(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086154
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ロッカー
(51)【国際特許分類】
A47B 55/00 20060101AFI20240620BHJP
A47B 61/00 20060101ALI20240620BHJP
A47B 46/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
A47B55/00
A47B61/00 503F
A47B61/00 503E
A47B46/00 501J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201139
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】110003823
【氏名又は名称】弁理士法人柳野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松宮 一樹
(72)【発明者】
【氏名】緑川 由佳
(72)【発明者】
【氏名】岡本 敏明
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆太
【テーマコード(参考)】
3B067
【Fターム(参考)】
3B067AA01
3B067AA05
(57)【要約】
【課題】簡易な動作(ワンタッチ)で棚部の姿勢を変更することができるロッカーを提供する。
【解決手段】ロッカー1が備える物品載置棚50は、複数の壁部同士の間で延びる棚部51と、棚部51を使用可能な展開状態と使用不能な収納状態とに変更可能に支持する棚支持部52・52と、を有し、棚支持部52は、いずれかの壁部に設けられ棚部51の一端側を水平軸回りに回動可能に支持する一端側支持部52Uと、展開状態の棚部51の他端側を支持する他端側支持部52Dと、を有し、棚部51は、展開状態において一端側が水平軸回りの一方向に回動して一端側支持部52Uが設けられる壁部に他端側が近接することで収納状態となり、収納状態において一端側が水平軸回りの逆方向に回動して他端側支持部52Dに他端側が近接することで展開状態となる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の壁部を有し、前記壁部によって囲われることで収納空間が形成される本体部と、
前記収納空間に位置し物品が載置される物品載置棚と、を備え、
複数の前記壁部は、前記収納空間を囲う左側壁、右側壁及び後壁を含み、
前記物品載置棚は、複数の前記壁部同士の間で延びて前記物品を載置する棚部と、前記棚部を使用可能な展開状態と使用不能な収納状態とに変更可能に支持する棚支持部と、を有し、
前記棚支持部は、いずれかの前記壁部に設けられ前記棚部の一端側を水平軸回りに回動可能に支持する一端側支持部と、展開状態の前記棚部の他端側を支持する他端側支持部と、を有し、
前記棚部は、展開状態において前記一端側が水平軸回りの一方向に回動して前記一端側支持部が設けられる壁部に前記他端側が近接することで収納状態となり、収納状態において前記一端側が水平軸回りの逆方向に回動して前記他端側支持部に前記他端側が近接することで展開状態となる、ロッカー。
【請求項2】
前記棚部には、展開状態と使用状態とを切り替える際に利用される把手が設けられる、請求項1に記載のロッカー。
【請求項3】
前記他端側支持部は、前記一端側支持部が設けられる壁部と対向する壁部に設けられる、請求項1に記載のロッカー。
【請求項4】
前記棚部が前記収納状態にある際に前記他端側を固定する他端側固定部をさらに備える、請求項1に記載のロッカー。
【請求項5】
前記棚部が前記収納状態にある際に前記他端側を固定する他端側固定部が前記把手に設けられる、請求項2に記載のロッカー。
【請求項6】
前記物品載置棚が前記収納空間の下端近傍に設けられる、請求項1に記載のロッカー。
【請求項7】
前記棚部は、前記展開状態において、前記水平軸と交差する水平方向に延びる杆状部材を複数含み、載置される物品を前記杆状部材によって受ける、請求項1に記載のロッカー。
【請求項8】
前記棚部の奥行方向の寸法は、前記収納空間の奥行方向の寸法よりも小さく形成される、請求項1に記載のロッカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、本体部と棚部材とを備えるロッカーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、職場や学校の更衣ロッカーとして用いられるロッカーにおいて、荷物や鞄等の物品を載置するための棚部材を設ける構成が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のようなロッカーにおいて、利用者が棚部材の棚面を変更する場合は、一旦棚部材を持ち上げて反転させ、姿勢を変えた棚部材を再度配置する必要があるため、利用者にとって動作が煩雑になっていた。そこで、本開示は、上記に関する課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係るロッカーは、複数の壁部を有し、前記壁部によって囲われることで収納空間が形成される本体部と、前記収納空間に位置し物品が載置される物品載置棚と、を備え、複数の前記壁部は、前記収納空間を囲う左側壁、右側壁及び後壁を含み、前記物品載置棚は、複数の前記壁部同士の間で延びて前記物品を載置する棚部と、前記棚部を使用可能な展開状態と使用不能な収納状態とに変更可能に支持する棚支持部と、を有し、前記棚支持部は、いずれかの前記壁部に設けられ前記棚部の一端側を水平軸回りに回動可能に支持する一端側支持部と、展開状態の前記棚部の他端側を支持する他端側支持部と、を有し、前記棚部は、展開状態において前記一端側が水平軸回りの一方向に回動して前記一端側支持部が設けられる壁部に前記他端側が近接することで収納状態となり、収納状態において前記一端側が水平軸回りの逆方向に回動して前記他端側支持部に前記他端側が近接することで展開状態となる。
【0006】
上記第1観点に係るロッカーによれば、簡易な動作(ワンタッチ)で棚部の姿勢を変更することができるため、利用者の利便性を向上させることができる。
【0007】
上記第1観点に係るロッカーにおいて、本体に扉を設ける構成と設けない構成の何れを採用することも可能である。また、棚部は、上方に回転することで収納状態となる構成と下方に回転することで収納状態となる構成との何れを採用することも可能である。
【0008】
上記第1観点に係るロッカーにおいて、棚部は、左側壁と右側壁との何れか一方に設けた一端側支持部によって回動可能に支持され、左側壁と右側壁との何れか他方又は後壁に他端側支持部を設けてもよい。また、棚部は、後壁に設けた一端側支持部によって回動可能に支持され、左側壁と右側壁との何れか一方又は双方に他端側支持部を設けてもよい。
【0009】
本発明の第2観点に係るロッカーにおいて、前記棚部には、展開状態と使用状態とを切り替える際に利用される把手が設けられる。
【0010】
上記第2観点に係るロッカーによれば、利用者が把手を持って棚部の姿勢を変更することが可能となる。
【0011】
本発明の第3観点に係るロッカーにおいて、前記他端側支持部は、前記一端側支持部が設けられる壁部と対向する壁部に設けられる。
【0012】
上記第3観点に係るロッカーによれば、棚部を安定して支持することが可能となる。
【0013】
本発明の第4観点に係るロッカーは、前記棚部が前記収納状態にある際に前記他端側を固定する他端側固定部をさらに備える。
【0014】
上記第4観点に係るロッカーによれば、収納状態の棚部を安定して支持することが可能となる。第4観点に係るロッカーにおいて、他端側固定部は、一端側支持部が設けられる壁部と他端側との何れか一方又は双方に設けることが可能である。この際、他端側固定部の固定方法としては、マグネット、係合固定、面ファスナーなどを採用することが可能である。
【0015】
本発明の第5観点に係るロッカーは、前記棚部が前記収納状態にある際に前記他端側を固定する他端側固定部が前記把手に設けられる。
【0016】
上記第5観点に係るロッカーによれば、利用者が把手を持って棚部を収納状態に変位させることが可能となる。
【0017】
本発明の第6観点に係るロッカーは、前記物品載置棚が前記収納空間の下端近傍に設けられる。
【0018】
上記第6観点に係るロッカーによれば、棚部の展開状態において棚部の下側の空間を収納スペースとして活用することができる。
【0019】
本発明の第7観点に係るロッカーにおいて、前記棚部は、前記展開状態において、前記水平軸と交差する水平方向に延びる杆状部材を複数含み、載置される物品を前記杆状部材によって受ける。
【0020】
上記第7観点に係るロッカーによれば、棚部を軽量化することが可能となる。
【0021】
本発明の第8観点に係るロッカーにおいて、前記棚部の奥行方向の寸法は、前記収納空間の奥行方向の寸法よりも小さく形成される。
【0022】
上記第8観点に係るロッカーによれば、棚部の展開状態において棚部の前後のスペースを用いてブーツなどを収容することが可能となる。
【0023】
なお、上記第2観点から第8観点の内容は、本発明に係るロッカーにおいて必ずしも必須の構成ではなく、適宜省略/変更することが可能である。
【発明の効果】
【0024】
以上における本発明に係るロッカーは、以下に示す効果を奏する。
【0025】
第1観点に係るロッカーによれば、利用者の利便性を向上させることができる。
【0026】
第2観点に係るロッカーによれば、利用者が把手を持って棚部の姿勢を変更することが可能となる。
【0027】
第3観点に係るロッカーによれば、棚部を安定して支持することが可能となる。
【0028】
第4観点に係るロッカーによれば、収納状態の棚部を安定して支持することが可能となる。
【0029】
第5観点に係るロッカーによれば、利用者が把手を持って棚部を収納状態に変位させることが可能となる。
【0030】
第6観点に係るロッカーによれば、棚部の展開状態において棚部の下側の空間に靴等を収容することが可能となる。
【0031】
第7観点に係るロッカーによれば、棚部を軽量化することが可能となる。
【0032】
第8観点に係るロッカーによれば、棚部の展開状態において棚部の下側の空間を用いてブーツなどを収容することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2】一実施形態に係るロッカーにおいて第一扉を開放した状態を示した斜視図。
【
図3】(a)及び(b)はそれぞれ収納部材の上方斜視図及び下方斜視図。
【
図4】(a)及び(b)はそれぞれ収納部材の正面図及び平面図。
【
図5】収納部材を扉に組付ける状態を示した斜視図。
【
図8】(a)及び(b)はそれぞれ一端側支持部の表側斜視図及び裏側斜視図。
【
図9】(a)及び(b)はそれぞれ他端側支持部の表側斜視図及び裏側斜視図。
【
図10】一端側挿入部と他端側挿入部との配置状態を示した平面図。
【
図11】(a)及び(b)はそれぞれ一端側支持部及び他端側支持部の組付状態を示した図。
【
図12】(a)及び(b)はそれぞれ
図7におけるX-X線断面図及びY-Y線断面図。一端側支持部の表側斜視図及び裏側斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[ロッカー1]
以下では
図1から
図14を用いて、本発明の一実施形態であるロッカー1について説明する。本実施形態に係るロッカー1は、一部の樹脂製部材を除いてスチール等の金属板で構成される。但し、ロッカー1を木材や樹脂製部材を用いて構成することも可能である。
【0035】
以下では、ロッカー1に対向する利用者の視点によりロッカー1の左右方向を規定する。即ち、ロッカー1に対向する利用者の右側(
図1における右上側)をロッカー1における右側方とする。また、ロッカー1における利用者側(
図1における右下側)をロッカー1の前方とする。
【0036】
本実施形態に係るロッカー1は、前方が開放された本体部2に三枚の扉3が設けられて構成される。本体部2は底板21、天板22、左右の側板23、及び背板25で構成される。本体部2の内部は二枚の仕切板によって三個の収納空間に仕切られている。以下では、扉3を閉塞した際に外部に露出する面(外面)を扉3の前面、収納空間側の面(内面)を扉3の後面と記載する。
【0037】
本体部2には左側から順番に第一扉3a、第二扉3b、及び、第三扉3cが回転可能に組付けられる。本実施形態に係るロッカー1において、それぞれの三枚の扉3は右端部にヒンジが設けられ、全て同じ方向に開くように設けられる。即ち、ロッカー1は、利用者が扉3を上面視で反時計回りに回動させることにより収納空間が開き、扉3を上面視で時計回りに回動させることにより収納空間が閉じるように構成されている。換言すれば、ロッカー1は、それぞれの扉3を回動させることにより、本体部2に形成された開口部を閉塞する閉状態と、開口部を開放する開状態と、の間で切替可能としている。
【0038】
図2に示す如く第一扉3aを開放すると、本体部2の前側に形成された開口部2aを通じて第一収納空間S1が使用可能となる。第一収納空間S1は、左側の側板23、第一仕切板24、及び、背板25で構成される三枚の壁部と、底板21、天板22、及び第一扉3aによって囲まれる。本実施形態において、第一収納空間S1を囲む壁部は、左側の側板23が左側壁、第一仕切板24が右側壁、背板25が後壁として構成される。
【0039】
本実施形態に係るロッカー1において、第二扉3b及び第三扉3cを開放した場合でも、それぞれの収納空間が使用可能となる。ロッカー1が備えるそれぞれの収納空間の構成は同様であるため、以下では主に第一収納空間S1の構成について説明する。なお、本発明に係るロッカーは、一つの筐体の内部に収納空間を設ける構成であれば良く、収納空間が1、2、又は4個以上形成される構成でも差し支えない。
【0040】
本実施形態に係るロッカー1は、収納空間が三個形成されて形成されている。即ち、ロッカー1は、例えばオフィスや学校等でロッカー1を使用する三人の利用者ごとに、衣服、履物、荷物、及び、携帯電話やモバイルコンピュータ等を内部に収容して保管するために用いられる。
【0041】
扉3の前面における戸先側端部には、上下方向中央部に取手31が設けられる。扉3の後面における取手31の背後にはロック部32が設けられる。本実施形態におけるロック部32にはシリンダ錠が設けられている。扉3の後面における上部には鏡部材33が組付けられている。
【0042】
[収納部材40]
図2に示す如く、扉3の後面における鏡部材33の下方には収納部材40が組付けられる。
図3及び
図4に示す如く、収納部材40は、ペットボトル、名刺、携帯電話、時計等の物品が収容される樹脂製部材であるトレイ部41と、ネクタイ、スカーフ、社員証のストラップ等の紐状物が掛けられるハンガー部42と、を有して構成される。
【0043】
図3及び
図4に示す如く、トレイ部41は、水平に配置されて物品が載置される載置部41aと、載置部41aを囲うように上方に立ち上がることで物品の落下を抑制する側壁部と、を含んで構成される。側壁部のうち右側面及び後面右側には高壁部41bが形成される。また、側壁部のうち左側面及び後面左側には高壁部41bよりも上下方向の寸法が小さい低壁部41cが形成される。
【0044】
ロッカー1において、高壁部41bで囲まれた載置部41aの右側(収納部材40の利用者から向かって左側)には、ペットボトル等の比較的高さの大きな物品を収納することが好適である。また、低壁部41cで囲まれた載置部41aの左側には、名刺や時計等の比較的高さの小さな物品を収納することが好適である。即ち、本実施形態に係るロッカー1によれば、トレイ部41に載置する物品の高さに応じて載置する箇所を変更することができる。
【0045】
また、
図4(b)に示す如く、載置部41aの右側は、左側と比較して前後方向の寸法が大きく形成されている。これにより、載置部41aの左側には比較的小さな物品を収容することが好適となる。このように、本実施形態に係るロッカー1によれば、トレイ部41に載置する物品の大きさに応じて載置する箇所を変更することができる。
【0046】
ロッカー1に設けられた収納部材40において、載置部41aの上面には、載置される物品の移動を抑制するリブ41d・41dが設けられる。このリブ41d・41dにより、物品を安定して載置することができる。具体的には
図6に示す如く、携帯電話Pをリブ41dに引掛けて立て掛けることができるため、携帯電話Pの安定性を高めることができる。また、リブ41dにより、名刺等の薄い物品や、ピアスやバッジ等の小さい物品を取り出しやすくなる。
【0047】
収納部材40におけるトレイ部41の下面にはハンガー部42が組付けられる。ハンガー部42は金属製の杆状部材がループ形状に折り曲げられて構成される。
図3(a)及び(b)に示す如く、ハンガー部42は、固定側端部42a・42a、上下延伸部42b・42b、水平延伸部42c・42c、及び、開放側端部42dを備える。
【0048】
図2及び
図3に示す如く、ハンガー部42の上端において、固定側端部42a・42aは扉3の吊元側に設けられて水平方向に延伸される。トレイ部41の下面には固定側端部42a・42aを挿入可能な被挿入部45・45が形成されている。この被挿入部45・45に固定側端部42a・42aが挿入されることにより、固定側端部42a・42aがトレイ部41に固定される。
図3(b)に示す如く、被挿入部45には固定側端部42aが離脱することを抑制するための抜け止め突起45aが形成されている。
【0049】
ハンガー部42において、固定側端部42a・42aから下方には、上下方向に延びる上下延伸部42b・42bが延出される。上下延伸部42b・42bの下端部には、水平方向に沿って延びる水平延伸部42c・42cが連結される。このように、ハンガー部42は正面視で
図4(a)に示す如く略L字形状に形成されている。なお、ハンガー部42を正面視で略J字形状に形成することも可能である。本実施形態に係るロッカー1によれば、上記の如くハンガー部42を略L字形状に形成することにより、収納部材40の前後幅をコンパクトに形成することが可能となる。
【0050】
本実施形態に係るロッカー1において、ハンガー部42はトレイ部41の下方に位置するように設けられる。これにより、収納部材40においてハンガー部42がトレイ部41から後方に突出することがないため、収納部材40の前後幅をよりコンパクトに形成することができる。
【0051】
本実施形態に係るロッカー1において、ハンガー部42は、開放側端部42dが上方に沿って延びるように形成される。これにより、ハンガー部42に紐状物を掛けた際に、扉3の戸先側への紐状物の変位が開放側端部42dにより規制されるため、紐状物の落下を抑制することができる。
【0052】
本実施形態に係るロッカー1において、ハンガー部42は平面視でループする杆状部材で構成される。これにより、ハンガー部42を板状部材で構成する場合と比較して、ハンガー部42を軽量化することができる。
【0053】
本実施形態に係るロッカー1において、上下延伸部42b・42b、水平延伸部42c・42c、及び開放側端部42dには、樹脂コーティングによる滑り止め加工が施されている。これにより、ハンガー部42に掛けた紐状物が変位し難くなるため、紐状物の落下を抑制することができる。
【0054】
本実施形態に係るロッカー1においては
図4(a)に示す如く、ハンガー部42の開放側端部42dとトレイ部41との間には、紐状物を挿入可能な間隙Dが形成される。これにより、扉3の戸先側に設けられた開放側端部42dとトレイ部41との間から、簡易な動作で紐状物を出し入れできる。即ち、紐状物の端部からハンガー部42に掛ける必要がなく、紐状物の中途部をハンガー部42に掛けることができる。また、ストラップのように環状に形成された紐状物であってもハンガー部42に掛けることができる。このように、本実施形態においては、開放側端部42dとトレイ部41との間に間隙Dを形成することにより、利用者の利便性を向上させることを可能としている。
【0055】
本実施形態に係るロッカー1において、収納部材40は扉3の後面において上下方向に並んで開口された開口部34・34を介して扉3に固定される。具体的に、トレイ部41の前部には、上側に上係合部43、下側に弾性変形可能な下係合部44がそれぞれ形成されている。
【0056】
収納部材40を扉3の後面に組付ける際には、
図5に示す如く上係合部43を上側の開口部34に係合させ、下係合部44を弾性変形させて下側の開口部34に係合させるのである。これにより、収納部材40が扉3に対して固定される。なお、下係合部44を弾性変形させることにより、収納部材40を扉3から取り外すことも可能である。
【0057】
[物品載置棚50]
図2に示す如く、本実施形態に係るロッカー1は、それぞれの収納空間(
図2においては第一収納空間S1)の下部に位置する物品載置棚50が設けられる。物品載置棚50は、ロッカー1の利用者が荷物や鞄等の物品を載置する際に使用される。
【0058】
図7から
図12に示す如く、物品載置棚50は、棚部51と一対の棚支持部52・52とを有している。棚部51は、複数の壁部同士(本実施形態においては左側の側板23と第一仕切板24)の間で延びて物品を載置するための金属製の網状部材である。棚支持部52・52は、棚部51を使用可能な展開状態(
図2、
図7、
図14等を参照)と使用不能な収納状態(
図13を参照)とに変更可能に支持する樹脂製の棒状部材である。
【0059】
図7に示す如く、本実施形態における棚部51は、左側の側板23に近接して配置される一端側軸部材51aと、展開状態において第一仕切板24に近接して配置される他端側軸部材51bと、展開状態において一端側軸部材51aと他端側軸部材51bとの間で水平方向に延びる複数の杆状部材51c・51c・・・と、を備えて構成される。一端側軸部材51aは棚部51を回転変位させる際の水平軸として機能する。
【0060】
棚部51の展開状態においては、複数の杆状部材51c・51c・・・によって棚部51に載置される物品が支持される。本実施形態に係るロッカー1によれば、上記の如く棚部51を一端側軸部材51a、他端側軸部材51b、及び複数の杆状部材51c・51c・・・で網状に構成することにより軽量化を図っている。
【0061】
図7に示す如く、棚部51の右側前端部(他端側軸部材51bの前端部)には、展開状態と使用状態とを切り替える際に利用される把手53が設けられる。把手53の内部には他端側固定部としてマグネット53aが収容されている。本実施形態に係るロッカー1によれば、利用者が把手53を持って棚部51の姿勢を変更することを可能としている。
【0062】
本実施形態において棚支持部52・52は、左側の側板23に設けられて棚部51の一端側軸部材51aを水平軸回りに回動可能に支持する一端側支持部52Uと、展開状態の棚部51の他端側軸部材51bを支持する他端側支持部52Dと、を有する。
【0063】
図8及び
図9に示す如く、一端側支持部52Uと他端側支持部52Dとは共通の棚支持部52を上下に180度反転させた部材である。棚支持部52を一端側支持部52Uの姿勢にした場合は、
図8(a)及び(b)に示す如く、下方に一端側被挿入部52a・52aが開口し、上方に軸支持部52c・52cが位置する。一端側支持部52Uの軸支持部52c・52cにより、棚部51の一端側軸部材51aが回動可能に支持される。本実施形態においては、一端側支持部52Uと他端側支持部52Dとに共通の部材を採用することにより、部品点数を少なく構成している。
【0064】
一方、棚支持部52を他端側支持部52Dの姿勢にした場合は、
図9(a)及び(b)に示す如く、下方に他端側被挿入部52b・52bが開口し、上方に軸載置部52d・52dが位置する。軸載置部52d・52dには、棚部51の展開状態において他端側軸部材51bが載置される。
【0065】
図10に示す如く、左側の側板23の内面には、一端側支持部52Uを組付けるための一端側挿入部23a・23aが貼付される。また、第一仕切板24の左側面には、他端側支持部52Dを組付けるための他端側挿入部24a・24aが形成される。なお、第一仕切板24の右側面には、隣接する収納空間(第二収納空間)で一端側支持部52Uを組付けるための一端側挿入部24b・24bが形成される。
【0066】
物品載置棚50を本体部2に組付ける際は、
図11(a)及び
図12(a)に示す如く、一端側支持部52Uの軸支持部52c・52cで棚部51の一端側軸部材51aを保持した状態で、一端側被挿入部52a・52aに一端側挿入部23a・23aを挿入する。これにより、棚部51が一端側支持部52Uと共に左側の側板23に組付けられる。
【0067】
また、
図11(b)及び
図12(b)に示す如く、他端側支持部52Dの他端側被挿入部52b・52bに他端側挿入部24a・24aを挿入する。これにより、他端側支持部52Dが第一仕切板24に組付けられる。
【0068】
本実施形態において、棚部51は展開状態において一端側軸部材51aが水平軸回りの一方向(正面視で反時計回り方向)に回動して、一端側支持部52Uが設けられる左側の側板23に他端側軸部材51bが近接することで収納状態となる(
図13を参照)。棚部51を収納状態とした際は、
図13に示す如くトランクTのような大きな荷物を第一収納空間S1に収納することが可能となる。
【0069】
本実施形態に係るロッカー1において、棚部51を収納状態とした際には、把手53に収容されたマグネット53aが左側の側板23に吸着することにより、棚部51を収納状態で安定して保持できる。また、収納状態において一端側軸部材51aが水平軸回りの逆方向に回動して他端側支持部52Dに他端側軸部材51bが近接することで展開状態となる。
【0070】
本実施形態に係るロッカー1によれば、利用者が把手53を片手で持って回動させるという簡易な動作により、ワンタッチで棚部51の姿勢を展開状態と収納状態との間で変更することができる。このように、棚部材を一旦持ち上げたり反転させたりする必要がないため、利用者によるロッカー1の利便性を向上させることができる。
【0071】
また、本実施形態に係るロッカー1によれば、他端側支持部52Dは、一端側支持部52Uが設けられる壁部である左側の側板23と対向する壁部である第一仕切板24に設けられる。これにより、棚部51を対向する辺で支持することができるため、棚部51を安定して支持することが可能となる。
【0072】
また、本実施形態に係るロッカー1は、棚部51が収納状態にある際に他端側軸部材51bを固定する他端側固定部として、把手53に収容されたマグネット53aを備える。これにより、マグネット53aが左側の側板23に吸着して、収納状態の棚部51を安定して支持することが可能となる。また、他端側固定部であるマグネット53aを把手53に設けることにより、利用者が把手53を持って棚部51を収納状態に変位させることが可能となる。
【0073】
また、本実施形態に係るロッカー1は、
図2に示す如く、物品載置棚50が収納空間の下端近傍に設けられる。これにより、棚部51の展開状態において棚部51の下側の空間を収納スペースとして活用することができる。
【0074】
また、本実施形態に係るロッカー1は、
図14に示す如く、棚部51の奥行方向の寸法は、収納空間の奥行方向の寸法よりも小さく形成される。これにより、棚部51の展開状態において棚部51の前側のスペースを用いてブーツBなどを収容することが可能となる。
【0075】
[他の変形例]
上記の実施形態は、以下に示す他の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、本明細書に記載する各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
【0076】
本発明に係るロッカーにおいて、本体に扉を設ける構成と設けない構成の何れを採用することも可能である。また、棚部は、上方に回転することで収納状態となる構成と下方に回転することで収納状態となる構成との何れを採用することも可能である。また、棚部を板状部材で構成することも可能である。
【0077】
本発明に係るロッカーにおいて、棚部は、左側壁と右側壁との何れか一方に設けた一端側支持部によって回動可能に支持され、左側壁と右側壁との何れか他方又は後壁に他端側支持部を設けてもよい。また、棚部は、後壁に設けた一端側支持部によって回動可能に支持され、左側壁と右側壁との何れか一方又は双方に他端側支持部を設けてもよい。
【0078】
本発明に係るロッカーにおいて、棚部に把手を設けない構成とすることも可能である。また、棚部が収納状態にある際に他端側を固定する他端側固定部を設けない構成とすることも可能である。他端側固定部を設ける場合は、一端側支持部が設けられる壁部と他端側との何れか一方又は双方に設けることが可能である。この際、他端側固定部の固定方法としては、マグネット以外に、係合固定、面ファスナーなどを採用することが可能である。
【0079】
本発明に係るロッカーにおいて、収納空間において物品載置棚が設けられる位置は限定されるものではなく、収納空間の上側や上下方向中途部に設ける構成とすることも可能である。また、棚部の奥行方向の寸法が収納空間の奥行方向の寸法と略同一の大きさにすることも可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 ロッカー 2 本体部
2a 開口部 3 扉
3a 第一扉 3b 第二扉
3c 第三扉
21 底板 22 天板
23 側板(壁部・左側壁)
23a 一端側挿入部
24 第一仕切板(壁部・右側壁)
24a 他端側挿入部 24b 一端側挿入部
25 背板(壁部・後壁)
31 取手 32 ロック部
33 鏡部材 34 開口部
40 収納部材 41 トレイ部
41a 載置部 41b 高壁部(側壁部)
41c 低壁部(側壁部) 41d リブ
42 ハンガー部 42a 固定側端部
42b 上下延伸部 42c 水平延伸部
42d 開放側端部 43 上係合部
44 下係合部 45 被挿入部
45a 抜け止め突起
50 物品載置棚 51 棚部
51a 一端側軸部材 51b 他端側軸部材
51c 杆状部材 52 棚支持部
52U 一端側支持部 52D 他端側支持部
52a 一端側被挿入部 52b 他端側被挿入部
52c 軸支持部 52d 軸載置部
53 把手 55a マグネット
S1 第一収納空間 D 隙間
P 携帯電話 T トランク
B ブーツ