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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086161
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/342 20210101AFI20240620BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240620BHJP
【FI】
H01M50/342 201
H01M50/204 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201149
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤本 貴洋
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA07
5H012BB08
5H012CC01
5H012DD05
5H012EE01
5H012FF08
5H012GG01
5H012JJ02
5H040AA37
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY08
5H040CC05
5H040CC28
5H040CC36
5H040JJ03
5H040LL06
(57)【要約】
【課題】 簡単な構造でバッテリセルから吹き出したガスをケースの外部に排出することができる電池パックを提供する。
【解決手段】電池パックは、複数のバッテリセルがケースに収容された電池パックであって、前記ケースに前記バッテリセルから吹き出したガスを排出するためのガス排出口を設ける一方、前記ガス排出口を塞ぐ蓋部材と、前記ガス排出口の予め設定されたガスの排出方向上流側で前記蓋部材を前記ケースに接着する第1接着剤と、前記ケースが水密となるように前記蓋部材を前記ケースに接着する、前記第1接着剤よりも融点の低い第2接着剤と、前記ガス排出口を跨いで設けられ、前記ケースと二箇所で接続される開度コントロールバーと、を備える。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリセルがケースに収容された電池パックであって、
前記ケースに前記バッテリセルから吹き出したガスを排出するためのガス排出口を設ける一方、
前記ガス排出口を塞ぐ蓋部材と、
前記ガス排出口の予め設定されたガスの排出方向上流側で前記蓋部材を前記ケースに接着する第1接着剤と、
前記ケースが水密となるように前記蓋部材を前記ケースに接着する、前記第1接着剤よりも融点の低い第2接着剤と、
前記ガス排出口を跨いで設けられ、前記ケースと二箇所で接続される開度コントロールバーと、
を備えた電池パック。
【請求項2】
前記蓋部材は、前記ガス排出口の予め設定された前記ガスの排出方向に沿って設けられた溝を有する、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記第1接着剤は、相互に離れた二箇所で前記蓋部材を前記ケースに接着する、請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記ガス排出口は、前記ガス排出口の予め設定された前記ガスの排出方向に沿って排出方向上流側から下流側に向けて漸次幅広となる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記開度コントロールバーは、前記ガス排出口の予め設定された前記ガスの排出方向に直交する両側縁部から中央に向けて前記ケースの表面から漸次離反する、
請求項3に記載の電池パック。
【請求項6】
前記開度コントロールバーは、前記蓋部材が変形することで前記溝に沿って形成される稜が嵌まる凹部を有する、
請求項3に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のバッテリセルがケースに収容された電池パックが開示されている。かかるケースの上面には、内部圧力の上昇によって所定領域が開口する圧力開放部が設けられている。圧力開放部は、ケースに形成された開口部と開口部を閉塞する蓋部材とで構成されている。蓋部材は、一方向における一端部が開口部の外周部でケースにタッピングスクリュー等の締結部材によって固定され、他端部がケースに取り外し可能に保持されている。かかる電池パックによれば、バッテリセルの内部短絡等によりバッテリセルから発生したガスがケース内に充満して内部圧力が上昇すると、その圧力上昇に伴って開口部に対向する領域の蓋部材が変形し、取り外し可能に保持された蓋部材の他端部が外れてケースに形成された開口部が開口し、ケース内のガスがケース外に排出することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-60165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電動車両の床下に搭載される電池パックでは、ケースの水密が求められるため、ケースに形成された開口部の外周部を蓋部材が封止することが必要となる。そのため、開口部の外周部と蓋部材との間にゴムパッキン等のシール部材を設置することとなり、簡単な構造でバッテリセルから吹き出したガスをケースの外部に排出することができない。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、簡単な構造でバッテリセルから吹き出したガスをケースの外部に排出することができる電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る電池パックは、複数のバッテリセルがケースに収容された電池パックであって、前記ケースに前記バッテリセルから吹き出したガスを排出するためのガス排出口を設ける一方、前記ガス排出口を塞ぐ蓋部材と、前記ガス排出口の予め設定されたガスの排出方向上流側で前記蓋部材を前記ケースに接着する第1接着剤と、前記ケースが水密となるように前記蓋部材を前記ケースに接着する、前記第1接着剤よりも融点の低い第2接着剤と、前記ガス排出口を跨いで設けられ、前記ケースと二箇所で接続される開度コントロールバーと、を備える。
【0007】
上記(1)の構成によれば、バッテリセルから吹き出したガスが第2接着剤を溶融することで、蓋部材が第1接着剤を支点に蓋部材が開度コントロールバーに干渉するまでの範囲で開放されるので、簡単な構造でバッテリセルから吹き出したガスをケースの外部に排出することができる。
【0008】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、前記蓋部材は、前記ガス排出口の予め設定された前記ガスの排出方向に沿って設けられた溝を有する。
【0009】
上記(2)の構成によれば、ガス排出口から排出されたガスによって蓋部材がケースから離反し、蓋部材に溝に沿って稜が形成されることで、ガスの排出通路が形成される。これにより、バッテリセルから吹き出したガスを効率的に排出され易くできる。
【0010】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、前記第1接着剤は、相互に離れた二箇所で前記蓋部材を前記ケースに接着する。
【0011】
上記(3)の構成によれば、相互に離れた二箇所間で蓋部材が変形しやすくなるので、ガスの排出通路が形成され易くなる。これにより、バッテリセルから吹き出したガスを効率的に排出され易くできる。
【0012】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)から(3)のいずれか一つの構成において、前記ガス排出口は、前記ガス排出口の予め設定された前記ガスの排出方向に沿って排出方向上流側から下流側に向けて漸次幅広となる。
【0013】
上記(4)の構成によれば、バッテリセルから吹き出したガスの流路断面積がガスの排出方向上流側から下流側に向けて拡大されるので、バッテリセルから吹き出したガスを効率的に排出され易くできる。
【0014】
(5)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、前記開度コントロールバーは、前記ガス排出口の予め設定された前記ガスの排出方向に直交する両側縁部から中央に向けて前記ケースの表面から漸次離反する。
【0015】
上記(5)の構成によれば、バッテリセルから吹き出したガスによって蓋部材が開度コントロールバーに沿って変形するので、蓋部材によって形成される排出通路の横断面を三角形状にすることができる。
【0016】
(6)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、前記開度コントロールバーは、前記蓋部材が変形することで前記溝に沿って形成される稜が嵌まる凹部を有する。
【0017】
上記(6)の構成によれば、蓋部材が変形することで溝に沿って形成された稜が開度コントロールバーの凹部に嵌まるので、ガス排出口の予め設定されたガスの排出方向と交差する方向への蓋部材の移動を規制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、簡単な構造でバッテリセルから吹き出したガスをケースの外部に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る電池パックを概略的に示す図である。
図2図1に示した電池パックの要部を概略的に示す図である。
図3図2に示した要部のIII-III線断面図である。
図4図2に示した電池パックの要部からガスが排出された時の状態を示す図である。
図5図4に示した要部のV-V線断面図である。
図6】実施形態1の変形例に係る電池パックの要部を概略的に示す図である。
図7】実施形態2に係る電池パックの要部を概略的に示す図である。
図8図7に示した電池パックの要部からガスが排出された時の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0021】
[実施形態1]
[電池パックが搭載される電動車両]
実施形態1に係る電池パックが搭載される電動車両は、電気自動車(EV)又はハイブリッド自動車(HV)であって、外部機器(例えば、急速充電器)から外部充電可能なプラグインハイブリッド自動車であってもよいし、外部(例えば、一般家庭)に外部給電が可能なプラグインハイブリッド自動車(PHEV)であってもよい。実施形態に係る電池パックは、電動車両の床下に設置される電池パックに採用される。
【0022】
[電池パックの概略構成]
図1は、実施形態1に係る電池パック1を概略的に示す図である。図1に示すように、実施形態に係る電池パック1は、複数のバッテリセル10がケース12に収容された電池パックである。複数のバッテリセル10のそれぞれは、充放電可能な二次電池であって、例えば、正極と負極との間をリチウムイオンが移動するリチウムイオンバッテリで構成される。複数のバッテリセル10は、幾つかのグループに分けられ、グループごとに直列に接続され一つのモジュールを構成し、これらモジュールは直列に接続され、高電圧バッテリを構成する。ケース12は、例えば、アルミニウム等の金属で構成されるが、これに限られるものではなく、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)や炭素繊維強化プラスチック(CRRP)等の樹脂で構成されてもよい。また、ケースは、例えば、下側部分を構成するトレイ14と、上側部分を構成するカバー16とにより構成されるが、これに限られるものではない。
【0023】
[電池パックの要部]
実施形態に係る電池パック1は、ケース12にバッテリセル10から吹き出したガスを排出するためのガス排出口18が設けられている。ガス排出口18は一つに限られるものではなく、二以上であってもよい。ガス排出口18の数、位置、大きさ及び形状は、バッテリセル10の内部短絡等によりバッテリセル10から排出されるガスの排出量(予測値)やガスの排出に適した方向に応じて任意に設定される。ガス排出口18が設けられる位置は、例えば、電動車両のフロアパネルに対向するケース12の上面又は側面であるが、ケース12の上面及び側面の両方に設けてもよい。ガス排出口18は、予め設定されたガスの排出方向Aに沿って設けられる。例えば、ガス排出口18は、直線で設定されたガスの排出方向Aを対称軸とする対称な形状を有している。対称な形状は、例えば、長方形であるが、これに限られるものではない。
【0024】
図2は、図1に示した電池パック1の要部を概略的に示す図であり、図3は、図2に示した要部のIII-III線断面図である。図2及び図3に示すように、電池パック1は、ガス排出口18を塞ぐ蓋部材20と、蓋部材20をケース12に接着する第1接着剤22及び第2接着剤24と、開度コントロールバー26と、を備えている。
【0025】
[蓋部材]
蓋部材20は、例えば、ケース12と同じ材料で構成されるが、異なる材料で構成してもよい。蓋部材20は、ガス排出口18の縁部と重なるように、ガス排出口18よりも大きく形成される。蓋部材20は、例えば、ガス排出口18と相似形に形成されるが、ガス排出口18の縁部と重なるものであれば、相似形でなくてもよい。また、蓋部材20は、例えば、ガス排出方向下流側で上流側よりもガス排出口18の縁部に大きく重なるが、これに限定されるものではない。
【0026】
蓋部材20は、ガス排出口18の予め設定されたガスの排出方向Aに沿って設けられた溝28を有しているが、溝28は必須ではない。溝28は、ガスの排出通路を形成するためのもので、ガス排出口18から排出されたガスによって蓋部材20がケース12から離反すると、蓋部材20に溝28に沿って稜が形成され、ケース12と蓋部材20との間に横断面が三角形となるガスの排出通路が形成される。
【0027】
[第1接着剤及び第2接着剤]
第1接着剤22は、ガス排出口18の予め設定されたガスの排出方向上流側で蓋部材20をケース12に接着する一方、第2接着剤24は、第1接着剤22よりも融点の低い接着剤であって、ケース12が水密となるように蓋部材20をケース12に接着する。第1接着剤22は、例えば、耐熱性接着剤であって、熱硬化性の接着剤であってもよい。第1接着剤22及び第2接着剤24のうち、少なくとも第2接着剤24は熱可塑性の接着剤であるが、第1接着剤22が第2接着剤24よりも融点が高いものであれば、第1接着剤22も熱可塑性の接着剤であってもよい。第1接着剤22は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドイミド等の樹脂接着剤であり、第2接着剤24は、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン等の樹脂接着剤である。これらは、ガス排出口18から排出されるガスの温度に対応して適宜選択される。また、ケースにガス排出口18が二以上設けられる場合には、蓋部材20の開放させる順序(優先順位)対応して適宜選択される。例えば、開放させる優先順位が高いガス排出口18は融点の低い第2接着剤24で蓋部材20がケース12に接着され、低いガス排出口18はそれよりも融点の高い第2接着剤24で蓋部材20がケース12に接着される。
【0028】
第1接着剤22は、例えば、相互に離れた二箇所で蓋部材20をケース12に接着するが、これに限られるものではない。第2接着剤24は、例えば、ガス排出口18の外縁部であって第1接着剤22が塗布された部分以外(残余の部分)に塗布されるが、これに限られるものではない。
【0029】
[開度コントロールバー]
開度コントロールバー26は、蓋部材20の開度をコントロールするための部材であり、ガス排出口18を跨いで設けられ、ケース12と二箇所で接続される。開度コントロールバー26は、例えば、ガス排出口18の予め設定されたガスの排出方向Aと直交する方向に延びて、ガス排出口18を跨ぎ、ケース12と二箇所で接続される。
【0030】
開度コントロールバー26は、例えば、ガス排出口18の予め設定されたガスの排出方向Aに直交する両側縁部から中央に向けてケース12の表面から漸次離反する。例えば、開度コントロールバー26は、ガス排出口18の予め設定されたガスの排出方向Aに直交する両側縁部から中央に向けて斜めに傾斜するが、これに限られるものではない。
【0031】
[ガスの排出動作]
図4は、図2に示した電池パック1の要部から高温高圧のガスが排出された時の状態を示す図であり、図5は、図4に示した要部のV-V線断面図である。バッテリセル10の内部短絡等によりバッテリセル10から高温高圧のガスが吹き出すと、このガスによって第2接着剤24が溶融され、蓋部材20は第1接着剤22を支点としてケース12から離反する。これにより、蓋部材20は、図4及び図5に示すように、開度コントロールバー26に干渉するまでの範囲で開放されながら溝28に沿って稜32が形成され、ケース12と蓋部材20との間に排出通路30が形成される。これにより、バッテリセル10から吹き出された高温高圧のガスは、ガス排出口18及び排出通路30を通り、ケース12の外部に排出される。
【0032】
[電池パックの効果]
実施形態1に係る電池パック1によれば、バッテリセル10の内部短絡等によりバッテリセル10から吹き出した高温高圧のガスが第2接着剤24を溶融することで、蓋部材20が第1接着剤22を支点に蓋部材20が開度コントロールバー26に干渉するまでの範囲で開放されるので、簡単な構造でバッテリセル10から吹き出した高温高圧のガスをケース12の外部に排出することができる。
【0033】
また、蓋部材20は、ガス排出口18の予め設定されたガスの排出方向Aに沿って設けられた溝28を有するので、ガス排出口18から排出された高温高圧のガスによって蓋部材20がケース12から離反し、蓋部材20に溝28に沿って稜32が形成されることで、排出通路30が形成される。これにより、バッテリセル10から吹き出した高温高圧のガスを効率的に排出され易くできる。また、蓋部材20がガス排出方向下流側で上流側よりもガス排出口18の縁部に大きく重なる場合には、排出通路30が長くなり、より目的とする方向にガスを排出され易くできる。
【0034】
また、第1接着剤22は、相互に離れた二箇所で蓋部材20をケース12に接着することで、相互に離れた二箇所間で蓋部材20が変形しやすくなるので、高温高圧のガスの排出通路30が形成され易くなる。これにより、バッテリセル10から吹き出した高温高圧のガスを効率的に排出され易くできる。
【0035】
また、開度コントロールバー26は、ガス排出口18の予め設定されたガスの排出方向Aに直交する両側縁部から中央に向けてケース12の表面から漸次離反することで、バッテリセル10から吹き出した高温高圧のガスによって蓋部材20が開度コントロールバー26に沿って変形するので、蓋部材20によって形成される排出通路30の横断面を三角形状にすることができる。
【0036】
[実施形態1の変形例]
図6は、実施形態1の変形例に係る電池パック1の要部を概略的に示す図である。図6に示すように、実施形態1の変形例に係る電池パック1のケース12に設けられたガス排出口34のガスの排出方向は、直線で設定され、ガス排出口34は、ガスの排出方向Bに沿って排出方向上流側から下流側に向けて漸次幅広となる(L1<L2)。例えば、ガス排出口34は、直線で設定されたガスの排出方向を対称軸とする等脚台形に形成されるが、これに限られるものではなく、二等辺三角形や扇形に形成されてもよい。
【0037】
実施形態1の変形例に係る電池パック1によれば、バッテリセル10から吹き出したガスの流路断面積がガスの排出方向上流側から下流側に向けて拡大されるので、バッテリセル10から吹き出したガスを効率的に排出され易くできる。
【0038】
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係る電池パック1の要部を概略的に示す図である。実施形態2に係る電池パック1は、開度コントロールバー36を除いて、実施形態1に係る電池パック1と同じである。実施形態1に係る電池パック1と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0039】
[開度コントロールバー]
図7に示すように、実施形態2に係る開度コントロールバー36は、蓋部材20の開度をコントロールするための部材であり、ガス排出口18を跨いで設けられ、ケース12と二箇所で接続される。開度コントロールバー36は、例えば、ガス排出口18の予め設定されたガスの排出方向Aと直交する方向に延びて、ガス排出口18を跨ぎ、ケース12と二箇所で接続される。
【0040】
開度コントロールバー36は、例えば、ガス排出口18の予め設定されたガスの排出方向Aに直交する両側縁部から中央に向けてケース12の表面と平行に設けられる。開度コントロールバー36は、蓋部材20に対向する面に、凹部38を有している。凹部38は、蓋部材20に設けられた溝28の直上に設けられ、蓋部材20が変形することで溝に沿って形成される稜が嵌まるように設けられている。
【0041】
[ガスの排出動作]
図8は、図7に示した電池パック1の要部から高温高圧のガスが排出された時の状態を示す図である。バッテリセル10の内部短絡等によりバッテリセル10から高温高圧のガスが吹き出すと、このガスによって第2接着剤24が溶融され、蓋部材20は第1接着剤22を支点としてケース12から離反する。これにより、蓋部材20は、図8に示すように、開度コントロールバー36に干渉するまでの範囲で開放されながら溝28に沿って稜32が形成され、ケース12と蓋部材20との間に排出通路30が形成される。そして、蓋部材20に形成された稜32は、開度コントロールバー36に設けられた凹部38に嵌まり、バッテリセル10から吹き出された高温高圧のガスは、ガス排出口18及び排出通路30を通り、ケース12の外部に排出される。
【0042】
[電池パックの効果]
実施形態2に係る電池パック1によれば、蓋部材20が変形することで溝28に沿って形成された稜32が開度コントロールバー36の凹部38に嵌まるので、ガス排出口18の予め設定されたガスの排出方向Aと交差する方向への蓋部材20の移動を規制することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 電池パック
10 バッテリセル
12 ケース
14 トレイ
16 カバー
18 ガス排出口
20 蓋部材
22 第1接着剤
24 第2接着剤
26 開度コントロールバー
28 溝
30 排出通路
32 稜
34 ガス排出口
36 開度コントロールバー
38 凹部
A,B 排出方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8