(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086257
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】収納構造体、及び収納構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 43/06 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
B65D43/06 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201288
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】590000835
【氏名又は名称】株式会社KELK
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近内 三沖
(72)【発明者】
【氏名】沼井 勇太
(72)【発明者】
【氏名】平井 翔太
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA06
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB03
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC03
3E084FA02
3E084FC04
3E084FC10
3E084GA06
3E084GB06
3E084HA02
3E084HB08
3E084HB09
3E084HC03
3E084HC09
3E084HD01
(57)【要約】
【課題】重ね合わせ方向の力に対する強度を増大させることができる収納構造体、及び収納構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】収納構造体100は、重ね合わせ方向Dvに開閉可能に重ね合わされて、物体が収納される収納空間を形成するように2つ設けられているとともに、重ね合わせ方向Dvに交差する交差方向Dcから収納空間を囲う側部12、22を有する分割体1と、分割体1の側部12、22に設けられて2つの分割体1を係合させ、2つの分割体1が係合されている係合状態ST1では交差方向Dcに係合力を作用させる係合部6と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わせ方向に開閉可能に重ね合わされて、物体が収納される収納空間を形成するように2つ設けられているとともに、前記重ね合わせ方向に交差する交差方向から前記収納空間を囲う側部を有する分割体と、
前記分割体の前記側部に設けられて2つの前記分割体を係合させ、2つの前記分割体が係合されている係合状態では前記交差方向に係合力を作用させる係合部と、
を備える、収納構造体。
【請求項2】
前記係合部は、
各前記分割体に設けられ、互いに係合可能な2つの係合部本体と、
前記係合部本体ごとに設けられ、前記係合部本体と前記分割体とを接続する弾性変形可能な2つの接続部と、
を有する、請求項1に記載の収納構造体。
【請求項3】
一方の前記係合部本体は、嵌合溝部を有し、
他方の前記係合部本体は、前記嵌合溝部に嵌合可能な嵌合突出部を有する、請求項2に記載の収納構造体。
【請求項4】
前記嵌合溝部は、前記係合状態で前記重ね合わせ方向及び前記交差方向のいずれか一方向に、前記嵌合突出部よりも長い長孔状に形成されている、請求項3に記載の収納構造体。
【請求項5】
前記嵌合溝部は、前記係合状態で前記重ね合わせ方向及び前記交差方向の少なくともいずれか一方向に延在するように、前記嵌合突出部よりも多く複数形成されている、請求項3に記載の収納構造体。
【請求項6】
2つの前記係合部本体は、互いに係合可能なフック部を有する、請求項2に記載の収納構造体。
【請求項7】
2つの前記係合部本体は、互いに嵌合可能であるとともに、同形状に形成されている、請求項2に記載の収納構造体。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の収納構造体を製造する収納構造体の製造方法であって、
真空吸着又は圧縮空気による加圧によって、樹脂材料を金型に押し付けることにより、前記分割体及び前記係合部を一体成形する成形工程を含む、収納構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納構造体、及び収納構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、収納構造としてブリスターパックの蓋体及び筐体の組立構造が開示されている。蓋体は筐体に蓋をしており、蓋体の側壁面にはU字状係合槽が形成されている。U字状係合槽は、側方及び蓋体と筐体との重ね合わせ方向に開放されている。筐体には、U字状係合槽に対して側方から嵌入可能な屈曲係合部が形成されている。U字状係合槽と屈曲係合部との嵌合によって、蓋体と筐体とが固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の収納構造では、U字状係合槽が重ね合わせ方向に開放されているため、重ね合わせ方向の力に対する強度が小さいことが課題とされていた。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、重ね合わせ方向の力に対する強度を増大させることができる収納構造体、及び収納構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る収納構造体は、重ね合わせ方向に開閉可能に重ね合わされて、物体が収納される収納空間を形成するように2つ設けられているとともに、前記重ね合わせ方向に交差する交差方向から前記収納空間を囲う側部を有する分割体と、前記分割体の前記側部に設けられて2つの前記分割体を係合させ、2つの前記分割体が係合されている係合状態では前記交差方向に係合力を作用させる係合部と、を備える。
【0007】
本発明に係る収納構造体の製造方法は、上記の収納構造体を製造する収納構造体の製造方法であって、真空吸着又は圧縮空気による加圧によって、樹脂材料を金型に押し付けることにより、前記分割体及び前記係合部を一体成形する成形工程を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、重ね合わせ方向の力に対する強度を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る、分割体が開放位置にある場合の収納構造体を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る、第1シート及び第2シートを除いた収納構造体の斜視図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る、分割体が閉塞位置にある場合の収納構造体を示す断面図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係る、分割体の開閉移動を示す収納構造体の側面図である。
【
図5】本発明の第一実施形態に係る係合部を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第一実施形態に係る係合部を示す断面図である。
【
図7】本発明の第一実施形態に係る収納構造体の製造方法を説明するフローチャートである。
【
図8】本発明の第一実施形態の第一変形例に係る係合部を示す断面図である。
【
図9】本発明の第一実施形態の第二変形例に係る係合部を示す断面図である。
【
図10】本発明の第二実施形態に係る係合部を示す斜視図である。
【
図11】本発明の第三実施形態に係る係合部を示す斜視図である。
【
図12】本発明の第三実施形態に係る係合部を示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第一実施形態>
(電子部品の収納構造体の構成)
以下、本発明の第一実施形態に係る収納構造体100について、
図1から
図7を参照して説明する。
図1に示す収納構造体100は、所定の物体Aを収納することができる。本実施形態では、収納構造体100が例えばICチップや熱電モジュール等の電子部品を収納する場合を例に説明する。
【0011】
図1から
図3に示すように、収納構造体100は、分割体1と、第一シート2と、第二シート3と、ヒンジ部4と、位置決め部5と、係合部6と、を備える。
【0012】
(分割体)
分割体1は、開閉可能に重ね合わされて物体A(本実施形態では電子部品)が収納される収納空間Sを形成するように2つ設けられている。
図3、
図4に示すように、2つの分割体1は、収納空間Sが閉塞される閉塞位置P1と、収納空間Sが開放される開放位置P2との間で移動可能とされている。以下では、特に説明の無い限り、2つの分割体1が閉塞位置P1にあることを前提とする。
【0013】
以下では、閉塞位置P1での2つの分割体1の重ね合わせ方向Dvを単に「重ね合わせ方向Dv」と称し、重ね合わせ方向Dvに略垂直に交差する方向を「交差方向Dc」と称する。重ね合わせ方向Dvと交差方向Dcとの交差角度は、例えば80度以上100度以下に設計されている。ただし、交差方向Dcが重ね合わせ方向Dvに直交する場合が最も好ましい。本実施形態では、交差方向Dcが重ね合わせ方向Dvに直交している場合を例に説明する。さらに、交差方向Dcのうち一の方向を「第一方向D1」と称し、交差方向Dcのうち第一方向D1と直交する方向を「第二方向D2」と称する。
【0014】
また、以下では、2つの分割体1のうち一方の分割体1を第一分割体10と称し、他方の分割体1を第二分割体20と称する。
【0015】
(第一分割体)
第一分割体10は、重ね合わせ方向Dvで第二分割体20側に開口した筐体である。第一分割体10は、底部11と、側部12と、を有する。
【0016】
(底部)
底部11は、交差方向Dcに延在する板状に成形されている。底部11は、台座部13と、外周部14と、を有する。
台座部13は、底部11のうち重ね合わせ方向Dvで第二分割体20側に向けて僅かに突出した台座状の部分である。台座部13は、重ね合わせ方向Dvから見て、円形状に成形されている。以下では、台座部13を重ね合わせ方向Dvから見た時、台座部13の中心13aを基準として、交差方向Dcで中心13aに接近する方向を内周側とし、交差方向Dcで中心13aから離間する方向を外周側として説明する。
【0017】
外周部14は、底部11のうち台座部13の外周側に設けられている。外周部14は、第一外周部14aと、第二外周部14bと、第三外周部14cと、を有する。
第一外周部14aは、第一方向D1に直線状に延びるとともに第二方向D2に離間して一対設けられている。一対の第一外周部14aの長さは等しい。一対の第一外周部14aの第一方向D1の中心は、第一方向D1で同一位置に位置している。
【0018】
第二外周部14bは、第二方向D2に直線状に延びるとともに第一方向D1に離間して一対設けられている。一対の第二外周部14bの長さは等しい。一対の第二外周部14bの第二方向D2の中心は、第二方向D2で同一位置に位置している。
第三外周部14cは、重ね合わせ方向Dvから見て、底部11の角にあたる位置に4つ設けられている。第三外周部14cは、隣り合う第一外周部14aと第二外周部14bの端部同士を接続している。各第三外周部14cは、重ね合わせ方向Dvから見て、外周側に向けて張り出した円弧状に成形されている。4つの第三外周部14cは、全て同形状に成形されている。
【0019】
(側部)
側部12は、底部11の外周部14のさらに外周側に設けられ、底部11と一体に成形されている。側部12は、交差方向Dcから(外周側から)収納空間Sを囲っている。側部12は、側部本体15と、張り出し部16と、を有する。
【0020】
側部本体15は、底部11の外周部14を囲うように設けられている。側部本体15は、底部11よりも重ね合わせ方向Dvで第二分割体20側に突出している。側部本体15は、内縁部17と、外縁部18と、を有する。内縁部17は、側部本体15の内周側の縁部を構成する部分である。
内縁部17は、底部11の外周部14に沿うように成形され、外周部14に接続されている。
外縁部18は、側部本体15の外周側の縁部を構成する部分である。外縁部18は、第一外縁部18aと、第二外縁部18bと、第三外縁部18cと、を有する。
【0021】
第一外縁部18aは、第一方向D1に直線状に延びるとともに第二方向D2に離間して一対設けられている。一対の第一外縁部18aの長さは等しい。一対の第一外縁部18aの第一方向D1の中心は、第一方向D1で同一位置に位置している。
【0022】
第二外縁部18bは、第二方向D2に直線状に延びるとともに第一方向D1に離間して一対設けられている。一対の第二外縁部18bのうち、第一方向D1一方側の第二外縁部18bの長さは、第一方向D1他方側の第二外縁部18bの長さよりも短い。一対の第二外縁部18bの第二方向D2の中心は、第二方向D2で同一位置に位置している。また、第一方向D1他方側の第二外縁部18bの両端部は、それぞれ第一外縁部18aの端部に接続されている。
【0023】
第一方向D1他方側の第二外縁部18bは、第二方向D2両端部のそれぞれに傾斜面18dを有する。傾斜面18dは、重ね合わせ方向Dvで第二分割体20側に面している。傾斜面18dは、第一方向D1で底部11から離間する側、すなわち第一方向D1で外周側に向かうにしたがって、重ね合わせ方向Dvで第二分割体20から漸次離間するように傾斜している。傾斜面18dは、第二方向D2からみて直線状に傾斜した平坦面である。
【0024】
第三外縁部18cは、第一方向D1一方側の第二外縁部18bの両端部に一対設けられている。第三外縁部18cは、隣り合う第一外縁部18aと第二外縁部18bの端部同士を接続している。各第三外縁部18cは、重ね合わせ方向Dvから見て、外周側に向けて張り出した円弧状に成形されている。一対の第三外縁部18cは、同形状に成形されている。
【0025】
張り出し部16は、外縁部18の第一方向D1一方側端部に設けられている。より詳細には、張り出し部16は、第三外縁部18cの重ね合わせ方向Dvで第二分割体20とは反対側の端部に設けられている。張り出し部16は、第三外縁部18cから外周側に張り出している。張り出し部16は、第三外縁部18cに沿って形成されている。張り出し部16の外周側の縁部16aは、直線状に形成されている。張り出し部16の縁部16aの延在方向は、重ね合わせ方向Dvに直交し、第一方向D1及び第二方向D2に対して約45度の角度で交差している。
【0026】
(第二分割体)
第二分割体20は、第一分割体10の開口を閉塞する蓋体である。第二分割体20は、重ね合わせ方向Dvで第一分割体10側に開口した有底容器の形状をなしている。第二分割体20は、底部21と、側部22と、を有する。
【0027】
(底部)
底部21は、交差方向Dcに延在する板状に成形されている。底部21は、重ね合わせ方向Dvで第一分割体10から離間する側に向けて僅かに凹み成形されている。底部21は、球面状に成形され、重ね合わせ方向Dvから見て、円形状に成形されている。底部21の中心21aは、重ね合わせ方向Dvから見て、台座部13の中心13aと略同一の位置に設けられている。また、底部21は、重ね合わせ方向Dvから見て、台座部13と略同形状、及び同程度の大きさに成形されている。
【0028】
(側部)
側部22は、底部21の外周縁のさらに外周側に設けられ、底部21と一体に成形されている。側部22は、交差方向Dcから(外周側から)収納空間Sを囲っている。側部22は、側部本体23と、張り出し部24と、を有する。
【0029】
側部本体23は、底部21の外周縁を囲うように設けられている。側部本体23は、底部21よりも重ね合わせ方向Dvで第一分割体10側に突出している。側部本体23は、内周側の内側本体部25と、外周側の外側本体部26と、を有する。内側本体部25は、底部21の外周縁に沿うように成形され、底部21に接続されている。内側本体部25は、外側本体部26よりも重ね合わせ方向Dvで第一分割体10側に突出している。
【0030】
第二分割体20の内側本体部25は、重ね合わせ方向Dvから見て、第一分割体10の外周部14と略同形状、及び同程度の大きさに成形されている。内側本体部25は、第一内側本体部25aと、第二内側本体部25bと、第三内側本体部25cと、を有する。
第一内側本体部25aは、第一方向D1に直線状に延びるとともに第二方向D2に離間して一対設けられている。一対の第一内側本体部25aの長さは等しい。一対の第一内側本体部25aの第一方向D1の中心は、第一方向D1で同一位置に位置している。
【0031】
第二内側本体部25bは、第二方向D2に直線状に延びるとともに第一方向D1に離間して一対設けられている。一対の第二内側本体部25bの長さは等しい。一対の第二内側本体部25bの第二方向D2の中心は、第二方向D2で同一位置に位置している。
第三内側本体部25cは、重ね合わせ方向Dvから見て、側部22の角にあたる位置に4つ設けられている。第三内側本体部25cは、隣り合う第一内側本体部25aと第二内側本体部25bの端部同士を接続している。各第三内側本体部25cは、重ね合わせ方向Dvから見て、外周側に向けて張り出した円弧状に成形されている。4つの第三内側本体部25cは、全て同形状に成形されている。
【0032】
外側本体部26は、内側本体部25よりも外周側に設けられている。外側本体部26は、内縁部27と、外縁部28と、を有する。内縁部27は、外側本体部26の内周側の縁部を構成する部分である。
内縁部27は、内側本体部25に沿うように成形されている。
外縁部28は、外側本体部26の外周側の縁部を構成する部分である。外縁部28は、重ね合わせ方向Dvから見て、第一分割体10の外縁部18と略同形状、及び同程度の大きさに成形されている。外縁部28は、第一外縁部28aと、第二外縁部28bと、第三外縁部28cと、を有する。
【0033】
第一外縁部28aは、第一方向D1に直線状に延びるとともに第二方向D2に離間して一対設けられている。一対の第一外縁部28aの長さは等しい。一対の第一外縁部28aの第一方向D1の中心は、第一方向D1で同一位置に位置している。
【0034】
第二外縁部28bは、第二方向D2に直線状に延びるとともに第一方向D1に離間して一対設けられている。一対の第二外縁部28bのうち、第一方向D1一方側の第二外縁部28bの長さは、第一方向D1他方側の第二外縁部28bの長さよりも短い。一対の第二外縁部28bの第二方向D2の中心は、第二方向D2で同一位置に位置している。また、第一方向D1他方側の第二外縁部28bの両端部は、それぞれ第一外縁部28aの端部に接続されている。
【0035】
第一方向D1他方側の第二外縁部28bは、第二方向D2両端部のそれぞれに傾斜面28dを有する。傾斜面28dは、重ね合わせ方向Dvで第一分割体10側に面している。傾斜面28dは、第一方向D1で底部21から離間する側、すなわち第一方向D1で外周側に向かうにしたがって、重ね合わせ方向Dvで第一分割体10から漸次離間するように傾斜している。傾斜面28dは、第二方向D2からみて直線状に傾斜した平坦面である。
【0036】
第三外縁部28cは、第一方向D1一方側の第二外縁部28bの両端部に一対設けられている。第三外縁部28cは、隣り合う第一外縁部28aと第二外縁部28bの端部同士を接続している。各第三外縁部28cは、重ね合わせ方向Dvから見て、外周側に向けて張り出した円弧状に成形されている。一対の第三外縁部28cは、同形状に成形されている。
【0037】
張り出し部24は、外縁部28の第一方向D1一方側端部に設けられている。より詳細には、張り出し部24は、第三外縁部28cの重ね合わせ方向Dvで第一分割体10とは反対側の端部に設けられている。張り出し部24は、第三外縁部28cから外周側に張り出している。張り出し部24は、第三外縁部28cに沿って形成されている。張り出し部24の外周側の縁部24aは、直線状に形成されている。張り出し部24の縁部24aの延在方向は、重ね合わせ方向Dvに直交し、第一方向D1及び第二方向D2に対して約45度の角度で交差している。
第二分割体20の張り出し部24は、第一分割体10の張り出し部16と同形状、かつ同じ大きさに成形されている。第二分割体20の張り出し部24の縁部24aは、第一分割体10の張り出し部16の縁部16aと重ね合わせ方向Dvに重なるように成形されている。
【0038】
(第一シート)
第一シート2は、第一分割体10に取り付けられて、収納空間S内に配置されている。第一シート2は、台座部13の表面に配置された粘着層である。第一シート2は、粘着力により電子部品を保持する。
【0039】
(第二シート)
第二シート3は、第一分割体10に取り付けられている。第二シート3は、第一分割体10の外周部14と第二分割体20の内側本体部25によって挟み込まれている。第二シート3によって収納空間Sは、密閉されている。
【0040】
(ヒンジ部)
ヒンジ部4は、2つの分割体1を、閉塞位置P1と開放位置P2とに開閉移動させる機構である。ヒンジ部4は、分割体1の第一方向D1他方側の端部に、第二方向D2に対向するように一対設けられている。2つの分割体1が閉塞位置P1にある時、各ヒンジ部4は、第一分割体10の傾斜面18dと第二分割体20の傾斜面28dとによって、重ね合わせ方向Dvに挟み込まれている。第一分割体10と第二分割体20とは、この一対のヒンジ部4によって第二方向D2に延びる軸線回りに回転するように開閉し、閉塞位置P1と開放位置P2との間で移動可能となっている。
【0041】
(位置決め部)
位置決め部5は、2つの分割体1が交差方向Dcに位置ずれすることを防止する。位置決め部5は、第一位置決め部30と、第二位置決め部40とを、有する。
第一位置決め部30は、第一位置決め突出部31と、第一位置決め溝部32と、を有する。
第一位置決め突出部31は、第一分割体10の側部本体15に設けられている。第一位置決め突出部31は、側部本体15から重ね合わせ方向Dvで第二分割体20側に突出している。第一位置決め突出部31は、側部本体15の内縁部17に沿う形状に成形されている。第一位置決め突出部31は、第一突出部31aと、第二突出部31bと、第三突出部31cと、を有する。
第一突出部31aは、第一方向D1に直線状に延びるとともに第二方向D2に離間して一対設けられている。一対の第一突出部31aの長さは等しい。一対の第一突出部31aの第一方向D1の中心は、第一方向D1で同一位置に位置している。
【0042】
第二突出部31bは、第二方向D2に直線状に延びるとともに第一方向D1に離間して一対設けられている。一対の第二突出部31bの長さは等しい。一対の第二突出部31bの第二方向D2の中心は、第二方向D2で同一位置に位置している。
第三突出部31cは、重ね合わせ方向Dvから見て、側部12の角にあたる位置に4つ設けられている。第三突出部31cは、隣り合う第一突出部31aと第二突出部31bの端部同士を接続している。各第三突出部31cは、重ね合わせ方向Dvから見て、外周側に向けて張り出した円弧状に成形されている。4つの第三突出部31cは、全て同形状に成形されている。
【0043】
第一位置決め溝部32は、第二分割体20の側部本体23に設けられている。第一位置決め溝部32は、重ね合わせ方向Dvで第二分割体20側に開口している。第一位置決め溝部32は、重ね合わせ方向Dvで第一位置決め突出部31と略同形状に成形されている。第一位置決め溝部32は、第一溝部32aと、第二溝部32bと、第三溝部32cと、を有する。
第一溝部32aは、第一方向D1に直線状に延びるとともに第二方向D2に離間して一対設けられている。一対の第一溝部32aの長さは等しい。一対の第一溝部32aの第一方向D1の中心は、第一方向D1で同一位置に位置している。
【0044】
第二溝部32bは、第二方向D2に直線状に延びるとともに第一方向D1に離間して一対設けられている。一対の第二溝部32bの長さは等しい。一対の第二溝部32bの第二方向D2の中心は、第二方向D2で同一位置に位置している。
第三溝部32cは、重ね合わせ方向Dvから見て、側部22の角にあたる位置に4つ設けられている。第三溝部32cは、隣り合う第一溝部32aと第二溝部32bの端部同士を接続している。各第三溝部32cは、重ね合わせ方向Dvから見て、外周側に向けて張り出した円弧状に成形されている。4つの第三溝部32cは、全て同形状に成形されている。
【0045】
第一位置決め溝部32は、側部本体23を、内側本体部25と外側本体部26とに分けている。さらに、第一位置決め溝部32は、第一位置決め突出部31を収容可能な程度に、第一位置決め突出部31よりも僅かに大きく成形されている。
2つの分割体1が閉塞位置P1にある時、第一位置決め溝部32内に第一位置決め突出部31が収容される。これにより、第一位置決め溝部32内と第一位置決め突出部31とが係合し、2つの分割体1の位置ずれが防止される。
【0046】
第二位置決め部40は、第二位置決め溝部41と、第二位置決め突出部42と、を有する。
第二位置決め溝部41は、第一分割体10の側部本体15に、第二方向D2に離間して一対設けられている。第二位置決め溝部41は、第一外周部14aの第一方向D1中央部と、同一の第一方向D1位置に設けられている。第二位置決め部40は、重ね合わせ方向Dvで第二分割体20側に開口するとともに、側部本体15及び第一位置決め突出部31を第二方向D2に貫通している。
【0047】
第二位置決め突出部42は、第二分割体20の側部本体23に、第二方向D2に離間して一対設けられている。第二位置決め突出部42は、側部本体23から重ね合わせ方向Dvで第一分割体10側に突出している。第二位置決め突出部42は、第一内側本体部25aの第一方向D1中央部と、同一の第一方向D1位置に設けられている。第二位置決め突出部42は、第一方向D1に延びる直方体状に成形されている。第二位置決め突出部42は、第二位置決め溝部41に収容される程度に、第二位置決め溝部41よりも第一方向D1に僅かに小さく成形されている。
2つの分割体1が閉塞位置P1にある時、第二位置決め溝部41内に第二位置決め突出部42が収容される。これにより、第二位置決め溝部41内と第二位置決め突出部42とが係合し、2つの分割体1の位置ずれがさらに防止される。
【0048】
(係合部)
係合部6は、分割体1の側部12、22に設けられて2つの分割体1を係合させる。
以下では、係合部6によって2つの分割体1が係合されている状態を「係合状態ST1」と称し、係合部6によって2つの分割体1が係合されていない状態を「非係合状態ST2」と称する。
【0049】
係合部6は、係合状態ST1では交差方向Dcに係合力を作用させる。係合部6は、第一係合部50と、第二係合部60と、を有する。第一係合部50及び第二係合部60は、ともに折り曲げて結合可能なタブであり、具体的に以下の構成を有する。
【0050】
(第一係合部)
第一係合部50は、第一分割体10に設けられている。より詳細には、第一係合部50は、第一分割の各張り出し部16に1つずつ設けられている。第一係合部50は、張り出し部16の縁部16aの延在方向中央に設けられている。第一係合部50は、係合部本体51と、接続部52と、を有する。
【0051】
(係合部本体)
係合部本体51は、基部53と、嵌合突出部54と、を有する。基部53は、係合部本体51のうち平板状の部分である。また、基部53は、矩形板状に成形され、側部12側の端部のみ、側部12に接近するに僅かに先細るように成形されている。係合部本体51に外力が加えられていない場合、
図5に示すように、基部53は交差方向Dcに延在している。以下では、特に説明の無い限り、基部53が交差方向Dcに延在している場合(非係合状態ST2の場合)を前提に説明する。
嵌合突出部54は、基部53から重ね合わせ方向Dvで第二分割体20側に突出している。嵌合突出部54は、重ね合わせ方向Dvに延びる円柱状に成形されている。
【0052】
(接続部)
接続部52は、係合部本体51と第一分割体10とを接続している。より具体的には、接続部52は、基部53と張り出し部16の縁部16aとを接続している。接続部52は、係合部本体51よりも薄肉に成形され、接続する係合部本体51の姿勢を変更するように弾性変形可能となっている。
【0053】
(第二係合部)
第二係合部60は、第二分割体20に設けられている。より詳細には、第二係合部60は、第二分割の各張り出し部24に1つずつ設けられている。第二係合部60は、張り出し部24の縁部24aの延在方向中央に設けられている。第二係合部60は、係合部本体61と、接続部62と、を有する。
【0054】
(係合部本体)
係合部本体61は、基部63と、嵌合溝部64と、外周溝部65と、を有する。基部63は、係合部本体61のうち平板状の部分である。また、基部63は、矩形板状に成形され、側部22側の端部のみ、側部22に接近するに僅かに先細るように成形されている。係合部本体61に外力が加えられていない場合、
図5に示すように、基部63は交差方向Dcに延在している。以下では、特に説明の無い限り、基部63が交差方向Dcに延在している場合(非係合状態ST2の場合)を前提に説明する。
嵌合溝部64は、基部63から重ね合わせ方向Dvで第一分割体10側に凹み成形されている。嵌合溝部64は、重ね合わせ方向Dvに延びる円柱穴状に成形されている。嵌合溝部64は、嵌合突出部54と嵌合可能とされている。
外周溝部65は、基部63に設けられ、嵌合溝部64を外側から囲うように環状に成形されている。外周溝部65は、重ね合わせ方向Dvで第一分割体10側に僅かに凹み成形されている。
【0055】
(接続部)
接続部62は、係合部本体61と第二分割体20とを接続している。より具体的には、接続部62は、基部63と張り出し部24の縁部24aとを接続している。接続部52、62は、係合部本体61よりも薄肉に成形され、対応する係合部本体51、61の姿勢を変更するように弾性変形可能とされている。
【0056】
図6に示すように、第一分割体10の係合部本体51と、第二分割体20の係合部本体61とは、互いに係合可能とされている。より具体的には、各係合部本体51、61に外力を加えることにより、各係合部本体51、61の姿勢を変更して嵌合突出部54を嵌合溝部64に嵌合させることができる。
【0057】
<収納構造体の製造方法>
続いて、収納構造体100の製造方法について、
図7のフローを参照して説明する。
本実施形態では、収納構造体100の製造に真空成形という手法を用いている。この手法では、例えば予め押出成形したプラスチック製の樹脂シートや樹脂フィルム等を、樹脂材料として用いる。また、樹脂材料を成形するための金型を予め用意する。
【0058】
図7に示すように、収納構造体100の製造方法は、可塑化工程S1と、成形工程S2と、離型工程S3と、を含む。
可塑化工程S1では、例えばヒータ等を用いて樹脂材料を加熱し、樹脂材料を可塑化させる。
【0059】
可塑化工程S1の後には、成形工程S2が行われる。成形工程S2では、可塑化させた樹脂材料を金型の上に配置する。その後、真空吸着によって、樹脂材料を金型に押し付ける。このようにして、少なくとも分割体1及び係合部6を一体成形する。本実施形態の成型工程では、第一分割体10と第一係合部50とが一体成形され、第二分割体20と第二係合部60とが一体成形される。
なお、成形工程S2では、収納構造体100の全体を一度に一体成形してもよい。
成形工程S2では、真空吸着によって樹脂材料が冷却される。これにより、樹脂材料が再度固化する。
【0060】
成形工程S2の後には、離型工程S3が行われる。離型工程S3は、樹脂材料が十分に固化した後に行われ、金型から収納構造体100を引き離す。
以上の各工程の後、仕上げ処理等を行うことにより。収納構造体100の製造が完了する。
【0061】
<物体の収納方法>
続いて、上述した収納構造体100を用いた物体A(本実施形態では電子部品)の収納方法について説明する。
まず、第一分割体10の第一シート2上に電子部品を規則的に並べて配置する。電子部品は、第一シート2の粘着力により保持される。その後、ヒンジ部4を中心とした回転移動によって、2つの分割体1を閉塞位置P1に移動させる。
すると、第一位置決め溝部32に第一位置決め突出部31が収容され、第二位置決め溝部41に第二位置決め突出部42が収容される。これにより、第一分割体10と第二分割体20との交差方向Dcの位置ずれが防止される。
【0062】
その後、第一係合部50と第二係合部60のそれぞれに外力を作用させ、各係合部本体51、61が、接続部52、62を中心として90度回転移動させる。これにより、この時、第一係合部50の係合部本体51が第二係合部60の係合部本体61よりも外周側に位置するようにする。すると、嵌合突出部54が嵌合溝部64に、交差方向Dcに嵌合する。これにより、2つの分割体1が係合される。
以上の手順を経て、電子部品は、収納構造体100に収納される。
【0063】
<効果>
上述した第一実施形態の収納構造体100は、以下に示す効果を発揮することができる。
本実施形態では、収納構造体100は、分割体1と、係合部6と、を備える。分割体1は、重ね合わせ方向Dvに開閉可能に重ね合わされて、物体Aが収納される収納空間Sを形成するように2つ設けられている。分割体1は、重ね合わせ方向Dvに交差する交差方向Dcから収納空間Sを囲う側部12、22を有する。係合部6は、分割体1の側部12、22に設けられて2つの分割体1を係合させる。係合部6は、2つの分割体1が係合されている係合状態ST1では交差方向Dcに係合力を作用させる。
【0064】
これにより、係合部6は、重ね合わせ方向Dvと略垂直に交差する交差方向Dcに係合力を作用させることができる。このため、収納空間Sを開放させる重ね合わせ方向Dvの力を加えたとしても、係合を解除させる引き抜き方向に力が働くことがないので、重ね合わせ方向Dvの力に対する強度を増大させることができる。
【0065】
本実施形態では、係合部6は、2つの係合部本体51、61と、2つの接続部52、62と、を有する。2つの係合部本体51、61は、各分割体1に設けられ、互いに係合可能とされている。接続部52、62は、係合部本体51、61ごとに設けられ、係合部本体51、61と分割体1とを接続する。接続部52、62は、弾性変形可能である。
【0066】
これにより、各接続部52、62を弾性変形させることにより、2つの係合部本体51、61の姿勢を変形させて係合させることができる。よって、係合部6を係合部本体51、61と接続部52、62との設けた簡素な構成とすることができる。
【0067】
本実施形態では、一方の係合部本体51、61は、嵌合溝部64を有し、他方の係合部本体51、61は、嵌合溝部64に嵌合可能な嵌合突出部54を有する。
【0068】
これにより、係合部6は、嵌合溝部64と嵌合突出部54との嵌合によって、2つの分割体1を係合することができる。
【0069】
本実施形態では、収納構造体100は、係合によって2つの分割体1が交差方向Dcに位置ずれすることを防止する位置決め部5を有する。
【0070】
これにより、係合部6による係合が解除されにくくなり、収納構造体100の強度がより一層増強される。
【0071】
本実施形態の収納構造体100の製造方法は、真空吸着によって、樹脂材料を金型に押し付けることにより、分割体1及び係合部6を一体成形する成形工程S2を含む。
【0072】
これにより、簡単な方法で収納構造体100を製造することができるため、製造コストを低減させることができる。さらに、樹脂材料を圧縮して収納構造体100を製造することができるので、収納構造体100の強度を増大させることができる。
【0073】
上述したように、本実施形態の収納構造体100によれば、収納空間Sを開放させる重ね合わせ方向Dvの力を加えたとしても、係合を解除させる引き抜き方向に力が働くことがない。この収納空間Sを開放させる重ね合わせ方向Dvの力は、引き抜き方向に直交する方向に係合部6を引張する引張応力として作用する。このため、2つの分割体1を固定させる固定力は、係合力に依存せず、係合部6の材料強度に依存することになる。よって、収納構造体100が薄く形成されていても、2つの分割体1を固定するのに十分な強度を得ることができる。よって、2つの分割体1を開放する方向に過大な負荷がかかったとしても、分割体1が変形することを抑制し、収納物(物体A)への負荷の影響を低減することができる。
【0074】
また、重ね合わせ方向Dvに係合力が作用する場合は、係合力を増大させることにより分割体1の固定力が増大するが、それに伴い分割体1を開放するために必要な力が大きくなってしまう。
これに対し、本実施形態によれば、上述したように係合部6の材料強度によって分割体1を固定することができるので、係合力によらず十分な固定力を発揮することができる。したがって、収納構造体100の使用後に他の物体Aを収納することが容易となる。したがって、係合力以上の2つの分割体1の固定力と再使用性とを両立すること可能となる。
【0075】
また、本実施形態の収納構造体100は、係合部6の材料強度によって分割体1を固定する。このため、物体Aを収納する部位である分割体1と、分割体1を係合固定する係合部6とを個別に設計することができる。すなわち、設計上の制約を低減することができる。
【0076】
<第一実施形態の第一変形例>
続いて、第一実施形態の第一変形例について、
図8を参照して説明する。
図8に示すように、嵌合溝部64Aは、係合状態ST1で重ね合わせ方向Dvに嵌合突出部54Aよりも長い長孔状に形成されている。
これにより、嵌合突出部54Aの重ね合わせ方向Dvの位置を調整することができる。すなわち、嵌合溝部64Aと嵌合突出部54Aとの嵌合位置を重ね合わせ方向Dvに調整することができるので、便宜性を向上させることができる。
【0077】
なお、嵌合溝部64Aは、係合状態ST1で交差方向Dcのうち縁部24aに沿う方向に嵌合突出部54Aよりも長い長孔状に成形されていてもよい。この場合、嵌合突出部54Aの交差方向Dc(縁部24aに沿う方向)の位置を調整することができる。すなわち、嵌合溝部64Aと嵌合突出部54Aとの嵌合位置を交差方向Dc(縁部24aに沿う方向)に調整することができる。
【0078】
<第一実施形態の第二変形例>
続いて、第一実施形態の第二変形例について、
図9を参照して説明する。
図9に示すように、嵌合突出部54Bは、係合状態ST1で重ね合わせ方向Dvに複数延在するピン状に成形されている。嵌合溝部64Bは、係合状態ST1で重ね合わせ方向Dvに延在するように、嵌合突出部54Bよりも多く複数形成されている。
これにより、嵌合突出部54Bの重ね合わせ方向Dvの位置を調整することができる。すなわち、嵌合溝部64Bと嵌合突出部54Bとの嵌合位置を重ね合わせ方向Dvに調整することができるので、便宜性を向上させることができる。
【0079】
なお、嵌合突出部54Bは、係合状態ST1で交差方向Dcのうち縁部16aに沿う方向に複数延在するピン状に成形され、嵌合溝部64Bは、係合状態ST1で交差方向Dcのうち縁部24aに沿う方向に延在するように、嵌合突出部54Bよりも多く複数形成されていてもよい。この場合、嵌合突出部54Bの交差方向Dc(縁部16aに沿う方向)の位置を調整することができる。すなわち、嵌合溝部64Bと嵌合突出部54Bとの嵌合位置を交差方向Dc(縁部16a、24aに沿う方向)に調整することができる。
また、嵌合突出部54Bは複数設けられている必要はない。嵌合突出部54Bの個数は、1つであってもよい。
また、嵌合溝部64Bは、基部63を貫通する貫通孔であってもよい。
【0080】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態の収納構造体200について、
図10を参照して説明する。第二実施形態では、上記実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0081】
図10に示すように、係合部206は、第一係合部250と、第二係合部260と、を有する。
第一係合部250は、係合部本体251と、接続部52と、を有する。係合部本体251は、弾性変形可能なフック部253を有する。
第二係合部260は、係合部本体261と、接続部62と、を有する。係合部本体261は、弾性変形可能なフック部253を有する。第二係合部260のフック部253は、第一係合部250のフック部253と係合可能とされている。本実施形態では、第二係合部260のフック部253は、第一係合部250のフック部253と同形状に成形されている。
【0082】
フック部253は、平板状に成形されている。フック部253は、接続部52、62に接続されるフック基部254と、フック基部254から接続部52、62とは離間する方向に延びるフック本体255と、を有する。
【0083】
フック本体255は、第一本体部255aと、第二本体部255bと、第三本体部255cと、を有する。第一本体は、フック基部254から延びている。第一本体部255aと、第三本体部255cとは交差方向Dcに並んで配置され、第三本体部255cは、フック基部254から離間している。第二本体部255bが第一本体部255aと第三本体部255cとを接続することにより、フック本体255は、全体として、フック基部254に向けて開口するC字状に成形されている。
【0084】
フック部253は、接続部52、62を中心に折り曲げることにより、他方のフック部253と係合することができる。係合状態ST1では、2つのフック部253の第一本体部255aと第三本体部255cとが、それぞれ重ね合わせ方向Dvに対して傾くように弾性変形する。
【0085】
<効果>
上述した第二実施形態の収納構造体200は、以下に示す効果を発揮することができる。
本実施形態では、2つの係合部本体251、261のそれぞれは、互いに係合可能なフック部253を有する。
これにより、係合部206は、フック部253という簡素な構造によって、2つの分割体1同士を係合することができる。
【0086】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態の収納構造体300について、
図11、
図12を参照して説明する。第三実施形態では、上記実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0087】
図11に示すように、係合部306は、第一係合部350と、第二係合部360と、を有する。
第一係合部350は、係合部本体351と、接続部52と、を有する。係合部本体351は、基部53から突出した第一嵌合部材353と、第二嵌合部材354と、を有する。第一嵌合部材353は、X字状に突出成形されている。第二嵌合部材354は、第一嵌合部材353とは反対方向に直方体状に突出成形されている。第一嵌合部材353は、非係合状態ST2では、第二嵌合部材354と第一方向D1に並んでいる。
第二係合部360は、係合部本体361と、接続部62と、を有する。第一係合部350の係合部本体351と第二係合部360の係合部本体361は、互いに嵌合可能であるとともに、同形状に形成されている。すなわち、第二係合部360の係合部本体361は、第一係合部350の係合部本体351と同形状の第一嵌合部材353と、第二嵌合部材354と、を有する。
【0088】
図12に示すように、非係合状態ST2では、第一係合部350の第一嵌合部材353と第二係合部360の第一嵌合部材353とは、重ね合わせ方向Dvに重なる位置に設けられ、第一係合部350の第二嵌合部材354と第二係合部360の第二嵌合部材354とは、重ね合わせ方向Dvに重なる位置に設けられている。
これにより、係合状態ST1において、第一係合部350の第一嵌合部材353が第二嵌合部材354の第二嵌合部材354に対して裏側から挿入されて嵌合し、第二嵌合部材354の第一嵌合部材353が第一係合部350の第二嵌合部材354に対して裏側から挿入されて嵌合することができる。
【0089】
<効果>
上述した第三実施形態の収納構造体300は、以下に示す効果を発揮することができる。
本実施形態では、2つの係合部本体351、361は、互いに嵌合可能であるとともに、同形状に形成されている。
これにより、1つの金型で2つの係合部本体351、361を成形することができるので、製造コストを低減することができる。
【0090】
なお、第三実施形態では、第一嵌合部材353がX字状に突出成形され、第二嵌合部材354が直方体状に突出成形されている場合について説明したが、これに限られない。第一嵌合部材353及び第二嵌合部材354の形状は、適宜変更可能である。
【0091】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して説明したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本実施形態では、収納構造体100、200、300が電子部品を収納する場合を例に説明した。しかしながら、収納構造体100、200、300は、例えば薬品カプセル等の電子部品以外の物体Aを収納するものであってもよい。
【0092】
なお、上記実施形態では、収納構造体100、200、300の製造に真空成形という手法を用いる場合について説明したが、これに限られない。収納構造体100、200、300の製造に圧空成形という手法を用いてもよい。この場合、成形工程S2では、圧縮空気による加圧によって、樹脂材料を金型に押し付けることにより、分割体1及び係合部6、206、306を一体成形する。成形工程S2では、圧縮空気によって樹脂材料が冷却される。これにより、樹脂材料が再度固化する。圧空成形でも、真空成形と同様の作用効果を発揮することができる。
【0093】
なお、上記実施形態では、第一分割体10に第一係合部50、250、350が設けられ、第二分割体20に第二係合部60、260、360が設けられている場合について説明したが、これに限られない。第一分割体10に第二係合部60、260、360が設けられ、第二分割体20に第一係合部50、250、350が設けられていてもよい。
【0094】
なお、上記実施形態では、ヒンジ部4とは反対側の分割体1の側部12、22に、2つの係合部6、206、306が設けられている場合について説明したが、これに限られない。係合部6、206、306の取付位置及び個数は適宜変更可能である。例えば、ヒンジ部4に代えて係合部6、206、306が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0095】
100…収納構造体、1…分割体、2…第一シート、3…第二シート、4…ヒンジ部、5…位置決め部、6…係合部、10…第一分割体、11…底部、12…側部、13…台座部、13a…中心、14…外周部、14a…第一外周部、14b…第二外周部、14c…第三外周部、15…側部本体、16…張り出し部、16a…縁部、17…内縁部、18…外縁部、18a…第一外縁部、18b…第二外縁部、18c…第三外縁部、18d…傾斜面、20…第二分割体、21…底部、21a…中心、22…側部、23…側部本体、24…張り出し部、24a…縁部、25…内側本体部、25a…第一内側本体部、25b…第二内側本体部、25c…第三内側本体部、26…外側本体部、27…内縁部、28…外縁部、28a…第一外縁部、28b…第二外縁部、28c…第三外縁部、28d…傾斜面、30…第一位置決め部、31…第一位置決め突出部、31a…第一突出部、31b…第二突出部、31c…第三突出部、32…第一位置決め溝部、32a…第一溝部、32b…第二溝部、32c…第三溝部、40…第二位置決め部、41…第二位置決め溝部、42…第二位置決め突出部、50…第一係合部、51…係合部本体、52…接続部、53…基部、54…嵌合突出部、60…第二係合部、61…係合部本体、62…接続部、63…基部、64…嵌合溝部、65…外周溝部、62…接続部、A…物体、Dv…重ね合わせ方向、Dc…交差方向、D1…第一方向、D2…第二方向、S…収納空間、ST1…係合状態、ST2…非係合状態、S1…可塑化工程、S2…成形工程、S3…離型工程、P1…閉塞位置、P2…開放位置、54A…嵌合突出部、64A…嵌合溝部、54B…嵌合突出部、64B…嵌合溝部、200…収納構造体、206…係合部、250…第一係合部、251…係合部本体、253…フック部、254…フック基部、255…フック本体、255a…第一本体部、255b…第二本体部、255c…第三本体部、260…第二係合部、261…係合部本体、260…第二係合部、261…係合部本体、300…収納構造体、306…係合部、350…第一係合部、351…係合部本体、353…第一嵌合部材、354…第二嵌合部材、360…第二係合部、361…係合部本体