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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008615
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】濾過装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 35/02 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
B01D35/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110624
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】522130427
【氏名又は名称】プロメ環境エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 多喜生
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA08
4D116AA16
4D116AA30
4D116BB01
4D116BC03
4D116BC28
4D116BC45
4D116BC47
4D116BC77
4D116DD01
4D116DD06
4D116KK06
4D116QA06C
4D116QA06D
4D116QA06E
4D116QA06F
4D116QB05
4D116QB15
4D116QB22
4D116QB23
4D116VV06
(57)【要約】
【課題】フィルタ押え部材がなくても濾過部への空気の混入を防止できる濾過装置を提供する。
【解決手段】濾過装置1は、油を収容する油収容部2と、油収容部2の収容底面部21に形成された凹状の濾過部3と、濾過部3に配置されるフィルタ支持部4とを備えている。フィルタ支持部4は、収容底面部21と面一に配置される支持天面部41と、支持天面部41の周縁部から下向きに延出する支持側面部42とを備えている。支持天面部41と支持側面部42とに同じ開口率で多数の孔43が形成されている。収容底面部21及び支持天面部41の上にフィルタ部材5が配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油を収容する油収容部と、
前記油収容部の収容底面部に形成された凹状の濾過部と、
前記濾過部に配置されるフィルタ支持部とを備え、
前記フィルタ支持部は、前記収容底面部と面一に配置される支持天面部と、前記支持天面部の周縁部から下向きに延出する支持側面部とを備え、
前記支持天面部と前記支持側面部とに同じ開口率で多数の孔が形成され、
前記収容底面部及び前記支持天面部の上にフィルタ部材が配置される、
濾過装置。
【請求項2】
前記フィルタ支持部は、前記支持天面部と前記支持側面部とが交わる支持角部に前記孔を備えている、
請求項1に記載の濾過装置。
【請求項3】
前記フィルタ支持部は、前記支持天面部の下面に下向きに延出する支持補強リブ部を備え、
前記支持補強リブ部は、前記支持天面部及び前記支持側面部と同じ開口率で多数の孔を有している、
請求項1に記載の濾過装置。
【請求項4】
前記油収容部の側方に前記油収容部内の油を吸引するためのポンプを備え、
前記濾過部の濾過底面部の前記ポンプ寄りの位置に排出口が形成され、
前記排出口と前記ポンプとが吸引管を介して接続されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レストランや仕出し料理屋などにおいて、食材揚げ調理に使用される揚げ物機の揚油等の液体を回収して濾過する濾過装置が知られている(例えば特許文献1)。従来の濾過装置は、被濾過液体である油を収容する油収容部の底面部に形成された凹状の濾過部に網状のフィルタ支持部を配置し、フィルタ支持部の上にフィルタ部材を配置し、フィルタ部材の上に枠状のフィルタ押え部材を配置する。
【0003】
濾過処理の際には、油収容部に油を収容し、濾過部の底面に設けた排出口を通じて油を吸引することで、油がフィルタ部材を通過して濾過され、フィルタ支持部を通って濾過部から排出口を介して吸引される。
【0004】
従来の濾過装置では、フィルタ部材の上にフィルタ押え部材を配置することでフィルタ部材の浮き上がりを防止して、収容底面部とフィルタ支持部との隙間から濾過部に空気が入り込むことによる吸引力の低下を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-065654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、濾過処理後にフィルタ部材を油収容部から取り出す際に、最初にフィルタ押えを取り出す作業が必要であり、作業者の手が油で汚れると共に、作業が煩雑であった。
【0007】
本発明は、このような現状を改善すべく、フィルタ押え部材がなくても濾過部への空気の混入を防止できる濾過装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の濾過装置は、油を収容する油収容部と、前記油収容部の収容底面部に形成された凹状の濾過部と、前記濾過部に配置されるフィルタ支持部とを備え、前記フィルタ支持部は、前記収容底面部と面一に配置される支持天面部と、前記支持天面部の周縁部から下向きに延出する支持側面部とを備え、前記支持天面部と前記支持側面部とに同じ開口率で多数の孔が形成され、前記収容底面部及び前記支持天面部の上にフィルタ部材が配置されるものである。
【0009】
本発明の濾過装置において、前記フィルタ支持部は、前記支持天面部と前記支持側面部とが交わる支持角部に前記孔を備えているようにしてもよい。
【0010】
また、本発明の濾過装置において、前記フィルタ支持部は、前記支持天面部の下面に下向きに延出する支持補強リブ部を備え、前記支持補強リブ部は、前記支持天面部及び前記支持側面部と同じ開口率で多数の孔を有しているようにしてもよい。
【0011】
また、本発明の濾過装置において、前記油収容部の側方に前記油収容部内の油を吸引するためのポンプを備え、前記濾過部の濾過底面部の前記ポンプ寄りの位置に排出口が形成され、前記排出口と前記ポンプとが吸引管を介して接続されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の濾過装置は、フィルタ支持部の支持天面部と支持側面部とに同じ開口率で多数の孔が形成されているので、濾過処理の際に、収容底面部とフィルタ支持部との隙間からも油が効率よく吸引され、当該隙間にフィルタ部材が密着する。これにより、本発明の濾過装置はフィルタ押え部材がなくても濾過部への空気の混入を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】濾過装置の一実施形態の概略的な側面図である。
図2】同実施形態の概略的な平面図である。
図3】同実施形態の概略的な分解斜視図である。
図4図2のA-A位置に沿った概略的な縦断面図である。
図5】同実施形態の濾過部を拡大して示す概略的な縦端面図である。
図6】フィルタ支持部を示す平面図、正面図及び側面図である。
図7】同フィルタ支持部を示す背面図である。
図8】同フィルタ支持部を斜め上から見た斜視図である。
図9】フィルタ支持部の変形例を濾過部とともに示す概略的な縦端面図である。
図10】濾過装置の他の実施形態の概略的な分解斜視図である。
図11】同実施形態の概略的な縦断面図である。
図12】濾過装置のさらに他の実施形態を示す概略的な縦断面図である。
図13】同実施形態の濾過部を拡大して示す概略的な縦端面図である。
図14】濾過装置のさらに他の実施形態を示す概略的な縦断面図である。
図15】濾過装置のさらに他の実施形態を示す概略的な縦断面図である。
図16】同実施形態の濾過部を拡大して示す概略的な縦端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1図5は、濾過装置の一実施形態を示す概略図である。
【0015】
濾過装置1は、被濾過液体としての油を収容する油収容部2と、油収容部2内の油を吸引するためのポンプ9を収容するポンプ収容部10とを備えている。油収容部2及びポンプ収容部10は金属板製であり、上面が開口した箱型の形態を有している。ポンプ収容部10は油収容部2の一側面に隣接して配置されている。油収容部2とポンプ収容部10の底部の四つ角部位にキャスター18が設けられている。
【0016】
油収容部2の収容底面部21に凹状の濾過部3が形成されている。濾過部3は、平面視で油収容部2の収容側面部22とは間隔をあけて、収容底面部21に箱型に陥没して形成されている。濾過部3の濾過底面部31に排出口33が開口している。
【0017】
排出口33は、濾過底面部31においてポンプ収容部10寄りの位置に、濾過側面部32とは間隔をあけて形成されている。ただし、排出口33の位置は、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、排出口33は濾過底面部31の中央部位に形成されていてもよいし、濾過側面部32に形成されていても構わない。
【0018】
排出口33は、油収容部2及びポンプ収容部10の下部に配設した吸引管11を介してポンプ9の吸引口91に接続されている。ポンプ収容部10には、ポンプ9の他、ポンプ9の駆動源12である電気モータも収容されている。ポンプ収容部10は、その上面を覆うポンプ室カバー19(図1図3参照)を取付可能になっている。
【0019】
ポンプ9の吐出口92には、先端にノズル13を接続したホース14が接続可能に構成されている。濾過装置1は、油の濾過処理の際に、ポンプ9で吸引濾過した処理後の油をノズル13からフライヤー8(図4参照)の油槽81に吐出可能に構成している。なお、濾過装置1の油収容部2をフライヤー8の油槽81の下方に配置し、油槽81下部に設けた排出用開閉弁82を開くことで、油槽81内の油を油収容部2に移送可能に構成している。
【0020】
図2~5に示すように、油収容部2の収容底面部21に設けた濾過部3には、底面が開口した箱型のフィルタ支持部4が取外し可能に配設される。フィルタ支持部4は、濾過部3の濾過底面部31に対向配置される支持天面部41と、支持天面部41の周縁部から下向きに延出する4つの支持側面部42とを備えている。図2ではフィルタ支持部4の一部を切り欠いて図示している。
【0021】
図6~8にも示すように、支持側面部42の高さは、濾過側面部32の高さ(濾過部3の深さ)とほぼ同じである。フィルタ支持部4が濾過部3内に配置された状態では、支持天面部41の上面が収容底面部21とほぼ面一に配置されるようになっている。また、フィルタ支持部4の平面サイズは濾過部3の平面サイズよりも少し小さく形成されている。フィルタ支持部4が濾過部3内に配置された状態では、濾過側面部32と支持側面部42との間に隙間が形成されるとともに、収容底面部21と支持天面部41との間に隙間Sが形成される。
【0022】
支持天面部41と支持側面部42には、多数の孔43が同じ開口率で形成されている。孔43は、例えば丸孔であるが、角孔、長孔、十字穴又はこれらの組み合わせなどであっても構わない。孔43は、支持天面部41と支持側面部42とが交わる支持角部44にも形成されている。このようなフィルタ支持部4は、例えば、多数の孔43が規則的に穿設された金属板(パンチングメタルとも呼ばれる)を箱型に加工して形成できる。孔43の開口率は、例えば10~60%である。
【0023】
支持天面部41の下面に、下向きに延出する支持補強リブ部45が固着している。本実施形態では、対向する1組の支持側面部42に平行に設けた板状の支持補強リブ部45が2本設けられている。これらの支持補強リブ部45は、上記1組の支持側面部42の間に互いに間隔をあけて配設されており、支持天面部41の撓みを抑制する機能を有する。支持補強リブ部45は、支持側面部42と同じ高さ寸法に設けられている。
【0024】
支持補強リブ部45には、多数の孔43が支持天面部41及び支持側面部42における開口率と同じ開口率で形成されている。支持側面部42及び支持補強リブ部45の下端面に一部の孔43が下向き開口している。これにより、支持側面部42及び支持補強リブ部45の下端面は凹凸形状になっている。なお、支持補強リブ部45と支持天面部41及び支持側面部42とで孔43の開口率が異なっていても構わない。
【0025】
濾過処理時には、油収容部2内にフィルタ部材5が配設される。図2でのフィルタ部材5の図示は省略している。本実施形態では、フィルタ部材5は、可撓性を有する素材で四角容器状に形成されており、矩形のフィルタ底面部51と、フィルタ底面部51の周縁部から立ち上がる4面のフィルタ側面部52とを有する。また、フィルタ部材5は、対向する一対のフィルタ側面部52の上縁それぞれから延出する一対のフィルタ耳部53を備えている。
【0026】
フィルタ底面部51は収容底面部21よりも少し小さい大きさに形成されている。フィルタ側面部52の高さは、収容側面部22の高さとほぼ同じ寸法に形成されている。フィルタ部材5を油収容部2に装着する際、作業者は、フィルタ底面部51を収容底面部21及び支持天面部41の上に配設し、フィルタ側面部52を収容側面部22に沿わせるように広げた上で、一対のフィルタ耳部53それぞれをフィルタ側面部52の外側へ折り返す。
【0027】
さらに、作業者は、フィルタ耳部53が形成されていない一対のフィルタ側面部52の上縁部それぞれを、対応する一対のフィルタ側面部52の上縁部それぞれにフィルタ止め具23にて固定する。本実施形態では、フィルタ止め具23は、フィルタ側面部52の上縁部を挟持可能なようにフィルタ側面部52の上縁部に取り付けられた蝶番で構成されている。このように、簡素かつ安価な構成で、フィルタ部材5を装着した油収容部2に油を注ぐ際にフィルタ側面部52が内側へ倒れ込む不具合を防止できる。
【0028】
なお、フィルタ部材5は、容器状のものに限定されず、収容底面部21及び支持天面部41の上に配置されるシート状のものであっても構わない。
【0029】
次に、濾過処理時の動作について説明する。濾過部3にフィルタ支持部4が配置され、さらにフィルタ部材5が装着された油収容部2に、被濾過液体である油を収容する。この油は、例えばフライヤーを使用して揚げ物をした後の、揚げカス等が混入した食用油であり、フライヤー8の排出用開閉弁82を開くことで油槽81から油収容部2に移送されたものである。フィルタ部材5に収容された油の重みで、フィルタ部材5のフィルタ底面部51が収容底面部21及び支持天面部41に密着する。
【0030】
駆動源12を作動させてポンプ9を駆動すると、吸引管11内及び濾過部3内が負圧になり、油収容部2内の油がフィルタ底面部51と孔43を通って濾過部3内に流れ込む。濾過部3内に流れ込む油は、フィルタ底面部51を通過する際に揚げカス等の混入物が除去された綺麗な油である。
【0031】
濾過部3内に流れ込んだ油は、排出口から吸引管11を介してポンプ9に吸引される。本実施形態は、排出口33がポンプ9寄りの位置に形成されていることで吸引管11の長さを短くできるから、濾過部3、ポンプ9間の圧力損失を低減して吸引速度を向上でき、ひいては濾過処理作業時間を短縮できる。
【0032】
ポンプ9に吸引された油は、吐出口92及びホース14を介してノズル13から吐出できる。この濾過処理後の油をノズル13からフライヤー8の油槽81に吐出して、油槽81に付着した揚げカスなどの汚れの洗い流し作業に利用できる。これにより、油槽81の水洗浄作業を不要にでき、油槽81の洗浄作業時間を大幅に短縮できる。
【0033】
本実施形態では、フィルタ支持部4は、開口率が10~60%の間になるように多数の孔43が規則性をもって形成された金属板(パンチングメタル)で形成されている。したがって、フィルタ支持部4は、開口率が60%よりも大きい金網をフィルタ支持部として使用する構成と比較して、フィルタ支持部4へのフィルタ部材5の食い込みを抑制してフィルタ部材5及びフィルタ支持部4を通過する油の流速を速くでき、油を効率よく吸引できる。
【0034】
さらに、本実施形態では、フィルタ支持部4の支持側面部42に支持天面部41と同じ開口率で多数の孔43が形成されている。これにより、油収容部2内の油が収容底面部21とフィルタ支持部4との隙間Sからも効率よく吸引され、隙間Sにフィルタ部材5のフィルタ底面部51が密着する。これにより、濾過装置1はフィルタ押え部材がなくても、濾過部3への空気の混入を防止できる。
【0035】
また、本実施形態では、フィルタ支持部4は、支持天面部41と支持側面部42とが交わる支持角部44に孔43を備えている。支持角部44に形成された孔43は、濾過処理の際に、収容底面部21とフィルタ支持部4との隙間Sへのフィルタ底面部51の密着をさらに向上できるので、隙間Sからの濾過部3への空気の混入をより確実に防止できる。
【0036】
フィルタ支持部4は、支持天面部41の下面に下向きに延出する支持補強リブ部45を備えているので、支持天面部41の撓みを抑制できる。また、支持補強リブ部45は、支持天面部41及び支持側面部42と同じ開口率で多数の孔43を有している。これにより、支持補強リブ部45の孔43を介して濾過部3内の圧力を均一にできる。したがって、濾過装置1は、支持天面部41の孔43、及び収容底面部21と支持天面部41との隙間Sを介して、油収容部2内の油を効率よく吸引できる。
【0037】
図9は、フィルタ支持部4の変形例を濾過部3とともに示す概略的な縦端面図である。この実施形態のフィルタ支持部4は、支持補強リブ部45の高さ寸法が支持側面部42の高さ寸法よりも短くなっている。したがって、フィルタ支持部4を濾過部3に配置したときに、支持補強リブ部45の下端面と濾過底面部31との間に隙間が形成される。これにより、支持補強リブ部45で仕切られる濾過部3内の空間の間の流路抵抗を低減でき、濾過部3内を流れる油の流速を速くして濾過処理時間を短縮できる。
【0038】
図10図11に示すように、濾過装置1は、フィルタ押え部材15を使用する構成であっても構わない。フィルタ押え部材15は、金属製であり、油収容部2の枠状の収容底面部21に沿って配置される枠状のフィルタ押え部16と、フィルタ押え部16の上面から立ち上がった一対の持ち手部17とを備えている。フィルタ押え部16は、平面視で濾過部3及びフィルタ支持部4の外側でフィルタ底面部51を収容底面部21に押さえ付ける。これにより、濾過処理時に、フィルタ底面部51の浮き上がりを防止して濾過部3への空気の混入を防止できる。
【0039】
ところで、濾過処理後のフィルタ部材5の内部には、油に溶けない揚げカス等の残渣が残る。フィルタ部材5の底に堆積した残渣には液状の油分が付着している。通常、この油分は、回収されずに、残渣及びフィルタ部材5とともに廃棄される。残渣に含まれる油分を回収して再利用できれば、新品油の補充量を低減して経費を抑制できる上に、環境に優しい。
【0040】
次に説明する実施形態では、油の濾過処理後の残渣に含まれる油を回収して再利用できるようにした。
【0041】
図12は、濾過装置の他の実施形態を説明するための概略的な縦断面図である。図13は、この実施形態の濾過部を拡大して示す概略的な縦端面図である。この実施形態では、被濾過液体の油を油収容部2の外部から油収容部2内に注入する際に使用する油案内部材6と、収容底面部21の上方で収容底面部21に対向配置されるカバー部材7とを備えている。
【0042】
油案内部材6は、油収容部2内に、上下方向に起立姿勢で配設される案内パイプ部61を備えている。案内パイプ部61は、例えば金属製の丸パイプで形成されている。案内パイプ部61の下端部に、周方向に間隔をあけて形成された複数の詰り防止スリット62が形成されている。各詰り防止スリット62は、案内パイプ部61の下端面に開口する切欠き溝で形成されている。案内パイプ部61の上下方向中途部に詰り防止穴63が複数形成されている。
【0043】
カバー部材7は板状の平板部71を備えている。平板部71は、例えば金属板製であり、中央部に油案内部材6の案内パイプ部61を挿通可能なパイプ挿通穴72を備えている。パイプ挿通穴72は案内パイプ部61の外径よりも少し大きい円形穴である。平板部71は平面視四角形であり、その平面サイズは油収容部2の収容底面部21よりも少し小さく形成されている。本実施形態では、平板部71は、平面視でフィルタ底面部51よりも少し小さく形成されている。
【0044】
濾過処理作業の際には、油収容部2に被濾過液体の油を収容する前に、カバー部材7のパイプ挿通穴72に挿通した油案内部材6を、フィルタ部材5を装着した油収容部2内に起立姿勢で配置する。案内パイプ部61の上端をフライヤー8の油槽81に排出用開閉弁82を介して接続する。案内パイプ部61を挿通したカバー部材7は、油収容部2内で上下方向に摺動可能になっている。
【0045】
排出用開閉弁82を開いて、油槽81内の被濾過液体としての油を案内パイプ部61内に導入する。このとき、カバー部材7は案内パイプ部61の上部に保持されている。導入された油は、案内パイプ部61を通って詰り防止スリット62及び詰り防止穴63から揚げカス等の混入物とともに油収容部2に吐出される。このように、案内パイプ部61に詰り防止スリット62や詰り防止穴63を設けることで、案内パイプ部61内での揚げカス等の詰りを防止できる。ポンプ9を駆動させて、油収容部2内の油を濾過する。
【0046】
図13に示すように、油収容部2内の油の全量が濾過されると、フィルタ部材5内に揚げカス等の残渣Zが残る。カバー部材7を案内パイプ部61に沿って下方へ移動させ、平板部71の下面を残渣Zに接触させる。ポンプ9の駆動による吸引力により、平板部71がフィルタ底面部51側へ引き寄せられ、残渣Zを圧縮する。残渣Zに付着した油が搾り出され、フィルタ底面部51で濾過されて、フィルタ支持部4の孔43、濾過部3、吸引管11を通ってポンプ9に到達する。残渣Zから油を十分に搾り出した後、ポンプ9を停止し、油案内部材6及びカバー部材7を油収容部2から取り出す。
【0047】
このように、この実施形態の濾過装置1は、油の濾過処理後の残渣Zに含まれる油を回収して再利用できる。そして、残渣Z及びフィルタ部材5とともに廃棄される油の量を少なくできるので、新品油の補充量を低減して経費を抑制できる上に、環境に優しい。
【0048】
図14に示すように、案内パイプ部61の下端部に外側へ向けて張り出す係止フランジ部64が設けられていてもよい。係止フランジ部64の先端部は、パイプ挿通穴72の内壁よりも外側に張り出している。これにより、油案内部材6及びカバー部材7を油収容部2から取り出す際に、案内パイプ部61を取り出すことでカバー部材7を一緒に取り出すことができ、作業性及び利便性を向上できる。
【0049】
図15及び16に示すように、カバー部材7のパイプ挿通穴72を塞ぐカバー蓋部材73を設けても構わない。カバー蓋部材73は、パイプ挿通穴72の近傍で平板部71の上面に、蓋支持部材74を介して姿勢変更可能に取り付けられている。蓋支持部材74は例えば蝶番である。カバー蓋部材73は、パイプ挿通穴72を塞ぐ密閉姿勢(図16の実線参照)と、パイプ挿通穴72の上方から退避した起立姿勢(図15の実線及び図16の仮想線参照)との間で回動自在に支持されている。カバー蓋部材73は、カバー蓋部材73に設けた係合突起75が平板部71上面に設けた係止爪部材76に係脱可能に係合することで、起立姿勢を保持可能になっている。
【0050】
図15に示すように、フライヤー8の油槽81から油収容部2へ油を導入する際には、カバー蓋部材73を起立姿勢に保持しておく。油収容部2内の油の全量を濾過した後、図16に示すように、カバー部材7を案内パイプ部61に沿って下降させて平板部71を残渣Zに接触させた後、案内パイプ部61をパイプ挿通穴72から引き抜ぬいて、油収容部2から取り出す。そして、カバー蓋部材73を起立姿勢から回動させて閉塞姿勢にしてパイプ挿通穴72を塞ぐ。
【0051】
カバー蓋部材73でパイプ挿通穴72が塞がれることで、ポンプ9の駆動による吸引力によって平板部71が残渣Zを圧縮する際に、空気がパイプ挿通穴72を介して濾過部3側へ吸引されるのを防止できる。これにより、平板部71による残渣Zに対する圧縮力を大きくでき、残渣Zからより多くの油を搾り出すことができるとともに、その搾り出し処理時間を短縮できる。
【0052】
以上、実施形態を説明したが、本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。例えば、前述した実施形態及び変形例(尚書き等)で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 濾過装置
2 油収容部
3 濾過部
4 フィルタ支持部
5 フィルタ部材
6 油案内部材
7 カバー部材
8 フライヤー
9 ポンプ
10 ポンプ収容部
11 吸引管
12 駆動源
13 ノズル
14 ホース
15 フィルタ押え部材
16 フィルタ押え部
17 手部
18 キャスター
19 ポンプ室カバー
21 収容底面部
22 収容側面部
23 フィルタ止め具
31 濾過底面部
32 濾過側面部
33 排出口
41 支持天面部
42 支持側面部
43 孔
44 支持角部
45 支持補強リブ部
51 フィルタ底面部
52 フィルタ側面部
53 フィルタ耳部
61 案内パイプ部
62 詰り防止スリット
63 詰り防止穴
64 係止フランジ部
71 平板部
72 パイプ挿通穴
73 カバー蓋部材
74 蓋支持部材
75 係合突起
76 係止爪部材
81 油槽
82 排出用開閉弁
91 吸引口
92 吐出口
S 隙間
Z 残渣
図1
図2
図3
図4
図5
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