(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008625
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ロータ、モータおよびロータの製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 1/04 20060101AFI20240112BHJP
H02K 1/276 20220101ALI20240112BHJP
H02K 15/03 20060101ALI20240112BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H02K1/04 B
H02K1/276
H02K15/03
H02K15/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110641
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】398061810
【氏名又は名称】ニデックテクノモータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】檀野 隼一
(72)【発明者】
【氏名】山本 聖
【テーマコード(参考)】
5H601
5H615
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601BB08
5H601CC01
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601EE12
5H601EE16
5H601GC02
5H601GC12
5H601GC22
5H601GD03
5H601GD07
5H601KK08
5H601KK26
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP02
5H615PP06
5H615SS10
5H615SS44
5H615TT31
5H622CA02
5H622CA05
5H622CA10
5H622PP10
5H622PP20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】金型を用いて成型する際のリードタイムを短縮できるロータを提供する。
【解決手段】ロータ100は、周方向に配置される複数の磁極部を有する外側コア110と、外側コアに対して径方向内側に位置する内側コア120と、複数の磁極部のうちの隣り合う磁極部間に設けられるマグネット挿入部に配置されるマグネットと、外側コアおよび前記マグネットの少なくとも軸方向一方側の端部を覆う第1樹脂部140と、外側コアおよび内側コアの少なくとも軸方向一方側の端部を覆う第2樹脂部150とを備える。第1樹脂部および第2樹脂部が互いに径方向に離間する隙間を有し、隙間から外側コアの一部が露出する。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に配置される複数の磁極部を有する外側コアと、
前記外側コアに対して径方向内側に位置する内側コアと、
前記複数の磁極部のうちの隣り合う磁極部間に設けられるマグネット挿入部に配置されるマグネットと、
前記外側コアおよび前記マグネットの少なくとも軸方向一方側の端部を覆う第1樹脂部と、
前記外側コアおよび前記内側コアの少なくとも軸方向一方側の端部を覆う第2樹脂部と
を備え、
前記第1樹脂部および前記第2樹脂部が互いに径方向に離間する隙間を有し、
前記隙間から前記外側コアの一部が露出する、ロータ。
【請求項2】
前記外側コアは、前記複数の磁極部の少なくとも一部を径方向内側で繋ぐ環状部を有し、
前記環状部は、前記第1樹脂部と前記第2樹脂部との間の前記隙間から露出する、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記外側コアは、軸方向に沿って積層鋼板が積層される複数の単位層を有し、
前記複数の単位層のそれぞれは、前記磁極部を構成する磁極部片を有し、
前記複数の単位層は、
周方向に環状に配置された複数の磁極部片が連結された環状磁極鋼板と、
周方向に環状に配置された複数の磁極部片の少なくとも1つが他の磁極部片と分離して配置された分離磁極鋼板と、
を有し、
前記環状磁極鋼板は、少なくとも軸方向端部に配置される、請求項2に記載のロータ。
【請求項4】
前記マグネットの軸方向一方側の端部は、前記外側コアの軸方向一方側の端部よりも軸方向外側に位置し、
前記マグネットの径方向内側の面の一部が前記第1樹脂部から露出する、請求項1に記載のロータ。
【請求項5】
前記第2樹脂部の外周面は、前記マグネットのうち前記第1樹脂部から露出する露出面と向かい合う、請求項4に記載のロータ。
【請求項6】
前記第2樹脂部の前記外周面は矩形状である、請求項5に記載のロータ。
【請求項7】
前記第2樹脂部は、前記第1樹脂部よりも高い弾性係数を有する、請求項1または2に記載のロータ。
【請求項8】
請求項1または2に記載のロータを備えるモータ。
【請求項9】
周方向に配置される複数の磁極部を有する外側コアと、前記外側コアに対して径方向内側に位置する内側コアと、前記複数の磁極部のうちの隣り合う磁極部間に設けられるマグネット挿入部に配置されるマグネットとを金型に配置し、前記金型の部位が前記外側コアの軸方向一方側の端部に接触した状態で、前記外側コアおよび前記マグネットの少なくとも軸方向一方側の端部を覆う第1樹脂部を成型する第1成型工程と、
前記金型の少なくとも一部に、前記外側コア、前記内側コアおよび前記マグネットを配置したまま、前記金型の前記少なくとも一部の前記部位が前記外側コアの軸方向一方側の端部に接触した状態で、前記外側コアおよび前記内側コアの少なくとも軸方向一方側の端部を覆う第2樹脂部を成型する第2成型工程と、
前記第2成型工程の後、前記第2成型工程において用いた金型から、前記外側コア、前記内側コア、前記マグネット、前記第1樹脂部および前記第2樹脂部を備えた成型品を取り出す取出し工程と
を包含し、
前記取出し工程の後、前記第1樹脂部および前記第2樹脂部を径方向に離間する隙間から、前記外側コアの一部が露出される、ロータの製造方法。
【請求項10】
前記第1成型工程と前記第2成型工程との間に、前記第1成型工程で用いた金型の一部分を前記第2成型工程で用いる部分に交換する工程をさらに包含する、請求項9に記載のロータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ、モータおよびロータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石をロータコアに搭載したIPM(Interior Permanent Magnetic)モータが知られている。IPMモータは、インダクションモータと比べて、二次電流による損失が生じないため、効率的に駆動できる。
【0003】
IPMモータにおいて、シャフトへの振動の伝搬を抑制するために、永久磁石を被覆する樹脂部に対して径方向内側に弾性体を配置することが検討されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、永久磁石を被覆する樹脂部に対して径方向内側に樹脂部に隣接して弾性体を配置したロータが記載されている。特許文献1のロータでは、弾性体が樹脂部を被覆することにより、シャフトに振動が伝搬することを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
典型的には、樹脂部および弾性体は、金型を用いて成型される。このため、特許文献1のロータの樹脂部および弾性体を金型で成型する場合、樹脂部を成型する金型および弾性体を成型する金型で成型した成型物をそれぞれ取り出すことが必要となり、ロータを作製するリードタイムが長くなることになる。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、金型を用いて成型する際のリードタイムを短縮可能なロータ、モータおよびロータの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る例示的なロータは、周方向に配置される複数の磁極部を有する外側コアと、前記外側コアに対して径方向内側に位置する内側コアと、前記複数の磁極部のうちの隣り合う磁極部間に設けられるマグネット挿入部に配置されるマグネットと、前記外側コアおよび前記マグネットの少なくとも軸方向一方側の端部を覆う第1樹脂部と、前記外側コアおよび前記内側コアの少なくとも軸方向一方側の端部を覆う第2樹脂部とを備え、前記第1樹脂部および前記第2樹脂部が互いに径方向に離間する隙間を有し、前記隙間から前記外側コアの一部が露出する。
【0008】
本発明の例示的なモータは、上記ロータを備える。
【0009】
本発明に係る例示的なロータの製造方法は、周方向に配置される複数の磁極部を有する外側コアと、前記外側コアに対して径方向内側に位置する内側コアと、前記複数の磁極部のうちの隣り合う磁極部間に設けられるマグネット挿入部に配置されるマグネットとを金型に配置し、前記金型の部位が前記外側コアの軸方向一方側の端部に接触した状態で、前記外側コアおよび前記マグネットの少なくとも軸方向一方側の端部を覆う第1樹脂部を成型する第1成型工程と、前記金型の少なくとも一部に、前記外側コア、前記内側コアおよび前記マグネットを配置したまま、前記金型の前記少なくとも一部の前記部位が前記外側コアの軸方向一方側の端部に接触した状態で、前記外側コアおよび前記内側コアの少なくとも軸方向一方側の端部を覆う第2樹脂部を成型する第2成型工程と、前記第2成型工程の後、前記第2成型工程において用いた金型から、前記外側コア、前記内側コア、前記マグネット、前記第1樹脂部および前記第2樹脂部を備えた成型品を取り出す取出し工程とを包含し、前記取出し工程の後、前記第1樹脂部および前記第2樹脂部を径方向に離間する隙間から、前記外側コアの一部が露出される。
【発明の効果】
【0010】
例示的な本発明によれば、金型を用いて成型する際のリードタイムを短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るモータの模式的な断面図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の一実施形態に係るロータの模式的な斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、本発明の一実施形態に係るロータの模式的な斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コア、内側コアおよびマグネットの模式的な斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コア、内側コアおよびマグネットの模式的な平面図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コア、内側コア、マグネットおよび第1樹脂部の模式的な斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コア、内側コア、マグネットおよび第1樹脂部の模式的な平面図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コア、内側コア、マグネット、第1樹脂部および第2樹脂部の模式的な斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コア、内側コア、マグネット、第1樹脂部および第2樹脂部の模式的な平面図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の一実施形態に係るロータにおいて、第1樹脂部の成型を説明するための模式図である。
【
図6B】
図6Bは、本発明の一実施形態に係るロータにおいて、第1樹脂部の成型を説明するための模式図である。
【
図6C】
図6Cは、本発明の一実施形態に係るロータにおいて、第1樹脂部の成型を説明するための模式図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の一実施形態に係るロータにおいて、第2樹脂部の成型を説明するための模式図である。
【
図7B】
図7Bは、本発明の一実施形態に係るロータにおいて、第2樹脂部の成型を説明するための模式図である。
【
図7C】
図7Cは、本発明の一実施形態に係るロータにおいて、第2樹脂部の成型を説明するための模式図である。
【
図7D】
図7Dは、本発明の一実施形態に係るロータにおいて、第2樹脂部の成型を説明するための模式図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コアの複数の単位層の分解斜視図である。
【
図9A】
図9Aは、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コアの環状磁極鋼板の斜視図である。
【
図9B】
図9Bは、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コアの環状磁極鋼板の斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態に係るロータにおける外側コアの分離磁極鋼板の分解斜視図である。
【
図11A】
図11Aは、本発明の一実施形態に係るロータにおける第1単一磁極鋼板の模式的な平面図である。
【
図11B】
図11Bは、本発明の一実施形態に係るロータにおける第2単一磁極鋼板の模式的な平面図である。
【
図11C】
図11Cは、本発明の一実施形態に係るロータにおける第1連結磁極鋼板の模式的な平面図である。
【
図11D】
図11Dは、本発明の一実施形態に係るロータにおける第2連結磁極鋼板の模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0013】
本明細書では、便宜上、モータの中心軸AX(
図1参照)の方向を上下方向として説明する場合がある。図中、理解の容易のため、三次元直交座標系のX軸、Y軸、およびZ軸を適宜記載する。Z軸の正方向は上方向を示し、Z軸の負方向は下方向を示す。ただし、上下方向、上方向、および下方向は、説明の便宜上定めるものであり、鉛直方向に一致する必要はない。また、あくまで説明の便宜のために上下方向を定義したに過ぎず、本発明に係るモータの使用時および組立時の向きを限定しない。さらに、モータの中心軸AXと平行な方向を単に「軸方向AD」と記載し、モータの中心軸AXを中心とする径方向および周方向を単に「径方向RD」および「周方向CD」と記載する。また、「平面視」は、軸方向ADから対象物を見ることを示す。なお、本明細書において「平行な方向」は、略平行な方向も含む。
【0014】
図1を参照して、本発明の実施形態に係るモータ400およびロータ100を説明する。
図1は、本発明の一実施形態のモータ400の構造を示す断面図である。モータ400は、例えば、空調機、洗濯機等の家電製品に使用される。ただし、本発明のモータ400は、家電製品以外の用途に使用されるものであってもよい。例えば、本発明のモータ400は、自動車または鉄道等の輸送機器、OA機器、医療機器、工具、産業用の大型設備等に搭載されて、種々の駆動力を発生させるものであってもよい。
【0015】
図1に示すように、モータ400は、ロータ100と、ステータ200と、シャフトSHと、第1カバー部材312と、第1軸受314と、第2カバー部材320と、第2軸受324と、ケーシング330と、回路基板340とを有する。
【0016】
ロータ100は、上下方向に延びる中心軸AXを中心に配置される。一例として、モータ400は、インナーロータ型のモータである。ロータ100は、中心軸AXの回りに回転する。ロータ100は、ステータ200の径方向RD内側に配置される。
【0017】
ロータ100は、外側コア110と、内側コア120と、マグネット130と、第1樹脂部140と、第2樹脂部150とを備える。マグネット130は、例えば、焼結で形成された板状の永久磁石である。ただし、マグネット130は、樹脂材料に磁性粉を混入したプラスチックマグネットで成型された永久磁石であってもよい。例えば、ロータ100は、略環状の単数のマグネット130を有してもよいし、周方向CDに配列された複数のマグネット130を有してもよい。「略環状」は例えば「略円環状」である。
【0018】
外側コア110は、例えば、電磁鋼板が軸方向ADに積層した電磁鋼板によって構成される。複数個のマグネット130は、外側コア110の磁極部のマグネット挿入部Msに配置される。本実施形態では、ロータ100はスポーク型ロータである。
【0019】
シャフトSHは、中心軸AXを中心として配置される。シャフトSHは、略柱状である。シャフトSHは、内側コア120に形成されたシャフト貫通孔120hを貫通して固定される。したがって、シャフトSHは、中心軸AXを中心として、ロータ100とともに回転する。
【0020】
第1樹脂部140は、マグネット130および外側コア110の軸方向AD端部および径方向RD外側端部の一部において、第2樹脂部150に覆われていない部分および外周面を覆う。第1樹脂部140は、外側コア110およびマグネット130をインサート成型することによって形成され、各々の部品を固定する。第1樹脂部140は、プラスチックを含んでもよい。
【0021】
第2樹脂部150は、マグネット130と、外側コア110および内側コア120のそれぞれの一部分を覆る。より詳細には、第2樹脂部150は、マグネット130の内側コア120側において、軸方向AD端部および径方向RD内側端部を覆う。第2樹脂部150は、外側コア110およびマグネット130をインサート成型することによって形成され、各々の部品を固定する。第2樹脂部150は、ゴムまたはエラストマーを含んでもよい。
【0022】
第1カバー部材312は、モータ400の軸方向AD上側部分に配置される。第1カバー部材312は、ケーシング330の軸方向AD上側部分を覆う。
【0023】
第1カバー部材312は、円筒形状の第1軸受保持部312aと、第1軸受保持部312aの中央に形成された貫通孔とを有する。シャフトSHは、貫通孔を貫通する。第1軸受保持部312aは、第1軸受314を保持する。第1軸受314は、シャフトSHを回転可能に支持する。第1軸受314は、例えば、転がり軸受である。第1カバー部材312の少なくとも一部は、インサート成型によりケーシング330に取り付けられる。
【0024】
第2カバー部材320は、モータ400の軸方向AD下側部分に配置される。第2カバー部材320は、ケーシング330の軸方向AD下側部分を覆う。
【0025】
第2カバー部材320は、円筒形状の第2軸受保持部322aを有する。第2軸受324は、シャフトSHを回転可能に支持する。第2軸受324は、例えば、転がり軸受である。第2カバー部材320は、ケーシング330に嵌め合いで固定される。第2軸受保持部322aは、第2軸受324を保持する。第2軸受保持部322aは、中心に孔を有する略有底円筒形状である。
【0026】
ステータ200は、上下方向に延びる中心軸AXを中心に配置される。ステータ200は、マグネット130と径方向RDに対向する。ステータ200は、ステータコア210と、インシュレータ220と、コイル230とを有する。
【0027】
コイル230は、インシュレータ220を介してステータコア210に導線が巻き付けられたることによって構成される。典型的には、導線は、金属線が被膜によって被覆された被覆導線である。金属線の素材は、例えば、アルミニウムである。ただし、金属線の素材は、アルミニウムに代えて銅でもよい。金属線を被覆する被膜は、例えば、絶縁性の樹脂である。樹脂の素材は、例えば、エナメルである。インシュレータ220は、ステータコア210とコイル230とを電気的に絶縁する。インシュレータ220は、絶縁材料で構成される。インシュレータ220は、例えば、熱可塑性の樹脂により構成される。
【0028】
ステータコア210は、上下方向に延びる中心軸AXを中心に配置される。一例として、ステータコア210は、中心軸AXを囲んで配置され、略環状である。「略環状」は、例えば、「略円環状」である。ステータコア210は、例えば、薄板の電磁鋼板が軸方向ADに積層した電磁鋼板によって構成される。ステータコア210は、コアバックと、複数のティースとを有する。
【0029】
インシュレータ220は、ステータコア210の少なくとも一部を覆う。一例として、インシュレータ220は、中心軸AXを囲んで配置され、略環状である。「略環状」は、例えば、「略円環状」である。インシュレータ220は、電気絶縁体である。インシュレータ220は、単一の部材によって構成されていてもよいし、複数個の別部材によって構成されていてもよい。例えば、インシュレータ220は、ステータコア210をインサートする樹脂成型品である。また、インシュレータ220は、ステータコア210に対して別途取り付ける構造であってもよい。
【0030】
ケーシング330は、ロータ100の少なくとも一部およびステータ200を収容する。具体的には、ケーシング330は、軸方向AD上方に向かって開放される開口を有する。ケーシング330は、略有底筒状であり、熱硬化性の樹脂製の部材である。「略有底筒状」は、例えば「略有底円筒状」である。ケーシング330は、ステータ200が挿入された金型の内部に、樹脂を流し込むことにより得られる。つまり、ケーシング330は、ステータ200をインサートする樹脂成型品である。従って、ステータ200はケーシング330によって固定される。第2軸受保持部322aは、ケーシング330の軸方向AD底部に固定される。
【0031】
ケーシング330は、少なくとも、ステータコア210の径方向RDの外面を覆う。例えば、ケーシング330は、樹脂から形成される。ステータコア210の少なくとも径方向RDの内面、つまり、複数のティースの径方向RDの内面は、ケーシング330から露出する。また、ケーシング330は、ロータ100の少なくとも一部を収容する。
【0032】
回路基板340は、ケーシング330内に収納される。回路基板340は、電子部品を搭載する。電子部品は、コイル230への通電量を制御する素子、およびロータ100の回転位置を検知する素子を含む。
【0033】
次に、
図1、
図2Aおよび
図2Bを参照して、本発明の一実施形態に係るロータ100を説明する。
図2Aおよび
図2Bは、本発明の一実施形態に係るロータ100の模式的な斜視図である。
【0034】
図1に示したように、ロータ100は、外側コア110と、内側コア120と、マグネット130と、第1樹脂部140と、第2樹脂部150とを備える。
【0035】
図2Aおよび
図2Bに示すように、外側コア110は、周方向CDに環状に延びる。外側コア110は、内側コア120に対して径方向RD外側に位置する。外側コア110は、周方向CDに配置される複数の磁極鋼板10を有する。磁極鋼板10は、周方向CDに沿って配置される。また、磁極鋼板10は、軸方向ADに沿って積層される。複数の磁極鋼板10のそれぞれは、少なくとも1つの磁極部Mpを有する。このため、外側コア110は、周方向CDに配置される複数の磁極部Mpを有する。
【0036】
内側コア120は、外側コア110の径方向RD内側に位置する。内側コア120には、シャフトSH(
図1)が取り付けられる。ここでは、内側コア120のシャフトSH側の一部が露出する。
【0037】
マグネット130は、複数の磁極部Mpのうちの隣り合う磁極部Mp間に設けられるマグネット挿入部Msに配置される。
【0038】
このように、ロータ100は、周方向CDに配置される複数の磁極部Mpを有する外側コア110と、外側コア110に対して径方向RD内側に位置する内側コア120と、複数の磁極部Mpのうちの隣り合う磁極部Mpの間に設けられるマグネット挿入部Msに配置されるマグネット130と、外側コア110、内側コア120およびマグネット130を覆う第1樹脂部140および第2樹脂部150とを備える。
【0039】
第2樹脂部150は、第1樹脂部140よりも高い弾性係数を有することが好ましい。弾性係数の高い第2樹脂部150で外側コア110と内側コア120の間を覆うことにより、外側コア110における振動が、内側コア120、シャフトSHおよび筐体に伝達することを抑制できる。
【0040】
図2Bに示すように、本実施形態のロータ100では、第1樹脂部140および第2樹脂部150は、径方向RDに離間した隙間Gaを有する。隙間Gaから、外側コア110の一部が露出する。
【0041】
図2Aおよび
図2Bに示したロータ100では、軸方向両側の端部のうちの一方側の端部には隙間Gaが設けられ、第1樹脂部140および第2樹脂部150が径方向RDに離間する。一方で、他方側の端部には隙間Gaが設けられず、第1樹脂部140および第2樹脂部150は、径方向RDに接触する。
【0042】
また、
図2Bに示すように、マグネット130は、第1樹脂部140から隙間Gaに露出する露出面130eを有する。第2樹脂部150は、径方向RD外側に外周面150eを有する。第2樹脂部150の外周面150eは、マグネット130のうち第1樹脂部140から露出する露出面130eと向かい合う。
【0043】
次に、
図1~
図3Bを参照して、本発明の一実施形態に係るロータ100を説明する。
図3Aは、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110、内側コア120およびマグネット130の模式的な斜視図である。
図3Aでは、
図2Aおよび
図2Bに示したロータ100から第1樹脂部140および第2樹脂部150を取り除いている。また、
図3Bは、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110、内側コア120およびマグネット130の模式的な平面図である。
【0044】
図3Aに示すように、外側コア110およびマグネット130は、周方向CDに沿って環状に配置される。複数の磁極部Mpは、周方向CDに配置される。
【0045】
外側コア110は、複数の磁極部Mpと、環状部Cbを有する。複数の磁極部Mpは、環状部Cbを介して互い連結する。
【0046】
外側コア110は、複数の磁極鋼板10を有する。複数の磁極鋼板10のそれぞれは、磁極部Mpを構成する磁極部片Mppを有する。また、磁極部片Mppは、軸方向ADに積層される。外側コア110は、軸方向ADに沿って積層される複数の単位層ULを有する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るロータ100の外側コア110の軸方向ADに沿った長さは、ステータコア210の軸方向ADに沿った長さよりも大きい。ただし、仕様によっては、外側コア110の軸方向ADに沿った長さは、ステータコア210の軸方向ADに沿った長さと略同一であってもよく、あるいは、ステータコア210の軸方向ADに沿った長さよりも小さくてもよい。
【0047】
マグネット130の軸方向ADに沿った長さは、外側コア110が軸方向ADに沿って積層される複数の単位層ULよりも長い。つまり、外側コア110の軸方向ADの両側からマグネット130が突出している。マグネット130が長いことで、マグネット130の体積に応じて磁束量が増加して、モータ400のトルクを大きくすることができる。また、回路基板340に設けられたロータ100の回転位置を検出する素子との距離を近づけることができるため、ロータ100の回転時の位置検出精度を向上させることができる。
【0048】
ここでは、磁極部片Mppは、略扇形状である。なお、磁極部片Mppには孔he(
図8、
図9A)が設けられてもよい。この場合、磁極部片Mppの孔に第1樹脂部140(
図2)が配置されることが好ましい。これにより、第1樹脂部140が磁極部片Mppを強く固定できる。
【0049】
図3Aおよび
図3Bに示すように、内側コア120は、外側コア110およびマグネット130の径方向RD内側に位置する。外側コア110および内側コア120は、互いに離れて位置する。なお、
図2Aおよび
図2Bに示した第2樹脂部150は、内側コア120と外側コア110との間に介在する。
【0050】
マグネット130は、隣り合う磁極部Mpの間のマグネット挿入部Msに放射状に配置される。マグネット130は、対向する面同士が同じ磁極を有するように配置される。この場合、隣接するマグネット130に挟まれた磁極部Mpには、マグネット130の対向する面の磁極と同極の磁束が流れる。各磁極部Mpの磁束がステータ200(
図1)の磁界と反発・吸引することにより、ステータ200に対してロータ100が回転する。このようなロータ100は、スポークロータとも呼ばれる。
【0051】
内側コア120は、本体部122と、本体部122から径方向RD外側に突起した径方向突起部124とを有する。
【0052】
図3Aおよび
図3Bに示した外側コア110およびマグネット130は、第1樹脂部140に覆われる。
【0053】
次に、
図1~
図4Bを参照して、本発明の一実施形態に係るロータ100において、外側コア110、内側コア120、マグネット130および第1樹脂部140を説明する。
図4Aは、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110、内側コア120、マグネット130および第1樹脂部140の模式的な斜視図である。
図4Bは、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110、内側コア120、マグネット130および第1樹脂部140の模式的な平面図である。
【0054】
図4Aおよび
図4Bに示すように、第1樹脂部140は、外側コア110およびマグネット130の軸方向ADの両側を覆う。また、第1樹脂部140は、マグネット130の径方向RDの外側を覆う。
【0055】
第1樹脂部140の軸方向ADの両側端部には、軸方向ADに延びる第1貫通孔T1および第2貫通孔T2が設けられる。第1貫通孔T1および第2貫通孔T2は、周方向CDに沿って等間隔に配置される。
【0056】
第1貫通孔T1から外側コア110が露出される。第2貫通孔T2からマグネット130が露出される。第1貫通孔T1および第2貫通孔T2は、いずれも、金型を用いて第1樹脂部140を成型して作製する際に外側コア110およびマグネット130を位置決めするために利用される。
【0057】
図4Aおよび
図4Bに示した外側コア110および内側コア120は、第2樹脂部150に覆われる。
【0058】
次に、
図1~
図5Bを参照して、本発明の一実施形態に係るロータ100において、外側コア110、内側コア120、マグネット130、第1樹脂部140および第2樹脂部150を説明する。
図5Aは、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110、内側コア120、マグネット130、第1樹脂部140および第2樹脂部150の模式的な斜視図である。
図5Bは、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110、内側コア120、マグネット130、第1樹脂部140および第2樹脂部150の模式的な平面図である。
【0059】
図5Aおよび
図5Bに示すように、第2樹脂部150は、外側コア110および内側コア120の軸方向ADの両側を覆う。また、第2樹脂部150は、外側コア110および内側コア120との径方向RDの間に配置される。
【0060】
上述したように、ロータ100は、第1樹脂部140と第2樹脂部150との径方向RDの間に隙間Gaを有する。第1樹脂部140および第2樹脂部150を径方向RDに分離する金型を用いて第1樹脂部140および第2樹脂部150を成型した跡として、隙間Gaが形成される。
【0061】
次に、
図1~
図7Dを参照して、本発明の一実施形態に係るロータ100において、第1樹脂部140および第2樹脂部150の成型を説明する。
図6A~
図6Cは、本発明の一実施形態に係るロータ100において、第1樹脂部140の成型を説明するための模式図である。
図7A~
図7Dは、本発明の一実施形態に係るロータ100において、第2樹脂部150の成型を説明するための模式図である。
【0062】
図6Aに示すように、金型Moには、ロータ100を作製するための空間が設けられる。金型Moは、第1樹脂部140の成型に用いられる。また、本発明の一実施形態において、金型Moの少なくとも一部は、第2樹脂部150の成型に用いられる。
【0063】
ここでは、金型Moは、第1金型Maと、第2金型Mbとを有する。第1金型Maおよび第2金型Mbは、脱着可能である。第1金型Maおよび第2金型Mbは、互いに装着することによって、ロータ100を作製するための空間を規定する。ここでは、第1金型Maの体積は、第2金型Mbの体積よりも大きい。
【0064】
第1金型Maおよび第2金型Mbの内周面の少なくとも一部は、第1樹脂部140の成型に用いられる。また、第1金型Maの内周面の少なくとも一部は、第2樹脂部150の成型に用いられる。
【0065】
第1金型Maには、部位Mapおよび部位Maqが設けられる。部位Mapは、略円柱形状に突起する。部位Maqは、環状に突起する。
【0066】
第2金型Mbには、第1樹脂部140を構成する樹脂を注入するための注入孔H1が設けられる。注入孔H1は、第2金型Mbの外側から、第1樹脂部140を作製するための空間へと繋がる。
【0067】
図6Bに示すように、金型Moに、外側コア110、内側コア120およびマグネット130が配置される。これにより、外側コア110およびマグネット130の配置により、第1樹脂部140を構成する空間が規定される。この空間は、内側コア120の配置された空間とは分離される。
【0068】
このとき、内側コア120の軸方向ADの一方側の端部は、第1金型Maにおける部位Mapと接触する。また、外側コア110の軸方向ADの一方側の端部は、金型Moの第1金型Maにおける部位Maqと接触する。また、マグネット130の軸方向ADの一方側の端部であって径方向RD内側は、金型Moの第1金型Maにおける部位Maqと接触する。
【0069】
図6Cに示すように、注入孔H1から、第1樹脂部140を構成する樹脂が注入される。これにより、外側コア110およびマグネット130を覆う第1樹脂部140を形成する。
【0070】
図7Aに示すように、第2金型Mbが第1金型Maから取り外される。これにより、第1樹脂部140の一部が露出する。
【0071】
図7Bに示すように、第1金型Maに第3金型Mb1が装着される。第3金型Mb1は、第2樹脂部150を構成する樹脂を注入するための注入孔H2が設けられる。注入孔H2は、第3金型Mb1の外周面と内周面とを繋ぐ。注入孔H2は、第1樹脂部140を作製するための空間と繋がる。
【0072】
図7Cに示すように、注入孔H2から、第2樹脂部150を構成する樹脂を注入する。これにより、外側コア110、内側コア120およびマグネット130を覆う第2樹脂部150を形成する。したがって、外側コア110、内側コア120、マグネット130、第1樹脂部140および第2樹脂部150は、一体化する。
【0073】
図7Dに示すように、外側コア110、内側コア120、マグネット130、第1樹脂部140および第2樹脂部150を、金型Moから取り出す。
【0074】
以上のようにして、ロータ100を製造できる。本実施形態では、ロータ100の製造方法は、第1樹脂部140を成型する第1成型工程と、第2樹脂部150を成型する第2成型工程と、外側コア110、内側コア120、マグネット130、第1樹脂部140および第2樹脂部150を金型Moから取り出す取出し工程とを包含する。
【0075】
第1成型工程において、外側コア110と、内側コア120と、マグネット130とを金型Moに配置する。外側コア110は、周方向CDに配置される複数の磁極部Mpを有する。内側コア120は、外側コア110に対して径方向内側に位置する。マグネット130は、複数の磁極部Mpのうちの隣り合う磁極部Mp間に設けられるマグネット挿入部に配置される。第1成型工程では、金型Moの部位Maqが外側コア110の軸方向一方側の端部に接触した状態で、外側コア110およびマグネット130の少なくとも軸方向一方側の端部を覆う第1樹脂部140を成型する。
【0076】
第2成型工程では、金型Moの少なくとも一部に、外側コア110、内側コア120およびマグネット130を配置したまま、金型Moの少なくとも一部の部位Maqが外側コア110の軸方向一方側の端部に接触した状態で、外側コア110および内側コア120の少なくとも軸方向AD一方側の端部を覆う第2樹脂部150を成型する。
【0077】
取出し工程では、第2成型工程の後、第2成型工程において用いた金型Moから、外側コア110、内側コア120、マグネット130、第1樹脂部140および第2樹脂部150を備えた成型品(ロータ100)を取り出す。取出し工程の後、
図2Bに示したように、第1樹脂部140および第2樹脂部150を径方向RDに離間する隙間Gaから、外側コア110の一部が露出される。
【0078】
外側コア110の軸方向一方側の端部に金型Moの部位Maqを接触させたまま、外側コア110をそれぞれ覆う第1樹脂部140および第2樹脂部150を径方向RDに離間して成型することにより、第1樹脂部140および第2樹脂部150を作製するリードタイムを短縮できる。
【0079】
なお、ロータ100の製造方法は、第1成型工程と第2成型工程との間に、第1成型工程で用いた金型Moの一部分(第2金型Mb)を第2成型工程で用いる部分(第3金型Mb1)に交換する工程をさらに包含してもよい。この場合、金型Moの少なくとも一部(Ma)を共通に用いるとともに、異なる樹脂注入装置に適した態様で異なる樹脂を注入して第1樹脂部140および第2樹脂部150をそれぞれ成型できる。
【0080】
また、本実施形態では、ロータ100は、外側コア110と、内側コア120と、マグネット130と、第1樹脂部140と、第2樹脂部150とを備える。外側コア110は、周方向CDに配置される複数の磁極部Mpを有する。内側コア120は、外側コア110に対して径方向内側に位置する。マグネット130は、複数の磁極部Mpのうちの隣り合う磁極部Mp間に設けられるマグネット挿入部Msに配置される。
【0081】
第1樹脂部140は、外側コア110およびマグネット130の少なくとも軸方向一方側の端部を覆う。第2樹脂部150は、外側コア110および内側コア120の少なくとも軸方向一方側の端部を覆う。ロータ100は、第1樹脂部140および第2樹脂部150が互いに径方向RDに離間する隙間Gaを有する。隙間Gaから外側コア110の一部が露出する。
【0082】
金型Moの部位Maqを外側コア110の軸方向一方側の端部と接触させたまま、外側コア110をそれぞれ覆う第1樹脂部140および第2樹脂部150を径方向RDに離間してそれぞれ成型することにより、第1樹脂部140および第2樹脂部150を作製するリードタイムを短縮できる。
【0083】
外側コア110は、複数の磁極部Mpの少なくとも一部を径方向内側で繋ぐ環状部Cbを有する。環状部Cbは、第1樹脂部140と第2樹脂部150との間の隙間Gaから露出する。環状部Cbが複数の磁極部Mpの少なくとも一部を径方向内側で繋ぐことにより、外側コア110の構造的な強度を向上できるため、金型Moへの装着を容易にできる。また、環状部Cbに金型Moを位置決めできる。
【0084】
マグネット130の軸方向一方側の端部は、外側コア110の軸方向一方側の端部よりも軸方向外側に位置する。マグネット130の径方向内側の面の一部が第1樹脂部140から露出する。
【0085】
マグネット130の軸方向一方側の端部が外側コア110の軸方向一方側の端部よりも軸方向外側に位置することにより、ロータ100の磁束強度を向上できる。また、マグネット130の径方向内側の面の一部が露出することにより、第1樹脂部140と第2樹脂部150とを区画する金型Moの部位Maqを厚くでき、金型Moの強度を向上できる。
【0086】
以上、
図1~
図7Dを参照して、本発明の一実施形態に係るロータ100およびロータ100の製造方法を説明した。ロータ100は、第1樹脂部140および第2樹脂部150が互いに径方向に離間する隙間Gaを有する。
【0087】
図2Aに示したように、第2樹脂部150の外周面150eは、マグネット130のうち第1樹脂部140から露出する露出面130eと向かい合う。この場合、第1樹脂部140と第2樹脂部150とを区画する金型Moの部位Maqの厚さを一定にできるため、金型Moの強度を向上できる。
【0088】
第2樹脂部150の外周面150eは矩形状である。これにより、マグネット130が板状であっても、第2樹脂部150の外周面150eは矩形状であることにより、厚さ一定の部位Maqの金型Moで第1樹脂部140と第2樹脂部150とを区画できる。
【0089】
また、
図1に示したモータ400は、上記に記載のロータ100を備える。これにより、金型Moの部位Maqを外側コア110の軸方向一方側の端部と接触させたまま、外側コア110をそれぞれ覆う第1樹脂部140および第2樹脂部150を径方向RDに離間してそれぞれ成型することにより、第1樹脂部140および第2樹脂部150を作製するリードタイムが短縮される。
【0090】
なお、
図6A~
図7Dを参照して上述した説明では、第1樹脂部140および第2樹脂部150を作製するために、金型Moのうち第1金型Maを共通して使用したが、本実施形態はこれに限定されない。第1樹脂部140および第2樹脂部150を作製するために金型Mo全体を共通して使用してもよい。
【0091】
次に、
図1~
図8を参照して、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110を説明する。
図8は、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110の複数の単位層ULの分解斜視図である。
【0092】
図8に示すように、外側コア110は、複数の単位層ULを有する。複数の単位層ULのそれぞれは、複数の磁極部片Mppを有する。ここでは、複数の単位層ULのそれぞれは、10個の磁極部片Mppを有する。
【0093】
複数の単位層ULは、周方向CDに環状に配置された複数の磁極部片Mppが連結された環状磁極鋼板ULpと、周方向CDに環状に配置された複数の磁極部片Mppの少なくとも1つが他の磁極部片Mppと分離して配置された分離磁極鋼板ULqとを有する。環状磁極鋼板ULpでは、複数の磁極部片Mppが環状部Cbを介して連結する。分離磁極鋼板ULqでは、複数の磁極部片Mppが環状には連結されない。ただし、分離磁極鋼板ULqにおいても、複数の磁極部片Mppのうちのいくつかの磁極部片Mppが連結されてもよい。
【0094】
環状磁極鋼板ULpでは、周方向CDに環状に配置された複数の磁極部片Mppがすべて連結される。このため、環状磁極鋼板ULpでは、複数の磁極部片Mppが環状部Cbを介して環状に連結される。また、環状磁極鋼板ULpでは、磁極部片Mppに対して、環状部Cbよりも内側コア120側に突起する径方向突起部Rpを有する。
【0095】
分離磁極鋼板ULqは、複数の磁極鋼板10を有する。各単位層ULにおいて、複数の磁極鋼板10は、単一磁極鋼板10aと、連結磁極鋼板10bとを有する。単一磁極鋼板10aは、1つの磁極部片Mppを有する磁極鋼板10であり、連結磁極鋼板10bは、2つの磁極部片Mppを有する磁極鋼板10である。連結磁極鋼板10bは、2つの磁極部片Mppと、2つの磁極部片Mppを連結する連結部Ccとを有する。単一磁極鋼板10aおよび連結磁極鋼板10bの少なくとも一方は、磁極部片Mppに対して、連結部Ccよりも内側コア120側に突起する径方向突起部Rpを有する。
【0096】
ここで、単一磁極鋼板10aは、第1単一磁極鋼板10a1と、第2単一磁極鋼板10a2とを有する。連結磁極鋼板10bは、第1連結磁極鋼板10b1と、第2連結磁極鋼板10b2とを有する。
【0097】
図8には、単位層ULとして、単位層ULa、単位層ULb、単位層ULc、単位層ULd、単位層ULe、単位層ULf、単位層ULg、単位層ULh・・・、単位層ULzを示す。単位層ULaから単位層ULzは、軸方向ADに沿って順番に積層される。
【0098】
ここでは、分離磁極鋼板ULqの単位層ULのそれぞれは、3個の第1単一磁極鋼板10a1と、3個の第2単一磁極鋼板10a2と、1個の第1連結磁極鋼板10b1と、1個の第2連結磁極鋼板10b2とを含む。
【0099】
外側コア110に含まれる単一磁極鋼板10aおよび連結磁極鋼板10bの少なくとも一方は、磁極部片Mppに対して、連結部Ccよりも内側コア120側に突起する径方向突起部Rpをさらに有する。
【0100】
上述したように、内側コア120は、外側コア110およびマグネット130の径方向RD内側に位置する。外側コア110および内側コア120は、互いに離れて位置する。第2樹脂部150(
図2Aおよび
図2B)は、内側コア120と外側コア110との間に介在する。磁極部片Mppに対して連結部Ccよりも内側コア120側に突起する径方向突起部Rpが第2樹脂部150に対して楔として機能する。そのため、外側コア110が内側コア120に対して周方向CDに捻じれることを抑制できる。
【0101】
第1単一磁極鋼板10a1と、第2単一磁極鋼板10a2と、第1連結磁極鋼板10b1と、第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれの磁極部片Mppには孔heが設けられる。第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれの孔heは、軸方向ADに繋がる。
【0102】
第1樹脂部140は、第1単一磁極鋼板10a1と、第2単一磁極鋼板10a2と、第1連結磁極鋼板10b1と、第2連結磁極鋼板10b2の孔heに介在する。第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれの磁極部片Mppの孔heに樹脂が介在することにより、積層された磁極鋼板10同士が軸方向ADおよび径方向RDに位置ずれすることを抑制できる。
【0103】
外側コア110は、軸方向ADに沿って積層鋼板が積層される複数の単位層ULを有する。複数の単位層ULのそれぞれは、磁極部Mpを構成する磁極部片Mppを有する。複数の単位層ULは、周方向CDに環状に配置された複数の磁極部片Mppが連結された環状磁極鋼板ULpと、周方向CDに環状に配置された複数の磁極部片Mppの少なくとも1つが他の磁極部片Mppと分離して配置された分離磁極鋼板ULqとを有する。環状磁極鋼板ULpは、少なくとも軸方向AD端部に配置される。
【0104】
複数の積層鋼板が、周方向に環状に配置された複数の磁極部片Mppが分離して配置された分離磁極鋼板ULqを含むことにより、磁束漏れによるモータ性能(効率・トルク)の低下を抑制できる。また、複数の積層鋼板において、周方向CDに環状に配置された複数の磁極部片Mppが連結された環状磁極鋼板ULpが少なくとも軸方向端部に配置されることにより、構造的な強度向上および金型Moの位置決めを効率的に実現できる。
【0105】
次に、
図9Aおよび
図9Bを参照して、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110の環状磁極鋼板ULpを説明する。
図9Aは、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110の環状磁極鋼板ULpである単位層ULaの斜視図である。
図9Bは、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110の環状磁極鋼板ULpである単位層ULzの斜視図である。
【0106】
図9Aに示すように、環状磁極鋼板ULpでは、周方向CDに環状に配置された複数の磁極部片Mppが連結される。複数の磁極部片Mppは、環状部Cbを介して環状に連結される。磁極部片Mppは、略扇形状の薄板である。磁極部片Mppには孔heが設けられる。
【0107】
環状磁極鋼板ULpは、複数の磁極部片Mppと、環状部Cbと、環状部Cbに対して径方向RD内側に突起した第1径方向突起部Rpc1と、環状部Cbに対して径方向RD内側に、第1径方向突起部Rpc1よりも大きく突起した第2径方向突起部Rpc2とを有する。第1径方向突起部Rpc1および第2径方向突起部Rpc2は、周方向CDに環状に配置された複数の磁極部片Mppに対して交互に配置される。
【0108】
また、複数の磁極部片Mppのそれぞれは、周方向突起部Cpをさらに有する。周方向突起部Cpは、磁極部片Mppの径方向RD外側において、磁極部片Mppから周方向CD外側に向かって時計回りおよび反時計回りにそれぞれ突起する。
【0109】
図9Bに示すように、分離磁極鋼板ULqでは、周方向CDに環状に配置された複数の磁極部片Mppが連結される。複数の磁極部片Mppは、環状部Cbを介して環状に連結される。磁極部片Mppは、略扇形状の薄板である。磁極部片Mppには孔heは設けられない。
【0110】
次に、
図10を参照して、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110の分離磁極鋼板ULqを説明する。
図10は、本発明の一実施形態に係るロータ100における外側コア110の分離磁極鋼板ULqの分解斜視図である。
【0111】
図10に示すように、分離磁極鋼板ULqは、複数の磁極鋼板10を有する。各単位層ULにおいて、複数の磁極鋼板10は、単一磁極鋼板10aと、連結磁極鋼板10bとを有する。単一磁極鋼板10aは、1つの磁極部片Mppを有する磁極鋼板10であり、連結磁極鋼板10bは、2つの磁極部片Mppを有する磁極鋼板10である。連結磁極鋼板10bは、2つの磁極部片Mppと、2つの磁極部片Mppを連結する連結部Ccとを有する。単一磁極鋼板10aおよび連結磁極鋼板10bの少なくとも一方は、磁極部片Mppに対して、連結部Ccよりも内側コア120側に突起する径方向突起部Rpを有する。
【0112】
ここで、単一磁極鋼板10aは、第1単一磁極鋼板10a1と、第2単一磁極鋼板10a2とを有する。連結磁極鋼板10bは、第1連結磁極鋼板10b1と、第2連結磁極鋼板10b2とを有する。
【0113】
次に、
図11A~
図11Dを参照して、本発明の一実施形態に係るロータ100における第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2を説明する。
図11Aは、本発明の一実施形態に係るロータ100における第1単一磁極鋼板10a1の模式的な平面図であり、
図11Bは、本発明の一実施形態に係るロータ100における第2単一磁極鋼板10a2の模式的な平面図である。また、
図11Cは、本発明の一実施形態に係るロータ100における第1連結磁極鋼板10b1の模式的な平面図であり、
図11Dは、本発明の一実施形態に係るロータ100における第2連結磁極鋼板10b2の模式的な平面図である。
【0114】
図11Aに示すように、第1単一磁極鋼板10a1は、1つの磁極部片Mppを有する。磁極部片Mppは、略扇形状の薄板である。磁極部片Mppには孔heが設けられる。
【0115】
第1単一磁極鋼板10a1は、周方向突起部Cpをさらに有する。周方向突起部Cpは、磁極部片Mppの径方向RD外側において、磁極部片Mppから周方向CD外側に向かって時計回りおよび反時計回りにそれぞれ突起する。
【0116】
図11Bに示すように、第2単一磁極鋼板10a2は、1つの磁極部片Mppを有する。磁極部片Mppは、略扇形状の薄板である。磁極部片Mppには孔heが設けられる。第2単一磁極鋼板10a2は、磁極部片Mppから径方向RD内側に突起する径方向突起部Rpaをさらに有する。径方向突起部Rpaは、磁極部片Mppと径方向突起部Rpaとの接続部分から周方向CDに延びる。
【0117】
第2単一磁極鋼板10a2は、周方向突起部Cpをさらに有する。周方向突起部Cpは、磁極部片Mppの径方向RD外側において、磁極部片Mppから周方向CD外側に向かって時計回りおよび反時計回りにそれぞれ突起する。
【0118】
図11Cに示すように、第1連結磁極鋼板10b1は、2つの磁極部片Mppと、連結部Ccとを有する。磁極部片Mppは、略扇形状の薄板である。磁極部片Mppには孔heが設けられる。連結磁極鋼板10bの2つの磁極部片Mppは、単一磁極鋼板10aの磁極部片Mppと同様の構成を有することが好ましい。
【0119】
第1連結磁極鋼板10b1は、第1磁極部片Mpp1と、第1磁極部片Mpp1に対して周方向CDに位置する第2磁極部片Mpp2と、連結部Ccと、第1磁極部片Mpp1に対して径方向RD内側に突起した第1径方向突起部Rpa1と、第2磁極部片Mpp2に対して径方向RD内側に、第1径方向突起部Rpa1よりも大きく突起した第2径方向突起部Rpa2とを有する。第1連結磁極鋼板10b1において、第2径方向突起部Rpa2は、第1径方向突起部Rpa1に対して時計回り側に位置する。
【0120】
連結部Ccは、2つの磁極部片Mppを連結する。連結部Ccは、第1磁極部片Mpp1および第2磁極部片Mpp2の径方向内側部分を連結する。連結部Ccは、第1磁極部片Mpp1の径方向内側部分と第2磁極部片Mpp2の径方向内側部分との間を周方向CDに延びる。
【0121】
第1連結磁極鋼板10b1は、周方向突起部Cpをさらに有する。周方向突起部Cpは、第1磁極部片Mpp1および第2磁極部片Mpp2の径方向RD外側において、磁極部片Mppから周方向CD外側に向かって時計回りおよび反時計回りにそれぞれ突起する。
【0122】
図11Dに示すように、第2連結磁極鋼板10b2は、2つの磁極部片Mppと、連結部Ccを有する。磁極部片Mppは、略扇形状の薄板である。磁極部片Mppには孔heが設けられる。連結磁極鋼板10bの2つの磁極部片Mppは、単一磁極鋼板10aの磁極部片Mppと同様の構成を有することが好ましい。
【0123】
第2連結磁極鋼板10b2は、第1磁極部片Mpp1と、第1磁極部片Mpp1に対して周方向CDに位置する第2磁極部片Mpp2と、連結部Ccと、第1磁極部片Mpp1に対して径方向RD内側に突起した第1径方向突起部Rpb1と、第2磁極部片Mpp2に対して径方向RD内側に、第1径方向突起部Rpb1よりも大きく突起した第2径方向突起部Rpb2とを有する。第1連結磁極鋼板10b1において、第2径方向突起部Rpb2は、第1径方向突起部Rpb1に対して反時計回り側に位置する。
【0124】
連結部Ccは、2つの磁極部片Mppを連結する。連結部Ccは、第1磁極部片Mpp1および第2磁極部片Mpp2の径方向RD内側部分を連結する。連結部Ccは、第1磁極部片Mpp1の径方向内側部分と第2磁極部片Mpp2の径方向RD内側部分との間を周方向CDに延びる。
【0125】
第2連結磁極鋼板10b2は、周方向突起部Cpをさらに有する。周方向突起部Cpは、第1磁極部片Mpp1および第2磁極部片Mpp2のそれぞれの径方向RD外側において、第1磁極部片Mpp1および第2磁極部片Mpp2から周方向CD外側に向かって時計回りおよび反時計回りにそれぞれ突起する。
【0126】
ここで、再び、
図8を参照すると、径方向突起部Rpは、磁極部片Mppに対して径方向RD内側に位置する。径方向突起部Rpは、径方向突起部Rpと磁極部片Mppとの接続部分よりも周方向CD外側に延びる。径方向突起部Rpが、磁極部片Mppに対して径方向RD内側に位置するとともに径方向突起部Rpと磁極部片Mppとの接続部分に対して周方向CD外側に延びることにより、マグネット130を径方向RDに位置決めできる。
【0127】
ここで、再び、
図10を参照すると、分離磁極鋼板ULqでは、基準位置Pbから周方向CDに沿って時計回りに、第1連結磁極鋼板10b1の一方の磁極部片Mpp、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1単一磁極鋼板10a1、第2連結磁極鋼板10b2、第2単一磁極鋼板10a2、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2および第1連結磁極鋼板10b1の他方の磁極部片Mppが順番に配置される。
【0128】
単位層ULcでは、基準位置Pcから周方向CDに沿って時計回りに、第2単一磁極鋼板10a2、第1連結磁極鋼板10b1、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1単一磁極鋼板10a1、第2連結磁極鋼板10b2、第2単一磁極鋼板10a2および第1単一磁極鋼板10a1が順番に配置される。
【0129】
単位層ULdでは、基準位置Pdから周方向CDに沿って時計回りに、第2単一磁極鋼板10a2、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1連結磁極鋼板10b1、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1単一磁極鋼板10a1および第2連結磁極鋼板10b2が順番に配置される。
【0130】
単位層ULeでは、基準位置Peから周方向CDに沿って時計回りに、第2連結磁極鋼板10b2、第2単一磁極鋼板10a2、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1連結磁極鋼板10b1、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2および第1単一磁極鋼板10a1が順番に配置される。
【0131】
単位層ULfでは、基準位置Pfから周方向CDに沿って時計回りに、第2単一磁極鋼板10a2、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1連結磁極鋼板10b1、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1単一磁極鋼板10a1および第2連結磁極鋼板10b2が順番に配置される。
【0132】
なお、単位層ULfに続く単位層ULgでは、単位層ULbと同様に、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2が配置される。また、単位層ULgに続く単位層ULhでは、単位層ULcと同様に、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2が配置される。その後、単位層ULb~ULeと同様に、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2、第1連結磁極鋼板10b1および第2連結磁極鋼板10b2が配置される。
【0133】
ここで、単位層ULbから単位層ULfにおいて第1連結磁極鋼板10b1の基準位置Pb~Pfに対する配置に着目すると、第1連結磁極鋼板10b1は、単位層ULごとに72°ずつ時計回りに回転した場所に位置する。同様に、単位層ULbから単位層ULfにおいて、第1単一磁極鋼板10a1、第2単一磁極鋼板10a2および第2連結磁極鋼板10b2のそれぞれも、単位層ULごとに72°時計回りに回転した場所に位置する。
【0134】
図10~
図11Dに示すように、単一磁極鋼板10aは、周方向突起部Cpをさらに有する。周方向突起部Cpは、磁極部片Mppの径方向RD外側において、磁極部片Mppから周方向CD外側に向かって時計回りおよび反時計回りにそれぞれ突起する。周方向突起部Cpは、マグネット130が径方向RD外側への移動を規制する。
【0135】
連結磁極鋼板10bは、周方向突起部Cpをさらに有する。周方向突起部Cpは、磁極部片Mppaおよび磁極部片Mppbのそれぞれの径方向RD外側において、磁極部片Mppから周方向CD外側に向かって時計回りおよび反時計回りにそれぞれ突起する。
【0136】
なお、
図8~
図11Dを参照した上述の説明では、各分離磁極鋼板ULqは、単一磁極鋼板10aおよび連結磁極鋼板10bをそれぞれ有したが、本実施形態はこれに限定されない。分離磁極鋼板ULqは、単一磁極鋼板10aを有することなく複数種類の連結磁極鋼板10bを有してもよい。
【0137】
また、
図8~
図11Dに示したロータ100では、分離磁極鋼板ULqの構成は、5層ごとに繰り返された周期構造であったが、本実施形態はこれに限定されない。分離磁極鋼板ULqにおける周期構造の繰り返される層数は5でなくてもよく、任意の数であってもよい。
【0138】
例えば、
図8~
図11に示したロータ100では、複数の単位層ULのそれぞれは、10個の磁極部片Mppを有する構造であったが、本実施形態はこれに限定されない。ロータ100は、8個の磁極部片Mppを有する構造、あるいは、14個の磁極部片Mppを有する構造であってもよい。
【0139】
図1に示したように、モータ400は、上述したロータ100を備えることが好ましい。これにより、外側コア110を内側コア120およびマグネット130とともに第1樹脂部140および第2樹脂部150で覆う際に外側コア110全体が位置ずれすることを抑制できる。また、単位層ULの磁極部片Mppが周方向CDの全周にわたって繋がっていないとともに積層された単位層において連結磁極鋼板10bの連結部Ccが軸方向ADにわたって繋がっていないため、連結部Ccを流れる磁束の漏れを低減できる。
【0140】
以上、図面(
図1~
図11D)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0141】
なお、本技術は、以下の構成をとることが可能である。
(1)周方向に配置される複数の磁極部を有する外側コアと、前記外側コアに対して径方向内側に位置する内側コアと、前記複数の磁極部のうちの隣り合う磁極部間に設けられるマグネット挿入部に配置されるマグネットと、前記外側コアおよび前記マグネットの少なくとも軸方向一方側の端部を覆う第1樹脂部と、前記外側コアおよび前記内側コアの少なくとも軸方向一方側の端部を覆う第2樹脂部とを備え、前記第1樹脂部および前記第2樹脂部が互いに径方向に離間する隙間を有し、前記隙間から前記外側コアの一部が露出する、ロータ。
(2)前記外側コアは、前記複数の磁極部の少なくとも一部を径方向内側で繋ぐ環状部を有し、前記環状部は、前記第1樹脂部と前記第2樹脂部との間の前記隙間から露出する、(1)に記載のロータ。
(3)前記外側コアは、軸方向に沿って積層鋼板が積層される複数の単位層を有し、前記複数の単位層のそれぞれは、前記磁極部を構成する磁極部片を有し、前記複数の単位層は、周方向に環状に配置された複数の磁極部片が連結された環状磁極鋼板と、周方向に環状に配置された複数の磁極部片の少なくとも1つが他の磁極部片と分離して配置された分離磁極鋼板と、を有し、前記環状磁極鋼板は、少なくとも軸方向端部に配置される、(2)に記載のロータ。
(4)前記マグネットの軸方向一方側の端部は、前記外側コアの軸方向一方側の端部よりも軸方向外側に位置し、前記マグネットの径方向内側の面の一部が前記第1樹脂部から露出する、(1)から(3)のいずれかに記載のロータ。
(5)前記第2樹脂部の外周面は、前記マグネットのうち前記第1樹脂部から露出する露出面と向かい合う、(4)に記載のロータ。
(6)前記第2樹脂部の前記外周面は矩形状である、(5)に記載のロータ。
(7)前記第2樹脂部は、前記第1樹脂部よりも高い弾性係数を有する、(1)から(6)のいずれかに記載のロータ。
(8)(1)から(7)のいずれかに記載のロータを備えるモータ。
(9)周方向に配置される複数の磁極部を有する外側コアと、前記外側コアに対して径方向内側に位置する内側コアと、前記複数の磁極部のうちの隣り合う磁極部間に設けられるマグネット挿入部に配置されるマグネットとを金型に配置し、前記金型の部位が前記外側コアの軸方向一方側の端部に接触した状態で、前記外側コアおよび前記マグネットの少なくとも軸方向一方側の端部を覆う第1樹脂部を成型する第1成型工程と、前記金型の少なくとも一部に、前記外側コア、前記内側コアおよび前記マグネットを配置したまま、前記金型の前記少なくとも一部の前記部位が前記外側コアの軸方向一方側の端部に接触した状態で、前記外側コアおよび前記内側コアの少なくとも軸方向一方側の端部を覆う第2樹脂部を成型する第2成型工程と、前記第2成型工程の後、前記第2成型工程において用いた金型から、前記外側コア、前記内側コア、前記マグネット、前記第1樹脂部および前記第2樹脂部を備えた成型品を取り出す取出し工程とを包含し、前記取出し工程の後、前記第1樹脂部および前記第2樹脂部を径方向に離間する隙間から、前記外側コアの一部が露出される、ロータの製造方法。
(10)前記第1成型工程と前記第2成型工程との間に、前記第1成型工程で用いた金型の一部分を前記第2成型工程で用いる部分に交換する工程をさらに包含する、(9)に記載のロータの製造方法。
【符号の説明】
【0142】
100 ロータ
110 外側コア
120 内側コア
130 マグネット
140 第1樹脂部
150 第2樹脂部