(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086223
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】タイヤカバー
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
B60C19/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201246
(22)【出願日】2022-12-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-19
(71)【出願人】
【識別番号】522490619
【氏名又は名称】信光陸運株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100188547
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴野 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】井上 博貴
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB01
3D131BB11
3D131BC55
3D131BC57
3D131LA24
(57)【要約】
【課題】従来のタイヤカバーは、カバー部からタイヤの裏側に固定部を回して結合し、タイヤに取り付ける必要がある。そのため、タイヤを立てて不安定な状態で取り付けた後に、他のタイヤの上に積み上げなければならなかった。また、伸縮性の部分がある固定部がカバー部に取り付けられており、固定部が傷んで伸縮性が低下したり断裂したりすると、新しいタイヤカバーに交換する必要がある。
【解決手段】本発明の一実施形態におけるタイヤカバーは、カバー部と、前記カバー部の周囲に複数突出した帯状部と、を備え、固定バンドで自動車用タイヤの外周に沿って前記帯状部をトレッド部に押さえつけることにより、自動車用タイヤに取り付け可能であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー部と、
前記カバー部の周囲に複数突出した帯状部と、を備え、
固定バンドで自動車用タイヤの外周に沿って前記帯状部をトレッド部に押さえつけることにより、自動車用タイヤに取り付け可能であることを特徴とするタイヤカバー。
【請求項2】
前記帯状部は、面ファスナーが結合する領域を有することを特徴とする請求項1に記載されたタイヤカバー。
【請求項3】
前記帯状部は、環状に形成していることを特徴とする請求項1または2に記載されたタイヤカバー。
【請求項4】
環状の前記帯状部を折り曲げて固定可能な、結合部を有することを特徴とする請求項3に記載されたタイヤカバー。
【請求項5】
前記帯状部には、前記自動車用タイヤのトレッド部に当接する位置に滑り止め部材を設けてなることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体から取り外された自動車用タイヤを保管する際に、タイヤやホイールを保護するタイヤカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、冬用にスタッドレスタイヤを購入するユーザーが増えている。自動車には冬期にスタッドレスタイヤを取り付け、他の季節にはノーマルタイヤを取り付ける。そのため、スタッドレスタイヤを購入したユーザーは、使用していないタイヤを使用する季節まで保管する必要がある。
【0003】
スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの場合、次回に使用する際に自動車に取り付けやすいようにホイールを付けたまま、空気を半分程度抜いて保管することが多い。タイヤを保管する際には、横にして積み上げるのが一般的である。タイヤを横にして積み上げた方が、タイヤを立てて保管するよりも安定性や収納性が高い。また、ホイールは重量があるため、タイヤを立てて保管すると、下に位置するゴムが重みでつぶれて変形してしまう虞がある。
【0004】
しかし、自動車用タイヤを横にして積み重ねると、ホイール同士が衝突して傷が発生する可能性があった。特に、スタッドレスタイヤは柔らかいため、空気を抜いて重ねると、ホイール同士が衝突する可能性が高い。また、ホイールがアルミホイールであると、傷つきやすい。そこで、特許文献1では、自動車用タイヤの一側面にカバー部を、伸縮性を有する少なくとも一対の固定部により固定して、タイヤを保護する。
【0005】
図11に、従来のタイヤカバー9の上面図を示す。タイヤカバー9は、円板状のカバー部91に細長い固定部92、93を取り付けている。
図11の従来例では、タイヤカバー9に固定部92と固定部93の対が2つ設けられている。固定部92は、カバー部91に近い部分が伸縮部材921となっており、遠い部分が雌面ファスナー922となっている。また、固定部93は、カバー部91に近い部分が伸縮部材931となっており、遠い部分が雄面ファスナー932となっている。雌面ファスナー922は、
図11で見えている面に結合面が形成されており、雄面ファスナー932は、
図11で見えていない裏面に結合面が形成されている。そして、雌面ファスナー922と雄面ファスナー932をタイヤの裏側に回して結合し、タイヤカバー9をタイヤに固定する。タイヤカバー9をタイヤに取り付ければ、他のタイヤに乗せても重なるホイールの間にカバー部91が挟まれるため、ホイール同士が衝突して傷つくことがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のタイヤカバー9は、カバー部91からタイヤの裏側に固定部92、93を回して結合し、タイヤに取り付ける必要がある。そのため、タイヤを立てて不安定な状態で取り付けた後に、他のタイヤの上に積み上げなければならなかった。また、伸縮性の部分がある固定部92、93がカバー部91に取り付けられており、固定部92、93が傷んで伸縮性が低下したり断裂したりすると、新しいタイヤカバー9に交換する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態におけるタイヤカバーは、カバー部と、前記カバー部の周囲に複数突出した帯状部と、を備え、固定バンドで自動車用タイヤの外周に沿って前記帯状部をトレッド部に押さえつけることにより、自動車用タイヤに取り付け可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、横に倒したタイヤの上にタイヤカバーを被せ、帯状部を固定バンドで自動車用タイヤの外周に沿ってトレッド部に押さえつけることにより、容易にタイヤにタイヤカバーを取り付けることができる。また、タイヤカバーに固定バンドが固定されていないため、固定バンドが劣化した際には、固定バンドだけ交換して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】実施例1のタイヤカバー1をタイヤTに取り付けた際の側面図。
【
図5】実施例1のタイヤカバー1を小さなタイヤSTに取り付けた際の側面図。
【
図7】実施例3のタイヤカバー4の上面図と固定バンド5。
【
図8】実施例3のタイヤカバー4をタイヤTから取り外す際の側面図。
【
図9】実施例3のタイヤカバー4の上面図と他の固定バンド6。
【
図10】実施例4のタイヤカバー7をタイヤTに取り付けた際の側面図。
【発明を実施するための形態】
【実施例0011】
図1に、実施例1のタイヤカバー1の上面図を、
図2に、実施例1のタイヤカバー1の側面図を示す。実施例1のタイヤカバー1は、カバー部11の下に十字に固定帯12が固定され、円板状のカバー部11の周囲の4箇所から帯状部121が突出している。固定帯12は、両端近傍に帯状部121を備える。
図2に示すように、固定帯12の端部は折り曲げられて固定されており、帯状部121は環状となっている。そして、4つの環状の帯状部121がカバー部11の周囲に形成されている。また、固定帯12は、2つの帯状部121の間に中間部122が設けられて一体に形成され、帯状部121に雄面ファスナー123が設けられている。
【0012】
カバー部11はクッション性を有しており、カバー部11を挟んでホイールが衝突しても、ホイールに傷がつかない。固定帯12は柔軟性を有しており、タイヤカバー1をタイヤの側面に乗せた際に、タイヤの周面のトレッド部に接するように曲がる。
【0013】
カバー部11には、直径の4箇所に45°ずつずらして直線の縫い目111が形成され、カバー部11の縁の少し内側に縫い目112が形成されている。また、カバー部11の帯状部121に対応する4箇所に縫い目113が設けられている。縫い目111は、カバー部11の内部のクッションの偏りを防ぐ。縫い目113は、
図2に示すように折り曲げられた固定帯12を、2重に縫い付けている。また、カバー部11の上面中央部には、長方形の表示部13が取り付けられている。表示部13は、文字やバーコード等を記載することが可能な布で形成されており、
図1に示すように、保管するタイヤを取り付ける自動車のナンバー等を記載することができる。また、2次元バーコード等を表示して、タイヤの保管管理に利用してもよい。
【0014】
帯状部121の端部付近には雄面ファスナー123を備えている。固定帯12は、雄面ファスナー123が着脱可能に固定される、雌面ファスナーの機能を有した素材で形成されている。また、カバー部11も、雄面ファスナーが着脱可能に固定される素材で形成されている。
【0015】
図3に、実施例1の固定バンド2を示す。固定バンド2は、伸縮性を有した長い帯状のバンドであり、
図3では、2箇所で折り曲がった状態を記載している。固定バンド2では、伸縮性がある伸縮バンド21の複数箇所に、雄面ファスナー22、23が取り付けられている。雄面ファスナー22、23の部分は伸縮性がないが、固定バンド2は、全体として伸縮性を有している。
【0016】
タイヤカバー1は、横倒しにしたタイヤの上に被せて固定する。
図4に、実施例1のタイヤカバー1をタイヤTに取り付けた際の側面図を示す。タイヤTは自動車用タイヤである。
図4では、
図3に示した固定バンド2の一端部近傍に設けられた雄面ファスナー22を、1箇所の環状の帯状部121の中に固定している。帯状部121は、雄面ファスナー22が着脱可能に固定できる素材で形成されており、雄面ファスナー22は、帯状部121の内側に、着脱可能に固定できる。また、
図3に示した固定バンド2の他端部近傍に設けられた雄面ファスナー23は、
図4において、帯状部121の外側に固定している。
【0017】
図4のようにタイヤTにタイヤカバー1を取り付ける際には、帯状部121の内側に雄面ファスナー22により固定バンド2の一端部近傍を固定し、固定バンド2の他端部を他の3箇所の帯状部121の中を通しておく。この状態でタイヤカバー1をタイヤTの上に被せて帯状部121をタイヤTの周面であるトレッド部Trの横に垂らす。そして、固定バンド2の他端部を引いて固定バンド2を伸ばし、他端部の近傍の複数箇所に設けられた雄面ファスナー23を帯状部121の外側に固定する。これにより、
図4のようにタイヤTの片面にカバー部11が固定される。
【0018】
図4に示すように、実施例1のタイヤカバー1は、横倒しにしたタイヤTの上からタイヤカバー1被せて、タイヤTの周面であるトレッド部Trに帯状部121を固定バンド2で押さえつけることにより、タイヤTに固定される。そのため、タイヤTの下面に部材を回す必要が無い。
図4のように、横にしたタイヤTにタイヤカバー1を固定してから、次のタイヤTをタイヤカバー1の上に積み上げ、さらに積み上げたタイヤTにタイヤカバー1を固定する工程を繰り返すことができる。このように、実施例1のタイヤカバー1では、タイヤTを積み上げながらタイヤカバー1を取り付けることができ、高い作業性が得られる。
【0019】
図5は、実施例1のタイヤカバー1を小さなタイヤSTに取り付けた際の側面図を示す。小さなタイヤSTは自動車用タイヤである。小さなタイヤSTに取り付ける場合には、固定バンド2の位置が下方になりすぎてしまう可能性がある。そのような場合には、
図5のように帯状部121を折り曲げて結合部である雄面ファスナー123を帯状部121に結合させ、折曲部121aを作って、トレッド部Trを覆う帯状部121の長さを調節することができる。また、固定バンド2の他端部側が大きく余った場合には、
図5に示すように、他端部をカバー部11の上まで伸ばして、雄面ファスナー23の一部をカバー部11に固定してもよい。カバー部11の表面も雌面ファスナーのように雄面ファスナーが取り外し可能に固定できる素材で形成されている。
【0020】
固定バンド2の雄面ファスナー22は、環状の帯状部121の中に固定したままにしておいてもよい。そうすることにより、タイヤカバー1と固定バンド2を一緒に扱うことができる。一方で、固定バンド2が伸びてしまったり、固定バンド2に断裂が生じたりした場合には、帯状部121から取り外して新しい固定バンド2に容易に交換することができる。
【0021】
自動車のノーマルタイヤとスタッドレスタイヤを交換する場合、雄面ファスナー22、23を帯状部121やカバー部11から取り外すことなく、固定バンド2を伸ばしてタイヤカバー1を保管していたタイヤから取り外して付け替えてもよい。自動車のノーマルタイヤとスタッドレスタイヤを交換する場合、ノーマルタイヤとスタッドレスタイヤの大きさはほぼ同じである。そのため、上記のように雄面ファスナー22、23を帯状部121やカバー部11から取り外すことなく、固定バンド2を伸ばして付け替えると効率的である。
【0022】
カバー部11から突出する部分である帯状部121は、従来のタイヤカバー9における固定部92、93ほど長くない。タイヤカバー1をタイヤに取り付けた際に、対になる帯状部121は、小さなタイヤSTの裏側でも重ならない長さとなっている。帯状部121が長すぎると、タイヤカバー1の取り付け時等の際に障害となる。また、従来のタイヤカバー9における固定部92、93と同じ程度に帯状部121の幅が狭いと、固定バンド5による押さえつけが不十分となる。帯状部121がカバー部11から突出する長さは、カバー部11の直径の1/4以上、3/4以下であることが好ましい。また、帯状部121の幅は、カバー部11の直径の1/8以上、1/2以下であることが好ましく、カバー部11の直径の1/6以上、1/2以下であることがさらに好ましい。以上の帯状部の長さと幅については、後述する他の実施例においても同様である。