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特開2024-86147管理システム、管理装置、および管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086147
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】管理システム、管理装置、および管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20240620BHJP
【FI】
G16H10/60
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201126
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】507126487
【氏名又は名称】公立大学法人奈良県立医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳生 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】桐田 忠昭
(72)【発明者】
【氏名】中山 敏
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】人体組織の特徴に関する情報およびドナーの特徴に関する情報に基づいて、利用者が人体組織の情報を取得可能にする。
【解決手段】管理システム1であって、ドナー特徴情報と人体組織特徴情報とを関連付けて登録するデータベース21と、データベース21を管理する管理装置10と、検索端末40とを備え、管理装置10は、データベース21に登録されている情報を検索条件に基づいて検索するためのユーザインタフェースを検索端末40に提供可能であり、検索条件には、ドナー特徴情報と人体組織特徴情報とが含まれる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドナーから提供される人体組織の情報を管理する管理システムであって、
前記人体組織の情報は、前記ドナーの特徴に関するドナー特徴情報と、前記人体組織の特徴に関する人体組織特徴情報とを含み、
前記管理システムは、
前記ドナー特徴情報と前記人体組織特徴情報とが関連付けられて登録されたデータベースと、
前記データベースを管理する管理装置と、
前記人体組織の情報をユーザが検索するための検索端末とを備え、
前記管理装置は、前記データベースに登録された前記人体組織の情報を検索条件に従って検索し、検索結果を前記検索端末に送信可能であり、
前記管理装置は、ユーザインタフェースを前記検索端末に提供可能であり、
前記ユーザインタフェースは、前記ドナー特徴情報と前記人体組織特徴情報とを組み合せた検索条件を、前記ユーザが設定可能に構成されている、管理システム。
【請求項2】
前記人体組織は、前記ドナーから提供される歯牙である、請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記人体組織特徴情報は、前記人体組織の種類を示す情報と、前記人体組織の状態を示す情報とを含む、請求項1または請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記ドナー特徴情報は、前記ドナーの身体情報、検査情報、診断情報、処方情報、および生活習慣情報のいずれかを含む、請求項1または請求項2に記載の管理システム。
【請求項5】
前記検索条件は、検索対象とする前記ドナー特徴情報の取得時期を含む、請求項1または請求項2に記載の管理システム。
【請求項6】
前記データベースには、前記人体組織に関する前記ユーザの取引履歴と、2以上のドナー同士の血縁関係を特定可能な情報とがさらに登録され、
前記取引履歴は、前記ユーザに譲渡された前記人体組織のドナーを特定するための情報を含み、
前記ユーザインタフェースは、前記取引履歴に含まれる前記人体組織を提供したドナーの指定を含む検索条件、または前記取引履歴に含まれる前記人体組織を提供したドナーの血縁者の指定を含む検索条件を、ユーザが設定可能に構成されている、請求項1または請求項2に記載の管理システム。
【請求項7】
前記管理装置は、前記検索端末から前記検索条件に基づいた検索の予約を受け付けることが可能であり、
前記管理装置は、前記検索条件に合致する人体組織の情報が前記データベースに登録された場合に、予約を受け付けた前記検索端末へ通知情報を送信する、請求項1に記載の管理システム。
【請求項8】
前記通知情報は、前記検索条件に合致する人体組織の数を含む、請求項7に記載の管理システム。
【請求項9】
ドナーから提供される人体組織の情報を管理する管理装置であって、
前記人体組織の情報は、前記ドナーの特徴に関するドナー特徴情報と、前記人体組織の特徴に関する人体組織特徴情報とを含み、
前記管理装置は、前記ドナー特徴情報と前記人体組織特徴情報とが関連付けられて登録されたデータベースにアクセス可能であり、
前記管理装置は、
前記人体組織の情報をユーザが検索するための検索端末と通信する通信部と、
前記データベースに登録された前記人体組織の情報を検索条件に従って検索する検索部と、
前記検索部の検索結果を前記検索端末に送信する送信部と、
前記ドナー特徴情報と前記人体組織特徴情報とを組み合せた検索条件を前記ユーザが設定可能なユーザインタフェースを、前記検索端末に提供する提供部とを備える、管理装置。
【請求項10】
ドナーから提供される人体組織の情報を管理する管理プログラムであって、
前記人体組織の情報は、前記ドナーの特徴に関するドナー特徴情報と、前記人体組織の特徴に関する人体組織特徴情報とを含み、
コンピュータに、
前記ドナー特徴情報と前記人体組織特徴情報とが関連付けられて登録されたデータベースにアクセスするステップと、
前記人体組織の情報をユーザが検索するための検索端末と通信するステップと、
前記データベースに登録された前記人体組織の情報を検索条件に従って検索するステップと、
検索結果を前記検索端末に送信するステップと、
ユーザインタフェースを前記検索端末に提供するステップと、
前記ドナー特徴情報と前記人体組織特徴情報とを組み合せた検索条件を、前記ユーザが前記ユーザインタフェースにおいて設定する操作を受け付けるステップとを実行させる、管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドナーから提供される人体組織の情報を管理する管理システム、管理装置、および管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、治療によって患者から抜去された歯に付着している細胞の情報を管理し、必要に応じて、利用希望者にその人体組織を提供するためのシステムが知られている。
【0003】
たとえば、特許第4528584号公報(特許文献1)には、ドナーから提供された保存細胞の情報を管理するデータベースを備え、治療法などの入力画面情報を利用者端末に送信し、入力された治療法などに基づいて治療に必要な歯関連細胞または歯関連組織を得ることができる種類の保存細胞の情報をデータベースから検索して取得する、管理システムが記載されている。
【0004】
特許文献1には、ドナーの個人情報がデータベースに格納されるものの、保存細胞の抽出などに必要な情報のみが利用者端末に表示されるように、利用者端末に表示する情報を表示制限手段によって制限することが記載されている。特許文献1には、利用する保存細胞の抽出などに必要な情報のみを利用者端末に表示するようにでき、ドナーを特定できる情報や病歴などの個人情報など、取扱に注意を要する情報の漏洩を防止できるという効果が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4528584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ドナーから提供される人体組織は、ドナーの病歴や生活習慣などの、ドナーの影響を受けていると考えられる。このため、人体組織の利用者に対して、人体組織の特徴に関する情報のみならず、ドナーの病歴や生活習慣など、ドナーの特徴に関する情報を提供することができれば、利用者が両情報を用いて、有用な研究開発を進められる可能性がある。
【0007】
しかしながら、従来の管理システムでは、利用者端末には、保存細胞自体に関する情報が提供されるものの、その保存細胞のドナーに関する情報が提供されていなかった。このため、利用者は、上記のような有用な研究開発を進めることができなかった。
【0008】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ドナーの特徴に関するドナー特徴情報および人体組織の特徴に関する人体組織特徴情報に基づいて、利用者が人体組織の情報を取得可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、ドナーから提供される人体組織の情報を管理する管理システムであって、人体組織の情報は、ドナーの特徴に関するドナー特徴情報と、人体組織の特徴に関する人体組織特徴情報とを含み、管理システムは、ドナー特徴情報と人体組織特徴情報とが関連付けられて登録されたデータベースと、データベースを管理する管理装置と、人体組織の情報をユーザが検索するための検索端末とを備え、管理装置は、データベースに登録された人体組織の情報を検索条件に従って検索し、検索結果を検索端末に送信可能であり、管理装置は、ユーザインタフェースを検索端末に提供可能であり、ユーザインタフェースは、ドナー特徴情報と人体組織特徴情報とを組み合せた検索条件を、ユーザが設定可能に構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ドナー特徴情報と人体組織特徴情報とに基づいて、利用者が人体組織の情報を取得可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】管理システムの全体構成を示す図である。
図2】管理装置のソフトウェア構成と、データベースの種類とを示す図である。
図3】ドナー特定用データベースの構成を示す図である。
図4】譲渡人特定用データベースの構成を示す図である。
図5】譲受人特定用データベースの構成を示す図である。
図6】ドナー特徴情報データベースの構成を示す図である。
図7】歯牙特徴情報データベースの構成を示す図である。
図8】対応関係データベースの構成を示す図である。
図9】取引履歴データベースの構成を示す図である。
図10】譲渡人端末に表示される登録画面を示す図である。
図11】譲受人端末に表示される検索画面を示す図である。
図12】譲受人端末に表示される検索画面(ドナー指定)を示す図である。
図13】譲受人端末に表示される検索画面(血縁関係指定)を示す図である。
図14】譲受人端末に表示される予約画面を示す図である。
図15】譲受人端末に表示される検索結果画面を示す図である。
図16】管理装置、譲渡人端末、譲受人端末、電子カルテ装置、ドナーデバイス、および医療機関の端末における処理の流れを示すタイミングチャートである。
図17】管理装置により実行される登録処理の手順を示すフローチャートである。
図18】管理装置により実行される検索処理の手順を示すフローチャートである。
図19】管理装置により実行される予約処理の手順を示すフローチャートである。
図20】ドナー特徴情報および歯牙特徴情報の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0013】
<管理システム1の全体構成>
図1は、本実施の形態に関わる管理システム1の全体構成を示す図である。管理システム1に関わる個人および組織には、人体組織の一例となる歯牙を提供するドナーと、ドナーから提供された歯牙の情報を管理する管理機関100と、ドナーから提供された歯牙を譲渡する譲渡人301,302…と、譲渡人300から歯牙を無料または有料で譲り受ける譲受人401,402…とが含まれる。
【0014】
ドナーは、スマートフォンなどによって構成されるドナー端末91を所有し、ウエアラブルデバイスなどによって構成されるドナーデバイス92を身に付けている。
【0015】
管理機関100は、ドナーから提供される歯牙の情報、および譲渡人300と譲受人400との間で行われる歯牙の取引を管理する。管理機関100は、ドナーから提供される歯牙の情報を管理する管理装置10を有する。管理装置10は、サーバ装置などによって構成される。管理装置10は、プロセッサ11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、通信インタフェース14とを備える。ROM12には、管理装置10の処理を実現するための管理プログラムが格納されている。プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、およびMPU(Multi Processing Unit)のうちの少なくとも1つを含む。プロセッサ11は、ROM12とおよびRAM13を用いて、各種の処理を実行する。管理装置10は、通信インタフェース14を介して、記憶装置20およびネットワーク800と接続されている。
【0016】
データベース21の構築された記憶装置20を管理装置10が備えるように構成してもよい。記憶装置20を管理装置10から離れた場所に設置し、管理装置10と記憶装置20とをネットワーク800で接続してもよい。
【0017】
記憶装置20は、HDD(Hard Disk Drive)およびSSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリを含む。記憶装置20には、ドナーから提供される歯牙の情報が登録されたデータベース21が構築されている。
【0018】
譲渡人301,302…は、ドナーが口腔治療の患者として通う医療機関によって構成される。そのような医療機関には、大学病院の口腔外科および歯科クリニックなどが含まれる。譲渡人301,302…は、パーソナルコンピュータなどによって構成される譲渡人端末30を有する。以下では、譲渡人301,302…を纏めて譲渡人30nと称する。
【0019】
譲受人401,402…は、歯牙を利用して様々な研究開発を行う企業などの研究開発組織または個人の研究者によって構成される。譲受人401,402…は、たとえば、電動歯ブラシメーカー、歯磨き粉メーカー、および審美商品メーカーなどである。譲受人401,402…は、パーソナルコンピュータなどによって構成される譲受人端末40を有する。以下では、譲受人401,402…を纏めて譲受人40nと称する。譲受人端末40は、検索端末の一例である。
【0020】
医療機関500は、ドナーが口腔治療以外を目的として通う、内科、成形外科、その他の医療機関である。医療機関500は、パーソナルコンピュータなどによって構成される端末50を有する。
【0021】
電子カルテ装置60は、ネットワーク800を介して、譲渡人端末30、端末50、および管理装置10と通信可能に接続される。
【0022】
管理システム1は、管理装置10、譲渡人端末30、および譲受人端末40を少なくとも含む。管理システム1は、ドナー端末91、およびドナーデバイス92をさらに含んでいてもよい。さらに、管理システム1は、電子カルテ装置60、および医療機関500が有する端末50を含んでいてもよい。
【0023】
譲渡人30nは、患者として通院するドナーの歯科治療を行う。譲渡人30nは、ドナーを対象として、診察、検査および診断をし、必要に応じてドナーの歯を抜去する。譲渡人30nは、抜去した歯牙に洗浄などの必要な処理をした後、歯牙を管理機関100へ移送する。管理機関100は、適切な保存環境において、歯牙を保存および管理する。管理機関100と異なる保存機関において、歯牙を保存してもよい。
【0024】
譲渡人30nは、歯牙を管理機関100へ移送する前に、権利放棄手続をドナーに依頼する。ドナーが権利放棄手続をすることによって、歯牙を譲受人40nに譲渡することが可能となる。ドナーは、ドナー端末91を用いて、権利放棄情報を入力する。権利放棄情報は、ネットワーク800を介して管理装置10へ送信される。管理装置10は、権利放棄情報に基づいて、ドナーの権利放棄手続を実行する。
【0025】
譲渡人30nは、譲渡人端末30を用いて、ドナーから提供を受けた歯牙の情報を管理機関100に登録する処理を行う。歯牙の情報には、ドナーの氏名、住所などの情報の他、ドナーの生体を特徴付けるドナー特徴情報と、歯牙を特徴付ける歯牙特徴情報とを管理装置10へ送信する。ドナー特徴情報には、譲渡人30nが歯科治療によって取得したドナーの性別、年齢、検査情報、および治療情報などが含まれる。歯牙特徴情報には、抜去された歯牙の種類および状態が含まれる。管理装置10は、ドナー特徴情報と歯牙特徴情報とを対応付けてデータベース21に登録する。
【0026】
電子カルテ装置60は、ドナー(患者)の名前、性別、年齢などの情報に加えて、ドナーのカルテ情報を記憶している。カルテ情報には、医師および歯科医師の所見、主訴、既往症、嗜好、診断に用いた医用画像、傷病名、投薬(処方)、処置、注射、検査、手術、画像診断、およびリハビリテーションなどの情報が含まれる。
【0027】
電子カルテ装置60は、譲渡人端末30および端末50からドナーのカルテ情報を受信し、受信したカルテ情報をドナー別に記憶する。電子カルテ装置60は、ドナーのカルテ情報を管理装置10へ送信する。
【0028】
ドナーデバイス92は、ドナーの様々な身体活動情報(心拍数、血圧、呼吸数、睡眠状況、活動量など)を計測する。ドナーデバイス92は、身体活動情報を、ネットワーク800を介して管理装置10へ送信する。
【0029】
管理装置10は、譲渡人端末30から受信したドナー特徴情報および歯牙特徴情報をデータベース21に登録した後、電子カルテ装置60から受信したカルテ情報、およびドナーデバイス92から受信した身体活動情報に基づいて、データベース21内のドナー特徴情報を更新する。これにより、データベース21内のドナー特徴情報が充実する。
【0030】
たとえば、譲渡人端末30から受信したドナー特徴情報には、口腔の疾患に関する治療情報が含まれるものの、ドナーの他の疾患に関する情報は含まれないかもしれない。しかし、ドナーが他の医療機関500で、たとえば、糖尿病に関する診察を受けた場合、管理装置10は、電子カルテ装置60からドナーの糖尿病に関するカルテ情報を取得することができる。この場合、データベース21には、ドナー特徴情報として、歯牙の治療情報と糖尿病の治療情報とが登録される。したがって、ドナーの歯牙特徴情報と対応して登録されるドナー特徴情報の内容が充実する。
【0031】
譲受人40nは、譲受人端末40を操作して、管理装置10と通信し、データベース21に登録されている歯牙の情報を検索する。特に、本実施の形態に係る管理システム1は、ドナー特徴情報と歯牙特徴情報とを組み合わせた検索条件で歯牙の情報を検索することが可能なユーザインタフェースを、譲受人端末40に提供する。このため、譲渡人は、たとえば、特定の種類および状態の歯牙であり、かつ、糖尿病などの特定の疾患を有するドナーの歯牙を指定して、データベース21内の歯牙特徴情報を検索することができる。
【0032】
<管理装置10のソフトウェア構成、およびデータベース21の種類>
図2は、管理装置10のソフトウェア構成と、データベース21の種類とを示す図である。図2に示されるように、管理装置10は、発行部110と、検索部120と、通信部130と、登録部140とを備える。これらは、図1に示される管理装置10内の構成によって実現される。
【0033】
データベース21は、ドナー特定用データベース211と、譲渡人特定用データベース212と、譲受人特定用データベース213と、ドナー特徴情報データベース214と、歯牙特徴情報データベース215と、対応関係データベース216と、取引履歴データベース217とを含む。
【0034】
発行部110は、ドナー管理コード発行部111と、歯牙管理コード発行部112とを含む。ドナー管理コード発行部111は、ドナーを識別するためのドナー管理コードを発行する。歯牙管理コード発行部112は、提供された歯牙を識別するための歯牙管理コードを発行する。発行部110は、さらに、譲渡人を識別するための譲渡人管理コード、および譲受人を識別するための譲受人管理コードなどを発行する。
【0035】
通信部130は、譲渡人端末30、譲受人端末40、電子カルテ装置60、ドナー端末91、ドナーデバイス92、および記憶装置20と通信する。通信部130は、譲渡人端末30からドナー特徴情報および歯牙特徴情報を受信する。通信部130は、電子カルテ装置60からドナーのカルテ情報を受信する。通信部130は、ドナー端末91からドナーの権利放棄情報を受信する。通信部130は、ドナーデバイス92からドナーの身体活動情報を受信する。通信部130は、電子カルテ装置60からドナーのカルテ情報を受信する。
【0036】
通信部130は、譲受人端末40に検索用のインタフェース画面を送信する。通信部130は、譲受人端末40から検索条件を受信する。通信部130は、譲受人端末40から検索条件に基づいた検索結果を送信する。
【0037】
登録部140は、ドナー特徴情報登録部141と、歯牙特徴情報登録部142と、権利放棄情報登録部143とを含む。ドナー特徴情報登録部141は、譲渡人端末30から受信したドナー特徴情報を、ドナー管理コード発行部111によって発行されたドナー管理コードと共に、ドナー特徴情報データベース214に登録する。
【0038】
歯牙特徴情報登録部142は、譲渡人端末30から受信した歯牙特徴情報を、歯牙管理コード発行部112によって発行された歯牙管理コードと共に、歯牙特徴情報データベース215に登録する。権利放棄情報登録部143は、ドナー端末91から受信した権利放棄情報を権利放棄に関わる歯牙別に歯牙特徴情報データベース215に登録する。
【0039】
その他、登録部140は、ドナー特定用データベース211、譲渡人特定用データベース212、譲受人特定用データベース213、対応関係データベース216、および取引履歴データベース217に様々な情報を登録する機能を備える。
【0040】
登録部140は、ドナー管理コード発行部111によって発行されたドナー管理コードを、ドナーの氏名および連絡先などの個人情報と共にドナー特定用データベース211に登録する。登録部140は、発行部110によって発行された譲渡人管理コードを、譲渡人の名称および連絡先などの情報と共に譲渡人特定用データベース212に登録する。登録部140は、発行部110によって発行された譲受人管理コードを、譲受人の名称および連絡先などの情報と共に譲受人特定用データベース213に登録する。
【0041】
登録部140は、歯牙特徴情報と、その歯牙を提供したドナーとの関係を特定するための情報を、対応関係データベースに登録する。登録部140は、歯牙に関する取引が成立した場合、歯牙の譲渡を受けた譲受人と、譲渡対象の歯牙との関係を特定するための情報を、取引履歴データベースに登録する。
【0042】
検索部120は、検索項目特定部121と、関連期間特定部122と、検索実行部123と、検索画面生成部124と、結果画面生成部125と、予約受付部126とを含む。
【0043】
検索画面生成部124は、譲受人端末40に提供するための検索用のインタフェース画面を生成する。検索画面生成部124は、「ドナー特徴情報と人体組織特徴情報とを組み合せた検索条件をユーザが設定可能なユーザインタフェースを、検索端末に提供する提供部」の一例である。譲受人40nは、検索用のインタフェース画面を用いて、検索項目を入力する。検索項目は、ドナーの特徴に関するドナー特徴情報と、歯牙の特徴に関する歯牙特徴情報とに大別される。これにより、検索条件が設定される。検索項目特定部121は、譲受人端末40によって設定された検索項目を特定する。
【0044】
関連期間特定部122は、譲受人端末40によって設定された関連期間を特定する。管理装置10は、ドナー特徴情報の検索範囲を設定するためのインタフェース画面を譲受人端末40に提供する。そのインタフェース画面では、ドナーの抜歯日を基準にして、ドナー特徴情報の検索範囲を設定することができる。たとえば、抜歯日の前後3ヶ月を関連期間として設定し、かつ、糖尿病の診断履歴有を設定した場合を考える。この場合、検索対象は、抜歯日の前後3ヶ月において糖尿病と診断されたドナーの歯牙となる。これにより、譲受人40nは、糖尿病に関わる歯牙を、その疾患関連期間を指定した上で検索することができる。
【0045】
検索実行部123は、検索条件に基づいてデータベース21内の歯牙特徴情報を検索する。結果画面生成部125は、検索結果を表示するための画面を生成する。検索結果は、通信部130によって譲受人端末40に送信される。譲受人端末40は、検索結果を表示する。
【0046】
予約受付部126は、譲受人端末40から検索の予約を検索条件と共に受け付ける。検索実行部123は、予約受付部126が受け付けた検索条件に基づいて、定期的に、あるいは、不定期に、データベース21内の歯牙の情報を検索する。結果画面生成部125は、予約に基づいた検索結果を表示するための画面を生成する。予約に基づいた検索結果は、通信部130によって譲受人端末40に送信される。譲受人端末40は、予約に基づいた検索結果を表示する。
【0047】
<各データベースの構成>
図3は、ドナー特定用データベース211の構成を示す図である。ドナー特定用データベース211は、ドナーを識別するためのドナー管理コードと、ドナーの個人番号とを含む。ドナーの個人番号は、たとえば、健康保険証の番号、あるいは、マイナンバーカードのカード番号である。ドナー特定用データベース211には、さらに、氏名、連絡先、血縁関係者などの個人情報が含まれる。
【0048】
血縁関係者の情報は、血縁関係者に対して発行されたドナー管理コードである。図3に示されるドナー特定用データベース211によれば、ドナー管理コード1Aによって識別されるドナーには、ドナー管理コード2Dによって識別される血縁関係者が居ることがわかる。血縁関係者の情報として、血縁関係者の健康保険証の番号、あるいは、マイナンバーカードのカード番号をドナー特定用データベース211に登録してもよい。
【0049】
血縁関係者の情報は、譲受人が過去に入手した歯牙のドナーと血縁関係にあるドナーの歯牙を入手したい場合に、検索条件の1つとして利用される。
【0050】
なお、ドナー特定用データベース211に登録された情報のうち、譲受人端末40に提供される情報は、ドナー管理コードの情報のみである。換言すると、管理装置10は、ドナー本人を直接特定できるような個人情報が譲受人端末40に提供されることを制限する制限部を備えている。
【0051】
図4は、譲渡人特定用データベース212の構成を示す図である。譲渡人特定用データベース212は、譲渡人を識別するための譲渡人管理コードと、譲渡人の名称(医療機関名称)と、連絡先などの情報とを含む。
【0052】
図5は、譲受人特定用データベース213の構成を示す図である。譲受人特定用データベース213は、譲受人を識別するための譲受人管理コードと、譲受人の名称(企業名、研究機関名など)と、連絡先などの情報とを含む。
【0053】
図6は、ドナー特徴情報データベース214の構成を示す図である。ドナー特徴情報データベース214には、ドナー管理コード別に、ドナーの特徴に関するドナー特徴情報が登録されている。ドナーの特徴に関するドナー特徴情報は、名前や住所などの情報でなく、ドナーの生体を特徴付ける情報である。図6に示されるように、ドナー特徴情報は、種別と、内容と、取得年月日との3つのカテゴリによって構成されている。
【0054】
たとえば、「身体情報」は、年齢、性別、人種、身長、および体重などである。「検査情報」は、血液検査結果、X-ray映像、CT映像、MRI映像、心電図検査、およびゲノム分析結果などである。「診断情報」は、診断された病名およびその進行状態などである。「生活習慣情報」は、身体活動情報、飲食摂取情報、運動情報などである。「処方情報」は、投薬されている薬の情報などである。
【0055】
「内容」欄には、「種別」に対応する情報の具体的な内容が登録されている。「取得年月日」には、対応するドナー特徴情報が取得された年月日の情報が登録されている。たとえば、ドナーが抜歯した医療機関において、抜歯の前にドナーの歯に関わる病名が診断されていたものとする。この場合、医療機関は、譲渡人端末30を用いて、抜歯した歯牙の歯牙特徴情報と共に、病名を含むドナー特徴情報を、管理装置10へ送信するかもしれない。
【0056】
その場合、ドナー特徴情報データベース214には、ドナーの診断情報として病名が取得年月日と共に登録される。取得年月日は、管理装置10がドナー特徴情報を受信した年月日であってもよく、対象の情報が生成された年月日であってもよい。たとえば、情報が診断された病名である場合、カルテが作成された年月日を取得年月日として採用してもよい。
【0057】
図6に示されるように、ドナー特徴情報データベース214には、取得年月日の異なる同じ種別の情報が複数登録される場合がある。ドナーの身体状態は年月の経過に応じて変化するため、過去のある時点において、高血圧症と診断されていたドナーが、後に糖尿病と診断されるケースもある。なお、高血圧症および糖尿病などの診断は、図1に示される医療機関500によって行われるかもしれない。ドナー特徴情報データベース214には、診断情報として、種類の異なる病名が登録される。取得年月日に注目することによって、ドナーの状態が変化した段階を特定することができる。
【0058】
図7は、歯牙特徴情報データベース215の構成を示す図である。歯牙特徴情報データベース215には、歯牙管理コード別に、歯牙の特徴に関する歯牙特徴情報が登録されている。たとえば、歯牙特徴情報には、歯種、歯色、う蝕罹患歯、および歯牙または口腔内を撮影した画像が含まれる。
【0059】
歯種は、乳歯、永久歯、前歯、および犬歯などの種類を示す。歯色は、たとえば、シェードガイドに基づいて分類された歯の色を示す記号によって示される。たとえば、Aタイプは赤茶色を示し、Bタイプは赤黄色を示し、Cタイプは灰色を示し、Dタイプは赤灰色を示す。う蝕罹患歯は、う蝕の程度を示すC0~C4によって示される。画像は、たとえば、口腔内スキャナーによって撮影された3次元画像である。
【0060】
歯種は、歯牙の種類を示す情報の一例である。歯色および蝕罹患歯は、歯牙の状態を示す情報の一例である。本実施の形態において、歯牙の種類とは、その歯牙が有する、経時的に変化しない固有の性質のものと定義され、歯牙の状態とは、環境の影響を受けて経時的に変化する性質のものと定義される。
【0061】
歯牙の状態を示す情報として、歯牙特徴情報データベース215には、健全歯、齲蝕歯、有髄歯、無髄歯などの種別を追加してもよい。歯牙特徴情報データベース215には、歯牙のドナーによって作成された権利放棄情報が含まれている。
【0062】
図8は、対応関係データベース216の構成を示す図である。対応関係データベース216には、歯牙の歯牙管理コードと、歯牙を提供したドナーのドナー管理コードとが対応付けられて登録されている。たとえば、図8に示される対応関係データベース216によれば、歯牙管理コード1によって識別される歯牙が、ドナー管理コード95Aによって識別されるドナーから提供されていることがわかる。対応関係データベース216には、ドナーが歯牙を提供した譲渡人30nの譲渡人管理コードを併せて登録してもよい。
【0063】
図9は、取引履歴データベース217の構成を示す図である。取引履歴データベース217には、譲渡された歯牙の歯牙管理コードと、歯牙を譲り受けた譲受人40nの譲受人管理コードとが対応付けられて登録されている。たとえば、図9に示される取引履歴データベース217によれば、歯牙管理コード1によって識別される歯牙が、譲受人管理コード10Bによって識別される譲受人40nに譲渡されていることがわかる。また、歯牙管理コード2に対応する譲受人管理コードの欄が空欄であることから、歯牙管理コード2に対応する歯牙については、譲受人40nが定まっていないことがわかる。取引履歴データベース217には、歯牙を譲受人40nに譲渡した譲渡人30nの譲渡人管理コードを併せて登録してもよい。
【0064】
<登録画面の説明>
図10は、譲渡人端末30に表示される登録画面35を示す図である。図10に示されるように、譲渡人端末30は、表示装置31と、マウス32と、キーボード33とを備える。管理装置10は、登録画面35を表示装置31に表示するための情報を、譲渡人端末30に送信する。登録画面35は、譲渡人30nがドナー特徴情報および歯牙特徴情報をデータベース21に登録するために、管理システム1によって提供されるユーザインタフェースの一例である。マウス32およびキーボード33は、譲渡人30nが登録画面35の表示に従って登録事項を入力するための入力部の一例である。
【0065】
登録画面35には、ドナー管理コードと、歯牙管理コードと、登録年月日と、登録する情報の入力欄350とが表示される。管理装置10は、ドナー管理コードおよび歯牙管理コードを自動的に発行し、発行したコードを登録画面35に表示する。管理装置10は、譲渡人端末30から登録要求を受けた日時に基づいて、登録年月日を自動的に登録画面35に表示する。
【0066】
入力欄350は、ドナー特徴情報入力欄351と、歯牙特徴情報入力欄352とを含む。譲渡人30nは、歯牙の提供者であるドナーのドナー特徴情報をドナー特徴情報入力欄351に入力する。譲渡人30nは、提供を受けた歯牙の歯牙特徴情報を歯牙特徴情報入力欄352に入力する。
【0067】
ドナー特徴情報入力欄351および歯牙特徴情報入力欄352は、譲渡人30nが様々な種別の中から入力対象の種別を選択できるようにするための、プルダウン形式のインタフェースを提供する。譲渡人30nは、ドナー特徴情報入力欄351および歯牙特徴情報入力欄352に含まれる項目追加ボタンをクリックすることによって、入力する種別の数を増やすことができる。
【0068】
図10には、ドナー特徴情報入力欄351に対応する種別として、身体、検査、診断などが選択されている状態が示されている。譲渡人30nは、ドナー特徴情報の種別を選択した後、種別欄の右の空白欄に種別に対応する情報を入力する。
【0069】
たとえば、譲渡人30nは、「身体」に対して、ドナーの身長、体重、血液型などの情報を入力する。譲渡人30nは、「検査」に対して、検査の内容および検査結果を入力する。このような種別に対応する内容について、選択形式で譲渡人30nが入力できるようなインタフェースを採用してもよい。また、検査結果として、検査画像を添付できるインタフェースを採用してもよい。たとえば、譲渡人端末30と口腔内スキャナーとが接続された状態において、ドナーの口腔内の3次元画像が口腔内スキャナーによって撮影された場合、3次元画像がドナー特徴情報の一部として自動的に譲渡人端末30で取り込まれるように構成してもよい。
【0070】
譲渡人30nは、ドナー特徴情報の充実化のために、診療に必要でなかった情報をわざわざ調査し、ドナー特徴情報入力欄351に入力する必要はない。譲渡人30nが取得しなかったドナー特徴情報は、電子カルテ装置60などを通じて、管理装置10のデータベース21に補充されるであろう。
【0071】
図10には、歯牙特徴情報入力欄352に対応する種別として、歯種、歯色、う蝕罹患歯、および不完全歯が選択されている状態が示されている。譲渡人30nは、歯牙特徴情報の種別を選択した後、種別欄の右の空白欄に種別に対応する情報を入力する。
【0072】
たとえば、譲渡人30nは、「歯種」に対して、乳歯、永久歯、前歯、および犬歯などの情報を入力する。歯牙特徴情報入力欄352は、「歯種」に関して、選択形式で譲渡人30nが入力できるようなインタフェースを採用してもよい。たとえば、歯牙特徴情報入力欄352は、「切歯」、「犬歯」および「臼歯」のいずれかの入力を選択的に受け付けてもよい。
【0073】
あるいは、歯牙特徴情報入力欄352は、大分類に対応する「歯種」の入力と、小分類に対応する「歯種」の入力とを受け付けてもよい。たとえば、大分類として、「乳歯」と「永久歯」とを採用してもよい。その場合、「乳歯」に対応する小分類として、乳中切歯、乳側切歯、乳犬歯、および第1,第2臼歯を採用し、「永久歯」に対応する小分類として、中切歯、側切歯、犬歯、第1,第2小臼歯、第1,第2大臼歯、および第3大臼歯(親知らず)を採用してもよい。
【0074】
譲渡人30nは、「歯色」に対して、たとえば、シェードガイドに基づいて分類された歯の色を示す記号を入力する。譲渡人30nは、「歯色」に対して、たとえば、う蝕の程度を示すC0~C4のいずれかの記号を入力する。歯牙特徴情報入力欄352は、「歯色」および「う蝕罹患歯」に関して、選択形式で譲渡人30nが入力できるようなインタフェースを採用してもよい。
【0075】
たとえば、譲渡人30nは、「身体」に対して、ドナーの身長、体重、血液型などの情報を入力する。譲渡人30nは、「検査」に対して、検査の内容および検査結果を入力する。このような種別に対応する内容について、選択形式で譲渡人30nが入力できるようなインタフェースを採用してもよい。また、検査結果として、検査画像を添付できるインタフェースを採用してもよい。ドナー特徴情報入力欄351の種別には、ドナーの性別を設けてもよい。なお、登録画面35には、ドナーの氏名、および住所などの書誌的事項を入力する欄をさらに設けてもよい。
【0076】
譲渡人30nは、ドナー特徴情報入力欄351および歯牙特徴情報入力欄352への入力を終えた後、登録画面35内の登録ボタンをクリックする。譲渡人端末30は、登録ボタンのクリックを検出したときに、ドナー特徴情報入力欄351および歯牙特徴情報入力欄352への入力情報を、管理装置10へ送信する。管理装置10は、入力情報を分類し、データベース21にドナー特徴情報と歯牙特徴情報とを対応付けて登録する。より具体的には、管理装置10は、対応関係データベース216に歯牙管理コードとドナー管理コードとを対応づけて登録する。
【0077】
<検索画面の説明>
図11は、譲受人端末40に表示される検索画面45を示す図である。図11に示されるように、譲受人40nは、表示装置41と、マウス42と、キーボード43とを備える。管理装置10は、検索画面45を表示装置41に表示するための情報を、譲受人端末40に送信する。検索画面45は、ドナー特徴情報と人体組織特徴情報とを組み合せた検索条件をユーザが設定可能なユーザインタフェースの一例である。マウス42およびキーボード43は、譲受人40nが検索画面45の表示に従って検索条件を入力するための入力部の一例である。
【0078】
検索画面45には、ドナー特徴情報検索欄451と、歯牙特徴情報検索欄452とが含まれる。譲受人40nは、入手したい歯牙をデータベース21から検索するときに、検索画面45を用いて検索条件を設定する。検索画面45は、歯牙特徴情報とドナー特徴情報とを組み合わせた検索条件を設定するためのユーザインタフェースを譲受人40nに提供する。
【0079】
ドナー特徴情報検索欄451および歯牙特徴情報検索欄452は、譲受人40nが様々な種別の中から検索対象の種別を選択できるようにするための、プルダウン形式のインタフェースを提供する。譲受人40nは、ドナー特徴情報検索欄451および歯牙特徴情報検索欄452に含まれる項目追加ボタンをクリックすることによって、入力する種別の数を増やすことができる。
【0080】
図11には、ドナー特徴情報検索欄451に対応する種別として、図10と同様に、身体、検査、診断などが選択されている状態が示されている。図11には、歯牙特徴情報検索欄452に対応する種別として、図10と同様に、歯種、歯色、う蝕罹患歯、および不完全歯が選択されている状態が示されている。
【0081】
譲受人40nは、検索するドナー特徴情報の種別を選択した後、種別欄の右の空白欄に種別に対応する情報を入力する。譲受人40nは、歯牙特徴情報の種別を選択した後、種別欄の右の空白欄に種別に対応する情報を入力する。ドナー特徴情報検索欄451および歯牙特徴情報検索欄452において、選択形式で譲受人40nが情報を入力できるようなインタフェースを採用してもよい。
【0082】
ドナー特徴情報検索欄451には、関連期間設定欄453が含まれている。譲受人40nは、関連期間設定欄453を利用して、ドナーの抜歯日を基準にして、ドナー特徴情報の検索範囲を設定することができる。関連期間設定欄453には、検索範囲を設定するための設定アイコン4531が表示される。
【0083】
譲受人40nは、設定アイコン4531の長さおよび両端の位置をマウス42で指定することによって、関連期間を様々に設定することができる。図11には、設定アイコン4531の設定例が2つ示されている。たとえば、譲受人40nは、抜歯日を含む過去6ヶ月以内に取得されたドナー特徴情報を検索対象としたり、抜歯日から1ヶ月以内に取得されたドナー特徴情報を検索対象としたりすることができる。
【0084】
譲受人40nは、たとえば、抜歯日から3ヶ月以内を関連期間として設定した後、「診断」種別において「糖尿病」を入力することによって、抜歯日から3ヶ月以内において糖尿病と診断されたドナーの歯牙を検索対象とすることができる。あるいは、譲受人40nは、抜歯日から3ヶ月以内を関連期間として設定した後、「検査」種別において血液検査(A1c異常)を入力することによって、抜歯日から3ヶ月以内に、糖尿病に関連するA1c異常が認められたドナーの歯牙を検索対象とすることができる。
【0085】
譲受人40nである企業等の中には、ドナーの特徴に関するドナー特徴情報と、歯牙の特徴に関する歯牙特徴情報とを関連付けて、歯牙を検索したいという潜在的な要望が存在するものと考えられる。本実施の形態においては、関連期間の設定を可能にすることによって、どの段階でドナーの特徴が発現したかという観点が考慮された状態において、歯牙を検索することが可能になる。本実施の形態によれば、たとえば、特性の傷病の状態のドナーの歯牙、あるいは、悪性腫瘍などの未病の状態のドナーの歯牙を検索対象とした検索用インタフェースを提供することができる。
【0086】
譲受人40nは、ドナー特徴情報検索欄451および歯牙特徴情報検索欄452への入力を終えた後、検索画面45内の検索ボタンをクリックする。譲受人端末40は、検索ボタンのクリックを検出したときに、ドナー特徴情報検索欄451および歯牙特徴情報検索欄452への入力情報を、管理装置10へ送信する。管理装置10は、入力情報に基づく検索条件でデータベース21を検索し、検索結果を譲受人端末40へ送信する。
【0087】
管理システム1は、検索画面45のドナー特徴情報検索欄451に情報が入力され、歯牙特徴情報検索欄452に情報が入力されなかった場合、ドナー特徴情報検索欄451に対応する検索結果として、対象のドナーの人数を譲受人端末40に提供してもよい。管理システム1は、検索画面45の歯牙特徴情報検索欄452に情報が入力され、ドナー特徴情報検索欄451に情報が入力されなかった場合、歯牙特徴情報検索欄452に対応する検索結果として、対象の歯牙特徴情報を譲受人端末40に提供してもよい。
【0088】
<検索画面の説明(ドナーを指定した検索)>
図12は、譲受人端末40に表示される検索画面45を示す図である。ここでは、図12を用いて、ドナーを指定した検索条件を入力するための操作方法について説明する。図12に示されるように、ドナー特徴情報検索欄451の複数の種別の中には、「ドナー指定」が含まれる。
【0089】
種別が「ドナー指定」に設定された場合、「ドナー指定」の右には、譲受人40nが過去に入手した歯牙のドナーのドナー管理コードが取引日と共に表示される。譲受人40nは、ドナー管理コードおよび取引日に基づいて、過去に入手した歯牙のドナーを指定する。より具体的には、ドナー管理コードおよび取引日を、プルダウンメニューの中から選択する。これにより、譲受人40nは、過去に入手した歯牙のドナーをドナー特徴情報検索欄451において指定することができる。
【0090】
過去に入手した歯牙のドナーの特定を容易にするため、ドナー特徴情報検索欄451には、譲受人40nが入手した歯牙別に、歯牙の歯牙管理コード、ドナー管理コード、取引日、歯牙の種類および状態などを併せて表示してもよい。
【0091】
譲受人40nは、「ドナー指定」をした後、ドナー特徴情報に関する他の種別、および関連期間を設定する。さらに、譲受人40nは、歯牙特徴情報検索欄452において、歯牙特徴情報の検索欄を設定した後、検索ボタンをクリックする。これにより、譲受人40nは、過去に取得した歯牙のドナーを対象として、歯牙を検索することができる。したがって、本実施の形態によれば、過去に取得した歯牙のドナーを対象として、他の歯牙の状態などに関する情報を取得したいと考える企業などのニーズに応えることができる。
【0092】
本実施の形態においては、ドナーに関する情報として、ドナー管理コードを譲受人40nに開示するものの、ドナーの氏名および住所などの個人情報は譲受人40nに開示されない。このため、譲受人40nに対してドナーを直接特定できる情報が漏洩することはない。
【0093】
<検索画面の説明(ドナーの血縁関係者を指定した検索)>
図13は、譲受人端末40に表示される検索画面45を示す図である。ここでは、図13を用いて、ドナーの血縁関係者を指定した検索条件を入力するための操作方法について説明する。図13に示されるように、ドナー特徴情報検索欄451の複数の種別の中には、「血縁関係者指定」が含まれる。
【0094】
種別が「血縁関係者指定」に設定された場合、「血縁関係者指定」の右には、図12に示される「ドナー指定」の場合と同様、譲受人40nが過去に入手した歯牙のドナーのドナー管理コードが取引日と共に表示される。譲受人40nは、ドナー管理コードおよび取引日に基づいて、過去に入手した歯牙のドナーを指定する。これらの操作の点においては、「血縁関係者指定」に対する操作手順と、図12に示される「ドナー指定」に対する操作手順とは同じである。
【0095】
ただし、種別が「血縁関係者指定」に設定されている場合、管理装置10は、「血縁関係者指定」において選択されたドナーに基づいて、そのドナーの血縁者を検索する。より具体的には、管理装置10は、ドナー特定用データベース211(図3参照)を参照し、選択されたドナーのドナー管理コードに対応する血縁関係者のドナー管理コードを特定する。管理装置10は、血縁関係者のドナー管理コードに検索範囲を絞って、図13に示されるドナー特徴情報検索欄451および歯牙特徴情報検索欄452に対応する検索条件で歯牙特徴情報を検索する。
【0096】
その結果、検索結果としては、譲受人40nが過去に入手した歯牙のドナーと血縁関係にある他のドナーの歯牙特徴情報が譲受人端末40に提供される。したがって、本実施の形態によれば、過去に取得した歯牙のドナーと血縁関係にある他のドナーを対象として、歯牙を取得したいと考える企業などのニーズに応えることができる。
【0097】
なお、過去に入手した歯牙のドナーの特定を容易にするため、ドナー特徴情報検索欄451には、譲受人40nが入手した歯牙別に、歯牙の歯牙管理コード、ドナー管理コード、取引日、歯牙の種類および状態などを併せて表示してもよい。また、「血縁関係者指定」の右には、ドナー管理コードに代えて、歯牙管理コードを選択肢として表示してもよい。
【0098】
<予約画面の説明>
図14は、譲受人端末40に表示される予約画面46を示す図である。譲受人端末40は、予約画面46によって、譲受人40nから検索の予約を受け付ける。予約画面46には、検索画面45と比べて、必要数入力欄463が追加されている。また、予約画面46には、検索画面45の検索ボタンに代えて、予約ボタンが設けられている。
【0099】
譲受人端末40は、予約画面46のドナー特徴情報検索欄461、歯牙特徴情報検索欄462、および必要数入力欄463に情報を入力する。必要数入力欄463には、検索条件にマッチする歯牙の数として、譲受人40nが必要とする本数が入力される。
【0100】
譲受人端末40は、予約ボタンのクリックを検出したときに、ドナー特徴情報検索欄451、歯牙特徴情報検索欄452、および必要数入力欄463への入力情報を、管理装置10へ送信する。管理装置10は、受信した予約条件(検索条件)に基づいて、定期的に、あるいは、不定期に、データベース21内の歯牙特徴情報を検索する。管理装置10は、予約条件にマッチする歯牙特徴情報の数が、必要数入力欄463に入力された数に達した場合、通知情報(検索結果)を譲受人端末40へ送信する。
【0101】
譲受人40nには、研究開発において同種の多数の歯牙をまとめて入手したいという潜在的な要望が存在する。予約画面46によれば、このような譲受人40nの潜在的な要望に応えるための検索用インタフェースを提供することができる。
【0102】
なお、予約画面46には、管理装置10が検索を継続する検索期間を譲受人40nが設定するための設定欄を設けてもよい。たとえば、検索期間が3ヶ月に設定された場合、管理装置10は、3ヶ月に亘って継続的に予約条件に基づいた検索を実行する。
【0103】
<検索結果画面の説明>
図15は、譲受人端末40に表示される検索結果画面48を示す図である。管理装置10は、譲受人端末40から受信した検索条件でデータベース21を検索し、検索結果を譲受人端末40へ送信する。譲受人端末40は、図15に示されるように、表示装置41に検索結果画面48を表示する。
【0104】
検索結果画面48には、結果表示欄481と、検索条件表示欄482とが含まれる。結果表示欄481には、検索条件にマッチした歯牙特徴情報が歯牙管理コード別に表示される。検索条件表示欄482には、検索結果に対応する検索条件が表示される。図15には、5件の歯牙特徴情報が検索条件にマッチした例が示されている。譲受人40nは、詳細ボタンをクリックすることによって、歯牙管理コードに対応する歯牙の詳細情報を取得することができ、取引ボタンをクリックすることによって、歯牙管理コードに対応する歯牙の取引処理を開始することができる。
【0105】
譲受人端末40は、詳細ボタンのクリックを受け付けた場合、歯牙管理コードに対応する歯牙の歯種、歯色、う蝕罹患歯の程度などを表示装置41に表示する。譲受人端末40は、データベース21に情報が存在する場合、ドナーの口腔画像、および歯牙の画像などを併せて表示装置41に表示してもよい。譲受人端末40は、取引ボタンのクリックを受け付けた場合、取引処理に関わる取引画面を表示装置41に表示する。その後、管理装置10を介した、譲渡人と譲受人との間での取引処理が開始される。管理装置10は、取引が成立すれば、取引履歴データベース217(図9)の情報を更新する。
【0106】
<管理システムにおける処理の流れ>
図16は、管理装置10、譲渡人端末30、譲受人端末40、電子カルテ装置60、ドナーデバイス300、および医療機関500の端末50における処理の流れを示すタイミングチャートである。
【0107】
図16を参照して、譲渡人端末30から管理装置10へはドナー特徴情報および歯牙特徴情報の登録要求が送信される。登録要求には、ドナーを識別するための個人番号、譲渡人管理コードなどが含まれる。個人番号は、たとえば、マイナンバーカードのカード番号、あるいは健康保険証番号である。登録要求には、ドナーに関する書誌的事項(氏名、住所など)が含まれてもよい。管理装置10は、個人番号に基づいてドナーを識別し、ドナー管理コード、歯牙管理コードなどを発行する。管理装置10は、登録画面35を譲渡人端末30へ送信する。
【0108】
譲渡人端末30は、登録画面35に入力されたドナー特徴情報および歯牙特徴情報を含む登録情報を管理装置10へ送信する。管理装置10は、登録情報に基づいてデータベース21を更新する。これにより、データベース21には新たな歯牙の情報(ドナー特徴情報および歯牙特徴情報)などが登録される。
【0109】
管理装置10は、定期的に、あるいは不定期に、電子カルテ装置60にアクセスする。管理装置10は、ドナーのカルテ情報を電子カルテ装置60に要求する。要求情報には、ドナー個人番号が含まれる。様々な医療機関500の端末50から電子カルテ装置60には、患者のカルテ情報が送信される。それらのカルテ情報には、ドナーのカルテ情報が含まれる場合がある。電子カルテ装置60は、管理装置10からの要求に応じて、ドナーのカルテ情報を管理装置10へ送信する。管理装置10は、受信したカルテ情報に基づいて、データベース21内のドナー特徴情報を充実させる。なお、譲渡人30nの医療機関から電子カルテ装置60にもカルテ情報が送信される。
【0110】
ドナーが身に付けるドナーデバイス300から管理装置10へは、定期的に、あるいは、不定期に、ドナーの身体活動情報が送信される。身体活動情報には、ドナー管理コードが含まれていてもよい。管理装置10は、受信した身体活動情報に基づいて、データベース21内のドナー特徴情報を充実させる。
【0111】
譲受人端末40から管理装置10へは、検索要求が送信される。検索要求には、譲受人管理コードが含まれる。管理装置10は、検索要求に応答して、譲受人端末40へ検索画面45を送信する。譲受人端末40は、検索画面45に入力された検索条件を含む検索指示を管理装置10へ送信する。管理装置10は、検索指示に含まれる検索条件に基づいてデータベース21を検索する。管理装置10は、検索結果を譲受人端末40へ送信する。これにより、譲受人端末40には、検索結果画面48が表示される。
【0112】
<登録処理の手順>
図17は、管理装置10により実行される登録処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明するフローチャートに対応するプログラムは、管理プログラムとして、ROM12(図1参照)に格納されている。
【0113】
はじめに、管理装置10は、譲渡人端末30から登録要求を受け付ける(ステップS1)。登録要求にはドナーの個人番号および譲渡人30nの譲渡人管理コードなどが含まれる。次に、管理装置10は、ドナー管理コードを特定または発行する(ステップS2)。すなわち、管理装置10は、登録要求に含まれるドナーの個人番号に基づいて、データベース21を検索し、既に、個人番号と対応するドナー管理コードが存在するか否かを判断する。個人番号と対応するドナー管理コードが存在しない場合、新規のドナーにドナー管理コードを発行する。
【0114】
次に、管理装置10は、歯牙管理コードを発行する(ステップS3)。次に、管理装置10は、登録画面35の情報を譲渡人端末30へ送信する(ステップS4)。登録画面35には、ドナー管理コード、歯牙管理コード、および登録年月日が含まれている。譲渡人30nは、登録画面35を用いて歯牙に関する登録情報(ドナー特徴情報および歯牙特徴情報)を入力する作業を進める。
【0115】
次に、管理装置10は、譲渡人端末30から登録情報を受信したか否かを判定する(ステップS5)。管理装置10は、譲渡人端末30から登録情報を受信するまで待機する。管理装置10は、譲渡人端末30から登録情報を受信した場合、電子カルテ装置60からドナーのカルテ情報を受信する(ステップS6)。次に、管理装置10は、データベース21を更新し(ステップS7)、本フローチャートに基づく処理を終了する。以上の処理によって、ドナー特徴情報データベース214および歯牙特徴情報データベース215を含むデータベース21の情報が更新される。
【0116】
<検索処理の手順>
図18は、管理装置10により実行される検索処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明するフローチャートに対応するプログラムは、管理プログラムとして、ROM12(図1参照)に格納されている。
【0117】
はじめに、管理装置10は、譲受人端末40から検索要求を受け付ける(ステップS11)。次に、管理装置10は、検索要求に含まれる情報に基づいて、譲受人管理コードを特定する(ステップS12)。次に、管理装置10は、検索画面45の情報を譲受人端末40へ送信する(ステップS13)。譲受人40nは、検索画面45を用いて、ドナー特徴情報および歯牙特徴情報を組み合わせた検索条件を設定する。譲受人40nは、検索条件の設定を終えると、検索画面45の登録ボタンをクリックする。これにより、譲受人端末40から管理装置10へ検索情報が送信される。
【0118】
次に、管理装置10は、譲受人端末40から検索情報を受信したか否かを判定する(ステップS14)。検索情報には、ドナー特徴情報検索欄451および歯牙特徴情報検索欄452に入力された情報が含まれる。管理装置10は、譲受人端末40から検索情報を受信するまで待機する。
【0119】
管理装置10は、譲受人端末40から検索情報を受信した場合、検索情報に基づいて、データベース21内の歯牙特徴情報を検索する(ステップS15)。次に、管理装置10は、検索結果を譲受人端末40へ送信する(ステップS16)。譲受人端末40には、検索結果画面48が表示される。
【0120】
譲受人40nは、検索結果画面48を用いて、検索結果を確認し、必要な歯牙に対応して検索結果画面48に表示されている取引ボタンをクリックする。次に、管理装置10は、取引処理を実行する(ステップS17)。これにより、譲渡人から譲受人へ歯牙を譲渡するためのデータ上での手続が行われる。次に、管理装置10は、取引履歴データベース217(図9)の情報を更新し(ステップS18)、本フローチャートに基づく処理を終了する。
【0121】
<予約処理の手順>
図19は、管理装置10により実行される予約処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明するフローチャートに対応するプログラムは、管理プログラムとして、ROM12(図1参照)に格納されている。
【0122】
はじめに、管理装置10は、譲受人端末40から予約要求を受け付ける(ステップS21)。次に、管理装置10は、予約要求に含まれる情報に基づいて、譲受人管理コードを特定する(ステップS22)。次に、管理装置10は、予約画面46の情報を譲受人端末40へ送信する(ステップS23)。譲受人40nは、予約画面46を用いて、ドナー特徴情報、歯牙特徴情報、および必要数情報を組み合わせた検索条件を設定する。譲受人40nは、検索条件の設定を終えると、予約画面46の予約ボタンをクリックする。これにより、譲受人端末40から管理装置10へ予約情報が送信される。
【0123】
次に、管理装置10は、譲受人端末40から予約情報を受信したか否かを判定する(ステップS24)。予約情報には、ドナー特徴情報、歯牙特徴情報、および必要数情報が含まれる。管理装置10は、譲受人端末40から予約情報を受信するまで待機する。管理装置10は、譲受人端末40から予約情報を受信した場合、予約情報を記憶装置20に保存する(ステップS25)。
【0124】
次に、管理装置10は、検索タイミングであるか否かを判定する(ステップS26)。管理装置10には、予約情報に基づいた検索タイミングが予め設定されている。たとえば、管理装置10には、1日のうちの特定の時刻が検索タイミングとして設定されている。譲受人40nが検索タイミングを設定するための欄を予約画面46に設けてもよい。
【0125】
管理装置10は、検索タイミングであると判定した場合、予約情報に基づいて、データベース21内の歯牙特徴情報を検索する(ステップS27)。次に、管理装置10は、予約条件に一致する歯牙特徴情報がデータベース21に存在するか否かを判定する(ステップS28)。予約条件に一致する歯牙特徴情報がデータベース21に存在しない場合、管理装置10は、ステップS26に処理を戻す。
【0126】
予約条件に一致する歯牙特徴情報がデータベース21に存在する場合、管理装置10は、対象の歯牙および数を特定する(ステップS29)。次に、管理装置10は、予約を受けた譲受人端末40へ予約本数分の歯牙がデータベース21に登録されていることを譲受人端末40へ通知し(ステップS30)、本フローチャートに基づく処理を終了する。たとえば、管理装置10は、検索結果画面48と同様の画面でその通知をしてもよい。なお、管理装置10は、予約本数分の対象の歯牙がデータベース21に登録されるのを待って、検索結果を通知するのでなく、対象の歯牙がデータベース21に登録される毎に、現時点の本数とともに検索結果を通知してもよい。
【0127】
<ドナー特徴情報および歯牙特徴情報の具体例>
図20は、ドナー特徴情報および歯牙特徴情報の具体例を示す図である。本実施の形態においてドナー特徴情報は、「ドナーの特徴に関するドナー特徴情報」の一例であり、歯牙特徴情報は、「人体組織の特徴に関する人体組織特徴情報」の一例である。ドナー特徴情報には、身体情報、検査情報、診断情報、処方情報、生活習慣情報、身体活動情報、嗜好歴、内服歴、および既往症などを含めてもよい。
【0128】
身体情報は、たとえば、年齢、性別、人種、身長、および体重などの情報を含む。検査情報は、たとえば、抜歯前のドナーの口腔内のレントゲン画像、ドナーのその他の部位のレントゲン画像を含む。また、検査情報には、MRI映像、心電図検査結果、ゲノム分析結果、および血液検査結果(Alc、感染症の有無など)を含めてもよい。診断情報は、たとえば、病名などである。処方情報は、たとえば、処方箋の情報である。生活習慣情報は、たとえば、ドナーから取得したアンケート情報によって構成されてもよい。身体活動情報は、たとえば、血圧、心拍数、および睡眠時間などの情報が含まれる。嗜好歴には、たとえば、菜食、および肉食などを含めてもよい。
【0129】
歯牙特徴情報には、たとえば、歯種、歯色、健全歯、および非健全歯などを含めてもよい。歯種は、たとえば、乳歯、永久歯、前歯、および智歯などを含む。歯色は、たとえば、シェードガイドに基づいた評価情報を含む。非健全歯には、疾患歯、不完全歯、保存修復歯、および特殊歯を含めてもよい。疾患歯としては、う蝕罹患歯および歯周病罹患歯などを例示できる。不完全歯としては、破折歯、過剰歯、摩耗歯、嚢胞に関連した歯牙、および歯石付きの歯牙などを例示できる。保存修復歯としては、金属修復歯およびコンポジットレジン修復歯などを例示できる。特殊歯は、たとえば、根管充填歯などである。
【0130】
<歯牙特徴情報を含む人体組織特徴情報の具体例>
本実施の形態において、「人体組織の特徴に関する人体組織特徴情報」の一例として、歯牙特徴情報を例示した。「人体組織の特徴に関する人体組織特徴情報」として、歯牙特徴情報以外に、皮膚情報、骨情報、内蔵情報、眼情報、および髪情報を挙げることができる。たとえば、皮膚情報として、人種、皮膚の部位(前腕、頭部などの解剖学的部位)、組織の種類(表皮、真皮、皮下組織、粘膜)、肌質、ざ瘡の有無、色調、色素沈着の程度、トーンの程度、しわ、たるみ、日焼けの程度、皮膚疾患の有無(アトピー性皮膚炎、色素班、脂漏性皮膚炎、酒さ、乾癬、湿疹、尋常性白斑、血管炎、蕁麻疹、膠原病)、乾燥の程度、有毛の有無と程度、および入れ墨の有無などを例示することができる。
【0131】
以上、説明した本実施の形態によれば、ドナーの特徴に関するドナー特徴情報および人体組織(たとえば、歯牙)の特徴に関する人体組織情報に基づいて、利用者(譲受人40n)が人体組織の情報を取得可能とされる。その結果、本実施の形態によれば、ドナー特徴情報と人体組織情報とを関連付けて、ドナーから提供されている人体組織を検索したいという潜在的な利用者の要望に応えることができる。
【0132】
ドナーの生活歴や嗜好歴、既往歴、内服歴などにより、歯牙の状態が変化する。たとえば、ワインが原因で着色している歯と、薬剤が原因で着色している歯とでは、見た目は同じような着色でも、着色原因が異なる。このため、電動歯ブラシメーカー、歯磨き粉メーカー、審美商品メーカーなどにおいて、着色原因に応じて着色の除去方法を研究する場合に必要とされる歯牙が、ドナー特徴情報(嗜好歴、内服歴など)に応じて異なる可能性がある。本実施の形態によれば、歯牙の着色状況を示す歯牙特徴情報と、その歯牙を提供したドナーのドナー特徴情報(嗜好歴、内服歴など)とを組み合わせた検索条件を設定することができるため、着色原因に応じて着色の除去方法を研究するメーカの要望にも応えることができる。
【0133】
また、歯の硬組織の微細構造と生活習慣病との関連を調査して、得られた知見から商品展開を検討しようとする企業が存在するかもしれない。生活習慣や食習慣などにより、歯の耐酸性や物理強度が異なる可能性があるためである。本実施の形態によれば、このような企業の要望にも応えることができる。
【0134】
<管理システム1を提案する背景について>
本実施の形態に関わる管理システム1内の管理機関100によって、ドナーから提供された人体組織を譲渡人から譲受人へ譲渡するためのプラットフォームが構築される。そのプラットフォームにおいて、人体組織の情報を管理するための装置として、管理装置10および記憶装置20が機能する。本実施の形態において、ドナーから提供される人体組織の一例として、歯牙を挙げて管理システム1を説明するに至った背景を以下に説明する。
【0135】
歯牙は硬組織と軟組織(歯髄)とから構成されている。歯髄については幹細胞を含むことから、再生医療のリソースとしてバンキング事業が行われている。また、将来の歯牙喪失に備えて歯牙ごと冷凍保存を請け負う企業もあるが、特に、歯牙硬組織をバンキングし提供する事業は行われていない。
【0136】
現在、抜去された歯牙は市場に供給されることはないため、電動歯ブラシメーカー、歯磨き粉メーカー、審美商品メーカーなどの研究開発組織では、人モニタ、人以外の動物の歯、および人工物を代替として用いている。しかし、それらの代替物を使って開発するメーカーの現場では、様々な問題が存在する。そのような問題として、たとえば、人モニタでは、安全性確認が必要であること、条件を振る為に多人数が必要であること、評価結果の実物を残せないこと、同意書が必要であること、および倫理委員会を開催する必要があることなどを挙げることができる。さらに、人と動物とでは、食事、歯石、および歯垢が違う。また、動物には歯を磨く習慣が存在しない。これらの人と動物との違いが、動物の歯を代替物として使用する場合の問題を大きくする。
【0137】
一方、口腔外科の治療の際に出る抜去歯については、患者の同意を得た上で、医療廃棄物として処分している。日本での年間の抜歯総数は、110万本(厚生労働省:歯科疾患実態調査,2010)にも及ぶ。これまで廃棄されてきた多数の抜去歯を研究開発に活用できるのであれば、研究開発組織は、条件を振った試験や繰り返し試験を容易に実施することができる。その結果、研究開発の効率化が図られる。
【0138】
しかしながら、これまで、医療廃棄物として処分される抜去歯が研究開発組織の研究開発に有効活用されることはなかった。その理由として、(1)個別の医療機関では、研究開発組織のニーズに応えることができるまとまった数の医療廃棄物を用意することができない、(2)医療機関は、研究開発組織が必要とする抜去歯の内容を知らされていない、(3)研究開発組織と医療機関とを繋ぐルートがない、などの理由が挙げられる。
【0139】
そこで、本実施の形態においては、譲渡人30nである医療機関と、譲受人40nである研究開発組織とが、抜去歯のマッチングに利用できるプラットフォームを提案している。プラットフォームに含まれる管理装置10および記憶装置20は、医療機関が提供できる抜去歯の情報と、研究開発組織が必要とする抜去歯の情報(条件および数)との集約化および紐づけを行う。本プラットフォームによれば、抜去歯の取引に関して、医療機関と研究開発組織との橋渡しが行われる。また、本プラットフォームによれば、歯種差や個人差を考慮した、個別化された歯牙硬組織の持続的な提供が可能となる。さらに、これまでほとんどが医療廃棄物として処理されてきた抜去歯牙に新たな価値を創出することができるため、その社会的な意義は非常に大きいと考えられる。
【0140】
[態様]
(第1項)一態様に係る管理システムは、ドナーから提供される人体組織の情報を管理する管理システムであって、人体組織の情報は、ドナーの特徴に関するドナー特徴情報と、人体組織の特徴に関する人体組織特徴情報とを含み、管理システムは、ドナー特徴情報と人体組織特徴情報とが関連付けられて登録されたデータベースと、データベースを管理する管理装置と、人体組織の情報をユーザが検索するための検索端末とを備え、管理装置は、データベースに登録された人体組織の情報を検索条件に従って検索し、検索結果を検索端末に送信可能であり、管理装置は、ユーザインタフェースを検索端末に提供可能であり、ユーザインタフェースは、ドナー特徴情報と人体組織特徴情報とを組み合せた検索条件を、ユーザが設定可能に構成されている。
【0141】
(第2項)第1項に記載の管理システムにおいて、人体組織は、ドナーから提供される歯牙である。
【0142】
(第3項)第1項または第2項に記載の管理システムにおいて、人体組織特徴情報は、人体組織の種類を示す情報と、人体組織の状態を示す情報とを含む。
【0143】
(第4項)第1項~第3項のいずれか1項に記載の管理システムにおいて、ドナー特徴情報は、ドナーの身体情報、検査情報、診断情報、処方情報、および生活習慣情報のいずれかを含む。
【0144】
(第5項)第1項~第4項のいずれか1項に記載の管理システムにおいて、検索条件は、検索対象とするドナー特徴情報の取得時期を含む。
【0145】
(第6項)第1項~第5項のいずれか1項に記載の管理システムにおいて、データベースには、人体組織に関するユーザの取引履歴と、2以上のドナー同士の血縁関係を特定可能な情報とがさらに登録され、取引履歴は、ユーザに譲渡された人体組織のドナーを特定するための情報を含み、ユーザインタフェースは、取引履歴に含まれる人体組織を提供したドナーの指定を含む検索条件、または取引履歴に含まれる人体組織を提供したドナーの血縁者の指定を含む検索条件を、ユーザが設定可能に構成されている。
【0146】
(第7項)第1項~第6項のいずれか1項に記載の管理システムにおいて、管理装置は、検索端末から検索条件に基づいた検索の予約を受け付けることが可能であり、管理装置は、検索条件に合致する人体組織の情報がデータベースに登録された場合に、予約を受け付けた検索端末へ通知情報を送信する。
【0147】
(第8項)第7項に記載の管理システムにおいて、通知情報は、検索条件に合致する人体組織の数を含む。
【0148】
(第9項)他の態様に係る管理装置は、ドナーから提供される人体組織の情報を管理する管理装置であって、人体組織の情報は、ドナーの特徴に関するドナー特徴情報と、人体組織の特徴に関する人体組織特徴情報とを含み、管理装置は、ドナー特徴情報と人体組織特徴情報とが関連付けられて登録されたデータベースにアクセス可能であり、管理装置は、人体組織の情報をユーザが検索するための検索端末と通信する通信部と、データベースに登録された人体組織の情報を検索条件に従って検索する検索部と、検索部の検索結果を検索端末に送信する送信部と、ドナー特徴情報と人体組織特徴情報とを組み合せた検索条件をユーザが設定可能なユーザインタフェースを、検索端末に提供する提供部とを備える。
【0149】
(第10項)他の態様に係る管理プログラムは、ドナーから提供される人体組織の情報を管理する管理プログラムであって、人体組織の情報は、ドナーの特徴に関するドナー特徴情報と、人体組織の特徴に関する人体組織特徴情報とを含み、コンピュータに、ドナー特徴情報と人体組織特徴情報とが関連付けられて登録されたデータベースにアクセスするステップと、人体組織の情報をユーザが検索するための検索端末と通信するステップと、データベースに登録された人体組織の情報を検索条件に従って検索するステップと、検索結果を検索端末に送信するステップと、ユーザインタフェースを検索端末に提供するステップと、ドナー特徴情報と人体組織特徴情報とを組み合せた検索条件を、ユーザがユーザインタフェースにおいて設定する操作を受け付けるステップとを実行させる、管理プログラム。
【0150】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0151】
1 管理システム、10 管理装置、11 プロセッサ、12 ROM、13 RAM、14 通信インタフェース、20 記憶装置、21 データベース、30 譲渡人端末、31,41 表示装置、32,42 マウス、33,43 キーボード、35 登録画面、40 譲受人端末(検索端末)、45 検索画面、46 予約画面、48 検索結果画面、50 端末、60 電子カルテ装置、91 ドナー端末、92 ドナーデバイス、100 管理機関、110 発行部、111 ドナー管理コード発行部、112 歯牙管理コード発行部、120 検索部、121 検索項目特定部、122 関連期間特定部、123 検索実行部、124 検索画面生成部、125 結果画面生成部、126 予約受付部、130 通信部、140 登録部、141 ドナー特徴情報登録部、142 歯牙特徴情報登録部、143 権利放棄情報登録部、211 ドナー特定用データベース、212 譲渡人特定用データベース、213 譲受人特定用データベース、214 ドナー特徴情報データベース、215 歯牙特徴情報データベース、216 対応関係データベース、217 取引履歴データベース、301,302,30n 譲渡人、350 登録画面、351 ドナー特徴情報入力欄、352 歯牙特徴情報入力欄、401,402,40n 譲受人、451,461 ドナー特徴情報検索欄、452,462 歯牙特徴情報検索欄、463 必要数入力欄、453 関連期間設定欄、481 結果表示欄、482 検索条件表示欄、500 医療機関、800 ネットワーク、4531 設定アイコン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図20