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▶ イビデン株式会社の特許一覧

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  • 特開-配線基板およびその製造方法 図1
  • 特開-配線基板およびその製造方法 図2
  • 特開-配線基板およびその製造方法 図3
  • 特開-配線基板およびその製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086199
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】配線基板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/06 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
H05K3/06 A
H05K3/06 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201214
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】岡部 浩二
【テーマコード(参考)】
5E339
【Fターム(参考)】
5E339BC02
5E339BD03
5E339BD08
5E339BD11
5E339BE13
5E339CC01
5E339CD01
5E339CE11
5E339CF07
5E339EE10
(57)【要約】
【課題】配線パターンの高密度化を達成できる配線基板およびその製造方法を提案する。
【解決手段】基板11と、基板11上にパターン化して形成された銅からなる導体層12と、からなる構成を少なくとも含む配線基板1であって、導体層12の形状が、その上面12aの幅Waが下面12bの幅Wbよりも大きく、その下面の幅が中間部の最小幅Wiよりも大きい。基板を準備することと、基板上全面に銅めっき膜を形成することと、銅めっき膜上に、配線パターンに応じてドライフィルムレジスト層を形成することと、エッチングにより、銅めっき膜のドライフィルムレジスト層が存在しない部分を除去し、その上面の幅が下面の幅よりも大きく、その下面の幅が中間部の最小幅より大きい導体層を形成することと、導体層上から前記ドライフィルムレジスト層を除去することと、により配線基板1を製造する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上にパターン化して形成された銅からなる導体層と、からなる構成を少なくとも含む配線基板であって、
前記導体層の形状が、その上面の幅が下面の幅よりも大きく、その下面の幅が中間部の最小幅よりも大きい。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板において、(上面の幅/下面の幅)が1より大きく1.15より小さい。
【請求項3】
請求項1に記載の配線基板において、(上面の幅/中間部の最小幅)が1.15より大きく1.75より小さい。
【請求項4】
請求項1に記載の配線基板において、前記導体層がエッチング抑制剤を含む塩化銅エッチング液によるエッチングにより形成される。
【請求項5】
基板と、前記基板上にパターン化して形成された銅からなる導体層と、からなる構成を少なくとも含む配線基板の製造方法であって、
前記基板を準備することと、
前記基板上全面に銅めっき膜を形成することと、
前記銅めっき膜上に、配線パターンに応じてドライフィルムレジスト層を形成することと、
エッチングにより、前記銅めっき膜の前記ドライフィルムレジスト層が存在しない部分を除去し、その上面の幅が下面の幅よりも大きく、その下面の幅が中間部の最小幅より小さい導体層を形成することと、
前記導体層上から前記ドライフィルムレジスト層を除去することと、を含む。
【請求項6】
請求項5に記載の配線基板の製造方法において、前記エッチングに用いるエッチング液として、エッチング抑制剤を含む塩化銅エッチング液を用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、塩化銅を含むエッチング液を用いて、サブトラクティブ法により、パターン化された導体層からなる配線を形成する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-273465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、配線間の絶縁性を確保することができる。一方、特許文献1に記載の技術で形成した配線となる導体層の形状は、図4に示すように、導体層51の上面51aの幅が下面51bの幅より小さくなっていた。ここで、隣接する導体層51間の配線間隔は、下面51b同士が接触しないように、下面51bの幅に基づき決定される。そのため、上面51aの幅で定義される配線間隔を小さくできない場合があり、配線パターンの高密度化に不向きであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る配線基板は、基板と、前記基板上にパターン化して形成された銅からなる導体層と、からなる構成を少なくとも含む配線基板であって、前記導体層の形状が、その上面の幅が下面の幅よりも大きく、その下面の幅が中間部の最小幅よりも大きい。
【0006】
本発明に係る配線基板の製造方法は、基板と、前記基板上にパターン化して形成された銅からなる導体層と、からなる構成を少なくとも含む配線基板の製造方法であって、前記基板を準備することと、前記基板上全面に銅めっき膜を形成することと、前記銅めっき膜上に、配線パターンに応じてドライフィルムレジスト層を形成することと、エッチングにより、前記銅めっき膜の前記ドライフィルムレジスト層が存在しない部分を除去し、その上面の幅が下面の幅よりも大きい導体層を形成することと、前記導体層上から前記ドライフィルムレジスト層を除去することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る配線基板の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図2】本発明に係る配線基板の一実施形態を示す断面写真である。
図3】(a)~(d)は、それぞれ、本発明に係る配線基板の製造方法の一実施形態の各工程を模式的に示す断面図である。
図4】従来の配線基板の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本発明の配線基板について>
本発明の配線基板の一実施形態が、図面を参照して説明される。なお、図1図3に示す例において、各部材の寸法、特に高さ方向の寸法については、本発明の特徴をより良く理解できるようにするために、実際の寸法とは異なる寸法で記載している。
【0009】
図1は、本発明に係る配線基板の一実施形態を模式的に示す断面図である。また、図2は、本発明に係る配線基板の一実施形態を示す断面写真である。図1および図2において、配線基板1は、基板11と、基板11上にパターン化して形成された銅からなる導体層12と、からなる構成を少なくとも含んでいる。そして、導体層12の形状において、その上面12aの幅Waが下面12bの幅Wbよりも大きく、その下面12bの幅Wbが中間部の最小幅Wiよりも大きい。
【0010】
本発明に係る配線基板1の特徴は、導体層12の形状を、その上面12aの幅Waが下面12bの幅Wbよりも大きく、その下面12bの幅Wbが中間部の最小幅Wiよりも大きく形成した点である。隣接する導体層12間の配線間隔は、上面12a同士が接触しないように、上面12aの幅に基づき決定される。そのため、上面12aの幅Waで定義される配線間隔を小さくすることができる。その結果、導体層12からなる配線パターンの高密度化を達成することができる。
【0011】
なお、(上面12aの幅Wa/下面12bの幅Wb)が1より大きく1.15より小さいことが好ましい。さらに、上面12aの幅Wa/中間部の最小幅Wi)が1.15より大きく1.75より小さいことが好ましい。いずれも、それらの比を上記範囲にすることで、導体層12からなる配線パターンの高密度化を好適に達成することができるためである。
【0012】
なお、本発明に係る配線基板の一実施形態において、導体層12がエッチング抑制剤を含む塩化銅エッチング液によるエッチングにより形成されることが好ましい。従来、銅めっき膜を塩化銅エッチング液によるエッチングして導体層を形成すると、導体層の上面の幅が下面の幅より小さくなる場合があった。その点、エッチング抑制剤を含む塩化銅エッチング液をエッチングに用いることで、導体層12の側面において、導体層12上部のエッチング速度を下部のエッチング速度より小さく制御することができ、上面12aの幅Waが下面12bの幅Wbよりも大きく、下面12bの幅Wbが中間部の最小幅Wiよりも大きい導体層12を形成できる。
【0013】
<本発明の配線基板の製造方法について>
図3(a)~(d)は、それぞれ、本発明に係る配線基板の製造方法の一実施形態の各工程を模式的に示す断面図である。以下、図3(a)~(d)を参照して、本発明の配線基板の製造方法の各工程を説明する。
【0014】
まず、図3(a)に示すように、基板11を準備し、基板11上全面に銅めっき膜21を形成し、中間体を準備する。基板11は、コア基板とすることも、絶縁層とすることもできる。また、基板11と銅めっき膜21との間に、無電解銅めっきによりシード層を形成することもできる。
【0015】
次に、図3(b)に示すように、銅めっき膜21上に、配線パターンに応じてドライフィルムレジスト層22を形成する。ドライフィルムレジスト(DFR)は、従来から知られているように、回路形成に使用されるフィルム状のエッチングレジストである。ドライフィルムレジストは、一例として、ベースフィルム上に塗布したフォトレジスト層を乾燥後、保護フィルムをフォトレジスト層にラミネートして製造されている。
【0016】
次に、図3(c)に示すように、エッチングにより、銅めっき膜21のドライフィルムレジスト層22が存在しない部分を除去し、図1に示すように、その上面12aの幅Waが下面12bの幅Wbよりも大きく、その下面12bの幅Wbが中間部の最小幅Wiよりも大きい導体層12を形成する。エッチングに使用するエッチング液としては、上面12aの幅Waが下面12bの幅Wbよりも大きく、その下面12bの幅Wbが中間部の最小幅Wiよりも大きい導体層12を形成できさえすれば、どのようなエッチング液を用いることもできる。
【0017】
なお、本発明に係る配線基板の製造方法の一実施形態において、エッチングに用いるエッチング液として、エッチング抑制剤を含む塩化銅エッチング液を用いることが好ましい。エッチング抑制剤を含む塩化銅エッチング液を用いることで、液流の悪いドライフィルムレジスト層の下に抑制剤が滞るため、導体層12の上部のエッチングが抑制され、下部の方がエッチングされやすくなる。そのため、導体層12の側面において、導体層12上部のエッチング速度を下部のエッチング速度より小さく制御することができ、上面12aの幅Waが下面12bの幅Wbよりも大きく、その下面12bの幅Wbが中間部の最小幅Wiよりも大きい導体層12を形成できる。
【0018】
次に、図3(d)に示すように、導体層12上からドライフィルムレジスト層22を除去する。除去方法は、従来知られているいずれの方法も用いることができる。ドライフィルムレジスト層22の除去により、本発明の配線基板1を形成することができる。
【0019】
上述した配線基板の製造方法によれば、導体層12の形状において、その上面12aの幅Waを下面12bの幅Wbよりも大きく、その下面12bの幅Wbを中間部の最小幅Wiよりも大きくすることができる。
【符号の説明】
【0020】
1 配線基板
11 基板
12 導体層
12a 上面
12b 下面
21 銅めっき膜
22 ドライフィルムレジスト層
図1
図2
図3
図4