(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086146
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】給紙装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/46 20060101AFI20240620BHJP
B65H 1/14 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B65H3/46 J
B65H1/14 322Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201121
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 博史
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FB05
3F343FC01
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA12
3F343HA31
3F343HD16
3F343JD03
3F343JD13
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3F343JD39
3F343KB03
3F343LA02
3F343LA14
3F343LB02
3F343LB08
3F343LC11
3F343LC14
3F343LC20
3F343LC22
3F343LD10
3F343MA02
3F343MA09
3F343MA23
3F343MA32
3F343MA35
3F343MB04
3F343MB09
3F343MC10
(57)【要約】
【課題】装置の大型化及び騒音レベルの増大を抑えつつ、用紙の重送の可能性を低減できる給紙装置を提供する。
【解決手段】給紙装置(91)は、用紙束(PB)が積載される昇降可能な給紙台(21)と、用紙束(PB)の端部に接触可能な突起部材(32)と、給紙台(21)を昇降させながら突起部材(32)を端部に接触させて用紙束(PB)の用紙を捌くよう制御する制御部(6)と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙束が積載される昇降可能な給紙台と、
前記用紙束の端部に接触可能な突起部材と、
前記給紙台を昇降させながら前記突起部材を前記端部に接触させて前記用紙束の用紙を捌くよう制御する制御部と、
を備えた給紙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙束が積載されて昇降する給紙台を備えた給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、用紙束が積載されて昇降する給紙トレイと、給紙トレイの最上昇位置で最上の用紙と最上から2番目の用紙に向け風を送るファンと、用紙束にファンからの風が当たる前の、給紙トレイが上昇している途中で用紙束に曲げを発生させる突起部と、を備えた用紙積載装置(以下、給紙装置)について記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された給紙装置によれば、用紙束は、突起部によって捌かれた後、更に風が当てられるので、比較的簡易な構成で用紙間を確実に分離させることができる、とされる。用紙間が確実に分離することで、最上の用紙を搬送する際に2番目の用紙と共に重送される可能性が低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された給紙装置は、用紙に風を当てるためのファン及びダクトが必要であるため装置が大型化する。また、ファンの動作に伴い吸気音及び送風音が生じて装置全体の騒音レベルが増大する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、装置の大型化及び騒音レベルの増大を抑えつつ、用紙の重送の可能性を低減できる給紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は次の1)の構成を有する。
1)用紙束が積載される昇降可能な給紙台と、前記用紙束の端部に接触可能な突起部材と、前記給紙台を昇降させながら前記突起部材を前記端部に接触させて前記用紙束の用紙を捌くよう制御する制御部と、を備えた給紙装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、装置の大型化及び騒音レベルの増大を抑えつつ、用紙の重送の可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一態様に係る給紙装置91を示す模式的前面図である。
【
図2】
図2は、給紙装置91の構成を説明するための右前斜め上方から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、給紙装置91が備える用紙捌き部3の構成を説明するための右後ろ斜め上方から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、用紙捌き部3が備える突起部材32の動作を説明するための前方視での断面図である。
【
図6A】
図6Aは、給紙装置91の動作の第1段階を示す前方視での断面図である。
【
図6B】
図6Bは、給紙装置91の動作の第2段階を示す前方視での断面図である。
【
図6C】
図6Cは、給紙装置91の動作の第3段階を示す前方視での断面図である。
【
図6D】
図6Dは、給紙装置91の動作の第4段階を示す前方視での断面図である。
【
図6E】
図6Eは、給紙装置91の動作の第5段階を示す前方視での断面図である。
【
図6F】
図6Fは、給紙装置91の動作の第6段階を示す前方視での断面図である。
【
図7】
図7は、用紙の厚さに応じた突起部材32の突出量を説明するための前方視での断面図であり、
図7(a)は用紙が第1の厚さの場合、
図7(b)は用紙が第1の厚さよりも厚い第2の厚さの場合、
図7(c)は用紙が第2の厚さよりも厚い第3の厚さの場合、を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様の給紙装置について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。また、便宜的に上下左右の各方向を
図1に矢印で規定する。前方及び後方は、それぞれ
図1の紙面手前方及び紙面奥方である。
【0011】
以下に示す一態様は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
図1に示されるように、給紙装置91は、用紙に印刷を行う印刷本体装置92に隣接配置され、矢印DR1に示されるように、印刷本体装置92に対し用紙供給口91bから用紙を1枚ずつ供給する装置である。
給紙装置91は、一点鎖線で示される筐体91aの内部に、ガイド板1,給紙トレイ部2,用紙捌き部3,用紙搬送部5,及び制御部6を備えている。
【0013】
ガイド板1は、筐体91aに形成された用紙供給口91bに近い側に立設配置され上下前後方向に延材する基部1aと、基部1aの上縁から右斜め上方に傾斜して用紙供給口91b近傍まで延びる傾斜ガイド部1bとを有する。
基部1aの上下方向における中央より少し上方の位置には、
図2に示されるように、前後方向に離隔して一対の開口部1a1が形成されている。
【0014】
図1及び
図2に示されるように、給紙トレイ部2は、給紙台21,エンドフェンス22,及び昇降駆動部23を有する。
給紙台21は、上下方向に薄い扁平の箱状に形成されている。給紙台21の上面21aは、例えばA4などの所定サイズの用紙の束(以下、用紙束PBとする)が積載可能となっており、
図1及び
図2では用紙束PBが載置された状態が示されている。
図1に示されるように、給紙台21の右端部は、ガイド板1の基部1aに近接した位置にある。
【0015】
図1及び
図2に示されるように、エンドフェンス22は、給紙台21の上面21aから上方に突出し、上下前後方向に延在する板状部材である。エンドフェンス22とガイド板1の基部1aとの間の左右方向の距離は、給紙台21に載置される用紙束PBの長手又は短手の幅に対応して設定されている。従って、用紙束PBの右端部は、基部1aによってはみ出しなどがなく整列するようにガイドされる。
【0016】
なお、
図2では、給紙台21に、用紙束PBが左右方向を長手として載置された例が示されているが、もちろんこの向きに限定されない。給紙台21は、左右方向を短手として用紙束PBが載置されるものであってもよい。
【0017】
給紙台21の上面21aにおける左縁部には、用紙センサSPが配置されている。用紙センサSPは、給紙台21の上面21aに用紙束PBが載置されているか否かを検出し、検出情報を制御部6に向け出力する(
図3参照)。用紙センサSPの配置位置は、この例に限定されずどこであってもよい。
【0018】
昇降駆動部23は、不図示のモータ及び減速機構を有し、給紙台21を所定の上下位置の間で昇降させる。
所定の上下位置は、
図1に示される下限位置P1及び上限位置P2である。具体的には、給紙台21の昇降動作の下限位置P1は予め機械的に決められており、給紙台21の上面21aが所定の下限位置P1まで下降したか否かを、光センサなどの昇降第1センサS21(
図3参照)で検出するようになっている。
【0019】
一方、給紙台21の昇降動作の上限位置P2は、給紙台21に載置されている用紙束PBの厚さに応じて決められる。具体的には、用紙束PBの最上の用紙Pcが所定の上限位置P2まで上昇したか否かを、光センサなどの昇降第2センサS22(
図3参照)で検出する。
【0020】
昇降第1センサS21及び昇降第2センサS22は、筐体91a側の部材に設置されている。
図3に示されるように、昇降第1センサS21及び昇降第2センサS22は、検出結果を制御部6に向け出力する。制御部6は、入来したこれらの検出情報の情報に基づいて、昇降駆動部23の動作及び後述する用紙捌き部3の動作を制御する。
【0021】
図1及び
図2に示されるように、用紙搬送部5は、第1ローラ51及び第2ローラ52と、搬送モータ53とを有する。第1ローラ51及び第2ローラ52は、搬送モータ53により、
図1における反時計まわり方向に同期して回転する(矢印DR3参照)。
第1ローラ51は、給紙台21が、用紙束PBの最上の用紙Pcが上限位置P2に達したときに、最上の用紙Pc接触するように上下左右方向の位置が決められている。第2ローラ52は、ガイド板1の傾斜ガイド部1bに対応した位置にあり、傾斜ガイド部1bとの間に挟まれるように進入した用紙を、用紙供給口91bに向け搬送する。搬送モータ53の動作は、制御部6によって制御される。
【0022】
制御部6は、最上の用紙Pcが上限位置P2にあると判定し、印刷本体装置92から用紙搬送要求が入来したら、搬送モータ53を動作させ、第1ローラ51によって用紙Pcを
図1の右方に移動し、第2ローラ52と傾斜ガイド部1bの間に挟まれるように進入させる。これにより、用紙Pcは、第2ローラ52によって傾斜ガイド部1bに沿って用紙供給口91bに向け搬送され、印刷本体装置92に供給される。
【0023】
図3に示されるように、制御部6は、CPU(中央処理装置)61,突起動作制御部62,及び記憶部63を有する。CPU61は、給紙装置91の全体の動作を制御する。突起動作制御部62は、以下に説明する用紙捌き部3における突起部用モータ33の動作を制御する。記憶部63は、給紙装置91の全体の動作の制御に必要な情報、及び突起部用モータ33の動作の制御に必要な用紙の情報などを記憶する。
【0024】
制御部6には、突起部姿勢センサS3,昇降第1センサS21,昇降第2センサS22,及び用紙センサSPからの検出信号が入来する。また、制御部6には、使用者が、動作指示又は設定情報を入力する入力部64が接続されている。入力部64は、例えばタッチパネル或いはキーボードなどである。
【0025】
次に、用紙捌き部3について、
図1,
図2,及び
図4を参照して説明する。用紙捌き部3は、軸部31,一対の突起部材32,突起部用モータ33,駆動ギア332,遮蔽板34,突起部姿勢センサS3,ブラケット36,及びモータブラケット37を有する。
【0026】
軸部31は、前後方向に延びる軸線CL3を軸とする棒状部材であって、ガイド板1に固定具N1によって取り付けられたブラケット36によって回転自在に支持されている。
一対の突起部材32は、軸部31に対し、前後方向に離隔し周方向に同じ姿勢となるように一体的に固定されている。
【0027】
それぞれの突起部材32は、一端側が軸部31に固定されて径方向に延びる基部32aと、基部32aの径方向外側となる先端部位から概ね90°折れ曲がって
図1における反時計まわり方向に延出した先端部32bとを有する。軸部31には、駆動ギア332が一体的に固定されている。駆動ギア332は、突起部用モータ33の駆動軸に取り付けられたピニオン331に歯合している。
突起部用モータ33は、ブラケット36に固定具N2により固定されたモータブラケット37によって支持されている。
【0028】
これにより、突起部用モータ33の動作によって、軸部31及び軸部31と一体化された突起部材32が、軸線CL3まわりに回転する。突起部材32の軸線CL3まわりの回転方向は、突起部用モータ33の回転方向に応じて決まる。
突起部用モータ33の回転の有無及び回転方向を含む動作は、制御部6によって制御される。
【0029】
図4に示されるように、軸部31には、遮蔽板34が一体的に固定されている。遮蔽板34は、円盤状の円盤部34aと、円盤部34aから所定の周方向位置において所定の角度範囲で径方向の外方に延出した延出部34bとを有する。
突起部姿勢センサS3は、不図示の支持具によってガイド板1などに固定された光センサである。遮蔽板34の回転に伴い、延出部34bが突起部姿勢センサS3の検出領域内を通過することで、軸部31及び突起部材32の周方向位置を特定する検出信号を、制御部6に向け出力する(
図3参照)。
すなわち、突起部姿勢センサS3は、遮蔽板34と一体的に回転する突起部材32の軸線CL3まわりの姿勢を把握するための情報を検出して制御部6に向け出力する。
【0030】
制御部6の突起動作制御部62は、突起部姿勢センサS3からの検出信号などに基づいて、突起部材32が所定の角度範囲内で往復回動するように、突起部用モータ33の回転のON/OFF及び回転方向を制御する。
それにより、突起部材32は、先端部32bの位置が、
図5に示される最も反時計回り方向に回動した第1回動位置P3Aと、最も時計回り方向に回動した第2回動位置P3Bとの間の角度θaの範囲で回動する。通常時において、突起部材32は第2回動位置P3Bで維持されている。
【0031】
第1回動位置P3Aでは、先端部32bがガイド板1の基部1aに形成された開口部1a1から左方側の給紙台21の昇降エリア内に最も突出した突出姿勢となっている。
そのため、給紙台21の右端部には、昇降する給紙台21と開口部1a1から左方側に突出した先端部32bとが干渉しないように、左方側に抉られた一対の凹部21bを有している。一対の凹部21bは、一対の突起部材32に対応して形成されている。一方、開口部1a1から左方側に突出した先端部32bは、上面視において、給紙台21に載置された用紙束PBと干渉して接触可能な位置にある。
【0032】
第2回動位置P3Bでは、突起部材32は、先端部32bがガイド板1の基部1aよりも右方側に退避し、給紙台21及び用紙束PBと干渉しない退避姿勢となっている。
突起部材32が第1回動位置P3Aと第2回動位置P3Bとの間のどの回動位置にあるかは、突起部姿勢センサS3からの検出信号によって制御部6の突起動作制御部62が把握できるようになっている。
【0033】
以下、突起部材32が、その先端部32bが第1回動位置P3Aを含む開口部1a1から給紙台21側に突出して用紙束PBと干渉し得る回動位置にあるときを突出姿勢と称し、開口部1a1から突出しない姿勢にあるときを退避姿勢と称する。
【0034】
上述の構成を有する給紙装置91は、給紙トレイ部2に載置された用紙束PBの用紙を捌く動作を実行可能である。以下、
図6A~
図6Fを参照して用紙束PBの用紙を捌く動作を、第1段階~第6段階に分けて説明する。ここで、捌き動作とは、束として重なっている用紙を分離して用紙の間に空気を通す動作である。
【0035】
(第1段階:
図6A参照)
給紙装置91は、予め、使用者によって、空の給紙台21に新たに載置された用紙束PBに対し、捌き動作を実行する捌きモードが選択設定されているものとする。捌きモードに設定されていることは、記憶部63に設定情報として記憶される。
【0036】
第1段階は、空の給紙台21に、使用者によって用紙束PBが載置される段階である。給紙台21は下限位置P1にあり、突起部材32は、退避姿勢で維持されている。
使用者によって給紙台21の上面21aに用紙束PBが載置されると、用紙センサSP(
図2参照)によって用紙束PBの載置が検出され、検出情報が制御部6に出力される。制御部6は入来した検出情報をトリガとして捌き動作を実行する。
【0037】
(第2段階:
図6B参照)
第2段階として、制御部6は、給紙台21を上限位置P2まで上昇させる(矢印DR4参照)。上限位置P2は、用紙束PBの最上の用紙Pcが第1ローラ51及び第2ローラ52によって搬出可能となる位置である。
給紙台21が上限位置P2にあるときは、突起部材32が突出姿勢となっても、その先端部32bは用紙束PBの下側に位置する。
【0038】
(第3段階:
図6C参照)
第3段階として、制御部6は、突起部用モータ33を駆動して、突起部材32を、先端部32bが開口部1a1から左側へ突出するように回動させた突出姿勢とする(矢印DR5参照)。
先端部32bは、開口部1a1を通して給紙台21の凹部21bに進入する。
【0039】
(第4段階:
図6D参照)
第4段階として、制御部6は、昇降駆動部23(
図1及び
図3参照)を動作させて、給紙台21を下降させる(矢印DR6参照)。
突起部材32は、突出姿勢となっているので、先端部32bが用紙束PBと干渉する。すなわち、先端部32bは、下降する用紙束PBの右縁部を持ち上げる。そのため、用紙束PBは下降しながら先端部32bに当接して相対的に持ち上げられるように変形する。用紙束PBの用紙は、下側の用紙から順番に、縁部が持ち上げられて反りあがるようにある程度変形すると、先端部32bを越えてその下側に通過でき、変形が解消して再び束となる。先端部32bを通過して再び束となった部分は、突起部材32との干渉に伴う変形によって一枚ずつ捌かれているので、用紙間が確実に分離しており用紙搬送部5による搬送で重送となりにくい状態となっている。
【0040】
(第5段階:
図6E参照)
第5段階は、給紙台21が下降し(矢印DR7参照)、用紙束PBのすべての用紙が突起部材32を通過して捌かれた後の段階である。制御部6は、用紙束PBの枚数(高さ)を把握していないので、用紙束PBのすべての用紙が突起部材32を通過して捌かれていてもそのまま給紙台21を下降させる。
【0041】
(第6段階:
図6F参照)
第6段階は、給紙台21が下限位置P1に達した状態を示している。
制御部6は、昇降第1センサS21(
図3参照)からの検出信号に基づいて給紙台21が下限位置P1に達したことを把握したら、昇降駆動部23の動作を停止し、突起部用モータ33を動作させて突起部材32を退避位置に回動させる(矢印DR8参照)。これで捌き動作は終了となる。突起動作制御部62は、給紙台21に載置されている用紙束PBについて捌き動作が完了した旨の記録を記憶部63に記憶させる。
【0042】
捌き動作を実行したら、制御部6は、印刷本体装置92に直ちに用紙Pcを供給可能とするため、給紙台21を上限位置P2に上昇させ、
図6Bに示される状態にする。
【0043】
給紙装置91は、上述の捌き動作を、空の給紙台21に用紙束PBが載置されたら自動で実行する。もちろん、使用者の入力部64を介した入力指示によって、自動実行を停止してもよく、任意のタイミングで、手動で実行させるように設定してもよい。また、捌き動作の実行回数も使用者によって設定可能である。
【0044】
上述のように、給紙装置91は、捌き動作による用紙束PBの用紙間の分離を、ファン及びダクトなどの送風部材を備えることなく確実に実行でき、用紙搬送部5による搬送での用紙の重送が防止される。そのため、給紙装置91が大型化することはない。また、ファン及びダクトなどの送風部材を備えていないので、吸気音及び送風音が生じることはなく、給紙装置91の全体の騒音レベルが増大することはない。
【0045】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。
【0046】
制御部6の突起動作制御部62は、突起部材32の突出姿勢における先端部32bのガイド板1からの突出量を、種々の条件に応じて変えて最適化するものであってもよい。これについて、
図7(a)~
図7(c)を参照して説明する。
【0047】
突起動作制御部62は、例えば、用紙束PBの用紙のいわゆる腰の強さに応じて、先端部32bのガイド板1からの突出量を制御する。用紙の腰の強さは、材質が同じであれば一般的に用紙の厚さに依存する。
【0048】
図7(a)~(c)は、用紙厚の違いによる先端部32bの突出量の違いを示す図である。
図7(a)における用紙束PB1の用紙の厚さt1は、
図7(b)における用紙束PB2の用紙の厚さt2よりも薄い。厚さt2は、
図7(c)における用紙束PB3の用紙の厚さt3よりも薄い。すなわち、厚さt1<厚さt2<厚さt3となっており、例えば、厚さt1の用紙を薄紙、厚さt2の用紙を普通紙、厚さt3の用紙を厚紙とする。
【0049】
この用紙の厚さ違いに応じて、突起動作制御部62は、捌き動作時における先端部32bのガイド板1からの突出距離を異ならせるように制御する。これは用紙の厚さが薄いほど、用紙束PBにおいて用紙間が重なったままになりやすく、搬送において重送の可能性が高まることによる。
従って、突起動作制御部62は、用紙の厚さが薄いほど突出距離を大きく設定して捌き動作において用紙を大きく変形させるようにする。
【0050】
これに基づき、突起動作制御部62は、一定の厚さ以上では先端部32bを突出させずに捌き動作を実行しないようにしてもよい。
すなわち、突起動作制御部62は、厚さt1,t2,t3それぞれに対応して先端部32bの突出距離を、
図7(a)~(c)それぞれに示されるように、距離La>距離Lb>距離0(ゼロ)としている。
【0051】
突起動作制御部62は、上述の捌き動作を、新たな用紙束PBが載置される毎に1回実行するものに限定されず、設定によって複数回実行するものであってもよい。
また、用紙が薄いほど、用紙が重なり易いので、突起動作制御部62は、用紙が薄いほど、捌き回数を増やすように制御してもよい。この捌き動作の回数は用紙の平滑性が高いほど増やしてもよい。
【0052】
突起動作制御部62は、捌き動作を実行するか否か、及び捌き動作の実行回数を、用紙の材質,用紙束PBが給紙台21に載置されてからの経過時間,及び周囲環境の温度又は湿度、などのいずれかに応じて決めるものであってもよい。
【0053】
[付記1]
本出願は、以下の発明を開示する。
用紙束が積載される昇降可能な給紙台と、前記用紙束の端部に接触可能な突起部材と、前記給紙台を昇降させながら前記突起部材を前記端部に接触させて前記用紙束の用紙を捌くよう制御する制御部と、を備えた給紙装置。
【符号の説明】
【0054】
1 ガイド板
1a 基部
1a1 開口部
1b 傾斜ガイド部
2 給紙トレイ部
21 給紙台
21a 上面
21b 凹部
22 エンドフェンス
23 昇降駆動部
3 用紙捌き部
31 軸部
32 突起部材
32a 基部
32b 先端部
33 突起部用モータ
331 ピニオン
332 駆動ギア
34 遮蔽板
34a 円盤部
34b 延出部
36 ブラケット
37 モータブラケット
5 用紙搬送部
51 第1ローラ
52 第2ローラ
53 搬送モータ
6 制御部
61 CPU
62 突起動作制御部
63 記憶部
64 入力部
91 給紙装置
91a 筐体
91b 用紙供給口
92 印刷本体装置
CL3 軸線
La,Lb 距離
N1,N2 固定具
Pc 用紙
PB,PB1~PB3 用紙束
P3A 第1回動位置
P3B 第2回動位置
SP 用紙センサ
S21 昇降第1センサ
S22 昇降第2センサ
S3 突起部姿勢センサ
θa 角度