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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086208
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/12 20200101AFI20240620BHJP
【FI】
B60W30/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201227
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小河原 充史
(72)【発明者】
【氏名】能勢 翼
(72)【発明者】
【氏名】中河原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】坂井 清孝
(72)【発明者】
【氏名】前田 拡
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA12
3D241BA51
3D241BB27
3D241CA12
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE05
3D241DA05Z
3D241DA39Z
3D241DB02Z
3D241DB12Z
3D241DB14Z
3D241DB16Z
3D241DC43Z
(57)【要約】
【課題】鞍乗り型車両が曲線路を走行する際に、鞍乗り型車両のライダーに違和感を与えることを抑制して操舵アシストを行う。
【解決手段】運転支援装置は、前記鞍乗り型車両の周囲状況を認識する周囲状況認識部(21)と、前記鞍乗り型車両の走行状態を認識する走行状態認識部(22)と、前記周囲状況から前記鞍乗り型車両が曲線路を走行していることが認識されるときに、前記走行状態に基づく前記鞍乗り型車両の予測走行軌跡が、前記周囲状況から認識される前記鞍乗り型車両の自車線から逸脱するか否かを判断し、前記予測走行軌跡が前記自車線から逸脱する場合は、前記自車線内の前記鞍乗り型車両の進行方向に前記曲線路の曲率に応じた目標通過点を設定し、前記目標通過点に基づき前記鞍乗り型車両に備えられた操舵装置(42)を作動させる操舵アシスト制御を実行する制御部(23)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗り型車両(1)の操舵をアシストする運転支援装置であって、
前記鞍乗り型車両の周囲状況を認識する周囲状況認識部(21)と、
前記鞍乗り型車両の走行状態を認識する走行状態認識部(22)と、
前記周囲状況から前記鞍乗り型車両が曲線路を走行していることが認識されるときに、前記走行状態に基づく前記鞍乗り型車両の予測走行軌跡が、前記周囲状況から認識される前記鞍乗り型車両の自車線から逸脱するか否かを判断し、前記予測走行軌跡が前記自車線から逸脱する場合は、前記自車線内の前記鞍乗り型車両の進行方向に前記曲線路の曲率に応じた目標通過点を設定し、前記目標通過点に基づき前記鞍乗り型車両に備えられた操舵装置(42)を作動させる操舵アシスト制御を実行する制御部(23)と、
を備える運転支援装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記目標通過点を、前記曲線路の曲率が大きいほど、前記自車線の車線幅方向における前記鞍乗り型車両の旋回中心からの距離が短くなる位置に設定する
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記目標通過点を、前記曲線路の曲率が小さいほど、前記自車線の車線幅方向における前記鞍乗り型車両の旋回中心からの距離が長くなる位置に設定する
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記操舵アシスト制御を実行しているときに、前記走行状態から認識される前記鞍乗り型車両の対地平面上のヨーレートが目標ヨーレートに収束した場合に、前記操舵アシスト制御を終了する
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記操舵アシスト制御を実行しているときに、前記走行状態から認識される前記鞍乗り型車両のロール角が所定角以上となるときには、前記鞍乗り型車両に備えられた制動装置を作動させる
請求項1から請求項3のうちいいずれか1項に記載の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗り型車両の運転支援装置においては、カメラの撮影画像から認識した走行車線内を車両が走行するように、鞍乗り型車両の操舵装置を作動させる制御が行われている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、鞍乗り型車両がカーブ(曲線路)を走行する際に、カーブ進入前、カーブ走行中、及びカーブを抜けた後の各時点において操舵装置を作動させることにより、鞍乗り型車両が車線のアウト側→センター側→アウト側の走行軌跡を走行させる制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/20266号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の運転支援装置では、鞍乗り型車両が曲線路を走行する際に、複数回にわたって操舵制御が切り替わるため、鞍乗り型車両のライダーにとって違和感がある。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、鞍乗り型車両が曲線路を走行する際に、鞍乗り型車両のライダーに違和感を与えることを抑制して操舵アシストを行うことができる運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための態様として、鞍乗り型車両(1)の操舵をアシストする運転支援装置であって、前記鞍乗り型車両の周囲状況を認識する周囲状況認識部(21)と、前記鞍乗り型車両の走行状態を認識する走行状態認識部(22)と、前記周囲状況から前記鞍乗り型車両が曲線路を走行していることが認識されるときに、前記走行状態に基づく前記鞍乗り型車両の予測走行軌跡が、前記周囲状況から認識される前記鞍乗り型車両の自車線から逸脱するか否かを判断し、前記予測走行軌跡が前記自車線から逸脱する場合は、前記自車線内の前記鞍乗り型車両の進行方向に前記曲線路の曲率に応じた目標通過点を設定し、前記目標通過点に基づき前記鞍乗り型車両に備えられた操舵装置(42)を作動させる操舵アシスト制御を実行する制御部(23)と、を備える運転支援装置が挙げられる。
【発明の効果】
【0006】
上記運転支援装置によれば、鞍乗り型車両が曲線路を走行する際に、鞍乗り型車両のライダーに違和感を与えることを抑制して操舵アシストを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、運転支援装置及び運転支援装置が備えられた鞍乗り型車両の構成図である。
図2図2は、運転支援装置による操舵アシスト制御のフローチャートである。
図3図3は、自車線に対する鞍乗り型車両の走行軌跡の認識態様の説明図である。
図4図4は、鞍乗り型車両の旋回半径の算出処理の説明図である。
図5図5は、目標通過点の設定態様の説明図である。
図6図6は、鞍乗り型車両のロール角の算出処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1.運転支援装置の構成]
図1を参照して、本開示の運転支援装置の構成について説明する。本開示の運転支援装置は、車両1に備えられて車両1の全体的な作動を制御する車両制御装置10の機能の一部として構成される。車両1は、ライダーが車体を跨いで乗車する鞍乗り型車両であり、自動二輪車の他、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪(前一輪かつ後二輪、或いは前二輪かつ後一輪)、又は四輪の車両も含まれる。
【0009】
車両1には、後述する操舵アシスト制御等の運転支援機能のオン/オフを設定するための運転支援スイッチ51、アクセル操作部(アクセルグリップ等)によるスロットルの操作レベルを検出するスロットルセンサ52、ブレーキ操作部(ブレーキレバー、ブレーキペダル等)によるブレーキの操作レベルを検出するブレーキセンサ53、車両1の走行速度を検出する速度センサ54、IMU(Inertial Measurement Unit)センサ55、及び車両1の周囲を撮影する周囲カメラ56が備えられている。IMUセンサ55は、直交する3軸のジャイロセンサと加速度センサにより、車両1の角速度と加速度を検出する。
【0010】
車両制御装置10には、運転支援スイッチ51の操作信号と、スロットルセンサ52、ブレーキセンサ53、速度センサ54、及びIMUセンサ55の検出信号と、周囲カメラ56による撮影画像とが入力される。
【0011】
さらに、車両1には、駆動装置40、制動装置41、及び操舵装置42が備えられている。駆動装置40、制動装置41、及び操舵装置42は、車両制御装置10から出力される制御信号TR_c、BK_c、ST_cによって、それぞれ作動が制御される。
【0012】
車両制御装置10は、プロセッサ20、メモリ30等を備えた制御ユニットであり、メモリ30には、車両制御装置10の制御用のプログラム31が保存されている。プロセッサ20は、プログラム31を読み込んで実行することにより、周囲状況認識部21、走行状態認識部22、及び制御部23として機能する。
【0013】
周囲状況認識部21は、周囲カメラ56による撮影画像に基づいて、車両1の周囲状況として、車両1が走行している車線(自車線)を認識する。周囲状況認識部21は、車両1に対する自車線の位置(左側境界線及び右側境界線の位置)を認識する。走行状態認識部22は、速度センサ54、及びIMUセンサ55による検出信号に基づいて、車両1の走行状態を認識する。制御部23は、運転支援スイッチ51のオン操作により運転支援モードに設定されているときに、周囲状況認識部21により認識されている自車線から、車両1が逸脱することを回避するために、操舵装置42を作動させる操舵アシスト制御を実行する。
【0014】
[2.操舵アシスト制御]
図2に示したフローチャートに従って、図3図6を参照しつつ、車両1が曲線路(カーブ)を走行している際に、車両制御装置10により実行される操舵アシスト制御について説明する。
【0015】
図2のステップS1で、周囲状況認識部21は、周囲カメラ56の撮影画像から、車両1が走行している自車線の境界線を認識する。ここで、図3は、周囲状況認識部21による自車線の左側境界線SLと右側境界線SRの認識状況を、自車線の車線幅方向をY、車両1の進行方向をXとして示している。
【0016】
続くステップS2で、走行状態認識部22は、速度センサ54の検出信号に基づいて車両1の速度を認識し、IMUセンサ55の検出信号に基づいて車両1のヨーレート、ピッチレート、及びロール角を認識する。次のステップS3で、制御部23は、以下の式(1)、式(2)により車両1の旋回半径を算出する。
【数1】
但し、ω:車両1の対地平面上でのヨーレート(deg/s)、ωy:車両1のピッチレート(deg/s)、ωz:車両1のヨーレート(deg/s)、φ:車両1のロール角(deg)。
【数2】
但し、R:車両1の旋回半径、V:車両1の速度、ω:車両1の対地平面上でのヨーレート。
【0017】
続くステップS4で、制御部23は、図3に示したように、旋回半径Rに応じた車両1の予測走行軌跡DTを算出する。次のステップS5で、制御部23は、予測走行軌跡DTが自車線から逸脱するか否かを判断する。具体的には、制御部23は、自車線の進行方向の複数の通過ラインL1-R1、L2-R2、…、L5-R5における予測走行軌跡DTの通過点P1、P2、…、P5が、左側境界線SLの左側又は右側境界線SRの右側(自車線の外側)に位置しているか否かを確認して、予測走行軌跡DTが自車線から逸脱するか否かを判断する。
【0018】
図4は、車両1の進行方向にX離れた通過点Pの車線幅方向における車両1からの距離Y_tgを算出する方法を示している。図4において、CCは車両1の旋回中心であり、Rは旋回半径である。図4に示した関係により、Y_tgは、以下の式(3)により算出することができる。
【数3】
但し、Y_tg:車両1から通過点Pまでの車線幅方向の距離。R:車両1の旋回半径、X:車両1から通過点Pまでの車両1の進行方向の距離。
車両1の左横方向を+とし、車両1の右横方向を-とすると、自車両1が左旋回を行っているときは自車両1の位置+Y_tgが通過点Pの車線幅方向の位置となり、自車両1が右旋回を行っているときは自車両1の位置-Y_tgが通過点Pの車幅方向の位置となる。
【0019】
制御部23は、通過点Pの車幅方向の位置が、右側境界線SRの対応する点の右側であるとき、又は左側境界線SLの左側であるときに、通過点Pが自車線から逸脱すると判定する。図3の例では、例えば通過点P5については、P5のY方向位置がR5の右側であるとき(P5のY座標値がR5のY座標値よりも小さいとき)、又はL5の左側であるとき(P5のY座標値がL5のY座標値よりも大きいとき)に、制御部23は、通過点P5が自車線から逸脱すると判定する。
【0020】
制御部23は、いずれかの通過点が自車線を逸脱すると判定したときに、車両1の予測走行軌跡DTが自車線を逸脱すると判断して、ステップS5からステップS6に処理を進める。一方、全ての通過点が自車線内にあると判定したときには、制御部23は、車両1の予測走行軌跡が自車線を逸脱しないと判断して、ステップS5からステップS1に処理を進める。
【0021】
ステップS6で、制御部23は、車両1の予測走行軌跡が自車線内となる目標旋回半径と、目標ヨーレートを算出する。図5は、車両1の予測走行軌跡DTが路外逸脱点DPで、自車線から逸脱する状況を例示している。この場合、制御部23は、車両1から最も離れたL5-R5のライン上に目標通過点TPを設定する。制御部23は、通常は、LR-R5のライン上のLRとR5の中間点を目標通過点TPに設定するが、周囲状況認識部21により認識される自車線の曲率等の状況に応じて、以下の第1パターンから第4パターンに応じて、目標通過点の位置を設定する。
【0022】
第1パターン:自車線が右カーブで旋回半径Rが小さい(曲率が大きい)場合(きついコーナー、例えばR300m以下である場合)。
この場合は、目標通過点TPを右側境界線SRに寄せる。例えば、目標通過点TPのY方向位置Y_TPを、以下の式(4)により算出して設定する。
【数4】
但し、Y_TP:目標通過点TPのY方向位置(Y座標位置)、Y_L5:L5のY方向位置(Y座標位置)、T_R5:R5のY方向位置(Y座標位置)、0.25:調整係数。調整係数を0.5にするとY_TPはY_L5とY_R5の中間になり、調整係数を0.5より大きくするとY_TPがY_L5寄りになる。
【0023】
第2パターン:自車線が左カーブで旋回半径Rが小さい(曲率が大きい)場合。
この場合は、上記式(4)の調整係数を0.75に設定して、目標通過点TPを左側境界線SLに寄せる。
第3パターン:自車線が直線で車両1が左側境界線SLに寄っている場合。
この場合は、上記式(4)の調整係数を0.75に設定して、目標通過点TPを右側境界線SRに寄せる。
第4パターン:自車線が直線で、車両1が右側境界線SRに寄っている場合。
この場合は、上記式(4)の調整係数を0.25に設定して、目標通過点TPを左側境界線SLに寄せる。
【0024】
また、上記式(4)における調整係数は自車線の曲率や直線の状態に応じてリニアに変化させてもよい。調整係数を変化させることにより、路外逸脱を抑制するための操舵制御の介入の強弱を変更することが可能となる。例えば、自車線の曲率(曲線路の曲率)が大きいほど、目標通過点TPを旋回中心側の境界線との距離が短くなる位置に設定することで、車両1を大きく操舵するアシストをすることができる。また、自車線の曲率が小さいほど、目標通過点TPを旋回中心側の境界線との距離が長くなる位置に設定することで、車両1の操舵が過剰になることを抑制して操舵をアシストすることができる。また、Y方向の距離が車両1から近い地点を目標通過点に設定することで、操舵アシスト制御の介入を減らすことが可能となる。
【0025】
制御部23は、設定した目標通過点TPから、目標旋回半径R_tgを算出する。図4に示した目標通過点TPと車両1の旋回半径Rの関係から、以下の式(5)が成り立つ。
【数5】
但し、R_tg:目標旋回半径、X:車両1の進行方向における車両1と目標通過点TPの距離、Y_tg:自車線の車線幅方向における車両1と目標通過点TPの距離。
上記式(5)を変形した以下の式(6)により、目標旋回半径R_tgを算出することができる。
【数6】
【0026】
制御部23は、以下の式(7)により、目標ヨーレートω_tgを算出する。
【数7】
但し、ω_tg:目標ヨーレート、V:車両1の速度、R_tg:目標旋回半径。
【0027】
ステップS7で、制御部23は、車両1が目標旋回半径R_tgに沿った予測走行軌跡を目標ヨーレートω_tgで走行するように、操舵装置42に対する制御信号ST_cと、駆動装置40に対する制御信号TR_cを決定して、操舵装置42と駆動装置40に対してそれぞれ出力する。
【0028】
続くステップS8で、制御部23は、目標旋回半径R_tgで走行する際の車両1のロール角を、以下の式(8)により算出する。図6は、車両1がロールした状態を示しており、車両1の重心70について、鉛直方向をZとして、車両1のロール角φ、遠心加速度M、及び重力加速度gを示したものである。遠心加速度Mは、以下の式(8)により算出することができる。
【数8】
但し、M:遠心加速度、V:車両1の速度、R:車両1の旋回半径。
【0029】
車両1が安定してバンクをしている状態では、車体横方向の釣り合い式として、以下の式(9)の近似式が成り立つので、以下の式(10)によりロール角φを算出することができる。
【数9】
但し、φ:ロール角、g:重心加速度、M:遠心加速度。
【数10】
【0030】
次のステップS9で、制御部23は、ロール角φが所定角(例えば、20度)よりも大きく、速度超過により過大なバンク状態となるか否かを判断する。そして、制御部23は、過大なバンク状態となるときはステップS10に処理を進め、過大なバンク状態とならないときにはステップS1に処理を進める。
【0031】
ステップS10で、制御部23は、ロール角φが所定角以下となるように、制動装置41に対する制御信号BK_cを決定して制動装置41に対して出力し、車両1の減速制御を実施する。制御部23は、図2のフローチャートによる操舵アシスト制御を繰り返し実行し、車両1の対地平面状のヨーレートが目標ヨーレートω_tgに収束した場合に、操舵アシスト制御を終了する。
【0032】
図2のフローチャートによる操舵アシスト制御を実行することにより、車両1を、目標自車線内を旋回半径に沿って連続性をもって走行させることができる。そのため、車両1のライダーに対して、操舵制御が頻繁に切り替わることによる違和感を生じさせることを抑制することができる。
【0033】
[3.他の実施形態]
上記実施形態では、制御部23は、図2のステップS8~ステップS10で、車両1が過大なバンク状態となることを防止するために減速制御を実施したが、ステップS8~ステップS10による処理を省略した構成としてもよい。
【0034】
なお、図1は、本開示の発明の理解を容易にするために、運転支援装置の機能構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、運転支援装置の機能構成を、他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。また、図2に示した運転支援装置の各構成要素による処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0035】
[5.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成の具体例である。
【0036】
(構成1)鞍乗り型車両(1)の操舵をアシストする運転支援装置であって、前記鞍乗り型車両の周囲状況を認識する周囲状況認識部(21)と、前記鞍乗り型車両の走行状態を認識する走行状態認識部(22)と、前記周囲状況から前記鞍乗り型車両が曲線路を走行していることが認識されるときに、前記走行状態に基づく前記鞍乗り型車両の予測走行軌跡が、前記周囲状況から認識される前記鞍乗り型車両の自車線から逸脱するか否かを判断し、前記予測走行軌跡が前記自車線から逸脱する場合は、前記自車線内の前記鞍乗り型車両の進行方向に前記曲線路の曲率に応じた目標通過点を設定し、前記目標通過点に基づき前記鞍乗り型車両に備えられた操舵装置(42)を作動させる操舵アシスト制御を実行する制御部(23)と、を備える運転支援装置。
構成1の運転支援装置によれば、鞍乗り型車両が曲線路を走行する際に、鞍乗り型車両のライダーに違和感を与えることを抑制して操舵アシストを行うことができる。
【0037】
(構成2)前記制御部は、前記目標通過点を、前記曲線路の曲率が大きいほど、前記自車線の車線幅方向における前記鞍乗り型車両の旋回中心からの距離が短くなる位置に設定する、構成1に記載の運転支援装置。
構成2の運転支援装置によれば、曲線路の曲率が大きい(曲率がきつい)場合に、目標通過地点を車線幅方向で鞍乗り型車両の旋回中心に近づけることにより、鞍乗り型車両を大きく操舵することができる。
【0038】
(構成3)前記制御部は、前記目標通過点を、前記曲線路の曲率が小さいほど、前記自車線の車線幅方向における前記鞍乗り型車両の旋回中心からの距離が長くなる位置に設定する、構成1又は構成2に記載の運転支援装置。
構成3の運転支援装置によれば、曲線路の曲率が小さい(曲率が緩やか)な場合に、目標通過地点を車線幅方向で鞍乗り型車両の旋回中心から遠ざけることにより、鞍乗り型車両の操舵が過剰となることを防止して適切に操舵をアシストすることができる。
【0039】
(構成4)前記制御部は、前記操舵アシスト制御を実行しているときに、前記走行状態から認識される前記鞍乗り型車両の対地平面上のヨーレートが目標ヨーレートに収束した場合に、前記操舵アシスト制御を終了する、構成1から構成4のうちいずれか1つの構成に記載の運転支援装置。
構成4の運転支援装置によれば、操舵アシスト制御が繰り返し実行されることが抑制されるため、鞍乗り型車両のライダーにとって自然な操舵感をとなることが期待できる。
【0040】
(構成5)前記制御部は、前記操舵アシスト制御を実行しているときに、前記走行状態から認識される前記鞍乗り型車両のロール角が所定角以上となるときには、前記鞍乗り型車両に備えられた制動装置を作動させる、構成1から構成4のうちいずれか1つの構成に記載の運転支援装置。
構成5の運転支援装置によれば、制動装置の作動によって鞍乗り型車両を減速させることにより、鞍乗り型車両のロール角が所定角以上となって、鞍乗り型車両が過剰なバンク状態となることを防止することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…鞍乗り型車両、10…車両制御装置(運転支援装置)、20…プロセッサ、21…周囲状況認識部、22…走行状態認識部、23…制御部、30…メモリ、31…プログラム、40…駆動装置、41…制動装置、42…操舵装置、51…運転支援スイッチ、52…スロットルセンサ、53…ブレーキセンサ、54…速度センサ、55…IMUセンサ、56…周囲カメラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6