十分に熱交換させることが可能となり、これにより、セル積層体11の「第1の対向部」における空気の通過方法の上流側から下流側まで確実に冷却することができる。
【0053】
なお、「燃料電池ユニット」の構成は、上記の燃料電池ユニット2の構成の例に限定されない。
【0054】
例えば、前述の燃料電池ユニット2では、「第2の対向部」と凹状部11bの底部との離間距離D2a~D2b(第2の離間距離)が、導風路Lにおける空気の通過方向における下流側ほど大きくなるようにセル積層体11および導風板13が構成されているが、図9に示す燃料電池ユニット2A(「燃料電池ユニット」の他の一例)のように、導風板13の「第2の対向部」と、セル積層体11における凸状部11aの突端との離間距離D1a~D1b(「第1の離間距離」の一例)が、「温度調整用流体」としての空気の通過させる導風路Lにおける空気の通過方向(同図における矢印Aの向き)における下流側ほど大きくなるように(離間距離D1aよりも離間距離D1bの方が大きくなるように)セル積層体11Aおよび導風板13を構成することもできる。具体的には、この燃料電池ユニット2Aでは、凸状部11aを構成するプレート25aを平面視台形状に形成し、長辺(同図における左辺)を「流路」の上流側に位置させ、かつ短辺(同図における右辺)を「流路」の下流側に位置させるようにして、凹状部11bを構成する他の「被積層物」の間に挟み込むことにより、「第1の離間距離」が上流側から下流側に向かって徐々に大きくなるように構成されている。
【0055】
この場合、「第1の離間距離」が「温度調整用流体」の通過方向における下流側ほど大きくなるように構成したときには、図10に示す燃料電池ユニット2B(「燃料電池ユニット」のさらに他の一例)のように、導風板13の「第2の対向部」と、セル積層体11における凸状部11aの突端との離間距離D1を導風路Lにおける「温度調整用流体」の通過方向(同図における矢印Aの向き)の上流側から下流側まで一定の距離とすることもできる。
【0056】
これら燃料電池ユニット2A,2Bのような構成を採用した場合においても、前述の燃料電池ユニット2と同様にして、導風路Lの有効断面積が上流側から下流側に向かって徐々に大きくなり、導風路L内の空気の通過速度が上流側から下流側に移動するほど徐々に低下する状態となるため、導風路Lの下流側においてもセル積層体11と空気とを十分に熱交換させることが可能となり、これにより、セル積層体11の「第1の対向部」における空気の通過方法の上流側から下流側まで確実に冷却することができる。
【0057】
なお、燃料電池ユニット2,2A,2Bにおけるセル積層体11のような構成に代えて(または、セル積層体11のような構成に加えて)、「積層体」における「第1の対向部」に対して「流路形成部材」における「第2の対向部」を傾斜させることで、「第2の対向部」と「凸状部」の突端との「第1の離間距離」、および「第2の対向部」と、「凹状部」の底部との「第2の離間距離」が、「流路」における「温度調整用流体の通過方向」における下流側ほど大きくなるように構成することもできる(図示せず)。
【0058】
また、発電に起因して温度上昇したセル積層体11を冷却するために、セル積層体11と導風板13との間に形成された導風路Lに「温度調整用流体」としての冷却用の空気を流入させてセル積層体11を冷却する構成を例に挙げて説明したが、このような構成に加えて(または、このような構成に代えて)、「積層体」を加熱することを目的として「温度調整用流体」を「流路」に流入させる構成を採用することもできる。一例として、冬期などに電源装置1を始動させるときには、セル積層体11の温度が周囲温度と同程度の低い温度であることで発電効率が低い状態となっている。したがって、導風路Lの入口に加熱源(電気ヒータ等)を配設し、加熱源によって温度上昇させた空気を「温度調整用流体」として導風路Lを通過させることにより、この空気との熱交換によってセル積層体11を加熱することで、始動直後から発電効率を十分に高くすることができる。
【0059】
また、「温度調整用流体」としての空気(大気)を使用する構成を例に挙げて説明したが、空気以外の各種の気体や、各種の液体を「温度調整用流体」として使用する構成を採用することもできる。
【0060】
また、大きな「被積層物(プレート20a,20b,21a,22a,24aおよびMEA23)」、および小さな「被積層物(プレート21b,22b,24b)」を交互に積層することで、大きな「被積層物」によって凸状部11aを形成すると共に、小さな「被積層物」によって凹状部11bを形成したセル積層体11を備えた構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、同程度の大きさの「被積層物」を板面方向に沿ってずらし、隣接する「被積層物」から突出させて「凸状部」を形成した「積層体」を備えて構成することもできる。このような構成の「積層体」では、上記のように「凸状部」を形成した「被積層物」における対向辺側が、隣接する「被積層物」に対して板面方向の内側に向かって凹んだ「凹状部」の底部を構成する。
【0061】
また、平面視N=4角形状の「被積層物」を積層したN=4角柱状のセル積層体11を備えた構成を例に挙げて説明したが、平面視N=3角形状の「被積層物」を積層したN=3角柱状の「積層体」を備えて構成したり、平面視N=5以上の多角形状の「被積層物」を積層した多角柱状の「積層体」を備えて構成したりすることもできる。このような構成の「燃料電池ユニット」においても、「積層体」に「流路形成部材用」を並設して、「被積層物」の一辺に沿って「温度調整用流体」を通過させる「流路」を形成することにより、前述の燃料電池ユニット2と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 電源装置
2,2A,2B 燃料電池ユニット
3 水素ガス供給部
4,5a 吸引ポンプ
5b ファン
6 インバータ
7 制御部
11 セル積層体
11a 凸状部
11b 凹状部
12 エンドプレート
13 導風板
13a 当接部
14 ボルト
20a,20b,21a,21b,22a,22b,24a,24b,25a,25b プレート
21,22,24 セパレータ
23 MEA
23a 電解質部
23b 燃料極部
23c 空気極部
23d ガスケット
L 導風路
D1,D1a,D1b,D2,D2a,D2b 離間距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10