(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086174
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】開閉弁操作装置
(51)【国際特許分類】
F16K 31/60 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
F16K31/60 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201166
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】320013137
【氏名又は名称】須田設備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】須田 一三
(72)【発明者】
【氏名】城田 孝典
【テーマコード(参考)】
3H063
【Fターム(参考)】
3H063BB01
3H063DA03
3H063EE07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本体部にはロッド部の回転方向を切り替え可能なラチェット機構が配設されることで、作業者の作業性や利便性を向上させる開閉弁操作装置を提供する。
【解決手段】本発明の開閉弁操作装置10では、管路51の開閉弁52の開閉方向に応じて、作業者が、本体部14の回転方向を設定した後、ハンドル部15を介して本体部14を回転操作し、ロッド部12を所望の方向へと回転させることで、管路51の開閉弁52が地上から操作される。そして、本体部14には、上記回転方向を切り替えるラチェット機構とロッド部12の回転数を計測するカウンタ機構が配設される。この構造により、作業者の作業性及び利便性が向上される。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を流す管路に配設された開閉弁を外部から開閉操作する開閉弁操作装置であって、
前記開閉弁を可動させる弁軸の軸頭部に嵌合する嵌合部と、
前記嵌合部が第1端部側に配設されるロッド部と、
前記ロッド部の第2端部側に配設される本体部と、
前記本体部と一体に回転するハンドル部と、を備え、
前記本体部は、
前記開閉弁の開閉方向に合わせて前記ロッド部を左回り方向または右回り方向へと切り替えて回転させるラチェット機構を有することを特徴とする開閉弁操作装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記ロッド部の回転数を計測するカウンタ機構を有し、
前記カウンタ機構は、前記ロッド部の回転と連動するギア部を有し、
前記ギア部は、前記開閉弁が左回り方向に開く場合使用される第1連動ルートと、前記開閉弁が右回り方向に開く場合使用される第2連動ルートと、を有し、
前記第1連動ルートと前記第2連動ルートとは、前記開閉弁の開く方向に合わせて切り替えて使用されることを特徴とする請求項1に記載の開閉弁操作装置。
【請求項3】
前記ロッド部は、前記本体部に対して着脱自在に装着されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の開閉弁操作装置。
【請求項4】
前記ロッド部には、前記ロッド部の回転を補助する補助板が配設されることを特徴とする請求項3に記載の開閉弁操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスや水道水等の流体を流す管路に配設される開閉弁を開閉操作する開閉弁操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の開閉弁操作装置として、特許文献1に記載の構造が知られている。開閉弁操作装置は、主に、その先端に仕切弁体の弁軸の頭部に係合する係合部が形成される開栓キーと、開栓キーを回転させる開栓棒と、開栓キーの先端に形成され、開栓棒が挿通される回転手段と、を備える。
【0003】
作業者は、仕切弁体を開閉操作する際には、開栓棒の端部側を掴み、回転手段を回転支点として、開栓キーを回転中心としてその周囲を一方向へと周回する。そして、作業者は、地表面近傍の開栓キーには、計測用のテープを貼り付けると共に、地表面には、上記テープをセンシングするセンサと、センサからの信号により開栓キーの回転数をカウントするカウント装置を設置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の開閉弁操作装置では、作業者は、センサ及びカウント装置を用いて開栓キーの回転数をカウントすることで、作業員による開栓キーのカウント間違いは防止される。しかしながら、作業者は、作業現場毎に管路の埋設深さが異なることで、テープの貼付位置を調整し、センサ及びカウント装置の設置が必要となる。そのため、開栓キーをカウントするための準備作業が、作業者にとって手間であるという課題がある。
【0006】
また、従来の開閉弁操作装置では、作業者は、仕切弁体を開閉操作する際に、繰り返し開栓棒を持ち替えながら開栓キーを回転させるため、作業者にとって手間であるという課題がある。更には、仕切弁の形式や仕切弁の状態によっては、開栓キーを回転中心としてぐるぐると自らが回転する必要があり、目が回り易くなるという課題がある。
【0007】
また、従来の開栓弁操作装置では、仕切弁体の弁軸の頭部が地中深い箇所に埋設された場合には、開栓キーの先端の係合部と開栓棒の把持部との距離が離れてしまう。その結果、作業者は、開栓棒を介して開栓キーを回転させる際に芯ブレが起こった場合には、弁軸に力を加え難くなり、仕切弁体の操作性が悪化するという課題がある。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、本体部にはロッド部の回転方向を切り替え可能なラチェット機構が配設されることで、作業者の作業性や利便性を向上させる開閉弁操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の開閉弁操作装置では、流体を流す管路に配設された開閉弁を外部から開閉操作する開閉弁操作装置であって、前記開閉弁を可動させる弁軸の軸頭部に嵌合する嵌合部と、前記嵌合部が第1端部側に配設されるロッド部と、前記ロッド部の第2端部側に配設される本体部と、前記本体部と一体に回転するハンドル部と、を備え、前記本体部は、前記開閉弁の開閉方向に合わせて前記ロッド部を左回り方向または右回り方向へと切り替えて回転させるラチェット機構を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の開閉弁操作装置では、前記本体部は、前記ロッド部の回転数を計測するカウンタ機構を有し、前記カウンタ機構は、前記ロッド部の回転と連動するギア部を有し、前記ギア部は、前記開閉弁が左回り方向に開く場合使用される第1連動ルートと、前記開閉弁が右回り方向に開く場合使用される第2連動ルートと、を有し、前記第1連動ルートと前記第2連動ルートとは、前記開閉弁の開く方向に合わせて切り替えて使用されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の開閉弁操作装置では、前記ロッド部は、前記本体部に対して着脱自在に装着されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の開閉弁操作装置では、前記ロッド部には、前記ロッド部の回転を補助する補助板が配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の開閉弁操作装置では、作業者が、ハンドル部を介して本体部を回転操作し、ロッド部を所望の方向へと回転させることで、管路の開閉弁が地上から操作される。そして、本体部には、上記回転方向を切り替えるラチェット機構が配設される。この構造により、作業者は、ハンドル部を繰り返し持ち替えて、あるいは、ロッド部の周囲を周回して開閉弁の開閉操作する必要がなく、作業性が向上される。
【0014】
また、本発明の開閉弁操作装置では、本体部に配設されるカウンタ機構により、ロッド部の回転数が計測される。そして、カウンタ機構は、開閉弁が左回りに開く場合や開閉弁が右回りに開く場合でも、上記回転数を加算または減算して計測可能である。この構造により、作業者は、開閉弁の開閉操作中にロッド部の回転数を自ら計測しなくても、ロッド部の正確な回転数を知ることが出来る。そして、開閉弁の締め過ぎによる弁軸等の破損や開閉弁の全閉状態への締め忘れが防止される。
【0015】
また、本発明の開閉弁操作装置では、ロッド部が本体部から分離可能となることで、持ち運び性や収納性が向上される。また、本体部が共用され、ロッド部により管路の埋設深さに対応することが可能となり、利便性が向上され、コストも低減される。
【0016】
また、本発明の開閉弁操作装置では、管路の埋設深さが深い場合でも、ロッド部の中間部が、補助板により支持されることで、開閉弁の開閉操作時のロッド部の芯ズレが防止され、作業性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】本発明の一実施形態である開閉弁操作装置を説明する側面図である。
【
図1B】本発明の一実施形態である開閉弁操作装置を説明する斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態である開閉弁操作装置の本体部を説明する斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態である開閉弁操作装置の本体部を説明する分解斜視図である。
【
図4A】本発明の一実施形態である開閉弁操作装置の開閉弁の開閉操作時における本体部の動作を説明する平面図である。
【
図4B】本発明の一実施形態である開閉弁操作装置の開閉弁の開閉操作時における本体部の動作を説明する平面図である。
【
図5A】本発明の一実施形態である開閉弁操作装置の開閉弁の開閉操作時における本体部の動作を説明する平面図である。
【
図5B】本発明の一実施形態である開閉弁操作装置の開閉弁の開閉操作時における本体部の動作を説明する平面図である。
【
図6A】本発明の一実施形態である開閉弁操作装置の使用状態を説明する概略図である。
【
図6B】本発明の一実施形態である開閉弁操作装置の使用状態を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る開閉弁操作装置10を図面に基づき詳細に説明する。尚、以下の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、上下方向は開閉弁操作装置10の高さ方向を示し、左右方向は開閉弁操作装置10の横幅方向を示し、前後方向は開閉弁操作装置10の奥行方向を示す。
【0019】
図1Aは、本実施形態の開閉弁操作装置10を説明する側面図である。
図1Bは、本実施形態の開閉弁操作装置10を説明する斜視図である。
図2は、本実施形態の開閉弁操作装置10の本体部14を説明する斜視図である。
図3は、本実施形態の開閉弁操作装置10の本体部14を説明する分解斜視図である。
【0020】
図1Aに示すように、開閉弁操作装置10は、地中に埋設され、水道水、ガス等の流体を流す管路51(
図6A参照)に配設される開閉弁52(
図6A参照)を地上から開閉操作するための装置である。そして、開閉弁操作装置10は、主に、管路51に対して開閉弁52を可動させる弁軸56(
図6A参照)の軸頭部54(
図6A参照)に嵌合する嵌合部11と、嵌合部11が第1端部側に形成されるロッド部12と、ロッド部12の第2端部側に形成される本体連結部13(
図1B参照)と、ロッド部12と着脱自在に連結し、ロッド部12を適宜回転させる本体部14と、本体部14と連結して形成され、本体部14から横幅方向へと延在するハンドル部15と、ロッド部12に挿通され、ロッド部12の回転時における芯ズレを防止する補助板16(
図6B参照)と、を備える。
【0021】
嵌合部11、ロッド部12及び本体連結部13は、例えば、ステンレス鋼材により一体に形成される。嵌合部11は、上記開閉弁52の軸頭部54に嵌合し、弁軸56を回転させるため、例えば、直方体形状の凹部として形成される。尚、嵌合部11としての凹部の形状は軸頭部54の形状に合わせて任意の設計変更が可能である。
【0022】
ロッド部12は、細長い棒形状であり、作業員が、地表面から地中の開閉弁52を開閉操作するための開栓棒である。そして、ロッド部12の長さは、地表面から管路51までの深さ及び作業員の身長が考慮されて決定される。尚、ロッド部12は、弁軸56の回転作業時に適切な力が加えられる剛性を有していれば良く、その形状に関して任意の設計変更が可能である。
【0023】
本体連結部13は、本体部14の底面14F側に形成される軸受シャフト部28に対して着脱自在に装着される。本体連結部13が、凸部形状として形成され、軸受シャフト部28に挿入され、嵌合することで、ロッド部12は、本体部14と一体に回転する。詳細は後述するが、ラチェット機構21は、本体部14の収納空間14Aに配設される。ラチェット機構21の歯車部23は、軸受シャフト部28に対して挿通し、軸受シャフト部28と一体に回転するように軸受シャフト部28に固定される。尚、本体連結部13としての凸部形状は、軸受シャフト部28の形状に合わせて任意の設計変更が可能である。また、本実施形態の収納空間14Aとは、本体部14の内部に形成される空間のことをいう。
【0024】
図1Bに示すように、本実施形態では、ロッド部12が、本体連結部13及び軸受シャフト部28を介して本体部14に対して着脱可能な構造となる。この構造により、開閉弁操作装置10の不使用時には、ロッド部12と本体部14とは、分離することが可能となる。その結果、ロッド部12と本体部14とは分離して持ち運ぶことで、持ち運び性が向上すると共に、収納性も向上する。
【0025】
また、上述したように、管路51は、作業現場毎にその埋設深さが異なるため、ロッド部12の長さも作業現場毎に長さ調整が必要となる。本実施形態では、本体部14の共通使用が可能となることで、作業現場毎に管路51の埋設深さに応じて、ロッド部12の長さを替えて使用することが可能となる。つまり、ロッド部12が、複数パターンの長さにて準備されることで、様々な作業現場に対応可能となる。一方、本体部14は共通使用することで、開閉弁操作装置10を各現場に対応して複数セット準備する必要がなく、コストが低減される。
【0026】
本体部14は、ロッド部12と連結し、開閉弁52の開閉方向に合わせてロッド部12を回転させる。そして、本体部14は、例えば、ステンレス鋼材により形成され、その内部に収納空間14Aを有する。詳細は後述するが、本体部14の収納空間14Aには、ロッド部12の回転方向を切り替え可能とすると共に、ロッド部12を適宜回転させるラチェット機構21と、ロッド部12の回転数をカウントするためのカウンタ機構22と、が配設される。
【0027】
ハンドル部15は、本体部14に連結し、本体部14を中心にしてその両側に延在して配設される。ハンドル部15は、例えば、ステンレス鋼材により形成される。作業員は、両手でハンドル部15を掴みながら、自分が立った状態にて両腕を動かし本体部14を回転させることで、ロッド部12を所望の方向へと回転させることが出来る。
【0028】
また、ハンドル部15の先端側には、オープナー部15Aが形成される。管路51の開閉弁52の配設領域には、弁筐53(
図6A参照)が地中内へと埋設され、弁筐53の内部に開閉弁52の軸頭部54が配設される。作業者は、開閉弁52を開閉操作する際には、弁筐53の蓋部55(
図6A参照)を開く必要がある。そして、作業者は、ハンドル部15のオープナー部15Aを蓋部55の切欠き部に挿入し、テコの原理を利用することで、容易に蓋部55を開くことが出来る。
【0029】
尚、開閉弁操作装置10は、主に、屋外にて使用される。上述したように、開閉弁操作装置10は、ステンレス鋼材により形成されることで、錆に強くなると共に、従来の鉄鋼材製の構造に対して軽量化が実現される。しかしながら、開閉弁操作装置10の材料としては、ステンレス鋼材に限定されるものではなく、使用に耐え得る剛性を有することで、鉄鋼材等のその他の金属材料から形成される場合でも良い。この場合には、開閉弁操作装置10の表面にメッキ処理等を施すことで、錆対策も可能となる。
【0030】
図2に示すように、本実施形態では、ラチェット機構21の回転方向切替爪部24の先端側及びカウンタ機構22のカウンタ表示部26が、本体部14の側面14Bに配設される。また、カウンタ機構22の開閉弁切替摘み部27が、本体部14の天面14Cに配設される。
【0031】
詳細は後述するが、作業者は、開閉弁52の開閉方向、例えば、右回り方向に回すことで開く開閉弁52の場合には、紙面左側のR表示側へと回転方向切替爪部24をセットすることで、ロッド部12は、本体部14と連動して右回り方向に回転し、開閉弁52は開く方向へと可動する。
【0032】
また、作業者は、上記開閉弁52の構造において、紙面右側の右開表示側へと開閉弁切替摘み部27をセットすることで、ロッド部12の回転数に応じて、カウンタ表示部26は加算表示される。そして、作業者は、上記開閉作業中にカウンタ表示部26を目視し、ロッド部12の回転数を確認することが出来る。
【0033】
図3に示すように、本体部14は、収納空間14Aが形成される基部14Dと、基部14Dに対して底面14F側から固定される底面板14Eと、基部14Dに対して天面14C側から固定される天面板14Gと、とを有する。
【0034】
貫通孔33が、底面板14Eの略中央部に形成される。貫通孔33には、収納空間14A側からシャフト受け部34が配設され、シャフト受け部34は、底面板14Eに対して回転可能に配設される。そして、軸受シャフト部28が、シャフト受け部34に対して挿通すると共に、シャフト受け部34に嵌合して固定される。軸受シャフト部28の先端側は、貫通孔33を介して収納空間14Aへと配設される。
【0035】
本体部14の収納空間14Aには、ラチェット機構21及びカウンタ機構22が配設される。例えば、ラチェット機構21は、収納空間14Aの中央部から紙面右側に配設され、カウンタ機構22は、収納空間14Aの中央部から紙面左側に配設される。尚、収納空間14が、ラチェット機構21の配設領域とカウンタ機構22の配設領域に区画される場合でも良い。
【0036】
ラチェット機構21は、主に、歯車部23と、歯車部23に対して係合し、ロッド部12の回転方向を切り替えると共に、歯車部23を適宜回転させる回転方向切替爪部24と、回転方向切替爪部24を回転可能に軸支する固定軸部25と、を備える。
【0037】
歯車部23は、軸受シャフト部28に挿通されると共に、軸受シャフト部28に対して固定される。回転方向切替爪部24は、歯車部23に係合可能な位置であり、固定軸部25を介して底面板14Eに回転可能に固定される。そして、回転方向切替爪部24の先端側は、本体部14の側面14Bから露出し、作業者が、作業内容に応じて回転方向切替爪部24を操作することで、ロッド部12の回転方向が適宜切り替えられる。
【0038】
カウンタ機構22は、主に、カウンタ表示部26を備えたカウンタ本体部29と、ロッド部12の回転をカウンタ本体部29へと伝えるギア部30と、カウンタ本体部29とギア部30とを連動させる回転軸部31と、開閉弁切替摘み部27に固定される切替プレート部32と、を備える。尚、本実施形態では、カウンタ本体部29内部のカウンタ部(図示せず)は、回転軸部31と連動し、左回り方向に回転することで加算し、右回り方向に回転することで減算する構造である。
【0039】
次に、
図4Aから
図5Bを用いて、本実施形態の開閉弁操作装置10において、本体部14の収納空間14Aに配設されるラチェット機構21及びカウンタ機構22の動作について説明する。
図4Aから
図5Bは、本実施形態の開閉弁操作装置10の本体部14に配設されるラチェット機構21及びカウンタ機構22の動作を説明する平面図である。尚、
図4Aから
図5Bでは、説明の都合上、部材の重なりにより見えない領域のラチェット機構21及びカウンタ機構22を適宜実線にて示す。
【0040】
図4Aは、開閉弁52の開方向が左回り方向であり、作業者が開閉弁52を開く作業を行う際のラチェット機構21及びカウンタ機構22の動作を示す。一方、
図4Bは、開閉弁52の開方向が左回り方向であり、作業者が開閉弁52を閉める作業を行う際のラチェット機構21及びカウンタ機構22の動作を示す。
【0041】
先ず、
図4Aを用いて、ラチェット機構21及びカウンタ機構22について説明する。図示したように、ラチェット機構21の回転方向切替爪部24は、左回り用爪部24Aと右回り用爪部24Bとを有する。そして、作業者が、作業現場の開閉弁52の開閉方向を確認し、作業内容に応じて回転方向切替爪部24を操作することで、左回り用爪部24Aまたは右回り用爪部24Bが、歯車部23と係合する。
【0042】
上述したように、回転方向切替爪部24は、固定軸部25に回転可能に軸支され、作業員の操作により回転する。また、回転方向切替爪部24には固定用突起部24Cが形成される。そして、作業員が、左回り用爪部24Aと右回り用爪部24Bとを切り替える際に、固定用突起部24Cが本体部14の固定用ボール部41を乗り越えると共に、上記切り替え後には、固定用突起部24Cが固定用ボール部41により位置固定される。この構造により、本体部14の回転時に、左回り用爪部24Aまたは右回り用爪部24Bと歯車部23との係合状態が解除されることが防止される。尚、固定用ボール部41は、本体部14に形成される付勢空間41A内に移動可能に配設される。そして、固定用ボール部41は、付勢空間41A内に配設されるバネ(図示せず)等の弾性部材により回転方向切替爪部24側へと付勢される。
【0043】
左回り用爪部24Aは、本体部14が左回り方向へと回転する場合には、歯車部23の歯と噛み合い、歯車部23と一体に回転する。一方、本体部14が右回り方向へと回転する場合には、歯車部23の歯に対して噛み合うことなく空転する。この構造により、作業者は、ロッド部12を自身の体の中心に合わせて配設し、ハンドル部15を繰り返し持ち替えることなく、あるいは、自らがロッド部12の周囲を周回することなく両腕を前後方向へと繰り返し動かすことで、ロッド部12を左回り方向へと回転させ、開閉弁52を開方向へと可動させることが出来る。
【0044】
一方、カウンタ機構22では、開閉弁切替摘み部27が左開(
図2参照)側に設定されることで、ギア部30では、紙面前方側の第1連動ルート42が動作し、ロッド部12の回転数を加算する。
【0045】
ギア部30は、軸受シャフト部28に固定される第1歯車部44と、紙面後方側の第2連動ルート43(
図5A参照)を構成する第2歯車部45、第3歯車部46及び第4歯車部47と、紙面前方側の第1連動ルート42を構成する第5歯車部48及び第4歯車部47と、を備える。そして、第4歯車部47の回転軸には、回転軸部31が固定される。回転軸部31は、第4歯車部47と一体に回転し、カウンタ本体部29のカウンタ部(図示せず)を動作させる。
【0046】
第1連動ルート42の第5歯車部48及び第4歯車部47は、係合状態にて配設されると共に、その上下面が固定プレート49により狭持される。同様に、第2連動ルート43の第2歯車部45及び第3歯車部46は、係合状態にて配設されると共に、その上下面が固定プレート50により狭持される。この構造により、ギア部30の第1連動ルート42と第2連動ルート43とは適宜切り替えられるが、上記係合状態が安定して維持される。
【0047】
切替プレート部32は、第2歯車部45の回転軸45Aと第5歯車部48の回転軸48Aとの間であり、両方の回転軸45A,48Aと接触した状態となる。切替プレート部32には、切り欠き領域32Aが形成される。開閉弁切替摘み部27が左開(
図2参照)側または右開(
図2参照)側に設定された際に、切り欠き領域32Aは、適宜、回転軸45Aまたは回転軸48Aと係合する。
【0048】
この構造により、開閉弁切替摘み部27が左開(
図2参照)側に設定された場合には、第1歯車部44と第5歯車部48とが係合状態となり、ギア部30の第1連動ルート42を稼働させる。一方、開閉弁切替摘み部27が右開(
図2参照)側に設定された場合には、第1歯車部44と第2歯車部45とが係合状態となり、ギア部30の第2連動ルート43を稼働させる。尚、切替プレート部32の下方には、バネ部(図示せず)が配設され、バネ部は固定プレート49,50と連結する。そして、バネ部は、固定プレート49,50を第1歯車部44側へと引っ張るように付勢することで、第1歯車部44と第2歯車部45または第5歯車部48との係合状態が安定して維持される。
【0049】
図示したように、第1歯車部44は、歯車部23の上面であり、軸受シャフト部28に対して固定される。第1歯車部44は、作業者による本体部14の操作に応じて、軸受シャフト部28と一体に回転する。上述したように、作業者による開閉弁切替摘み部27の操作により、第1歯車部44は、切替プレート部32を介して第2歯車部45または第5歯車部48と係合状態となる。
【0050】
上述したように、
図4Aに示す作業状態では、ロッド部12は、ラチェット機構21を介して本体部14と一体に左回り方向に回転し、開閉弁52を開く方向へと可動させる。そして、カウンタ機構22では、ギア部30の第1連動ルート42が稼働し、第4歯車部47及び回転軸部31が、左回り方向に回転し、ロッド部12の回転数が加算して計測される。
【0051】
一方、
図4Bに示すように、作業者が、開方向が左回り方向の開閉弁52を閉める方向へとロッド部12を回転させる場合には、作業者は、回転方向切替爪部24を
図4Aの状態から紙面左側のR表示(
図2参照)側へと切り替え操作すると共に、開閉弁切替摘み部27を
図4Aの状態に維持する。
【0052】
作業者は、ロッド部12を自身の体の中心に合わせて配設し、ハンドル部15を操作することで、ロッド部12は右回り方向へと回転し、開閉弁52は閉方向へと可動する。上述したように、カウンタ機構22では、ギア部30の第1連動ルート42が稼働し、第4歯車部47及び回転軸部31が、右回り方向に回転し、ロッド部12の回転数が減算して計測される。
【0053】
次に、
図5Aは、開閉弁52の開方向が右回り方向であり、作業者が開閉弁52を開く作業を行う際のラチェット機構21及びカウンタ機構22の動作を示す。一方、
図5Bは、開閉弁52の開方向が右回り方向であり、作業者が開閉弁52を閉める作業を行う際のラチェット機構21及びカウンタ機構22の動作を示す。
【0054】
上述したように、
図5Aに示す作業状態では、ロッド部12は、ラチェット機構21を介して本体部14と一体に右回り方向に回転し、開閉弁52を開く方向へと可動させる。そして、カウンタ機構22では、ギア部30の第2連動ルート43が稼働し、第4歯車部47及び回転軸部31が、左回り方向に回転することで、ロッド部12の回転数が加算して計測される。
【0055】
一方、
図5Bに示すように、作業者が、開方向が右回り方向の開閉弁52を閉める方向へとロッド部12を回転させる場合には、作業者は、回転方向切替爪部24を
図5Aの状態から紙面右側のL表示(
図2参照)側へと切り替え操作すると共に、開閉弁切替摘み部27を
図5Aの状態に維持する。
【0056】
作業者は、ロッド部12を自身の体の中心に合わせて配設し、ハンドル部15を操作することで、ロッド部12は左回り方向へと回転し、開閉弁52は閉方向へと可動する。上述したように、カウンタ機構22では、ギア部30の第2連動ルート43が稼働し、第4歯車部47及び回転軸部31が、右回り方向に回転することで、ロッド部12の回転数が減算して計測される。
【0057】
最後に、
図6A及び
図6Bを用いて、本実施形態の開閉弁操作装置10により管路51の開閉弁52を開閉操作する状況を説明する。
図6A及び
図6Bは、作業者が開閉弁操作装置10を用いて管路51の開閉弁52の開閉操作を行う状況を説明する概略図である。尚、
図6A及び
図6Bでは、説明の都合上、ロッド部12先端の嵌合部11が、開閉弁52の軸頭部に対して装着されていない状態を示す。
【0058】
図6Aに示すように、水道水、ガス等の流体を流す管路51は、地中に埋設される。そして、管路51には、仕切弁等の開閉弁52が設けられる。そして、管路51の各種検査や工事等が行われる際に、開閉弁52の開閉作業が行われる。
【0059】
管路51の開閉弁52の配設領域には、弁筐53が地中内へと埋設され、弁筐53の内部に開閉弁52の軸頭部54が配設される。作業者は、開閉弁52を開閉操作する際には、ハンドル部15のオープナー部15Aを用いて弁筐53の蓋部55を開ける。作業者は、ハンドル部15を用いて、テコの原理を利用することで、容易に蓋部55を開くことが出来る。
【0060】
作業者は、蓋部55の開口部から弁筐53内へとロッド部12を入れて、ロッド部12先端の嵌合部11を軸頭部54へと嵌合させる。その後、上述したように、開閉弁52の開閉方向等、作業内容に応じてハンドル部15を操作し、本体部14と一体にロッド部12を回転させることで、開閉弁52の開閉操作を行う。
【0061】
ここで、
図6Bに示すように、管路51が地中深くに埋設されている場合には、ロッド部12の長さが長くなり、芯ズレを起こし、ハンドル部15から軸頭部54へと適切に力を加えられない場合がある。そこで、本実施形態では、弁筐53の蓋部55の開口部に補助板16を配設し、補助板16の中心開口部16Aにロッド部12を挿通させる場合でも良い。
【0062】
図示したように、中心開口部16Aの内径は、ロッド部12の外径と略同一幅となることで、ロッド部12は、嵌合部11と本体部14との間にて、補助板16にて支えられる構造となる。この構造により、開閉弁操作装置10では、開閉弁52の開閉作業中に芯ズレが発生し難く、作業者の利便性が向上される。尚、上述したように、ロッド部12と本体部14とが分離可能となることで、補助板16は、必要な作業現場にて使用可能となり、常時、ロッド部12と一緒に持ち運びする必要はない。
【0063】
尚、本実施形態の開閉弁操作装置10では、ロッド部12が、本体部14に対して着脱自在に装着される構造の場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、ロッド部12が、本体部14と一体に形成される場合でも良い。
【0064】
また、本体部14の収納空間14Aには、ラチェット機構21及びカウンタ機構22が配設される場合について説明したが、開閉弁操作装置10としては、ラチェット機構21及びカウンタ機構22の両機構が配設される場合に限定するものではなく、少なくともどちらか一方の機構が配設される場合でも良い。
【0065】
また、開閉弁切替摘み部27が紙面左側の左開表示(
図2参照)側へとセットされた場合にギア部30の第1連動ルート42が稼働し、開閉弁切替摘み部27が紙面右側の右開表示(
図2参照)側へとセットされた場合にギア部30の第2連動ルート43が稼働する場合について説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、開閉弁切替摘み部27が紙面左側の左開表示(
図2参照)側へとセットされた場合にギア部30の第2連動ルート43が稼働し、開閉弁切替摘み部27が紙面右側の右開表示(
図2参照)側へとセットされた場合にギア部30の第1連動ルート42が稼働する場合でも良い。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 開閉弁操作装置
11 嵌合部
12 ロッド部
13 本体連結部
14 本体部
14A 収納空間
14B 側面
14C 天面
14D 基部
14E 底面板
14F 底面
14G 天面板
15 ハンドル部
16 補助板
16A 中心開口部
21 ラチェット機構
22 カウンタ機構
23 歯車部
24 回転方向切替爪部
24A 左回り用爪部
24B 右回り用爪部
24C 固定用突起部
25 固定軸部
26 カウンタ表示部
27 開閉弁切替摘み部
28 軸受シャフト部
29 カウンタ本体部
30 ギア部
31 回転軸部
32 切替プレート部
33 貫通孔
34 シャフト受け部
41 固定用ボール部
42 第1連動ルート
43 第2連動ルート
44 第1歯車部
45 第2歯車部
45A,48A 回転軸
46 第3歯車部
47 第4歯車部
48 第5歯車部
49,50 固定プレート
51 管路
52 開閉弁
53 弁筐
54 軸頭部
55 蓋部
56 弁軸