(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086166
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】車両用キーシステムおよびアクセスキー
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20240620BHJP
E05B 19/00 20060101ALI20240620BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20240620BHJP
【FI】
E05B49/00 J
E05B49/00 R
E05B19/00 J
B60R25/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201156
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須澤 翔太
(72)【発明者】
【氏名】富松 一樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 優大
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB04
2E250BB65
2E250DD09
2E250FF23
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ05
2E250LL01
2E250SS09
(57)【要約】
【課題】本発明は、リレーアタックによる盗難に対して、ユーザが利用し易く、盗難を効果的に防止することを課題とする。
【解決手段】本発明の車両用キーシステムは、アクセス可能信号を無線で送信するアクセスキーと、利用状態をロック状態またはロック解除状態に変更することができる携帯端末と、前記アクセス可能信号を受信してドアアンロックまたは車両起動の少なくとも一方を可能とする車両と、を備え、前記携帯端末は、ユーザの入力を認証して利用状態を前記ロック状態から前記ロック解除状態に変更する認証部と、前記ロック解除状態を示す解除状態信号を無線により前記アクセスキーに送信する端末無線通信部と、を有し、前記アクセスキーは、無線で送受信するキー無線通信部を有し、前記解除状態信号を受信すると、前記アクセス可能信号を送信する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセス可能信号を無線で送信するアクセスキーと、利用状態をロック状態またはロック解除状態に変更することができる携帯端末と、前記アクセス可能信号を受信してドアアンロックまたは車両起動の少なくとも一方を可能とする車両と、を備え、
前記携帯端末は、ユーザの入力を認証して利用状態を前記ロック状態から前記ロック解除状態に変更する認証部と、前記ロック解除状態を示す解除状態信号を無線により前記アクセスキーに送信する端末無線通信部と、を有し、
前記アクセスキーは、無線で送受信するキー無線通信部を有し、前記解除状態信号を受信すると、前記アクセス可能信号を送信する、
ことを特徴とする車両用キーシステム。
【請求項2】
前記携帯端末の前記認証部は、生体認証により利用状態を前記ロック状態から前記ロック解除状態に変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載された車両用キーシステム。
【請求項3】
キー制御部とキー無線通信部を有し、
前記キー制御部は、前記キー無線通信部により携帯端末のロック解除状態を示す解除状態信号を受信すると、車両にドアアンロックまたは車両起動の少なくとも一方を可能とさせるアクセス可能信号を前記キー無線通信部から送信させる、
ことを特徴とする車両用キーシステムのアクセスキー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両キーとの無線通信に応じて車両のドアロック及びドアアンロックや、車両起動を制御する、車両用キーシステムおよびアクセスキーに関する。
【背景技術】
【0002】
アクセスキー(スマートキー等とも呼ばれる)による、車両用キーシステムが広く普及している(特許文献1)。このシステムは、ユーザが所持するアクセスキーが、車両装置との間で無線による認証を行うことにより、機械式キーを用いることなく車両のドアのロック制御や車両起動を行える状態にするものである。このシステムは、キーレスアクセス&プッシュスタート等と呼ばれ、アクセスキーの電波が届く状態でドアノブに触れるとドアロックが解除される。また、アクセスキーの電波が届く状態で車両起動ボタンを押すと車両起動して走行可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このシステムに対して、アクセスキーの電波を利用したリレーアタックという盗難手法が存在する。リレーアタックは盗難用中継器を用い、車両とアクセスキーの間で電波を受信して増幅した電波を発信することにより、アクセスキーが車両の近傍になくてもドアアンロック等を行い、車両を盗難する手法である。
【0005】
この盗難手法に対しては、ユーザがアクセスキーを金属の箱の中で保管するなどして、電波を遮断することで対抗することが可能である。また、アクセスキーに電波停止モードの機能を付加して、車両を離れる際にアクセスキーから発する電波を停止させることでも対抗できる。アクセスキーからの電波が停止すると、盗難用中継器を用いても認証が行われないため、ドアアンロック等は行えない。このように、アクセスキーのボタン操作等により電波停止モードに移行する機能によりリレーアタックに対抗することが可能であるが、ユーザが電波停止モードに変更する操作を忘れると機能しない。そこで、アクセスキーにモーションセンサを設けて、振動がないときには電波停止モードとし、振動があるときには電波停止モードを解除することにより、自動的に電波を停止するシステムも考えられている。
【0006】
しかし、この振動を用いるシステムでは、アクセスキーにモーションセンサを追加する必要があり、コストが増加する。また、地震などによりアクセスキーが振動すると、電波停止モードが解除してしまう可能性もある。さらに、アクセスキーを保持するユーザが車両から降りて歩行している状態で、盗難用中継器を持つ者に尾行されると、アクセスキーが振動しているために電波停止モードとなっておらず、リレーアタックにより車両が盗難されてしまう虞がある。
【0007】
本発明は、リレーアタックによる盗難に対して、ユーザが利用し易く、盗難を効果的に防止する車両用キーシステムまたはアクセスキーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例における車両用キーシステムは、アクセス可能信号を無線で送信するアクセスキーと、利用状態をロック状態またはロック解除状態に変更することができる携帯端末と、前記アクセス可能信号を受信してドアアンロックまたは車両起動の少なくとも一方を可能とする車両と、を備え、前記携帯端末は、ユーザの入力を認証して利用状態を前記ロック状態から前記ロック解除状態に変更する認証部と、前記ロック解除状態を示す解除状態信号を無線により前記アクセスキーに送信する端末無線通信部と、を有し、前記アクセスキーは、無線で送受信するキー無線通信部を有し、前記解除状態信号を受信すると、前記アクセス可能信号を送信する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
携帯端末の利用状態に応じてアクセスキーの電波停止を行うため、リレーアタックによる車両盗難を効果的に防止することができる。尾行型のリレーアタックに対しても、利用状態信号が携帯端末の利用可能を示す場合に車両受信部へ無線のアクセス可能信号を送信するため、盗難を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】車両用キーシステムによるセキュリティ解除の状況を示す図。
【
図2】リレーアタックにより盗難される際のフロー。
【
図6】本実施形態による車両用キーシステムで、ユーザが車両のドアアンロック等を行う際のフロー。
【
図7】本実施形態による車両用キーシステムで、リレーアタックを阻止するフロー。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を説明する前に、従来の車両用キーシステムによるセキュリティ解除について説明する。
図1は、従来の車両用キーシステムによるセキュリティ解除の状況を示している。
【0012】
車両1は、ECUs11、車両無線通信部12、ドアノブスイッチ13、ドアロック装置14、車両起動スイッチ15等を備えている。ECUs11は、車両1に設けた、複数のECUの集合体を示す。集合体を構成する各ECUは、CPUとメモリを備えている。ECUs11では、エンジン制御ECUやステアリング制御ECU等の複数のECUが、CAN(Controller Area Network)の通信規格等に応じた通信により連携して作動し、車両1の制御を行う。ECUs11による制御は、ECUs11の1または複数のECUにより行われる。また、アクセスキー7は、ボタン(図示せず)の操作により、車両1のドアをドアロックにしたり、ドアアンロックにしたりすることができる。
【0013】
車両無線通信部12は、ECUs11の制御によりアクセスキー7との間で通信を行う。車両無線通信部12は、アクセスキー7にLF(Low Frequency)帯の無線信号を送信し、アクセスキー7からUHF(Ultra High Frequency)帯の無線信号を受信して認証を行う。認証が成功すると、車両1はセキュリティ解除状態となる。ECUs11は、セキュリティ解除状態でドアノブスイッチ13がオンとなると、ドアロック装置14がドアアンロックする。また、ECUs11は、セキュリティ解除状態で車両起動スイッチ15がオンになると、車両起動の状態になり、車両1が走行可能となる。
【0014】
車両1のECUs11は、車両1から無線信号が到達する所定の範囲内にアクセスキー7が入ると、車両無線通信部12を介して無線通信によりアクセスキー7との間で認証情報などの情報交換を行う。車両1の車両無線通信部12は、アクセスキー7へLF帯の無線信号を送信すると共に、アクセスキー7から送信されるUHF帯の無線信号を受信する。ECUs11は、無線通信によりアクセスキー7から受信する認証情報に基づいて、通信相手のアクセスキー7が車両1に対応付けられているか認証処理を行う。
【0015】
そして、車両1がセキュリティ状態のときに認証が成功すると、セキュリティ状態が解除されてセキュリティ解除状態となり、車両1のドアアンロックが可能となる。セキュリティ解除状態で、ユーザがドアノブスイッチ13に触れると、ECUs11の制御によりドアロック装置14が作動してドアアンロックされる。また、セキュリティ解除状態では、車両起動が可能である。セキュリティ解除状態で、ユーザが車両起動スイッチ15を操作すると、ECUs11の制御により車両起動し、走行できる状態となる。
【0016】
リレーアタックという盗難手法では、車両1とアクセスキー8の間の無線通信を、盗難用中継器9により中継する。
図1に示すように、窃盗犯は、車両1から離れた位置にあるアクセスキー8と車両との間で盗難用中継器9により無線通信を行わせ、車両1をセキュリティ解除状態にする。そして、ドアアンロックして開け、車両起動して車両1を走行させて盗難する。
【0017】
図1に示すように、リレーアタックでは、離れている車両1とアクセスキー8の間を、盗難用中継器9で中継する。盗難用中継器9は、車両1が送信するLF帯の無線信号と、アクセスキー8が送信するUHF帯の無線信号を増幅して中継する。盗難用中継器9は、複数台で構成される場合もあるが、ここでは1台で記載する。
【0018】
リレーアタックが行われる際のフローを
図2で説明する。
図2の最初の状態(ステップS91)において、車両1のドアロック装置14はドアロック状態となっている。また、車両1は、セキュリティ状態となっている。セキュリティ状態では、ドアノブスイッチ13がオンになってもドアロック装置14がドアアンロックせず、車両起動スイッチ15がオンになっても車両起動しない。また、車両1からは、LF帯の無線信号が間欠的に送信されている。
【0019】
盗難用中継器9は、車両1から送信されるLF帯の無線信号を増幅して送信する(ステップS92)。これにより、車両1から離れた位置にあるアクセスキー8に、車両1から送信したLF帯の無線信号が到達する。LF帯の無線信号を受信したアクセスキー8は、認証コードをUHF帯の無線信号で送信する(ステップS93)。
【0020】
盗難用中継器9は、アクセスキー8から送信されるUHF帯の無線信号を増幅して送信する(ステップS94)。これにより、アクセスキー8から離れた位置にある車両1に、アクセスキー8から送信した認証コードが到達する。認証コードにより認証を行った車両1では、セキュリティ解除状態となる(ステップS95)。盗難用中継器9は、車両用キーシステムで用いられるLF帯とUHF帯の無線信号の中継器として機能する。
【0021】
窃盗犯が、セキュリティ解除状態となった車両1でドアノブスイッチ13をオンにすると(ステップS96)、ドアロック装置14はドアアンロックされる(ステップS97)。さらに、車両1に乗り込んだ窃盗犯が車両起動スイッチ15をオンにすると(ステップS98)、車両起動となる(ステップS99)。このようにして窃盗犯は、車両1を走行させて盗難することができる。
【0022】
次に、本実施形態の車両用キーシステムを説明する。
図3は、本実施形態における車両用キーシステムの構成を示す図である。本実施形態の車両用キーシステムは、車両1、アクセスキー2、携帯端末3を備えている。ユーザは、アクセスキー2と携帯端末3を所持した状態で、車両1のドアアンロックや車両起動を行う。車両1は従来と同じであり、
図1等により説明したものである。
【0023】
図3に示すアクセスキー2は、車両1との間でLF帯とUHF帯の無線通信を行って認証などを行う。アクセスキー2のブロック図を
図4に示す。アクセスキー2は、CPUを含むキー制御部21、記憶装置であるキーメモリ22、無線で送受信するキー無線通信部23を備えている。キー無線通信部23は、車両1の車両無線通信部12から送信されるLF帯の無線信号を受信し、キー制御部21の制御によりUHF帯の無線信号で認証コードを送信する。
【0024】
また、アクセスキー2は、ロックボタン24とアンロックボタン25を備える。ユーザがロックボタン24を押すと、無線通信により、車両1のドアロック装置14がドアロックし、アンロックボタン25を押すと、無線通信により、ドアロック装置14がドアアンロックする。これらの点は、前述のアクセスキー7、8と同様である。一方、本実施形態のアクセスキー2では、アクセスキー7、8と異なり、キー無線通信部23により、携帯端末3との間で無線通信を行う機能を有している。
【0025】
図3に示す携帯端末3は、ユーザが所持するスマートフォンである。携帯端末3は、Bluetooth(ブルートゥース エスアイジー,インコーポレイテッドの登録商標)により、アクセスキー2との間で無線通信を行うことができる。携帯端末3は、携帯電話機、タブレット型端末装置、ノート型パソコン又は携帯型ゲーム機等の情報処理装置等であってもよい。
【0026】
携帯端末3のブロック図を
図5に示す。本実施形態の携帯端末3は、CPUを有する端末制御部31、記憶装置である端末メモリ32、端末無線通信部33、指紋入力装置34を備える。端末メモリ32は、アクセスキー2との間で無線通信を介して行う処理を実現するためのアプリケーションプログラムを記憶している。また、携帯端末3は、表示部(図示せず)と入力部(図示せず)を備えている。
【0027】
次に、本実施形態による車両用キーシステムで、ユーザが車両起動等を行う際のフローを
図6に示す。最初の状態(ステップS1)において、車両1のドアロック装置14はドアロック状態となっている。また、車両1は、セキュリティ状態となっている。セキュリティ状態では、ドアノブスイッチ13がオンになってもドアロック装置14がドアアンロックせず、車両起動スイッチ15がオンになっても車両起動しない。また、車両1からはLF帯の無線信号が間欠的に送信されている。さらに、最初の状態(ステップS1)において、携帯端末3は、画面が表示されず、操作もできないロック状態となっている。
【0028】
ユーザが携帯端末3の指紋入力装置34に触れると、端末制御部31は端末メモリ32に記憶されている指紋データと照合する。そして、入力された指紋が指紋データに適合すると、携帯端末3の利用状態が変更されてロック解除状態となる(ステップS2)。ロック解除状態となることにより、携帯端末3は表示が行われるとともに入力可能となり、利用可能となる。端末制御部31と端末メモリ32は、ユーザの入力による認証により携帯端末3が利用可能であるか利用不可能であるかの利用可否を変更する認証部としても機能する。
【0029】
アクセスキー2が車両1に近づいて、LF帯の無線信号を受信すると、アクセスキー2は、Bluetoothによる無線によって端末確認信号を送信する(ステップS3)。携帯端末3は、ロック解除状態で端末確認信号を受けると、ロック解除状態であることから、Bluetoothによる無線によって解除状態信号を送信する(ステップS4)。アクセスキー2と携帯端末3の間の無線通信はBluetoothにより行われる。
【0030】
アクセスキー2は、解除状態信号を受信すると、UHF帯で認証コードを送信する(ステップS5)。認証コードが車両1に届いて認証されると、セキュリティ解除状態となる(ステップS6)。なお、アクセスキー2と車両1が離れて、認証コードが車両1に届かなくなると、車両1は再びセキュリティ状態に戻る。また、アクセスキー2は、解除状態信号を受信しなくなった場合に認証コードの送信を停止し、車両1は、セキュリティ状態に戻る。認証コードは、ドアアンロックまたは車両起動を可能とするアクセス可能信号である。
【0031】
アクセスキー2は、認証コードを送信している期間に、Bluetoothで認証状態信号を送信する(ステップS7)。認証状態信号を受信した携帯端末3は、認証状態である旨を表示する(ステップS8)。
【0032】
一方、車両1では、セキュリティ解除状態でドアノブスイッチ13がオンになると(ステップS9)、ドアロック装置14はドアアンロックし(ステップS10)、車両1のドアを開けることが可能となる。また、セキュリティ解除状態で車両起動スイッチ15がオンになると(ステップS11)、車両起動する(ステップS12)。車両起動した車両1は走行可能となる。
図6のフローでは、ドアアンロックまたは車両起動を可能とするアクセス可能信号である認証コードが、車両1に届く。セキュリティ解除状態では、ドアアンロックおよび車両起動を可能とする。
【0033】
次に、本実施形態による車両用キーシステムで、リレーアタックを阻止するフローを、
図7を用いて説明する。
図7の最初の状態(ステップS21)において、車両1のドアロック装置14はドアロック状態となっている。また、車両1は、セキュリティ状態となっている。セキュリティ状態では、ドアノブスイッチ13がオンになってもドアロック装置14がドアアンロックせず、車両起動スイッチ15がオンになっても車両起動しない。また、車両1からはLF帯の無線信号が間欠的に送信されている。さらに、最初の状態(ステップS21)において、携帯端末3は、画面が表示されず、操作もできないロック状態となっている。
【0034】
この状態で、窃盗犯は盗難用中継器9を使用する。盗難用中継器9は、車両1から送信されるLF帯の無線信号を増幅して送信する(ステップS22)。これにより、車両1から離れた位置にあるアクセスキー2に、車両1から送信したLF帯の無線信号が到達する。LF帯の無線信号を受信したアクセスキー2は、Bluetoothによる無線によって端末確認信号を送信する(ステップS23)。
【0035】
端末確認信号を受けた携帯端末3は、ロック状態であることから、解除状態信号を送信しない(ステップS24)。そのため、アクセスキー2は、認証コードを送信せず、車両1はセキュリティ状態を維持する。また、アクセスキー2と携帯端末3が離れていて、両者間での通信ができない場合にも、携帯端末3は、解除状態信号を送信しないから、アクセスキー2は認証コードを送信せず、車両1はセキュリティ状態を維持する。
【0036】
セキュリティ状態で、ドアノブスイッチ13がオンになると(ステップS25)、ドアロック装置14はドアアンロックせず(ステップS26)、ドアを開けることができない。また、セキュリティ状態で、車両起動スイッチ15がオンになると(ステップS27)、車両起動しない(ステップS28)。車両起動していない車両1は走行することができない。
図7のフローでは、ドアアンロックまたは車両起動を可能とするアクセス可能信号である認証コードが、車両1に届かない。
【0037】
このように、携帯端末3がロック解除状態になっていなかったり、携帯端末3とアクセスキー2の間が離れていて無線通信できなかったりすると、車両1のセキュリティ状態が解除されない。そのため、窃盗犯が盗難用中継器を用いてリレーアタックを行い、LF帯の無線信号がアクセスキー2に届いても、アクセスキー2は認証コードを返信しない。したがって、盗難用中継器を用いても、車両1はセキュリティ状態のままであり、窃盗犯がドアノブスイッチ13をオンにしても、車両1は、ドアロック装置をドアアンロックしない。また、盗難用中継器を用いても、車両1がセキュリティ状態のままであるため、窃盗犯が窓を割るなどの何らかの手段により車両1の内部に進入して車両起動スイッチをオンにしても、車両起動しない。このようにして、実施形態の車両用キーシステムは、車両1の盗難を防止する。
【0038】
なお、アクセスキー2が車両1から離れた位置にあっても、ユーザが携帯端末3を使用しているとアクセスキー2との間でBluetooth接続が行われて、リレーアタックにより車両1がセキュリティ解除状態になる虞がある。その場合には、
図6のステップS8で示したように携帯端末3に車両1のセキュリティが解除中と表示されるため、ユーザは異常に気づくことができる。そして、ユーザが携帯端末3をロック状態にすれば、アクセスキー2から認証コードが送信されず、車両1はセキュリティ状態となる。また、携帯端末3のセキュリティ解除中の表示の際に再セキュリティボタンも表示するようにして、車両1をセキュリティ状態に戻すようにしてもよい。その場合には、再セキュリティボタンの操作入力があると、携帯端末3が解除状態信号の送信を停止することにより、アクセスキー2が認証コードの送信を停止する。
【0039】
上記の実施形態においては、車両1は、アクセス可能信号である認証コードを受信して、セキュリティ解除状態にする。そして、セキュリティ解除状態では、車両1のドアアンロックを可能とし、車両起動を可能とする。しかし、セキュリティ解除状態で、ドアアンロックか車両起動の、いずれか一方のみを可能としても良い。また、実施形態のアクセスキー2によるドアアンロックと同様に、アクセスキーの車両起動スイッチが押されたことによる、アクセスキーからの起動信号により車両起動してもよい。このような機能があっても、リレーアタックで悪用される可能性はない。
【0040】
実施形態では、携帯端末3の認証は指紋認証により行われるが、顔認証や暗証番号の入力等、他の認証により行われてもよい。しかしながら、指紋認証や顔認証等の生体認証は、ロック状態からロック解除状態に容易に変更できるため、暗証番号による認証等よりも好ましい。
【0041】
携帯端末とアクセスキーとの間の無線通信は、Bluetooth以外であってもよく、車両とアクセスキーとの間の通信も、どのような無線でも良い。その他、具体的な構成は実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1 車両
11 ECUs
12 車両無線通信部
13 ドアノブスイッチ
14 ドアロック装置
15 車両起動スイッチ
2 アクセスキー
21 キー制御部
22 キーメモリ
23 キー無線通信部
24 ロックボタン
25 アンロックボタン
3 携帯端末
31 端末制御部
32 端末メモリ
33 端末無線通信部
34 指紋入力装置
7 アクセスキー
8 アクセスキー
9 盗難用中継器