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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086235
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】光学装置、光源装置、及び投影装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240620BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240620BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240620BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 F
H04N5/74 A
H04N9/31 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201259
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩永 正国
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5C060
【Fターム(参考)】
2K203FA04
2K203FA25
2K203FA32
2K203GA23
2K203GA32
2K203GA33
2K203GA35
2K203HA25
2K203HA43
2K203MA05
2K203MA32
5C058BA06
5C058EA51
5C060EA00
5C060HC17
5C060JA00
5C060JA29
5C060JB06
(57)【要約】
【課題】装置を小型としつつ光量ムラを低減する光学装置、光源装置及び投影装置を提供する。
【解決手段】光学装置としてのホイール装置150は、偏光変換領域151aを備えるホイール部材151を有し、偏光変換領域151aは、光の入射側に設けられ、円周方向に複数配置される1/4波長板を備える第1偏光変換層151a1と、第1偏光変換層151a1の出射側に設けられ、円周方向に複数配置される1/4波長板を備える第2偏光変換層151a2と、を有し、第2偏光変換層151a2の複数の1/4拡散板158の各光学軸158b2は、第1偏光変換層151a1の複数の1/4波長板158の各光学軸158b1に対してズレて配置される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光変換領域を備えるホイール部材を有し、
前記偏光変換領域は、光の入射側に設けられ、前記ホイール部材の円周方向に配置される複数の1/4波長板を備える第1偏光変換層と、前記第1偏光変換層の出射側に設けられ、前記円周方向に配置される複数の1/4波長板を備える第2偏光変換層と、を有し、
前記第2偏光変換層の複数の1/4波長板の各光学軸は、前記第1偏光変換層の複数の1/4波長板の各光学軸に対してズレて配置される、光学装置。
【請求項2】
前記第1偏光変換層と、前記第2偏光変換層とは前記光の入射方向に重なって配置されている、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記第1偏光変換層及び前記第2偏光変換層は、それぞれ、径方向に切断した対向する2つの斜面を備える同じ開き角度の前記1/4波長板を有し、
前記第2偏光変換層の各1/4波長板は、少なくとも一部が光の入射方向に重なる前記第1偏光変換層の各1/4波長板に対して円周方向に前記開き角度の半角分ズレて配置される、
請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記ホイール部材は、透過領域を有する、請求項1に記載の光学装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光学装置を有し、
前記ホイール部材に向けて励起光を出射可能に設けられる第1光源と、
前記励起光が照射されることにより蛍光光を出射する第2光源と、
を有し、
前記ホイール部材と前記第2光源との間の光路上には、光学面が交差して配置される第1光学面と第2光学面を備える分光光学素子が設けられ、
前記第1光学面は、前記ホイール部材から出射される光の一方の偏光方向の光を合成光路に向けて反射し、他方の偏光方向の光を前記第2光源に向けて透過し、
前記第2光学面は、前記ホイール部材から出射される光を透過し、前記第2光源からの光を前記合成光路に向けて反射する、
光源装置。
【請求項6】
出射光が前記分光光学素子に入射するよう配置される第3光源を有し、
前記第1光学面及び前記第2光学面は、前記第3光源からの出射光を前記合成光路に向けて透過する、請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光源光が照射され、画像光を形成する表示素子と、
前記表示素子から出射された前記画像光をスクリーンに投影する投影光学系と、
前記表示素子と前記光源装置を制御する投影装置制御部と、
を有する投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置、光源装置、及び投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、パーソナルコンピュータの画面やビデオ画面、メモリカード等に記憶されている画像データ等をスクリーンに投影する投影装置が利用されている。この投影装置は、光源から出射された光をDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)と呼ばれるマイクロミラー表示素子や液晶板に集光させ、スクリーン上にカラー画像を表示させている。
【0003】
例えば、特許文献1には、直線状の光学軸を有する複数の1/4波長板を含む偏光変換層を備える反射領域と、緑色蛍光発光領域と、赤色蛍光発光領域とが並設された蛍光ホイールを有する光学装置と、s偏光で青色波長帯域光を出射する青色レーザダイオードと、s偏光の光を蛍光ホイールに向けて反射して、緑色波長帯域光、赤色波長帯域光及びp偏光の青色波長帯域光を透過するダイクロイックミラーと、が設けられた光源装置を有する投影装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6807036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の光学装置における反射領域では、偏光方向に対して各1/4波長板の光学軸が45度であれば、入射したs偏光の青色波長帯域光は、1/4波長板を2回透過することでp偏光の直線偏光として出射される。しかしながら、光学装置の蛍光ホイールは回転するため、偏光方向に対する光学軸の角度は、45度以外の角度となり、楕円偏光となる。この楕円偏光の楕円方向は、蛍光ホイールの回転に伴って変化する。すると、ダイクロイックミラーに入射する青色波長帯域光は、p偏光の直線偏光に近い状態の楕円偏光とp偏光の直線偏光からやや離れた状態の楕円偏光とが周期的に変化することとなる。すると、ダイクロイックミラーを透過する青色波長帯域光は、周期的な光量ムラが生じ、DMDにおいては階調に乱れが生じてしまう。青色波長帯域光の光量ムラを解消するため、青色レーザダイオードの出力強度を周期的に増減させることも上記文献に開示されているが、そうすると、高強度な出力に対応した電源や冷却装置等の機器が必要となり、装置の大型化を招く場合がある。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、装置を小型としつつ光量ムラを低減する光学装置、光源装置及び投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光学装置は、偏光変換領域を備えるホイール部材を有し、前記偏光変換領域は、光の入射側に設けられ、前記ホイール部材の円周方向に配置される複数の1/4波長板を備える第1偏光変換層と、前記第1偏光変換層の出射側に設けられ、前記円周方向に配置される複数の1/4波長板を備える第2偏光変換層と、を有し、前記第2偏光変換層の複数の1/4波長板の各光学軸は、前記第1偏光変換層の複数の1/4波長板の各光学軸に対してズレて配置される。
【0008】
本発明の光源装置は、上述の光学装置を有し、前記ホイール部材に向けて励起光を出射可能に設けられる第1光源と、前記励起光が照射されることにより蛍光光を出射する第2光源と、を有し、前記ホイール部材と前記第2光源との間の光路上には、光学面が交差して配置される第1光学面と第2光学面を備える分光光学素子が設けられ、前記第1光学面は、前記ホイール部材から出射される光の一方の偏光方向の光を合成光路に向けて反射し、他方の偏光方向の光を前記第2光源に向けて透過し、前記第2光学面は、前記ホイール部材から出射される光を透過し、前記第2光源からの光を前記合成光路に向けて反射する。
【0009】
本発明の投影装置は、上述の光源装置と、前記光源装置からの光源光が照射され、画像光を形成する表示素子と、前記表示素子から出射された前記画像光をスクリーンに投影する投影光学系と、前記表示素子と前記光源装置を制御する投影装置制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置を小型としつつ光量ムラを低減する光学装置、光源装置及び投影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る投影装置の機能回路ブロックを示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る投影装置の内部構造を示す平面模式図である。
図3】本発明の実施形態に係るホイール装置のホイール部材を正面側から見た模式図である。
図4】本発明の実施形態に係るホイール装置のホイール部材の偏光変換領域の斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る光源装置の励起光照射装置、固定蛍光装置、赤色光源装置からの光が分光光学素子に入射され、光源光学系の合成光路に出射される様子を示す模式図である。
図6】本発明の実施形態に係るホイール装置のホイール部材の照射スポットに光が照射する状態であって、偏光変換領域を部分的に示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係るホイール装置のホイール部材の照射スポットに光が照射する状態が図6から変化した状態であって、偏光変換領域を部分的に示す斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係るホイール装置のホイール部材の照射スポットに光が照射する状態が図7から変化した状態であって、偏光変換領域を部分的に示す斜視図である。
図9】本発明の実施形態に係るホイール装置のホイール部材の回転により変化する、第1偏光変換層の1/4波長板の光学軸とホイール部材の照射位置(照射スポットQ)における入射する光の偏光方向とがなす角と、第1光学面により反射された後の光の明るさの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、投影装置10の機能回路ブロック図である。投影装置制御部は、画像変換部23と制御部38とを含むCPU、入出力インターフェース22を含むフロントエンドユニット、表示エンコーダ24と表示駆動部26等から構成される。入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバスSBを介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
【0013】
また、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶した上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0014】
表示駆動部26は、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜のフレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動する。本実施形態では、表示素子51は、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)である。投影装置10は、光源装置60から出射された光線束を、導光光学系140(図2参照)を介して表示素子51に照射することにより、表示素子51の反射光で画像光を形成し、投影光学系220(図2参照)を介して図示しないスクリーン等の被投影体に画像を投影表示する。なお、この投影光学系220の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動を行うことができる。
【0015】
また、画像圧縮/伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体であるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。さらに、画像圧縮/伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力する。よって、画像圧縮/伸長部31は、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の出力を行うことができる。
【0016】
制御部38は、投影装置10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成される。
【0017】
キー/インジケータ部37は、筐体に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成される。キー/インジケータ部37の操作信号は、制御部38に直接送出される。また、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36でコード信号に復調されて制御部38に出力される。
【0018】
制御部38はシステムバスSBを介して音声処理部47と接続されている。音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
【0019】
制御部38は、光源制御回路41を制御している。光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光源装置60から出射されるように、光源装置60における励起光照射装置70、赤色光源装置90、固定蛍光装置100、及びホイール装置150(図2参照)の動作を個別に制御する。
【0020】
さらに、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源装置60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファン62(図2参照)の回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等により投影装置10本体の電源オフ後も冷却ファン62の回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によっては投影装置10本体の電源をオフにする等の制御も行う。
【0021】
次に、投影装置10の内部構造について説明する。図2は、投影装置10の内部構造を示す平面模式図である。ここで、投影装置10の筐体は、略箱状に形成されて、図示しない上面パネル及び下面パネルと、正面パネル12、背面パネル13、右側パネル14及び左側パネル15を備えている。また、投影装置10は、正面側に投影口12aを有する。なお、以下の説明においては、投影装置10における左右とは投影口12aからの投影方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影装置10のスクリーン側方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0022】
投影装置10は、その内部空間の略右後部分に光源装置60を備える。光源装置60と左側パネル15の間には、光源光学系180や投影光学系220が配置されている。光源装置60は、正面パネル12の近傍に配置されるヒートシンク61と、ヒートシンク61の上方に配置される冷却ファン62とを有する。
【0023】
光源装置60は、青色波長帯域光を出射する励起光照射装置70と、緑色波長帯域光を出射する緑色光源装置80と、赤色波長帯域光を出射する赤色光源装置90と、を備える。緑色光源装置80は、励起光照射装置70と固定蛍光装置100により構成される。また、光源装置60には、青色波長帯域光、赤色波長帯域光、緑色波長帯域光を導光する導光光学系140が配置されている。導光光学系140は、各装置(励起光照射装置70、緑色光源装置80、赤色光源装置90)から出射される各色波長帯域光を光源光学系180の合成光路へ導光する。
【0024】
励起光照射装置70は、ヒートシンク61の後側に設けられる。励起光照射装置70は、ヒートシンク61と接続するプレート73を有し、ホルダ72は、プレート73に設けられている。ホルダ72は、第1光源とされる青色レーザダイオード71を保持する。青色レーザダイオード71が保持されるホルダ72の取付面72aは、右側から左側に亘って下るように傾斜して設けられる。青色レーザダイオード71は、傾斜する取付面72a上に配置されている。
【0025】
なお、以下の説明では、半導体発光素子である青色レーザダイオード71が青色波長帯域光を出射する方向をy軸における+y方向とし、投影装置10の上方向をz軸における+z方向とし、右側パネル14から左側パネル15に向かう方向における、y軸及びz軸に垂直な方向をx軸における+x方向とする。
【0026】
青色レーザダイオード71の出射側の光軸上には、拡散板141が設けられている。青色レーザダイオード71からの出射光は、拡散板141の拡散面により拡散され、拡散板141を透過する。
【0027】
拡散板141の出射側には、光学装置であるホイール装置150が設けられている。ホイール装置150には、ホイール部材151と、ホイールモータ152が設けられている。ホイール部材151は、ホイールモータ152の回転軸152a(図3参照)に固定されている。従って、ホイール部材151は、ホイールモータ152により回転可能に設けられている。ホイール部材151の入射側と拡散板141との間には、集光レンズ153が設けられている。ホイール部材151を挟んだ集光レンズ153の反対側であるホイール部材151の出射側には、集光レンズ群154が設けられている。
【0028】
図3に示すように、ホイール部材151は、偏光変換領域151aと、透過領域151bが円周方向に並設して設けられている。透過領域151bは、ガラス板等により形成されて、全波長帯域の光を透過可能に形成されている。
【0029】
偏光変換領域151aは、図4に示すように、第1偏光変換層151a1と、第2偏光変換層151a2の2層からなる。第1偏光変換層151a1及び第2偏光変換層151a2は、それぞれ複数の1/4波長板158を備えている。1/4波長板158は、円環を径方向で複数に切断した環状扇形とされている。従って、1/4波長板158は、径方向に切断した対向する2つの面としての斜面158aを備える。
【0030】
斜面158aを詳述すると、例えば、図4において、第1偏光変換層151a1における一の1/4波長板158における縁部の面K11,K12は、一対の対向する2つの斜面158aである。第2偏光変換層151a2における一の1/4波長板158における縁部の面K21,K22は、一対の対向する2つの斜面158aである。第1偏光変換層151a1及び第2偏光変換層151a2の各1/4波長板158は、縁部の面(例えばK11,K12,K21,K22)同士が接合して配置されている。なお、1/4波長板158は、環状扇形の他、対向する斜面158aを備える台形(具体的には、底面が台形の立体)とすることもできる。
【0031】
図3に戻り、偏光変換領域151aは、円環状のホイール部材151の一部である約90度(例えば、88度)の角度範囲で設けられている。第1偏光変換層151a1は、ホイール部材151の入射側(集光レンズ153側)に設けられ、第2偏光変換層151a2は、第1偏光変換層151a1の出射側(集光レンズ群154側)に設けられている。第1偏光変換層151a1と第2偏光変換層151a2は、重ねて配置されている。
【0032】
第1偏光変換層151a1には、複数である4枚の1/4波長板158が円周方向に配置されている。第2偏光変換層151a2も同様に複数の1/4波長板158が円周方向に配置されているが、その両端には、他の1/4波長板158の半分の大きさの1/4波長板158-1,158-2が配置されている。
【0033】
1/4波長板158-1,158-2における開き角度θ2(斜面158a間の角度。具体的には、対向する2つの斜面158aを交わるまで延伸させたときの上記2つの斜面158aが成す角度。例えば、11度。)は、他の複数の1/4波長板158の開き角度θ1(斜面158a間の角度。具体的には、対向する2つの斜面158aを交わるまで延伸させたときの上記2つの斜面158aが成す角度。例えば、22度。)に対して半角とされている。換言すれば、他の複数の1/4波長板158の開き角度は、開き角度θ1で同じである。そして、両端の1/4波長板158-1,158-2の間には、3枚の1/4波長板158が配置されている。第1偏光変換層151a1及び第2偏光変換層151a2は、第1偏光変換層151a1及び第2偏光変換層151a2の両端の斜面158aが一致するように配置されている。
【0034】
第1偏光変換層151a1の4枚の環状扇形をした1/4波長板158の光学軸158b1は、開き角度θ1の中心線CLに対して45度傾いた方向とされている。第2偏光変換層151a2も同様に1/4波長板158の光学軸158b2は、開き角度θ1の中心線CLに対して45度傾いた方向とされている。また、その両端には、第2偏光変換層151a2の1/4波長板158の半分の大きさの1/4波長板158-1,158-2が配置され、その光学軸158b2-1,158b2-2は、隣接する1/4波長板158の光学軸158b2とは反対側の端部に対して45度傾いた方向とされている。なお、図では1/4波長板158の光学軸158bを1本の一点鎖線で示しているが、実際には複数本の光学軸158bが設けられている。
【0035】
このようにして、第2偏光変換層151a2は、第1偏光変換層151a1に対して円周方向に開き角度θ1の半角分(すなわち、開き角度θ2だけ)ズレて配置されている。換言すれば、第2偏光変換層151a2の複数の1/4波長板158のそれぞれは、少なくとも一部が重なる第1偏光変換層151a1の1/4波長板158に対して、ホイール部材151の円周方向に開き角度θ2だけズレて配置されている。ここで、図3に示すように、1/4波長板158の光学軸158bは、直線状とされている。従って、第1偏光変換層151a1の各1/4波長板158の光学軸158b1と、第2偏光変換層151a2の各1/4波長板158の光学軸158b2は、(励起光照射装置70から出射される青色帯域光の入射方向から見たときに)ズレて配置される。より具体的には、第1偏光変換層151a1の各1/4波長板158の光学軸158b1と、第1偏光変換層151a1の各1/4波長板158と少なくとも一部が青色帯域光の入射方向に重なる第2偏光変換層151a2の1/4波長板158の光学軸158b2は、(励起光照射装置70から出射される青色帯域光の入射方向から見たときに)ズレて配置される。
【0036】
図2に戻り、集光レンズ群154の出射側には、分光光学素子143が設けられている。分光光学素子143の背面パネル13側には、緑色光源装置80の固定蛍光装置100が設けられている。固定蛍光装置100と分光光学素子143の間には、集光レンズ144,145が設けられている。第2光源としての固定蛍光装置100は、ミラー加工された表面に緑色蛍光体層が設けられ、励起光照射装置70からの励起光が照射されることにより、緑色蛍光体層の緑色蛍光体から全方位に緑色波長帯域の蛍光が出射される。固定蛍光装置100からの緑色波長帯域の蛍光は、集光レンズ144,145により集光されて、分光光学素子143に入射される。
【0037】
固定蛍光装置100の背面側には、伝熱プレート101が設けられている。伝熱プレート101は、ヒートパイプ102を介して、ヒートシンク61と接続されている。
【0038】
また、分光光学素子143の右側パネル14側には、赤色光源装置90が設けられている。赤色光源装置90は、第3光源とされる赤色発光ダイオード91と、赤色発光ダイオード91からの出射光を集光する集光レンズ92とを有する。赤色発光ダイオード91は、光軸をx軸と平行とする赤色波長帯域光を出射する半導体発光素子である。赤色発光ダイオード91が配置される基台93は、赤色発光ダイオード91の出射方向と反対側で伝熱ブロック94と接続している。伝熱ブロック94は、伝熱プレート94a、ヒートパイプ95を介してヒートシンク61と接続されている。
【0039】
分光光学素子143は、ホイール装置150のホイール部材151と固定蛍光装置100との間の光路上(y軸に平行であって、青色レーザダイオード71の光軸と一致する光路)に設けられる。そして、分光光学素子143は、光学面が交差して配置される第1光学面143aと第2光学面143bを備えている。分光光学素子143は、入射する各色波長帯域光を、x軸に平行であって赤色発光ダイオード91の光軸と一致する光路である、光源光学系180の光軸、すなわち合成光路に向けて出射する。
【0040】
分光光学素子143について、図5を用いて説明する。なお、図5は、見易くするため、各色波長帯域光の光軸はずらして記載している。また、ホイール装置150、赤色光源装置90、固定蛍光装置100、光源光学系180は、模式的に示している。
【0041】
分光光学素子143は、三角柱形状の4つのプリズム143-1,143-2,143-3,143-4が接合されてキューブ状の形状(直方体形状)とされている。各プリズム143-1,143-2,143-3,143-4は、Z軸方向に垂直な断面が直角二等辺三角形となる三角柱である。4つのプリズム143-1,143-2,143-3,143-4は、上記の直角二等辺三角形における直角の角部をなす辺同士が接触するように、三角柱形状の面が透明な樹脂等により接合されている。よって、4つのプリズム143-1,143-2,143-3,143-4は、Z軸方向に平行、かつ互いに直交する2つの界面である第1光学面143a、第2光学面143bを形成するように接合されている。なお、分光光学素子143は、4つのプリズム143-1,143-2,143-3,143-4により光学面が交差して配置されるように形成したが、クロスミラーを用いて光学面が交差して配置されるように設けても良い。
【0042】
分光光学素子143は、z軸方向に垂直な断面が正方形であり、当該正方形の各辺が、x軸方向又はy軸方向に平行となる向きに設けられている。分光光学素子143は、ホイール装置150と対向する位置にプリズム143-1が配置され、赤色光源装置90に対向する位置にプリズム143-2が配置され、固定蛍光装置100と対向する位置にプリズム143-3が配置され、光源光学系180に対向する位置にプリズム143-4が配置される。
【0043】
分光光学素子143の第1光学面143aは、プリズム143-1,143-4とプリズム143-2,143-3が対向して接合する面に形成される。第1光学面143aは、偏光ビームスプリッタとして機能する面とされ、直線偏光の光のうち一方の偏光方向の光(本実施形態においては、第1光学面143aに対してs偏光となる偏光方向の励起光照射装置70からの光)を光源光学系180の合成光路に向けて反射し、他方の偏光方向の光(本実施形態においては、第1光学面143aに対してp偏光となる偏光方向の励起光照射装置70からの光)を第2光源(固定蛍光装置100)に向けて透過する。
【0044】
分光光学素子143の第2光学面143bは、プリズム143-1,143-2とプリズム143-3,143-4が対向して接合する面に形成される。第2光学面143bは、ダイクロイックミラー面とされ、ホイール部材151から出射される光である青色波長帯域光及び赤色光源装置90(赤色発光ダイオード91)からの赤色波長帯域光を透過し、第2光源(固定蛍光装置100)からの緑色波長帯域光を反射する。
【0045】
励起光照射装置70の青色レーザダイオード71から出射される青色波長帯域光は、拡散板141、集光レンズ153(図2参照)を介して、ホイール装置150のホイール部材151における入射側の照射スポットQ(図3参照)に照射される。ここで、青色レーザダイオード71からは、図5に光LBpで示すp偏光の青色波長帯域光が出射されている。本実施形態では、照射スポットQは、水平方向と平行なp偏光の青色波長帯域光が照射されるよう設定されている。
【0046】
照射スポットQにホイール部材151の透過領域151bが位置しているときには、図5に示すように、p偏光の光LBpで示す励起光照射装置70(青色レーザダイオード71)からの出射光はホイール部材151の透過領域151bに入射して、ホイール部材151の透過領域151bからそのままp偏光の光LBpが出射する。
【0047】
ホイール部材151の透過領域151bから出射されたp偏光の光LBpは、分光光学素子143に入射する。分光光学素子143に入射した光LBpは、第1光学面143a及び第2光学面143bを透過する。第2光学面143bを透過した光LBpは、励起光として固定蛍光装置100の蛍光体層に照射される。固定蛍光装置100からは、励起光により励起された緑色波長帯域の蛍光光である光LGが出射する。
【0048】
拡散する蛍光光である光LGは、集光レンズ144,145(図2参照)により集光された後、分光光学素子143に入射する。分光光学素子143に入射した光LGは、第1光学面143aを透過するが、第2光学面143bにより、光源光学系180の合成光路に向けて、光LGの光軸を90度変換して反射される。
【0049】
赤色光源装置90の赤色発光ダイオード91から出射される赤色波長帯域光の光LRは、分光光学素子143に入射して第1光学面143a及び第2光学面143bを透過して分光光学素子143から出射する。分光光学素子143から出射した光LRは、光源光学系180の合成光路に導光される。
【0050】
一方で、照射スポットQにホイール部材151の偏光変換領域151aが位置しているときには、偏光変換領域151aに入射する励起光照射装置70(青色レーザダイオード71)からのp偏光の光LBpは、s偏光の光LBsに偏光方向が変換されて偏光変換領域151aから出射される。偏光変換領域151aから出射した光LBsは、分光光学素子143に入射する。分光光学素子143に入射した光LBsは、第2光学面143bを透過するが、第1光学面143aにより光源光学系180の合成光路に向けて90度光軸を変換して反射される。
【0051】
ホイール装置150のホイール部材151は、図3に示すD方向、すなわち、ホイール部材151の出射側から見て反時計回りに回転する。ここで、青色レーザダイオード71から出射する直線偏光の光LBpは、偏光方向が1/4波長板158の光学軸158bに対して45度の角度で入射すると円偏光として出射される。偏光方向の光学軸158bに対する角度が45度以外のときは、楕円偏光となる。この楕円偏光の偏光方向(楕円の長軸の方向)は、1/4波長板158の光学軸158bの方向となる。
【0052】
図6は、第1偏光変換層151a1の1/4波長板158の光学軸158b1と、p偏光である光LBpの偏光方向のなす角が34度の場合を示し、第2偏光変換層151a2の1/4波長板158の光学軸158b2と、p偏光である光LBpの偏光方向のなす角が45度の場合を示している。照射スポットQに照射されることにより第1偏光変換層151a1の1/4波長板158に入射した光LBpは、第1偏光変換層151a1により、楕円偏光に変換され出射される。第1偏光変換層151a1から出射した楕円偏光は、第2偏光変換層151a2の1/4波長板158に入射する。第2偏光変換層151a2に入射した楕円偏光は、s偏光成分が多い楕円偏光の光LBsとなり出射する。
【0053】
図7は、第1偏光変換層151a1の1/4波長板158の光学軸158b1と、p偏光である光LBpの偏光方向のなす角が45度の場合を示し、第2偏光変換層151a2の1/4波長板158の光学軸158b2と、p偏光である光LBpの偏光方向のなす角が56度から34度に移行する場合を示している。照射スポットQに照射される光LBqは、第1偏光変換層151a1の1/4波長板158に入射する。図7の場合には、第1偏光変換層151a1の1/4波長板158の光学軸158b1と、p偏光である光LBpの偏光方向のなす角が45度であるので、第1偏光変換層151a1から出射される光は円偏光となる。円偏光として第2偏光変換層151a2に入射した光は、第2偏光変換層151a2の1/4波長板158の光学軸158b2が56度または34度となるから、s偏光の偏光方向からズレた直線偏光の光LBsとして出射される。
【0054】
図8は、第1偏光変換層151a1の1/4波長板158の光学軸158b1と、p偏光である光LBpの偏光方向のなす角が56度の場合を示し、第2偏光変換層151a2の1/4波長板158の光学軸158b2と、p偏光である光LBpの偏光方向のなす角が45度の場合を示している。照射スポットQに照射されることにより第1偏光変換層151a1の1/4波長板158に入射した光LBpは、第1偏光変換層151a1により、楕円偏光に変換され出射される。第1偏光変換層151a1から出射した楕円偏光は、第2偏光変換層151a2の1/4波長板158に入射する。第2偏光変換層151a2に入射した楕円偏光は、s偏光成分が多い楕円偏光の光LBsとなり出射する。
【0055】
図7で示すように、第1偏光変換層151a1の1/4波長板158の光学軸158b1と、p偏光である光LBpの偏光方向のなす角が45度の場合には、第2偏光変換層151a2からs偏光の偏光方向からズレた直線偏光が出射されるが、それ以外(例えば図6,8の場合)には、第2偏光変換層151a2からs偏光成分が多い楕円偏光が出射される。そして、第1偏光変換層151a1と第2偏光変換層151a2は、開き角度θ1の半角(θ2)分ズレて配置されるので、第1偏光変換層151a1の1/4波長板158の光学軸158b1と、p偏光である光LBpの偏光方向のなす角が45度(図7)の前後で、第1偏光変換層151a1の1/4波長板158の光学軸158b1と第2偏光変換層151a2の1/4波長板158の光学軸158b2がズレて配置されるズレ量(例えば、光学軸158b1と光学軸158b2がなす角)を一定とすることができる。従って、第2偏光変換層151a2から出射される楕円偏光のp偏光成分とs偏光成分の割合は略一定とすることができる。
【0056】
そうすると、図9に示す実線のように、本発明では分光光学素子143の第1光学面143aにより反射された後の光の明るさは、周期的に変化することはなく、略一定とすることができる。そして、光学軸158b1,158b2のズレ量が、開き角度θ1の半角分とされているので、第2偏光変換層151a2から出射される楕円偏光についてp偏光成分よりもs偏光成分を多くすることができ、よって明るい青色波長帯域光を光源として得ることができる。
【0057】
なお、第1偏光変換層151a1と第2偏光変換層151a2は、光学軸158b1,158b2のズレ量が開き角度θ1の半角分以外であっても、光学軸158b1,158b2がズレて配置されていれば、このズレ量に応じて、第2偏光変換層151a2から出射される光についてp偏光成分とs偏光成分の周期的な変化を低減できるので、分光光学素子143の第1光学面143aにより反射された後の光の明るさの周期的な変化を低減することができる。
【0058】
仮に、偏光変換領域151aを、円周方向に分割した複数の1/2波長板の1層のみで構成した場合には、p偏光の偏光方向と1/2波長板の光学軸とのなす角が周期的に変化するので、第1光学面143aにより反射された後の光LBsの明るさ(光量)は、図9の破線で示すように波状に変化する。例えば、p偏光の偏光方向と1/2波長板の光学軸とのなす角が34度及び56度のときには明るさが最小となり、45度の時には明るさが最大となる。
【0059】
そして、上述の複数の1/2波長板を用いた場合には、各1/2波長板の繋ぎ目(すなわち、本実施形態の斜面158a同士が接合する部分に相当する部分)から直接光が透過することとなり、分光光学素子143で透過してしまい、固定蛍光装置100の蛍光体層を照射してしまい、緑色波長帯域光の混色の原因となってしまう。しかしながら、本実施形態の偏光変換領域151aであれば、第1偏光変換層151a1の1/4波長板158の繋ぎ目から直接光が入射して透過しても、第2偏光変換層151a2により少なくとも楕円偏光に変換されるので、すべての光が分光光学素子143で透過してしまうことはなく、よって緑色波長帯域光の混色を低減することができる。
【0060】
図2に戻り、分光光学素子143の左側である出射側には、光源光学系180が設けられる。光源光学系180は、集光レンズ181、マイクロレンズアレイ182、集光レンズ183,184、照射ミラー185、コンデンサレンズ195を含む。なお、コンデンサレンズ195は、コンデンサレンズ195の背面パネル13側に配置される表示素子51から出射された画像光を投影光学系220に向けて出射するので、投影光学系220の一部でもある。
【0061】
集光レンズ181は、分光光学素子143からの出射光が入射される。集光レンズ181により集光された光は、マイクロレンズアレイ182、集光レンズ183,184を介して、照射ミラー185により反射される。照射ミラー185により反射された光は、コンデンサレンズ195を介して、DMDとしての表示素子51に所定の角度で照射される。表示素子51は、背面パネル13側に設けられた伝熱プレート53及びヒートパイプ54を介してヒートシンク61と接続され、冷却される。
【0062】
光源光学系180により表示素子51の画像形成面に照射された光源光は、表示素子51の画像形成面で反射され、投影光として投影光学系220を介してスクリーン等の被投影対象に投影される。ここで、投影光学系220は、コンデンサレンズ195と、可動レンズ群235及び固定レンズ群225を内蔵する鏡筒221と、を含む。可動レンズ群235を備える鏡筒221は、可変焦点型レンズとされ、ズーム調節やフォーカス調節が可能に形成される。
【0063】
このように投影装置10を構成することで、光学装置であるホイール装置150のホイール部材151を回転させながら励起光照射装置70から光を出射すると、青色、緑色及び赤色の各波長帯域光が分光光学素子143を介して光源光学系180の合成光路に入射し、表示素子51に入射される。そのため、投影装置10の表示素子51であるDMDがデータに応じて各色の光を時分割表示することにより、スクリーンにカラー画像を投影することができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態によると、光学装置としてのホイール装置150は、偏光変換領域151aを備えるホイール部材151を有し、偏光変換領域151aは、光の入射側に設けられ、ホイール部材151の円周方向に配置される複数の1/4波長板を備える第1偏光変換層151a1と、第1偏光変換層151a1の出射側に設けられ、円周方向に配置される複数の1/4波長板を備える第2偏光変換層151a2と、を有し、第2偏光変換層151a2の複数の1/4波長板158の各光学軸158b2は、第1偏光変換層151a1の複数の1/4波長板158の各光学軸158b1に対してズレて配置される。
【0065】
これにより、p偏光とs偏光の変換を、ホイール部材151(ホイール装置150)の偏光変換領域151aにより行うことができるので、装置を小型とすることができると共に、ホイール部材151から出射される光におけるp偏光成分とs偏光成分の周期的な変化に起因する周期的な光量ムラを低減することができる。
【0066】
また、第1偏光変換層151a1と第2偏光変換層151a2とは光の入射方向に重なって配置されている。これにより、ホイール部材151の厚みを薄くすることができるので、より一層装置を小型とすることができる。
【0067】
また、第1偏光変換層151a1及び第2偏光変換層151a2は、それぞれ、径方向に切断した対向する2つの斜面158aを備える同じ開き角度θ1の1/4波長板158を有し、第2偏光変換層151a2の各1/4波長板158は、少なくとも一部が光の入射方向に重なる第1偏光変換層151a1の各1/4波長板158に対して円周方向に前記開き角度θ1の半角分ズレて配置される。
【0068】
これにより、ホイール部材151から出射される光の明るさを略一定とすることができるので、周期的な光量ムラをより低減することができる。
【0069】
また、ホイール部材151は、透過領域151bを有する。これにより、励起光照射装置70からの出射光を透過させて固定蛍光装置100に照射する構成に利用できるホイール装置150とすることができる。
【0070】
また、光源装置60は、ホイール装置150と、ホイール部材151に向けて励起光を出射可能に設けられる第1光源である青色レーザダイオード71と、励起光が照射されることにより蛍光光を出射する第2光源としての固定蛍光装置100とを有し、ホイール部材151と第2光源である固定蛍光装置100との間の光路上には、交差して配置される第1光学面143aと第2光学面143bを備える分光光学素子143が設けられ、第1光学面143aは、ホイール部材151から出射される光の一方の偏光方向(s偏光)の光である光LBsを光源光学系180の合成光路に向けて反射し、他方の偏光方向の光(p偏光)である光LBpを第2光源である固定蛍光装置100に向けて透過し、第2光学面143bは、ホイール部材151から出射される青色波長帯域光の光LBp、光LBsを透過し、第2光源である固定蛍光装置100からの光LGを光源光学系180の合成光路に向けて反射する。
【0071】
これにより、小型の光学装置であるホイール装置150と分光光学素子143により、青色レーザダイオード71からの光を青色波長帯域の光源光としつつ、緑色波長帯域の蛍光光を発光する蛍光体を励起するための励起光とすることができ、小型で光量ムラが低減された光源装置を提供することができる。
【0072】
また、出射光が分光光学素子143に入射するよう配置される第3光源としての赤色発光ダイオード91を有し、第1光学面143a及び第2光学面143bは、第3光源からの出射光である赤色波長帯域光を合成光路に向けて透過する。これにより、3色光源を備えた光源装置60を提供することができる。
【0073】
また、投影装置10は、光源装置60と、光源装置60からの光源光が照射され、画像光を形成する表示素子51と、表示素子51から出射された画像光をスクリーンに投影する投影光学系220と、表示素子51と光源装置60を制御する投影装置制御部と、を有する。これにより、安定した明るい光源光により画面全体(特に画面の広い範囲の白色部や青色部)のチラツキを減少させて、光量ムラによる諧調乱れを低減した投影装置10を提供することができる。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
10 投影装置 12 正面パネル
12a 投影口 13 背面パネル
14 右側パネル 15 左側パネル
21 入出力コネクタ部 22 入出力インターフェース
23 画像変換部 24 表示エンコーダ
25 ビデオRAM 26 表示駆動部
31 画像圧縮/伸長部 32 メモリカード
35 Ir受信部 36 Ir処理部
37 キー/インジケータ部 38 制御部
41 光源制御回路 43 冷却ファン駆動制御回路
45 レンズモータ 47 音声処理部
48 スピーカ 51 表示素子
53 伝熱プレート 54 ヒートパイプ
60 光源装置 61 ヒートシンク
62 冷却ファン 70 励起光照射装置
71 青色レーザダイオード 72 ホルダ
72a 取付面 73 プレート
80 緑色光源装置 90 赤色光源装置
91 赤色発光ダイオード 92 集光レンズ
93 基台 94 伝熱ブロック
94a 伝熱プレート 95 ヒートパイプ
100 固定蛍光装置 101 伝熱プレート
102 ヒートパイプ 140 導光光学系
141 拡散板 143 分光光学素子
143-1 プリズム 143-2 プリズム
143-3 プリズム 143-4 プリズム
143a 第1光学面 143b 第2光学面
144 集光レンズ 145 集光レンズ
150 ホイール装置 151 ホイール部材
151a 偏光変換領域 151a1 第1偏光変換層
151a2 第2偏光変換層 151b 透過領域
152 ホイールモータ 152a 回転軸
153 集光レンズ 154 集光レンズ群
158 1/4波長板 158-1 1/4波長板
158-2 1/4波長板
158a 斜面 158b 光学軸
158b1 光学軸 158b2 光学軸
158b2-1 光学軸 158b2-2 光学軸
180 光源光学系 181 集光レンズ
182 マイクロレンズアレイ 183 集光レンズ
184 集光レンズ 185 照射ミラー
195 コンデンサレンズ 220 投影光学系
221 鏡筒 225 固定レンズ群
235 可動レンズ群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9