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特開2024-86259衛生薄葉紙ロール包装体及び衛生薄葉紙ロール包装体の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086259
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】衛生薄葉紙ロール包装体及び衛生薄葉紙ロール包装体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/00 20060101AFI20240620BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B65D77/00 A
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201294
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】加塩 龍一
【テーマコード(参考)】
3E067
3E086
【Fターム(参考)】
3E067AA16
3E067AB76
3E067AC04
3E067AC12
3E067AC15
3E067BA12A
3E067BB15A
3E067CA24
3E067EA06
3E086AA23
3E086AC07
3E086AC32
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA15
3E086BA44
3E086BB51
3E086CA35
(57)【要約】
【課題】ヒートシール接合部での分離を防止する。
【解決手段】プラスチックフィルムにより、複数個の衛生薄葉紙ロールをその軸方向に対して垂直な方向へ並設した状態で包装した衛生薄葉紙ロール包装体であって、外周面には前記プラスチックフィルムの両端部が重なった状態でヒートシール接合したヒートシール接合部が前記衛生薄葉紙ロールをその軸方向に沿って設けられており、前記ヒートシール接合部は、当該外周面において前記複数個の衛生薄葉紙ロールに接触しない部分に位置する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルムにより、複数個の衛生薄葉紙ロールをその軸方向に対して垂直な方向へ並設した状態で包装した衛生薄葉紙ロール包装体であって、
外周面には、前記プラスチックフィルムの両端部が重なった状態でヒートシール接合したヒートシール接合部が前記衛生薄葉紙ロールの軸方向に沿って設けられており、前記ヒートシール接合部は、当該外周面において前記複数個の衛生薄葉紙ロールに接触しない部分に位置する、
衛生薄葉紙ロール包装体。
【請求項2】
前記ヒートシール接合部は、前記外周面において、前記衛生薄葉紙ロールの軸方向に対して垂直な方向へ隣接する2つの衛生薄葉紙ロールの中心軸線間に対応する部分に位置する、
請求項1に記載の衛生薄葉紙ロール包装体。
【請求項3】
前記ヒートシール接合部は、前記外周面において、前記2つの衛生薄葉紙ロールの中心軸線を結ぶ線分を底辺とした当該外周面上の二等辺三角形の頂点を中心として所定範囲の部分に位置する
請求項1又は請求項2に記載の衛生薄葉紙ロール包装体。
【請求項4】
前記ヒートシール接合部には、その表面に凹部が形成されている、
請求項1又は請求項2に記載の衛生薄葉紙ロール包装体。
【請求項5】
前記ヒートシール接合部の幅は、8mm~50mmである、
請求項1又は請求項2に記載の衛生薄葉紙ロール包装体。
【請求項6】
前記プラスチックフィルムの両端部が重なった状態は、前記両端部が背中合わせされた状態である、
請求項1又は請求項2に記載の衛生薄葉紙ロール包装体。
【請求項7】
前記プラスチックフィルムは、ポリオレフィン系樹脂とポリ乳酸系樹脂を含む
請求項1又は請求項2に記載の衛生薄葉紙ロールの包装体。
【請求項8】
前記プラスチックフィルムは、
ポリオレフィン系樹脂とポリ乳酸系樹脂とを含むコア層と、
前記コア層よりも融点が低いポリオレフィン系樹脂を主成分としたヒートシールスキン層と、
を備え、
前記ヒートシール接合部は、前記両端部の各々において前記ヒートシールスキン層同士が対接してヒートシール接合されて、形成されている、
請求項1又は請求項2に記載の衛生薄葉紙ロール包装体。
【請求項9】
前記プラスチックフィルムは、ポリオレフィン樹脂を主成分としたスキン層と前記ヒートシールスキン層との間に前記コア層を備える、
請求項8に記載の衛生薄葉紙ロール包装体。
【請求項10】
前記コア層の融点は、前記スキン層の融点よりも低い、
請求項9に記載の衛生薄葉紙ロール包装体。
【請求項11】
プラスチックフィルムにより、複数個の衛生薄葉紙ロールをその軸方向に対して垂直な方向へ並設した状態で包装した衛生薄葉紙ロール包装体の製造方法であって、
前記プラスチックフィルムの両端部が重なった状態でヒートシール接合することによりヒートシール接合部を形成することを含み、前記ヒートシール接合部は、前記衛生薄葉紙ロール包装体の外周面において前記衛生薄葉紙ロールの軸方向に沿って前記複数個の衛生薄葉紙ロールに接触しない部分に位置する、
衛生薄葉紙ロール包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、衛生薄葉紙ロール包装体及び衛生薄葉紙ロール包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数個の衛生薄葉紙ロールを、その軸方向に対して垂直な方向に並設した状態で、包装した衛生薄葉紙ロール包装体が知られている。この衛生薄葉紙ロール包装体に用いられるプラスチックフィルムには、第1に、ポリエチレンなどの石油由来のプラスチックフィルム、第2に、資源の節約や二酸化炭素排出量の削減を図るため植物由来のプラスチックフィルムがある。
【0003】
特許文献1には、植物由来のプラスチックを原料とした植物由来のプラスチックフィルムが包装資材として用いられた衛生薄葉紙ロール包装体が開示されている。具体的には、植物由来プラスチックエマルジョンをシート状に伸ばした後、加熱ロール上を通過させることにより乾燥し、包装用のプラスチックフィルム原反を形成する。そして、プラスチックフィルム原反から巻きだされたプラスチックフィルムの両側縁部同士を突き合わせ、その継ぎ目をシール機にてヒートシールして筒形状とする。この筒形状のフィルムを所定の長さで切断して筒状の包装フィルムを形成し、その筒状の包装フィルムにより、複数個の衛生薄葉紙ロールを、その軸方向に対して垂直な方向へ並設された状態で包装する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-73693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の衛生薄葉紙ロール包装体では、その外周面にはプラスチックフィルムの両側縁部同士を突き合わせてヒートシール接合したヒートシール接合部が衛生薄葉紙ロールの軸方向に沿って形成されている。このため、衛生薄葉紙ロール包装体に周方向への大きな引張力が作用したときに、プラスチックフィルムの両側縁部が分離するおそれがあった。
【0006】
本開示の技術は、ヒートシール接合部での分離を防止することができる衛生薄葉紙ロール包装体及び衛生薄葉紙ロール包装体の製造方法を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本開示の技術の第1の態様の衛生薄葉紙ロール包装体は、プラスチックフィルムにより、複数個の衛生薄葉紙ロールをその軸方向に対して垂直な方向へ並設した状態で包装した衛生薄葉紙ロール包装体であって、外周面には、前記プラスチックフィルムの両端部が重なった状態でヒートシール接合したヒートシール接合部が前記衛生薄葉紙ロールの軸方向に沿って設けられており、前記ヒートシール接合部は、当該外周面において前記複数個の衛生薄葉紙ロールに接触しない部分に位置する。
【0008】
本開示の技術の第2の態様の衛生薄葉紙ロール包装体の製造方法は、プラスチックフィルムにより、複数個の衛生薄葉紙ロールをその軸方向に対して垂直な方向へ並設した状態で包装した衛生薄葉紙ロール包装体の製造方法であって、前記プラスチックフィルムの両端部が重なった状態でヒートシール接合することによりヒートシール接合部を形成することを含み、前記ヒートシール接合部は、前記衛生薄葉紙ロール包装体の外周面において前記複数個の衛生薄葉紙ロールに接触しない部分に前記衛生薄葉紙ロールの軸方向に沿って位置する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術は、ヒートシール接合部での分離を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】4個の衛生薄葉紙ロールを、その軸方向及びその軸方向に対して垂直な方向にそれぞれ2個並設した状態で、包装した衛生薄葉紙ロール包装体の一例を示す斜視図である。
図1B図1Aの衛生薄葉紙ロール包装体の横断面図である。
図1C図1BのA部拡大断面図である。
図2A】衛生薄葉紙ロール包装体の包装資材として用いられるプラスチックフィルムを示す図である。
図2B】プラスチックフィルムが長手方向に沿った中心線で折り曲げられた様子を示す図である。
図2C】中心線で折り曲げられて定まるプラスチックフィルムの右側部分及び左側部分の各々の中心線とは逆側の長手方向に沿った端部分をヒートシール接合する部分として定めた様子を示す図である。
図2D】プラスチックフィルムの右側部分及び左側部分の各々の端部分をヒートシール接合した様子を示す図である。
図2E】右側部分及び左側部分の各々の端部分がヒートシール接合されたプラスチックフィルムの右側部分及び左側部分の各々をガセット折りした様子と、複数の衛生薄葉紙ロールをその軸方向に複数個、その軸方向に垂直な方向に2個並設した様子と、を示す図である。
図2F】右側部分及び左側部分の各々の端部分がヒートシール接合され且つ右側部分及び左側部分の各々がガセット折りされたプラスチックフィルムを、軸方向に2個及びその軸方向に垂直な方向に2個並設した4(2×2)個の衛生薄葉紙ロールを包装できる長さで切断するための複数の切断線を当該プラスチックフィルムに示した図である。
図2G】右側部分及び左側部分の各々の端部分がヒートシール接合され且つ右側部分及び左側部分の各々がガセット折りされたプラスチックフィルムを切断線に沿って切断して製造された筒状の包装フィルムを示す図である。
図2H】包装フィルムのヒートシール接合部を右側部分に倒した様子を示す図である。
図2I】包装フィルムの開放されている一方の側をヒートシール接合した様子を示す図である。
図2J】一方の側がヒートシール接合された包装フィルムの他方の側を、4(2×2)個の衛生薄葉紙ロールを挿入できるように、開放した様子を示す図である。
図2K】包装フィルムに4(2×2)個の衛生薄葉紙ロールを挿入した様子を示す図である。
図2L】4(2×2)個の衛生薄葉紙ロールが挿入された包装フィルムの他方の側をヒートシール接合することで底部を形成することにより完成した衛生薄葉紙ロール包装体を示す斜視図である。
図2M】衛生薄葉紙ロール包装体の斜視図および当該衛生薄葉紙ロール包装体の外周面に設けられたヒートシール接合部の要部拡大図である。
図3】衛生薄葉紙ロール包装体の包装資材として用いられるプラスチックフィルムの端部分の構造を示す断面図である。
図4】ヒートシール接合されたプラスチックフィルムの右側部分及び左側部分の各々の端部分の構造を示す断面図である。
図5A】変形例における、2枚のプラスチックフィルムを示す図である。
図5B】変形例における、一方のプラスチックフィルムの一端部と他方のプラスチックフィルムの一端部とをヒートシール接合し、一方のプラスチックフィルムの他端部と他方のプラスチックフィルムの他端部とをヒートシール接合した様子を示す図である。
図5C】変形例における、一方及び他方の各々の端部がヒートシール接合された2枚のプラスチックフィルムをガセット折りした様子を示す図である。
図5D】変形例における、衛生薄葉紙ロール包装体の一例を示す断面図である。
図6】変形例における、2枚のプラスチックフィルムのヒートシール接合された一方及び他方の各々の端部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示の技術の実施の形態を説明する。
【0012】
図1Aは、プラスチックフィルムが包装資材として用いられた衛生薄葉紙ロール包装体10の一例を示す斜視図であり、図1Bは、衛生薄葉紙ロール包装体10の一例を示す横断面図である。図1Aに示すように、衛生薄葉紙ロール包装体10では、プラスチックフィルムにより、複数、例えば、4個の衛生薄葉紙ロール20R1、20R2、20L1、20L2が、その中心軸線200L、200Rの方向である軸方向及びその軸方向に対して垂直な方向にそれぞれ2個並設した状態で、包装されている。
【0013】
プラスチックフィルムは、第1に、ポリエチレンなどの石油由来のプラスチックフィルムでも、第2に、植物由来のプラスチックフィルムでもよい。衛生薄葉紙ロール20R1、20R2、20L1、20L2は、例えば、トイレットペーパーロールである。衛生薄葉紙ロール20R1、20R2、20L1、20L2は、トイレットペーパーロールに限定されず、例えば、キッチンタオルロールでもハンドタオルロールでもよい。
【0014】
中心軸線200L、200Rの方向である第1の方向(軸方向)に配置する衛生薄葉紙ロールの個数をm、第1の方向(軸方向)に垂直な第2の方向に配置する衛生薄葉紙ロールの個数をn、第1の方向及び第2の方向の各々に垂直な第3の方向に配置する衛生薄葉紙ロールの個数をpとする。なお、図1Aに示すように、第1の方向は上下方向、第2の方向は横方向、第3の方向は奥行き方向である。図1Aに示す例は、(m,n,p)=(2,2,1)である。本開示の技術は、(m,n,p)=(2,2,1)に限定されない。例えば、(1,2,1)、(3,2,1)、(3,3,1)、(4,2,1)、(4,3,1)、(4,4,1)、・・等でもよい。また、(m,n,p)=(2,2,2)、(3,3,2)、(3,3,3)、(4,4,2)、(4,4,3)、(4,4,4)等でもよい。以上より、m及びpは1以上の整数であり、nは2以上の整数である。
【0015】
図1Aに示すように、衛生薄葉紙ロール包装体10は、詳細には後述するが、その外周面にはプラスチックフィルムの両端部が重なった状態でヒートシール接合したヒートシール接合部12が衛生薄葉紙ロール20R1、20R2、20L1、20L2の軸方向に沿って設けられている。ヒートシール接合部12は、衛生薄葉紙ロール包装体10の外周面において、4個の衛生薄葉紙ロール20R1、20R2、20L1、20L2に接触しない部分に位置する。
【0016】
図1Aに示す例では、図1Aにおける右側の衛生薄葉紙ロール20R1、20R2は、右外側の周面がプラスチックフィルムに接触し、左側の衛生薄葉紙ロール20L1、20L2は、左外側の周面がプラスチックフィルムに接触している。右側の衛生薄葉紙ロール20R1、20R2が、プラスチックフィルムに接触している領域と接触していない領域との境界を境界BRとし、左側の衛生薄葉紙ロール20L1、20L2が、プラスチックフィルムに接触している領域と接触していない領域との境界を境界BLとする。ヒートシール接合部12は、プラスチックフィルム上の境界BRと境界BLとの間の領域Rに衛生薄葉紙ロール20R1、20R2、20L1、20L2の軸方向に沿って位置している。
【0017】
境界BRと境界BLの前記軸方向に垂直な第2の方向における具体的な位置は、境界BRはプラスチックフィルム上の衛生薄葉紙ロール20R1、20R2の中心軸線200Rの位置に相当し、境界BLはプラスチックフィルム上の衛生薄葉紙ロール20L1、L2の中心軸線200Lの位置に相当する。
【0018】
更に詳細には、ヒートシール接合部12は、図1Bに示すように、中心軸線200Lと中心軸線200Rを結ぶ線分LKを底辺としたプラスチックフィルム上の二等辺三角形の頂点Cを中心として境界BRと境界BLとの間の領域Rの所定範囲に形成されている。頂点Cは、プラスチックフィルムに位置する。
【0019】
上記のように衛生薄葉紙ロール包装体10では、プラスチックフィルムにより、4個の衛生薄葉紙ロール20R1、20R2、20L1、20L2が、その軸方向及びその軸方向に対して垂直な方向にそれぞれ2個並設した状態で、包装されている。この場合、衛生薄葉紙ロール包装体10を片手で把持しようとすると、例えば、親指を、上記頂点Cを中心とした所定範囲内に位置させ、人差し指等の親指以外の指を、上記頂点Cと対向する位置を中心とした所定範囲に位置させて、衛生薄葉紙ロール包装体10が把持される。
【0020】
衛生薄葉紙ロール包装体10を片手で把持しようとすると、衛生薄葉紙ロール包装体10が手から落下しないように大きな力で衛生薄葉紙ロール包装体10が把持される。これにより、衛生薄葉紙ロール包装体10に周方向への大きな引張力が作用する。
【0021】
この場合、従来の衛生薄葉紙ロール包装体では、ヒートシール接合部は、プラスチックフィルムの両側縁部同士を突き合わせて形成されているので、プラスチックフィルムの両側縁部が分離するおそれがあった。
【0022】
しかし、本実施の形態では、プラスチックフィルムの両端部100L1,100R1が重なった状態(図1Cも参照)でヒートシール接合してヒートシール接合部12が形成されている。従って、ヒートシール接合する面積を、従来の衛生薄葉紙ロール包装体より、大きくすることができる。よって、本実施の形態では、ヒートシール接合部12が分離することを、従来の衛生薄葉紙ロール包装体よりも防止することができる。
【0023】
また、衛生薄葉紙ロール包装体10を片手で把持する際、親指と親指以外の指とは、衛生薄葉紙ロール包装体10の外周面において、軸方向に2個配置した衛生薄葉紙ロールの2つの列の中間(衛生薄葉紙ロールの中心軸線間)に対応する部分に位置する場合がある。特に、衛生薄葉紙ロールの巻径が大きい場合や、衛生薄葉紙をきつく巻く等により衛生薄葉紙ロールが硬い場合は、親指と親指以外の指とが、衛生薄葉紙ロール包装体10の外周面において、軸方向に2個配置した衛生薄葉紙ロールの2つの列の中間に対応する部分に位置すると、より片手で把持し易い。
【0024】
従来の衛生薄葉紙ロール包装体では、ヒートシール接合部は、ヒートシール接合部に親指及び親指以外の指が位置しないように、衛生薄葉紙ロールが接触するプラスチックフィルムの部分に位置させている。大きな力で衛生薄葉紙ロール包装体が把持されると、親指等が位置するプラスチックフィルムの部分が把持時の指圧により破断する場合があった。
【0025】
しかし、本実施の形態の衛生薄葉紙ロール包装体10では、ヒートシール接合部12は、衛生薄葉紙ロール包装体10の外周面において、衛生薄葉紙ロールの2つの列の中間(衛生薄葉紙ロールの軸線間)、つまり、親指等が位置するプラスチックフィルムの部分に位置する。そして、ヒートシール接合部12は、プラスチックフィルムの両端部100L1,100R1が重なった状態(図1Cも参照)でヒートシール接合して形成されているので、親指等が位置する部分には、プラスチックフィルムが3枚重なっている。よって、本実施の形態の衛生薄葉紙ロール包装体10は、上記のように大きな力で衛生薄葉紙ロール包装体10が把持されても、親指等が位置するプラスチックフィルムの部分が把持時の指圧により破断することを、従来の衛生薄葉紙ロール包装体よりも防止することができる。
【0026】
このように本実施の形態では、ヒートシール接合部12が分離したり親指等が位置するプラスチックフィルムの部分が破断したりしないようにするため、プラスチックフィルムの両端部100L1,100R1が重なった状態でヒートシール接合して形成されたヒートシール接合部12を、衛生薄葉紙ロール包装体10に包装された4個の衛生薄葉紙ロールに接触しない部分(即ち、指により把持される可能性の高い部分)に位置させている。
【0027】
また、本実施の形態の衛生薄葉紙ロール包装体10では、ヒートシール接合部12は、衛生薄葉紙ロール包装体10の外周面において、衛生薄葉紙ロールの2つの列の中間(衛生薄葉紙ロールの軸線間)、つまり、親指等が位置するプラスチックフィルムの部分に位置するため、ヒートシール接合部の幅は、8mm以上50mm以下が好ましく、10mm以上45mm以下がより好ましく、12mm以上40mm以下がさらに好ましい。ヒートシール接合部の幅が8mmより小さいと親指等の幅より狭いため把持時の指圧により破断しやすくなり、ヒートシール接合部の幅が50mmを超えるとコストアップに繋がることになる。
【0028】
次に、図2Aから図2Lを参照して、衛生薄葉紙ロール包装体10の製造方法の一例を説明する。詳細には後述するが、衛生薄葉紙ロール包装体10の製造方法では、プラスチックフィルムの両端部が重なった状態でヒートシール接合することによりヒートシール接合部12を形成することを含み、ヒートシール接合部12は、衛生薄葉紙ロール包装体10の外周面において、4個の衛生薄葉紙ロール20R1、20R2、20L1、20L2に接触しない部分に当該衛生薄葉紙ロールの軸方向に沿って位置する。以下、具体的に説明する。
【0029】
図2Aに示すように、衛生薄葉紙ロール包装体10の包装資材として用いられる長尺のプラスチックフィルム100を、その長手方向に沿った中心線100Cで、図2Bに示すように、折り曲げる。図2Bの手前側を右側、奥行き側を左側とする。中心線100Cで折り曲げられてプラスチックフィルムの右側部分100Rと左側部分100Lとが定まる。
【0030】
図2Cに示すように、本実施の形態では、プラスチックフィルム100の右側部分100Rの中心線100Cとは逆側の長手方向に沿った端部分100R1と、左側部分100Lの中心線100Cとは逆側の長手方向に沿った端部分100L1と、がヒートシール接合する部分として定められている。そこで、図2Dに示すように、右側部分100Rの端部分100R1と左側部分100Lの端部分100L1とを、重なった状態で、例えば後述する温度で加熱及び加圧してヒートシール接合する。なお、端部分100R1と端部分100L1とを接着剤等で固定してもよいが、乾燥時間を考慮する必要がない点でヒートシール接合が好ましい。
【0031】
図2Eに示すように、端部分100R1と端部分100L1とが重なった状態でヒートシール接合されたプラスチックフィルム100の右側部分100R及び左側部分100Lの各々を、衛生薄葉紙ロール20R1、20R2、20L1、20L2を挿入するために開放し易いようにするために、内側にV字状に折り込むガセット折りをする。右側部分100Rにガセット折り部102ZRが形成れる。左側部分100Lにガセット折り部102ZLが形成れる。ガセット折りされたプラスチックフィルム100の幅は、その軸方向に垂直な方向に2個並設した複数の衛生薄葉紙ロールの幅より広い。
【0032】
図2Fに示すように、右側部分100R及び左側部分100Lの各々がガセット折りされたプラスチックフィルム100に、4(2×2)個の衛生薄葉紙ロール20R1、20R2、20L1、20L2を包装できる長さで切断するための複数の切断線104C1、104C2、104C3、・・・を定める。
【0033】
プラスチックフィルム100を切断線104C1、104C2、104C3、・・・に沿って切断する。例えば、図2Gに示すように、プラスチックフィルム100を切断線104C1に沿って切断することにより、1つの包装フィルム100N1を製造する。包装フィルム100N1には、右側部分100R及び左側部分100Lの各々の端部分が重なった状態でヒートシール接合された部分12Kが形成されている。
【0034】
なお、図2Hに示すように、包装フィルム100N1のヒートシール接合された部分12Kを左側部分100L(又は右側部分100R)にヒートシール接合してもよい。ヒートシール接合された部分12Kを左側部分100L(又は右側部分100R)にヒートシール接合するタイミングは、第1に、右側部分100R及び左側部分100Lの各々をガセット折り(図2E参照)する前でも、第2に、右側部分100R及び左側部分100Lの各々をガセット折りした後(図2E参照)であってプラスチックフィルムを切断線104C1、104C2、104C3・・・に沿って切断する前でもよい。
【0035】
図2Iに示すように、包装フィルム100N1の開放されている一方の側を包装フィルム100N1の幅方向に沿ってヒートシール接合して突起部14を形成する。
【0036】
図2Jに示すように、一方の側に突起部14が形成された包装フィルム100N1の他方の側を、4(2×2)個の衛生薄葉紙ロールを挿入できるように、開放する。
【0037】
図2Kに示すように、包装フィルム100N1に4(2×2)個の衛生薄葉紙ロールを、開放された他方の側100M1から挿入する。
【0038】
図2Lに示すように、4(2×2)個の衛生薄葉紙ロールが挿入された包装フィルム100N1の他方の側を幅方向に沿ってヒートシール接合して底部100M2を形成する。なお、底部100M2は、互いに重ね合わされたフィルムを幅方向に沿ってヒートシール接合する構成に限らず、合わせ包みヒートシール包装により封止するようにしてもよい。
【0039】
以上により、衛生薄葉紙ロール包装体10が製造される(図2Mも参照)。
【0040】
図1Cは、包装フィルム100N1のヒートシール接合された部分12Kが突起部14および底部100M2の形成または左側部分100Lへのヒートシール接合により左側部分100Lに倒れて重なった状態を示した図1BのA部拡大断面図である。図1Cに示すように、ヒートシール接合部12は、プラスチックフィルムが3枚重なっている。
【0041】
よって、衛生薄葉紙ロール包装体10に周方向への大きな引張力が作用しても、ヒートシール接合部12が分離することを防止することができる。また、把持される部分に、プラスチックフィルムが3重に重なったヒートシール接合部12を配置して、把持される部分を効果的に補強することができ、プラスチックフィルムの部分が破断することを防止することができる。
【0042】
また、図2Mに示すように衛生薄葉紙ロール包装体10のヒートシール接合部12の表面には、ヒートシールパターンに対応した複数の凹部が設けられている。例えば、複数の凹部が、格子状に一定の間隔に設けられている。
【0043】
各凹部の大きさは、全て同じでも異なってもよい。各凹部の形は、矩形(例えば、正方形)でも、円形、卵形、長円形、楕円形等でもよい。
【0044】
上記のように、衛生薄葉紙ロール包装体10を片手で把持する際に指が位置するヒートシール接合部12の表面には、複数の凹部が設けられている。よって、衛生薄葉紙ロール包装体10を片手で把持する際に、指がヒートシール接合部12の凹部に当たり、滑りが防止され、衛生薄葉紙ロール包装体10の把持性が向上する。
【0045】
なお、上記突起部14に、指を引っ掛ける指掛け孔を形成してもよい。
【0046】
次に、プラスチックフィルムの構造を説明する。
【0047】
図3は、衛生薄葉紙ロール包装体10の包装資材として用いられるプラスチックフィルムの端部分100R1の構造を示す図である。図3に示すように、プラスチックフィルムは、複数層を備える。具体的には、プラスチックフィルムは、例えば、ヒートシールスキン層100Aと、スキン層100Cと、スキン層100Cとヒートシールスキン層100Aとの間に位置するコア層100Bと、を備える。プラスチックフィルムでは、スキン層100Cは省略してもよいが、ヒートシールスキン層100A、コア層100B、及びスキン層100Cを備えることが好ましい。
【0048】
ヒートシールスキン層100Aの厚さは、2μm以上6μm以下が好ましく、3μm以上5μm以下がより好ましい。ヒートシールスキン層100Aの厚さが薄過ぎると良好な接着性(封止性)が得られないことがある。ヒートシールスキン層100Aの厚さが厚過ぎると、ヒートシール処理時に、熱伝達が不十分となることがある。その場合、良好な接合強度が得ることができず、封止性が劣ることがある。
【0049】
コア層100Bの厚さは、18μm以上34μm以下が好ましく、20μm以上30μm以下がより好ましく、22μm以上26μm以下がさらに好ましい。コア層100Bの厚さが薄過ぎると、概してプラスチックフィルムの厚さが低くなり破れ易い傾向にある。一方、コア層100Bの厚さが厚過ぎると、ヒートシール処理時に、熱伝達が不十分となることがある。その場合、良好な接合強度が得ることができず、封止性が劣ることがある。
【0050】
スキン層100Cは省略してもよいが、スキン層100Cを備える場合、スキン層100Cの厚さは、6μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。スキン層100Aの厚さが厚過ぎると、ヒートシール処理時に、熱伝達が不十分となることがある。その場合、良好な接合強度が得ることができず、封止性が劣ることがある。
【0051】
スキン層100Cの主成分は、ポリオレフィン系樹脂である。
【0052】
ヒートシールスキン層100Aの主成分は、スキン層100Cよりも融点の低い低融点ポリオレフィン系樹脂である。
【0053】
例えば、ポリオレフィン系樹脂をポリエチレンとする場合、高密度ポリエチレンを主成分としてスキン層100Cを組成する。ヒートシールスキン層100Aについては、ポリオレフィン系樹脂の主成分を、低密度ポリエチレンとする。これにより、スキン層100Cよりも融点の低いヒートシールスキン層100Aを組成することできる。これにより、スキン層100Cの融点を120℃以上140℃以下の範囲内で設定可能になるとともに、ヒートシールスキン層100Aの融点を95℃以上130℃以下の範囲内で設定可能となり、例えば、スキン層100Cの融点を130℃とし、ヒートシールスキン層100Aを110℃とすることができる。この場合、右側部分100Rの端部分100R1と左側部分100Lの端部分100L1とを、ヒートシールスキン層100Aの融点110℃よりも高くスキン層100Cの融点130℃及びコア層100Bの融点よりも低い温度、例えば120℃で加熱及び加圧してヒートシール接合する。
【0054】
また、ポリオレフィン系樹脂をポリプロピレンとする場合、ポリプロピレンを主成分としてスキン層100Cを組成するともに、ポリプロピレンにエチレンやブテンをランダムに入れて結晶性を低下させてヒートシールスキン層100Aを組成することにより、スキン層100Cよりも融点の低いヒートシールスキン層100Aを組成することできる。これにより、スキン層100Cの融点をポリプロピレンの融点160℃程度に設定可能になるとともに、ヒートシールスキン層100Aの融点を100℃から140℃の範囲内で設定可能となり、例えば、スキン層100Cの融点を168℃とし、ヒートシールスキン層100Aの融点を110℃とすることができる。この場合、右側部分100Rの端部分100R1と左側部分100Lの端部分100L1とを、ヒートシールスキン層100Aの融点110℃より高くスキン層100Cの融点168℃及びコア層100Bの融点より低い温度、例えば140℃で加熱及び加圧してヒートシール接合する。
【0055】
コア層100Bの主成分は、ポリオレフィン系樹脂とポリ乳酸系樹脂であり、前記ポリ乳酸系樹脂は植物由来の樹脂であり生分解性を有する。コア層100Bは、プラスチックフィルムの全質量に対してポリ乳酸系樹脂が4質量%以上70質量%以下含有されていることが望ましく、例えば、ポリ乳酸系樹脂を10質量%含有させたものとすることができる。コア層100Bにおけるポリ乳酸系樹脂の含有量の上限値は、プラスチックフィルムの全質量に対して、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。25質量%を超えると、プラスチックフィルムを延伸する際の延伸性が劣る。コア層100Bのポリオレフィン系樹脂は単独でもよく2種以上のポリオレフィン系樹脂を含んでもよい。コア層100Bの融点はヒートシールスキン層100Aの融点よりも高い。
【0056】
コア層100Bの配合のパターンをより具体的に説明する。
【0057】
まず、ポリオレフィン系樹脂A、ポリ乳酸系樹脂B、低融点ポリオレフィン系樹脂Cと表記する。なお、低融点ポリオレフィン系樹脂Cは、ポリオレフィン系樹脂Aの融点より低いポリオレフィン系樹脂である。
【0058】
コア層100Bの配合には以下の第1のパターンと第2のパターンとがある。
【0059】
第1のパターンとしては、ポリオレフィン系樹脂Aとポリ乳酸系樹脂Bとを含むパターン(A+B)である。
【0060】
第2のパターンとしては、ポリオレフィン系樹脂A、ポリ乳酸系樹脂B、及び低融点ポリオレフィン系樹脂Cを含むパターン(A+B+C)である。第2のパターンでは、主成分はポリオレフィン系樹脂Aとポリ乳酸系樹脂Bであり、低融点ポリオレフィン系樹脂Cは1から20質量%程度配合である。
【0061】
コア層100Bのポリオレフィン系樹脂の融点は、スキン層100Cのポリオレフィン系樹脂の融点よりも低い。
【0062】
具体的には次の通りである。
【0063】
第1のパターンの場合、コア層100Bのポリオレフィン系樹脂Aの融点は、スキン層100Cのポリオレフィン系樹脂の融点よりも低い。
【0064】
第2のパターンの場合、コア層100Bのポリオレフィン系樹脂Aと低融点ポリオレフィン系樹脂Cの各々の融点は、スキン層100Cのポリオレフィン系樹脂の融点よりも低い。
【0065】
第2のパターンのほうが第1のパターンより好ましい。より好ましい融点の序列は、スキン層100Cのポリオレフィン系樹脂>コア層100Bのポリオレフィン系樹脂A>コア層100Bの低融点ポリオレフィン系樹脂Cである。
【0066】
第2のパターンでは、上記のように低融点ポリオレフィン系樹脂Cが更に配合され、コア層100B内でポリオレフィン系樹脂Aとポリ乳酸系樹脂Bとの親和性が向上し、これにより、コア層100B内での接合強度が向上する、つまり、コア層100B内でポリオレフィン系樹脂Aとポリ乳酸系樹脂Bとの界面剥離(層間剥離)を効果的に抑制することができる。
【0067】
上記のようにコア層100Bのポリオレフィン系樹脂は2種以上のポリオレフィン系樹脂を含んでもよく、コア層100Bのこれらのポリオレフィン系樹脂の融点は、スキン層100Cのポリオレフィン系樹脂の融点よりも低い。よって、コア層100Bの融点はスキン層100Cの融点よりも低い。
【0068】
上記のように、プラスチックフィルムは、複数層を備える。
【0069】
プラスチックフィルムは、ヒートシールスキン層100Aとコア層100Bとの2層を備える第1の場合がある(スキン層がない)。ヒートシールスキン層100Aの融点は、コア層100Bの融点よりも低い。
【0070】
プラスチックフィルムは、ヒートシールスキン層100Aと、スキン層100Cと、スキン層100Cとヒートシールスキン層100Aとの間に位置するコア層100Bと、を備える第2の場合がある。第2の場合は、ヒートシールスキン層100Aとコア層100Bとの第1の間及びコア層100Bとスキン層100Cとの第2の間の少なくとも一方に、更に別の層を備える場合を含む。例えば、第1の間に、融点が、ヒートシールスキン層100Aのポリオレフィン系樹脂の融点より高く且つスキン層100Cのポリオレフィン系樹脂の融点よりも低いポリオレフィン系樹脂を備えてもよい。第2の間に、融点が、コア層100Bのポリオレフィン系樹脂の融点より高く且つスキン層100Cのポリオレフィン系樹脂の融点よりも低いポリオレフィン系樹脂を備えてもよい。
【0071】
図4は、プラスチックフィルムのヒートシール接合された右側部分100Rの端部分100R1及び左側部分100Lの端部分100L1の構造を示す断面図であり、図2Dにおける端部分100R1及び端部分100L1の拡大断面図である。図4に示すように、ヒートシール接合された部分12Kは、プラスチックフィルムの右側部分100Rの端部分100R1及び左側部分100Lの端部分100L1の各々においてヒートシールスキン層100A同士が対接し、ヒートシール接合されて、形成される。つまり、端部分100R1及び端部分100L1の各々のヒートシールスキン層100A同士が背中合わせでヒートシール接合される。
【0072】
このように、スキン層100Cは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、ヒートシールスキン層100Aは、スキン層100Cよりも融点の低い低融点ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、スキン層100Cとヒートシールスキン層100Aとの間に位置するコア層100Bは、ポリオレフィン系樹脂とポリ乳酸系樹脂を主成分としている。そして、端部分100R1及び端部分100L1の各々のヒートシールスキン層100A同士が背中合わせでヒートシール接合される。よって、生分解性を有するポリ乳酸系樹脂を含有するコア層100Bの融点がヒートシールスキン層の融点よりも高くても、ヒートシール接合された部分12Kの接合強度を効果的に確保することができる。
【0073】
次に、ヒートシールスキン層100A、コア層100B、及びスキン層100Cの具体的な内容について説明する。
【0074】
ヒートシールスキン層100Aは、スキン層100Cよりも融点の低い低融点ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、低融点ポリオレフィン系樹脂としては、融点が150℃以下の熱可塑性樹脂を挙げることができ、斯かる樹脂である限りは、公知のヒートシール層を形成するための樹脂を広く挙げることができる。特に、ポリエチレン樹脂、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン共重合体であることが好ましい。
【0075】
より具体的には、低融点ポリオレフィン系樹脂には次の樹脂を用いることができる。
・樹脂C-1:FL6741G(住友化学工業株式会社製、プロピレン-エチレン-ブテンランダム共重合体)
【0076】
コア層100Bは、ポリオレフィン系樹脂Aとポリ乳酸系樹脂Bとを含有する。さらに、任意成分として低融点ポリオレフィン系樹脂Cを含有してもよい。
【0077】
まず、ポリオレフィン系樹脂Aについて説明する。
【0078】
ポリオレフィン系樹脂Aとしては、例えば、公知の結晶性ポリオレフィン系樹脂を広く挙げることができる。結晶性ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、オレフィンを重合してなるポリマーであり、炭素数2から20(炭素数2から10(炭素数3から6)))のオレフィンを重合してなるポリマーである。具体的には、結晶性ポリオレフィン系樹脂として、結晶性であるポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ(1-ブテン)樹脂、ポリイソブテン樹脂、ポリ(1-ペンテン)樹脂、ポリ(4-メチルペンテン-1)樹脂が挙げられる。
【0079】
結晶性ポリオレフィン系樹脂は、1種単独又は2種以上の混合物とすることができる。
【0080】
ポリオレフィン系樹脂Aが結晶性ポリプロピレン系樹脂である場合、結晶性ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、及び、プロピレンとエチレンとの共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種である。
【0081】
より具体的には、ポリオレフィン系樹脂Aには次の樹脂を用いることができる。
・樹脂A-1:プライムポリプロ(登録商標)F-300SP(株式会社プライムポリマー製)
・樹脂A-2:ウインテック(登録商標)WFW5T重合体(日本ポリプロ株式会社製、融点142℃
【0082】
次に、ポリ乳酸系樹脂Bを説明する。
【0083】
ポリ乳酸系樹脂Bは植物由来の樹脂であり生分解性を有する。ポリ乳酸としては、例えば、原料系モノマーとして乳酸成分を縮重合させて得られるポリ乳酸等、公知のポリ乳酸を広く使用することができる。なお、ポリ乳酸は、L-乳酸(L体)及びD-乳酸(D体)のいずれかの光学異性体のみ、あるいは、双方を含有することができる。
【0084】
より具体的には、ポリ乳酸系樹脂Bには次の樹脂を用いることができる。
・樹脂B-1:Luminy(登録商標)LX175(Total Corbion PLA社製、ポリ乳酸)
・樹脂B-2:Luminy(登録商標)L175(Total Corbion PLA社製、ポリ乳酸)
・樹脂B-3:Luminy(登録商標)LX930(Total Corbion PLA社製、ポリ乳酸)
【0085】
次に、低融点ポリオレフィン系樹脂Cを説明する。
【0086】
低融点ポリオレフィン系樹脂Cはコア層100Bに任意で含まれる成分であって、融点が150℃以下の熱可塑性樹脂を挙げることができ、斯かる樹脂である限りは、公知のヒートシール層を形成するための樹脂を広く挙げることができる。特に、ポリエチレン樹脂、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン共重合体であることが好ましい。
【0087】
より具体的には、低融点ポリオレフィン系樹脂Cには次の樹脂を用いることができる。
・樹脂C-1:FL6741G(住友化学工業株式会社製、プロピレン-エチレン-ブテンランダム共重合体)
【0088】
スキン層100Cは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、スキン層100Cに含有されるポリオレフィン系樹脂としては、例えばオレフィンを重合してなるポリマーであり、好ましくは炭素数2から20、より好ましくは炭素数2から10、さらに好ましくは炭素数3から6のオレフィンを重合してなるポリマーを挙げることができる。
【0089】
より具体的には、スキン層100Cに含有されるポリオレフィン系樹脂には次の樹脂を用いることができる。
・樹脂D-1:プライムポリプロ(登録商標)F-300SP(株式会社プライムポリマー製)
・樹脂D-2:タフマーBL3450(三井化学株式会社製、1-ブテン・エチレン共重合体、融点104℃)
・樹脂D-3:5C37F(サンアロマー株式会社製、エチレンープロピレンー1-ブテン共重合体、融点142℃)
【0090】
(変形例)
次に、本開示の技術の変形例を、図5Aから図6を参照して、説明する。
前述した実施の形態は、プラスチックフィルム100を、プラスチックフィルム100の長手方向に沿った中心線100Cで折り曲げ(図2A及び図2B参照)、プラスチックフィルムの右側部分100Rの右端部100R1と左側部分100Lの左端部100L1とを用いてヒートシール接合部12が形成される(図2H参照)。よって、ヒートシール接合部12は、衛生薄葉紙ロール包装体10の図1Aの前側の側面に形成される。
【0091】
これに対し変形例では、衛生薄葉紙ロール包装体10の図5Dに示すように、図5Dの前側及び後側の各々の側面にヒートシール接合部120A、120Bが形成される。
【0092】
次に、図5Aから図5Dを参照して、変形例の衛生薄葉紙ロール包装体の製造方法の一例を説明する。詳細には後述するが、衛生薄葉紙ロール包装体の製造方法では、プラスチックフィルムの両端部が重なった状態でヒートシール接合することによりヒートシール接合部120A、120Bを形成することを含み、ヒートシール接合部120A、120Bは、衛生薄葉紙ロール包装体の外周面において衛生薄葉紙ロールの軸方向に沿って4個の衛生薄葉紙ロール20R1、20R2、20L1、20L2に接触しない部分に位置する。以下、具体的に説明する。なお、変形例の衛生薄葉紙ロール包装体の製造方法は、前述した実施の形態の衛生薄葉紙ロール包装体10の製造方法と同様の部分があるので、主として、異なる部分を説明する。
【0093】
図5Aに示すように、本変形例では、2枚のプラスチックフィルム200M、200Nを用意する。2枚のプラスチックフィルム200M、200Nの長手方向の長さは、4(2×2)個の衛生薄葉紙ロールを包装でき、上記突起部14(図2I参照)及び上記底部を形成できる長さである。なお、プラスチックフィルム200M、200Nの構造は、前述した実施の形態の衛生薄葉紙ロール包装体10のプラスチックフィルムの構造と同様であるので、その説明を省略する。
【0094】
プラスチックフィルム200Mの長手方向に沿った一端200M1及び他端200M2と、プラスチックフィルム200Nの長手方向に沿った一端200N1及び他端200N2とが、ヒートシール接合する部分として定められている。そこで、図5Bに示すように、プラスチックフィルム200Mの一端200M1とプラスチックフィルム200Nの一端200N1とを、重なるように、ヒートシール接合する。また、プラスチックフィルム200Mの他端200M2とプラスチックフィルム200Nの他端200N2とを、重なるように、ヒートシール接合する。
【0095】
図5Cに示すように、上記端部分200M1、200N1、200M2、200N2がヒートシール接合された2枚のプラスチックフィルム200M、200Nをガセット折りして、ガセット折り部分200MZ、200NZを形成する。上記突起部14を形成して包装体を製造し、当該包装体に4(2×2)個の衛生薄葉紙ロールを挿入し、上記底部を形成して、衛生薄葉紙ロール包装体を製造する。
【0096】
図5Dは、変形例における衛生薄葉紙ロール包装体の一例を示す断面図である。図5Dに示すように、変形例における衛生薄葉紙ロール包装体では、図5Dの前側及び後側の各々の側面に、ヒートシール接合部120A及びヒートシール接合部120Bが形成される。ヒートシール接合部120A及びヒートシール接合部120Bの各々では、プラスチックフィルムが2重に重なっている。
【0097】
図6は、一方のプラスチックフィルムの一端200M1及び他方のプラスチックフィルムの一端200N1と、一方のプラスチックフィルムの他端200M2及び他方のプラスチックフィルムの他端200N2とが、ヒートシール接合された様子を示す図である。図6に示すように、一端200M1及び一端200N1と、他端200M2及び他端200N2とにおいてヒートシールスキン層100A同士が対接し、ヒートシール接合される。つまり、一端200M1及び一端200N1と、他端200M2及び他端200N2とにおいてヒートシールスキン層100A同士が背中合わせでヒートシール接合される。
【0098】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0099】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0100】
10 衛生薄葉紙ロール包装体
12 ヒートシール接合部
100 プラスチックフィルム
20R1、20R2、20L1、20L2 衛生薄葉紙ロール
200R、200L 軸
100R1、100L1 端部分
100A ヒートシールスキン層
100B コア層
100C スキン層
120A、120B ヒートシール接合部
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図2L
図2M
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6