(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086168
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】車両用料金決済装置
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20240620BHJP
【FI】
G07B15/00 M
G07B15/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201158
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】加藤 英明
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA16
3E127BA03
3E127CA13
3E127CA18
3E127CA48
3E127DA20
3E127DA21
3E127EA03
3E127EA31
3E127FB10
(57)【要約】
【課題】従来の車両のETCシステムでは、有料道路を使用する度に、車両のドライバは、車載機にETCカードを挿入する作業が必要となり、手間であるという課題がある。
【解決手段】
本発明の車両用料金決済装置10では、車両の乗員の通信機器15に記憶される決済情報及び本人情報が、車両の同期装置12を介して車両制御部11の記憶部へと記憶される。一方、乗員の乗員情報が、車両の乗員情報取得装置13を介して車両制御部11の記憶部へと記憶される。そして、車両制御部11は、上記本人情報と上記乗員情報を用いて、本人情報とリンク付けされた決済情報の有効化を判断する。この制御方法により、決済情報の不正使用が防止されると共に、乗員によるETCカードの抜き差し作業が不要となる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗員の通信機器から前記乗員の決済情報及び本人情報を取得する同期装置と、
前記乗員から乗員情報を取得する乗員情報取得装置と、
前記本人情報と前記乗員情報とを対比し前記乗員が前記決済情報の本人であるか否かを判定する車両制御部と、を備え、
前記車両制御部は、前記車両の稼働開始後に前記同期装置による同期が行われると前記本人情報と前記乗員情報とを対比し、前記乗員が前記決済情報の前記本人であると判定した場合には、前記決済情報に基づく決済を有効化することを特徴とする車両用料金決済装置。
【請求項2】
前記車両制御部は、前記車両の稼働終了後に、前記決済情報及び前記本人情報を無効化することを特徴とする請求項1に記載の車両用料金決済装置。
【請求項3】
前記乗員情報取得装置は、前記車両の内部を撮影する撮像装置であり、
前記乗員情報取得装置は、前記乗員情報として前記乗員の生体情報を取得することを特徴とする請求項2に記載の車両用料金決済装置。
【請求項4】
前記本人情報は、少なくとも顔情報、静脈情報または虹彩情報であり、
前記乗員情報取得装置は、前記生体情報として前記顔情報、前記静脈情報または前記虹彩情報のいずれか1つを取得し、
前記車両制御部は、少なくとも前記顔情報、前記静脈情報または前記虹彩情報の1つ以上を用いて前記乗員が前記決済情報の前記本人であるか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の車両用料金決済装置。
【請求項5】
前記車両の位置情報を取得するナビゲーション装置を有し、
前記車両制御部は、前記ナビゲーション装置を介して前記車両の稼働終了時における前記車両の位置情報を取得し、前記車両が有料道路内に滞在すると判断した場合には、有効化した前記決済情報を維持することを特徴とする請求項2に記載の車両用料金決済装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用料金決済装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの有料道路では、ETC(Electronic Toll Collection)システムが導入されている。ETCシステムでは、料金所等に設置された路側機と車両側の車載機との間に通信を行い、車両を止めることなく有料道路の料金支払いが処理される。そして、車両の乗員は、予め、車載機にETCカードを差し込むことで、後日、クレジットカード会社を介して通行料金が請求される。
【0003】
また、特許文献1には、上記ETCカードに替えて、ETCアダプタカードを用いたETCシステムが開示されている。ETCアダプタカードは、車両側のETC車載機に差し込まれた後、車両の乗員の携帯端末と通信を行う。そして、ETC車載機は、ETCアダプタカードに記憶された乗員のETC情報を用いて路側機と通信し、携帯端末のクレジット機能に応じて通行料金の支払いを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した車載機にETCカードを用いたETCシステムでは、有料道路を使用する度に、車両のドライバは、車載機にETCカードを挿入する作業が必要となり、手間であるという課題がある。また、ドライバが、ETCカードを車載機へと挿入し忘れた状態にて、有料道路の路側機のゲートを通過した場合には、ゲートが開かず、後続車に迷惑を掛けてしまうという課題がある。
【0006】
近年、複数のドライバにて1台の車をシャアするカーシェアリングが普及している。あるドライバが、車両の降車時にETCカードを抜き忘れた際に、その後上記車両を使用したドライバが、車載機に残存するETCカードを不正利用することが可能となる。この場合には、有料道路を使用した通行料金が、実際は有料道路を使用していないドライバへと請求されてしまう課題がある。
【0007】
一方、上述したETCアダプタカードを用いたETCシステムでは、車両のイグニッション・オフ後にETCアダプタカードに記憶されたETC情報は消去される。しかしながら、車両のイグニッション・オン後に、ETCアダプタカードが、携帯端末からETC情報を取得する際に、携帯端末とドライバとの本人確認作業が行われていない。そのため、車両の乗員が、他人の携帯端末を使用した場合には、有料道路を使用した際の通行料金が、実際は有料道路を使用していない他人へと請求されてしまう課題がある。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、車両制御部が、乗員の通信機器から取得する本人情報と乗員情報取得装置が取得する乗員情報とを用いた判定結果に基づき決済情報を有効化することで不正使用を防止する車両用料金決済装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態である車両用料金決済装置では、車両の乗員の通信機器から前記乗員の決済情報及び本人情報を取得する同期装置と、前記乗員から乗員情報を取得する乗員情報取得装置と、前記本人情報と前記乗員情報とを対比し前記乗員が前記決済情報の本人であるか否かを判定する車両制御部と、を備え、前記車両制御部は、前記車両の稼働開始後に前記同期装置による同期が行われると前記本人情報と前記乗員情報とを対比し、前記乗員が前記決済情報の前記本人であると判定した場合には、前記決済情報に基づく決済を有効化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態である車両用料金決済装置では、車両の乗員の通信機器に記憶される決済情報及び本人情報が、車両の同期装置を介して車両制御部の記憶部へと記憶される。一方、乗員の乗員情報が、車両の乗員情報取得装置を介して車両制御部の記憶部へと記憶される。そして、車両制御部は、上記本人情報と上記乗員情報を用いて、本人情報とリンク付けされた決済情報の有効化を判断する。この制御方法により、決済情報の不正使用が防止されると共に、乗員によるETCカードの抜き差し作業が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態である車両用料金決済装置を説明するブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態である車両用料金決済装置のキャッシュレス決済の制御方法を説明するフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態である車両用料金決済装置のキャッシュレス決済の制御方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る車両用料金決済装置10を図面に基づき詳細に説明する。尚、本実施形態の説明の際には、同一の構成要素には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0013】
図1は、本実施形態の車両用料金決済装置10を説明するブロック図である。
図2は、本実施形態の車両用料金決済装置10を用いた有料道路での制御方法を説明するフローチャートである。
図3は、本実施形態の車両用料金決済装置10を用いた有料道路での制御方法の変形例を説明するフローチャートである。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の車両用料金決済装置10は、車両側のETC車載機16と有料道路の出入口ゲートの路側機との間にて通信を行い、車両を停止させることなくキャッシュレス決済を可能とする装置である。尚、車両用料金決済装置10は、有料道路のキャッシュレス決済に限定するものではない。
【0015】
例えば、近年では、ETCソリューションズ株式会社が運営するETCXというETC車載機16を利用した新しいキャッシュレス決済サービスが提供されている。ETCXでは、有料道路の決済サービスと同様に、車両側のETC車載機16とゲート側の路側機とが通信を行い、ドライブスルー、駐車場、ガソリンスタンド、EVスタンド、ごみ処理施設、フェリー等の料金支払いがキャッシュレス決済となる。
【0016】
車両用料金決済装置10は、主に、車両制御部11と、乗員の通信機器15と同期するための同期装置12と、乗員の生体情報等を取得する乗員情報取得装置13と、ナビゲーション装置14と、を備える。そして、本実施形態の通信機器15としては、無線通信機能を有し、キャッシュレス決済機能を有する機器であれば良く、例えば、スマートフォン、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末が用いられる。
【0017】
車両制御部11は、CPU(CENTRAL PROCESSING UNIT)、ROM(READ ONLY MEMORY)、RAM(RANDOM ACCESS MEMORY)等を有して構成される。そして、車両制御部11は、車両用料金決済装置10やエンジン等の駆動装置(図示せず)等を制御するための各種の演算等を実行する、一または複数のプロセッサを有する電子制御ユニット(ECU)である。
【0018】
また、車両制御部11は、記憶部(図示せず)を有し、記憶部は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-only Memory)等の不揮発性メモリにて構成される。そして、記憶部には、車両の制御に必要な各種データや上記一または複数のプロセッサによって実行可能な一または複数のプログラムが記憶される。
【0019】
同期装置12は、乗員の通信機器15と接続し、通信機器15内に保存された情報を車両制御部11の記憶部へと記憶させるための装置である。本実施形態では、同期装置12は、車両制御部11の制御により、乗員の通信機器15と接続し、通信機器15内に記憶される決済情報や本人情報を車両制御部11の記憶部へと記憶させる。尚、同期装置12と通信機器15との通信には、例えば、近距離無線通信が用いられる。
【0020】
ここで、上記決済情報としては、通信機器15内に記憶される決済用アプリケーションに関する決済情報等が含まれる。また、上記本人情報としては、通信機器15のロック状態を解錠するための、顔認証情報、指紋認証情報、静脈認証情報、虹彩認証情報等の生体認証情報や、その他パスコード認証情報、パターンコード認証情報、ジェスチャー認証情報等が含まれる。
【0021】
乗員情報取得装置13は、車両の車室内に配設され、上記本人情報と対比するために必要となる乗員情報を取得するための装置である。上記本人情報が乗員の生体認証情報の場合には、乗員情報取得装置13としては、車両の車室内に配設される撮像装置が用いられる。撮像装置は、例えば、CCDやCMOS等のイメージセンサを有するカメラモジュールである。撮像装置は、車内ネットワークであるCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)等を介して車両制御部11と接続する。そして、乗員情報取得装置13は、上記撮像装置により乗員を撮影することで、乗員の顔情報、指紋情報、静脈情報や虹彩情報等の乗員情報を取得し、車両制御部11へと送信する。その後、乗員情報は、車両制御部11の記憶部に記憶される。
【0022】
近年、車両には、ドライバの顔を認識してドライバの脇見運転の警報や眠気、居眠り時の警報を行うドライバモニタリングシステム(以下、「DMS」と呼ぶ。)が搭載されている。DMSに用いられる撮像装置は、例えば、ステアリングの内側に配設され、ドライバの顔を撮影する。そして、乗員情報取得装置13として、DMSを用いる場合でも良い。
【0023】
一方、上記本人情報がパスコード認証情報やパターンコード認証情報の場合には、乗員情報取得装置13として、例えば、インスツルメントパネルに配設されるタッチパネルディスプレイが用いられる。そして、乗員情報取得装置13では、乗員が、タッチパネルディスプレイを用いて、パスコードやパターンコードを入力することで、乗員情報を取得し、車両制御部11へと送信する。その後、乗員情報は、車両制御部11の記憶部に記憶される。
【0024】
ナビゲーション装置14は、車両通信部(図示せず)を通じて、地図を示す地図情報、渋滞または交通規制などを示す交通情報を取得できる。そして、ナビゲーション装置14は、出発地、目的地、地図情報に基づいて、車両が走行する予定の経路を示す予定走行経路を導出することができる。また、ナビゲーション装置14は、GPSにより車両の現在地を取得することができる。詳細は後述するが、本実施形態では、ナビゲーション装置14から取得した車両の位置情報を用いて、車両制御部11は、決済情報の維持あるいは無効化の判断を行う。
【0025】
ETC車載機16は、車両に配設され、有料道路等の出入口ゲートの路側機との間にて通信を行い、乗員の決済情報を含むETC情報や車両情報を路側機へと送信する。また、ETC車載機16は、上記車内ネットワークを介して車両制御部11と接続し、乗員の決済情報を含むETC情報を車両側から取得する。
【0026】
次に、
図2を用いて、本実施形態の車両用料金決済装置10を用いた有料道路でのキャッシュレス決済の制御方法について説明する。尚、本実施形態では、車両の乗員としてドライバの場合について説明するが、通信機器15の所有者であれば、ドライバに限定するものではない。
【0027】
図2に示すように、ステップS10では、ドライバが車両に搭乗し、イグニッションスイッチ(図示せず)を押下すると、車両は、イグニッション・オン状態となる。そして、ステップS11では、上記イグニッションスイッチの押下により、車両の車両用料金決済装置10もオン状態となる。尚、本願発明の車両の稼働開始時とは、上記イグニッションスイッチの押下により、車両がイグニッション・オン状態になった時のことをいう。
【0028】
ステップS12では、車両制御部11が車両の通信部(図示せず)を制御し、ドライバの通信機器15との接続を開始する。ステップS12のYESでは、上記通信部が、上記通信機器15との接続に成功した場合には、ステップS13へ移行する。一方、ステップS12のNOでは、上記通信部が通信機器15と接続できない場合には、所定の時間に渡り、通信機器15との接続を実行し続ける。
【0029】
ステップS13では、車両制御部11が同期装置12を制御し、同期装置12は、通信機器15に記憶された決済情報及び本人情報の同期作業を開始する。ステップS13のYESでは、通信機器15が決済情報及び本人情報を記憶している場合には、同期装置12は、通信機器15から決済情報及び本人情報を取得する。そして、車両制御部11は、通信機器15から取得した決済情報及び本人情報を記憶部に記憶する。
【0030】
一方、ステップS13のNOでは、通信機器15が決済情報及び本人情報を記憶していない場合には、車両用料金決済装置10を用いたキャッシュレス決済は利用できず、終了する。
【0031】
ここで、車両用料金決済装置10では、ドライバが、通信機器15側にて、予め、決済用アプリケーションをダウンロードし、キャッシュレス決済システムを設定する必要がある。同様に、車両用料金決済装置10では、ドライバが、通信機器15側にて、予め、通信機器15のロック状態を解錠するための本人情報を設定する必要がある。そのため、ドライバが、通信機器15側にて、少なくとも決済情報及び本人情報のどちらか一方の設定を行っていない場合には、ステップS13のNOにおいて説明したように、車両用料金決済装置10を用いたキャッシュレス決済は利用できない。
【0032】
ステップS14では、車両制御部11は乗員情報取得装置13を制御し、車両のドライバの乗員情報を取得する。上述したように、乗員情報取得装置13としては、例えば、DMSの撮像装置が用いられる。そして、乗員情報取得装置13は、ドライバの顔を撮影することで、例えば、ドライバの顔情報、静脈情報や虹彩情報等の乗員情報を取得し、車両制御部11へと送信する。その後、車両制御部11は、乗員情報を記憶部に記憶する。
【0033】
ステップS15では、車両制御部11は、記憶部に記憶された本人情報と乗員情報とを対比し、本人情報と乗員情報が一致するか、否かを判定する。例えば、本人情報が顔認証情報の場合には、乗員情報取得装置13を用いて取得した顔情報を用いて対比を行う。また、本人情報として、顔認証情報、静脈認証情報及び虹彩認証情報の3つの情報が取得された場合には、車両制御部11は、乗員情報取得装置13から取得した乗員の顔情報、静脈情報、虹彩情報を用いて、上記判定を行う場合でも良い。車両制御部11では、判定に用いる情報数を増加させることで、判定精度を高め、決済情報の不正使用が防止され易くなる。
【0034】
ステップS15のYESでは、車両制御部11が、本人情報と乗員情報とが一致すると判定した場合には、ステップS16へと移行する。そして、ステップS16では、車両制御部11は、記憶部に記憶する決済情報を有効化し、有効化した決済情報をETC車載機16へと送信する。そして、ETC車載機16では、ETC情報の1つとして決済情報を記憶する。また、車両制御部11は、ナビゲーション装置14を制御し、ナビゲーション装置14の音声等を用いて、ドライバに対して決済情報が有効化されたことを通知する。
【0035】
ステップS17では、ドライバは、決済情報が有効化されたことを認識し、一般道路から有料道路へ入るため、車両を有料道路のインターチェンジの入り口ゲートへと向けて走行させる。そして、車両が入り口ゲートに近づくことで、ETC車載機16は、入り口ゲートに設置された路側機との間にて通信を行い、ETC情報や車両情報を路側機へと送信する。そして、車両は、開いた入り口ゲートを通過し、有料道路の走行を開始する。
【0036】
ステップS18では、ドライバは、所望の目的地に向けて、有料道路から一般道路へと戻るため、車両を有料道路のインターチェンジの出口ゲートへと向けて走行させる。そして、車両が出口ゲートに近づくことで、ETC車載機16は、出口ゲートに設置された路側機との間にて通信を行い、ETC情報や車両情報を路側機へと送信する。そして、車両は、開いた出口ゲートを通過し、一般道路の走行を開始する。
【0037】
ステップS19では、車両制御部11が、決済情報を有効化し、車両が有料道路の出入り口ゲートと正常に通信を行うことで、有料道路の路側機側では、有効化された決済情報に基づき、決済処理を行う。
【0038】
ステップS20では、ドライバは、目的地に到着し、車両を駐車場等に停車させ、イグニッションスイッチを押下すると、車両は、イグニッション・オフ状態となる。尚、本願発明の車両の稼働終了時とは、上記イグニッションスイッチの押下により、車両がイグニッション・オフ状態になった時のことをいう。
【0039】
ステップS21では、車両制御部11が、車両がイグニッション・オフ状態となったと判断し、記憶部に記憶された決済情報及び本人情報を削除することで、決済情報を無効化し、車両用料金決済装置10がオフ状態となる。また、車両制御部11は、ナビゲーション装置14を制御し、ナビゲーション装置14の音声等を用いて、ドライバに対して決済情報が無効化されたことを通知する。同様に、車両制御部11は、ETC車載機16へと決済情報が無効化されたことを送信し、ETC車載機16の決済情報も削除される。
【0040】
尚、ステップS15のNOでは、車両制御部11が、本人情報と乗員情報とが一致しないと判定した場合には、車両制御部11は、記憶部に記憶する決済情報を有効化することなく、ステップS20へと移行する。つまり、本実施形態の車両用料金決済装置10では、上記両情報の不一致の場合には、キャッシュレス決済は利用できない。
【0041】
本実施形態の車両用料金決済装置10では、車両制御部11が、乗員情報取得装置13を制御し、ドライバの顔情報、静脈情報や虹彩情報等の乗員情報を取得する。そして、車両制御部11は、ドライバの通信機器15から取得した本人情報と乗員情報とを対比し、本人情報と乗員情報とが一致するか、否かを判定する。この制御方法により、車両制御部11が、上記両情報が不一致であると判定した場合には、車両制御部11は、本人情報とリンク付けされた決済情報を有効化しない。その結果、ドライバが、他人の通信機器15を許可なく車両内へと持ち込んだ場合等、他人の決済情報を用いて不正にキャッシュレス決済が成されることが防止される。
【0042】
また、車両用料金決済装置10では、ETCカードが不要となることで、ドライバは、有料道路を使用する度に、ETC車載機16にETCカードを抜き差しする作業が不要となる。その結果、ドライバは、ETCカードを取り扱う手間が省けると共に、ETCカードのETC車載機16への差し忘れや抜き忘れが無くなる。そして、カーシェアリングのように、1台の車両を不特定多数の人が使用するシステムにおいても、抜き忘れた自身のETCカードが、他人に不正使用されることが防止される。
【0043】
次に、
図3を用いて、本実施形態の車両用料金決済装置10を用いた有料道路でのキャッシュレス決済の制御方法であり、
図2を用いて説明した制御方法の変形例について説明する。尚、
図3に示す車両用料金決済装置10の制御方法では、
図2に示す制御方法のステップS17とステップS18との間の制御方法が異なり、その異なる部分を中心に説明する。
【0044】
図3に示すように、ステップS31では、ドライバが、車両をサービスエリアの駐車場等に停車させ、イグニッションスイッチを押下すると、車両は、イグニッション・オフ状態となる。
【0045】
ステップS32では、車両制御部11は、ナビゲーション装置14を制御し、ナビゲーション装置14から車両の位置情報を取得する。そして、車両制御部11は、車両が、有料道路内にて滞在しているか、否かを判定する。
【0046】
ステップS32のYESでは、車両制御部11は、車両が有料道路内に滞在していると判定した場合には、ステップS33へと移行する。ステップS33では、車両制御部11は、有効化した決済情報を維持する。
【0047】
ステップS34では、ドライバが、再び、車両に搭乗し、イグニッションスイッチを押下すると、車両は、イグニッション・オン状態となる。そして、上記イグニッションスイッチの押下により、車両の車両用料金決済装置10もオン状態となる。
【0048】
ドライバは、車両の有料道路の走行を再開する。そして、ドライバは、有料道路から一般道路へと戻る場合には、車両を有料道路のインターチェンジの出口ゲートへと向けて走行させる。その後、上述したステップS18以降と同様の制御方法となる。
【0049】
一方、ステップS32のNOでは、車両制御部11は、車両が有料道路内に滞在していないと判定した場合には、ステップS35へと移行する。
【0050】
ステップS35では、車両制御部11が、記憶部に記憶された決済情報及び本人情報を削除することで、決済情報を無効化し、車両用料金決済装置10がオフ状態となる。また、車両制御部11は、ナビゲーション装置14を制御し、ドライバに対して決済情報が無効化されたことを通知する。同様に、車両制御部11は、ETC車載機16へと決済情報が無効化されたことを送信し、ETC車載機16の決済情報も削除される。
【0051】
ステップS36では、ドライバが、再び、車両に搭乗し、イグニッションスイッチを押下すると、車両は、イグニッション・オン状態となる。そして、上記イグニッションスイッチの押下により、車両の車両用料金決済装置10もオン状態となる。
【0052】
上述したように、ステップS35にて記憶部に記憶された決済情報及び本人情報が無効化されているため、ステップS12へと戻り、車両制御部11が車両の通信部を制御し、乗員の通信機器15との接続を開始する。その後、上述したステップS12以降と同様の制御方法となる。
【0053】
本実施形態の車両用料金決済装置10では、ドライバは、食事等の休憩のため車両をサービスエリアの駐車場等に停車させる場合がある。この場合、ドライバが車両から降車し、車両はイグニッション・オフ状態となるが、記憶部に記憶された決済情報及び本人情報は維持される。この制御方法により、入り口ゲートにて成されたETC車載機16と路側機との通信情報が維持されることで、車両が再始動し、有料道路から一般道路に戻る際に、出口ゲートにて、適した決済処理が行われる。
【0054】
一方、車両故障等、何らかの原因により、車両が、有料道路以外の場所にて再始動した場合には、記憶部に記憶された決済情報及び本人情報が無効化されることで、車両用料金決済装置10は、新たな状態にて再開される。また、決済情報及び本人情報が、車両制御部11の記憶部に不要に残存することが防止され、決済情報の不正使用が防止される。
【0055】
尚、本実施形態の車両用料金決済装置10では、車両が、有料道路を走行する際に、ETC車載機16が有料道路のインターチェンジの出入り口ゲートに設置された路側機と通信することで、キャッシュレス決済が行われる場合について説明したが、この場合に限定するものではない。上述したように、ETC車載機16を利用したドライブスルー、駐車場、ガソリンスタンド、EVスタンド、ごみ処理施設、フェリー等においても、本実施形態の車両用料金決済装置10を用いることで、同様な効果が得られる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
10 車両用料金決済装置
11 車両制御部
12 同期装置
13 乗員情報取得装置
14 ナビゲーション装置
15 通信機器
16 ETC車載機