(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086143
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/507 20210101AFI20240620BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20240620BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240620BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20240620BHJP
H01M 50/242 20210101ALI20240620BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20240620BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240620BHJP
H01M 50/519 20210101ALI20240620BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/569
H01M50/204 401D
H01M50/284
H01M50/242
H01M50/298
H01M50/55 101
H01M50/519
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201118
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉戸 大二
(72)【発明者】
【氏名】中山 治
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 秀夫
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA07
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040DD03
5H040DD07
5H040DD10
5H040DD26
5H040NN03
5H043AA02
5H043AA13
5H043CA04
5H043CA21
5H043DA08
5H043FA04
5H043FA31
5H043FA36
5H043JA01F
5H043JA29F
5H043LA02F
5H043LA03F
(57)【要約】
【課題】回路基板と電線との接続部の損傷を抑制可能な配線モジュールを提供する。
【解決手段】配線モジュール20は、電極端子を有する複数の蓄電素子11に取り付けられる配線モジュール20であって、複数のバスバー30と、複数の回路基板と、複数の電線40と、複数のバスバー30、複数の回路基板、及び複数の電線40を保持するプロテクタ50と、を備え、各バスバー30は電極端子と接続され、各回路基板は各バスバー30と電気的に接続され、各電線40は各回路基板と接続され、プロテクタ50は、複数の電線40が収容される電線収容部52と、電線収容部52外に配された各電線40に接触可能とされ、各回路基板が載置される載置面54と、電線収容部52外に配された各電線40に対して、載置面54に直交する第1方向について載置面54と反対側から接触可能とされる接触部58と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子を有する複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、
複数のバスバーと、
複数の回路基板と、
複数の電線と、
前記複数のバスバー、前記複数の回路基板、及び前記複数の電線を保持するプロテクタと、を備え、
各前記バスバーは前記電極端子と接続され、
各前記回路基板は各前記バスバーと電気的に接続され、
各前記電線は各前記回路基板と接続され、
前記プロテクタは、前記複数の電線が収容される電線収容部と、前記電線収容部外に配された各前記電線に接触可能とされ、各前記回路基板が載置される載置面と、前記電線収容部外に配された各前記電線に対して、前記載置面に直交する第1方向について前記載置面と反対側から接触可能とされる接触部と、を有する、配線モジュール。
【請求項2】
前記プロテクタは、プロテクタ本体と、前記第1方向に前記プロテクタ本体と重ねられるカバーと、を備え、
前記プロテクタ本体は前記載置面を備え、
前記カバーは前記接触部を備える、請求項1に記載の配線モジュール。
【請求項3】
前記プロテクタは、前記載置面から凹む凹部を備え、
前記接触部は、前記第1方向から見て前記凹部と重畳している、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項4】
前記凹部の底面と前記接触部との前記第1方向における間隔は、各前記電線の径よりも大きく設定されている、請求項3に記載の配線モジュール。
【請求項5】
前記プロテクタは、前記第1方向に弾性変形可能とされ、前記接触部を備える弾性片を備え、
前記弾性片は前記載置面との間で各前記電線を挟持する、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車等に用いられる高圧のバッテリーパックは、通常、多数のバッテリが積層され、配線モジュールによって直列あるいは並列に電気接続されている。このような配線モジュールとして、従来、特開2019-23996号公報(下記特許文献1)に記載のバッテリ接続モジュールが知られている。特許文献1に記載のバッテリ接続モジュールは、バスバーと、バスバーに接続されるフレキシブル回路基板と、を備えて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成とは異なり、配線モジュールは、バスバーと、バスバーに接続される回路基板と、回路基板に接続される電線と、を備えてもよい。回路基板と電線との接続は、例えば、半田付け等により行うことが考えられる。こうした配置モジュールにおいて、回路基板と電線との接続部は、例えば電線に振動あるいは応力が加わった場合に損傷することがありうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の配線モジュールは、電極端子を有する複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、複数のバスバーと、複数の回路基板と、複数の電線と、前記複数のバスバー、前記複数の回路基板、及び前記複数の電線を保持するプロテクタと、を備え、各前記バスバーは前記電極端子と接続され、各前記回路基板は各前記バスバーと電気的に接続され、各前記電線は各前記回路基板と接続され、前記プロテクタは、前記複数の電線が収容される電線収容部と、前記電線収容部外に配された各前記電線に接触可能とされ、各前記回路基板が載置される載置面と、前記電線収容部外に配された各前記電線に対して、前記載置面に直交する第1方向について前記載置面と反対側から接触可能とされる接触部と、を有する、配線モジュールである。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、回路基板と電線との接続部の損傷を抑制可能な配線モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかる蓄電モジュールが搭載された車両を示す模式図である。
【
図2】
図2は、配線モジュール及び蓄電素子の平面図である。
【
図3】
図3は、カバーを除いた配線モジュール及び蓄電素子の平面図である。
【
図6】
図6は、電線収容部外に配され、凹部内に配置された電線について示す配線モジュールの拡大斜視図である。
【
図7】
図7は、接触部について示すカバーの斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態2にかかる配線モジュールの拡大平面図である。
【
図11】
図11は、電線収容部外に配された電線について示す配線モジュールの拡大斜視図である。
【
図12】
図12は、弾性片について示すカバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0009】
(1)本開示の配線モジュールは、電極端子を有する複数の蓄電素子に取り付けられる配線モジュールであって、複数のバスバーと、複数の回路基板と、複数の電線と、前記複数のバスバー、前記複数の回路基板、及び前記複数の電線を保持するプロテクタと、を備え、各前記バスバーは前記電極端子と接続され、各前記回路基板は各前記バスバーと電気的に接続され、各前記電線は各前記回路基板と接続され、前記プロテクタは、前記複数の電線が収容される電線収容部と、前記電線収容部外に配された各前記電線に接触可能とされ、各前記回路基板が載置される載置面と、前記電線収容部外に配された各前記電線に対して、前記載置面に直交する第1方向について前記載置面と反対側から接触可能とされる接触部と、を有する、配線モジュールである。なお、ここで、直交とは実質的に直交と認識される状態の交差も含むものとする。
【0010】
このような構成によると、複数の電線に振動が加えられた場合に、電線収容部外に配された各電線は載置面及び接触部に接触し、載置面及び接触部から摩擦を受ける。これにより、振動が各電線と各回路基板との接続部に伝わりにくい。したがって、各電線と各回路基板との接続部の損傷を抑制することができる。
【0011】
(2)(1)に記載の配線モジュールにおいて、前記プロテクタは、プロテクタ本体と、前記第1方向に前記プロテクタ本体と重ねられるカバーと、を備え、前記プロテクタ本体は前記載置面を備え、前記カバーは前記接触部を備えることが好ましい。
【0012】
このような構成によると、接触部を簡便に設けることができる。また、各電線のプロテクタへの配索が容易になる。
【0013】
(3)(1)または(2)に記載の配線モジュールにおいて、前記プロテクタは、前記載置面から凹む凹部を備え、前記接触部は、前記第1方向から見て前記凹部と重畳していることが好ましい。
【0014】
このような構成によると、電線収容部外に配された各電線を凹部内に屈曲状態で配置し、接触部を各電線に押し当てることができる。よって、接触部と各電線との摩擦を大きくし、より一層、各電線と各回路基板との接続部の損傷を抑制することができる。
【0015】
(4)(3)に記載の配線モジュールにおいて、前記凹部の底面と前記接触部との前記第1方向における間隔は、各前記電線の径よりも大きく設定されていることが好ましい。
【0016】
このような構成によると、プロテクタの製造公差等により、凹部の底面と接触部との第1方向における間隔が小さくなった場合に、各電線が凹部の底面と接触部との間に挟まれて損傷することを抑制することができる。
【0017】
(5)(1)または(2)に記載の配線モジュールにおいて、前記プロテクタは、前記第1方向に弾性変形可能とされ、前記接触部を備える弾性片を備え、前記弾性片は前記載置面との間で各前記電線を挟持することが好ましい。
【0018】
このような構成によると、電線収容部外に配された各電線が弾性片と載置面との間で挟持されるから、各電線と、載置面及び接触部との摩擦を大きくすることができる。したがって、より一層、各電線と各回路基板との接続部の損傷を抑制することができる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0020】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、
図1から
図7を参照しつつ説明する。本実施形態の配線モジュール20を備えた蓄電モジュール10は、例えば、
図1に示すように、車両1に搭載される蓄電パック2に適用される。蓄電パック2は、電気自動車またはハイブリッド自動車等の車両1に搭載されて、車両1の駆動源として用いられる。以下の説明においては、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0021】
図1に示すように、車両1の中央付近には蓄電パック2が配設されている。車両1の前部にはPCU3(Power Control Unit)が配設されている。蓄電パック2とPCU3とは、ワイヤーハーネス4によって接続されている。蓄電パック2とワイヤーハーネス4とは図示しないコネクタによって接続されている。蓄電パック2は複数の蓄電素子11を備えた蓄電モジュール10を有する。以下では、
図1を除き、矢線Zの示す方向を上方、矢線Xの示す方向を前方、矢線Yの示す方向を左方として説明する。
【0022】
蓄電モジュール10は、
図2に示すように、一列に並べられた複数の蓄電素子11と、複数の蓄電素子11の上面に装着される配線モジュール20とを備える。蓄電素子11は、内部に蓄電要素が収容された扁平な直方体状をなしている。図示しないものの、蓄電素子11は、上面の右端部寄りの位置と左端部寄りの位置に一対の電極端子を有する。一対の電極端子のうち一方は正極であり、他方は負極である。
【0023】
[配線モジュール]
配線モジュール20は、蓄電素子11の電極端子に接続されるバスバー30と、バスバー30に接続される回路基板21と、回路基板21に接続される電線40と、バスバー30、回路基板21、及び電線40を保持するプロテクタ50と、を備える。
【0024】
[バスバー]
バスバー30は金属板材から構成され、平面視方形状をなしている。バスバー30は複数の蓄電素子11の積層方向(前後方向)に隣接する電極端子間を接続する接続バスバー30Aと、積層方向の端部に配される蓄電素子11の電極端子に接続される出力バスバー30Bと、を備える。出力バスバー30Bは、複数の蓄電素子11の総正極または総負極と、外部機器と、を接続している。バスバー30と電極端子との接続は、溶接等により行われる。バスバー30は後述するプロテクタ50のバスバー収容部51に収容されている。
【0025】
[回路基板]
回路基板21は、本実施形態では、フレキシブル基板とされており、可撓性を有する絶縁性のシートの表面にプリント配線技術により導電路が形成されて構成されている。回路基板21は、基板本体22と、基板本体22から延出される延出部23と、を備える。基板本体22は、平面視略方形状をなしている。基板本体22は後述するプロテクタ50の載置面54に固定されている。詳細に図示しないものの、例えば、基板本体22には挿通孔が設けられており、この挿通孔に載置面54から突出する突起が挿通されるようになっている。基板本体22には、導電路の一端に配される電線ランド22Aが設けられている。電線ランド22Aは、半田付け等により電線40に接続される。
【0026】
延出部23は平面視略U字状をなし、伸縮可能に構成されている。延出部23が設けられることにより、延出部23の基板本体22と反対側の端部(先端部)が基板本体22に対して所定寸法変位することが許容されるようになっている。延出部23の先端部には、導電路の他端(図示せず)が配されている。導電路の他端は、金属小片15を介してバスバー30と電気的に接続される。
【0027】
図示しないものの、回路基板21の導電路にはヒューズ等が設けられていてもよい。また、回路基板21は複数の導電路を備え、導電路は蓄電素子11の温度を測定するためのサーミスタ回路の一部を含んでもよい。
【0028】
[電線]
回路基板21に接続された電線40は、後述するプロテクタ50の電線収容部52へとまとめて収容される。複数の電線40は電線収容部52内において前後方向に延びて配されている。図示しないが、複数の電線40は電線収容部52内においてテープや結束部材等により一体化されていてもよい。
【0029】
複数の電線40は、回路基板21と反対側の端部において図示しないコネクタに接続されている。このコネクタは、外部のECU(Electronic Control Unit)等に接続されるようになっている。ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、各蓄電素子11の電圧、電流、温度等の検知や、各蓄電素子11の充放電制御コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0030】
[プロテクタ]
プロテクタ50は絶縁性の合成樹脂から構成されている。プロテクタ50は、プロテクタ本体50Aと、プロテクタ本体50Aを上方から覆うカバー50Bと、を備える。本実施形態では、1つのプロテクタ本体50Aに対して、2つのカバー50B(
図2では1つのカバー50Bのみ図示)が設けられている。
【0031】
[プロテクタ本体]
プロテクタ本体50Aはトレイ状をなしている。
図3に示すように、プロテクタ本体50Aは、バスバー30が収容されるバスバー収容部51と、複数の電線40が収容される電線収容部52と、バスバー収容部51と電線収容部52との間に配される中間配索部53と、を備える。バスバー収容部51はプロテクタ本体50Aの左右方向の両端部に設けられている。バスバー収容部51は、枠状をなして、前後方向に並んで配置されている。
【0032】
[電線収容部]
電線収容部52はプロテクタ本体50Aの左右中央部寄りの位置に2つ設けられている。電線収容部52は溝状をなし、前後方向に延びている。
図6に示すように、電線収容部52は底壁52Aと、底壁52Aの左右両端縁から上方に立ち上がる一対の側壁52Bと、を備える。電線収容部52の中間配索部53側の側壁52Bには、切り欠き部52Cが形成されている。切り欠き部52Cを介して中間配索部53から電線収容部52へと電線40が受け入れられるようになっている。
【0033】
[凹部]
図2に示すように、中間配索部53には、回路基板21と、回路基板21に接続された電線40と、が配置されている。中間配索部53は、回路基板21が載置される載置面54と、載置面54から蓄電素子11側(下方)に凹む凹部55と、を有する。載置面54は上下方向(第1方向の一例)に直交する面となっている。凹部55は平面視において左右方向に長い長方形状をなしている。
図6に示すように、凹部55は電線収容部52の切り欠き部52Cの近傍に配されている。凹部55は、載置面54と略平行な底面55Aと、底面55Aの左右両端縁に接続される第1接続面55B及び第2接続面55Cと、を有する。第1接続面55B及び第2接続面55Cは、底面55Aと載置面54とを接続している。第2接続面55Cは、第1接続面55Bよりも電線収容部52側に配されている。第1接続面55B及び第2接続面55Cは、底面55A側に向かうほど下り傾斜している。
【0034】
中間配索部53は、凹部55の周囲に配され、載置面54から上方に立ち上がる仕切り壁56を備える。仕切り壁56は電線収容部52の側壁52Bと接続されている。仕切り壁56には切り欠き部52Cと左右方向に対向する位置に開口56Aが設けられている。このように仕切り壁56を設けることにより、切り欠き部52Cと開口56Aとに電線40を挿通することで、平面視において凹部55に重畳する位置に電線40を配置することができる。
【0035】
[カバー、接触部]
図2及び
図3に示すように、カバー50Bはプロテクタ本体50Aの電線収容部52及び中間配索部53を上方から閉塞可能に構成されている。
図7に示すように、カバー50Bは、天板部57と、天板部57から下方に突出して設けられる接触部58と、を備える。接触部58は、例えばブロック状をなしている。接触部58は、載置面54に直交する第1方向(上下方向)について載置面54と反対側から接触可能である。
【0036】
プロテクタ本体50Aをカバー50Bで覆った状態では、
図2の破線で示すように、平面視において接触部58は凹部55と重畳している。
図4及び
図5に示すように、接触部58は仕切り壁56の内部に配され、電線40が接触部58と凹部55の底面55Aとの間に配されるようになっている。電線40は回路基板21との接続部から凹部55に至る間の領域で載置面54と接触することが想定される。また、接触部58は凹部55上に配される電線40を凹部55の底面55A側に向かって押し付けるように設けられている。すなわち、電線40の下端は凹部55内において載置面54より下方に配されており、電線40は凹部55の外部から内部に至る領域で屈曲した姿勢をとるようになっている。詳細には、上下方向について、載置面54に載置された電線40の上端の位置よりも低い位置に接触部58の下端が配されている。
【0037】
図4に示すように、本実施形態では、凹部55は、底面55Aの電線40の延び方向(左右方向)における両端縁に第1接続面55B及び第2接続面55Cを有する。第1接続面55B及び第2接続面55Cは、底面55A側に向かうほど下り傾斜して設けられている。このため、接触部58によって電線40が凹部55内に押し付けられる際に電線40が屈曲姿勢を取りやすく、また、凹部55の左右両端縁において電線40が損傷されにくい。
【0038】
図4及び
図5に示すように、本実施形態では、接触部58と凹部55の底面55Aとの間隔D1は、電線40の径R1に比べて大きくなっている。これにより、接触部58や凹部55の製造公差が大きい場合でも、電線40が接触部58と凹部55との間に挟まれて電線40が損傷することを抑制することができる。
【0039】
[接触部の効果について]
本実施形態の配線モジュール20は車両1に用いられるため、電線40に振動が加わることが考えられる。特に、電線収容部52において複数の電線40がテープ等により一体化されている場合、各電線40に加わる振動が大きくなることがありうる。また、複数の電線40はコネクタに接続されており、このコネクタを外部のECU等に接続する際に、複数の電線40に引っ張り応力が加わることが想定される。
【0040】
本実施形態では、上記したように、載置面54が電線40に対して下方から接触可能とされ、接触部58が電線40に対して上方から接触可能とされている。このため、電線40に振動や引っ張り応力が加わった場合、電線40と、載置面54及び接触部58と、の間で摩擦が生じる。この摩擦により、複数の電線40に加わった振動や引っ張り応力が、電線収容部52外に配された電線40と回路基板21との接続部に伝わることを抑制することができる。したがって、複数の電線40に振動や引っ張り応力が加わった場合でも、電線40と回路基板21との接続部の損傷を抑制することができる。
【0041】
[実施形態1の作用効果]
実施形態1によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態1にかかる配線モジュール20は、電極端子を有する複数の蓄電素子11に取り付けられる配線モジュール20であって、複数のバスバー30と、複数の回路基板21と、複数の電線40と、複数のバスバー30、複数の回路基板21、及び複数の電線40を保持するプロテクタ50と、を備え、各バスバー30は電極端子と接続され、各回路基板21は各バスバー30と電気的に接続され、各電線40は各回路基板21と接続され、プロテクタ50は、複数の電線40が収容される電線収容部52と、電線収容部52外に配された各電線40に接触可能とされ、各回路基板21が載置される載置面54と、電線収容部52外に配された各電線40に対して、載置面54に直交する第1方向(上下方向)について載置面54と反対側から接触可能とされる接触部58と、を有する。
【0042】
このような構成によると、複数の電線40に振動が加えられた場合に、電線収容部52外に配された各電線40は載置面54及び接触部58に接触し、載置面54及び接触部58から摩擦を受ける。これにより、振動が各電線40と各回路基板21との接続部に伝わりにくい。したがって、各電線40と各回路基板21との接続部の損傷を抑制することができる。
【0043】
実施形態1では、プロテクタ50は、プロテクタ本体50Aと、第1方向にプロテクタ本体50Aと重ねられるカバー50Bと、を備え、プロテクタ本体50Aは載置面54を備え、カバー50Bは接触部58を備える。
【0044】
このような構成によると、接触部58を簡便に設けることができる。また、各電線40のプロテクタ50への配索が容易になる。
【0045】
実施形態1では、プロテクタ50は、載置面54から凹む凹部55を備え、接触部58は、第1方向から見て凹部55と重畳している。
【0046】
このような構成によると、電線収容部52外に配された各電線40を凹部55内に屈曲状態で配置し、接触部58を各電線40に押し当てることができる。よって、接触部58と各電線40との摩擦を大きくし、より一層、各電線40と各回路基板21との接続部の損傷を抑制することができる。
【0047】
実施形態1では、凹部55の底面55Aと接触部58との第1方向における間隔D1は、各電線40の径R1よりも大きく設定されている。
【0048】
このような構成によると、プロテクタ50の製造公差等により、凹部55の底面55Aと接触部58との第1方向における間隔D1が小さくなった場合に、各電線40が凹部55の底面55Aと接触部58との間に挟まれて損傷することを抑制することができる。
【0049】
<実施形態2>
本開示の実施形態2について、
図8から
図12を参照しつつ説明する。実施形態2にかかる配線モジュール120は、プロテクタ150を除いて、実施形態1と同様に構成されているため、実施形態1と同一の部材、作用効果については、説明を省略する。なお、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0050】
図8に示すように、配線モジュール120のプロテクタ150は、プロテクタ本体150Aと、カバー150Bと、を備える。
図11に示すように、プロテクタ本体150Aの中間配索部153は、載置面54を有するが、実施形態1の凹部55を有さない。なお、中間配索部153において、仕切り壁56は、実施形態1と同じ位置に設けられている。
【0051】
図12に示すように、カバー150Bは、天板部57と、天板部57から延出される弾性片160と、を備える。弾性片160は、上下方向に弾性変形可能とされている。弾性片160は、その延出方向(左右方向)の中央部に接触部161を備える。接触部161は、水平方向に延びる板状をなしている。
【0052】
カバー150Bがプロテクタ本体150Aに取り付けられた状態では、
図9及び
図10に示すように、接触部161と仕切り壁56の内側に配される載置面54との間で電線40が挟持されるようになっている。このような構成によれば、電線40と、載置面54及び接触部161との間に摩擦が生じる。したがって、電線40に振動や引っ張り応力が加わった場合でも、電線40と回路基板21との接続部が損傷されにくい。
【0053】
なお、接触部161は上下方向に弾性変形可能な弾性片160に設けられているから、接触部161と載置面54とにより電線40が挟持されても、電線40が損傷されにくくなっている。
【0054】
[実施形態2の作用効果]
実施形態2によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態2では、プロテクタ150は、第1方向に弾性変形可能とされ、接触部161を備える弾性片160を備え、弾性片160は載置面54との間で各電線40を挟持する。
【0055】
このような構成によると、電線収容部52外に配された各電線40が弾性片160と載置面54との間で挟持されるから、各電線40と、載置面54及び接触部161との摩擦を大きくすることができる。したがって、より一層、各電線40と各回路基板21との接続部の損傷を抑制することができる。
【0056】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態1,2では、プロテクタ50,150は、それぞれプロテクタ本体50A,150Aと、カバー50B,150Bと、を備えていたが、これに限られることはなく、プロテクタは1部材から構成されていてもよい。
(2)上記実施形態1,2では、回路基板21はフレキシブル基板であったが、これに限られることはなく、回路基板は硬質基板でもよい。
(3)上記実施形態1,2では、仕切り壁56が設けられていたが、これに限られることはなく、仕切り壁は省略してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1: 車両
2: 蓄電パック
3: PCU
4: ワイヤーハーネス
10: 蓄電モジュール
11: 蓄電素子
15: 金属小片
20: 配線モジュール
21: 回路基板
22: 基板本体
22A: 電線ランド
23: 延出部
30: バスバー
30A: 接続バスバー
30B: 出力バスバー
40: 電線
50,150: プロテクタ
50A,150A: プロテクタ本体
50B,150B: カバー
51: バスバー収容部
52: 電線収容部
52A: 底壁
52B: 側壁
52C: 切り欠き部
53,153: 中間配索部
54: 載置面
55: 凹部
55A: 底面
55B: 第1接続面
55C: 第2接続面
56: 仕切り壁
56A: 開口
57: 天板部
58,161: 接触部
160: 弾性片
D1: 凹部の底面と接触部との上下方向における間隔
R1: 電線の径