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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000862
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】速結端子ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/48 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
H01R4/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099815
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】小林 正人
(72)【発明者】
【氏名】植村 俊彦
(57)【要約】
【課題】速結端子ユニットの部品点数削減、及び、速結端子ユニットの小型化を可能とする。
【解決手段】速結端子ユニット1は、本体ケース2に、銅バーを挟み込んで保持する保持部4と、保持部4で保持されている銅バーの表面に平行な方向へ電線を挿入可能な挿入孔3とが設けられている一方、本体ケース2の内部に、挿入孔3を介して電線21が挿入されるとともに、保持部4で保持されている銅バーが露出する収容空間5が設けられ、収容空間5に、挿入された電線を銅バーに押しつける速結端子用金具6が設置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースに、帯状の導電部材を挟み込んで保持する保持部と、前記保持部で保持されている前記導電部材の表面に平行な方向へ電線を挿入可能な挿入孔とが設けられている一方、
前記本体ケースの内部に、前記挿入孔を介して前記電線が挿入されるとともに、前記保持部で保持されている前記導電部材が露出する収容空間が設けられ、
前記収容空間に、挿入された前記電線を前記導電部材に押しつける速結端子用金具が設置されていることを特徴とする速結端子ユニット。
【請求項2】
前記速結端子用金具を押圧して、前記速結端子用金具による前記電線の保持を解除可能とした電線解除レバーが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の速結端子ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状の導電部材に対して電線を接続する速結端子ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
帯状の導電部材に電線を接続するための構造として、速結端子ユニットが従来知られている。例えば、特許文献1に記載の速結端子ユニットでは、速結端子ユニットの本体ケースに、帯状の導電部材と電気的に接続されている接続用端子を内蔵している。そして、本体ケースに開設された挿入孔へ電線を挿入すると、電線が接続用端子に接触することにより、電線と帯状の導電部材とが接続用端子を介して電気的に接続されるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-149898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の速結端子ユニットでは、上述したように本体ケースの内部に接続用端子が別途設けられているため、速結端子ユニットの部品点数が多くなると共に、速結端子ユニットの外形寸法を大きく取る必要がある。よって、速結端子ユニットの製造コストが高くなること、速結端子ユニットが大型化してしまうこと等のおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、速結端子ユニットの部品点数の削減、及び、速結端子ユニットの小型化を目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、本体ケースに、帯状の導電部材を挟み込んで保持する保持部と、前記保持部で保持されている前記導電部材の表面に平行な方向へ電線を挿入可能な挿入孔とが設けられている一方、前記本体ケースの内部に、前記挿入孔を介して前記電線が挿入されるとともに、前記保持部で保持されている前記導電部材が露出する収容空間が設けられ、前記収容空間に、挿入された前記電線を前記導電部材に押しつける速結端子用金具が設置されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記速結端子用金具を押圧して、前記速結端子用金具による前記電線の保持を解除可能とした電線解除レバーが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、電線が挿入孔を介して収容空間へ挿入されると、速結端子用金具によって電線が帯状の導電部材へ押し付けられ、電線と帯状の導電部材とが直接接触して電気的に接続される。そのため、速結端子ユニット内部に、電線と帯状の導電部材とを介する導電部を別途設ける必要がない。したがって、速結端子ユニットの部品点数の削減、及び、速結端子ユニットの小型化が可能となる。
また、速結端子ユニットの帯状の導電部材への取り付けと、電線の挿入孔への挿入との手順のみで容易に帯状の導電部材と電線とを接続することができる。
さらに、請求項2に記載の発明によれば、速結端子用金具を押圧して、速結端子用金具による電線の保持を解除可能とした電線解除レバーが設けられているため、電線解除レバーの操作によって、容易に電線を速結端子ユニットから取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】速結端子ユニットの外観を示した斜視図である。
図2】速結端子ユニットの正面図である。
図3】速結端子ユニットの平面図である。
図4図1の部分斜視図である。
図5図3のA-A線断面図である。
図6】速結端子ユニットの使用状態を示した斜視図である。
図7】速結端子ユニットの使用状態を示した正面図である。
図8図6の部分斜視図である。
図9図7の断面図である。
図10図9における電線を外す様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~3は、本発明に係る速結端子ユニットの一例を示す説明図であって、図1は斜視図、図2は正面図、図3は平面図である。また、図4は、図1の速結端子ユニット1において、前ケース2a、及び、電線解除レバー7を省略して、後ケース2bの一部分を切断した部分斜視図、図5は、図3におけるA-A線断面図である。
【0010】
図6,7は、速結端子ユニット1において、銅バー20への取り付け、及び、電線の接続がなされた状態を示す説明図であって、図6は斜視図、図7は正面図である。また、図8は、図6において、前ケース2a、及び、電線解除レバー7を省略した部分斜視図、図9は、図7の断面図である。そして、図10は、図9における電線を外す様子を示す説明図である。
【0011】
速結端子ユニット1は、例えば分電盤などに使用される。速結端子ユニット1は、前後に分割可能な2つの合成樹脂製のケースである、前ケース2a及び後ケース2bを組み立ててなる本体ケース2を有してなるものであって、本体ケース2の上面には、電線21を挿入可能な挿入孔3が開設されている。また、本体ケース2の底面における右部には、上方へ切り込まれた溝状の保持部4が設けられている。当該保持部4は、銅バー20の厚みと同じ左右幅を有しているとともに、保持部4の前部及び後部は本体ケース2の正面及び背面に開口していて、例えば分電盤などに配置されている銅バー20を挟み込み可能となっている。
【0012】
また、本体ケース2の内部には、挿入孔3を介して電線21が差し込まれる収容空間5が設けられている。収容空間5は、上壁、前壁、後壁、左壁、及び下壁により囲まれており、収容空間5の右側は保持部4内に連通しているとともに、上壁の右端に、挿入孔3が開口している。
【0013】
また、収容空間5内には、接続バネ15と抜け止めバネ16と両バネを接続する接続部22とを有する速結端子用金具6が設置されている。速結端子用金具6は、保持具10によって保持されている。接続バネ15は、正面視略N字状に湾曲形成されていて、右側へと膨出する部分は、収容空間5と保持部4との連通箇所近傍に位置している。接続部22は、接続バネ15の左側の一端から上壁の方向へ左壁に沿うように位置している。抜け止めバネ16は、接続部22の上壁側の一端から、保持部4に向かって傾倒している板状に成形されている。また、17は、抜け止めバネ16の先端に設けられた突片である。
【0014】
さらに、収容空間5には、電線21を抜き取る際に操作する電線解除レバー7が設けられている。電線解除レバー7は、支点孔18が形成されていて、支点孔18を貫通して前ケース2aを止める前後方向のねじ(図示略)によって位置が決められる。また、電線解除レバー7は、速結端子用金具6の手前側において、支点孔18を貫通するねじを中心として回動可能となっている。そして、電線解除レバー7の操作部9は、本体ケース2の上面に突出している。さらに、電線解除レバー7の先端には、抜け止めバネ16の先端に設けられた突片17の上方に突出する解除突起19が形成されている。
【0015】
また、本体ケース2の左側面には、ロックレバー8が設けられている。該ロックレバー8は、先端が保持部4を超えて本体ケース2の右側面まで突出するロック位置と、先端が保持部4よりも左側へ引き込まれる解除位置との間を左右方向へスライド自在である。
【0016】
以上の如く構成された速結端子ユニット1において、配電盤内部の銅バー20への取り付け、及び、電線21の接続手順について説明する。
まず、ロックレバー8を解除位置とした状態で銅バー20を保持部4で挟み込み、保持部4に挟み込まれた銅バー20が本体ケース2を前後に貫通するような格好で、速結端子ユニット1を銅バー20に取り付ける。次に、図6,7に示すように、ロックレバー8をロック位置へと操作する。このようにして速結端子ユニット1を銅バー20に固定すると、収容空間5の右側に銅バー20が露出する。そこで、電線21を挿入孔3から収容空間5へ挿入すると、図8,9に示すように、電線21が速結端子用金具6によって銅バー20へ直接押し付けられ、電線21と銅バー20とが電気的に接続される。
【0017】
次に、速結端子ユニット1から、電線21を外す手順を示す。
まず、電線解除レバー7の操作部9を左側から右側へ動かすことで、図10に二点鎖線で示すように、電線解除レバー7が支点孔18を貫通するねじを中心に正面視半時計方向に回転し、それに伴って解除突起19が下側へと移動する。解除突起19が下側へと移動することで、抜け止めバネ16先端の突片17を押し下げて、抜け止めバネ16の先端部及び突片17が接続バネ15方向へと傾倒する。そして、最終的に抜け止めバネ16の先端部及び突片17の電線21への食い込みが解除されて、電線21を取り外すことが可能となる。
【0018】
上述したような構成を有する速結端子ユニット1によれば、本体ケース2に、銅バー20を挟み込んで保持する保持部4と、保持部4で保持されている銅バー20の表面に平行な方向へ電線21を挿入可能な挿入孔3とが設けられている一方、本体ケース2の内部に、挿入孔3を介して電線21が挿入されるとともに、保持部4で保持されている銅バー20が露出する収容空間5が設けられ、収容空間5に、挿入された電線21を銅バー20に押しつける速結端子用金具6が設置されている。よって、電線21が挿入孔3を介して収容空間5へ挿入されると、速結端子用金具6によって電線21が銅バー20へ押し付けられ、電線21と銅バー20とが直接接触して電気的に接続される。そのため、速結端子ユニット1内部に、電線21と銅バー20とを介する導電部を別途設ける必要がない。したがって、速結端子ユニット1の部品点数の削減、及び、速結端子ユニット1の小型化が可能となる。
【0019】
また、速結端子ユニット1の銅バー20への取り付けと、電線21の挿入孔3への挿入と、の手順のみで容易に銅バー20と電線21とを接続することができる。
さらに、速結端子用金具6を押圧して、速結端子用金具6による電線21の保持を解除可能とした電線解除レバー7が設けられているため、電線解除レバー7の操作によって、容易に電線21を速結端子ユニット1から取り外すことができる。
【0020】
なお、本発明に係る速結端子ユニットは、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、挿入孔及び保持部の位置などの本体ケースの構成、速結端子用金具の構成等について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0021】
例えば、上記実施形態では、速結端子ユニットの本体ケースにおいて、挿入孔は上面に、保持部は底面から切り込まれて形成されているが、銅バーに対して平行な方向へ電線を挿入可能な構造であればよいため、挿入孔を上面だけではなく前面、背面などに開口したり、保持部を上面から切り込んだ形に形成したりしても、同様の効果を狙うことができる。
【符号の説明】
【0022】
1・・速結端子ユニット、2・・本体ケース、2a・・前ケース、2b・・後ケース、3・・挿入孔、4・・保持部、5・・収容空間、6・・速結端子用金具、7・・電線解除レバー、8・・ロックレバー、9・・操作部、10・・保持具、15・・接続バネ、16・・抜け止めバネ、17・・突片、18・・支点孔、19・・解除突起、20・・銅バー(帯状の導電部材)、21・・電線、22・・接続部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10