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特開2024-86231釣り場情報提供システム、釣り場情報提供方法、およびサーバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086231
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】釣り場情報提供システム、釣り場情報提供方法、およびサーバ
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240620BHJP
   B63H 25/04 20060101ALI20240620BHJP
   B63B 79/40 20200101ALI20240620BHJP
【FI】
G06Q50/10
B63H25/04 D
B63B79/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201255
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149009
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 稔久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】原田 秀彦
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC18
5L050CC18
(57)【要約】
【課題】オペレータに手間をかけさせずに釣りをしていたことを精度良く判別し、推奨される釣り場を提案することが可能な釣り場情報提供システムを提供する。
【解決手段】釣り場情報提供システム1において、船舶2の入力装置43は、船舶推進機12a、12bの釣りに関する操船機能を選択するためにオペレータによって操作可能である。操船コントローラ47は、入力装置43に接続され、選択された操船機能を実行するように船舶推進機12a、12bを制御する。DCM48は、実行された釣りに関する操船機能と、操船機能が実行された場所を含む実行情報とをクラウドサーバ3に送信する。クラウドサーバ3は、操船機能および実行情報に基づいて、推奨する釣り場または航路を推定し、推定した釣り場または航路をDCM48に送信する。操船コントローラ47は、推定された釣り場または航路を表示するようにMFD43を制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、船舶と、を備えた釣り場情報提供システムであって、
前記船舶は、
前記船舶の位置を検出する位置検出部と、
船舶推進機と、
前記船舶推進機の釣りに関する操船機能を選択するためのオペレータによって操作可能な入力装置と、
前記入力装置に接続され、前記選択された操船機能を実行するように前記船舶推進機を制御するコントローラと、を有し、
前記コントローラは、通信装置および表示装置に接続可能であり、
前記通信装置は、実行された釣りに関する操船機能と、前記操船機能が実行された場所を含む実行情報とを前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記操船機能および前記実行情報に基づいて、推奨する釣り場または航路を推定し、推定した前記釣り場または前記航路を前記通信装置に送信し、
前記コントローラは、推定された前記釣り場または前記航路を表示するように前記表示装置を制御する、
釣り場情報提供システム。
【請求項2】
前記コントローラは、推定された前記釣り場に自動で前記船舶が移動、または前記航路を自動で前記船舶が移動するように前記船舶推進機を制御する、
請求項1に記載の釣り場情報提供システム。
【請求項3】
前記サーバは、複数種類の前記操船機能が実行された場合、実行されたそれぞれの前記操船機能に応じて前記釣り場または前記航路を推定し、
前記コントローラは、実行されたそれぞれの前記操船機能に応じた前記釣り場または前記航路を表示するように前記表示装置を制御する、
請求項1に記載の釣り場情報提供システム。
【請求項4】
前記船舶は、前記表示装置に表示された前記釣り場または前記航路を選択するためのオペレータによって操作可能な選択装置を更に有し、
前記コントローラは、選択された前記釣り場に自動で前記船舶が移動、または前記航路を自動で前記船舶が移動するように前記船舶推進機を制御する、
請求項3に記載の釣り場情報提供システム。
【請求項5】
前記船舶は、前記表示装置に表示された前記釣り場を選択するためのオペレータによって操作可能な選択装置を更に有し、
前記コントローラは、選択された前記釣り場に向かう航路を表示するように前記表示装置を制御する、
請求項3に記載の釣り場情報提供システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記選択された釣り場に移動後、前記釣り場において実行されていた前記操船機能を実行する、
請求項4に記載の釣り場情報提供システム。
【請求項7】
前記操船機能は、所定位置を維持する位置維持機能、および所定の航路パターンで航行する所定航行機能を含み、
前記コントローラは、前記位置維持機能に基づいて推定された前記釣り場が選択された場合、選択された前記釣り場に自動で移動した後に前記所定航行機能を実行する、
請求項5に記載の釣り場情報提供システム。
【請求項8】
前記操船機能は、所定位置を維持する位置維持機能、方位を維持して船舶の向きを固定する方位維持機能、または、所定の航路パターンで航行する所定航行機能を含む、
請求項1に記載の釣り場情報提供システム。
【請求項9】
前記実行情報は、前記操船機能が実行された時間、または気象条件を含む、
請求項1に記載の釣り場情報提供システム。
【請求項10】
前記サーバは、更に、実行された複数の前記操船機能の組み合わせおよび前記実行情報に基づいて前記釣り場を推定する、
請求項1に記載の釣り場情報提供システム。
【請求項11】
前記サーバは、前記推定した前記釣り場の推奨度合いを他の前記釣り場よりも推奨度合いを高くして前記通信装置に送信する、
請求項10に記載の釣り場情報提供システム。
【請求項12】
前記サーバは、複数の前記操船機能のうち特定の操船機能を実行されたことおよび前記実行情報に基づいて推定した前記釣り場の推奨度合いを他の前記釣り場よりも高くして前記通信装置に送信する、
請求項1に記載の釣り場情報提供システム。
【請求項13】
前記実行情報は、前記操船機能を実行した時の気温または水温、気象条件を含む環境情報を有し、
前記サーバは、推定した前記釣り場のうち現在の環境情報に最も近い前記釣り場を他の前記釣り場よりも推奨度合いを高くして前記通信装置に送信する、
請求項1に記載の釣り場情報提供システム。
【請求項14】
前記実行情報は、前記操船機能を実行した時間を含み、
前記サーバは、最近の前記操船機能に基づいて推定された前記釣り場の推奨度合いを他の前記釣り場よりも高くして前記通信装置に送信する、
請求項1に記載の釣り場情報提供システム。
【請求項15】
前記コントローラは、推奨度合いの高い前記釣り場を、他の前記釣り場よりも優先して表示するよう前記表示装置を制御する、
請求項11~14のいずれかに記載の釣り場情報提供システム。
【請求項16】
前記船舶は、釣果情報を入力するためのオペレータによって操作可能な釣果情報入力装置を更に有し、
前記サーバは、前記操船機能、前記実行情報および前記釣果情報に基づいて、推奨する前記釣り場を推定する、
請求項1に記載の釣り場情報提供システム。
【請求項17】
前記通信装置および前記表示装置は、前記船舶に設置されている、
請求項1に記載の釣り場情報提供システム。
【請求項18】
船舶において実行された釣りに関する操船機能と、前記操船機能が実行された場所を含む実行情報を通信装置からサーバに送信することと、
前記サーバが、前記操船機能および前記実行情報に基づいて、推奨する釣り場または航路を推定することと、
前記サーバが、前記推定した前記釣り場または前記航路を前記通信装置に送信することと、
推定された前記釣り場または前記航路を表示装置に表示することと、を含む、
釣り場情報提供方法。
【請求項19】
船舶において実行された釣りに関する操船機能と、前記操船機能が実行された場所を含む実行情報を受信する受信部と、
前記操船機能および前記実行情報に基づいて、推奨する釣り場または航路を推定する推定部と、
推定した前記釣り場または前記航路を前記船舶の通信装置に送信する送信部と、を備えた、サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り場情報提供システム、釣り場情報提供方法、およびサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
漁獲および海象等の情報をクラウド上にアップロードしてAI分析し、推奨される漁場を提案する装置が開示されている(例えば、特許文献1,2。)。また、自分の釣果を入力することで履歴管理および分析を行うことができるようなアプリも存在する(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
一方、自ら入力を行わずに自動で、船が捕獲対象を探索するために運航されている操業状態であるか否かを判別する技術も公開されている(例えば、特許文献3参照。)。特許文献3では、船舶の位置情報および静動情報から得られる速度情報に基づいて、その船が操業状態であるか否かを判別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-160749号公報
【特許文献2】特開2006-15823号公報
【特許文献3】特開2020-13339号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】https://www.anglr.com/features
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1,2および非特許文献1の場合、これらの機能を使うためには、最初に自ら釣れた時の情報を入力し続ける必要があるため手間がかかっていた。これを忘れると、データベースに反映されず、機能が十分に使用できない。
【0007】
上記特許文献3の技術では、入力を行わずに自動で操業状態であるかを判別しているが、船の位置情報や動きによって漁業や釣りをしている状態か否かを判別するため、判別の精度向上が難しい。例えば、船舶がほぼ同じ位置にとどまっているとしても、それが定点釣りをしていたのか、波風がなく止まっていただけなのか判別が難しい。また、船舶がゆっくり動いていた場合、ただ流されていたのか、流し釣りをしていたのか判別することが難しい。
【0008】
本発明の目的は、オペレータに手間をかけさせずに釣りをしていたことを精度良く判別し、推奨される釣り場を提案することが可能な釣り場情報提供システム、釣り場情報提供方法、およびサーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様にかかる釣り場情報提供システムは、サーバと、船舶と、を備えた釣り場情報提供システムである。船舶は、位置検出部と、船舶推進機と、入力装置と、コントローラと、を有する。位置検出部は、船舶の位置を検出する。入力装置は、船舶推進機の釣りに関する操船機能を選択するためにオペレータによって操作可能である。コントローラは、入力装置に接続され、選択された操船機能を実行するように船舶推進機を制御する。コントローラは、通信装置および表示装置に接続可能である。通信装置は、実行された釣りに関する操船機能と、操船機能が実行された場所を含む実行情報とをサーバに送信する。サーバは、操船機能および実行情報に基づいて、推奨する釣り場または航路を推定し、推定した釣り場または航路を通信装置に送信する。コントローラは、推定された釣り場または航路を表示するように表示装置を制御する。
【0010】
本開示の第2の態様にかかる釣り場情報提供方法は、以下の処理を備える。第1の処理は、船舶において実行された釣りに関する操船機能と、前記操船機能が実行された場所を含む実行情報を通信装置からサーバに送信することである。第2の処理は、サーバが、操船機能および実行情報に基づいて、推奨する釣り場または航路を推定することである。第3の処理は、推定された釣り場または航路を表示装置に表示することである。
【0011】
本開示の第3の態様にかかるサーバは、受信部と、推定部と、送信部と、を備える。受信部は、船舶において実行された釣りに関する操船機能と、操船機能が実行された場所を含む実行情報を受信する。推定部は、操船機能および実行情報に基づいて、推奨する釣り場または航路を推定する。送信部は、推定した釣り場または航路を通信装置に送信する。
【発明の効果】
【0012】
釣りに関する操船機能を実行した場合、その操船機能を実行した場所で釣りを行っていたことが分かるため、釣りを行っていたか否かを精度良く判別することができる。また、操船機能および実行情報が船舶からサーバに送信されるため、オペレータが手作業で入力する必要がなく、手間をかけずにサーバに釣りに関する情報を集めることができる。これにより、オペレータに手間をかけさせずに、サーバが推奨される釣り場を推定し、推奨される釣り場をオペレータに提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態にかかる釣り場情報提供システムの構成を示す図である。
図2】船舶推進機の側面図である。
図3】釣り場情報提供システムの構成を示すブロック図である。
図4】(a)、(b)位置維持機能を説明するための図である。
図5】方位維持機能を説明するための図である。
図6】所定航行機能の航路パターンの例を示す図である。
図7】所定航行機能の航路パターンの例を示す図である。
図8】所定航行機能の航路パターンの例を示す図である。
図9】所定航行機能の航路パターンの例を示す図である。
図10】所定航行機能の航路パターンの例を示す図である。
図11】推奨する釣り場の推定を説明するための図である。
図12】推奨する釣り場の推定を説明するための図である。
図13】推奨する釣り場の推定を説明するための図である。
図14】推奨する釣り場の推定を説明するための図である。
図15】MFDの表示の一例を示す図である。
図16】MFDの表示の一例を示す図である。
図17】釣り場情報提供システムの動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して実施形態の釣り場情報提供システム、サーバ、および釣り場情報提供方法について説明する。
【0015】
(釣り場情報提供システム1の概要)
図1は、実施形態に係る釣り場情報提供システム1を示す図である。釣り場情報提供システム1は、船舶2と、クラウドサーバ3(サーバの一例)と、を有する。船舶2は、実行された釣りに関する操船機能と、操船機能が実行された場所を含む実行情報と、をクラウドサーバ3に送信する。クラウドサーバ3は、操船機能および実行情報に基づいて、推奨する釣り場または航路を推定し、推定した釣り場または航路を船舶2に送信する。船舶2は、受信した釣り場または航路をMFD(Multi Function Display)43(表示装置の一例)に表示する。
【0016】
(船舶2)
船舶2は、船体11と、第1船舶推進機12aおよび第2船舶推進機12bとを備えている。なお、船舶推進機の数は2つに限らない。船舶推進機の数は、1つであってもよい。或いは、船舶推進機の数は、2つより多くてもよい。
【0017】
第1船舶推進機12aおよび第2船舶推進機12bは、船体11の船尾に取り付けられる。第1船舶推進機12aおよび第2船舶推進機12bは、船外機である。第1船舶推進機12aおよび第2船舶推進機12bは、船体11の幅方向に並んで配置されている。具体的には、第1船舶推進機12aは、船体11の左舷に配置される。第2船舶推進機12bは、船体11の右舷に配置される。第1船舶推進機12aおよび第2船舶推進機12bは、それぞれ船体11を推進させるスラストを発生させる。
【0018】
図2は、第1船舶推進機12aの側面図である。以下、第1船舶推進機12aの構造について説明するが、第2船舶推進機12bも第1船舶推進機12aの構造と同様である。第1船舶推進機12aは、ブラケット13aを介して船体11に取り付けられる。ブラケット13aは、第1ステアリング軸14a回りに回転可能に第1船舶推進機12aを支持する。第1ステアリング軸14aは、第1船舶推進機12aの上下方向に延びている。
【0019】
第1船舶推進機12aは、第1エンジン21aと、第1ドライブ軸22aと、第1プロペラ軸23aと、第1シフト機構24aとを含む。第1エンジン21aは、船舶2を推進させるスラストを発生させる。第1エンジン21aは、内燃エンジンである。第1エンジン21aは、クランク軸31aを含む。クランク軸31aは、第1船舶推進機12aの上下方向に延びている。第1ドライブ軸22aは、クランク軸31aに接続されている。第1ドライブ軸22aは、第1船舶推進機12aの上下方向に延びている。第1プロペラ軸23aは、第1船舶推進機12aの前後方向に延びている。第1プロペラ軸23aは、第1シフト機構24aを介して、第1ドライブ軸22aに接続されている。第1プロペラ軸23aにはプロペラ25aが取り付けられる。
【0020】
第1シフト機構24aは、前進ギア32aと、後進ギア33aと、ドッグクラッチ34aとを含む。ドッグクラッチ34aによってギア32a,33aの接続が切り換えられることで、第1ドライブ軸22aから第1プロペラ軸23aへの回転の伝達方向が切り換えられる。それにより、船舶2の前進と後進とが切り換えられる。
【0021】
詳細には、第1シフト機構24aは、前進状態と、後進状態と、中立状態とに切り替え可能である。第1シフト機構24aが前進状態では、ドッグクラッチ34aは前進ギア32aに接続される。それにより、第1プロペラ軸23aを前進方向に回転させるように、第1ドライブ軸22aの回転が第1プロペラ軸23aに伝達される。第1シフト機構24aが後進状態では、ドッグクラッチ34aは後進ギア33aに接続される。それにより、第1プロペラ軸23aを後進方向に回転させるように、第1ドライブ軸22aの回転が第1プロペラ軸23aに伝達される。第1シフト機構24aが中立状態では、ドッグクラッチ34aは、前進ギア32aと後進ギア33aとのいずれからも解放される。それにより、第1ドライブ軸22aの回転は、第1プロペラ軸23aに伝達されない。
【0022】
図3は釣り場情報提供システム1の構成を示す模式図である。図3に示すように、第1船舶推進機12aは、第1シフトアクチュエータ26aと第1ステアリングアクチュエータ27aを含む。第1シフトアクチュエータ26aは、第1シフト機構24aのドッグクラッチ34aに接続されている。第1シフトアクチュエータ26aは、ドッグクラッチ34aを動作させることで、ギア32a,33aの接続を切り換える。それにより、船舶2の前進と後進とが切り換えられる。第1シフトアクチュエータ26aは、例えば電動モータである。ただし、第1シフトアクチュエータ26aは、電動シリンダ、油圧モータ、或いは油圧シリンダなどの他のアクチュエータであってもよい。第1ステアリングアクチュエータ27aは、船体11に設けられており、第1船舶推進機12aに接続されている。第1ステアリングアクチュエータ27aは、第1船舶推進機12aを第1ステアリング軸14a回りに回転させる。それにより、第1船舶推進機12aの舵角が変更される。舵角は、第1船舶推進機12aの前後方向に対する第1プロペラ軸23aの角度である。第1ステアリングアクチュエータ27aは、例えば電動モータである。ただし、第1ステアリングアクチュエータ27aは、電動シリンダ、油圧モータ、或いは油圧シリンダなどの他のアクチュエータであってもよい。
【0023】
第1船舶推進機12aは、第1ECU(Electric Control Unit)28aを含む。第1ECU28aは、CPUなどのプロセッサと、RAMやROMなどのメモリとを含む。第1ECU28aは、第1船舶推進機12aを制御するためのプログラム及びデータを記憶している。第1ECU28aは、第1エンジン21aを制御する。
【0024】
第2船舶推進機12bは、第2エンジン21bと、第2シフトアクチュエータ26bと、第2ステアリングアクチュエータ27bと、第2ECU28bとを含む。第2船舶推進機12bは、第2ステアリング軸(図示しないが、図2の第1ステアリング軸14aと同様の構成)回りに回転可能である。第2船舶推進機12bの第2エンジン21b、第2シフトアクチュエータ26b、第2ステアリングアクチュエータ27b、及び第2ECU28bは、第1船舶推進機12aの第1エンジン21a、第1シフトアクチュエータ26a、第1ステアリングアクチュエータ27a、及び第1ECU28aと、それぞれ同様の構成である。
【0025】
船舶2は、ステアリングホイール41と、リモートコントローラ42と、MFD(Multi Function Display)43と、を含む。図1に示すように、ステアリングホイール41と、リモートコントローラ42と、MFD43とは、船舶2の操船席に配置されている。
【0026】
ステアリングホイール41は、オペレータが船舶2の旋回方向を操作するための装置である。ステアリングホイール41は、センサ410を含む。センサ410は、ステアリングホイール41の操作方向及び操作量を示すステアリング信号を出力する。
【0027】
リモートコントローラ42は、第1スロットルレバー42aと第2スロットルレバー42bとを含む。第1スロットルレバー42aは、オペレータが第1船舶推進機12aのスラストの大きさを調整するための装置である。また、第1スロットルレバー42aは、オペレータが、第1船舶推進機12aのスラストの方向を、前進と後進とに切り替えるための装置である。第1スロットルレバー42aは、中立位置から、前進方向と後進方向とに操作可能である。中立位置は、前進方向と後進方向との間の位置である。第1スロットルレバー42aはセンサ421を含む。センサ421は、第1スロットルレバー42aの操作方向及び操作量を示す第1スロットル信号を出力する。
【0028】
第2スロットルレバー42bは、オペレータが第2船舶推進機12bのスラストの大きさを調整するための装置である。また、第2スロットルレバー42bは、オペレータが、第2船舶推進機12bのスラストの方向を、前進と後進とに切り替えるための装置である。第2スロットルレバー42bの構成は、第1スロットルレバー42aと同様である。第2スロットルレバー42bはセンサ422を含む。センサ422は、第2スロットルレバー42bの操作方向及び操作量を示す第2スロットル信号を出力する。
【0029】
MFD43は、海図および気象状態を表示する。気象状態は、風向き、風速、水温、気温、および降水量等を含む。MFD43は、オペレータが選択可能な、釣りに関する操船機能を表示する。詳しくは後述するが、釣りに関する操船機能は、位置維持機能、方位維持機能、および所定航行機能等を含む。MFD43は、クラウドサーバ3から受信した、推奨される釣り場または航路の情報を表示する。MFD43は、船速およびエンジンの回転数を表示する。
【0030】
MFD43は、入力装置44(選択装置の一例)を含む。入力装置44は、例えばタッチパネルが挙げられるが、スイッチまたはボタン等であってもよい。入力装置44は、MFD43に表示された釣りに関する操船機能(詳しくは後述する)を選択するために操作可能である。入力装置44は、選択された操船機能を示す機能選択信号を出力する。入力装置44は、MFD43に表示された、釣りが推奨される海域を選択するために操作可能である。入力装置44は、選択された海域を示す海域選択信号を出力する。入力装置44は、釣果情報入力装置の一例としてオペレータが釣果情報を入力してもよい。
【0031】
船舶2は、位置センサ45(位置検出部の一例)と方位センサ46とを含む。位置センサ45は、船舶2の現在位置を検出する。位置センサ45は、例えばGPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機である。ただし、位置センサ45は、GNSSの受信機以外センサであってもよい。位置センサ45は、船舶2の現在位置を示す位置信号を出力する。
【0032】
船舶2は、方位センサ46を含む。方位センサ46は、船舶2の現在の方位を検出する。方位センサ46は、例えば、電子コンパスである。ただし、方位センサ46は、電子コンパス以外のセンサであってもよい。方位センサ46は、船舶2の現在の方位を示す方位信号を出力する。
【0033】
船舶2は、操船コントローラ47を含む。操船コントローラ47は、CPUなどのプロセッサと、RAMやROMなどのメモリとを含む。操船コントローラ47は、第1船舶推進機12a及び第2船舶推進機12bを制御するためのプログラム及びデータを記憶している。
【0034】
操船コントローラ47は、第1ECU28a、および第2ECU28bと有線、或いは無線を介して接続されている。操船コントローラ47は、ステアリングホイール41、リモートコントローラ42、およびMFD43と接続されている。
【0035】
操船コントローラ47は、センサ410からステアリング信号を受信する。操船コントローラ47は、センサ421,422からスロットル信号を受信する。操船コントローラ47は、入力装置43から設定信号を受信する。操船コントローラ47は、センサ410,421,422と入力装置43とからの信号に基づいて、第1ECU28aおよび第2ECU28bへ指令信号を出力する。
【0036】
指令信号は、第1ECU28aを介して、第1エンジン21a、第1シフトアクチュエータ26a、第1ステアリングアクチュエータ27aに送信される。指令信号は、第2ECU28bを介して、第2エンジン21b、第2シフトアクチュエータ26b、第2ステアリングアクチュエータ27bに送信される。
【0037】
操船コントローラ47は、第1スロットルレバー42aの操作方向に応じて、第1シフトアクチュエータ26aへの第1シフト指令を出力する。それにより、第1船舶推進機12aの前進と後進とが切り替えられる。操船コントローラ47は、第1スロットルレバー42aの操作量に応じて、第1エンジン21aへの第1スロットル指令を出力する。第1ECU28aは、第1スロットル指令に応じて、第1船舶推進機12aのスラストを制御する。なお、センサ421からの第1スロットル信号は、第1ECU28aへ直接的に入力されてもよい。第1ECU28aは、センサ421からの第1スロットル信号に応じて、第1エンジン21aへの第1スロットル指令を出力してもよい。
【0038】
操船コントローラ47は、第2スロットルレバー42bの操作方向に応じて、第2シフトアクチュエータ26bへの第2シフト指令を出力する。それにより、第2船舶推進機12bの前進と後進とが切り替えられる。操船コントローラ47は、第2スロットルレバー42bの操作量に応じて、第2エンジン21bへの第2スロットル指令を出力する。第2ECU28bは、第2スロットル指令に応じて、第2船舶推進機12bのスラストを制御する。なお、センサ422からの第2スロットル信号は、第2ECU28bへ直接的に入力されてもよい。第2ECU28bは、センサ422からの第2スロットル信号に応じて、第2エンジン21bへの第2スロットル指令を出力してもよい。
【0039】
操船コントローラ47は、ステアリングホイール41の操作方向及び操作量に応じて、第1ステアリングアクチュエータ27aおよび第2ステアリングアクチュエータ27bへの指令信号を出力する。ステアリングホイール41が中立位置から左方に操作されると、操船コントローラ47は、第1船舶推進機12aと第2船舶推進機12bとが右方に回転するように、第1ステアリングアクチュエータ27aおよび第2ステアリングアクチュエータ27bを制御する。それにより、船100は左方に旋回する。
【0040】
ステアリングホイール41が中立位置から右方に操作されると、操船コントローラ47は、第1船舶推進機12aと第2船舶推進機12bとが左方に回転するように、第1ステアリングアクチュエータ27aおよび第2ステアリングアクチュエータ27bを制御する。それにより、船舶2は右方に旋回する。また、操船コントローラ47は、ステアリングホイール41の操作量に応じて、第1船舶推進機12aと第2船舶推進機12bとの舵角を制御する。
【0041】
操船コントローラ47は、位置センサ45と通信可能に接続されている。操船コントローラ47は、位置センサ45からの位置信号により、船舶2の位置を取得する。また、操船コントローラ47は、位置センサ45からの位置信号により、船舶2の速度を取得する。船舶2は、船舶の速度を検出するための別途のセンサを含んでもよい。操船コントローラ47は、方位センサ46と通信可能に接続されている。操船コントローラ47は、方位センサ46からの方位信号により、船舶2の現在の方位を取得する。
【0042】
操船コントローラ47は、入力装置43からの設定信号に基づいて、釣りに関する操船機能で船舶2を自動的に制御する。操船コントローラ47は、所定の操船機能では、船舶2が所定の航路に従って移動するように、船舶推進機12a,12bとステアリングアクチュエータ27a,27bとを制御する。
【0043】
釣りに関する操船機能は、位置維持機能(フィッシュポイント機能)を含む。位置維持機能は、例えば、静止して釣りを行う場合に用いられる。図4(a)および図4(b)は、位置維持機能を説明するための図である。図4(a)では、船首から船尾に向かって風Wが吹いている状態で微前後進しながら位置を維持するように位置維持機能が実行されている。図4(b)は、船尾から船首に向かって風Wが吹いている状態で微前後進しながら位置を維持するように位置維持機能が実行されている。入力装置44を用いて位置維持機能が選択されると、操船コントローラ47は、例えば、位置センサ45からの位置信号に基づいて微速で前後進を調節しながら可能な限り所定位置を維持するように船舶推進機12a,12bを制御する。維持する所定位置は、MFD43に表示された海図上の位置を選択することによって設定してもよい。維持する所定位置は、位置を維持したい位置に船舶2が到達したときにオペレータが入力装置44を用いて位置維持機能を選択することによって設定されてもよい。
【0044】
釣りに関する操船機能は、方位維持機能(ドリフトポイント機能)を含む。方位維持機能は、例えば、流し釣りを行う場合に用いられる。方位維持機能は、船舶2の方位を維持して風や潮流の流れに乗る。図5は、方位維持機能を説明するための図である。図5では、左舷船首側から右舷船尾側に向かって風Wが吹いている状態で船舶2の向きを固定している方位維持機能が実施されている。入力装置44を用いて方位維持機能が選択されると、操船コントローラ47は、図5に示すように、方位センサ46からの方位信号に基づいて船舶2が所定方位を維持するように船舶推進機12a,12bを制御する。図5では、風Wによって移動した船舶2が二点鎖線で示されている。
【0045】
釣りに関する操船機能は、所定航行機能(パターンステア機能)を含む。所定航行機能は、予め設定された航路パターンで船舶2を航行させる。所定航行機能は、複数のパターンを設定することができる。オペレータは、入力装置44によって所定航行機能に含まれる複数の航路パターンのうちいずれかの航路パターンを選択することができる。所定航行機能は、例えば、魚が釣れるポイントを探すために用いられる。
【0046】
複数の航路パターンは、図6に示されるジグザグ状の第1航路パターンA1を含む。所定航行機能のうち第1航路パターンが選択されているときには、操船コントローラ47は、船舶2がジクザク状に移動するように船舶推進機12a,12bを制御する。例えば、オペレータが入力装置44を用いて、ジグザグ状の直進の距離L1と角度αとを入力することによって、第1航路パターンA1を設定することができる。
【0047】
複数の航路パターンは、図7で示されるスパイラル状の第2航路パターンA2を含む。所定航行機能のうち第2航路パターンが選択されているときには、操船コントローラ47は、船舶2がスパイラル状に移動するように船舶推進機12a,12bを制御する。例えば、オペレータが入力装置44を用いて、旋回の初期半径r1と増加半径Δrを入力することによって、航路パターンA2を設定することができる。
【0048】
複数の航路パターンは、図8で示される第3航路パターンA3を含む。第3航路パターンA3は、目標位置通過後に目標位置周囲を航行する。所定航行機能のうち第3航路パターンが選択されているときには、操船コントローラ47は、所定位置P1を通過し、所定位置P1を中心として半径r2の円周を描いて移動するように船舶推進機12a,12bを制御する。例えば、オペレータが入力装置44を用いて、所定位置P1と半径r2を入力することによって、第3航路パターンA3を設定することができる。
【0049】
複数の航路パターンは、図9で示される目標位置を中心に8の字を描いて航行する第4航路パターンA4を含む。所定航行機能のうち第4航路パターンが選択されているときには、操船コントローラ47は、所定位置P2を中心に8の字を描いて移動するように船舶推進機12a、12bを制御する。例えば、オペレータが、所定位置P2と、所定位置P2から進入方向D1に沿って移動する移動距離L1と、回転半径r3を入力することによって第4航路パターンA4を設定することができる。
【0050】
複数の航路パターンは、図10で示される円周を描きながら所定方向に移動する第5航路パターンA5を含む。所定航行機能のうち第5航路パターンが選択されているときには、操船コントローラ47は、開始位置P3から円を描き進入方向D2と同じ方向を向いた位置から距離L2移動するように船舶推進機12a、12bを制御する。例えば、オペレータが入力装置44を用いて、開始位置P3と回転半径r4と、距離L2と、終了位置P4を入力することによって第5航路パターンA5を設定することができる。
【0051】
図3に示すように、船舶2は、DCM(Data Communication Module)48(通信装置の一例)を含む。DCM48は、操船コントローラ47に接続されている。DCM48は、実行された釣りに関する操船機能と、操船機能の実行情報と、を示す釣り関連情報信号をクラウドサーバ3に送信する。実行された釣りに関する操船機能は、上述した位置維持機能、方位維持機能、および所定航行機能のうち選択されて実行された機能である。実行情報は、操船機能が実行された場所、時間、気温、水温、および気象条件を含む。場所は、位置センサ45が位置信号として操船コントローラ47に出力する。時間、気温、水温、および気象条件は気象信号としてMFD43が操船コントローラ47に送信する。操船コントローラ47は、実行された釣りに関する操船機能に、操船機能が実行された実行情報を紐づけて、釣り関連情報信号をDCM48に出力する。操船コントローラ47は、実行された釣りに関する操船機能と、実行情報に、入力装置44に入力された釣果情報を加えた釣り関連情報信号をDCM48からクラウドサーバ3に送信してもよい。なお、1つの船舶2に限らず、複数の船舶2から釣り関連情報信号がクラウドサーバ3に送信されてもよい。DCM48は、クラウドサーバ3から送信される釣り場情報信号(後述する)を受信する。
【0052】
クラウドサーバ3は、図3に示すように、受信部51と、推定部52と、送信部53と、を含む。受信部51は、1つまたは複数の船舶2から、釣り関連情報信号を受信する。推定部52は、受信部51が受信した釣り関連情報信号に基づいて、推奨する釣り場または航路を推定する。推定部52は、例えば、所定の操船機能が実行された位置が多い海域を、推奨する釣り場または航路とする。送信部53は、推定部52が推定した釣り場または航路を示す釣り場情報信号をDCM48に送信する。クラウドサーバ3が送信した釣り場情報は、MFD43に表示される。
【0053】
次に、推定部52による推奨する釣り場の推定について説明する。図11は、推奨する釣り場の推定を説明するための図である。図11には、陸地Gと、海Sが示されている。位置維持機能が実行された位置がポイントA0として示されている。方位維持機能が実行された航路がA6として示されている。
【0054】
図11に示すように、推定部52は、位置維持機能が実行された位置が多い海域を、釣りを推奨する推奨海域R1(推奨する釣り場の一例)として推定する。推定部52は、例えば、ポイントA0が、所定距離以内で所定数以上存在する場合に、ポイントA0が存在する海域を推奨する釣り場として推定することができる。
【0055】
図12に示すように、推定部52は、方位維持機能が実行された航路が多い海域を、釣りを推奨する推奨海域R2、R3(推奨する釣り場または航路の一例)として推定する。推定部52は、例えば、航路A6が所定距離以内で所定数以上存在する場合に、航路A6が存在する海域を推奨する釣り場として設定することができる。図12では、2つの推奨する推奨海域R2、R3が示されている。
【0056】
図13に示すように、推定部52は、所定航行機能が実行された航路が多い海域を、釣りを推奨する推奨海域R4、R5(推奨する釣り場または航路の一例)として推定する。推定部52は、例えば、航路パターンA1~A5が所定距離以内で所定数以上存在する場合に、航路パターンA1~A5が存在する海域を推奨する釣り場として推定することができる。なお、航路パターンA1~A5ごとに分けて、それぞれの航路パターンが多い海域を検出して、推奨海域として推定してもよい。なお、図13では、位置維持機能が実行された位置が多い推奨海域R1も示されている。
【0057】
推定部52は、入力装置43に入力された釣果情報に基づいて、釣りを推奨する海域を推定してもよい。例えば、図13に示す海域R1、R4、R5のうち最も釣果が良好な海域だけを推奨海域としてもよい。この場合、他の海域の情報を含まず、推奨海域のみの情報を示す釣り場情報信号をDCM48に送信してもよい。また、釣果情報が良い順に推奨度合いを高く設定して釣り場情報をDCM48に送信してもよい。
【0058】
複数の操船機能が実行された場合、推定部52は、複数の操船機能の組み合わせと、それぞれの操船機能の実行情報に基づいて、釣りを推奨する海域を推定してもよい。例えば、所定航行機能が実行された後に位置制御機能が実行された場合、魚を探した後に、発見したポイントで釣りを行っていると考えられるため、その位置を、釣りを推奨する海域として推定してもよい。例えば、図14に示すように、所定航行機能のうち複数の第1航路パターンA1が実行された後に、位置制御機能が実行された複数のポイントA0が存在していることから、海域R4のなかの海域R4aを、推奨海域として推定してもよい。
【0059】
推定部52は、複数の操船機能の組み合わせに基づいて推定した推奨海域を、他の推奨海域よりも推奨度合いを高く設定した釣り場情報信号をDCM48に送信してもよい。
【0060】
推定部52は、複数の操船機能のうち特定の操船機能を実行されたことと、その操船機能の実行情報と、に基づいて、推定した推奨海域の推奨度合いを他の推奨海域の推奨度合いよりも高く設定した釣り場情報信号をDCM48に送信してもよい。例えば、図13において、特定の操船機能を位置制御機能とする場合、位置維持機能が実行された推奨海域R1を他の推奨海域R4、R5よりも推奨度合いを高くすることができる。
【0061】
推定部52は、操船機能を実行したときの気温、水温、または気象条件を含む環境情報が、現在の環境情報に最も近い推奨海域を他の推奨海域よりも推奨度合いを高く設定した釣り場情報信号をDCM48に送信してもよい。例えば、図13において推奨海域R1、R4、R5における水温が異なり、推奨海域R4の水温が現在の水温に最も近い場合、推奨海域R4の推奨度合いが他の推奨海域R1およびR5の推奨度合いよりも高く設定された釣り場情報信号がDCM48に送信される。
【0062】
推定部52は、最近の操船機能に基づいて推奨海域の推奨度合いを他の推奨海域の推奨度合いよりも高く設定してもよい。例えば、図13において、推奨海域R4における所定航行機能が実行されている時刻が現在に最も近い場合、推奨海域R4の推奨度合いが他の推奨海域R1およびR5よりも高く設定された釣り場情報がDCM48に送信される。
【0063】
DCM48に送信された釣り場情報は、MFD43に表示される。図15は、MFD43の表示の一例を示す図である。図15に示すように、推奨海域R1~R5がMFD43に表示されている。MFD43は、オペレータが、推奨海域R1~R5のそれぞれを認識できるように表示すればよい。MFD43は、海図上において、例えば、推奨海域R1~R5を、各々の周囲を線で囲む、若しくは色を変えることによって示すことができる。
【0064】
MFD43は、DCM48を介して受信した釣り場情報について、推奨度合いの高い推奨海域を、他の推奨海域よりも優先して表示する。例えば、MFD43において、推奨度合いの高い推奨海域の囲む線を点滅させる、若しくは他の推奨海域とは色を変更することによって優先して表示してもよい。推奨度の高い順に、推奨海域を囲む線の光を明るくしてもよいし、彩度を明るくさせてもよい。また、はじめは推奨度の高い推奨海域のみを表示させ、画面をタップするなどすることによって順に他の推奨海域を表示させてもよい。
【0065】
MFD43に表示された釣りを推奨する推奨海域R1~R5のいずれかをオペレータが選択した場合、操船コントローラ47は、選択された釣り場に自動で船舶2が移動若しくは航路を自動で船舶2が移動するように船舶推進機12a、12bを制御する。例えば、推奨海域R1が選択された場合、操船コントローラ47は、自動で推奨海域R1である釣り場まで船舶2を移動する。例えば、推奨海域R2、R3、R4またはR5が選択された場合、操船コントローラ47は、推奨海域R2、R3、R4またはR5まで自動で船舶2を航行し、その後、推奨海域R2、R3、R4またはR5である航路を自動で移動させる。なお、図15では、MFD43に複数の釣りを推奨する推奨海域が表示されているが、釣りを推奨する推奨海域が1つだけ表示されてもよい。
【0066】
操船コントローラ47は、選択した推奨海域に自動で船舶2を移動させた後、選択した推奨海域で実行されていた操船機能を実行してもよい。例えば、オペレータが推奨海域R1を選択した場合、操船コントローラ47は、自動で船舶2を推奨海域R1に移動させた後、自動で位置保持機能を実行するように船舶推進機12a、12bを制御する。オペレータが推奨海域R2を選択した場合、操船コントローラ47は、自動で船舶2を推奨海域R2に移動させた後、自動で方位維持機能を実行するように船舶推進機12a、12bを制御する。オペレータが推奨海域R4を選択した場合、操船コントローラ47は、自動で船舶2を推奨海域R4に移動させた後、自動で所定航行機能のうちジグザグ状の航路パターンA1を実行するように船舶推進機12a、12bを制御する。
【0067】
上記のようにオペレータが選択した海域に自動で移動しなくてもよい。自動で選択したMFD43に表示された推奨海域R1~R5のいずれかをオペレータが選択した場合、操船コントローラ47は、MFD43に、選択した海域に向かう航路を表示してもよい。図16には、推奨海域R1が選択された場合に、推奨海域R1までの航路A10が表示された表示画面が示されている。オペレータは、この航路に基づいて操船を行って所望の推奨海域に向かうことができる。
【0068】
次に、本実施形態の釣り場情報提供システムの動作の一例について説明する。図17は、釣り場情報提供システムの動作の一例を示すフロー図である。
【0069】
はじめにステップS1において、船舶2が、実行した釣りに関する操船機能および操船機能の実行情報を示す釣り関連情報信号をDCM48からクラウドサーバ3に送信する。釣り関連情報信号の送信は、操船機能を実行する毎に行ってもよいし、所定時間ごとにまとめて送信してもよい。
【0070】
次に、ステップS2において、クラウドサーバ3が、船舶2から、釣り関連情報信号を受信する。クラウドサーバ3は、複数の船舶2から釣り関連情報信号を受信する方が好ましい。
【0071】
次に、ステップS3において、クラウドサーバ3の推定部52は、受信した釣り関連情報信号が示す操船機能および操船機能の実行情報に基づいて、釣りを推奨する推奨海域を推定する。
【0072】
次に、ステップS4において、クラウドサーバ3の送信部53は、推定した推奨海域の釣り場情報を示す釣り場情報信号を船舶2に送信する。釣り場情報信号の送信は、釣り場情報の提供を求めてきた船舶2に対してのみ行ってもよいし、提供する釣り場情報の海域に存在する船舶2の全てに行ってもよい。
【0073】
次に、ステップS5において、船舶2は、DCM48を介して受信した釣り場情報信号に基づいて推奨される釣り場情報をMFD43に表示する。例えば、図15に示すように、MFD43には、釣りを推奨する推奨海域R1~R5が表示される。
【0074】
次に、ステップS6において、オペレータが入力装置43を用いて推奨海域R1~S5のいずれかを選択すると、操船コントローラ47は入力装置43から海域選択信号を受信する。
【0075】
次に、ステップS7において、操船コントローラ47は、選択された推奨海域に船舶2が自動で移動するように船舶推進機12a、12bを制御する。ステップS7において、自動で移動する代わりに、図16に示すように選択した推奨海域までの航路をMFD43に表示してもよい。
【0076】
次に、ステップS8において、操船コントローラ47は、船舶2が選択した推奨海域に移動すると、選択した推奨海域で実行されていた操船機能を実行する。なお、船舶2が推奨海域に到達した後自動で操船機能を実行してもよいが、オペレータが実行を選択した場合に操船機能を実行するようにしてもよい。例えば、選択した推奨海域に到着するとMFD43に実行されていた操船機能を実行するか否かの選択ボタンが表示され、オペレータが実行を選択した場合に、操船機能を実行するように制御してもよい。
【0077】
以上のように、船舶2において釣りに関する操船機能を実行した場合、その操船機能を実行した場所で釣りを行っていたことが分かるため、釣りを行っていたか否かを精度良く判別することができる。
【0078】
操船機能および実行情報が船舶2からクラウドサーバ3に送信されるため、オペレータが手作業で入力する必要がなく、オペレータに手間をかけさせずに、釣りに関する情報をクラウドサーバ3に集めることができる。
【0079】
これにより、オペレータに手間をかけさせずに、サーバが推奨される釣り場を推定し、推奨される釣り場をオペレータに提案することができる。
【0080】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0081】
上記実施形態では、クラウドサーバ3との通信装置の一例としてDCM48が船舶2に設けられているが、DCM48に限らなくてもよい。例えば、船舶2に持ち込んだ携帯端末を操船コントローラ47とクラウドサーバ3と接続させてもよい。その場合、釣り関連情報信号は、携帯端末からクラウドサーバ3に送信される。また、クラウドサーバ3から送信される釣り場情報信号は、携帯端末を介して操船コントローラ47が受信する。更に、オペレータが釣果情報をMFD43に入力する代わりに携帯端末に入力してもよい。
【0082】
上記実施形態では、船舶推進機12a、12bは、船外機であると述べたが、船外機に限らず、変更されてもよい。例えば、船舶推進機12a、12bは、船内外機、或いは、ジェット推進機であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明によれば、オペレータに手間をかけさせずに釣りをしていたことを精度良く判別し、推奨される釣り場を提案することが可能な釣り場情報提供システム、釣り場情報提供方法、およびサーバを提供することができる。
【符号の説明】
【0084】
1:釣り場情報提供システム、2:船舶、3:クラウドサーバ、11:船体、12a:第1船舶推進機、12b:第2船舶推進機、13a:ブラケット、14a:第1ステアリング軸、21a:第1エンジン、21b:第2エンジン、22a:第1ドライブ軸、23a:第1プロペラ軸、24a:第1シフト機構、25a:プロペラ、26a:第1シフトアクチュエータ、26b:第2シフトアクチュエータ、27a:第1ステアリングアクチュエータ、27b:第2ステアリングアクチュエータ、28a:第1ECU、28b:第2ECU、31a:クランク軸、32a:前進ギア、33a:後進ギア、34a:ドッグクラッチ、41:ステアリングホイール、42:リモートコントローラ、42a:第1スロットルレバー、42b:第2スロットルレバー、43:MFD、44:入力装置、45:位置センサ、46:方位センサ、47:操船コントローラ、48:DCM、51:受信部、52:推定部、53:送信部、410:センサ、421:センサ、422:センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17