(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086271
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】パウチ
(51)【国際特許分類】
B65D 30/22 20060101AFI20240620BHJP
B65D 33/38 20060101ALI20240620BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B65D30/22 F
B65D33/38
B65D33/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201315
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米田 裕輝
(72)【発明者】
【氏名】峪 純平
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 忠
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA03
3E064BA17
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA35
3E064BA36
3E064BA38
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA04
3E064EA18
3E064FA03
3E064HL05
3E064HN65
3E064HP01
3E064HP02
3E064HS04
3E064HT07
(57)【要約】
【課題】開封後における取り回しが容易であるばかりでなく、製造時における歩留まりの向上ならびに出荷後の移送時や使用時等における破損の防止までもが図られたパウチを提供する。
【解決手段】パウチ1Aは、前壁部101および後壁部102を有し、第1密閉空間および第2密閉空間を含む包装袋と、区画シール部117と、スパウト200とを備える。スパウト200は、取付部201、注出部202と、注出部202の取付部201側の端部に位置するフランジ部203と、取付部201およびフランジ部203の双方に隣接してこれらの間に位置する括れ部204とを含む。フランジ部203は、前壁部101と後壁部102との重ね合わせ方向と平行な方向において取付部201の注出部202側の軸方向端部よりも外側に張り出した張り出し部203aを、前壁部101側および後壁部102側の少なくとも一方に有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前壁部および後壁部を有し、内部に密閉空間が設けられた包装袋と、
前記前壁部および前記後壁部が接合されることで形成され、前記密閉空間を第1密閉空間および第2密閉空間に区画する区画シール部と、
前記区画シール部に取付けられ、前記第1密閉空間および前記第2密閉空間を連通させるためのスパウトとを備え、
前記スパウトは、
前記区画シール部を規定する部分の前記前壁部および前記後壁部によって挟み込まれた状態でこれらに接合されることで前記区画シール部に取付けられた取付部と、
前記スパウトの軸方向の一端に設けられた注出部と、
前記注出部の前記取付部側の端部に設けられたフランジ部と、
前記取付部および前記フランジ部の双方に隣接してこれらの間に設けられた括れ部と、
前記注出部に取付けられることで当該注出部を覆うキャップ部とを含み、
前記第1密閉空間には、内容物が収容され、
前記第2密閉空間には、前記注出部、前記フランジ部、前記括れ部および前記キャップ部が収容され、
前記フランジ部が、前記前壁部および前記後壁部が重ね合わされた方向である重ね合わせ方向と平行な方向において前記取付部の前記注出部側の軸方向端部よりも外側に張り出した張り出し部を、前記前壁部側および前記後壁部側のうちの少なくとも一方に有している、パウチ。
【請求項2】
前記スパウトの中心軸に対応する部分の前記取付部の前記重ね合わせ方向に沿った外形寸法と、前記スパウトの中心軸に対応する部分の前記フランジ部の前記重ね合わせ方向に沿った外形寸法とが同一であることにより、前記張り出し部が、前記軸方向と前記重ね合わせ方向との双方に直交する方向において前記スパウトの中心軸に対応する部分の前記フランジ部を挟むように配置され、
前記スパウトの中心軸に対応する部分の前記取付部の前記重ね合わせ方向に沿った外形寸法と、前記スパウトの中心軸に対応する部分の前記フランジ部の前記重ね合わせ方向に沿った外形寸法とが、前記スパウトの前記重ね合わせ方向に沿った最大外形寸法を規定している、請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
前記包装袋には、前記第2密閉空間を規定する部分の前記前壁部および前記後壁部を、前記注出部の先端部と前記フランジ部との間に対応する位置において切り離すための切り離し誘導部をさらに備えた、請求項1に記載のパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衛生上の観点等から、開封前の状態において、内容物のみならず、当該内容物を注出するためのスパウトまでもが内部に収容されてなるパウチが知られている。
【0003】
この種のパウチにあっては、おもて面を規定するシート状のフィルム部材とうら面を規定するシート状のフィルム部材とにこれらを接合するシール処理が部分的に施され、これにより内部の空間を区画する区画シール部が当該パウチに設けられる。
【0004】
スパウトは、この区画シール部によって区画された一対の空間の各々に面するように当該区画シール部に取付けられ、その注出部側の部分が上記一対の空間のうちの一方の空間に向けて突出するように配置される。
【0005】
内容物は、上記一対の空間のうちの他方の空間に収容される。開封に際しては、上記一方の空間を規定する部分のフィルムが切り離され、これによりスパウトの注出部が外部に露出することで内容物の注出が可能になる。
【0006】
このような構成のパウチが開示された文献としては、たとえば特開2020-147308号公報(特許文献1)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記構成のパウチにあっては、スパウトを巻き込むように一対のシート状のフィルム部材にてスパウトを挟み込んだ状態で上述したシール処理が施される。そのため、スパウトの形状如何によっては、区画シール部の形成のためにスパウトに宛がわれたシート状のフィルム部材に極端な折れ曲がりや皺等が発生してしまうことになり、これによってピンホール等が発生することで歩留まりが低下してしまう問題が生じ得る。
【0009】
また、ピンホール等が発生しなかった場合においても、上述したスパウトの形状に起因して、出荷後の移送時や使用時等においてシート状のフィルム部材に極端な折れ曲がりや皺等が発生し、これによってパウチが破損してしまうおそれもある。
【0010】
一方で、スパウトには、パウチの製造の際にこれを製造装置によって把持するための括れ部や、開封前の状態において注出部を閉鎖するキャップを取付けるための部位等、相応に凹凸等を付与する必要があり、その形状を極端に簡素化することはできない。
【0011】
さらに、上記構成のパウチにあっては、開封後の状態において、スパウトが一対のシート状のフィルム部材によって挟み込まれた状態とされるため、これら一対のフィルム部材が、スパウトを開栓したり、開栓後のスパウトに外部コネクタを接続したりする際の取り回しの妨げとなるおそれもある。
【0012】
したがって、本発明は、上述した問題を解決すべくなされたものであり、開封後における取り回しが容易であるばかりでなく、製造時における歩留まりの向上ならびに出荷後の移送時や使用時等における破損の防止までもが図られたパウチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に基づくパウチは、前壁部および後壁部を有し、内部に密閉空間が設けられた包装袋と、上記前壁部および上記後壁部が接合されることで形成され、上記密閉空間を第1密閉空間および第2密閉空間に区画する区画シール部と、上記区画シール部に取付けられ、上記第1密閉空間および上記第2密閉空間を連通させるためのスパウトとを備えている。上記スパウトは、上記区画シール部を規定する部分の上記前壁部および上記後壁部によって挟み込まれた状態でこれらに接合されることで上記区画シール部に取付けられた取付部と、上記スパウトの軸方向の一端に設けられた注出部と、上記注出部の上記取付部側の端部に設けられたフランジ部と、上記取付部および上記フランジ部の双方に隣接してこれらの間に設けられた括れ部と、上記注出部に取付けられることで当該注出部を覆うキャップ部とを含んでいる。上記第1密閉空間には、内容物が収容されており、上記第2密閉空間には、上記注出部、上記フランジ部、上記括れ部および上記キャップ部が収容されている。上記本発明に基づくパウチにあっては、上記フランジ部が、上記前壁部および上記後壁部が重ね合わされた方向である重ね合わせ方向と平行な方向において上記取付部の上記注出部側の軸方向端部よりも外側に張り出した張り出し部を、上記前壁部側および上記後壁部側のうちの少なくとも一方に有している。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、開封後における取り回しが容易であるばかりでなく、製造時における歩留まりの向上ならびに出荷後の移送時や使用時等における破損の防止までもが図られたパウチを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】
図1に示すスパウトの開栓前の状態の正面図、側面図、平面図および底面図である。
【
図4】
図1に示すスパウトの開栓後の状態の正面図である。
【
図5】
図1に示すパウチの使用方法を説明するための斜視図である。
【
図6】
図1に示すパウチの使用方法を説明するための斜視図である。
【
図7】比較例に係るパウチのスパウトの開栓前の状態の正面図、側面図、平面図および底面図である。
【
図8】実施の形態および比較例に係るパウチのスパウト近傍をパウチの幅方向に沿って見た場合の模式断面図である。
【
図9】実施の形態および比較例に係るパウチのスパウト近傍をパウチの高さ方向に沿って見た場合の模式断面図である。
【
図11】第2変形例に係るパウチのスパウトの開栓前の状態の正面図、側面図、平面図、底面図および模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、内容物として流動食が収容されたパウチに本発明を適用した場合を例示するものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0017】
<A.パウチの構成>
図1および
図2は、それぞれ実施の形態に係るパウチの正面図および側面図である。
図3(A)ないし
図3(D)は、それぞれ
図1に示すスパウトの開栓前の状態の正面図、側面図、平面図および底面図であり、
図4は、
図1に示すスパウトの開栓後の状態の正面図である。まず、これら
図1ないし
図4を参照して、本実施の形態に係るパウチ1Aの構成について説明する。
【0018】
なお、
図1においては、理解を容易とするために、パウチ1Aを構成するシート状のフィルム部材のシール部分に色を付している(後述する
図5、
図6および
図10においても同様である)。また、
図1および
図2においては、包装袋100に覆われることで直接的には視認することができないスパウト200の外形を想像線(二点鎖線)にて図示している(後述する
図10においても同様である)。
【0019】
図1および
図2に示すように、パウチ1Aは、シート状のフィルム部材にて構成された前壁部101および後壁部102を有しており、内部に密閉空間103が設けられた包装袋100と、内容物を注出するためのスパウト200とを備えている。
【0020】
密閉空間103は、後述する区画シール部117によって区画された第1密閉空間104および第2密閉空間105を含んでいる。第1密閉空間104は、内容物を収容可能なものであり、第2密閉空間105は、スパウト200の少なくとも一部を収容可能なものである。
【0021】
包装袋100は、第1密閉空間104に内容物が充填されていない非充填状態において偏平である。また、包装袋100は、その幅方向(すなわち、
図1中の左右方向)における前壁部101の一端および後壁部102の一端が接合されることによって形成された第1シール部111と、前壁部101の他端および後壁部102の他端が接合されることによって形成された第2シール部112と、前壁部101の下端および後壁部102の下端が接合されることによって形成された第3シール部113と、前壁部101の上端および後壁部102の上端が接合されることによって形成され、第3シール部113よりも上記幅方向における長さが短い第4シール部114とを含んでいる。
【0022】
さらに、包装袋100は、前壁部101および後壁部102が接合されることで形成され、第1シール部111の上端部から、第4シール部114の幅方向における第1シール部111側に位置する端部に向けて延在する第1傾斜シール部115と、第2シール部112の上端部から、第4シール部114の幅方向における第2シール部112側に位置する端部に向けて延在する第2傾斜シール部116とを含んでいる。第1傾斜シール部115は、第1シール部111側から第4シール部114側に向かうにつれてパウチ1Aの幅方向の内側に向けて傾斜しており、第2傾斜シール部116は、第2シール部112側から第4シール部114側に向かうにつれて上記幅方向の内側に向けて傾斜している。
【0023】
また、包装袋100は、前壁部101および後壁部102が接合されることで形成され、第1シール部111の上端部と第2シール部112の上端部とを結ぶように延在する区画シール部117を含んでいる。
【0024】
第1密閉空間104は、第1シール部111、第2シール部112、第3シール部113および区画シール部117によって取り囲まれることで規定されており、第2密閉空間105は、第4シール部114、第1傾斜シール部115、第2傾斜シール部116および区画シール部117によって取り囲まれることで規定されている。
【0025】
すなわち、第1密閉空間104および第2密閉空間105は、区画シール部117によって相互に区画されている。
【0026】
正面から見た場合に、第1密閉空間104を規定する部分の包装袋100は、略矩形状の外形を有している。また、正面から見た場合に、第2密閉空間105を規定する部分の包装袋100は、下底としての区画シール部117の、パウチ1Aの幅方向における長さが、上底としての第4シール部114の、上記幅方向における長さよりも大きく構成された略台形状の外形を有している。
【0027】
なお、第3シール部113は、第1密閉空間104に内容物が充填された後に形成される部分である。すなわち、パウチ1Aにあっては、第3シール部113が形成される前の状態において、当該第3シール部113に対応する部分の前壁部101および後壁部102によって規定される開口部から第1密閉空間104に内容物が注入され、これによって内容物が第1密閉空間104に充填された後に第3シール部113が形成されることにより、当該内容物が密封されることになる。
【0028】
ここで、第1傾斜シール部115の所定位置には、切り欠き部115aが設けられている。切り欠き部115aは、第2密閉空間105を規定する部分の前壁部101および後壁部102を切り離すための切り離し誘導部を構成するものである。
【0029】
また、切り欠き部115aは、第1傾斜シール部115のうちの、パウチ1Aの高さ方向(すなわち、
図1中および
図2中の上下方向)における後述する注出部202の先端部とフランジ部203(
図3等参照)との間に対応する位置に設けられている。そのため、第2密閉空間105を規定する部分の前壁部101および後壁部102は、切り欠き部115aを用いることにより、注出部202の先端部とフランジ部203との間に対応する位置において切り離されることになる。
【0030】
前壁部101および後壁部102は、たとえば樹脂製のフィルム部材にて構成される。当該樹脂製のフィルム部材は、好ましくは、包装体としての基本性能(耐衝撃性、耐摩耗性、耐熱性等)を発揮するベースフィルム層と、接合を可能にするためのシーラント層との積層体にて構成される。また、当該樹脂製のフィルム部材は、場合によっては、これらベースフィルム層およびシーラント層に加え、高いガスバリア性や遮光性等の付加性能を発揮するバリア層をこれらベースフィルム層とシーラント層との間に備えた積層体にて構成されてもよい。
【0031】
ベースフィルム層の材質としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート等に代表されるポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン66等に代表されるポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルフォン等が挙げられる。
【0032】
シーラント層の材質としては、たとえば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、未延伸ポリプロピレン、二軸延伸ナイロン、エチレン-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0033】
バリア層の材質としては、アルミニウム等に代表される金属、塩化ビニリデン、エチレン-ビニルアルコール共重合体に代表される樹脂、酸化アルミニウム、シリカ等が挙げられる。
【0034】
なお、前壁部101および後壁部102を構成するフィルム部材としては、一定方向に真っ直ぐ引き裂くことが可能に構成された、いわゆる方向性フィルムを用いることが好ましい。これにより、第2密閉空間105を規定する部分の前壁部101および後壁部102を直線状に切り離し易くできることになる。
【0035】
また、上述した前壁部101および後壁部102の接合方法としては、ヒートシール、超音波シール、高周波シール等による融着、もしくは接着剤による接着等が挙げられる。
【0036】
図1ないし
図4に示すように、スパウト200は、取付部201、略円筒状の注出部202、フランジ部203、括れ部204およびキャップ部205を含んでいる。後述するように、スパウト200は、注出部202に設けられた封止部材を、キャップ部205を回転させることで折り取り可能に構成された、いわゆる折り取りスパウトである。
【0037】
取付部201は、スパウト200の軸方向の一端に設けられており、区画シール部117の所定位置に取付けられた部位である。より詳細には、取付部201は、区画シール部117を規定する部分の前壁部101および後壁部102によって挟み込まれた状態でこれらに接合されることにより、区画シール部117に取付けられている。
【0038】
注出部202は、スパウト200の軸方向の他端に設けられており、パウチ1Aの第1密閉空間104に収容された内容物を注出するための部位である。内容物を注出する際には、注出部202に取付けられたキャップ部205を取り外すことで注出部202が開栓された後に、当該注出部202に外部コネクタが接続されることになる。
【0039】
フランジ部203は、注出部202の取付部201側の端部に設けられており、キャップ部205が注出部202に取付けられた状態において当該キャップ部205と共に注出部202を覆うものである。
【0040】
括れ部204は、取付部201およびフランジ部203の双方に隣接してこれらの間に設けられている。スパウト200の軸方向に沿って見た場合の括れ部204の外形は、当該方向に沿って見た場合の取付部201およびフランジ部203のいずれの外形よりも小さく構成されている。括れ部204は、パウチ1Aの製造の際にこれを製造装置によって把持するための部位である。
【0041】
取付部201、注出部202、フランジ部203および括れ部204は、スパウト200の本体部分を構成している。この本体部分の内側には、当該本体部分を軸方向において貫通する中空部が設けられており、当該中空部が、内容物を注出するための流路を規定している。
【0042】
また、上述したように取付部201が区画シール部117に取付けられていることにより、第1密閉空間104と第2密閉空間105とは、内部に上記流路が設けられたスパウト200によって連通されている。
【0043】
キャップ部205は、注出部202に取付けられた状態でこれを覆うとともに、注出部202の開口部を閉塞する封止部材を折り取ることで注出部202を開栓するためのものである。
【0044】
より詳細には、注出部202には、これに対応する部分の上記流路を閉塞するように封止部材が設けられており、キャップ部205は、当該キャップ部205を回転させることによって封止部材を折り取ることで注出部202を開栓可能に構成されている。
【0045】
注出部202、フランジ部203、括れ部204およびキャップ部205は、第2密閉空間105に収容されており、後述するように、第2密閉空間105を規定する部分の前壁部101および後壁部102の一部を切り離すことによって外部に露出されることになる。
【0046】
ここで、
図3(D)に示すように、本実施の形態に係るパウチ1Aにおいては、フランジ部203が、前壁部101および後壁部102が重ね合わされた方向である重ね合わせ方向と平行な方向(すなわち、
図3(D)中の上下方向)において取付部201の注出部202側の軸方向端部よりも外側に張り出した張り出し部203aを、前壁部101側および後壁部102側の双方に有している。
【0047】
このように構成することにより、開封後における取り回しが容易であるばかりでなく、製造時における歩留まりの向上ならびに出荷後の移送時や使用時等における破損の防止までもが図られたパウチ1Aとすることができるが、この点については後において詳述することとする。
【0048】
また、パウチ1Aにおいては、スパウト200の中心軸に対応する部分の取付部201の上記重ね合わせ方向に沿った外形寸法と、スパウト200の中心軸に対応する部分のフランジ部203の上記重ね合わせ方向に沿った外形寸法とが、寸法L1で同一である(
図3(D)参照)。
【0049】
これにより、張り出し部203aは、スパウト200の軸方向と上記重ね合わせ方向との双方に直交する方向(すなわち、
図3(D)中の左右方向)においてスパウト200の中心軸に対応する部分のフランジ部203を挟むように配置されている。
【0050】
さらに、パウチ1Aにおいては、スパウト200の中心軸に対応する部分の取付部201の上記重ね合わせ方向に沿った外形寸法L1と、スパウト200の中心軸に対応する部分のフランジ部203の上記重ね合わせ方向に沿った外形寸法L1とが、当該方向に沿ったスパウト200の最大外形寸法を規定している。
【0051】
<B.パウチの使用方法>
図5および
図6は、
図1に示すパウチの使用方法を説明するための斜視図である。次に、これら
図5、
図6および前述の
図1を参照して、パウチ1Aの使用方法について説明する。
【0052】
図1および
図5に示すように、パウチ1Aを使用するに際しては、まず、使用者は、第1傾斜シール部115に設けられた切り離し誘導部としての切り欠き部115aを起点にして、第2密閉空間105の上側部分を規定する部分の前壁部101および後壁部102を切り離す。これにより、パウチ1Aが開封され、第2密閉空間105に収容されていた部分のスパウト200が、外部に露出することになる。
【0053】
上述したように、切り欠き部115aは、第1傾斜シール部115のうちの、パウチ1Aの高さ方向における注出部202の先端部とフランジ部203との間に対応する位置に設けられており、前壁部101および後壁部102の切り離しは、当該切り欠き部115aとこれに対応する高さに位置する部分の第2傾斜シール部116とを結ぶ切り離し仮想線L(
図1参照)に沿って行なわれる。
【0054】
そのため、第2密閉空間105を規定していた部分の前壁部101および後壁部102のうちの切り離されなかった部分の上端からは、注出部202の先端部およびこれに対応する部分のキャップ部205のみが突出することになる。
【0055】
なお、本実施の形態に係るパウチ1Aにおいては、上述したように、第1傾斜シール部115が、第1シール部111側から第4シール部114側に向かうにつれてパウチ1Aの幅方向の内側に向けて傾斜しており、第2傾斜シール部116が、第2シール部112側から第4シール部114側に向かうにつれて上記幅方向の内側に向けて傾斜している。これにより、上述の如く前壁部101および後壁部102を切り離す距離(すなわち、切り離し仮想線Lの距離)が短小化されるため、パウチ1Aの開封を容易化することができる。
【0056】
次に、
図6に示すように、使用者は、キャップ部205を回転させてこれを注出部202から取り外す。これにより、注出部202に設けられた封止部材が折り取られることで注出部202が開栓される。
【0057】
次に、使用者は、注出部202に外部コネクタを接続する。これにより、第1密閉空間104に収容されている内容物が、注出部202を介して外部に注出可能になる。
【0058】
ここで、キャップ部205の取り外しを行なうに際して、使用者は、キャップ部205を把持する必要がある。同様に、注出部202への外部コネクタの接続を行なうに際して、使用者は、注出部202を把持する必要がある。
【0059】
この点、本実施の形態に係るパウチ1Aにあっては、注出部202のうちの先端部以外の部分およびこれに対応する部分のキャップ部205が、上記切り離されなかった部分の前壁部101および後壁部102によって覆われている。
【0060】
そのため、使用者は、キャップ部205あるいは注出部202を直接把持することなく、上記切り離されなかった部分の前壁部101および後壁部102を介してこれらを把持できることになる。これにより、キャップ部205の取り外し時や注出部202への外部コネクタの接続時に注出部202から意図せず内容物が注出された場合においても、パウチ1Aを把持する使用者の手に内容物がこぼれ落ちることが効果的に防止できるため、衛生的なパウチとすることができる。
【0061】
<C.小括>
本実施の形態に係るパウチ1Aにおいては、上述したように、括れ部204が、取付部201およびフランジ部203の双方に隣接してこれらの間に設けられているだけでなく、フランジ部203が、前壁部101および後壁部102が重ね合わされた方向である重ね合わせ方向と平行な方向において取付部201の注出部202側の軸方向端部よりも外側に張り出した張り出し部203aを、前壁部101側および後壁部102側の双方に有している。このように構成することにより、開封後における取り回しが容易であるばかりでなく、製造時における歩留まりの向上ならびに出荷後の移送時や使用時等における破損の防止までもが図られたパウチ1Aとすることができる。以下、この点について詳説する。
【0062】
一般に、内容物のみならずこれを注出するためのスパウトまでもが内部に収容されてなるパウチにおいては、スパウトの形状如何によっては、製造時において歩留まりが低下したり、出荷後の移送時や使用時等において破損が生じたりすることが懸念される。
【0063】
より詳細には、前壁部および後壁部が重ね合わされた重ね合わせ方向と平行な方向において取付部の注出部側の軸方向端部の外形よりも外側に張り出した張り出し部を含むフランジ部が、上記軸方向端部から十分に離間していない位置に配置されている場合には、上記軸方向端部とフランジ部とに宛がわれる部分の前壁部および後壁部が、上記重ね合わせ方向と平行な方向における外側に向けて急激に広がった形状を有することになる。このように構成した場合には、製造時や出荷後の移送時、使用時等において、急激に広がった形状を有する部分の前壁部および後壁部に、極端な折れ曲がりや皺等が発生してしまう問題が生じ得る。そのため、この問題に対して何らかの手当てを行なうこともまた求められる。
【0064】
この点、本実施の形態に係るパウチ1Aにおいては、上述したように、フランジ部203が、前壁部101および後壁部102が重ね合わされた方向である重ね合わせ方向と平行な方向において取付部201の注出部202側の軸方向端部よりも外側に張り出した張り出し部203aを、前壁部101側および後壁部102側の双方に有している。また、パウチ1Aにおいては、括れ部204が、取付部201およびフランジ部203の双方に隣接してこれらの間に設けられている。
【0065】
このように構成した場合には、張り出し部203aを含むフランジ部203が、取付部201の上記軸方向端部から十分に離間した位置に配置されることになる。そのため、上記軸方向端部とフランジ部203とに宛がわれる部分の前壁部101および後壁部102に極端な折れ曲がりや皺等が発生することを効果的に防止しつつ、上記重ね合わせ方向と平行な方向において、前壁部101および後壁部102を取付部201側から注出部202側に向かうにつれて漏斗状に緩やかに広がった形状にすることが可能になる。
【0066】
したがって、このように構成することにより、開封後における取り回しが容易であるばかりでなく、製造時における歩留まりの向上ならびに出荷後の移送時や使用時等における破損の防止までもが図られたパウチとすることができる。
【0067】
また、上述の如く構成されたパウチ1Aとした場合には、開封後の状態において、第2密閉空間105を規定していた部分の前壁部101および後壁部102のうちの切り離されなかった部分が、漏斗状に広がった形状となる。これにより、当該漏斗状に広がった形状の部分が、注出部202から意図せず注出あるいは漏出された内容物の受け皿として機能することになるため、パウチ1Aを把持する使用者の手に内容物がこぼれ落ちることが効果的に防止された衛生的なパウチとすることができる。
【0068】
<D.比較例に係るパウチとの対比>
以下、比較例に係るパウチとの対比を行なうことにより、上述した本実施の形態に係るパウチ1Aとすることによる効果について説明する。
図7(A)ないし
図7(D)は、それぞれ比較例に係るパウチのスパウトの開栓前の状態の正面図、側面図、平面図および底面図である。
図8は、実施の形態および比較例に係るパウチのスパウト近傍をパウチの幅方向に沿って見た場合の模式断面図であり、
図8(A)は、
図3(D)中のVIIIA-VIIIA線に対応した位置でのスパウト200、前壁部101および後壁部102の断面を表わした図、
図8(B)は、
図7(D)中のVIIIB-VIIIB線に対応した位置でのスパウト200X、前壁部101および後壁部102の断面を表わした図である。
図9は、実施の形態および比較例に係るパウチのスパウト近傍をパウチの高さ方向に沿って見た場合の模式断面図であり、
図9(A)は、
図3(A)中のVIIIIA-VIIIIA線に対応した位置での前壁部101および後壁部102の断面図にスパウト200の底面図を組み合わせた図、
図9(B)は、
図7(A)中のVIIIIB-VIIIIB線に対応した位置での前壁部101および後壁部102の断面図にスパウト200Xの底面図を組み合わせた図である。
【0069】
図7に示すように、比較例に係るパウチ1Xのスパウト200Xは、取付部201および括れ部204の双方に隣接してこれらの間に設けられた補助フランジ部207をさらに含んでいる。スパウト200Xの軸方向に沿って見た場合の補助フランジ部207の外形は、同方向に沿って見た場合のフランジ部203Xの外形と同様のトラック形状を有している。
【0070】
スパウト200Xの中心軸に対応する部分の補助フランジ部207の、前壁部101および後壁部102が重ね合わされた方向である重ね合わせ方向に沿った外形寸法L2は、当該方向に沿った補助フランジ部207の最大外形寸法を規定しており、スパウト200Xの中心軸に対応する部分の取付部201の上記重ね合わせ方向に沿った外形寸法L3は、当該方向に沿った取付部201の最大外形寸法を規定している(
図7(D)参照)。また、スパウト200Xの中心軸に対応する部分の補助フランジ部207の上記重ね合わせ方向に沿った外形寸法L2は、スパウト200Xの中心軸に対応する部分の取付部201の上記重ね合わせ方向に沿った外形寸法L3よりも大きく構成されている。
【0071】
さらに、補助フランジ部207は、上記重ね合わせ方向と平行な方向(すなわち、
図7(D)中の上下方向)において取付部201の注出部202側の軸方向端部よりも外側に張り出した補助張り出し部207aを、前壁部101側および後壁部102側の双方に有している。
【0072】
すなわち、比較例に係るスパウト200Xにあっては、上記重ね合わせ方向と平行な方向において取付部201の注出部202側の軸方向端部の外形よりも外側に張り出した補助張り出し部207aを含む補助フランジ部207が、上記軸方向端部に隣接する位置に配置されている。
【0073】
そのため、比較例に係るパウチ1Xにあっては、
図8(B)および
図9(B)に示すように、取付部201の上記軸方向端部と補助フランジ部207とに宛がわれる部分の前壁部101および後壁部102が、上記重ね合わせ方向と平行な方向における外側に向けて急激に広がった形状を有することになる。
【0074】
これに比べ、本実施の形態に係るパウチ1Aのように構成した場合には、上述したように、括れ部204が、取付部201と、張り出し部203aを含むフランジ部203との双方に隣接してこれらの間に設けられているため、フランジ部203が、取付部201の上記軸方向端部から十分に離間した位置に配置されている。
【0075】
これにより、
図8(A)および
図9(A)に示すように、取付部201の上記軸方向端部とフランジ部203とに宛がわれる部分の前壁部101および後壁部102に極端な折れ曲がりや皺等が発生することを効果的に防止しつつ、上記重ね合わせ方向と平行な方向において、前壁部101および後壁部102を取付部201側から注出部202側に向かうにつれて漏斗状に緩やかに広がった形状にすることが可能になる。
【0076】
このように、比較例に係るパウチ1Xと比較することにより、上述した本実施の形態に係るパウチ1Aとした場合に、開封後における取り回しが容易であるばかりでなく、製造時における歩留まりの向上ならびに出荷後の移送時や使用時等における破損の防止までもが図られたパウチとすることができることが理解できる。
【0077】
また、上述したように、比較例に係るパウチ1Xにあっては、取付部201の上記軸方向端部と補助フランジ部207とに宛がわれる部分の前壁部101および後壁部102が、上記重ね合わせ方向と平行な方向における外側に向けて急激に広がった形状とされるところ、本実施の形態に係るパウチ1Aにあっては、前壁部101および後壁部102が、上記重ね合わせ方向と平行な方向において、取付部201側から注出部202側に向かうにつれて漏斗状に緩やかに広がった形状を有している。
【0078】
そのため、
図8に示すように、本実施の形態に係るパウチ1Aのように構成した場合には、比較例に係るパウチ1Xのように構成した場合に比べ、開封時に切り離される部分(すなわち、切り離し仮想線L(
図1参照)に対応する部分)の前壁部101と後壁部102との間の、上記重ね合わせ方向と平行な方向における距離Tが比較的短小化される。したがって、本実施の形態に係るパウチ1Aのように構成した場合には、切り離すべき部分のパウチ全体としての厚みを総じて薄くすることが可能になるため、開封の容易化が図られたパウチとすることができる。
【0079】
ここで、パウチの移送時や落下時等には、スパウトの各部位のうちの上記重ね合わせ方向における外側に位置する部分、および、当該部分に宛がわれる部分の前壁部および後壁部に、特に大きな外力が印加され易い。また、フィルム部材からなる前壁部および後壁部は、基本的には柔軟に変形可能に構成されているところ、取付部に接合される部分およびその近傍に宛がわれる部分の前壁部および後壁部は、これらが柔軟に変形し難いことに起因して、外力が印加されることで特に破損が生じ易くなる。そのため、上記重ね合わせ方向と平行な方向における取付部の最大外形寸法を規定する部分およびその近傍に宛がわれる部分の前壁部と後壁部とに折れ曲がりや皺等が生じた場合には、特にパウチの破損が生じ易くなる。
【0080】
この点、比較例に係るパウチ1Xにおいては、上述したように、スパウト200Xの中心軸に対応する部分の補助フランジ部207の、前壁部101および後壁部102が重ね合わされた方向である重ね合わせ方向に沿った外形寸法L2は、当該方向に沿った補助フランジ部207の最大外形寸法を規定しており、スパウト200Xの中心軸に対応する部分の取付部201の上記重ね合わせ方向に沿った外形寸法L3は、当該方向に沿った取付部201の最大外形寸法を規定している(
図7(D)参照)。また、スパウト200Xの中心軸に対応する部分の補助フランジ部207の上記重ね合わせ方向に沿った外形寸法L2は、スパウト200Xの中心軸に対応する部分の取付部201の上記重ね合わせ方向に沿った外形寸法L3よりも大きく構成されている。
【0081】
そのため、上記重ね合わせ方向における取付部201の最大外形寸法を規定する部分と、同方向における補助フランジ部207の最大外形寸法を規定する部分とに宛がわれる部分の前壁部101と後壁部102とには、折れ曲がりや皺等が生じ易くなり、結果として当該部分においてパウチ1Xの破損が生じ易くなる。
【0082】
一方で、本実施の形態に係るパウチ1Aにおいては、上述したように、スパウト200の中心軸に対応する部分の取付部201の上記重ね合わせ方向に沿った外形寸法と、スパウト200の中心軸に対応する部分のフランジ部203の上記重ね合わせ方向に沿った外形寸法とが、寸法L1で同一であるだけでなく、これらの外形寸法L1が、上記重ね合わせ方向に沿ったスパウト200の最大外形寸法を規定している(
図3(D)参照)。
【0083】
このように構成した場合には、上記重ね合わせ方向と平行な方向における取付部201の最大外形寸法を規定する部分と、同方向におけるフランジ部203の最大外形寸法を規定する部分とを結ぶ部分の前壁部101および後壁部102に、折れ曲がりや皺等が生じることが未然に防止される。したがって、これによっても、製造時における歩留まりの向上ならびに使用時等における破損の防止を図ることが可能になる。
【0084】
なお、本実施の形態においては、切り離し誘導部が切り欠き部115aによって構成される場合を例示して説明を行なったが、切り離し誘導部は、必ずしもこれが切り欠き部115aによって構成されるものには限定されない。
【0085】
たとえば、切り離し誘導部は、切り離し仮想線Lに沿って前壁部101および後壁部102のうちの少なくとも一方に設けられた印刷線によって構成されてもよい。
【0086】
また、切り離し誘導部は、切り離し仮想線Lに沿って前壁部101および後壁部102のうちの少なくとも一方に形成された凹条部によって構成されてもよい。この場合、凹条部は、その周囲に比して脆弱になるため、凹条部に沿って前壁部101および後壁部102の切り離しが容易になる。
【0087】
さらに、本実施の形態においては、パウチ1Aが平パウチである場合について説明したが、パウチ1Aは、必ずしもこれが平パウチである必要はなく、底襠用シートを有するスタンディングパウチであってもよい。
【0088】
また、本実施の形態においては、スパウトとして、注出部に設けられた封止部材を折り取り可能に構成されたキャップ部を有する、いわゆる折り取りスパウトが用いられる場合を例示して説明を行なったが、スパウトは、これが折り取りスパウトに限定されるものではなく、上述の如くのキャップ部に代えて、注出部の開閉を繰り返し行なうことが可能なキャップを有するスパウト等であってもよい。
【0089】
さらに、本実施の形態においては、第3シール部113が形成される前の状態においてこれに対応する部分の前壁部101および後壁部102によって規定される開口部から第1密閉空間104に内容物が注入される場合を例示して説明を行なったが、第1密閉空間104への内容物の注入方法は、特にこれに限定されるものではない。たとえば、第1シール部111、第2シール部112および第3シール部113のみが形成された状態において、区画シール部117に対応する部分の前壁部101および後壁部102によって規定される開口部から第1密閉空間104に内容物が注入され、これによって内容物が第1密閉空間104に充填された後に、区画シール部117、第4シール部114、第1傾斜シール部115および第2傾斜シール部116が形成されてもよい。
【0090】
また、本実施の形態においては、張り出し部203aが、フランジ部203の前壁部101側および後壁部102側の双方に設けられる場合を例示して説明を行なったが、張り出し部203aは、必ずしもこれがフランジ部203の前壁部101側および後壁部102側の双方に設けられる必要はなく、前壁部101側および後壁部102側のうちの少なくとも一方に設けられていればよい。
【0091】
<E.第1変形例に係るパウチ>
図10は、第1変形例に係るパウチの正面図である。以下、この
図10を参照して、上述した実施の形態に基づいた第1変形例に係るパウチ1A1について説明する。
【0092】
図10に示すように、第1変形例に係るパウチ1A1は、上述した実施の形態に係るパウチ1Aと比較した場合に、第2密閉空間105A1を規定するシール部の構成が相違している。
【0093】
より詳細には、第1変形例に係るパウチ1A1においては、第4シール部114A1のパウチ1A1の幅方向における長さが、第3シール部113の上記幅方向における長さと同一である。また、包装袋100A1は、第1傾斜シール部115に代えて、第1シール部111の上端部から、第4シール部114A1の幅方向の一対の端部のうちの第1シール部111側に位置する端部に向けて延在する第6シール部118を含んでいる。さらに、包装袋100A1は、第2傾斜シール部116に代えて、第2シール部112の上端部から、第4シール部114A1の幅方向の一対の端部のうちの第2シール部112側に位置する端部に向けて延在する第7シール部119を含んでいる。
【0094】
これら第6シール部118および第7シール部119は、パウチ1A1の高さ方向と平行な方向に沿って延在している。なお、パウチ1A1にあっては、切り離し誘導部としての切り欠き部118aが、第6シール部118のうちの、パウチ1A1の高さ方向における注出部202の先端部とフランジ部203との間に対応する位置に設けられている。
【0095】
このように構成されたパウチ1A1にあっては、第2密閉空間105A1は、第4シール部114A1、第6シール部118、第7シール部119および区画シール部117によって取り囲まれることで規定されている。そのため、正面から見た場合に、第2密閉空間105A1を規定する部分の包装袋100A1は、略矩形状の外形を有している。
【0096】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態において説明した効果に準じた効果が得られることになり、開封後における取り回しが容易であるばかりでなく、製造時における歩留まりの向上ならびに出荷後の移送時や使用時等における破損の防止までもが図られたパウチとすることができる。
【0097】
<F.第2変形例に係るパウチ>
図11(A)ないし
図11(D)は、それぞれ第2変形例に係るパウチのスパウトの開栓前の状態の正面図、側面図、平面図および底面図であり、
図11(E)は、
図11(D)中に示すXIE-XIE線に沿った模式断面図である。以下、この
図11を参照して、上述した実施の形態に基づいた第2変形例に係るパウチについて説明する。
【0098】
図11に示すように、第2変形例に係るパウチは、上述した実施の形態に係るパウチ1Aと比較した場合に、スパウト200A2の取付部201A2の構成が相違している。
【0099】
より詳細には、第2変形例に係るパウチにおいては、取付部201A2の上端部の側面のうち、前壁部101および後壁部102の重ね合わせ方向(すなわち、
図11(B)中の左右方向および
図11(D)中の上下方向)と直交する面以外の面から、外側に向けて突出した突条部206が設けられている。そのため、第2変形例に係るパウチにおいては、突条部206の上端部が、取付部201A2の注出部202側の軸方向端部を規定している。
【0100】
図11(D)に示すように、スパウト200の軸方向に沿って見た場合の突条部206の外形は、当該方向に沿って見た場合のフランジ部203の外形よりも小さく構成されている。また、
図11(E)に示すように、突条部206は、その突出方向に位置する先端面が、スパウト200A2の軸中心から遠ざかるにつれて括れ部204に近づくように傾斜している。
【0101】
このように構成された第2変形例に係るパウチにあっては、前壁部101および後壁部102が、突条部206の傾斜した先端面に沿って緩やかに外側に向けて広がることになる。そのため、突条部206に宛がわれる部分の前壁部101および後壁部102に極端な折れ曲がりや皺等が生じることを未然に防止できる。
【0102】
したがって、このように構成した場合にも、上述した実施の形態において説明した効果に準じた効果が得られることになり、開封後における取り回しが容易であるばかりでなく、製造時における歩留まりの向上ならびに出荷後の移送時や使用時等における破損の防止までもが図られたパウチとすることができる。
【0103】
さらに、このように構成した場合には、突条部206の傾斜した先端面が、前壁部101および後壁部102が取付部201A2側からフランジ部203側に向かうにつれて漏斗状に広がった形状となるように誘導する。これにより、開封後の状態において、切り離されなかった部分の前壁部101および後壁部102をより確実に漏斗状に広がった形状とすることができるため、使用者の手に内容物がかかることが効果的に防止された衛生的なパウチとすることができる。
【0104】
<G.付記>
上述した実施の形態およびその変形例において開示したパウチの特徴的な構成を要約すると、以下のとおりとなる。
【0105】
[付記1]
前壁部および後壁部を有し、内部に密閉空間が設けられた包装袋と、
上記前壁部および上記後壁部が接合されることで形成され、上記密閉空間を第1密閉空間および第2密閉空間に区画する区画シール部と、
上記区画シール部に取付けられ、上記第1密閉空間および上記第2密閉空間を連通させるためのスパウトとを備え、
上記スパウトは、
上記区画シール部を規定する部分の上記前壁部および上記後壁部によって挟み込まれた状態でこれらに接合されることで上記区画シール部に取付けられた取付部と、
上記スパウトの軸方向の一端に設けられた注出部と、
上記注出部の上記取付部側の端部に設けられたフランジ部と、
上記取付部および上記フランジ部の双方に隣接してこれらの間に設けられた括れ部と、
上記注出部に取付けられることで当該注出部を覆うキャップ部とを含み、
上記第1密閉空間には、内容物が収容され、
上記第2密閉空間には、上記注出部、上記フランジ部、上記括れ部および上記キャップ部が収容され、
上記フランジ部が、上記前壁部および上記後壁部が重ね合わされた方向である重ね合わせ方向と平行な方向において上記取付部の上記注出部側の軸方向端部よりも外側に張り出した張り出し部を、上記前壁部側および上記後壁部側のうちの少なくとも一方に有している、パウチ。
【0106】
[付記2]
上記スパウトの中心軸に対応する部分の上記取付部の上記重ね合わせ方向に沿った外形寸法と、上記スパウトの中心軸に対応する部分の上記フランジ部の上記重ね合わせ方向に沿った外形寸法とが同一であることにより、上記張り出し部が、上記軸方向と上記重ね合わせ方向との双方に直交する方向において上記スパウトの中心軸に対応する部分の上記フランジ部を挟むように配置され、
上記スパウトの中心軸に対応する部分の上記取付部の上記重ね合わせ方向に沿った外形寸法と、上記スパウトの中心軸に対応する部分の上記フランジ部の上記重ね合わせ方向に沿った外形寸法とが、上記スパウトの上記重ね合わせ方向に沿った最大外形寸法を規定している、付記1に記載のパウチ。
【0107】
[付記3]
上記包装袋には、上記第2密閉空間を規定する部分の上記前壁部および上記後壁部を、上記注出部の先端部と上記フランジ部との間に対応する位置において切り離すための切り離し誘導部をさらに備えた、付記1または2に記載のパウチ。
【0108】
<H.その他の形態等>
ここで、上述した実施の形態およびそれらの変形例においては、内容物として流動食が収容されたパウチに本発明を適用する場合を例示して説明を行なったが、パウチに収容される内容物は、これが流動食に限定されるものではなく、トイレタリー製品等であってもよい。
【0109】
また、上述した実施の形態およびその変形例に係るパウチは、樹脂成型品からなる容器に比較して、樹脂の使用量を大幅に削減できるものである。さらに、上述した実施の形態およびその変形例に係るパウチは、樹脂成型品からなる容器に比較して、使用後において密閉空間から気体を抜くことにより、これを折り畳めるものであるため、減容化した上で廃棄することができるものである。
【0110】
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例において示した各部の形状や構成、大きさ、数、材質等は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々変更が可能である。
【0111】
さらに、上述した本発明の実施の形態およびその変形例において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当然に相互に組み合わせることができる。
【0112】
このように、今回開示した上記実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0113】
1A,1A1,1X パウチ、100,100A1 包装袋、101 前壁部、102 後壁部、103 密閉空間、104 第1密閉空間、105,105A1,110a2 第2密閉空間、111 第1シール部、112 第2シール部、113 第3シール部、114,114A1 第4シール部、115 第1傾斜シール部、115a 切り欠き部、116 第2傾斜シール部、117 区画シール部、118 第6シール部、118a 切り欠き部、119 第7シール部、200,200A2,200X スパウト、201,201A2 取付部、202 注出部、203 フランジ部、203a 張り出し部、204 括れ部、205 キャップ部、206 突条部、207 補助フランジ部、207a 補助張り出し部、L 切り離し仮想線。