(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086126
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240620BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20240620BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240620BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240620BHJP
H01L 21/314 20060101ALI20240620BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/04 D
H01L21/31 C
H01L21/90 K
H01L21/314 M
H01L21/318 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201088
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】野口 裕司
【テーマコード(参考)】
4M118
5F033
5F038
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4M118AB01
4M118BA04
4M118BA14
4M118HA21
4M118HA30
5F033HH08
5F033HH11
5F033HH19
5F033JJ08
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5F033JJ19
5F033MM01
5F033MM13
5F033NN07
5F033PP15
5F033PP27
5F033QQ09
5F033QQ13
5F033QQ23
5F033QQ35
5F033QQ48
5F033RR01
5F033RR04
5F033RR08
5F033SS11
5F033SS15
5F033VV07
5F033XX00
5F038BH11
5F038CD20
5F045AA08
5F045AB34
5F045AC01
5F045AC11
5F045AC12
5F058BA01
5F058BC11
5F058BD03
5F058BD15
5F058BF07
(57)【要約】
【課題】配線加工の制御性を向上しつつ、当該配線間の絶縁耐圧を向上することができる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る半導体装置は、第1絶縁膜と、第1絶縁膜上に設けられた第2絶縁膜と、第2絶縁膜上に設けられた第3絶縁膜と、第1絶縁膜に形成された第1溝に設けられた第1配線と、第1絶縁膜、第2絶縁膜及び第3絶縁膜に連通して形成された第2溝に設けられ、第1配線に接続された第2配線と、を備え、第2絶縁膜は、酸窒化シリコンを含んでいるとともに、第1絶縁膜及び第3絶縁膜よりも加工の選択比が大きく且つ窒化シリコンよりも絶縁耐圧が高い特性を、有する。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に設けられた第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜上に設けられた第3絶縁膜と、
前記第1絶縁膜に形成された第1溝に設けられた第1配線と、
前記第1絶縁膜、前記第2絶縁膜及び前記第3絶縁膜に連通して形成された第2溝に設けられ、前記第1配線に接続された第2配線と、を備え、
前記第2絶縁膜は、酸窒化シリコンを含んでいるとともに、前記第1絶縁膜及び前記第3絶縁膜よりも加工の選択比が大きく且つ窒化シリコンよりも絶縁耐圧が高い特性を、有する、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1絶縁膜は、SiO2膜であり、
前記第2絶縁膜は、SiOxN1-x膜であり、
前記第3絶縁膜は、SiO2膜であり、
前記SiOxN1-x膜のxは、0.2以上、0.41以下の範囲の値である、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2配線の線幅及び隣接する前記第2配線の間隔は、10nm以上、50nm以下の範囲である、ことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
隣接する前記第2配線間の絶縁耐圧は、7MV/cm以上であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
第1絶縁膜を形成することと、
前記第1絶縁膜を選択的にエッチングすることで、前記第1絶縁膜に第1溝を形成することと、
前記第1溝に第1配線を形成することと、
前記第1絶縁膜上に、第2絶縁膜を形成することと、
前記第2絶縁膜上に、第3絶縁膜を形成することと、
前記第1絶縁膜、前記第2絶縁膜及び前記第3絶縁膜を選択的にエッチングすることで、前記第1絶縁膜、前記第2絶縁膜及び前記第3絶縁膜に連通するように第2溝を形成することと、
前記第2溝に、前記第1配線に接続された第2配線を形成することと、を備え、
前記第2絶縁膜は、酸窒化シリコンを含んでいるとともに、前記第1絶縁膜及び前記第3絶縁膜よりも加工の選択比が大きく且つ窒化シリコンよりも絶縁耐圧が高い特性を、有する、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSI(Large-Scale Integration)デバイス等の半導体装置において、素子を集積する必要があるため、素子を微細化し、配線を微細化・多層化することが不可欠となってきている。このようなLSIデバイスの多層配線構造は、例えば、ダマシン(damascene)構造と呼ばれる溝配線を有する。そして、このようなLSIデバイスの多層配線構造は、配線間の距離が短くなくなるため、従来のダマシン構造にストッパー膜として用いていたプラズマ窒化膜では、配線間の絶縁耐圧が不足してしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、配線加工の制御性を向上しつつ、当該配線間の絶縁耐圧を向上することができる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態に係る半導体装置は、第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に設けられた第2絶縁膜と、前記第2絶縁膜上に設けられた第3絶縁膜と、前記第1絶縁膜に形成された第1溝に設けられた第1配線と、前記第1絶縁膜、前記第2絶縁膜及び前記第3絶縁膜に連通して形成された第2溝に設けられ、前記第1配線に接続された第2配線と、を備え、前記第2絶縁膜は、酸窒化シリコンを含んでいるとともに、前記第1絶縁膜及び前記第3絶縁膜よりも加工の選択比が大きく且つ窒化シリコンよりも絶縁耐圧が高い特性を、有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る半導体装置の分解斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、第1の実施形態に係る半導体装置の断面構造の一部を示す説明図である。
【
図3B】
図3Bは、第1の実施形態に係る半導体装置の断面構造の一部を示す説明図である。
【
図4】
図4は、窒化シリコン及び酸窒化シリコンのエッチバック量と絶縁耐圧との関係を示す説明図である。
【
図5】
図5は、酸窒化シリコンの窒素に対する酸素の割合と、酸化シリコンに対する選択比と絶縁耐圧の関係を示す説明図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す説明図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す説明図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す説明図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体装置及び半導体装置の製造方法を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置を示す斜視図であり、
図2は、第1の実施形態に係る半導体装置の分解斜視図である。また、
図3A及び
図3Bは、第1の実施形態に係る半導体装置の断面構造の一部を示す説明図である。なお、この第1の実施形態に係る半導体装置の構成は、一例(センサを備えた構成)であるが、この構成に限定されるものではなく、その他のデバイスを備えていてもよい。
[半導体装置]
例えば、
図1に示すように、半導体装置1は、互いに貼合される、第1基板3と、第2基板2と、を備える。
【0009】
第1基板3は、例えば、CMOSイメージセンサ20から撮像画像の画像信号を読み出し、読み出した画像信号に対して種々の信号処理を行うロジック回路などを備えるロジック基板である。
【0010】
また、第2基板2は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ20などを備えるセンサ基板である。なお、半導体装置1は、第1のロジック基板と第2のロジック基板とが貼合される構成であってもよく、ロジック基板とメモリ基板とが貼合される構成であってもよい。また、半導体装置1は、3以上の基板が貼合される構成であってもよい。
【0011】
そして、
図2に示すように、第1基板3は、ロジック回路などが設けられるデバイス層31と、このデバイス層31の上側表面に設けられ、複数の金属電極(以下、単に「第1電極33」)を含む第1接続配線層32とを備える。第1電極33は、一方の端面が第1接続配線層32から露出した状態で、第1接続配線層32に埋設され、例えば、デバイス層31内部の配線を介してロジック回路などに接続される。
【0012】
一方、
図2に示すように、第2基板2は、CMOSイメージセンサ20などが設けられるデバイス層21と、デバイス層21の下側表面に設けられ、第1基板3の第1電極33と対応する位置に埋設される複数の金属電極(以下、単に「電極」と記載する場合がある)を含む第2接続配線層22とを備える。当該金属電極は、一方の端面が第2接続配線層22から露出した状態で、第2接続配線層22に埋設され、例えば、デバイス層21内部の配線を介してCMOSイメージセンサ20などに接続される。
【0013】
これら第2基板2及び第1基板3は、各貼合面が研磨されて平坦化され、貼合面に対して活性化処理が施された後、直接貼合される。これにより、第2基板2と第1基板3とは、第1接続配線層32と第2接続配線層22との間の分子間力による水素結合によって仮接合される。その後、第2基板2及び第1基板3には、所定の条件の加熱処理が施される。これにより、第2基板2と第1基板3とは、第1接続配線層32と第2接続配線層22との間の共有結合によって本接合される。
【0014】
このように、半導体装置1では、第2基板2が備えるCMOSイメージセンサ20の下面に設けられる金属電極と、第1基板3の上面に設けられる第1電極33とを接続することができる。したがって、例えば、第1基板3が備えるロジック回路によれば、CMOSイメージセンサ20の直下から信号の読み出しを行うことができるので、基板の占有面積を低減することが可能となる。
【0015】
次に、
図3Aを参照して、第1の実施形態に係る半導体装置1の断面構造の一部について説明する。なお、
図3Aは、例えば、
図2に示す第1基板3の第1接続配線層32のダマシン配線構造を含む多層配線構造の断面の近傍の領域を選択的に図示するものであるが、
図3Aに示す構成は、第2基板3の第2接続配線層22の多層配線構造や、その他の多層配線構造にも適用可能である。
【0016】
例えば、
図3Aに示すように、第1基板3(
図2)の第1接続配線層32は、絶縁層45と、配線36と、絶縁膜46と、第1絶縁膜47と、第2絶縁膜48と、第3絶縁膜49と、第1配線51と、第2配線71と、を備える。
【0017】
そして、絶縁層45は、
図2に示すデバイス層31上に設けられている。この絶縁層45は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)層である。この絶縁層45は、酸化シリコン以外の他の絶縁層であってもよい。
【0018】
また、配線36は、絶縁層45の内部に設けられている。そして、この配線36は、デバイス層31(
図2参照)の内部に設けられるロジック回路などのデバイスに接続されている。
【0019】
また、絶縁膜46は、配線36が埋め込まれた絶縁層45上に、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、形成されている。この絶縁膜46は、例えば、炭窒化シリコン(SiCN)膜である。この絶縁膜46は、所謂、配線のキャップ膜として機能するようになっている。この絶縁層46は、炭窒化シリコン以外のキャップ膜として機能する他の絶縁層であってもよい。
【0020】
また、第1絶縁膜47は、キャップ膜である絶縁膜46上に、例えば、CVD法によって、形成されている。この第1絶縁膜は、酸化シリコンを含んでいる。具体的には、この第1絶縁膜47は、例えば、SiO2膜である。
【0021】
また、第2絶縁膜48は、第1絶縁膜47上に設けられている。この第2絶縁膜48は、所謂、エッチング加工のストッパー膜として機能するようになっている。この第2絶縁膜48は、酸窒化シリコンを含んでいる。具体的には、この第2絶縁膜48は、例えば、SiOxN1-x膜であり、例えば、プラズマ CVD(PECVD : Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition)法により形成される。特に、好ましくは、この第2絶縁膜48を構成するSiOxN1-x膜のxの値は、0.2以上、0.41以下の範囲の値に設定されている。
【0022】
また、第3絶縁膜49は、第2絶縁膜48上に設けられている。この第3絶縁膜は、酸化シリコンを含んでいる。具体的には、この第3絶縁膜49は、例えば、SiO2膜である。
【0023】
ここで、既述のように、第2絶縁膜48は、例えば、プラズマ CVD法により形成された酸窒化シリコン膜(SiOxN1-x膜)である。特に、好ましくは、この第2絶縁膜48を構成するSiOxN1-x膜のxは、0.2以上、0.41以下の範囲の値に設定されている。これにより、後述のように、この第2絶縁膜48は、エッチングストッパ膜として機能するように、第1絶縁膜(酸化シリコン膜)47及び第3絶縁膜(酸化シリコン膜)49よりも加工(RIE法によるドライエッチング)の選択比が大きく且つ窒化シリコンよりも絶縁耐圧が高い特性を、有するものである。
【0024】
また、第1配線51は、例えば、
図3Aに示すように、絶縁膜46及び第1絶縁膜47に連通して形成された第1溝50に設けられている。なお、
図3の例では、この第1配線51は、第1溝50から上部が突出している。
【0025】
この第1配線51は、第1溝50内に設けられた、例えば、タングステンを含む導電膜を有するが、CuやAl等の他の金属を含む導電膜を有するようにしてもよい。なお、この第1配線50は、当該導電膜と第1溝50との間に設けられたバリアメタル膜(図示せず)を有する。
【0026】
また、第2配線71は、例えば、
図3に示すように、第1絶縁膜47、第2絶縁膜48及び第3絶縁膜49に連通して形成された第2溝70に設けられている。例えば、
図3に示すように、第1絶縁膜47において、この第2溝70は、第1溝50上に形成され、第1溝50に連通している。そして、当該第2配線71は、この第2溝70内において第1配線51の上部に接続されている。
【0027】
この第2配線71は、第2溝70内に設けられた、例えば、タングステンを含む導電膜を有するが、CuやAl等の他の金属を含む導電膜を有するようにしてもよい。なお、この第2配線70は、当該導電膜と第2溝70との間に設けられたバリアメタル膜(図示せず)を有する。
【0028】
特に、当該多層配線構造において、例えば、複数の第2配線71が隣接して配置された構成の一例を示す
図3Bに示すように、この第2配線71の線幅L及び隣接する第2配線71の間隔Sは、例えば、10nm以上、50nm以下の範囲に設定されている。そして、例えば、半導体装置1の動作時において、このように隣接する第2配線71間には、例えば、3.0V以上の電圧が印加されることが想定される。
【0029】
ここで、半導体装置の配線加工の制御性を向上しつつ、当該配線間の絶縁耐圧を向上するための、半導体装置1の多層配線構造における構成や製造の条件等について説明する。
【0030】
図4は、窒化シリコン及び酸窒化シリコンのエッチバック量と絶縁耐圧との関係を示す説明図である。
【0031】
例えば、
図4に示すように、本実施形態の半導体装置1のストッパー膜として機能する第2絶縁膜48に適用される酸窒化シリコン膜(SiO
xN
1-x膜)は、従来からドライエッチング(特にRIE)加工のストッパー膜として用いられるSiN膜と比較して、エッチング量が大きくなる(すなわち、選択比が小さくなる)が、一方で、酸窒化シリコン膜(SiO
xN
1-x膜)は、絶縁耐圧が大きくなる(酸化シリコンの絶縁耐圧に近づく)。なお、後述のように、酸窒化シリコン膜(SiO
xN
1-x膜)の酸素の割合x(0<x<1)は、例えば、酸窒化シリコン膜を成膜するためのプラズマ CVDの原料ガスに添加するN
2Oの割合を制御することで、調整可能である。
【0032】
また、
図4に示すように、SiN膜のSiの濃度を増加させると、当該SiN膜はエッチバック量が小さくなる(すなわち、選択比が大きくなる(a-Siの選択比に近づく))が、一方で、当該SiN膜は絶縁耐圧が小さくなる傾向がある。
【0033】
このように、例えば、酸窒化シリコン膜を成膜するためのプラズマ CVDの原料ガスに添加するN2Oの割合を制御することで、目標範囲内の選択比と絶縁耐圧を有するストッパー膜として半導体装置1の第2絶縁膜48を成膜することができると考えられる。
【0034】
次に、
図5は、酸窒化シリコンの窒素に対する酸素の割合と、酸化シリコンに対する選択比と絶縁耐圧の関係を示す説明図である。
【0035】
既述のプラズマ CVDにおいて、酸窒化シリコン膜である第2絶縁膜49を成膜する場合、例えば、原料ガスとして、シラン(SiH4)、アンモニア(NH3)及び二酸化窒素(N2O)が供給される。ここで、シラン(SiH4)、アンモニア(NH3)及び二酸化窒素(N2O)の原料ガス全体に対する当該二酸化窒素(N2O)の割合N2O/(SiH4+NH3+N2O)を、変化させると、酸窒化シリコン膜を構成する酸素の割合が変化する。なお、この第2絶縁膜48に適用されるSiOxN1-xを成膜する場合のプラズマ CVD法の条件は、例えば、圧力は2Torr(266.64Pa)~10Torr(1333.2Pa)の範囲であり、温度は、300℃~400℃の範囲である。また、第2配線71の線幅L及び隣接する第2配線71の間隔Sは、例えば、10nm以上、50nm以下の範囲に設定されているものとする。
【0036】
例えば、
図5に示すように、SiO
xN
1-xの酸素の割合xの値を0.0から1.0の範囲で変化させると、酸素の割合xの値が0.41以下の範囲でドライエッチングにおける酸化シリコンに対する酸窒化シリコンの選択比が目標の選択比以上となる。一方、例えば、
図5に示すように、酸素の割合xの値が0.20以上の範囲で酸窒化シリコンの絶縁耐圧が目標の絶縁耐圧以上となる。なお、酸窒化シリコン膜を成膜するためのプラズマ CVDの原料ガスに添加するN
2Oの割合を、例えば、6.9%~30.9%の範囲に制御することで、成膜されるSiO
xN
1-xの酸素の割合xの値を0.21~0.41に制御することが可能である。
【0037】
このように、酸窒化シリコン膜を成膜するためのプラズマ CVDの原料ガスに添加するN
2Oの割合を制御することで、成膜されるSiO
xN
1-xの酸素の割合xを所定の範囲に制御して、目標範囲の選択比と絶縁耐圧(
図5)を有するストッパー膜として半導体装置1の第2絶縁膜48を成膜することができると考えられる。
【0038】
したがって、半導体装置1のダマシン構造のストッパー膜として機能する第2絶縁膜49に酸窒化シリコンを適用し、当該酸窒化シリコン膜を成膜するためのプラズマ CVDの原料ガスに添加するN2Oの割合を適切に制御することにより、ストッパー膜として機能する第2絶縁膜49の目標範囲の選択比と絶縁耐圧を両立することができる。
【0039】
このようにして、半導体装置1のダマシン配線構造おける第2絶縁膜48は、酸窒化シリコンを含んでいるとともに、第1絶縁膜47及び第3絶縁膜49よりも加工(RIEによるドライエッチング)の選択比が大きく且つ窒化シリコンよりも絶縁耐圧が高い特性を、有するように設定が可能となる。これにより、隣接する第2配線71間の絶縁耐圧は、7MV/cm以上に設定することが可能となる。
【0040】
さらに、上述のように、第2配線71の線幅L及び隣接する第2配線71の間隔Sは、例えば、10nm以上、50nm以下の範囲に設定されている場合、半導体装置1の動作時において、隣接する第2配線71間には、例えば、3.0V以上の電圧が印加される条件下において、隣接する第2配線71間の絶縁耐圧が7MV/cm以上に設定されていることで、半導体装置1は、絶縁破壊による動作不良の発生が抑制されるため、歩留まりを向上することができると考えられる。
【0041】
すなわち、半導体装置1は、配線加工の制御性を向上しつつ、当該配線間の絶縁耐圧を向上することができる。
[半導体装置の製造方法]
次に、既述のように、
図6ないし
図9を参照して、第1の実施形態に係る半導体装置1の製造方法について説明する。
図6ないし
図9は、
図1及び
図2に示す第1の実施形態に係る半導体装置1の製造工程を示す説明図である。なお、
図6ないし
図9では、特に、
図3Aに示す第1の実施形態に係る半導体装置1の第1接続配線層32の製造工程に注目している。なお、
図3Bに示す第1の実施形態に係る半導体装置1の第1接続配線層32の製造工程も同様に説明される。
【0042】
例えば、デバイス層31(
図1及び
図2参照)を形成した後、当該デバイス層31上に、
図6の(a)に示すように、例えば、CVD法によって、酸化膜(酸化シリコン層)45を形成する。そして、当該酸化シリコン層45の表面に、ダマシン法によって配線36を形成する。
【0043】
その後、配線36が埋め込まれた絶縁層(酸化シリコン層)45上に、例えば、CVD法によって、キャップ膜として機能するSiCN膜46、第1絶縁膜(酸化シリコン膜)47を順次積層する(
図6の(a))。
【0044】
続いて、
図6の(b)に示すように、第1配線51の形成位置に、第1配線51の形状と同様の形状を有する第1溝50を形成する。この工程では、まず、第1絶縁膜(酸化シリコン膜)47上にレジスト(図示せず)を形成し、当該レジストにおける第1配線51の形成位置(接続される配線36の上方)に、開口を形成する。
【0045】
そして、開口が形成された当該レジストをマスクとして使用し、ドライエッチング法、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)法により、第1絶縁膜47及びキャップ膜46を選択的にエッチングすることで、第1絶縁膜47及びキャップ膜46に、第1絶縁膜(酸化シリコン膜)47の表面から配線36の表面まで達する第1溝(ビアホール)50を形成する。
【0046】
続いて、例えば、スパッタ法により、第1溝50の内周面及び第1配線の表面にバリアメタル膜(図示せず)を形成する。その後、例えば、スパッタ法により、第2溝70に、当該バリアメタル膜を介して例えばタングステン等で構成される導電膜を成膜することで、第1配線51に接続された第2配線71を形成する(
図3A)。なお、例えば、電解メッキ法や他の成膜方法により、第1溝50に第1配線51を形成するようにしてもよい。
【0047】
その後、
図7の(a)に示すように、例えば、プラズマCVD法により、第1絶縁膜47上に、第2絶縁膜48を形成する。
【0048】
ここで、既述のように、この第2絶縁膜48に適用される窒化シリコン膜を成膜するためのプラズマCVDの原料ガスに添加するN
2Oの割合を、例えば、6.9%~30.9%の範囲に制御することで、成膜されるSiO
xN
1-xの酸素の割合xを0.21~0.41に制御することが可能である。このように、酸窒化シリコン膜を成膜するためのプラズマ CVDの原料ガスに添加するN
2Oの割合を制御することで、成膜されるSiO
xN
1-xの酸素の割合xを所定の範囲に制御して、目標範囲の選択比と絶縁耐圧(
図5)を有するストッパー膜として半導体装置1の第2絶縁膜48を成膜することができる。
【0049】
その後、
図7の(b)に示すように、例えば、CVD法により、第2絶縁膜48上に、第3絶縁膜(酸化シリコン膜)49を形成する。
【0050】
その後、
図8の(a)に示すように、第2配線71(
図3A参照)の形成位置に、第2配線71の形状と同様の形状を有する第2溝70を形成する。この工程では、まず、第3絶縁膜(酸化シリコン膜)49上にレジスト60を形成し、当該レジスト60における第2配線71の形成位置(接続される第1配線51の上方)に、開口を形成する。
【0051】
その後、
図8の(b)に示すように、開口が形成された当該レジスト60をマスクとして使用し、ドライエッチング法、例えば、RIE法により、第1絶縁膜47、第2絶縁膜48及び第3絶縁膜49を選択的にエッチングすることで、第1絶縁膜47、第2絶縁膜48及び第3絶縁膜49に連通するように、第2絶縁膜(酸化シリコン膜)49の表面から第1配線36の表面まで達する第2溝70を形成する。
【0052】
ここで、既述のように、第2絶縁膜48は、ドライエッチングのストッパー膜として機能するように、第1絶縁膜(酸化シリコン膜)47及び第3絶縁膜(酸化シリコン膜)49よりも加工(RIE法によるドライエッチング)の選択比が大きく且つ窒化シリコンよりも絶縁耐圧が高い特性を、有するものである。
【0053】
したがって、当該ドライエッチングにおいて、第2絶縁膜48は、ドライエッチングのストッパー膜として機能して、第2溝70を形成する制御性(すなわち、第1絶縁膜40のエッチング量の制御性)を向上することができる。さらに、この第2絶縁膜48は、従来の所謂ストッパー膜として機能する窒化シリコン(SiN)膜よりも絶縁耐圧が高い特性を、有するように、酸素の割合が設定されている。
【0054】
これにより、結果として、半導体装置1の不良発生率を低減して、歩留まりを向上することができる。
【0055】
その後、
図9の(a)に示すように、アッシングにより、第2絶縁膜49上に残存するレジスト60を除去する。
【0056】
続いて、例えば、スパッタ法により、第2溝70の内周面及び第1配線51の表面にバリアメタル膜(図示せず)を形成する。その後、例えば、スパッタ法により、第2溝70内に、当該バリアメタル膜を介してタングステン等で構成される導電膜71aを成膜する(
図9の(b))。なお、例えば、電解メッキ法や他の成膜方法により、第2溝70に導電膜71aを形成するようにしてもよい。
【0057】
続いて、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって、第2絶縁膜49および導電膜71aの上部の不要な部分を研磨することにより、第2絶縁膜49および導電膜71aの上部を平坦化する。これにより、第1配線51に接続された第2配線71を形成され、既述の
図3Aや
図3Bに示すような第1の実施形態に係る半導体装置1の多層配線構造が形成されることとなる。そして、更に必要に応じて、配線、電極や絶縁層等が形成されることとなる。
【0058】
以上のように、本実施形態に係る半導体装置1は、第1絶縁膜47と、第1絶縁膜47上に設けられた第2絶縁膜48と、第2絶縁膜48上に設けられた第3絶縁膜49と、第1絶縁膜47に形成された第1溝50に設けられた第1配線51と、第1絶縁膜47、第2絶縁膜48及び第3絶縁膜49に連通して形成された第2溝70に設けられ、第1配線51に接続された第2配線71と、を備える。
【0059】
そして、既述のように、第2絶縁膜48は、酸窒化シリコンを含んでいる。この第2絶縁膜48は、エッチングストッパ膜として機能するように、第1絶縁膜47及び第3絶縁膜49よりも加工(RIEによるドライエッチング)の選択比が大きく且つ窒化シリコンよりも絶縁耐圧が高い特性を、有する。
【0060】
特に、既述のように、半導体装置1のダマシン構造のストッパー膜として機能する第2絶縁膜49に酸窒化シリコンを適用し、当該酸窒化シリコン膜を成膜するためのプラズマ CVDの原料ガスに添加するN2Oの割合を適切に制御することにより、ストッパー膜として機能する第2絶縁膜49の目標範囲の選択比と絶縁耐圧を両立することができる。
【0061】
このようにして、半導体装置1のダマシン配線構造おける第2絶縁膜48は、酸窒化シリコンを含んでいるとともに、第1絶縁膜47及び第3絶縁膜49よりも加工(RIEによるドライエッチング)の選択比が大きく且つ窒化シリコンよりも絶縁耐圧が高い特性を、有するように設定が可能となる。これにより、隣接する第2配線71間の絶縁耐圧は、7MV/cm以上に設定することが可能となる。
【0062】
さらに、第2配線71の線幅L及び隣接する第2配線71の間隔S(L/S)は、例えば、10nm以上、50nm以下の範囲に設定されている場合、半導体装置1の動作時において、隣接する第2配線71間には、例えば、3.0V以上の電圧が印加される条件下において、隣接する第2配線71間の絶縁耐圧が7MV/cm以上に設定されていることで、半導体装置1は、絶縁破壊による動作不良の発生が抑制されるため、歩留まりを向上することができる。
【0063】
以上のように、本実施形態に係る半導体装置によれば、配線加工の制御性を向上しつつ、当該配線間の絶縁耐圧を向上することができる。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1 半導体装置
47 第1絶縁膜
48 第2絶縁膜
49 第3絶縁膜
50 第1溝
51 第1配線
70 第2溝
71 第2配線