(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086149
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20240620BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20240620BHJP
B05B 11/10 20230101ALI20240620BHJP
【FI】
B65D47/34 100
B05B11/00 102B
B05B11/00 102E
B05B11/10 102B
B05B11/10 102E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201129
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 舞
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CC03
3E084DC03
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】例えば植え込みの根元等、あるいは浴室の天井等に向けて液体を容易に吹き付ける。
【解決手段】噴出器本体11と、噴出孔12aが形成されたノズル部材12と、を備え、噴出器本体は、縦供給筒部14と、トリガー部13、および主ポンプ部22を有するトリガー機構21と、貯留シリンダ17と、貯留プランジャ18と、を備え、ノズル部材に着脱可能に構成され、ノズル部材に装着された状態で、ノズル部材から前方に向けて延びる延長筒31を備え、延長筒には、ノズル部材に装着された状態で、前端部に位置して噴出孔に連通する遠隔噴出孔31aが形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体の前方に設けられ、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
前記噴出器本体は、
上下方向に延びるとともに、前記容器体内から吸い上げられる液体が流通する縦供給筒部と、
前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方移動可能に設けられたトリガー部、および前記トリガー部の後方への移動によって前記縦供給筒部を通じて液体を前記噴出孔に向けて送り出す主ポンプ部を有するトリガー機構と、
前記縦供給筒部と前記ノズル部材との間に設けられるとともに、前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、
前記貯留シリンダ内に前記貯留シリンダの中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配置され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動するとともに、前記軸方向のうちの他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、を備え、
前記ノズル部材に着脱可能に構成され、前記ノズル部材に装着された状態で、前記ノズル部材から前方に向けて延びる延長筒を備え、
前記延長筒には、前記ノズル部材に装着された状態で、前端部に位置して前記噴出孔に連通する遠隔噴出孔が形成されている、トリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記噴出孔は、前記貯留シリンダ内からの液体を霧状に噴出し、
前記遠隔噴出孔は、前記噴出孔から噴出され、前記延長筒内を通過した液体をストレート状に噴出する、請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記延長筒は、前記貯留プランジャの前記軸方向の一方側に向けた移動を規制するように、前記貯留シリンダ内に着脱可能に挿入されている、請求項1または2に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
トリガー式液体噴出器として、液体を貯留する主ポンプ部と、主ポンプ部を動作させるトリガー部と、を備える構成が開示されている。この構成によれば、トリガー部を後方に引くと、主ポンプ部のシリンダ内が加圧されることで、シリンダ内の液体が噴出孔に向けて流れる。これにより、液体が噴出孔を通じて噴出される。一方、トリガー部が前方に復帰する過程でシリンダ内が減圧されることで、容器体内の液体がシリンダ内に流入する。
例えば下記特許文献1には、主ポンプ部に加え、貯留ポンプ部を備えるトリガー式液体噴出器が開示されている。この種のトリガー式液体噴出器では、トリガー部の操作に伴い、主ポンプ部から送り出される液体のうち、一部の液体が噴出孔を通じて噴出される一方、残りの液体が貯留ポンプ部のシリンダ内に貯留される。そのため、トリガー部の操作を停止した場合には、貯留ポンプ部のシリンダ内に貯留された液体が噴出孔に向けて流れる。これにより、トリガー部を操作しない状態であっても、液体を連続的に噴出できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のトリガー式液体噴出器では、例えば植え込みの根元等、あるいは浴室の天井等に向けて液体を吹き付けようとしても、液体が届きにくいおそれがあった。
【0005】
本発明は、例えば植え込みの根元等、あるいは浴室の天井等にも液体を容易に吹き付けることができるトリガー式液体噴出器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るトリガー式液体噴出器は、液体を収容する容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体の前方に設けられ、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、前記噴出器本体は、上下方向に延びるとともに、前記容器体内から吸い上げられる液体が流通する縦供給筒部と、前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方移動可能に設けられたトリガー部、および前記トリガー部の後方への移動によって前記縦供給筒部を通じて液体を前記噴出孔に向けて送り出す主ポンプ部を有するトリガー機構と、前記縦供給筒部と前記ノズル部材との間に設けられるとともに、前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、前記貯留シリンダ内に前記貯留シリンダの中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配置され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動するとともに、前記軸方向のうちの他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、を備え、前記ノズル部材に着脱可能に構成され、前記ノズル部材に装着された状態で、前記ノズル部材から前方に向けて延びる延長筒を備え、前記延長筒には、前記ノズル部材に装着された状態で、前端部に位置して前記噴出孔に連通する遠隔噴出孔が形成されている。
【0007】
ノズル部材に着脱可能に構成され、ノズル部材に装着された状態で、ノズル部材から前方に向けて延びる延長筒を備えているので、延長筒をノズル部材に装着すると、延長筒の前端部に形成された遠隔噴出孔を、例えば植え込みの根元等、および浴室の天井等に対して容易に近付けることが可能になり、噴出孔を通過した液体を遠隔噴出孔から噴出することで、例えば植え込みの根元等、および浴室の天井等にも液体を確実に吹き付けることができる。したがって、例えば、観葉植物や園芸植物等の葉を避けて、枝、幹、あるいは根元に液体を吹き付けること等ができる。
【0008】
前記噴出孔は、前記貯留シリンダ内からの液体を霧状に噴出し、前記遠隔噴出孔は、前記噴出孔から噴出され、前記延長筒内を通過した液体をストレート状に噴出してもよい。
【0009】
遠隔噴出孔が、噴出孔から噴出されて延長筒内を通過した液体をストレート状に噴出するので、霧状に噴出する場合と比べて、液体をより遠くに到達させやすくなり、前述の根元や天井等にも液体を確実に吹き付けることができる。
【0010】
前記延長筒は、前記貯留プランジャの前記軸方向の一方側に向けた移動を規制するように、前記貯留シリンダ内に着脱可能に挿入されてもよい。
【0011】
延長筒が、貯留プランジャの前記軸方向の一方側に向けた移動を規制するように、貯留シリンダ内に着脱可能に挿入されているので、流通時等の待機状態で、トリガー部に不意の外力が加えられても、トリガー部が後方に移動するのを抑制することができるとともに、待機状態にあるトリガー式液体噴出器のかさ張りを抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記態様によれば、例えば植え込みの根元等、あるいは浴室の天井等に向けて液体を容易に吹き付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るトリガー式液体噴出器の縦断面図である。
【
図2】
図1において、延長筒を後方に移動させた状態を示す図である。
【
図3】
図1において、延長筒をノズル部材に装着した状態を示す図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るトリガー式液体噴出器の一部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るトリガー式液体噴出器の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示されるように、トリガー式液体噴出器1は、噴出器本体11と、ノズル部材12と、を備え、液体を収容する容器体Aに装着される。トリガー式液体噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ、樹脂材料を用いた成形品とされている。
【0015】
噴出器本体11は、縦供給筒部14と、接続筒部15と、装着キャップ16と、貯留シリンダ17と、貯留プランジャ18と、付勢部材19と、射出筒部20と、トリガー機構21と、ボール弁23と、貯留弁24と、を主に備え、液体を収容する容器体Aに装着される。
【0016】
縦供給筒部14の中心軸線O1に沿う容器体Aの底部側を下側といい、その反対側を上側といい、中心軸線O1に沿う方向を上下方向という。上下方向から見て、中心軸線O1に交差する方向のうちの1つの方向を前後方向といい、上下方向および前後方向の双方向に直交する方向を左右方向という。
【0017】
装着キャップ16は、容器体Aの口部に装着される。装着キャップ16は、縦供給筒部14を容器体Aの口部に固定する。
縦供給筒部14は、装着キャップ16を上下方向に貫いている。縦供給筒部14の下部内には、下端開口が容器体Aの底部内に位置するパイプ14aの上部が嵌合されている。容器体A内の液体は、パイプ14a内を通して吸い上げられ、縦供給筒部14内を上方に向けて流通する。
接続筒部15は、縦供給筒部14の上端部から前方に向けて延びている。接続筒部15の後端部は、縦供給筒部14内に開口している。接続筒部15の前端部は、噴出器本体11の外部に開口し、この開口に閉塞栓15aが嵌合され、接続筒部15の前端部の開口が封止されている。接続筒部15は、装着キャップ16から上方に離れている。
【0018】
トリガー機構21は、トリガー部13および主ポンプ部22を備えている。
主ポンプ部22は、シリンダ25およびピストン26を備え、トリガー部13の後方への移動によって、シリンダ25内の液体を、縦供給筒部14を通じてノズル部材12の噴出孔12aに向けて送り出す。
【0019】
シリンダ25は、接続筒部15と装着キャップ16との間に設けられている。シリンダ25の中心軸線(以下、シリンダ軸O2という)は、前後方向に延びている。シリンダ25は、縦供給筒部14から前方に向けて突出し、前方に向けて開口したシリンダ用筒部11a内に嵌合されている。シリンダ25は、前端部が開口し、かつ後端部が閉塞された横向きの有底筒状に形成されている。シリンダ25内は、前後方向に延びる連通路11bを通して縦供給筒部14内に連通している。
【0020】
ピストン26は、シリンダ25の内部に前後方向に移動可能に嵌合されている。ピストン26の前後方向の移動に伴って、シリンダ25の内部が加圧および減圧される。ピストン26は、後端部が開口し、かつ前端部が閉塞された横向きの有頂筒状に形成されている。ピストン26は、付勢部材11cにより前方に付勢されている。
付勢部材11cは、ピストン26内に挿入され、シリンダ軸O2と同軸に配設されている。付勢部材11cは、ピストン26の頂壁とシリンダ25の底壁とにより前後方向に挟まれている。付勢部材11cは金属製のコイルばねとなっている。
なお、付勢部材11cは、例えば樹脂材料等で形成されてもよく、また、付勢部材11cは、トリガー部13を前方に付勢してもよい。
【0021】
トリガー部13は、縦供給筒部14の前方に前方付勢状態で後方移動可能に設けられている。トリガー部13は、上下方向に延び、かつ上端部回りに前後方向に揺動可能に設けられている。トリガー部13の上端部は、ノズル部材12に連結されている。トリガー部13の上端部は、射出筒部20の直下に位置している。トリガー部13は、ピストン26およびシリンダ25の前方に設けられ、ピストン26およびシリンダ25を上下方向に跨いでいる。トリガー部13は、ピストン26に連係し、シリンダ25に対して進退可能に設けられている。トリガー部13には、後方に向けて突出し、ピストン26の頂壁の前面に当接した突起13aが形成されている。
【0022】
貯留シリンダ17は、縦供給筒部14とノズル部材12との間に設けられ、トリガー部13の後方への移動によって、縦供給筒部14内を通過した液体が、貯留シリンダ17の内部に供給される。
貯留シリンダ17の中心軸線O3は、縦供給筒部14および接続筒部15の上方に位置し、前後方向に延びている。貯留シリンダ17の下端部は、縦供給筒部14および接続筒部15それぞれの上端部と一体に形成されている。
【0023】
貯留シリンダ17における前端部の下側部分には、貯留シリンダ17の内部のうち、貯留プランジャ18の前端部の前面との間で画成された貯留空間17aと、接続筒部15内と、を連通する供給孔17bが形成されている。貯留空間17aは、貯留プランジャ18の後方移動に伴い拡張する。供給孔17bは、上下方向に延び、閉塞栓15aより後方に位置している。
貯留シリンダ17は、前端開口を閉塞する前端壁27を有する横向きの筒状に形成されている。前端壁27に、前後方向に貫き、貯留空間17aと射出筒部20内とを連通する連絡孔17cが形成されている。前端壁27の後面は、貯留空間17aの隔壁の一部をなしている。連絡孔17cは、中心軸線O3と同軸に配設されている。
【0024】
貯留プランジャ18は、貯留シリンダ17内に前後方向(軸方向)に移動可能に嵌合されている。貯留プランジャ18は、連絡孔17cを閉塞することで、供給孔17bおよび接続筒部15内を通じた縦供給筒部14内とノズル部材12の噴出孔12aとの連通を遮断する。貯留プランジャ18は、供給孔17bを通した貯留空間17aへの液体の供給に伴い、貯留空間17aの内圧が所定値を超えたときに、後方に移動する。この際、連絡孔17cが開放され、貯留空間17aが拡張し、供給孔17bを通過した液体が貯留空間17aに貯留され、連絡孔17c、貯留空間17a、供給孔17bおよび接続筒部15内を通じた縦供給筒部14内と噴出孔12aとの連通が許容される。
【0025】
付勢部材19は、貯留シリンダ17内に設けられ、貯留プランジャ18を前方に向けて付勢している。付勢部材19は、金属製のコイルばねとなっているが、例えば樹脂材料等の他の材質で形成されてもよい。付勢部材19は、中心軸線O3と同軸に配設されている。
射出筒部20は、貯留シリンダ17の前端壁27から前方に向けて延びている。射出筒部20の中心軸線O4は、中心軸線O3に対して左右方向の位置が同じで上方に位置している。射出筒部20内は、連絡孔17c、貯留空間17a、供給孔17b、および接続筒部15内を通じて縦供給筒部14内に連通している。
【0026】
ボール弁23および貯留弁24は、縦供給筒部14内に設けられている。
ボール弁23は、連通路11bの下方に設けられている。ボール弁23は、シリンダ25内の加圧時に、縦供給筒部14内を通じた容器体A内とシリンダ25内との連通を遮断するとともに、シリンダ25内の減圧時に上方に向けて変位することで、縦供給筒部14内を通じた容器体A内とシリンダ25内との連通を許容する逆止弁とされている。
貯留弁24は、ボール弁23および連通路11bの上方に設けられている。貯留弁24は、縦供給筒部14内から接続筒部15内を通じた貯留空間17aへの液体の供給を許容するとともに、貯留空間17aから接続筒部15内を通じた縦供給筒部14内への液体の流出を規制する逆止弁とされている。
【0027】
ノズル部材12は、噴出器本体11の前方に設けられ、液体を前方に向けて噴出する噴出孔12aを有している。ノズル部材12は、射出筒部20に外嵌された装着筒部28と、装着筒部28の前端部内に設けられたノズル軸部29と、ノズル軸部29に装着された第1ノズルキャップ30と、を備えている。噴出孔12a、装着筒部28、ノズル軸部29、および第1ノズルキャップ30は、中心軸線O4と同軸に配設されている。
装着筒部28のうち、後部が射出筒部20に外嵌され、前部は射出筒部20から前方に突出している。第1ノズルキャップ30は、後端部が開口し、かつ前端部が閉塞された横向きの有頂筒状に形成されている。第1ノズルキャップ30に、前方に開口した噴出孔12aが形成されている。
【0028】
噴出孔12aと貯留空間17aとを連通する連通流路32は、装着筒部28の前部内と、射出筒部20内と、連絡孔17cと、を備えている。連通流路32は前後方向に延びている。連通流路32と噴出孔12aとは、第1ノズルキャップ30の内面と、ノズル軸部29の外面と、の間に設けられたスピン流路38(
図4参照)を通して連通する。これにより、噴出孔12aは、貯留空間17aにスピン流路38を通して連通し、貯留空間17aからの液体を、中心軸線O4回りに旋回させながら噴出することで霧状に噴出する。
【0029】
そして、本実施形態では、ノズル部材12と比べて細長い延長筒31を備えている。延長筒31は、ノズル部材12に着脱可能に構成され、
図3および
図4に示されるように、ノズル部材12に装着された状態で、ノズル部材12から前方に向けて延びる。
【0030】
以下、延長筒31について、
図3および
図4に示されるように、ノズル部材12に装着された状態に基いて説明する。
【0031】
延長筒31には、前端部に位置して噴出孔12aに連通する遠隔噴出孔31aが形成されている。遠隔噴出孔31aは、前方に向けて開口している。
ここで、ノズル部材12の装着筒部28の前部には、前後方向に延び、延長筒31が着脱可能に装着される連結筒34が取付けられている。連結筒34の後端部が、装着筒部28の前部に外嵌されて固定されている。連結筒34のうち、後端部より前方に位置する前部の内周面と、装着筒部28の前部の外周面と、の間には、中心軸線O4回りに延びる環状の隙間が設けられている。連結筒34の前部の内周面に、雌ねじ部が形成されている。連結筒34の前端部は、噴出孔12aより前方に位置している。
【0032】
延長筒31は、本体筒35および雄ねじ筒36が、前方から後方に向けてこの順に連設されて構成されている。
本体筒35および雄ねじ筒36それぞれの中心軸線は、中心軸線O4と一致している。本体筒35の前後方向の大きさは、雄ねじ筒36の前後方向の大きさより大きくなっている。本体筒35の外径は、雄ねじ筒36の外径より小さくなっている。
【0033】
雄ねじ筒36の外周面に雄ねじ部が形成されており、雄ねじ筒36は、連結筒34内に着脱可能に螺着される。雄ねじ筒36の後端面には、後方に向けて開口した装着凹部36aが形成されている。装着凹部36a内に、装着筒部28の前端部が着脱可能に挿入される。装着凹部36aの内面のうち、後方を向く底面に、装着筒部28の前端開口縁が当接する。雄ねじ筒36には、前後方向に延び、装着凹部36a内と本体筒35内とを連通する連通孔36bが形成されている。連通孔36bは、前後方向に延び、雄ねじ筒36の中心軸線と同軸に配設されている。連通孔36bの後端部の内径は、噴出孔12aの内径よりわずかに大きくなっている。装着凹部36aの底面には、後方に向けて突出し、かつ第1ノズルキャップ30の前面における噴出孔12aの開口周縁部に当接する突起36cが形成されており、この突起36cに連通孔36bの後端部が開口している。突部36cが、第1ノズルキャップ30の前面における噴出孔12aの開口周縁部に当接することにより、噴出孔12aからの液体が連通孔36b内に漏れ無く流入する。第1ノズルキャップ30の前面における噴出孔12aの開口周縁部は、前方に向けて突出している。
【0034】
本体筒35の前端部に、本体筒35の前端開口を閉塞する第2ノズルキャップ37が装着されている。第2ノズルキャップ37は、後端部が開口し、かつ前端部が閉塞された横向きの有頂筒状に形成されている。第2ノズルキャップ37に、前方に開口した遠隔噴出孔31aが形成されている。第2ノズルキャップ37の内側には、スピン流路が設けられておらず、遠隔噴出孔31aは、本体筒35内に前後方向に直結されている。これにより、遠隔噴出孔31aは、噴出孔12aから噴出され、延長筒31内を通過した液体を旋回させることなくストレート状に噴出する。
【0035】
ここで、貯留シリンダ17の後端部には、前端部が開口し、かつ後端部が閉塞された横向きの有底筒状に形成されたカバー33が外装されている。カバー33は、貯留シリンダ17の後端開口を閉塞している。カバー33は、中心軸線O3回りの回転に伴い、貯留シリンダ17に対して前後方向に移動し、後方に向けて離脱可能に装着されている。カバー33の内周面には、カバー33の中心軸線O3回りの回転に伴い、貯留シリンダ17の後端部の外周面に形成された案内溝17dに沿って移動する係合突起33bが形成されている。係合突起33bが案内溝17dに沿って移動することで、カバー33が、貯留シリンダ17に対して中心軸線O3回りに回転しながら前後方向に移動する。
【0036】
本実施形態では、
図1に示されるように、延長筒31が、貯留プランジャ18の後方移動を規制するように、貯留シリンダ17内に着脱可能に挿入されている。なお、延長筒31は、待機時に貯留シリンダ17の外部に取付けられてもよい。
延長筒31は、遠隔噴出孔31aが前端に位置し、かつ雄ねじ筒36が後端に位置する姿勢で、貯留シリンダ17内に設けられている。雄ねじ筒36の装着凹部36a内に、カバー33の底壁から前方に向けて突出した嵌合筒33aが着脱可能に嵌合されている。これにより、延長筒31およびカバー33の相対移動が抑止される。延長筒31の前端部が、貯留プランジャ18の前端部の後面に当接することで、貯留シリンダ17に対する貯留プランジャ18の後方移動が規制される。
【0037】
次に、トリガー式液体噴出器1の作用について説明する。
トリガー部13の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填されているものとする。
【0038】
まず、
図1に示される待機状態から、カバー33を貯留シリンダ17に対して中心軸線O3回りに回転させ、カバー33を延長筒31とともに後方に移動させる。これにより、
図2に示されるように、延長筒31の前端部が、貯留プランジャ18の前端部の後面から後方に離れ、貯留プランジャ18が貯留シリンダ17に対して後方移動可能となる。
【0039】
次に、付勢部材11cの前方付勢力に抗して、トリガー部13をピストン26とともに後方に移動させると、シリンダ25内が加圧され、シリンダ25内の液体が、連通路11bを通して縦供給筒部14内に供給される。この際、ボール弁23が下方に押し付けられるとともに、貯留弁24が押し上げられることにより、縦供給筒部14内の液体が、接続筒部15内および供給孔17bを通じて貯留シリンダ17の貯留空間17aに供給され、貯留空間17aが加圧される。
【0040】
これにより、貯留プランジャ18が、付勢部材19の前方付勢力に抗して後方に向けて移動し、拡張した貯留空間17aに液体が貯留されるとともに、接続筒部15内、供給孔17b、貯留空間17a、連通流路32、およびスピン流路38を通じた縦供給筒部14内と噴出孔12aとの連通が許容され、圧力が高まった貯留空間17aの液体が、連通流路32およびスピン流路38を通じて噴出孔12aに供給され、噴出孔12aから前方に向けて霧状に噴出される。
【0041】
上述のように、トリガー部13を後方に引く操作を行う毎に、貯留プランジャ18を後方に移動させて、拡張した貯留空間17a内に液体を溜めながら、液体が噴出孔12aから噴出される。
【0042】
その後、トリガー部13を解放すると、付勢部材11cの弾性復元力(付勢力)によってピストン26がシリンダ25内を前方に向けて復元移動するので、トリガー部13も前方に復元移動する。そのため、シリンダ25内が減圧して、容器体Aの内圧よりも低い圧力になるので、貯留弁24が閉弁したままの状態でボール弁23が上昇し、容器体A内の液体が、縦供給筒部14内を上昇し、連通路11bを通してシリンダ25内に供給される。
【0043】
トリガー部13の後方に向けた操作を停止すると、縦供給筒部14内、接続筒部15内、および供給孔17bを通じた貯留空間17aへの液体の供給は停止するものの、付勢部材19の付勢力によって貯留プランジャ18が前方移動しはじめる。この際、貯留空間17aから縦供給筒部14内への液体の流出は、貯留弁24によって規制される。これにより、貯留空間17aに溜まった液体を、連通流路32およびスピン流路38を通じて噴出孔12aに供給し、噴出孔12aを通じて前方に向けて引き続き噴出することができる。すなわち、トリガー部13を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部13を操作しない場合であっても液体が噴出されることとなり、液体の連続噴出を行うことができる。
【0044】
次に、延長筒31の遠隔噴出孔31aから液体を噴出する方法について説明する。
【0045】
まず、カバー33を、延長筒31とともに貯留シリンダ17に対して中心軸線O3回りに回転させて後方移動させ、カバー33および延長筒31を、貯留シリンダ17から後方に離脱する。次に、カバー33の嵌合筒33aを、雄ねじ筒36の装着凹部36a内から引き抜き、カバー33と延長筒31とを分離した後に、
図3に示されるように、カバー33を、貯留シリンダ17に対して中心軸線O3回りに回転させて前方移動させ、貯留シリンダ17の後端部に再度装着し、また、雄ねじ筒36の装着凹部36a内に、装着筒部28の前端部を挿入しながら、雄ねじ筒36を連結筒34内に螺着する。
なお、この際、カバー33を貯留シリンダ17の後端部に再度装着しなくてもよい。
【0046】
これにより、装着凹部36aの底面に、装着筒部28の前端開口縁が密に当接し、装着凹部36aの底面に形成された突起36cが、第1ノズルキャップ30の前面における噴出孔12aの開口周縁部に当接し、噴出孔12aと遠隔噴出孔31aとが、連通孔36b、および本体筒35内を通して連通する。
そして、トリガー部13をピストン26とともに後方に移動させると、前述と同様に噴出孔12aから噴出された液体が、連通孔36b、および本体筒35内を通過して遠隔噴出孔31aからストレート状に噴出される。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によるトリガー式液体噴出器1によれば、ノズル部材12に着脱可能に構成され、ノズル部材12に装着された状態で、ノズル部材12から前方に向けて延びる延長筒31を備えているので、延長筒31をノズル部材12に装着すると、延長筒31の前端部に形成された遠隔噴出孔31aを、例えば植え込みの根元等、および浴室の天井等に対して容易に近付けることが可能になり、噴出孔12aを通過した液体を遠隔噴出孔31aから噴出することで、例えば植え込みの根元等、および浴室の天井等にも液体を確実に吹き付けることができる。したがって、例えば、観葉植物や園芸植物等の葉を避けて、枝、幹、あるいは根元に液体を吹き付けること等ができる。
【0048】
遠隔噴出孔31aが、噴出孔12aから噴出されて延長筒31内を通過した液体をストレート状に噴出するので、霧状に噴出する場合と比べて、液体をより遠くに到達させやすくなり、前述の根元や天井等にも液体を確実に吹き付けることができる。
【0049】
延長筒31が、貯留プランジャ18の後方移動を規制するように、貯留シリンダ17内に着脱可能に挿入されているので、流通時等の待機状態で、トリガー部13に不意の外力が加えられても、トリガー部13が後方に移動するのを抑制することができるとともに、待機状態にあるトリガー式液体噴出器1のかさ張りを抑えることができる。
【0050】
次に、本発明の第2実施形態に係るトリガー式液体噴出器2を、
図5を参照しながら説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0051】
本実施形態のトリガー式液体噴出器2では、カバー33のうち、前後方向に延びる周壁に、底壁がヒンジ部33cを介して連結されている。ヒンジ部33cは、カバー33における周壁および底壁それぞれの下端部同士を連結している。嵌合筒33aのうち、上端部の前後方向の長さは、他の部分の前後方向の長さより短くなっている。カバー33には、カバー33の周壁の後端開口を閉塞した姿勢にあるカバー33の底壁を離脱可能に係止する係止部33dが設けられている。係止部33dは、カバー33の底壁の上端部を離脱可能に係止する。
【0052】
このトリガー式液体噴出器2では、カバー33の周壁の後端開口を閉塞した姿勢にあるカバー33の底壁が、係止部33dに係止された状態で、貯留シリンダ17に対する貯留プランジャ18の後方移動が規制され、また、
図5に二点鎖線で示されるように、カバー33の底壁をヒンジ部33c回りに下方に向けて回転し、嵌合筒33aを雄ねじ筒36の装着凹部36a内から引き抜き、カバー33の周壁の後端開口を開放した状態では、貯留プランジャ18が、延長筒31とともに貯留シリンダ17に対して後方移動可能になるとともに、雄ねじ筒36を直接摘まむことが可能になり、延長筒31を貯留シリンダ17から後方に引き抜いて、貯留プランジャ18と分離することができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によるトリガー式液体噴出器2によれば、第1実施形態のトリガー式液体噴出器1により得られる作用効果に加え、カバー33の周壁にカバー33の底壁がヒンジ部33cを介して連結されていることから、延長筒31を連結筒34に連結する際に、カバー33を貯留シリンダ17から離脱した後に、カバー33を貯留シリンダ17に再度装着する一連の手間を省くことができる。
【0054】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0055】
例えば、貯留シリンダ17の中心軸線O3は、前後方向に交差する方向に延びてもよい。
噴出孔12aおよび遠隔噴出孔31aは、前後方向に交差する方向に開口してもよい。
噴出孔12aから液体をストレート状に噴出し、遠隔噴出孔31aから液体を霧状に噴出してもよい。
延長筒31が連結筒34に螺着された構成を示したが、延長筒31は、連結筒34に着脱可能に嵌合等されてもよい。
【0056】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1、2 トリガー式液体噴出器
11 噴出器本体
12 ノズル部材
12a 噴出孔
13 トリガー部
14 縦供給筒部
17 貯留シリンダ
18 貯留プランジャ
21 トリガー機構
22 主ポンプ部
31 延長筒
31a 遠隔噴出孔
38 スピン流路
A 容器体
O3 貯留シリンダの中心軸線