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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086215
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】樹脂製容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
B65D1/02 220
B65D1/02 BRP
B65D1/02 BSF
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201236
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】荻野 大介
(72)【発明者】
【氏名】加堂 立樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 義弘
(72)【発明者】
【氏名】大住 裕一
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA18
3E033CA20
3E033DA03
3E033DB01
3E033DC03
3E033DE20
3E033EA01
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】折りたたみやすい樹脂製容器を実現する。
【解決手段】口部2、肩部3、胴部4、および底部5を備え、胴部4が略四角筒状であり、肩部3が口部2と胴部4とを連続的に接続する形状を有し、肩部3が、平面図において対向する二つの頂点部分の間に亘るアーチ状の凸リブ31を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、肩部、胴部、および底部を備え、前記胴部が略四角筒状であり、前記肩部が前記口部と前記胴部とを連続的に接続する形状を有し、
前記肩部が、平面図において対向する二つの頂点部分の間に亘るアーチ状の凸リブを有する樹脂製容器。
【請求項2】
平面図において対向する前記二つの頂点部分を結ぶ対角線によって二分される前記肩部の二つの領域のそれぞれに、少なくとも一つずつの前記凸リブを有する請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項3】
前記凸リブが、前記二つの頂点部分の間に亘って連続的に延びている請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項4】
前記肩部と前記胴部との境目に沿う凹リブをさらに有する請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項5】
前記凸リブに沿って前記肩部を折り曲げるとともに、前記胴部を折り曲げたときに、前記口部と前記凸リブとの間の領域に庇状の突出部が形成され、前記底部と前記突出部とを係合させることができる請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂製容器。
【請求項6】
前記肩部の、前記凸リブの端部が配置されてない頂点部分、および、当該頂点部分の真下にある前記底部の頂点部分に、一対の目印が設けられている請求項5に記載の樹脂製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料などの液体製品を充填し、これを流通や販売などに供するための容器として、樹脂製容器が汎用されている。樹脂製容器は、他の容器に比べて軽量である、容量やデザイン等の要請に従って任意の形状を作りやすい、透明である場合は内容物を確認しやすい、などの利点を有するため、幅広い用途に用いられている。
【0003】
使用後の樹脂製容器を再利用、廃棄等のために保管、運搬等するにあたり、その嵩高さが問題になる場合がある。たとえば缶や紙容器などは、使用後の空容器を平坦に押し潰すことが容易である。しかし樹脂製容器は、樹脂の弾性に起因して、押しつぶすことが難しい場合がある。
【0004】
この課題に対し、たとえば特開2008-201448号公報(特許文献1)には、側壁面を部分的に膨出させた独特の形状の横溝を有する合成樹脂製容器が開示されている。また、特開2008-56291号公報(特許文献2)には、折りたたみ操作の起点となる縦方向リブおよび横方向リブが設けられた容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-201448号公報
【特許文献2】特開2008-56291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術では、容器を押し潰すことが容易になるに留まり、押し潰した後の容器を折りたたむことは考慮されていなかった。また、特許文献2の技術では、容器の肩部と底部とを折りたたむことは考慮されているが、最も大きな体積を占める胴部を折りたたむことは考慮されていなかった。そのため従来の技術には、使用後の容器の嵩高さを抑える点で改善の余地があった。
【0007】
そこで、従来技術に比して折りたたみやすい樹脂製容器の実現が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る樹脂製容器は、口部、肩部、胴部、および底部を備え、前記胴部が略四角筒状であり、前記肩部が前記口部と前記胴部とを連続的に接続する形状を有し、前記肩部が、平面図において対向する二つの頂点部分の間に亘るアーチ状の凸リブを有することを特徴とする。
【0009】
この構成では、肩部を容器の内側に入れ込むように変形させる際に、アーチ状の凸リブが山折りになることで変形の起点になるため、操作を行いやすい。そのため、樹脂製容器を胴部で二つに折り曲げて底部を肩部に突入させるように操作することで、肩部を簡単に潰すことができ、樹脂製容器を折りたたみやすい。
【0010】
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0011】
本発明に係る樹脂製容器は、一態様として、平面図において対向する前記二つの頂点部分を結ぶ対角線によって二分される前記肩部の二つの領域のそれぞれに、少なくとも一つずつの前記凸リブを有することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、胴部で二つに折り曲げる際の操作方向が限定されない。
【0013】
本発明に係る樹脂製容器は、一態様として、前記凸リブが、前記二つの頂点部分の間に亘って連続的に延びていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、凸リブが連続的なリブとして形成されていることにより、肩部の変形の起点としての機能を果たしやすい。
【0015】
本発明に係る樹脂製容器は、一態様として、前記肩部と前記胴部との境目に沿う凹リブをさらに有することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、凹リブが肩部折り目として機能するため、肩部を潰す操作を行いやすい。
【0017】
本発明に係る樹脂製容器は、一態様として、前記凸リブに沿って前記肩部を折り曲げるとともに、前記胴部を折り曲げたときに、前記口部と前記凸リブとの間の領域に庇状の突出部が形成され、前記底部と前記突出部とを係合させることができることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、底部と肩部とを係合させることができるので、樹脂製容器の折りたたみ状態を固定しやすい。
【0019】
本発明に係る樹脂製容器は、一態様として、前記肩部の、前記凸リブの端部が配置されてない頂点部分、および、当該頂点部分の真下にある前記底部の頂点部分に、一対の目印が設けられていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、消費者等に対して折りたたみ操作の手順を示唆できる。
【0021】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係るボトルの正面図である。
図2】実施形態に係るボトルの側面図である。
図3】実施形態に係るボトルの上面図である。
図4】実施形態に係るボトルの胴部の特定部分の横断面図(図1のIV-IV線における断面図)である。
図5】実施形態に係るボトルの折りたたみ方法の手順を示す図である。
図6】実施形態に係るボトルの折りたたみ方法の手順を示す図である。
図7】実施形態に係るボトルの折りたたみ方法の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る樹脂製容器の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係る樹脂製容器を、プラスチックボトル1(以下、単にボトル1と称する。)に適用した例について説明する。
【0024】
〔ボトルの全体構成〕
本実施形態に係るボトル1はポリエチレンテレフタレート製であり、無色透明の容器である。ボトル1は、ポリエチレンテレフタレート製のプリフォームを原料とする二軸延伸ブロー成形により得られる。なお、ボトルを構成する材料は、ポリエチレンテレフタレートに限定されず、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどであってもよい。また、当該材料の由来は、石油、植物由来原料、リサイクル原料などでありうる。
【0025】
本実施形態では、ボトル1の容量を2Lとしてある。ただし、ボトル1の容量は特に限定されず、一般的に流通している280mL、350mL、500mLなど、200mL~2L程度であってよい。
【0026】
ボトル1は、たとえば、清涼飲料水(炭酸飲料、果実飲料、コーヒー飲料、茶系飲料、ミネラルウォーター、豆乳類、野菜飲料、スポーツ飲料、ココア飲料など)、アルコール飲料、乳飲料などの飲料、スープなどの液体食品、ソースや醤油などの液体調味料、などの液体製品を充填する用途に供される。
【0027】
本実施形態に係るボトル1は、口部2、肩部3、胴部4、および底部5を有する(図1および図2)。なお、以下の説明においてボトル1の上下方向について言及するときは、底部5が接地するようにボトル1を設置した姿勢(図1および図2に図示した姿勢)に基づく上下方向をいうものとする。すなわち、ボトル1の上側は口部2の側であり、ボトル1の下側は底部5の側である。また、ボトル1の横方向(または水平方向)について言及するときは、上記の上下方向と直交する方向(すなわち図1の左右方向または紙面と直交する方向)をいうものとする。なお、ボトル1の対向する一対の面は、それぞれ同一の形状を有する。
【0028】
ボトル1は、平面図において略四角形状である(図3)。なお、略四角形状とは、数学的な定義に従う四角形の形状に限定されず、工業製品として設けられうる丸みづけなどが設けられた実質的に四角形とみなせる形状であってもよいことを意味する。より詳細には、当該四角形は長方形であり、ボトル1の側面について、横断面の長辺側の面(図1)と短辺側の面(図2)とを区別できる。
【0029】
口部2は、内部に充填される液体製品を出し入れする開口部であり、その外面にはキャップ(不図示)を螺合するための雄ねじ部が設けられている。肩部3は、口部2から胴部4に向けてボトル1が徐々に拡大する部分である。なお、口部2から下方に向けてボトル1が徐々に拡大して最大限拡大した高さ方向の位置を、肩部3と胴部4との境目と定義する。底部5は、ボトル1を机などの面に置くときに接地面になる部分であり、底部5から胴部4に向けてもボトル1が徐々に拡大している。なお、接地面から上方に向けてボトル1が徐々に拡大して最大限拡大した高さ方向の位置を、底部5と胴部4との境目と定義する。口部2および底部5の構造および機能は、公知のプラスチックボトルの口部および底部と概ね同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0030】
〔肩部の構成〕
肩部3は、口部2と胴部4とを連続的に接続する形状を有する。口部2が略円筒体の外面に雄ねじ部が設けられた形状であり、胴部4が略四角柱状の形状であるため、肩部3は、上側の端部ではその断面が略円形であり、下側の端部ではその断面が略四角形である。平面図(図3)では、肩部3の形状は下側の端部の略四角形状の形状として現れる。
【0031】
肩部3には、アーチ状の凸リブ31が二つ設けられている。それぞれの凸リブ31は、平面図における対向する二つの頂点部分A、Aの間に亘って連続的に延びている。また、二つの頂点部分A、Aを結ぶ対角線L1によって二分される肩部3の二つの領域のそれぞれに、凸リブ31が一つずつ設けられている。なお、「凸リブ」とは、ボトル1の外側方向に突出する態様のリブをいう。
【0032】
凸リブ31は、側面図(図2)において、頂点部分Aに位置する端部からおよそ45°の角度で斜め上方に延びている。凸リブ31の高さ方向の位置は、頂点部分A、Aと異なる頂点部分B、Bを結ぶ対角線L2の付近で最大になる。
【0033】
肩部3に凸リブ31が設けられていることによって、肩部3を凸リブ31に沿ってたたみやすいという機能が実現される。より具体的には、凸リブ31の部分で山折りにする態様で肩部3を折り曲げることができ、このとき、胴部4と凸リブ31との間の領域である肩部下部32を、口部2と凸リブ31との間の領域である肩部上部33の下に入れ込むことができる。肩部3をこのように変形させることで、肩部上部33が庇状の突出部となり、胴部4を折り曲げたときに(後述する。)底部5と係合する役割を果たす。
【0034】
肩部3の頂点部分B、B(凸リブ31の端部が配置されてない頂点部分である。)に、丸印状の刻印34(目印の一例である。)が施されている(図1図3)。また、底部5にも同様に、丸印状の刻印51(目印の一例である。)が施されている(図1図2)。底部5において刻印51が施されている位置は、肩部3の頂点部分B、Bの真下にあたる頂点部分である。なお、刻印51が刻印34の真下に位置するとは、刻印34からボトル1の面に沿って下方(図1および図2の紙面下方向)に辿ると刻印51に至る、という位置関係にあることをいう。すなわち、ボトル1上の配置において刻印51が刻印34の「真下」であれば足り、刻印34と刻印51とが厳密に同一鉛直線上に存在する必要はない。なお、これ以降の説明で、構成要素間の上下の位置関係について、「真上」または「真下」という場合も同様に、ボトル1上の配置における上下の位置関係を意味し、厳密に同一鉛直線上に存在することを要しない。
【0035】
〔胴部の構成〕
胴部4は、肩部3に連設されている側(上側)から底部5に連設されている側(下側)に向かう順に、上側部分41、特定部分42、および下側部分43に区分される。胴部4は、上側部分41、特定部分42、および下側部分43の水平方向寸法に差異があることおよび複数のリブ(後述する。)が設けられていることに起因して正面図および側面図において凹凸が認められるが、製造時や流通時などにおける取扱上の特徴として略四角筒状として取り扱われる。すなわち、胴部4についていう略四角筒状とは、数学的な意味で四角筒状であることを要さない。
【0036】
(1)上側部分41
上側部分41は、胴部4のうち特定部分42より上側の部分、すなわち特定部分42と肩部3との間の部分である。上側部分41には、肩部3と上側部分41との境目に沿う第一横リブ61(凹リブの一例である。)と、複数(本実施形態では五つ)の第二横リブ62と、が設けられている(図1および図2)。第一横リブ61は、横断面の長辺側の面(図1)および短辺側の面(図2)の各面(全四面)に、それぞれの面の範囲内に収まる長さで設けられた凹リブ(ボトル1の内側方向に突入する態様のリブをいう。以下同じ。)である。第一横リブ61の深さは均一である。なお、凹リブの深さとは、リブがボトル1の内側に突入する深さをいい、以下の他の凹リブについても同様とする。
【0037】
第二横リブ62は、上側部分41の全周にわたって、水平方向に沿って設けられている凹リブである。第二横リブ62は、深さが深い部分と浅い部分とが交互に設けられた波状の形状を有する。より詳細には、横断面の辺に対応する部分に深さが深い部分が設けられ、横断面の頂点に対応する部分に浅い部分が設けられている。
【0038】
なお、上側部分41の横断面形状は、ボトル1の平面図(図3)と実質的に同一である。
【0039】
(2)特定部分42
特定部分42は、上側部分41および下側部分43よりもボトル1の内側に凹んだ部分として形成されている(図1および図2)。特定部分42の横断面を図4に示す。当該横断面において対向する二組の辺44、45を認めることができ、一方の組の辺44は長辺側の面(図1)に対応し、他方の組の辺45は短辺側の面(図2)に対応する。これらの二組の対向する辺44、45を延長すると、平行四辺形Pが形成される。この平行四辺形Pは、内角が鋭角の頂点P1と内角が鈍角の頂点P2と、を有し、したがって平行四辺形Pの内角は直角ではない。すなわち、平行四辺形Pは長方形ではない。
【0040】
肩部3における頂点部分A(凸リブ31の端部が配置されている。)および頂点部分B(刻印34が配置されている。)と、特定部分42における頂点P1(鋭角)および頂点P2(鈍角)とは、頂点部分Aが頂点P1の真上にあり、頂点部分Bが頂点P2の真上にある位置関係にある。
【0041】
特定部分42の長辺側の面(図1)と短辺側の面(図2)との境目に沿って、第一縦リブ71が設けられている。より詳細には、長辺側の面と短辺側の面との境目のうち、平行四辺形Pの鋭角の頂点P1に対応する二つの境目に、第一縦リブ71が設けられている。
なお、本実施形態では、第一縦リブ71はボトル1の外側に突出する態様で設けられた凸リブである。
【0042】
特定部分42は、特定部分42の主たる部分42aからさらに内側に凹んでいる凹部42bを有する。凹部42bは、横断面の長辺側の面(図1)の左右方向中央に設けられている。また、凹部42bの中央には、十字状のリブ46が設けられている。リブ46は、直交する二つの凹リブからなる。
【0043】
特定部分42の主たる部分42aには、周方向に延びる第三横リブ63が設けられている。より詳細には、凹部42bの左右のそれぞれに、三本の第三横リブ63が高さ方向に平行に並べて設けられており、このうち中央の一本の長さが上下の二本の長さより若干長い(図1図2)。第三横リブ63は凹リブであり、その深さは均一である。また、これらの三本の第三横リブ63を横切る態様で、第一縦リブ71が設けられている。
【0044】
特定部分42は、使用者がボトル1を把持する際の好適な把持位置として機能する。第一に、特定部分42が上側部分41および下側部分43よりもボトル1の内側に凹んだ部分として形成されているので、比較的手が小さい使用者であっても特定部分42を無理なく掴みやすい。第二に、使用者が特定部分42を掴んだときに、凹部42bに指を引っ掛けることができるので、ボトル1の把持が安定しやすい。
【0045】
平行四辺形Pの鋭角および鈍角の各頂点の内角の大きさは、平行四辺形Pが平行四辺形である限りにおいて限定されない。換言すれば、0°より大きい角θを用いて、鋭角の頂点の内角を90°-θ、鈍角の頂点の内角を90°+θとして、それぞれ表される。本実施形態では、θが5°であり、すなわち、頂点P1の内角が85°、頂点P2の内角が95°である。この例のように、θが1°以上30°以下であることが好ましい。特定部分42の断面形状が平行四辺形Pであることは、特定部分42を潰す操作(後述)を行いやすくする効果をもたらすが、θが1°以上であると、この効果が特に表れやすい。また、θが30°以下であると、特定部分42のボトル1の把持位置としての機能が損なわれにくい。θは、3°以上であることがより好ましく、4°以上であることがさらに好ましい。また、θは、10°以下であることがより好ましく、6°以下であることがさらに好ましい。
【0046】
(3)下側部分43
下側部分43は、胴部4のうち特定部分42より下側の部分、すなわち特定部分42と底部5との間の部分である。下側部分43には、上から順に、波状リブ64、バネリブ65、および複数(本実施形態では二つ)の第四横リブ66が設けられている。これらのリブはいずれも凹リブである。また、下側部分43の横断面の長辺側の面(図1)と短辺側の面(図2)との境目のうち、第一縦リブ71の下方に位置する二つの境目に沿って延びる第二縦リブ72が設けられている。第二縦リブ72は、波状リブ64および第四横リブ66を横切る態様で設けられた凸リブである。なお、下側部分43の横断面形状は、ボトル1の平面図(図3)と実質的に同一である。
【0047】
波状リブ64は、その上下方向の位置が下側部分43の周方向に沿って連続的に変化する形状で設けられたリブである。バネリブ65は、下側部分43の全周にわたって設けられた溝部分65aと、下側部分43の全周にわたって溝部分65aの上下に一つずつ形成された小凹部65bと、を有する。なお、溝部分65aおよび小凹部65bを包含するバネリブ65の全体を一つのリブと捉えることもできる。
【0048】
第四横リブ66は、下側部分43の全周にわたって、水平方向に沿って設けられている。ただし、前述のように第二縦リブ72が第四横リブ66を横切っている。第二縦リブ72が横切っている箇所以外では、第四横リブ66の深さは均一である。
【0049】
〔ボトルの折りたたみ方法〕
本実施形態に係るボトル1では、上記の各構成要素を設けることによって、従来のプラスチックボトルに比べて折りたたみやすい容器が実現されている。使用後のボトル1を折りたたむことによって、使用後のボトル1を再利用、廃棄等のために保管、運搬等する際の体積を低減できる。以下では、ボトル1を折りたたむ方法を説明する。
【0050】
第一に、特定部分42を潰す操作を行う(図5)。具体的には、横断面の長辺側の二面のそれぞれを、横断面の平行四辺形Pの頂点P1(鋭角)に向かうように互い違いに動かす。この操作を行うと、平行四辺形Pの頂点P1の内角が小さくなるとともに頂点P2の内角が180°に近づくように、特定部分42が変形する(潰れる)。
【0051】
本実施形態では、特定部分42の横断面が平行四辺形状であるので、内角が鋭角の頂点P1を閉じるように力が加えられたときに、その力に従って変形しやすい。このため、横断面が長方形状の従来のプラスチックボトルに比べて容易に、かつ、より平坦に、特定部分42を潰すことができる。また、第一縦リブ71がボトル1の外方に突出する態様で設けられていることによって、その内角が小さくなるように変形する頂点P1部分の可動性が高まっている。このように、第一縦リブ71がいわば折り目として機能することも、上記の変形を容易にすることに寄与している。
【0052】
第二に、潰した特定部分42において、ボトル1を折りたたむ(図6)。このとき、肩部3に対して底部5を当接させるように操作を行えばよく、肩部3の刻印34と底部5の刻印51とを合わせるように動かすことでこの操作が実現される。刻印34と刻印51とが同じ丸印状であることは、消費者にこの操作を示唆する役割を果たしている。
【0053】
肩部3に対して底部5を当接させた後に、底部5を肩部3に押し付けると、肩部3が凸リブ31において山折りになり、肩部下部32が肩部上部33の下に入り込んで、肩部上部33が庇状の突出部になる。この突出部は、最終的に底部5と係合してボトル1を二つに折りたたんだ状態を固定する役割を果たす。また、この操作を行う際に第一横リブ61が折り目として機能して、肩部3を潰すことを容易にしている。
【0054】
第三に、上側部分41、下側部分43、および底部5を潰す操作を行う。これらの部分を潰すと、底部5を肩部上部33(突出部)と係合させることができるようになり、ボトル1の折りたたみ状態が固定される(図7)。このとき、口部2を起こすように折り曲げて底部5に肩部上部33を被せるように操作すると、ボトル1の折りたたみ状態を固定しやすい。なお、第二縦リブ72は、第一縦リブ71と同様に折り目として機能し、下側部分43を潰すことを容易にしている。
【0055】
本実施形態では、特定部分42の横断面を平行四辺形状として、潰した後の形状が平坦になるようにしてあるので、従来のプラスチックボトルに比べて特定部分42を上下に折り曲げやすい。また、肩部3に凸リブ31を設けて、底部5を係合しやすくしてあるので、ボトル1が折りたたまれた状態で固定されやすい。このようにボトル1は従来の同種の容器に比べて折りたたみやすく、これによって再利用、廃棄等の際の占有体積を低減できる。
【0056】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る樹脂製容器のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0057】
上記の実施形態では、胴部4が上側部分41、特定部分42、および下側部分43に区分される構成を例として説明した。しかし、本発明に係る樹脂製容器において、胴部の構成は略四角筒状である限り限定されない。したがって、本発明に係る樹脂製容器の胴部として、公知の樹脂製容器に見られる略四角筒状の形状を採用できる。
【0058】
上記の実施形態では、ボトル1が平面図において略長方形状であり、ボトル1の側面について横断面の長辺側の面(図1)と短辺側の面(図2)とを区別できる構成を例として説明した。しかし、本発明に係る樹脂製容器は、平面図において略正方形状であって、横断面の長辺側の面と短辺側の面とを区別できない形状であってもよい。
【0059】
なお、容器の横断面の長辺側の面と短辺側の面とを区別できる形状(断面が略長方形状)と、これを区別できない形状(断面が略正方形状)とを比較すると、容器の容量が同一である前提のもとで両者を比較した場合に、前者の方が短辺側の面の幅を小さくできるという特徴がある。この特徴は、比較的大きな容量(たとえば1.5L以上)の容器において、短辺側の面の幅が使用者の手に収まりやすい限度に抑制され、持ちやすい容器を提供できるという利点になる。
【0060】
上記の実施形態では、肩部3に凸リブ31が二つ設けられている構成を例として説明した。しかし本発明において、アーチ状の凸リブを設ける数は任意である。また、複数の凸リブを設ける場合、その配置は任意であり、たとえば凸リブの端部が配置されている二つの頂点部分を結ぶ対角線によって二分される肩部の二つの領域の一方のみに凸リブが設けられていてもよい。
【0061】
上記の実施形態では、凸リブ31が連続的に延びている構成を例として説明した。しかし本発明において、凸リブは、断続的な態様であってもよい。
【0062】
上記の実施形態では、肩部3と上側部分41との境目に沿う第一横リブ61が設けられている構成を例として説明した。しかし、本発明において、肩部と胴部との境目に沿う凹リブの有無は任意である。
【0063】
上記の実施形態では、肩部3に刻印34が設けられ、底部5に刻印51が設けられており、これらがボトル1を折りたたむ操作を示唆する役割を果たす例について説明した。しかし、本発明においてこのような目印の有無は任意である。また、目印を設ける場合、その態様は刻印に限定されず、突起、模様、印刷、貼付物などであってもよい。加えて、肩部および底部の目印は、消費者等が一対の目印であると認識できる態様であればよく、上記の実施形態のように同一の形状であってもよいし、互いに関連する異なる形状であってもよい。後者の例としては、丸印とバツ印、凸部と凹部、などの組合せが例示される。
【0064】
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、たとえば飲料容器に利用できる。
【符号の説明】
【0066】
1 :プラスチックボトル(ボトル)
2 :口部
3 :肩部
31 :凸リブ
32 :肩部下部
33 :肩部上部
34 :刻印
4 :胴部
41 :上側部分
42 :特定部分
42a :部分
42b :凹部
43 :下側部分
44 :辺
45 :辺
46 :リブ
5 :底部
51 :刻印
61 :第一横リブ
62 :第二横リブ
63 :第三横リブ
64 :波状リブ
65 :バネリブ
65a :溝部分
65b :小凹部
66 :第四横リブ
71 :第一縦リブ
72 :第二縦リブ
A :頂点部分
B :頂点部分
L1 :対角線
L2 :対角線
P :平行四辺形
P1 :頂点
P2 :頂点
θ :角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7