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特開2024-86267シリアル表示付き電子基板、およびシリアル表示付き電子基板の製造方法
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  • 特開-シリアル表示付き電子基板、およびシリアル表示付き電子基板の製造方法 図1
  • 特開-シリアル表示付き電子基板、およびシリアル表示付き電子基板の製造方法 図2A
  • 特開-シリアル表示付き電子基板、およびシリアル表示付き電子基板の製造方法 図2B
  • 特開-シリアル表示付き電子基板、およびシリアル表示付き電子基板の製造方法 図2C
  • 特開-シリアル表示付き電子基板、およびシリアル表示付き電子基板の製造方法 図2D
  • 特開-シリアル表示付き電子基板、およびシリアル表示付き電子基板の製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086267
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】シリアル表示付き電子基板、およびシリアル表示付き電子基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/00 20060101AFI20240620BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H05K3/00 P
G06K19/06 018
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201308
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】上田 芽利
(57)【要約】
【課題】表面上の余白が狭い場合でもシリアルナンバーを表示可能なシリアル表示付き電子基板、およびシリアル表示付き電子基板の製造方法を提供する。
【解決手段】シリアル表示付き電子基板は、一方の表面と、一方の表面に対向する他方の表面と、前記一方の表面と前記他方の表面との間に位置し、かつ、前記一方の表面に交差する側面と、を備え、前記側面には、一意に付されたシリアルナンバーを示すシリアル表示が付されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の表面と、一方の表面に対向する他方の表面と、前記一方の表面と前記他方の表面との間に位置し、かつ、前記一方の表面に交差する側面と、を備え、
前記側面には、一意に付されたシリアルナンバーを示すシリアル表示が付されている、
シリアル表示付き電子基板。
【請求項2】
前記シリアル表示は、線状のマークである、
請求項1に記載のシリアル表示付き電子基板。
【請求項3】
前記シリアル表示は、マークであり、
前記マークの個数と、前記シリアルナンバーとが対応している、
請求項1または2に記載のシリアル表示付き電子基板。
【請求項4】
前記側面は、マーク領域を含み、
前記マーク領域のおのおのに付された前記マークの個数は、前記シリアルナンバーの各桁の値と一致している、
請求項3に記載のシリアル表示付き電子基板。
【請求項5】
前記マーク領域のおのおのは、前記側面のおのおのに含まれている、
請求項4に記載のシリアル表示付き電子基板。
【請求項6】
複数の前記マーク領域を含む前記側面が存在する、
請求項4に記載のシリアル表示付き電子基板。
【請求項7】
一方の表面と、一方の表面に対向する他方の表面と、前記一方の表面と前記他方の表面との間に位置し、かつ、前記一方の表面に交差する側面と、を備える電子基板を用意し、
前記側面に、前記電子基板に対して一意に付されたシリアルナンバーを示すシリアル表示を付す、
シリアル表示付き電子基板の製造方法。
【請求項8】
前記シリアル表示として、線状のマークを付す、
請求項7に記載のシリアル表示付き電子基板の製造方法。
【請求項9】
前記シリアル表示として、前記シリアルナンバーと対応した個数のマークを付す、
請求項7または8に記載のシリアル表示付き電子基板の製造方法。
【請求項10】
複数の前記電子基板を用意し、
複数の前記電子基板を重ねた状態から一番外側に位置する外側電子基板を前記外側電子基板以外の前記電子基板から離隔させ、前記外側電子基板以外の前記電子基板に対して前記マークを付すことで、前記外側電子基板に付される前記マークの個数と前記外側電子基板以外の前記電子基板に付される前記マークの個数とを異ならせる、
請求項9に記載のシリアル表示付き電子基板の製造方法。
【請求項11】
前記側面は、マーク領域を含み、
前記マーク領域のおのおのに、前記シリアルナンバーの各桁の値と同じ個数の前記マークを付す、
請求項9に記載のシリアル表示付き電子基板の製造方法。
【請求項12】
前記マーク領域のおのおのは、前記側面のおのおのに含まれている、
請求項11に記載のシリアル表示付き電子基板の製造方法。
【請求項13】
複数の前記マーク領域を含む前記側面が存在する、
請求項11に記載のシリアル表示付き電子基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリアル表示付き電子基板、およびシリアル表示付き電子基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリアルナンバーが付された電子基板が知られている。シリアルナンバーは、例えばインクジェット印刷装置により、電子基板の実装面(表面)に印刷されることが一般的である(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-58666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の電子部品が高密度に実装される電子基板等においては、電子部品が表面上の余白を狭め、シリアルナンバーを示す文字が小さくなってしまう場合があった。この場合、シリアルナンバーが読みにくくなったり、擦れによって消えやすくなったりするという問題があった。また、表面上の余白が極めて狭い場合には、シリアルナンバーを印刷すること自体が不可能となる可能性もあった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされ、表面上の余白が狭い場合でもシリアルナンバーを表示可能なシリアル表示付き電子基板、およびシリアル表示付き電子基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の態様1に係るシリアル表示付き電子基板は、一方の表面と、一方の表面に対向する他方の表面と、前記一方の表面と前記他方の表面との間に位置し、かつ、前記一方の表面に交差する側面と、を備え、前記側面には、一意に付されたシリアルナンバーを示すシリアル表示が付されている。
【0007】
本発明の態様1によれば、表面上の余白が狭い場合であっても、シリアル表示を側面に付すことで、シリアルナンバーを表示することができる。
【0008】
また、本発明の態様2は、態様1のシリアル表示付き電子基板において、前記シリアル表示は、線状のマークである。
【0009】
また、本発明の態様3は、態様1または態様2のシリアル表示付き電子基板において、前記シリアル表示は、マークであり、前記マークの個数と、前記シリアルナンバーとが対応している。
【0010】
また、本発明の態様4は、態様3のシリアル表示付き電子基板において、前記側面は、マーク領域を含み、前記マーク領域のおのおのに付された前記マークの個数は、前記シリアルナンバーの各桁の値と一致している。
【0011】
また、本発明の態様5は、態様4のシリアル表示付き電子基板において、前記マーク領域のおのおのは、前記側面のおのおのに含まれている。
【0012】
また、本発明の態様6は、態様4のシリアル表示付き電子基板において、複数の前記領域を含む前記側面が存在する。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の態様7に係るシリアル表示付き電子基板の製造方法は、一方の表面と、一方の表面に対向する他方の表面と、前記一方の表面と前記他方の表面との間に位置し、かつ、前記一方の表面に交差する側面と、を備える電子基板を用意し、前記側面に、前記電子基板に対して一意に付されたシリアルナンバーを示すシリアル表示を付す。
【0014】
本発明の態様7によれば、表面上の余白が狭い場合であっても、シリアル表示を側面に付すことで、シリアルナンバーを表示することができる。
【0015】
また、本発明の態様8は、態様7のシリアル表示付き電子基板の製造方法において、前記シリアル表示として、線状のマークを付す。
【0016】
また、本発明の態様9は、態様7または態様8のシリアル表示付き電子基板の製造方法において、前記シリアル表示として、前記シリアルナンバーと対応した個数のマークを付す。
【0017】
また、本発明の態様10は、態様9のシリアル表示付き電子基板の製造方法において、複数の前記電子基板を用意し、複数の前記電子基板を重ねた状態から一番外側に位置する外側電子基板を前記外側電子基板以外の前記電子基板から離隔させ、前記外側電子基板以外の前記電子基板に対して前記マークを付すことで、前記外側電子基板に付される前記マークの個数と前記外側電子基板以外の前記電子基板に付される前記マークの個数とを異ならせる。
【0018】
また、本発明の態様11は、態様9または態様10のシリアル表示付き電子基板の製造方法において、前記側面はマーク領域を含み、前記マーク領域のおのおのに、前記シリアルナンバーの各桁の値と同じ個数の前記マークを付す。
【0019】
また、本発明の態様12は、態様11のシリアル表示付き電子基板の製造方法において、前記マーク領域のおのおのは、前記側面のおのおのに含まれている。
【0020】
また、本発明の態様13は、態様11のシリアル表示付き電子基板の製造方法において、複数の前記マーク領域を含む前記側面が存在する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の上記態様によれば、表面上の余白が狭い場合でもシリアルナンバーを表示可能なシリアル表示付き電子基板、およびシリアル表示付き電子基板の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係るシリアル表示付き電子基板を示す斜視図である。
図2A】本発明の実施形態に係るシリアル表示付き電子基板の製造方法について説明する図である。
図2B図2Aに続く状態を示す図である。
図2C図2Bに続く状態を示す図である。
図2D図2Cに続く状態を示す図である。
図3】本発明の変形例に係るシリアル表示付き電子基板を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係るシリアル表示付き電子基板、およびその製造方法について図面に基づいて説明する。
【0024】
<シリアル表示付き電子基板>
図1に示すように、本実施形態に係るシリアル表示付き電子基板1(以下、単に電子基板1と称する)は、平面視において矩形(例えば、正方形)の形状を有する。電子基板1は、一方の表面2(第1の表面)と、4つの側面3と、一方の表面に対向する他方の表面4(第2の表面)と、を備える。また、4つの側面3には、電子基板1に対して一意に付されたシリアルナンバーを示すシリアル表示Sが付されている。
【0025】
一方の表面2は、電子部品を実装したり回路パターンの描画をしたりすることが可能な面である。本実施形態に係る電子基板1は、例えばアンテナ基板である。ただし、電子基板1の種類はアンテナ基板に限られず、適宜変更可能である。以下、一方の表面2に直交する方向(すなわち、電子基板1の厚み方向)を単に「厚み方向Z」と称する。また、厚み方向Zから見ることを「平面視」と称する。
【0026】
一方の表面2が有する4つの角部のうち1つの角部には、補助表示2aが設けられている。補助表示2aは、ユーザが電子基板1の向きを把握する際に用いられる。補助表示2aは、例えば、インクジェット印刷によって一方の表面2上に印刷されたマーク(模様)である。ただし、ユーザが電子基板1の向きを把握することができれば、補助表示2aの位置および形状その他の態様、ならびに補助表示2aを一方の表面2上に設ける方法は変更可能である。一方の表面2に補助表示2aを設ける方法としては、例えば、レーザー印刷、シルク印刷、または切削加工等を用いることができる。補助表示2aは、配線パターンであってもよい。また、補助表示2aの形状としては、例えば、三角形、四角形、円形その他の形状を適宜採用することができる。
【0027】
各側面3は、一方の表面2に交差(図示の例においては直交)している。また、各側面3は、厚み方向Zに交差(図示の例においては直交)する方向に向いている。各側面3は、一方の表面2と他方の表面4との間に位置する。側面3は、一方の表面2の外周縁と他方の表面4の外周縁とを結ぶ面でもある。
【0028】
以下、4つの側面3の各々を、第1側面3a~第4側面3dと称する。本実施形態において、第1側面3a~第4側面3dは、互いに異なる向きを向く異なる平坦面である。第1側面3aは、平面視において補助表示2aが左上に位置するように電子基板1を配置した条件下で、左側に位置する側面3である。第2側面3bは同様の条件下で下側に位置する側面3であり、第3側面3cは右側に位置する側面3であり、第4側面3dは上側に位置する側面3である。すなわち、第1側面3a~第4側面3dは、平面視において、反時計回りにこの順に並んでいる。
【0029】
他方の表面4は、一方の表面2とは反対側に位置する面である。他方の表面4は、電子部品の実装や回路パターンの描画が可能な面であってもよいし、これらが不可能な面であってもよい。
【0030】
本実施形態に係るシリアル表示Sは、複数のマークMを含む。本実施形態に係るマークMは、厚み方向Zに延びる直線状の形状を有する。また、各マークMは、一方の表面2から他方の表面4まで延びている。マークMは、例えば、インクジェット印刷によって側面3上に印刷された模様である。なお、マークMを側面3に印刷する方法は特に限定されず、例えばレーザー印刷またはシルク印刷等によってマークMが印刷されていてもよい。あるいは、マークMは、切削加工等によって側面3に刻まれた凹部等であってもよい。
【0031】
各マークMは、第1側面3aに含まれる第1領域R1と、第2側面3bに含まれる第2領域R2と、第3側面3cに含まれる第3領域R3と、第4側面3dに含まれる第4領域R4と、のいずれか一つに付されている。なお、本実施形態において「第1領域R1」は、第1側面3aの全体に相当し、「第2領域R2」は第2側面3bの全体に相当する。同様に、本実施形態において「第3領域R3」は第3側面3cの全体に相当し、「第4領域R4」は第4側面3dの全体に相当する。以下、マークMが付される領域R1~R4を特に区別しない場合、「マーク領域R」と称する場合がある。
【0032】
本実施形態において、マークMの個数は、電子基板1に付されたシリアルナンバーと対応している。本実施形態においては、各領域R1~R4に含まれるマークMの個数は、0~9個のいずれかとなっている。そして、第1領域R1に付されたマークMの個数が、電子基板1に付されたシリアルナンバーの第1の桁の値と一致し、第2領域R2に付されたマークMの個数が、当該シリアルナンバーの第2の桁の値と一致する。同様に、第3領域R3に付されたマークMの個数は、シリアルナンバーの第3の桁の値と一致し、第4領域R4に付されたマークMの個数は、シリアルナンバーの第4の桁の値と一致する。なお、本実施形態において「第1の桁」は十進法表記における一の位に相当し、「第2の桁」は十進法表記における十の位に相当する。同様に、「第3の桁」は百の位に相当し、「第4の桁」は千の位に相当する。したがって、図示の例における電子基板1に付されたシリアルナンバーは、十進法表記で「4732」である。
【0033】
<シリアル表示付き電子基板の製造方法>
次に、以上のように構成された電子基板1を製造する方法の一例について説明する。以下の説明では、10枚の電子基板1(第1電子基板1a~第10電子基板1j)に対してシリアルナンバー「4730」~「4739」に対応するシリアル表示Sを付す方法について説明する。
【0034】
まず、図2Aに示すように、第1電子基板1a~第10電子基板1jを厚み方向Zにおいて重ねる。このとき、4つの側面3a~3dの向きを全ての電子基板1a~1jの間で揃えておく。言い換えれば、平面視において補助表示2aを重ねる。
【0035】
次に、全ての電子基板1a~1jの第4領域R4(第4側面3d)に対して、マークMを付す。具体的には、シリアルナンバーの千の位「4」に対応させて、4つのマークMを付す。このとき、第1電子基板1aから第10電子基板1jまで連続的にマークMを付すことにより、全ての電子基板1a~1jに対して直線状のマークMを容易に付すことができる。
【0036】
同様の方法により、全ての電子基板1a~1jの第3領域R3(第3側面3c)および第2領域R2(第2側面3b)に対して、マークMを付す。具体的には、第3領域R3には7つのマークMを付し、第2領域R2には3つのマークMを付す。
【0037】
次に、図2Bに示すように、電子基板1a~1jを重ねた状態から、一番外側に位置する電子基板(外側電子基板)である第1電子基板1aをそれ以外の電子基板1b~1jから離隔させる(取り除く)。これにより、第1電子基板1aの第1領域R1に付されるマークMの個数は0個となる。つまり、第1電子基板1aには、シリアルナンバー「4730」を示すシリアル表示Sが付されることとなる。
【0038】
次に、第1電子基板1aを取り除いた状態において、第1電子基板1a以外の電子基板1b~1jの第1領域R1に対してマークMを付す。具体的には、第2電子基板1bから第10電子基板1jまで連続的にマークMを付すことにより、電子基板1b~1jの各々に対し1つずつマークMが付される。
【0039】
次に、図2Cに示すように、電子基板1b~1jを重ねた状態から、外側電子基板である第2電子基板1bをそれ以外の電子基板1c~1jから離隔させる(取り除く)。これにより、第2電子基板1bの第1領域R1に付されるマークMの個数は1個となる。つまり、第2電子基板1bには、シリアルナンバー「4731」を示すシリアル表示Sが付されることとなる。
【0040】
次に、電子基板1a、1bを取り除いた状態において、電子基板1a、1b以外の電子基板1c~1jの第1領域R1に対してマークMを付す。具体的には、第3電子基板1cから第10電子基板1jまで連続的にマークMを付すことにより、電子基板1c~1jの各々に対し1つずつマークMが付される。
【0041】
次に、図2Dに示すように、電子基板1c~1jを重ねた状態から、外側電子基板である第3電子基板1cをそれ以外の電子基板1d~1jから離隔させる。これにより、第3電子基板1cの第1領域R1に付されるマークMの個数は2個となる。つまり、第3電子基板1cには、シリアルナンバー「4732」を示すシリアル表示Sが付されることとなる。
【0042】
次に、電子基板1a~1cを取り除いた状態において、電子基板1a~1c以外の電子基板1d~1jの第1領域R1に対してマークMを付す。具体的には、第4電子基板1dから第10電子基板1jまで連続的にマークMを付すことにより、電子基板1d~1jの各々に対し1つずつマークMが付される。
【0043】
以降は、以上の工程と同様に、外側電子基板である電子基板1を1枚ずつ離隔させて第1領域R1にマークMを付す工程を繰り返す。これにより、第4電子基板1d~第10電子基板1jには、シリアルナンバー「4733」~「4739」を示すシリアル表示Sが各々付されることとなる。
【0044】
上記のような方法を用いてマークMを付すことにより、マークMの個数を異ならせた複数のシリアル表示付き電子基板1a~1jを容易に製造することができる。また、電子基板1(外側電子基板)を1枚ずつ離隔させるたびに、離隔させた電子基板1(外側電子基板)をトレイ等の容器に順次並べていってもよい。この方法によれば、電子基板1a~1jにマークMを付す作業と、電子基板1a~1jをシリアルナンバー順に並べた状態で出荷用の容器に入れる作業と、を同時に行うことができる。これにより、電子基板1a~1jの製造および出荷に係る作業工数を削減することができる。また、マークMを付した後に電子基板1a~1jの順序が乱れてしまうことを防止できる。
【0045】
なお、上記の例においては電子基板1a~1jの間で第1領域R1に付されるマークMの個数を異ならせていたが、同様の方法によって他の領域R2~R4に含まれるマークMの個数を異ならせてもよい。例えば、電子基板1a~1jの間で第2領域R2に付されるマークMの個数を異ならせることにより、シリアルナンバーの十の位の値が互いに異なる複数のシリアル表示付き電子基板1a~1jを容易に製造することができる。
【0046】
なお、以上説明した例においては、第1側面3a~第4側面3dと一対一に対応するように第1領域R1~第4領域R4が設けられていたが、各マーク領域Rの配置はこれに限られない。例えば、図3に示す変形例に係る電子基板1Aにおいては、各側面3a~3dに対して、2つのマーク領域Rが設けられている。例えば、第1側面3aは、第1領域R1および第2領域R2を含み、第1領域R1および第2領域R2の各々にマークMが付されている。このような電子基板1Aによれば、第1領域R1~第8領域R8を有するシリアル表示Sによって8桁のシリアルナンバーを表現することができる。なお、各側面3a~3dに含まれるマーク領域Rの数は適宜変更可能であり、一つの側面3に対して3つ以上のマーク領域R(桁)が設けられてもよい。また、側面3a~3dの間でマーク領域R(桁)の個数が異なっていてもよい。マーク領域Rを有さない側面3があってもよい。
【0047】
また、以上説明した例においては、各領域R1~R8に付されるマークMの個数は0~9個であり、マークMの個数とシリアルナンバーの各桁の値と一致していたが、マークMの個数とシリアルナンバーとの対応関係はこれに限られない。マークMの個数が、シリアルナンバーの複数の桁と一致していてもよい。つまり、各領域R1~R8に10個以上のマークMが付されてもよい。例えば第1領域R1に0~99個のマークMが付される場合、第1領域R1に付されるマークMの個数を用いて、シリアルナンバーのうち2桁分を表現することができる。この場合は、第1電子基板~第100電子基板を厚み方向Zにおいて重ねる。同様に、第1領域R1に0~999個のマークMが付される場合、第1領域R1に付されるマークMの個数を用いて、シリアルナンバーのうち3桁分を表現することができる。この場合は、第1電子基板~第1000電子基板を厚み方向Zにおいて重ねる。
【0048】
また、マークMの形状は適宜変更可能であり、線状でなくてもよい。また、以上の説明ではマークMの個数がシリアルナンバーと対応していたが、例えばマークMの色を異ならせることによりシリアルナンバーを表現してもよい(例えば、赤色が「1」を表し、青色が「2」を表す等)。また、シリアル表示Sは、シリアルナンバーを示す数字そのものを表示するものであってもよい。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係るシリアル表示付き電子基板1は、一方の表面2と、一方の表面2に対向する他方の表面4と、一方の表面2と他方の表面4との間に位置し、かつ、一方の表面2に交差する側面3と、を備え、側面3には、一意に付されたシリアルナンバーを示すシリアル表示が付されている。また、本実施形態に係るシリアル表示付き電子基板の製造方法は、一方の表面2と、一方の表面2に対向する他方の表面4と、一方の表面2と他方の表面4との間に位置し、かつ、一方の表面2に交差する側面3と、を備える電子基板1を用意し、側面3に、電子基板1に対して一意に付されたシリアルナンバーを示すシリアル表示Sを付す。
【0050】
この構成により、表面2、4上の余白が狭い場合であっても、シリアル表示Sを側面3に付すことで、シリアルナンバーを表示することができる。また、電子基板1を積み重ねた状態においても、ユーザがシリアルナンバーを確認することができる。また、電子基板1の積み重ねた際の電子基板1同士の擦れによるシリアル表示Sの掠れや消失を防ぐことができる。
【0051】
また、シリアル表示Sは、線状のマークMである。この構成により、例えばシリアル表示Sがシリアルナンバーを示す数字そのものである場合と比較して、側面3に対するシリアル表示Sの付与をより容易に行うことができる。
【0052】
また、マークMの個数と、シリアルナンバーとが対応している。この構成により、例えばマークMの色とシリアルナンバーとが対応している場合と比較して、側面3に対するシリアル表示Sの付与をより簡便に行うことができる。また、色とシリアルナンバーの対応を覚えなくてよいため認識しやすい。
【0053】
また、側面3は、マーク領域R1~R4を含み、マーク領域R1~R4のおのおのに付されたマークMの個数は、シリアルナンバーの各桁の値と一致している。例えば、第1領域R1に付されたマークMの個数は、シリアルナンバーの第1の桁(例えば、十進数表示における一の位)の値と一致しており、第2領域R2に付されたマークMの個数は、シリアルナンバーの第2の桁(例えば、十進数表示における十の位)と一致している。つまり、各領域R1~R4とシリアルナンバーの一桁とが対応している。この構成により、例えば各領域R1~R4がシリアルナンバーの二桁以上と対応している場合と比較して、シリアル表示Sの視認性が向上する。
【0054】
また、マーク領域R1~R4のおのおのは、側面3a~3dのおのおのに含まれていてもよい。例えば、第1領域R1は、第1側面3aに含まれており、第2領域R2は、第2側面3bに含まれていてもよい。つまり、一つの側面3に対して一つのマーク領域Rが設けられている。この構成によれば、一つの側面3に対して複数のマーク領域Rが設けられている場合と比較して、シリアル表示Sの視認性が向上する。
【0055】
また、複数のマーク領域Rを含む側面3が存在してもよい。例えば、第1領域R1および第2領域R2の双方が、第1側面3aに含まれていてもよい。つまり、一つの側面3に対して複数のマーク領域Rが設けられていてもよい。この構成によれば、一つの側面3に対して一つのみのマーク領域Rが設けられている場合と比較して、シリアル表示Sによって表示可能なシリアルナンバーの桁数を増やすことができる。
【0056】
また、本実施形態に係るシリアル表示付き電子基板の製造方法においては、複数の電子基板1a~1jを用意し、複数の電子基板1a~1jを重ねた状態から一番外側に位置する外側電子基板(第1電子基板1a)を外側電子基板(第1電子基板1a)以外の電子基板1b~1jから離隔させ、外側電子基板(第1電子基板1a)以外の電子基板1b~1jに対してマークMを付すことで、外側電子基板(第1電子基板1a)に付されるマークMの個数と外側電子基板(第1電子基板1a)以外の電子基板1b~1jに付されるマークMの個数とを異ならせる。この方法によれば、マークMの個数を互いに異ならせた複数のシリアル表示付き電子基板1a~1jを容易に製造することができる。
【0057】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0058】
例えば、前記実施形態では、「第1の桁」「第2の桁」「第3の桁」「第4の桁」が十進数表示における一の位、十の位、百の位、および千の位と各々対応したが、これらの対応関係は適宜入れ替え可能である。例えば、第1の桁が千の位と対応していてもよい。また、シリアルナンバーの表現は十進数表示に限られず、n(nは2以上の自然数)進数表示であってもよい。
【0059】
例えば、前記実施形態では、電子基板1が平面視において矩形の形状を有していたが、電子基板1の形状は適宜変更可能である。例えば、電子基板1は、平面視においてn(nは3以上の自然数)角形形状を有していてもよい。この場合、電子基板1はn個の側面3を有するため、当該n個の側面3の各々に一つまたは複数のマーク領域Rが設けられていてもよい。また、側面3は平坦面でなくてもよく、曲面であってもよい。例えば、電子基板1は平面視において円形状を有していてもよい。この場合、電子基板1は1つのみの側面3を有するため、当該1つのみの側面3に対して一つまたは複数のマーク領域Rが設けられていてもよい。
【0060】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…電子基板(シリアル表示付き電子基板) 2…一方の表面 3…側面 4…他方の表面 S…シリアル表示 M…マーク R…マーク領域
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3