(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086247
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/48 20150101AFI20240620BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
E05F15/48
E06B9/17 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201274
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】上村 達也
(72)【発明者】
【氏名】角 和博
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052CA06
2E052DA02
2E052DB02
2E052EA14
2E052EB01
2E052EC01
2E052GA02
2E052GB06
2E052GC07
2E052GD09
2E052KA02
2E052KA10
(57)【要約】
【課題】 障害物を感知する際の衝撃を軽減する。
【解決手段】 空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体を備えた開閉装置であって、開閉体10に、閉鎖動作中の開閉体10よりも閉鎖方向側の障害物Xを感知する障害物感知部11cを備え、障害物感知部11cが、開閉体10の厚さ方向の中心部からずれて設けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体を備えた開閉装置であって、
前記開閉体に、閉鎖動作中の前記開閉体よりも閉鎖方向側の障害物を感知する障害物感知部を備え、前記障害物感知部が、前記開閉体の厚さ方向の中心部からずれて設けられていることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記障害物感知部が、前記開閉体の下端よりも閉鎖方向側へ突出していることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記開閉体の厚さ方向の中心部に、閉鎖した際の前記開閉体を、閉鎖方向側の不動面に当接させるための当接部が設けられ、前記障害物感知部が、前記当接部に対し開閉体厚さ方向に少なくとも一つ並んで設けられることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項4】
前記当接部が、閉鎖方向側の不動面に押し付けられて弾性変形する水密材であることを特徴とする請求項3記載の開閉装置。
【請求項5】
前記障害物感知部が、前記開閉体の厚さ方向の両側にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項6】
前記開閉体の閉鎖動作中、前記障害物感知部の感知信号の入力を条件に前記開閉体の閉鎖動作を停止し、この停止の後、前記感知信号が無いことを条件に前記閉鎖動作を再開することを特徴とする請求項1~5何れか1項記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間を仕切るようにして開閉体を閉鎖動作させる開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、床面積の比較的大きいビル等の構築・構造物内部の通路やホール空間などには、火災発生時の延焼や煙の拡散を防止するために火災発生と略同時に開閉体を自動閉鎖するようにした防火シャッター装置が備え付けられている。
このような防火シャッター装置には、閉鎖動作中の開閉体が下方側の障害物に当接して該障害物が衝撃を受けるのを防ぐために、開閉体の下端側に前記障害物を感知する障害物感知部を設け、この障害物感知部の感知信号により開閉体の閉鎖動作を一時的に停止するようにしている(特許文献1~3参照)。このような障害物感知構造は、危害防止装置と呼称される場合がある。
前記障害物感知部には、開閉体を構成する開閉体本体における厚さ方向中心部の下側に、上下動可能に可動座板を設け、開閉体の閉鎖動作中に、前記可動座板が下方側の障害物に当接して相対的に上昇するのを感知するものがある(特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-138393号公報
【特許文献2】特開2019-052530号公報
【特許文献3】特開2015-180810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、障害物感知部を構成する可動座板が開閉体の厚さ方向の中央部に位置し、この可動座板が下方側の障害物に当接した際の衝撃が大きい。
特に、大型のシャッター装置の場合には、前記可動座板の当接による衝撃が増大する上、前記開閉体本体の慣性の増大により停止時間がかかるため、前記開閉体本体の重量が前記障害物に加わってしまうおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明の一つは、以下の構成を具備するものである。
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体を備えた開閉装置であって、前記開閉体に、閉鎖動作中の前記開閉体よりも閉鎖方向側の障害物を感知する障害物感知部を備え、前記障害物感知部が、前記開閉体の厚さ方向の中心部からずれて設けられていることを特徴とする開閉装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、障害物を感知する際の衝撃を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る開閉装置の一例を屋外側から視た正面図である。
【
図2】同開閉装置の全閉状態を示す縦断面図であり、閉鎖前のパネルを二点鎖線で示している。
【
図3】
図1の(III)-(III)線に沿う横断面図である。
【
図4】開閉体の下端側を側方から視た図であり、(a)は閉鎖途中の状態を示し、(b)は全閉した状態を示す。
【
図5】開閉体の下端側を側方から視た図であり、(a)は閉鎖途中の状態を示し、(b)は障害物に当接した状態を示す。
【
図6】本発明に係る開閉装置の他例について、(a)は閉鎖途中の状態を示し、(b)は障害物に当接した状態を示す。
【
図7】本発明に係る開閉装置の他例について、下方側の物体に当接していない状態の開閉体の下端側を側方から視た図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書中、以下の表現がある場合、その表現の意味は以下のとおりである。
「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が開閉動作のために空間を仕切ったり開放したりするスライド方向を意味する。
【0009】
また、「開閉体幅方向外側」とは、開閉体幅方向に沿って開閉体の外側へ向かう方向側を意味する。例えば、向かって右側のガイドレールを基準にすると、開閉体幅方向外側は、右方向側になる。
また、「開閉体幅方向内側」とは、開閉体幅方向に沿って開閉体の内側へ向かう方向側を意味する。例えば、向かって右側のガイドレールを基準にすると、開閉体幅方向内側は、左方向側になる。
【0010】
また、「開閉体厚さ方向外側」とは、開閉体の厚みの中央部から開閉体厚さ方向に沿って離れる方向側を意味する。
また、「開閉体厚さ方向内側」とは、開閉体厚さ方向に沿って開閉体の厚みの中央部へ向かう方向側を意味する。
【0011】
<第1の実施形態>
次に、本発明に係る実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
開閉装置1は、建物等の躯体開口部を開閉体10によって開閉するように設置される。
この開閉装置1は、空間を仕切るようにして閉鎖動作し閉鎖方向端部を下方側で対向する不動面G(例えば、下枠部材や、地面、床面等)に当接して全閉する開閉体10と、開閉体10の幅方向の両端部をそれぞれ横断面凹状に囲んで閉鎖方向(図示例によれば下方)へ案内する左右のガイドレール20,20と、開閉体10を上方側で収納したり繰り出したりする開閉体収納部30と、開閉体収納部30内で押圧力を発生する押圧装置40,50とを備える(
図1参照)。
特に図示例の開閉装置1は、閉鎖状態の開閉体10を押圧装置40,50の押圧力により不動面Gやガイドレール20に押し付けて、躯体開口部を略水密に閉鎖する止水シャッター装置として構成される。
【0012】
開閉体10は、開閉体収納部30によって閉鎖方向へ順次に繰出される複数のパネル11,11’,12を略垂直に積み重ねて全閉状態になる(
図2参照)。
複数のパネル11,11’,12は、パネル連繋チェーン14によって開閉方向に繋がっている。
【0013】
パネル11,11’,12の各々は、開閉体幅方向へ長尺な正面視矩形板状の部材である。各パネル11,11’,12は、金属材料を引抜成形又は押出成形することで、上下に仕切られた空洞を有する縦断面枠状に形成される。
【0014】
複数のパネル11,11’,12のうち、最下側のパネル11’には、開閉体厚さ方向の中心部における下端側に、閉鎖した際の開閉体10を、閉鎖方向側の不動面Gに当接させるための当接部11b(水密材)が設けられる(
図4参照)。
さらに、パネル11’には、開閉体10の閉鎖動作中に、この開閉体10よりも下方側の障害物X(
図5参照)を感知する障害物感知部11cが設けられる。
【0015】
当接部11bは、不動面Gに対し水密に押し付けられて弾性変形する水密材である。
この当接部11bは、パネル11’の下端に沿って横幅方向へ連続する長尺状を呈し、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料により形成される。
この当接部11bは、図示例によれば、縦断面矩形状に形成され、開閉体10の開閉体厚さ方向の略中心部に位置する。そして、この当接部11bは、開閉体10の幅方向の略全長にわたって延設され、パネル11の下端部に、嵌合や接着、ねじ止め、リベット止め等により固定されている。
【0016】
障害物感知部11cは、当接部11b(水密材)に対し開閉体厚さ方向に並ぶようにして、当接部11bの両側にそれぞれ設けられる(
図4参照)。この障害物感知部11cは、開閉体10の横幅方向の略全長にわたって連続している。
【0017】
各障害物感知部11cは、パネル11’の下端側に固定された固定座板11c1と、この固定座板11c1に相対し上下移動するように支持された可動座板11c2と、可動座板11c2に押されて上方へ回動可能な回動部材11c3と、回動部材11c3の回動を感知して感知信号を送信する送信ユニット11c4とを具備する。
【0018】
固定座板11c1は、開閉体10の幅方向の略全長にわたる長尺状の部材であり、パネル11’下端側の表面と裏面に、それぞれ、ブラケット等を介して不動に固定される。各固定座板11c1を固定する手段は、溶接や嵌合、ねじ止め、リベット止め等とすればよい。
【0019】
可動座板11c2は、開閉体10の厚さ方向の中心部からずれて配置される。
この可動座板11c2は、開閉体10の幅方向の略全長にわたって長尺状に連続している。
そして、この可動座板11c2は、固定座板11c1に対し上下動可能に嵌り合い、下方側の物体(不動面Gや障害物X等)に接していない状態において、下端部を、当接部11b及び固定座板11c1よりも下方へ突出する(
図4(a)参照)。
すなわち、障害物感知部11cが、開閉体10における厚さ方向の中心部の下端よりも閉鎖方向側へ突出するとともに、当接部11bに対し開閉体厚さ方向の両側に並んでいる。
【0020】
回動部材11c3は、開閉体厚さ方向の一端側が、可動座板11c2に押されて上方へ回動するように、その他端側が固定座板11c1の内面に枢支されている。この回動部材11c3は、開閉体10の幅方向の略全長にわたって長尺状に連続している。
【0021】
送信ユニット11c4は、回動部材11c3により発電操作体11c41が上方へ押し動かされることで発電を行い、この発電電力により障害物を感知したことの信号を無線発信(電波の発信や、赤外線の発信、超音波の発信等を含む)する。無線発信された前記信号は、上方の受信ユニット35によって障害物感知信号として受信される。
この後、送信ユニット11c4は、可動座板11c2が固定座板11c1に相対し下方へ移動し、これに伴い回動部材11c3が逆方向へ回動し、発電操作体11c41が下降すると、前記無線発信を停止する。
【0022】
なお、障害物感知部11cの基本構造は、例えば、特許文献2の障害物感知構造を適用することが可能である。
また、図示例の障害物感知部11cは、感知信号を無線送信するように構成したが、この障害物感知部の他例としては、感知信号を有線で制御部36に伝送する態様とすることも可能である。
【0023】
また、上記構成のパネル11’に積み重ねられる複数のパネル11,12は、それぞれ、下端部を、開閉体幅方向の全長にわたって縦断面略V字状に突出しており、その突出する外面には、シール部16が一体的に設けられる(
図2参照)。
【0024】
シール部16は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から、各パネル11,12下端に沿う縦断面V字状に形成され、各パネル11,12の下端部に開閉体幅方向の全長にわたって接合されている。
【0025】
また、各パネル11,11’の上端部には、上方に重なり合うパネル11(又は12)のシール部16に嵌り合うように、開閉体幅方向の全長にわたって縦断面略V溝状の凹部11aが形成される。
【0026】
また、各パネル11,11’,12の横幅方向の両端部には、開閉体幅方向へ突出するように、支持軸部13が設けられる。
【0027】
最上部のパネル12は、開閉体幅方向へ長尺状に連続する正面視矩形状を呈し、パネル11よりも高さ寸法が小さい。前記寸法は、開閉体10によって開閉される開口部の高さ寸法等に応じて適宜に設定される。
【0028】
支持軸部13は、各パネル11,11’,12の幅方向の両端部から、それぞれ、開閉体幅方向外側へ突出している(
図3参照)。
この支持軸部13は、パネル連繋チェーン14に挿通された軸状部材の先端側に、ローラを回転自在に支持してなる。
【0029】
パネル連繋チェーン14は、動力伝達用等に用いられる所謂ローラチェーンであり、その長さ方向において所定間隔置きに支持軸部13を回転自在に挿通している。
このパネル連繋チェーン14は、上下方向のすべてのパネル11,11’,12を、支持軸部13を介して連結し、その上端側が開閉体収納部30内のスプロケット31に掛けられている。
【0030】
ガイドレール20は、閉鎖状態の開閉体10の幅方向端部を囲むように、横断面凹状もしくはコ字状に形成される(
図3参照)。このガイドレール20は、不動面Gから開閉体収納部30へわたる長尺状に形成される。
ガイドレール20内には、閉鎖状態の開閉体10を屋外側から屋内側へ押圧する厚さ方向押圧機構55(
図3参照)が設けられる。さらにガイドレール20内には、厚さ方向押圧機構55によって押動された開閉体10を屋内側から受ける受部材21が、上下方向へわたって連続的に設けられる。
【0031】
厚さ方向押圧機構55は、後述する押圧装置50の下方向きの力を開閉体厚さ方向の力に変換し、この力によって、全閉状態の開閉体10を屋内側へ押圧して、受部材21へ押し付けるように構成される。
この厚さ方向押圧機構55は、例えば、リンク機構により力方向を変換する構成や、平歯車とラック歯車等の歯車機構により力方向を変換する構成、これらの機構を適宜に組み合わせた構成等とすることが可能である。
【0032】
また、受部材21は、閉鎖状態の開閉体10に対し、上下方向の全長にわたって接するようにした長尺状の部材である。この受部材21は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から形成され、開閉体10の屋内側面に弾性的に接触して、開閉体10とガイドレール20の間の水密性を保持する。
【0033】
また、開閉体収納部30は、開閉体10によって開閉される開口部の上方において、当該開閉装置1の設置対象物である躯体等に固定される。
この開閉体収納部30は、
図2に示すように、内側に空間を有する基体30aに、パネル連繋チェーン14を掛け回したスプロケット31と、スプロケット31を双方向へ回転させる駆動機構32と、パネル11,11’,12を支持軸部13により吊持して前後方向へ導く収納レール33と、送信ユニット11c4から送信される電波を捕捉する受信ユニット35と、開閉体10の開閉動作を制御する制御部36とを支持している。
【0034】
この開閉体収納部30は、駆動機構32によりスプロケット31を一方向へ回転させることで、収納状態にある複数のパネル11,11’,12を屋外側へ順次に繰り出して下方へ閉鎖動作させる。また、同開閉体収納部30は、駆動機構32によりスプロケット31を逆方向へ回転させることで、閉鎖状態にあるパネル11,11’,12を開放動作させ、上方側で屋内側へ収納する。
【0035】
また、駆動機構32は、電動モータによってチェーン及びスプロケット31等を動作させ、パネル11,11’,12を繰り出したり収納したりする機構である。
【0036】
受信ユニット35は、開閉体10を間に置くようにして、開閉体10の厚さ方向の両側(屋内側と屋外側)にそれぞれ設けられる。
これら受信ユニット35,35は、それぞれ、開閉体厚さ方向両側の障害物感知部11c,11cに対応して設けられ、対応する障害物感知部11cの送信ユニット11c4から無線送信される信号を捕捉し、この信号を制御部36へ伝送する。前記信号には、障害物感知信号が含まれる。
【0037】
なお、図示例以外の他例としては、単数の受信ユニット35によって、それぞれの受信ユニット35から送信される信号を受信し制御部へ伝送することも可能である。
【0038】
制御部36は、入力される信号に応じて、開閉体10を開放動作、閉鎖動作、停止等する制御回路であり、リレー回路やシーケンサー等により構成される。
この制御部36は、開閉体収納部30にパネル11,11’,12が収納された状態で防災信号を受信すると、駆動機構32を作動させて、パネル11,11’,12を順次に繰り出し閉鎖動作する。
【0039】
また、制御部36は、開閉体10の閉鎖動作中、受信ユニット35等を介して障害物感知部11cによる障害物感知信号を入力した場合に、駆動機構32を停止することで、開閉体10の閉鎖動作を停止する。この停止の後、制御部36は、障害物感知信号が無いことを条件に、駆動機構32を作動させて、前記閉鎖動作を再開する。
【0040】
そして、制御部36は、開閉体10の全閉を感知すると、駆動機構32による閉鎖動作を停止する。この制御は、例えば、駆動機構32の電動モータの負荷上昇を感知して停止すればよい。
この後、制御部36は、押圧装置40,50を作動させて、開閉体10を下方と屋内側へ押圧する。
【0041】
また、押圧装置40,50は、開閉体収納部30の基体30aに対し、開閉体幅方向に間隔を置いて複数装着される(
図1参照)。各押圧装置40,50は、駆動源(図示せず)の駆動によりロッドを前進させて押圧力を発生したり、同ロッドを後退させて前記押圧力を解除したりする。
【0042】
一方の押圧装置40は、開閉体幅方向の中央側に複数(図示例によれば、四つ)設けられる。
この押圧装置40は、リンク機構等を介して、開閉体10(詳細にはパネル12)の上端部を下方へ押圧する。この押圧により。開閉体10の最下端の当接部11b(水密材)は、不動面Gに圧接されて弾性変形する。
【0043】
他方の押圧装置50は、前記複数の押圧装置40を間に置くようにしてその両側にそれぞれ設けられる。
この押圧装置50は、ロッドの押圧力により上記厚さ方向押圧機構55を作動させて、全閉状態の開閉体10を屋内側へ押動し、受部材21へ押し付ける。
【0044】
なお、
図2中の符号90は、開閉体幅方向の中央寄りへ可動柱91を移動させ、この可動柱91を開閉体10の屋内側面に押し付けて、開閉体10の撓みを抑制する撓み抑制装置である。
【0045】
<作用効果>
次に、上記構成の開閉装置1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
開閉体収納部30にパネル11,11’,12が収納された状態で、火災等の発生により防災信号を受信すると、制御部36は、駆動機構32を作動させて、開閉体10の閉鎖動作を開始する。
【0046】
詳細に説明すれば、制御部36は、複数のパネル11,11’,12のうち、先ずは、最下部に配置するパネル11’を下方へ繰り出し、続いて、複数のパネル11、及びパネル12を、順次に下方へ繰り出す。
【0047】
この閉鎖動作中、最下部のパネル11’は、徐々に不動面Gに近づき(
図4(a)参照)、両側の可動座板11c2,11c2を、不動面Gに当接する。この当接の直後、可動座板11c2,11c2は、固定座板11c1に対し、相対的に上方へ移動する。
【0048】
次に、最下部のパネル11’が、開閉体厚さ方向中央寄りにおいて、当接部11b(水密材)を不動面Gに当接する。この当接の直後、当接部11bは、不動面Gに圧接され、弾性的に収縮する(
図4参照)。この収縮の際も、可動座板11c2,11c2は、固定座板11c1に対し、相対的に上方へ移動する。
この後、最下部のパネル11’に対し、複数のパネル11、パネル12が順次に積み重ねられる。
【0049】
また、前記閉鎖動作中、いずれかの障害物感知部11cが障害物Xに当接した場合、
図5に示すように、可動座板11c2が固定座板11c1に相対し上方へ移動し、これに伴い回動部材11c3が上方へ回動し発電操作体11c41を上方へ押動する。これにより、送信ユニット11c4がこの回動を感知して、障害物感知信号としての電波を無線発信する。
このため、前記障害物感知信号が、対応する受信ユニット35に受信され、この受信信号に応じて、制御部36が、駆動機構32の動作を停止し、これによって開閉体10の閉鎖動作が停止する。
【0050】
この後、障害物Xが除去されると、可動座板11c2、回動部材11c3及び発電操作体11c41が逆方向へ移動し、送信ユニット11c4による前記無線発信が停止する。これにより、制御部36は、駆動機構32による開閉体10の閉鎖動作を再開する。
【0051】
開閉体10の閉鎖動作中に、逆側(図示例によれば左側)の障害物感知部11cが障害物Xに当接した場合も、上記と同様に動作するのは勿論である。
【0052】
開閉体10が全閉した場合、制御部36は、押圧装置40を作動して、開閉体10の上端部を下方へ押圧する。このため、開閉体10下端側では、当接部11bが不動面Gに対しさらに圧接されるとともに弾性的に収縮する。この収縮の際も、両側の可動座板11c2は、固定座板11c1に相対し上方へ移動する。
さらに、制御部36は、押圧装置50及び厚さ方向押圧機構55等によって開閉体10を受部材21に圧接する。
そして、これら押圧装置40,50等の作動により、開閉体10と不動面Gの間、開閉体10と左右のガイドレール20,20の間が、水密に保持される。
【0053】
よって、開閉装置1によれば、閉鎖動作中に障害物感知する際は、開閉体10の厚さ方向の中心からずれた位置で、障害物感知部11cの可動座板11c2が障害物Xに当接する。このため、開閉体10の厚さ方向の中心部で障害物感知部を障害物に当接させるようにした従来技術に比べ、障害物Xに与える衝撃を軽減することができる。
【0054】
より詳細に説明すれば、開閉体10の閉鎖動作中、可動座板11c2が障害物Xに当接すると、制御部36の指令により駆動機構32が停止するが、パネル11’は慣性により若干下降するため、このパネル11’から可動座板11c2に下方向きの力が加わる可能性がある。
仮に従来技術のように可動座板(障害物感知部)を開閉体厚さ方向の中心部に設けた場合には、前記のように駆動機構の停止の後に慣性によりパネルが若干下降した際、このパネルから真下の可動座板に加わる下方向きの力が比較的大きいので、可動座板から障害物に伝達する衝撃も大きくなる。
しかしながら、本実施形態では、障害物感知部11cの可動座板11c2がパネル11’に対し開閉体厚さ方向にずれているため、前記のような衝撃を緩和することができる。図示例の止水シャッター装置1によれば、開閉体10の厚さ方向の両側各々に、障害物感知部11c(可動座板11c2)を設けているため、開閉体厚さ方向のどちらの障害物感知部11cが障害物を感知した場合も、前記のような衝撃緩和効果を良好に得ることができる。
特に、大型の開閉体10を構成した場合には、パネル11’が高重量化し、閉鎖動作時のパネル11’の慣性も増大するが、このような場合であっても、パネル11’が障害物Xに与える衝撃を緩和することができる。
【0055】
なお、
図5は、障害物Xが一方側の障害物感知部11cに当接した場合を例示しているが、仮に、障害物Xが両側の障害物感知部11cに跨って当接した場合であっても、開閉体10の厚さ方向の中心部では、障害物Xとの当接がなく、しかも、開閉体10の重量による下方向きの力が、両側の障害物感知部11c,11cによって屋内側と屋外側に分散されるため、障害物Xが受ける衝撃を緩和することができる。
【0056】
さらに、止水シャッター装置1によれば、障害物を、開閉体厚さ方向の一方側(屋内側)と他方側(屋外側)のうち、どちらで感知したのかを判断し、この判断に応じて、制御部36による開閉体10の制御動作を適切に異ならせることができる。
【0057】
また、図示例の開閉装置1によれば、開閉体10による全閉時の水密性を損なうことなく、障害物感知構造を設けることができる。しかも、開閉体厚さ方向の中心部で、当接部11b(水密材)が開閉体10と不動面Gの間に挟まれて収縮するため、水密性が良好である。
【0058】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る他の実施形態について説明する。
なお、以下に説明する他の実施形態において、上記開閉装置1と略同様に作用する部分については、上記開閉装置1のものと同一の符号を付けることで重複する詳細説明を省略する。
【0059】
図6に要部を示す開閉装置2は、パネル11’の厚さ方向の両側に、それぞれ、当接部11b’(水密材)及び障害物感知部11eを設けたものである。
この開閉装置2において、開閉体厚さ方向両側の当接部11b’,11b’の間は、部材等が無く、開閉体幅方向へ長尺状に連続する空間である。
【0060】
当接部11b’は、上記構成の当接部11bについて、その開閉体開放方向側(上側)の面に、障害物感知部11eを嵌め合わせるための凹部11b1’を設けたものである。凹部11b1’は、開閉体幅方向に長尺状に連続している。
この当接部11b’は、上記当接部11bと同様に、開閉体10が全閉した際に不動面Gに圧接され、弾性的に収縮する。
【0061】
障害物感知部11eは、当接部11b’(水密材)から受ける押圧力を感知するように設けられたセンサである。
図示例の障害物感知部11eは、開閉体10の幅方向の略全長にわたって連続する略帯状に形成され、その長手方向の少なくとも一部分が押圧された際に、信号(例えば接点信号)を出力し、前記押圧が解除された際に前記信号の出力を停止する。
前記信号の出力は、図示しない電気配線又は無線送信機等を介して、制御部36に有線又は無線送信される。
なお、この障害物感知部11eには、テープスイッチ等と呼称される周知の可撓性長尺状センサを適用することが可能である。
【0062】
上記構成の開閉装置2によれば、略全閉する際には、先ず、両側の当接部11b’,11b’の下端が不動面Gに当接し圧接され(図示省略)、当接部11b’が弾性的に収縮する。
【0063】
また、閉鎖動作中に、開閉体10の下方側に障害物がある場合には、その障害物に対し、当接部11b’が当接する。例えば、
図6に示すように、開閉体10の下方側において、障害物Xが開閉体厚さ方向の一方寄りにある場合、この障害物Xに対し、一方(図示例によれば右側)の当接部11b’が当接する。
そして、この当接により当接部11b’が収縮し、この当接による押圧力が障害物感知部11eに伝達する。このため、障害物感知部11eは、長手方向の少なくとも一部分を変形させて、信号出力する。
【0064】
そして、制御部36は、障害物感知部11eの信号を受けると、開閉体10の閉鎖動作を一時停止する。また、前記障害物が除去された場合には、障害物感知部11eの信号出力がオフになるのに応じて、開閉体10の閉鎖動作を再開する。
【0065】
よって、
図6に示す開閉装置2によれば、上記開閉装置1と同様に、障害物感知部11eを開閉体10の厚さ方向の中心部からずらしているため、障害物Xを接触感知する際の衝撃を軽減することができる。
さらに、障害物を、屋内側で感知したか屋外側で感知したかに応じて、開閉体10を適切に制御動作することができる。
また、開閉体10による全閉時の水密性を損なうことなく、障害物感知構造を設けることができる。
【0066】
<第3の実施形態>
図7に要部を示す開閉装置3は、上記開閉装置1について、開閉体10をスラットカーテンである開閉体10’に置換し、開閉体収納部30内の構成を変更したものであり、開閉体10’を開放方向側で巻き取ったり繰り出したりして開閉動作する。
この開閉装置3は、スラットシャッターや重量シャッター等と呼称されるシャッター装置を構成している。
【0067】
開閉体10’は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなるスラット17aを、上下に隣接する該スラット間で回動するように複数連接することで開閉体本体17を構成し、この開閉体本体17の閉鎖方向側(図示例によれば下方側)に、開閉体厚さ方向の両側に位置するように、二つの障害物感知部11cを設けている。
【0068】
各障害物感知部11cは、可動座板11c2を開閉体本体17の下端よりも下方へ突出させている。
【0069】
各障害物感知部11cの上方には、上述した受信ユニット35が設けられ、各受信ユニット35の受信信号は、障害物感知信号として制御部36に伝送される。
【0070】
よって、
図7に示す開閉装置3によれば、上記開閉装置1等と同様に、障害物感知部11cを開閉体10’の厚さ方向の中心部からずらしているため、障害物感知部11cが障害物Xに当接する際の衝撃を軽減することができる。
さらに、障害物を、屋内側で感知したか屋外側で感知したかに応じて、開閉体10’を適切に制御動作することができる。
【0071】
<他の変形例>
上記開閉装置1,2,3(
図4~
図6参照)では、好ましい一例として、障害物感知部11c(又は11e)を開閉体幅方向の両側にそれぞれ設けたが、他例としては、これら両側の障害物感知部のうち、その一方を省くことも可能である。
【0072】
また、上記開閉装置1(
図4及び
図5参照)では、止水シャッター装置を構成したが、この構成から、水密材としての当接部11b、及び押圧装置40,50等を省いて、パネルシャッター装置を構成することも可能である。
【0073】
また、上記開閉装置2(
図6参照)では、止水シャッター装置を構成したが、この構成から、水密材としての当接部11b’、及び押圧装置40,50等を省き、障害物感知部11eを直接的に障害物や不動面Gに当接させるようにして、パネルシャッター装置を構成することも可能である。
【0074】
また、図示例以外の他例としては、開閉体10の厚さ方向の中心部を境にして、その一方側に水密材としての当接部11bを設け、他方側に障害物感知部11c(又は11e)を設けるようにすることも可能である。
【0075】
また、上記実施の形態において、障害物感知部11c(
図4~
図6、及び
図7参照)は、図示しない他の構造のものに置換することが可能である。
すなわち、障害物感知部11cの他例としては、開閉体10(又は10’)の厚さ方向の中心部からずれるように、開閉体10の閉鎖方向端部に幅方向へわたる可撓性チューブを設け、この可撓性チューブが障害物に当接して変形した際の内部圧力の変化により、障害物感知信号を発する態様としてもよい。
さらに、障害物感知部11cの他例としては、開閉体10(又は10’)の厚さ方向の中心部からずれるように、可動座板の相対的な上昇をワイヤー及びプーリー等の機械的な構造によって伝達して開閉体10の閉鎖動作を停止する機械式障害物感知装置(例えば、特許文献3参照)を設けた態様としてもよい。
【0076】
また、上記実施の形態において、障害物感知部11e(
図6参照)も、図示しない他の構造のものに置換することが可能である。
すなわち、障害物感知部11eの他例としては、開閉体10の厚さ方向の中心部からずれ且つ当接部11b’よりも開閉体開放方向側に位置するように、当接部11b’(水密材)の開閉体開放方向側に、開閉体幅方向へわたる可撓性チューブを設け、この可撓性チューブが当接部11b’から受ける押圧力により変形した際に、その内部圧力の変化により、障害物感知信号を発する態様としてもよい。
さらに、障害物感知部11eの他例としては、開閉体10の厚さ方向の中心部からずれ且つ当接部11b’(水密材)よりも開閉体開放方向側に位置するように、上記機械式障害物感知装置(例えば、特許文献3参照)の要部(例えば紐状部材及び張力上昇機構等)を設け、この機械式障害物感知装置を、障害物との当接により弾性変形する当接部11b’によって作動させ、開閉体10の閉鎖動作を停止する態様とする態様としてもよい。
【0077】
また、上記開閉装置1,2、開閉体10を複数のパネルによって構成したが、開閉体10を単数の板状部材から構成することも可能である。
【0078】
また、上記開閉装置3によれば、開閉体本体17をスラットから構成したが、開閉体本体17の他例としては、可撓性シートからなる態様や、複数の長尺状パイプからなる態様、可撓性シートや、長尺状パイプ、スラット、パネル等を適宜に組み合わせて構成される態様とすることが可能である。
【0079】
また、上記実施形態によれば、障害物感知部11cによる障害物感知信号を受信ユニット35に対し無線送信するようにしたが、他例としては、前記障害物感知信号を受信ユニット35又は制御部36に対し有線で伝送する態様とすることも可能である。
【0080】
また、本発明は上述した具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0081】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体を備えた開閉装置であって、前記開閉体に、閉鎖動作中の前記開閉体よりも閉鎖方向側の障害物を感知する障害物感知部を備え、前記障害物感知部が、前記開閉体の厚さ方向の中心部からずれて設けられていることを特徴とする開閉装置(
図1~
図7参照)。
(2)
前記障害物感知部が、前記開閉体の下端よりも閉鎖方向側へ突出していることを特徴とする(1)に記載の開閉装置(
図4~
図7参照)。
(3)
前記開閉体の厚さ方向の中心部に、閉鎖した際の前記開閉体を、閉鎖方向側の不動面に当接させるための当接部が設けられ、前記障害物感知部が、前記当接部に対し開閉体厚さ方向に少なくとも一つ並んで設けられることを特徴とする(1)または(2)に記載の開閉装置(
図4及び
図5参照)。
(4)
前記当接部が、閉鎖方向側の不動面に押し付けられて弾性変形する水密材であることを特徴とする(3)に記載の開閉装置(
図4~
図6参照)。
(5)
前記障害物感知部が、前記開閉体の厚さ方向の両側にそれぞれ設けられていることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載の開閉装置(
図4~
図7参照)。
(6)
前記開閉体の閉鎖動作中、前記障害物感知部の感知信号の入力を条件に前記開閉体の閉鎖動作を停止し、この停止の後、前記感知信号が無いことを条件に前記閉鎖動作を再開することを特徴とする(1)~(5)のいずれかに記載の開閉装置。
【符号の説明】
【0082】
1,2,3:開閉装置
10,10’:開閉体
11,11’,12:パネル
11b.11b’:当接部(水密材)
11c,11e:障害物感知部
20:ガイドレール
30:開閉体収納部
G:不動面