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特開2024-86209インプリント方法、半導体装置の製造方法、テンプレートの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086209
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】インプリント方法、半導体装置の製造方法、テンプレートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201228
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100121843
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 賢郎
(72)【発明者】
【氏名】岡部 かすみ
【テーマコード(参考)】
5F146
【Fターム(参考)】
5F146AA31
(57)【要約】
【課題】加工精度を向上させることが可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法では、基板上に被加工層を形成し、被加工層の上面にストッパ膜を形成し、ストッパ膜が形成された被加工層の上面に被転写材を塗布し、被転写材にテンプレートを接触させてテンプレートのパターンを被転写材に転写するとともに、被転写材を硬化させる。また、硬化した被転写材からテンプレートを離型し、硬化した被転写材上に反転剤層を形成し、反転剤層をマスクにして被加工層及び基板を加工する。
【選択図】図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物上に形成される被加工層上のショット領域に被転写材を塗布し、前記被転写材にテンプレートのパターンを転写するインプリント方法であって、
前記被加工物上に前記被加工層を形成し、
前記被加工層の上面において前記ショット領域の外周部分に対応する領域に、前記被加工層よりも高い加工耐性を有するストッパ膜を形成し、
前記ストッパ膜が形成された前記被加工層の上面における前記ショット領域に前記被転写材を塗布し、
前記被転写材に前記テンプレートを接触させて前記テンプレートの前記パターンを前記被転写材に転写するとともに、前記被転写材を硬化させ、
硬化した前記被転写材から前記テンプレートを離型し、
硬化した前記被転写材上に、硬化した前記被転写材の一部が露出するように反転剤層を形成し、
前記反転剤層をマスクにして前記被加工層及び前記被加工物を加工する
インプリント方法。
【請求項2】
被加工物上に形成される被加工層上のショット領域に被転写材を塗布し、前記被転写材にテンプレートのパターンを転写するインプリント方法であって、
前記被加工物の上面において前記ショット領域の外周部分の下方に位置する領域に、前記被加工層よりも高い加工耐性を有するストッパ膜を形成し、
前記ストッパ膜が形成された前記被加工物上に前記被加工層を形成し、
前記被加工層の上面における前記ショット領域に前記被転写材を塗布し、
前記被転写材に前記テンプレートを接触させて前記テンプレートの前記パターンを前記被転写材に転写するとともに、前記被転写材を硬化させ、
硬化した前記被転写材から前記テンプレートを離型し、
硬化した前記被転写材上に、硬化した前記被転写材の一部が露出するように反転剤層を形成し、
前記反転剤層をマスクにして前記被加工層及び前記被加工物を加工する
インプリント方法。
【請求項3】
被加工物上に形成される被加工層上のショット領域に被転写材を塗布し、前記被転写材にテンプレートのパターンを転写するインプリント方法であって、
前記被加工物上に第1被加工層を形成し、
前記第1被加工層の上面において前記ショット領域の外周部分の下方に位置する領域に、前記被加工層よりも高い加工耐性を有するストッパ膜を形成し、
前記ストッパ膜が形成された前記第1被加工層上に第2被加工層を形成して、前記第1被加工層及び前記第2被加工層により前記被加工層を形成し、
前記被加工層の上面における前記ショット領域に前記被転写材を塗布し、
前記被転写材に前記テンプレートを接触させて前記テンプレートの前記パターンを前記被転写材に転写するとともに、前記被転写材を硬化させ、
硬化した前記被転写材から前記テンプレートを離型し、
硬化した前記被転写材上に、硬化した前記被転写材の一部が露出するように反転剤層を形成し、
前記反転剤層をマスクにして前記被加工層及び前記被加工物を加工する
インプリント方法。
【請求項4】
前記ストッパ膜を形成する際に液浸リソグラフィを用いる
請求項1~3のいずれか一項に記載のインプリント方法。
【請求項5】
前記被加工物は配線層を含む
請求項1~3のいずれか一項に記載のインプリント方法。
【請求項6】
基板上に形成される被加工層上のショット領域に被転写材を塗布し、前記被転写材にテンプレートのパターンを転写するとともに、前記パターンが転写された前記被転写材に基づいて前記基板を加工する半導体装置の製造方法であって、
前記基板を被加工物として、請求項1~5のいずれか一項のインプリント方法を用いることにより前記基板を加工する
半導体基板の製造方法。
【請求項7】
レプリカテンプレート上に形成される被加工層上のショット領域に被転写材を塗布し、前記被転写材にマスターテンプレートのパターンを転写するとともに、前記パターンが転写された前記被転写材に基づいて前記レプリカテンプレートを加工するテンプレートの製造方法であって、
前記レプリカテンプレートを被加工物として、請求項1~5のいずれか一項のインプリント方法を用いることにより前記レプリカテンプレートを加工する
テンプレートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インプリント方法、半導体装置の製造方法、及びテンプレートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微細なパターンを形成する方法として、インプリント法が提案されている。インプリント法では、被加工膜上にレジストを塗布し、微細なパターンが形成されたテンプレートをレジストに押し付けて、テンプレートの凹部にレジストを充填させた後、紫外線を照射してレジストを硬化させる。テンプレートが離型されたレジストが、被加工膜を加工する際のマスクとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-34164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開示された実施形態によれば、加工精度を向上させることが可能なインプリント方法、半導体装置の製造方法、及びテンプレートの製造方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のインプリント方法は、被加工物上に形成される被加工層上のショット領域に被転写材を塗布し、被転写材にテンプレートのパターンを転写するインプリント方法である。このインプリント方法では、被加工物上に被加工層を形成し、被加工層の上面においてショット領域の外周部分に対応する領域に、被加工層よりも高い加工耐性を有するストッパ膜を形成し、ストッパ膜が形成された被加工層の上面におけるショット領域に被転写材を塗布し、被転写材にテンプレートを接触させてテンプレートのパターンを被転写材に転写するとともに、被転写材を硬化させ、硬化した被転写材からテンプレートを離型し、硬化した被転写材上に、硬化した被転写材の一部が露出するように反転剤層を形成し、反転剤層をマスクにして被加工層及び被加工物を加工する。
【0006】
他の実施形態のインプリント方法は、被加工物上に形成される被加工層上のショット領域に被転写材を塗布し、被転写材にテンプレートのパターンを転写するインプリント方法である。このインプリント方法では、被加工物の上面においてショット領域の外周部分の下方に位置する領域に、被加工層よりも高い加工耐性を有するストッパ膜を形成し、ストッパ膜が形成された被加工物上に被加工層を形成し、被加工層の上面におけるショット領域に被転写材を塗布し、被転写材にテンプレートを接触させてテンプレートのパターンを被転写材に転写するとともに、被転写材を硬化させ、硬化した被転写材からテンプレートを離型し、硬化した被転写材上に、硬化した被転写材の一部が露出するように反転剤層を形成し、反転剤層をマスクにして被加工層及び被加工物を加工する。
【0007】
他の実施形態のインプリント方法は、被加工物上に形成される被加工層上のショット領域に被転写材を塗布し、被転写材にテンプレートのパターンを転写するインプリント方法である。このインプリント方法では、被加工物上に第1被加工層を形成し、第1被加工層の上面においてショット領域の外周部分の下方に位置する領域に、被加工層よりも高い加工耐性を有するストッパ膜を形成し、ストッパ膜が形成された第1被加工層上に第2被加工層を形成して、第1被加工層及び第2被加工層により被加工層を形成し、被加工層の上面におけるショット領域に被転写材を塗布し、被転写材にテンプレートを接触させてテンプレートのパターンを被転写材に転写するとともに、被転写材を硬化させ、硬化した被転写材からテンプレートを離型し、硬化した被転写材上に、硬化した被転写材の一部が露出するように反転剤層を形成し、反転剤層をマスクにして被加工層及び被加工物を加工する。
【0008】
実施形態の半導体基板の製造方法は、基板上に形成される被加工層上のショット領域に被転写材を塗布し、被転写材にテンプレートのパターンを転写するとともに、パターンが転写された被転写材に基づいて基板を加工する半導体装置の製造方法である。この半導体装置の製造方法は、基板を被加工物として、上記のインプリント方法を用いることにより基板を加工する。
【0009】
実施形態のテンプレートの製造方法は、レプリカテンプレート上に形成される被加工層上のショット領域に被転写材を塗布し、被転写材にマスターテンプレートのパターンを転写するとともに、パターンが転写された被転写材に基づいてレプリカテンプレートを加工するテンプレートの製造方法である。このテンプレートの製造方法は、レプリカテンプレートを被加工物として、上記のインプリント方法を用いることによりレプリカテンプレートを加工する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の半導体装置の斜視構造を示す斜視図。
図2】第1実施形態の半導体装置のメモリセル領域及びコンタクト領域の斜視構造を示す斜視図。
図3】第1実施形態の積層配線構造体の断面構造を示す断面図。
図4】第1実施形態の積層配線構造体の製造工程の一部を示す断面図。
図5】第1実施形態の積層配線構造体の製造工程の一部を示す断面図。
図6】第1実施形態の積層配線構造体の製造工程の一部を示す断面図。
図7】第1実施形態の積層配線構造体の製造工程の一部を示す断面図。
図8】第1実施形態の積層配線構造体の製造工程の一部を示す断面図。
図9】第1実施形態の積層配線構造体の製造工程の一部を示す断面図。
図10】第1実施形態のインプリント装置の概略構成を模式的に示す図。
図11】(A)~(C)は、第1実施形態の基板の製造工程の一部を示す断面図。
図12】(A)~(C)は、第1実施形態の基板の製造工程の一部を示す断面図。
図13】(A)及び(B)は、第1実施形態の基板の製造工程の一部を示す断面図。
図14】(A)~(C)は、第1実施形態の基板の製造工程の一部を示す断面図。
図15】(A)及び(B)は、第1実施形態の基板の製造工程の一部を示す断面図。
図16】(A)及び(B)は、参考例の基板の製造工程の一部を示す断面図。
図17】(A)~(C)は、第2実施形態の基板の製造工程の一部を示す断面図。
図18】(A)~(C)は、第2実施形態の基板の製造工程の一部を示す断面図。
図19】(A)及び(B)は、第2実施形態の基板の製造工程の一部を示す断面図。
図20】(A)~(D)は、第3実施形態の基板の製造工程の一部を示す断面図。
図21】(A)~(C)は、第3実施形態の基板の製造工程の一部を示す断面図。
図22】他の実施形態の基板の製造工程の一部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
1 第1実施形態
第1実施形態のインプリント方法及び半導体装置の製造方法について説明する。本実施形態の製造方法が適用される半導体装置は、NAND型フラッシュメモリとして構成された不揮発性の記憶装置である。
【0012】
1.1 半導体装置の構成
本実施形態の半導体装置の全体構成について、図1を参照説明する。図1は本実施形態の半導体装置10の各要素の配置を示した斜視図である。
図1に示されるように、半導体装置10は半導体基板11上に形成されている。半導体基板11上にはメモリセル領域MCR及びコンタクト領域HURが区画されている。メモリセル領域MCRにはメモリセルアレイ16が形成されている。メモリセルアレイ16には、3次元に積層された複数のメモリセルが含まれている。具体的には、半導体基板11の表面に対して垂直方向にソース側セレクトゲートトランジスタ、多数(例えば64個)のメモリセルトランジスタ、及びドレイン側セレクトゲートトランジスタが直列に接続されてメモリストリングを構成している。なお、直列に接続された多数のメモリセルトランジスタの両端、又は多数のメモリセルトランジスタ間のうちの一部の間に、ダミーセルトランジスタを含んでも良い。メモリセルアレイ16は、各トランジスタに接続されたソース側セレクトゲート線、ワード線、及びドレイン側セレクトゲート線となる複数の導電層が、それぞれ絶縁層を介して積層された積層体を含む。複数の導電層がコンタクト領域HURに延在することにより積層配線構造体17が形成されている。メモリセルアレイ16上には、図示しないビット線が設けられ、周辺回路18に接続されている。積層配線構造体17上には、図示しない配線が設けられ、周辺回路18に接続されている。
【0013】
半導体基板11上には更に周辺回路領域PERが区画されている。周辺回路領域PERには周辺回路18が形成されている。周辺回路18は多数のCMOSトランジスタを有する。周辺回路18は、メモリセルに接続された各ワード線を駆動する駆動回路、各ワード線を選択するデコーダ回路、読み出し時にビット線の電位をセンスするセンスアンプ、及び書き込み時にビット線に電圧を供給するビット線電位制御回路を含むカラム系回路等を有する。なお、図1では周辺回路領域PERの配線が省略されている。半導体基板11は、チップ外部と信号のやりとりや電源の供給を行うためのパッド列19を更に有している。
【0014】
1.2 メモリセル領域MCR及びコンタクト領域HURの構成
図2は、本実施形態の半導体装置10のメモリセル領域MCRとコンタクト領域HURの構成を示す斜視図である。なお、図2では、導電性を有する部材が示される一方、絶縁性を有する部材が省略されている。図2において部材として示されていない部分は二酸化シリコン等の絶縁材料により絶縁されている。
【0015】
図2に示されるように、メモリセル領域MCRでは、半導体基板11上にメモリセルアレイ16が形成されている。半導体基板11は例えばシリコン単結晶により形成されている。メモリセルアレイ16は、導電層71~74を有している。導電層71~74は半導体基板11の表面に対して略平行に延びるように形成されている。なお、以下では、導電層71~74をまとめて「導電層70」とも称する。
【0016】
メモリセルアレイ16は、複数の導電層70がそれぞれ絶縁層を介して積層された積層体を有している。図2では、導電層が4層の場合が例示されているが、導電層は33層や65層というようにさらに多数の層が積層されて構成されていてもよい。これら導電層はトランジスタに接続されたソース側セレクトゲート線、ワード線、又はドレイン側セレクトゲート線として機能する。
【0017】
メモリセル領域MCRには、複数の導電層と複数の絶縁層とを貫通するようにメモリピラー40が形成されている。メモリピラー40は円筒状であり、外周側から中心側に向かって、二酸化シリコン膜を含むブロック絶縁膜、窒化シリコン膜を含む電荷蓄積膜、二酸化シリコン膜を含むトンネル絶縁膜、アモルファス又は多結晶シリコン膜を含む半導体チャネル、及び二酸化シリコン膜が積層されることにより構成されている。セレクトゲート線、又はワード線に対応する導電層71~74と半導体チャネルとの間に位置する電荷蓄積膜の一部は、キャリアをトラップする不揮発性のメモリセルの一部として機能する。
【0018】
コンタクト領域HURでは、半導体基板11上に積層配線構造体17が形成されている。コンタクト領域HURにも、メモリセル領域MCRから延びるように複数の絶縁層と複数の導電層とが形成されている。積層配線構造体17は導電層71~74を有している。導電層71~74は、半導体基板11の表面に対して略平行に伸びるように形成されている。積層配線構造体17は、複数の導電層70がそれぞれ絶縁層を介して積層された積層体を有している。図2では、導電層が4層の場合が例示されているが、導電層は33層や65層というようにさらに多数の層が積層されて構成されていてもよい。これら複数の導電層70はコンタクト領域HURにおいては、ソース側セレクトゲート線、ワード線、又はドレイン側セレクトゲート線から引き出された配線に対応する。
【0019】
コンタクト領域HURにおいて、セレクトゲート線、又はワード線から引き出された配線に対応する導電層71~74は、対応するコンタクトプラグ51~54にそれぞれ接続される。なお、以下では、コンタクトプラグ51~54をまとめて「コンタクトプラグ50」とも称する。また、図2では、コンタクトプラグ50が4本の場合が例示されているが、コンタクトプラグ50は例えば複数の導電層と同じ数だけ配置されていてもよい。各コンタクトプラグ50は、複数の絶縁層と複数の導電層とを貫通するコンタクトホールを介して積層配線構造体17の上に引き出されている。
【0020】
1.3 積層配線構造体の構成
図3は、積層配線構造体17の構成を示す断面図である。図3に示されるように、積層配線構造体17は、半導体基板11上に絶縁層31~37と導電層71~76とが交互に積層された構造を有している。なお、以下では、導電層71~76をまとめて「導電層70」とも称し、絶縁層31~37をまとめて「絶縁層30」とも称する。
【0021】
複数の導電層70と複数の絶縁層30とはそれぞれ1層ずつ交互に、半導体基板11の主面に対して垂直な方向(積層方向)に周期的に積層されている。半導体基板11と最下層の導電層71との間にも絶縁層31が形成されている。最上層の導電層76の上にも絶縁層37が形成されている。絶縁層37は絶縁層31~36よりも積層方向に厚くてもよい。
【0022】
各々の導電層70は単層である。つまり、1層の導電層70について断面形状を観察した場合、導電層70の膜厚方向に、すなわち図中に矢印Zで示される方向に単一の材料が連続していてもよい。また、1層の導電層70内部に界面は存在しなくてもよい。または、導電層70はバリアメタル層と金属層との2層により形成されていてもよい。導電層70の材料は例えばタングステンであってもよい。バリアメタル層は、例えば、窒化チタン(TiN)又は窒化タンタル(TaN)であってもよい。積層方向に隣接する導電層70は互いに絶縁されていればよく、絶縁層30の材料は例えば二酸化シリコン(SiO)、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)等の酸化シリコンであってもよい。絶縁層30は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置を用いて堆積される。
【0023】
導電層71~76は、それぞれ対応するコンタクトプラグ51~56に接続される。以下では、コンタクトプラグ51~56をまとめて「コンタクトプラグ50」とも称する。
各コンタクトプラグ50は、対応する導電層70の上に配置される絶縁層30と導電層70を貫通するコンタクトホールCH1~CH6を介して積層配線構造体17の上に引き出されている。
【0024】
具体的には、積層配線構造体17には、絶縁層32~37及び導電層72~76を貫通するようにコンタクトホールCH1が形成されている。コンタクトプラグ51はコンタクトホールCH1を介して導電層71と接続されている。また、積層配線構造体17には、絶縁層33~37及び導電層73~76を貫通するようにコンタクトホールCH2が形成されている。コンタクトプラグ52はコンタクトホールCH2を介して導電層72と接続されている。同様に、積層配線構造体17には、コンタクトホールCH3~CH6が形成されるとともに、これらのコンタクトホールCH3~CH6を介してコンタクトプラグ53~56が導電層73~76にそれぞれ接続されている。なお、以下では、コンタクトホールCH1~CH6をまとめて「コンタクトホールCH」とも称する。各コンタクトホールCH及び各コンタクトプラグ50はそれぞれ、積層配線構造体17の上面からの深さが異なる。コンタクトプラグ50はいずれも円柱形であるが、コンタクトプラグ50の形状は特に限定しない。コンタクトプラグ50の材料は例えばタングステン等の金属であってもよい。
【0025】
各コンタクトプラグ50は、絶縁膜60によってコンタクトホールCHが貫通する上層の導電層70と絶縁されている。コンタクトホールCHの少なくとも一部の内側面には絶縁膜60が円筒状に形成されている。したがって、コンタクトプラグ50の少なくとも一部の外側面は絶縁膜60で覆われている。絶縁膜60の材料は例えば二酸化シリコン(SiO)、TEOS等の酸化シリコンであってもよい。
【0026】
1.4 積層配線構造体の製造方法
次に、本実施形態の積層配線構造体17の製造方法について説明する。
図3に示されるような積層配線構造体17を製造する際には、まず、図4に示されるような積層体12を形成する。図4に示される積層体12は、半導体基板11上に絶縁層31~37及び犠牲層21~26を順に成膜することにより形成されている。なお、以下では、犠牲層21~26をまとめて「犠牲層20」とも称する。絶縁層30は例えばTEOS膜であり、犠牲層20は例えばSiN膜である。犠牲層20及び絶縁層30は、例えばCVD装置を用いて積層される。交互に積層された絶縁層30と犠牲層20とは互いに接するように形成される。本実施形態において絶縁層30の材料はTEOS膜を例示したが、絶縁層30の材料はこれに限定されず、例えば二酸化シリコン(SiO)であってもよい。犠牲層20の材料は窒化シリコン膜(SiN)を例示したが、犠牲層20の材料はこれに限定されず、例えばシリコンであってもよい。
【0027】
続いて、図5に示されるように、積層体12にコンタクトホールCH1~CH6を形成する。この工程は、例えばナノインプリント処理により行われる。以下では、コンタクトホールCH1~CH6をまとめて「コンタクトホールCH」とも称する。
続いて、図6に示されるように、積層体12の上面、コンタクトホールCHの内側面及び底部に絶縁膜60を形成する。絶縁膜60は例えば酸化シリコンであってもよく、CVD装置を用いて堆積される。
【0028】
続いて、図7に示されるように、コンタクトホールCHの内側に絶縁体90を形成する。絶縁体90は例えばアモルファスシリコンであってもよく、CVD装置を用いて堆積されてもよい。
続いて、図8に示されるように、犠牲層20が配置される領域に導電層70を形成する。例えば積層体12の所定領域に図示しないスリットを掘り下げ、そのスリットより、積層体12に含まれる犠牲層20を一括して除去する。その結果、犠牲層20が存在していた部分に空洞が生じる。その空洞にタングステン等の金属を埋め込むことによって、導電層70が形成される。
【0029】
続いて、図9に示されるように、コンタクトホールCHの内側の絶縁体90と、積層体12の上面及びコンタクトホールCHの底部の絶縁膜60と、それぞれのコンタクトホールCHの下方に接続される絶縁層30とを例えばRIEのような異方性エッチングによって除去する。エッチングは、例えば絶縁体90に関してはHBr系ガス、絶縁膜60に関してはCF系ガス及び酸素系ガスを用いたRIEであってもよい。絶縁体90の下に位置する絶縁膜60及び絶縁層30を除去することで、コンタクトホールCHの内側面には絶縁膜60が残る。
【0030】
続いて、コンタクトホールCHに例えばタングステン等の金属を埋め込むことで、図3に示すコンタクトプラグ50が形成される。本実施形態では、コンタクトプラグ50及び導電層70等が配線層WLに相当する。
1.5 インプリント装置の構成
次に、図4に示される積層体12に対して、図5に示されるようなコンタクトホールCHを形成する際に用いられるナノインプリント処理について具体的に説明する。このナノインプリント処理では、図10に示されるようなインプリント装置80が用いられる。なお、以下では、図4に示される積層体12を「基板120」と称する。本実施形態では、基板120が被加工物に相当する。
【0031】
図10は、第1実施形態のインプリント装置80の構成例を示す図である。図10に示されるように、インプリント装置80は、テンプレートステージ81、ウェハステージ82、基準マーク85、アライメントセンサ86、液滴下装置87、ステージベース88、光源89、及び制御部140を備えている。インプリント装置80には、基板120上の有機系薬液に微細パターンを転写して、レジストパターンを形成するテンプレート130がインストールされている。なお、有機系薬液は、例えば光が照射されると硬化する光硬化性の薬液であり、硬化前のレジスト材を示す。本実施形態では、有機系薬液が硬化されたものをレジストと呼び、硬化前の有機系薬液とは区別することがある。
【0032】
基板ステージとしてのウェハステージ82は、ウェハチャック84、及び本体83を備えている。ウェハチャック84は、半導体基板としての基板120を本体83上の所定位置に固定する。ウェハステージ82上には、基準マーク85が設けられている。基準マーク85は、基板120をウェハステージ82上にロードする際の位置合わせに用いられる。
【0033】
ウェハステージ82は、基板120を載置するとともに、載置された基板120と平行な平面内(水平面内)を移動する。ウェハステージ82は、基板120に有機系薬液を滴下する際に基板120を液滴下装置87の下方側に移動させ、基板120への転写処理を行う際に基板120をテンプレート130の下方側に移動させる。
【0034】
ステージベース88は、テンプレートステージ81によってテンプレート130を支持するとともに、上下方向(鉛直方向)に移動することにより、テンプレート130の微細パターンを基板120上の有機系薬液に接触させる。
ステージベース88上には、アライメントセンサ86が設けられている。アライメントセンサ86は、基板120及びテンプレート130に設けられた位置合わせマークに基づき、基板120の位置検出やテンプレート130の位置検出を行う。
【0035】
液滴下装置87は、インクジェット方式によって基板120上に有機系薬液を滴下する装置である。液滴下装置87が備えるインクジェットヘッドは、有機系薬液の液滴を噴出する複数の微細孔を有しており、有機系薬液の液滴を基板120上に滴下する。
光源89は、例えば紫外線を照射する装置であり、ステージベース88の上方に設けられている。光源89は、テンプレート130が有機系薬液に押し当てられた状態で、テンプレート130上から光を照射する。
【0036】
制御部140は、テンプレートステージ81、ウェハステージ82、基準マーク85、アライメントセンサ86、液滴下装置87、ステージベース88、及び光源89を制御する。
1.6 基板の加工方法
次に、図11図15を参照して、図10に示されるインプリント装置80を用いた基板120の加工方法について説明する。
【0037】
図11(A)に示されるように、基板120を加工する際には、まず、基板120上に第1被加工層150aを形成する。第1被加工層150aはSOC(Spin of Carbon)等の炭素膜である。次に、図11(B)に示されるように第1被加工層150a上に、スパッタリングや液浸リソグラフィ等によりストッパ膜151を成膜する。ストッパ膜151は、第1被加工層150aよりも高い加工耐性を有する材料、例えば窒化シリコン(SiN)やチタンナイトライド(TiN)、酸化チタン(TiO)等により形成されている。
【0038】
続いて、図11(C)に示されるようにストッパ膜151上にレジスト152を塗布した後、当該レジスト152にストッパ膜151のパターンを転写して現像する。これにより、図12(A)に示されるようなワークW10が形成される。なお、レジスト152にパターンを転写して現像する方法としては、例えばフォトリソグラフィを用いることができる。また、図11(C)に示される状態でレジスト152を電子ビーム等で削ることにより、図12(A)に示されるようなパターンをレジスト152に形成してもよい。
【0039】
続いて、図12(A)に示されるワークW10においてレジスト152をマスクにストッパ膜151に対してエッチング処理を施すことにより、図12(B)に示されるようなパターンを有するストッパ膜151を第1被加工層150a上に形成する。これにより、図12(B)に示されるようなワークW11が形成される。なお、エッチング処理が完了した際にレジスト152が残存している場合には、残存しているレジスト152を除去する処理を追加で行ってもよい。
【0040】
続いて、図12(B)に示されるワークW11上に、図12(C)に示されるように第2被加工層150bを形成する。これにより、図12(C)に示されるようなワークW12が形成される。第2被加工層150bは、第1被加工層150aと同一の材料からなる膜、例えばSOC(Spin of Carbon)等の炭素膜により形成されている。以下では、第1被加工層150a及び第2被加工層150bをまとめて被加工層150とも称する。
【0041】
続いて、図12(C)に示されるワークW12に対して、図10に示されるインプリント装置80を用いてインプリント処理を行う。具体的には、図10に示されるウェハステージ82にワークW12を載置した後、当該ウェハステージ82を液滴下装置87の下方に移動させる。そして、図13(A)に示されるように、液滴下装置87からワークW12の被加工層150上に有機系薬液153の液滴を滴下する。このとき、有機系薬液153の液滴は、被加工層150上に設定された所定のショット領域SA内に滴下される。本実施形態では、有機系薬液153が被転写材に相当する。
【0042】
続いて、図10に示されるウェハステージ82をテンプレート130の下方に移動させて、アライメントセンサ86で位置合わせを行いながら、テンプレート130を下方に移動させることにより、図13(B)に示されるようにテンプレート130の微細パターンを有機系薬液153に押し当てる。この際、有機系薬液153は、毛細管現象によりテンプレート130の微細パターンの凹部に充填されていく。テンプレート130の外縁部に重なる領域に配置された有機系薬液153は、その一部がテンプレート130の外側に押し出されて、毛細管現象によりテンプレート130の側壁に浸み出す。
【0043】
続いて、図13(B)に示されるように有機系薬液153にテンプレート130を押し付けた状態を維持したまま、図10に示されるインプリント装置80の光源89から有機系薬液153に光を照射する。これにより、有機系薬液153が硬化してレジストになることによりテンプレート130の微細パターンがレジストに転写される。その後、テンプレート130を上方に移動させることにより、レジストからテンプレート130を離型すると、図14(A)に示されるような、被加工層150上にレジスト154が設けられたワークW13が形成される。以下では、レジスト154のうち、テンプレート130の微細パターンが転写されている部分を「パターン形成部154a」と称し、テンプレート130の側壁部に浸み出した部分を「浸み出し部154b」と称する。本実施形態では、レジスト154が、硬化した被転写材に相当する。
【0044】
続いて、図14(A)に示されるワークW13上に反転剤層を形成した後、当該反転剤層をドライエッチングによりエッチバックすることにより反転剤層の一部を除去する。これにより、図14(B)に示されるようなワークW14が形成される。図14(B)に示されるように、このワークW14では、レジスト154のパターン形成部154aの上面が露出するように反転剤層155が形成されている。また、ワークW14では、レジスト154の浸み出し部154bの下方にあたる領域に、ストッパ膜151が配置されている。
【0045】
続いて、図14(B)に示されるワークW14に対して反転剤層155をマスクにエッチング処理を施す。これにより、反転剤層155から露出しているパターン形成部154a及び浸み出し部154bがエッチングされるとともに、それらの下方に位置する被加工層150の部分もエッチングされる。そのため、図14(C)に示されるようなワークW15が形成される。この際、浸み出し部154bの下方に位置する被加工層150の部分に関しては、第2被加工層150bの部分はエッチングされるものの、それ以上のエッチングがストッパ膜151により阻まれる。そのため、ストッパ膜151の下方に位置する第1被加工層150aの部分はエッチングされない。結果的に、図14(C)に示されるように、レジスト154のパターン形成部154aの下方に位置する第1被加工層150a及び第2被加工層150bのそれぞれの部分がエッチングされて、その部分において基板120の上面が露出することになる。これにより、図14(C)に示されるようなワークW15が形成される。
【0046】
続いて、図14(C)に示されるワークW15において基板120よりも上に配置されている層をマスクにワークW15を加工する。これにより、図15(A)に示されるように、基板120において露出している部分が削られて複数のホールHが基板120に形成される。図15(A)に示されるように、複数のホールは、図中の最も右に配置されるものから左に行くほど、ホールHの深さが深くなるように形成されている。このようなホールHは、例えばワークW15に対してフォトレジストを塗布した後、フォトレジストをマスクとしたエッチング処理及びフォトレジストのスリミング加工を繰り返すことで形成することができる。フォトレジストのスリミング加工では、基板120において各ホールHの上面に当たる部分を順次露出させる。これにより、今回のスリミング加工により露出した部分、及び前回までのスリミング加工により露出した部分に対してはエッチング処理が行われる一方、フォトレジストによりマスクされている部分に対してはエッチング処理が行われない。そのため、エッチング処理により削られる量を各ホールHで順次変化させることができるため、深さの異なる複数のホールHを基板120に形成することができる。図15(A)のような形状のホールHは、例えばコンタクト領域HURに形成される。これにより、図15(A)に示されるようなワークW16が形成される。なお、前述のスリミング等を行わずに、略同一の深さを有するホールHを形成してもよい。そのような略同一の深さを有するホールHは、例えばメモリセル領域MCRに形成される。
【0047】
その後、ウェットエッチング等により基板120よりも上の層を、換言すれば被加工層150、レジスト154、及び反転剤層155をワークW16からまとめて除去する。この際、被加工層150にストッパ膜151が含まれているため、被加工層150と共にストッパ膜151も除去される。
【0048】
以上により、図15(B)に示されるような加工が基板120に施されて、図5に示されるような積層体12が製造される。以降、図6図9に示される工程が順に行われることにより、図3に示される積層配線構造体17が製造される。
1.7 第1実施形態のインプリント方法及び製造方法の作用及び効果
図16(A)は、参考例のワークW20の断面構造を示したものである。この参考例のワークW20では、ストッパ膜151が形成されていない点を除き、図14(B)に示されるワークW14と同様の構造を有している。図16(A)に示される参考例のワークW20に対して反転剤層155をマスクにエッチング処理を施した場合、レジスト154の浸み出し部154bがエッチングされることにより、図16(B)に示されるように、浸み出し部154bの下方に設けられる、意図しない被加工層150の部分がエッチングされるおそれがある。結果的に、レジスト154の浸み出し部154bの下方に配置される基板120の部分が露出するため、以降の工程で、その基板120の部分が意図せずに加工されるおそれがある。第1実施形態の半導体装置10によれば、このような意図しない被加工層150のエッチングを回避可能である。
【0049】
具体的には、本実施形態の半導体装置10の製造方法では、図13(A)に示されるように、基板120上に形成される被加工層150上のショット領域SAに有機系薬液153を塗布し、有機系薬液153にテンプレート130のパターンを転写する。本実施形態の製造方法では、図14(B)に示されるように、基板120上に第1被加工層150aを形成し、第1被加工層150aにおけるショット領域SAの外周部分の下方に位置する領域に、被加工層150よりも高い加工耐性を有するストッパ膜151を形成する。続いて、ストッパ膜151が形成された第1被加工層150a上に第2被加工層150bを形成して、それらからなる被加工層150の上面におけるショット領域SAに有機系薬液153を塗布する。さらに、有機系薬液153にテンプレート130を接触させた後、有機系薬液153に光を照射して有機系薬液153を硬化させることによりテンプレート130のパターンを有機系薬液153に転写する。次に、硬化した有機系薬液153であるレジスト154からテンプレート130を離型した後、レジスト154上に、レジスト154の一部が露出するように反転剤層155を形成する。そして、反転剤層155をマスクにして被加工層150及び基板120を加工する。
【0050】
この構成によれば、反転剤層155をマスクにして被加工層150及び基板120を加工する工程においてレジスト154の浸み出し部154bがエッチングされた際に、図14(C)に示されるように、その部分のエッチングがストッパ膜151により阻まれる。結果的に、レジスト154の浸み出し部154bの下方に位置する基板120の部分が露出することがないため、意図しない基板120の加工を回避することが可能である。よって、加工精度を向上させることが可能である。
【0051】
本実施形態の半導体装置10の製造方法では、インプリント処理に用いられる基板120に、コンタクトプラグ50及び導電層70等の配線層WLが含まれている。
この構成のように、配線層WLを含む基板120の製造方法に対して本実施形態の製造方法を適用すれば、図2に示されるような半導体装置10を容易に製造することができる。
【0052】
2 第2実施形態
次に、第2実施形態のインプリント方法及び半導体装置の製造方法について説明する。以下、第1実施形態の半導体装置の製造方法との相違点を中心に説明する。
【0053】
2.1 基板の製造方法
本実施形態の製造方法では、基板120に対してインプリント処理を行う際に、ストッパ膜151を、被加工層150の内部ではなく、基板120の上面に形成する点で第1実施形態の製造方法と異なる。具体的には、本実施形態では、図17図19に示されるような製造方法が用いられている。
【0054】
本実施形態の製造方法では、まず、図17(A)に示されるように基板120上にストッパ膜151を形成した後、当該ストッパ膜151に対して第1実施形態の製造方法と同様に例えばフォトリソグラフィ及びエッチングを施すことにより、図17(B)に示されるようなワークW30を形成する。
【0055】
続いて、図17(B)に示されるワークW30上に、図17(C)に示されるように被加工層150を形成する。これにより、図17(C)に示されるようなワークW31が形成される。
続いて、図17(C)に示されるワークW31に対して、インプリント装置80を用いて第1実施形態の製造方法と同様のインプリント処理を行った後、反転剤層155を形成することにより、図18(A)に示されるようなワークW32を形成する。
【0056】
続いて、図18(A)に示されるワークW32に対して反転剤層155をマスクにエッチング処理を施す。これにより、反転剤層155から露出しているパターン形成部154a及び浸み出し部154bがエッチングされるとともに、それらの下方に位置する被加工層150の部分もエッチングされる。そのため、図18(B)に示されるようなワークW33が形成される。この際、浸み出し部154bの下方に位置する被加工層150の部分はエッチングされるものの、それ以上のエッチングがストッパ膜151により阻まれる。結果的に、図18(B)に示されるように、基板120の上面において、レジスト154のパターン形成部154aの下方に位置する部分は露出する一方、浸み出し部154bの下方に位置する部分は露出しない。
【0057】
続いて、図18(B)に示されるワークW33において、基板120よりも上に配置される層をマスクにしてワークW33の加工が行われることにより、図18(C)に示されるように、基板120において露出している部分が削られてホールHが形成される。これにより、図18(C)に示されるようなワークW34が形成される。
【0058】
続いて、図18(C)に示されるワークW34に対してウェットエッチング等を施すことにより、基板120よりも上の層を、具体的には被加工層150、レジスト154、及び反転剤層155をワークW34からまとめて除去する。これにより、図19(A)に示されるようなワークW35が形成される。図19(A)に示されるように、ワークW35では、その基板120の上面にストッパ膜151が残存している。そのため、本実施形態の製造方法では、図19(A)に示されるワークW35に対してエッチング処理を更に施すことにより、図19(B)に示されるように基板120からストッパ膜151を除去する。
【0059】
なお、エッチング処理の際にストッパ膜151のみをエッチングすることが難しい場合、ストッパ膜151と共に基板120をエッチングしてもよい。ストッパ膜151は非常に薄いため、ストッパ膜151の除去を目的とするエッチングであれば基板120の上面が若干エッチングされるだけであり、製品の品質上は問題となる可能性は低い。
【0060】
また、基板120の上面に形成されるストッパ膜151をエッチングする場合、エッチング後の基板120の上面が荒れる可能性がある。そのため、エッチング処理を施した後に、基板120の上面を平滑化する処理を更に行っても良い。具体的には、基板120の上面にSiO等を成膜した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等により基板120の上面を研磨して平滑化する。
【0061】
2.2 第2実施形態のインプリント方法及び製造方法の作用及び効果
以上説明したように、本実施形態の半導体装置10の製造方法では、図18(A)に示されるように、基板120の上面におけるショット領域SAの外周部分の下方に位置する領域にストッパ膜151を形成し、ストッパ膜151が形成された基板120上に被加工層150を形成する。
【0062】
この構成によれば、第1実施形態の製造方法と比較すると、被加工層150を第1被加工層150a及び第2被加工層150bに分けて形成する必要がないため、製造工程を簡略化することができる。よって、より容易に半導体装置10を製造することが可能となる。
3 第3実施形態
次に、第3実施形態のインプリント方法及び半導体装置の製造方法について説明する。以下、第1実施形態の半導体装置の製造方法との相違点を中心に説明する。
【0063】
3.1 基板の製造方法
本実施形態の製造方法では、基板120に対してインプリント処理を行う際に、ストッパ膜151を、被加工層150の内部ではなく、被加工層150の上面に形成する点で第1実施形態の製造方法と異なる。具体的には、本実施形態では、図20図22に示されるような製造方法が用いられている。
【0064】
本実施形態の製造方法では、まず、図20(A)に示されるように基板120上に被加工層150を形成した後、図20(B)に示されるように当該被加工層150の上面にストッパ膜151を形成する。その後、ストッパ膜151に対して第1実施形態の製造方法と同様に例えばフォトリソグラフィ及びエッチングを施すことにより、図20(C)に示されるようなワークW40を形成する。
【0065】
続いて、図20(C)に示されるワークW40に対して、インプリント装置80を用いて第1実施形態の製造方法と同様のインプリント処理を行った後、反転剤層155を形成することにより、図20(D)に示されるようなワークW41を形成する。
続いて、図20(D)に示されるワークW41に対して反転剤層155をマスクにエッチング処理を施す。これにより、反転剤層155から露出しているパターン形成部154a及び浸み出し部154bがエッチングされるとともに、それらの下方に位置する被加工層150の部分もエッチングされる。そのため、図21(A)に示されるようなワークW42が形成される。この際、浸み出し部154bはエッチングされるものの、それ以上のエッチングはストッパ膜151により阻まれる。結果的に、図21(A)に示されるように、基板120の上面において、レジスト154のパターン形成部154aの下方に位置する部分は露出する一方、浸み出し部154bの下方に位置する部分は露出しない。
【0066】
続いて、図21(A)に示されるワークW42において、基板120よりも上に配置される層をマスクにしてワークW42の加工が行われることにより、図21(B)に示されるように、基板120において露出している部分が削られてホールHが形成される。これにより、図21(B)に示されるようなワークW43が形成される。
【0067】
続いて、図21(B)に示されるワークW43に対してウェットエッチング等を施すことにより、基板120よりも上の層を、具体的には被加工層150、レジスト154、及び反転剤層155をワークW43からまとめて除去する。この際、被加工層150の上面にストッパ膜151が形成されているため、被加工層150と共にストッパ膜151も除去される。これにより、図21(C)に示されるような基板120が形成される。
【0068】
3.2 第3実施形態のインプリント方法及び製造方法の作用及び効果
以上説明したように、本実施形態の半導体装置10の製造方法では、図20(D)に示されるように、被加工層150の上面におけるショット領域SAの外周部分にストッパ膜151を形成する。
【0069】
この構成によれば、第1実施形態の製造方法と比較すると、被加工層150を第1被加工層150a及び第2被加工層150bに分けて形成する必要がないため、製造工程を簡略化することができる。よって、より容易に半導体装置10を製造することが可能となる。
3.3 第1実施形態のインプリント方法及び製造方法の作用及び効果に関する追記
第3実施形態のように被加工層150の上面にストッパ膜151を形成した場合、図20(D)に示されるようにストッパ膜151の端部と被加工層150の上面との間に段差160が形成される。このような段差160が形成されると、図10に示されるテンプレート130を有機系薬液に押し付けた際に、テンプレート130が段差160に接触することにより、テンプレート130が損傷するおそれがある。
【0070】
この点、第1実施形態の製造方法を用いれば、図13(B)に示されるように、被加工層150の上面にストッパ膜151が形成されていないため、テンプレート130を有機系薬液153に押し付けた際にテンプレート130が段差に衝突することがない。そのため、テンプレート130の損傷を未然に回避することが可能である。
【0071】
2 他の実施形態
本開示は上記の具体例に限定されるものではない。
各実施形態のインプリント方法及び製造方法は、基板120に限らず、任意の被加工物を加工する際に用いることができる。例えば、図13(B)に示される基板120及びテンプレート130に代えて、図22に示されるようにレプリカテンプレート220及びマスターテンプレート230を用いれば、第1実施形態のインプリント方法及び製造方法をレプリカテンプレート220の製造に利用することが可能である。同様に、第2実施形態のインプリント方法及び製造方法、並びに第3実施形態のインプリント方法及び製造方法に関しても、レプリカテンプレート220の製造に利用することが可能である。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれ、かつ特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0073】
3 付記
上記実施形態及びその変形例から把握可能な特徴を下記の通り示す。
基板上に形成される被加工層上のショット領域に被転写材を塗布し、前記被転写材にテンプレートのパターンを転写するとともに、前記パターンが転写された前記被転写材に基づいて前記基板を加工する半導体装置の製造方法であって、前記基板上に前記被加工層を形成し、前記被加工層の上面において前記ショット領域の外周部分に対応する領域に、前記被加工層よりも高い加工耐性を有するストッパ膜を形成し、前記ストッパ膜が形成された前記被加工層の上面における前記ショット領域に前記被転写材を塗布し、前記被転写材に前記テンプレートを接触させて前記テンプレートの前記パターンを前記被転写材に転写するとともに、前記被転写材を硬化させ、硬化した前記被転写材から前記テンプレートを離型し、硬化した前記被転写材上に、硬化した前記被転写材の一部が露出するように反転剤層を形成し、前記反転剤層をマスクにして前記被加工層及び前記基板を加工する半導体装置の製造方法。
【0074】
基板上に形成される被加工層上のショット領域に被転写材を塗布し、前記被転写材にテンプレートのパターンを転写するとともに、前記パターンが転写された前記被転写材に基づいて前記基板を加工する半導体装置の製造方法であって、前記基板の上面において前記ショット領域の外周部分の下方に位置する領域に、前記被加工層よりも高い加工耐性を有するストッパ膜を形成し、前記ストッパ膜が形成された前記基板上に前記被加工層を形成し、前記被加工層の上面における前記ショット領域に前記被転写材を塗布し、前記被転写材に前記テンプレートを接触させて前記テンプレートの前記パターンを前記被転写材に転写するとともに、前記被転写材を硬化させ、硬化した前記被転写材から前記テンプレートを離型し、硬化した前記被転写材上に、硬化した前記被転写材の一部が露出するように反転剤層を形成し、前記反転剤層をマスクにして前記被加工層及び前記基板を加工する半導体装置の製造方法。
【0075】
基板上に形成される被加工層上のショット領域に被転写材を塗布し、前記被転写材にテンプレートのパターンを転写するとともに、前記パターンが転写された前記被転写材に基づいて前記基板を加工する半導体装置の製造方法であって、前記基板の上面に第1被加工層を形成し、前記第1被加工層の上面において前記ショット領域の外周部分の下方に位置する領域に、前記被加工層よりも高い加工耐性を有するストッパ膜を形成し、前記ストッパ膜が形成された前記第1被加工層上に第2被加工層を形成して、前記第1被加工層及び前記第2被加工層により前記被加工層を形成し、前記被加工層の上面における前記ショット領域に前記被転写材を塗布し、前記被転写材に前記テンプレートを接触させて前記テンプレートの前記パターンを前記被転写材に転写するとともに、前記被転写材を硬化させ、硬化した前記被転写材から前記テンプレートを離型し、硬化した前記被転写材上に、硬化した前記被転写材の一部が露出するように反転剤層を形成し、前記反転剤層をマスクにして前記被加工層及び前記基板を加工する半導体装置の製造方法。
【0076】
レプリカテンプレート上に形成される被加工層上のショット領域に被転写材を塗布し、前記被転写材にマスターテンプレートのパターンを転写するとともに、前記パターンが転写された前記被転写材に基づいて前記レプリカテンプレートを加工するテンプレートの製造方法であって、前記レプリカテンプレートの上面に前記被加工層を形成し、前記被加工層の上面において前記ショット領域の外周部分に対応する領域に、前記被加工層よりも高い加工耐性を有するストッパ膜を形成し、前記ストッパ膜が形成された前記被加工層の上面における前記ショット領域に前記被転写材を塗布し、前記被転写材に前記マスターテンプレートを接触させて前記マスターテンプレートの前記パターンを前記被転写材に転写するとともに、前記被転写材を硬化させ、硬化した前記被転写材から前記マスターテンプレートを離型し、硬化した前記被転写材上に、硬化した前記被転写材の一部が露出するように反転剤層を形成し、前記反転剤層をマスクにして前記被加工層及び前記レプリカテンプレートを加工するテンプレートの製造方法。
【0077】
レプリカテンプレート上に形成される被加工層上のショット領域に被転写材を塗布し、前記被転写材にマスターテンプレートのパターンを転写するとともに、前記パターンが転写された前記被転写材に基づいて前記レプリカテンプレートを加工するテンプレートの製造方法であって、前記レプリカテンプレートの上面において前記ショット領域の外周部分の下方に位置する領域に、前記被加工層よりも高い加工耐性を有するストッパ膜を形成し、前記ストッパ膜が形成された前記レプリカテンプレート上に前記被加工層を形成し、前記被加工層の上面における前記ショット領域に前記被転写材を塗布し、前記被転写材に前記マスターテンプレートを接触させて前記マスターテンプレートの前記パターンを前記被転写材に転写するとともに、前記被転写材を硬化させ、硬化した前記被転写材から前記マスターテンプレートを離型し、硬化した前記被転写材上に、硬化した前記被転写材の一部が露出するように反転剤層を形成し、前記反転剤層をマスクにして前記被加工層及び前記レプリカテンプレートを加工するテンプレートの製造方法。
【0078】
レプリカテンプレート上に形成される被加工層上のショット領域に被転写材を塗布し、前記被転写材にマスターテンプレートのパターンを転写するとともに、前記パターンが転写された前記被転写材に基づいて前記レプリカテンプレートを加工するテンプレートの製造方法であって、前記レプリカテンプレートの上面に第1被加工層を形成し、前記第1被加工層の上面において前記ショット領域の外周部分の下方に位置する領域に、前記被加工層よりも高い加工耐性を有するストッパ膜を形成し、前記ストッパ膜が形成された前記第1被加工層上に第2被加工層を形成して、前記第1被加工層及び前記第2被加工層により前記被加工層を形成し、前記被加工層の上面における前記ショット領域に前記被転写材を塗布し、前記被転写材に前記マスターテンプレートを接触させて前記マスターテンプレートの前記パターンを前記被転写材に転写するとともに、前記被転写材を硬化させ、硬化した前記被転写材から前記マスターテンプレートを離型し、硬化した前記被転写材上に、硬化した前記被転写材の一部が露出するように反転剤層を形成し、前記反転剤層をマスクにして前記被加工層及び前記レプリカテンプレートを加工するテンプレートの製造方法。
【符号の説明】
【0079】
SA:ショット領域、10:半導体装置、120:基板(被加工物)、130:テンプレート、150:被加工層、150a:第1被加工層、150b:第2被加工層、151:ストッパ膜、153:有機系薬液(被転写材)、154:レジスト(硬化した被転写材)、155:反転剤層、220:レプリカテンプレート、230:マスターテンプレート。
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