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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086272
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20240620BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240620BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20240620BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20240620BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
G03B17/02
H04N23/57
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201316
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】近藤 勇樹
【テーマコード(参考)】
2H100
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H100BB06
2H100BB11
2K005AA20
2K005BA52
2K005CA04
2K005CA34
2K005CA53
5C122DA09
5C122EA41
5C122GE06
5C122GE11
5C122GE17
5C122GE19
(57)【要約】
【課題】カメラモジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体と、カメラモジュールから引き出されて固定体に固定される配線基板とを備える振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、配線基板の、複数枚のフレキシブルプリント基板によって構成される部分が2箇所以上で曲がっていても、組立時に可動体と固定体との間で配線基板に撓みが発生するのを抑制することが可能な振れ補正機能付き光学ユニットを提供する。
【解決手段】この振れ補正機能付き光学ユニットでは、配線基板10は、カメラモジュールに取り付けられるモジュール取付部10aとホルダ16に固定されるホルダ固定部10bを繋ぐ第1帯状部10dと、固定体に固定される固定体固定部10cとホルダ固定部10bを繋ぐ第2帯状部10eを備えている。第1帯状部10dを構成する複数枚のフレキシブルプリント基板の端部は、ホルダ固定部10bで纏まっている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールを有する可動体と、前記可動体を回動可能に保持する固定体と、前記カメラモジュールの光軸が任意の方向に傾くように前記固定体に対して前記可動体を回動させるための駆動機構と、前記カメラモジュールから引き出される配線基板とを備え、
前記可動体は、前記カメラモジュールが固定されるホルダを備え、
前記配線基板は、前記カメラモジュールに取り付けられるモジュール取付部と、前記ホルダに固定されるホルダ固定部と、前記固定体に固定される固定体固定部と、前記モジュール取付部と前記ホルダ固定部とを繋ぐ帯状の第1帯状部と、前記ホルダ固定部と前記固定体固定部とを繋ぐ帯状の第2帯状部とを備え、
前記第1帯状部は、互いに重なる複数枚のフレキシブルプリント基板によって構成されるとともに、少なくとも2箇所で曲がっており、
前記第2帯状部は、互いに重なる複数枚のフレキシブルプリント基板によって構成され、
前記ホルダ固定部の剛性は、前記第1帯状部および前記第2帯状部の剛性よりも高くなっており、
前記第1帯状部を構成する複数枚のフレキシブルプリント基板の端部および前記第2帯状部を構成する複数枚のフレキシブルプリント基板の端部は、前記ホルダ固定部で纏まっていることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記ホルダ固定部は、リジッド基板を備えることを特徴とする請求項1記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記ホルダには、前記ホルダ固定部が固定される基板固定部が形成され、
前記ホルダ固定部の厚さ方向は、前記カメラモジュールの光軸の方向である光軸方向と一致しており、
前記光軸方向に直交する所定の方向を第1方向とすると、
前記第1帯状部は、前記ホルダ固定部の前記第1方向の一方側の端面に繋がり、
前記第2帯状部は、前記ホルダ固定部の前記第1方向の他方側の端面に繋がり、
前記基板固定部には、前記光軸方向における前記ホルダ固定部の一方側の面が接触する第1接触面と、前記ホルダ固定部の前記第1方向の一方側の端面または前記ホルダ固定部の前記第1方向の他方側の端面が接触する第2接触面とが形成されていることを特徴とする請求項2記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記第2接触面には、前記ホルダ固定部の前記第1方向の他方側の端面が接触し、
前記ホルダ固定部には、前記第1方向の一方側に向かって突出する凸部が形成され、
前記基板固定部には、前記凸部の先端部が接触する第3接触面が形成されていることを特徴とする請求項3記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記基板固定部は、前記第2接触面が形成される第1壁部と、前記第3接触面が形成される第2壁部とを備え、
前記光軸方向における前記第2壁部の高さは、前記光軸方向における前記第1壁部の高さよりも低くなっていることを特徴とする請求項4記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器等に搭載される振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯機器等に搭載される振れ補正機能付きの光学ユニットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の光学ユニットは、カメラモジュール(光学モジュール)を有する可動体と、ジンバル機構を介して可動体を回動可能に保持する固定体とを備えている。特許文献1に記載の光学ユニットでは、ピッチング方向における振れ補正およびヨーイング方向における振れ補正が可能になっている。また、特許文献1に記載の光学ユニットは、カメラモジュールから引き出される配線基板を備えている。配線基板は、カメラモジュールの底部から引き出される引き出し部と、引き出し部に繋がる傾斜部と、傾斜部に繋がる平面部と、平面部に繋がる第1基板と、第1基板に繋がる延伸部と、延伸部に繋がる第2基板とを備えている。
【0003】
特許文献1に記載の光学ユニットでは、引き出し部、傾斜部、平面部および延伸部は、互いに重なる3枚のフレキシブルプリント基板によって構成されている。第1基板および第2基板は、リジッド基板によって構成されている。第1基板は、固定体に固定されている。引き出し部と傾斜部との境界部分は、第1曲げ部となっている。傾斜部と平面部との境界部分は、第2曲げ部となっている。平面部は、引き出し部に対して可動体の回動中心が位置する側に配置されている。また、平面部は、カメラモジュールの光軸に交差する仮想平面内に配置されている。仮想平面と光軸との交点は、可動体の回動中心と一致している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-18721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の光学ユニットでは、光学ユニットの組立時に、可動体に繋がる引き出し部の一端と固定体に固定される第1基板との間で配線基板が撓むと(すなわち、可動体と固定体との間において配線基板の厚さ方向で配線基板が撓むと)、配線基板の撓みの影響によって、振れ補正が行われていないにもかかわらず固定体に対してカメラモジュールの光軸が傾く初期チルトが発生するおそれがある。固定体に対するカメラモジュールの光軸の傾きが基準値を超えると、光学ユニットの組立時に配線基板の引き回しを調整してカメラモジュールの光軸の傾きを調整する必要が生じるため、光学ユニットの組立時に可動体と固定体との間で配線基板に撓みが発生しないことが好ましい。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の光学ユニットでは、引き出し部、傾斜部および平面部が3枚のフレキシブルプリント基板によって構成されているとともに、引き出し部と傾斜部との境界部分が第1曲げ部となっており、かつ、傾斜部と平面部との境界部分が第2曲げ部となっている。そのため、この光学ユニットでは、第1曲げ部および第2曲げ部における3枚のフレキシブルプリント基板の曲率半径に差異が生じて、光学ユニットの組立時に可動体と固定体との間で配線基板に撓みが生じやすくなるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、カメラモジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体と、カメラモジュールから引き出されるとともに固定体に固定される配線基板とを備える振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、配線基板の、複数枚のフレキシブルプリント基板によって構成されている部分が少なくとも2箇所で曲がっていても、振れ補正機能付き光学ユニットの組立時に可動体と固定体との間で配線基板に撓みが発生するのを抑制することが可能な振れ補正機能付き光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体と、カメラモジュールの光軸が任意の方向に傾くように固定体に対して可動体を回動させるための駆動機構と、カメラモジュールから引き出される配線基板とを備え、可動体は、カメラモジュールが固定されるホルダを備え、配線基板は、カメラモジュールに取り付けられるモジュール取付部と、ホルダに固定されるホルダ固定部と、固定体に固定される固定体固定部と、モジュール取付部とホルダ固定部とを繋ぐ帯状の第1帯状部と、ホルダ固定部と固定体固定部とを繋ぐ帯状の第2帯状部とを備え、第1帯状部は、互いに重なる複数枚のフレキシブルプリント基板によって構成されるとともに、少なくとも2箇所で曲がっており、第2帯状部は、互いに重なる複数枚のフレキシブルプリント基板によって構成され、ホルダ固定部の剛性は、第1帯状部および第2帯状部の剛性よりも高くなっており、第1帯状部を構成する複数枚のフレキシブルプリント基板の端部および第2帯状部を構成する複数枚のフレキシブルプリント基板の端部は、ホルダ固定部で纏まっていることを特徴とする。
【0009】
本発明の振れ補正機能付き光学ユニットでは、カメラモジュールから引き出される配線基板は、可動体のホルダに固定されるホルダ固定部と、固定体に固定される固定体固定部と、モジュール取付部とホルダ固定部とを繋ぐ帯状の第1帯状部と、ホルダ固定部と固定体固定部とを繋ぐ帯状の第2帯状部とを備えている。また、本発明では、第1帯状部を構成する複数枚のフレキシブルプリント基板の端部は、ホルダに固定されるホルダ固定部で纏まっており、ホルダ固定部を介してホルダに固定されている。
【0010】
そのため、本発明では、振れ補正機能付き光学ユニットの組立時に、互いに重なる複数枚のフレキシブルプリント基板によって構成されるとともに少なくとも2箇所で曲がる第1帯状部に撓みが生じても、第1帯状部で生じる撓みの影響で第2帯状部が撓むのを防止することが可能になる。すなわち、本発明では、振れ補正機能付き光学ユニットの組立時に、第1帯状部に撓みが生じても、可動体に固定されるホルダ固定部と固定体に固定される固定体固定部とを繋ぐ第2帯状部が、第1帯状部で生じる撓みの影響で撓むのを防止することが可能になる。
【0011】
したがって、本発明では、複数枚のフレキシブルプリント基板によって構成される第1帯状部が少なくとも2箇所で曲がっていても(すなわち、配線基板の、複数枚のフレキシブルプリント基板によって構成されている部分が少なくとも2箇所で曲がっていても)、振れ補正機能付き光学ユニットの組立時に可動体と固定体との間で配線基板に撓みが発生するのを抑制することが可能になる。また、本発明では、ホルダ固定部の剛性が第1帯状部および第2帯状部の剛性よりも高くなっているため、ホルダ固定部をホルダに固定しやすくなる。
【0012】
本発明において、ホルダ固定部は、リジッド基板を備えることが好ましい。このように構成すると、ホルダ固定部の剛性が第1帯状部および第2帯状部の剛性よりも高くなっていても、第1帯状部と第2帯状部とホルダ固定部とをリジッドフレキシブル基板として一体で製造することが可能になる。したがって、配線基板を容易に製造することが可能になる。
【0013】
本発明において、ホルダには、ホルダ固定部が固定される基板固定部が形成され、ホルダ固定部の厚さ方向は、カメラモジュールの光軸の方向である光軸方向と一致しており、光軸方向に直交する所定の方向を第1方向とすると、第1帯状部は、ホルダ固定部の第1方向の一方側の端面に繋がり、第2帯状部は、ホルダ固定部の第1方向の他方側の端面に繋がり、基板固定部には、光軸方向におけるホルダ固定部の一方側の面が接触する第1接触面と、ホルダ固定部の第1方向の一方側の端面またはホルダ固定部の第1方向の他方側の端面が接触する第2接触面とが形成されていることが好ましい。このように構成すると、第1接触面と第2接触面とを用いて光軸方向および第1方向において基板固定部に対してホルダ固定部を位置決めすることが可能になる。したがって、基板固定部へのホルダ固定部の固定作業を容易に行うことが可能になる。
【0014】
本発明において、第2接触面には、ホルダ固定部の第1方向の他方側の端面が接触し、ホルダ固定部には、第1方向の一方側に向かって突出する凸部が形成され、基板固定部には、凸部の先端部が接触する第3接触面が形成されていることが好ましい。このように構成すると、基板固定部へのホルダ固定部の固定作業を行うときに、たとえば、凸部の先端部を潰しながら、第2接触面と第3接触面との間にホルダ固定部を圧入することが可能になる。したがって、基板固定部へのホルダ固定部の固定作業をより容易に行うことが可能になる。また、このように構成すると、第2帯状部が繋がるホルダ固定部の第1方向の他方側の端面が第2接触面に接触しているため、振れ補正を行うときに撓む第2帯状部を精度良く引き回すことが可能になる。
【0015】
本発明において、基板固定部は、第2接触面が形成される第1壁部と、第3接触面が形成される第2壁部とを備え、光軸方向における第2壁部の高さは、光軸方向における第1壁部の高さよりも低くなっていることが好ましい。このように構成すると、基板固定部へのホルダ固定部の固定作業を行うときに、ホルダ固定部を目視で確認しやすくなる。したがって、基板固定部へのホルダ固定部の固定作業の作業性を高めることが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明では、カメラモジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体と、カメラモジュールから引き出されるとともに固定体に固定される配線基板とを備える振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、配線基板の、複数枚のフレキシブルプリント基板によって構成されている部分が少なくとも2箇所で曲がっていても、振れ補正機能付き光学ユニットの組立時に可動体と固定体との間で配線基板に撓みが発生するのを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態にかかる振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
図2図1に示す振れ補正機能付き光学ユニットの平面図である。
図3図1に示す振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
図4図1に示す振れ補正機能付き光学ユニットからカバー部材を取り外した状態を反被写体側から示す斜視図である。
図5図4に示す配線基板の一部分の側面図である。
図6図4のE部の構成を説明するための底面図である。
図7図4に示す基板固定部の構成を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
(振れ補正機能付き光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる振れ補正機能付き光学ユニット1の斜視図である。図2は、図1に示す振れ補正機能付き光学ユニット1の平面図である。図3は、図1に示す振れ補正機能付き光学ユニット1の分解斜視図である。図4は、図1に示す振れ補正機能付き光学ユニット1からカバー部材18を取り外した状態を反被写体側から示す斜視図である。
【0020】
以下の説明では、図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、左右方向の一方側である図1等のX1方向側を「右」側とし、その反対側である図1等のX2方向側を「左」側とし、前後方向の一方側である図1等のY1方向側を「前」側とし、その反対側である図1等のY2方向側を「後ろ」側とし、上下方向の一方側である図1等のZ1方向側を「上」側とし、その反対側である図1等のZ2方向側を「下」側とする。
【0021】
本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1(以下、「光学ユニット1」とする。)は、たとえば、スマートフォン等の携帯機器に搭載される小型かつ薄型のユニットであり、撮影用のレンズおよび撮像素子を有するカメラモジュール2を備えている。光学ユニット1は、撮影時に振れが発生した場合の撮像画像の乱れを回避するための振れ補正機能を備えている。具体的には、光学ユニット1は、ピッチング方向およびヨーイング方向の振れ補正機能を備えている。
【0022】
光学ユニット1は、全体として厚さの薄い扁平な直方体状に形成されている。本形態の光学ユニット1は、カメラモジュール2の光軸Lの方向である光軸方向から見たときの形状が長方形状となるように形成されている。光学ユニット1の4つの側面は、左右方向と上下方向とから構成されるZX平面または前後方向と上下方向とから構成されるYZ平面と平行になっている。
【0023】
光学ユニット1は、カメラモジュール2を有する可動体3と、可動体3を回動可能に保持する中間部材4と、中間部材4を回動可能に保持する固定体5とを備えている。可動体3は、カメラモジュール2の光軸Lに交差する第1交差方向(図2のV方向)を回動の軸方向として中間部材4に対して回動可能となっている。すなわち、可動体3は、第1交差方向を軸線方向とする第1軸線L1(図2参照)を回動中心にして中間部材4に対して回動可能となっている。本形態の第1交差方向は、光軸Lに直交している。
【0024】
中間部材4は、第1交差方向に交差するとともにカメラモジュール2の光軸Lに交差する第2交差方向(図2のW方向)を回動の軸方向として固定体5に対して回動可能となっている。すなわち、中間部材4は、第2交差方向を軸線方向とする第2軸線L2(図2参照)を回動中心にして固定体5に対して回動可能となっている。本形態では、第2交差方向は、第1交差方向に直交している。このように、可動体3と固定体5との間には、2軸のジンバル機構が構成されている。
【0025】
本形態では、後述の駆動用コイル25および駆動用コイル27に電流が供給されていないときに、可動体3および中間部材4が所定の基準位置に配置されており、カメラモジュール2の光軸Lが所定の基準位置に配置されている。可動体3および中間部材4が基準位置に配置されていてカメラモジュール2の光軸Lが基準位置にあるときには、カメラモジュール2の光軸方向は、上下方向と一致している。なお、ピッチング方向およびヨーイング方向の振れ補正が行われるときの、上下方向に対するカメラモジュール2の光軸Lの傾きはわずかである。そのため、カメラモジュール2の光軸方向は、上下方向とほぼ一致している。
【0026】
また、可動体3が所定の基準位置に配置されているときには、第2交差方向(W方向)は、光軸Lに直交している。すなわち、可動体3が所定の基準位置に配置されていて中間部材4に対して回動していないときには、第2交差方向は、光軸Lに直交している。一方、可動体3が中間部材4に対して回動しているときには、第2交差方向は、光軸Lに交差してはいるが、直角には交わっていない。第2交差方向(W方向)は、上側から見たときに、前後方向に対して図2の時計回りの方向に約45°ずれた方向となっている。
【0027】
光学ユニット1は、カメラモジュール2の光軸Lが任意の方向に傾くように固定体5に対して可動体3を回動させるための駆動機構8、9を備えている(図3参照)。また、光学ユニット1は、カメラモジュール2から引き出される配線基板10と、駆動機構8の一部を構成する後述の駆動用コイル25および駆動機構9の一部を構成する後述の駆動用コイル27が実装される配線基板11とを備えている。第1交差方向における中間部材4の両端部には、中間部材4に対する可動体3の回動の支点となる第1支点部12が配置されている。第2交差方向における中間部材4の両端部には、固定体5に対する中間部材4の回動の支点となる第2支点部13が配置されている。
【0028】
可動体3は、全体として光軸方向の厚さが薄い扁平な略直方体状に形成されている。可動体3は、カメラモジュール2が固定されるホルダ16を備えている。ホルダ16は、樹脂材料で形成されている。ホルダ16は、正方形の枠状に形成されており、カメラモジュール2の光軸方向から見たときのホルダ16の外形は、正方形状となっている。また、可動体3および中間部材4が基準位置に配置されているときには、外形が正方形状をなすホルダ16の外周面を構成する4辺のうちの2辺は、前後方向と平行になっており、残りの2辺は、左右方向と平行になっている。ホルダ16の左辺部には、配線基板10の一部を構成する後述のホルダ固定部10bが固定される基板固定部16aが形成されている。ホルダ16のより具体的な構成については後述する。
【0029】
カメラモジュール2は、ホルダ16によってカメラモジュール2の外周側が覆われるように、ホルダ16の内周面に固定されている。上述のように、カメラモジュール2は、レンズおよび撮像素子を備えている。撮像素子は、カメラモジュール2の下端側に配置されており、カメラモジュール2の上側に配置される被写体がカメラモジュール2によって撮影される。
【0030】
上述のように、ピッチング方向およびヨーイング方向の振れ補正が行われるときの、上下方向に対するカメラモジュール2の光軸Lの傾きはわずかであり、カメラモジュール2の光軸方向は、上下方向とほぼ一致している。そのため、カメラモジュール2の光軸方向の一方側(具体的には、カメラモジュール2の光軸方向において被写体が配置される側)を被写体側とし、被写体側の反対側(具体的には、カメラモジュール2の光軸方向において撮像素子が配置される側)を反被写体側とすると、被写体側は、上側とほぼ一致し、反被写体側は、下側とほぼ一致している。
【0031】
中間部材4は、ステンレス鋼等の金属材料によって形成されている。また、中間部材4は、バネ性を有する金属板を所定形状に折り曲げることで形成された板バネである。中間部材4は、ホルダ16よりも上側に配置される基部4aと、基部4aから第1交差方向の両側に向かって伸びる2本の腕部4bと、基部4aから第2交差方向の両側に向かって伸びる2本の腕部4cとによって構成されている。基部4aは、略正方形の枠状に形成されている。基部4aの内周側には、カメラモジュール2の上端部が配置されている。
【0032】
腕部4b、4cの先端側は、下側に向かって折れ曲がっている。腕部4bは、ホルダ16の内周側に配置されている。腕部4cは、ホルダ16の外周側に配置されている。また、腕部4cは、固定体5の一部を構成する後述のケース体17の中間部材保持部17aの内周側に配置されている。腕部4bの先端部には、第1支点部12の一部を構成する球体21の一部が配置される半球状の凹部が形成されている。腕部4cの先端部には、第2支点部13の一部を構成する球体23の一部が配置される半球状の凹部が形成されている。
【0033】
固定体5は、可動体3を回動可能に保持している。具体的には、固定体5は、中間部材4を介して可動体3を回動可能に保持している。固定体5は、中間部材4を回動可能に保持する四角筒状の中間部材保持部17aを有するケース体17と、ケース体17の下面側に固定されるカバー部材18と、ケース体17の上面側に固定されるカバー部材19とを備えている。ケース体17は、樹脂材料で形成されている。ケース体17は、上述の中間部材保持部17aと、配線基板10の一部が収容される配線基板収容部17bとから構成されている。
【0034】
中間部材保持部17aは、上下方向の両端が開口する扁平な四角筒状に形成されている。中間部材保持部17aは、光軸Lを中心とする径方向において可動体3および中間部材4の外側に配置されている。すなわち、可動体3および中間部材4は、中間部材保持部17aの内周側に配置されている。中間部材保持部17aの外形は、正方形状となっている。具体的には、上下方向から見たときの中間部材保持部17aの外形は、正方形状となっている。外形が正方形状をなす中間部材保持部17aの外周面を構成する4辺のうちの2辺は、前後方向と平行になっており、中間部材保持部17aの残りの2辺は、左右方向と平行になっている。中間部材保持部17aの左辺部には、配線基板10を引き出すための切欠き17cが形成されている。
【0035】
配線基板収容部17bは、中間部材保持部17aの左側面に繋がっている。配線基板収容部17bの前端部には、配線基板10の一部を構成する後述の固定体固定部10cが固定される基板固定部17dが形成されている。基板固定部17dの下面は、固定体固定部10cが接触する固定面17eとなっている(図4参照)。固定面17eは、上下方向に直交する平面である。また、固定面17eは、左右方向に細長い長方形の平面である。
【0036】
カバー部材18は、ケース体17の下側(すなわち、中間部材保持部17aの下面の開口および配線基板収容部17bの下側)を塞いでいる。カバー部材18は、光学ユニット1の底面を構成している。配線基板10の一部は、配線基板収容部17bとカバー部材18とによって画定される空間の中に収容されている。カバー部材19は、中間部材保持部17aを上側から覆っている。カバー部材19には、中間部材4等が配置される貫通穴が形成されている。
【0037】
第1支点部12は、ホルダ16に固定される支持部材20と、支持部材20に固定される球体21とを備えている。球体21の一部は、腕部4bの先端部に形成される凹部の中に配置されている。球体21は、腕部4bのバネ性によって、第1交差方向における外側から腕部4bの凹部の底面に所定の接触圧で接触している。第2支点部13は、ケース体17に固定される支持部材22と、支持部材22に固定される球体23とを備えている。球体23の一部は、腕部4cの先端部に形成される凹部の中に配置されている。球体23は、腕部4cのバネ性によって、第2交差方向における外側から腕部4cの凹部の底面に所定の接触圧で接触している。中間部材4が基準位置に配置されているときには、第1支点部12と第2支点部13とは、上下方向において同じ位置に配置されている。
【0038】
駆動機構8は、左右方向で対向配置される駆動用磁石24および駆動用コイル25を備えている。駆動機構9は、前後方向で対向配置される駆動用磁石26および駆動用コイル27を備えている。駆動機構8は、カメラモジュール2の光軸Lに直交するとともに前後方向に平行な軸線を回動中心にして固定体5に対して可動体3を回動させる。駆動機構9は、カメラモジュール2の光軸Lに直交するとともに左右方向に平行な軸線を回動中心にして固定体5に対して可動体3を回動させる。
【0039】
駆動用磁石24、26は、長方形の平板状に形成されている。駆動用コイル25、27は、たとえば、導線が空芯状に巻回されることで形成された空芯コイルである。駆動用磁石24は、ホルダ16の右側面に固定されている。駆動用コイル25は、中間部材保持部17aの右辺部に形成される貫通穴の中に配置されている。駆動用磁石26は、ホルダ16の前側面に固定されている。駆動用コイル27は、中間部材保持部17aの前辺部に形成される貫通穴の中に配置されている。また、駆動用コイル25、27は、配線基板11に取り付けられている。配線基板11は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板とフレキシブルプリント基板とが一体化されたリジッドフレキシブル基板である。配線基板11は、ケース体17に固定されている。配線基板11は、配線基板10に電気的に接続されている。
【0040】
光学ユニット1では、可動体3の傾きの変化を検知するための所定の検知機構によって可動体3の傾きの変化が検知されると、この検知機構の検知結果に基づいて、駆動用コイル25および駆動用コイル27の少なくともいずれか一方に電流が供給されて、振れが補正される。駆動機構8、9は、第1軸線L1および第2軸線L2の少なくともいずれか一方を回動中心にして固定体5に対して可動体3を回動させる。
【0041】
(配線基板の構成)
図5は、図4に示す配線基板10の一部分の側面図である。図6は、図4のE部の構成を説明するための底面図である。図7は、図4に示す基板固定部16aの構成を説明するための斜視図である。
【0042】
配線基板10は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板とフレキシブルプリント基板とが一体化されたリジッドフレキシブル基板である。配線基板10は、カメラモジュール2に取り付けられるモジュール取付部10aと、ホルダ16に固定されるホルダ固定部10bと、固定体5に固定される固定体固定部10cと、モジュール取付部10aとホルダ固定部10bとを繋ぐ帯状の第1帯状部10dと、ホルダ固定部10bと固定体固定部10cとを繋ぐ帯状の第2帯状部10eとを備えている。また、配線基板10は、固定体5の外周側に引き出される引出部10fと、光学ユニット1が搭載される携帯機器に接続される接続部10gと、配線基板11が接続される基板接続部10hとを備えている。
【0043】
第1帯状部10dおよび第2帯状部10eは、フレキシブルプリント基板30によって構成されている。具体的には、第1帯状部10dおよび第2帯状部10eは、互いに重なる複数枚のフレキシブルプリント基板30によって構成されている。本形態では、第1帯状部10dおよび第2帯状部10eは、2枚のフレキシブルプリント基板30によって構成されている(図5参照)。2枚のフレキシブルプリント基板30は、フレキシブルプリント基板30の厚さ方向において互いに所定の隙間をあけた状態で重なっている。
【0044】
引出部10fおよび基板接続部10hは、フレキシブルプリント基板によって構成されている。具体的には、引出部10fは、互いに重なる複数枚のフレキシブルプリント基板によって構成されている。本形態では、引出部10fは、2枚のフレキシブルプリント基板によって構成されており、2枚のフレキシブルプリント基板は、フレキシブルプリント基板の厚さ方向において互いに所定の隙間をあけた状態で重なっている。一方、基板接続部10hは、1枚のフレキシブルプリント基板によって構成されている。
【0045】
モジュール取付部10a、ホルダ固定部10b、固定体固定部10cおよび接続部10gは、フレキシブルプリント基板とリジッド基板とによって構成されている。すなわち、モジュール取付部10a、ホルダ固定部10b、固定体固定部10cおよび接続部10gは、フレキシブルプリント基板とリジッド基板とを備えている。モジュール取付部10a、ホルダ固定部10b、固定体固定部10cおよび接続部10gでは、フレキシブルプリント基板とリジッド基板とが積層されている。モジュール取付部10a、ホルダ固定部10b、固定体固定部10cおよび接続部10gの剛性は、第1帯状部10d、第2帯状部10e、引出部10fおよび基板接続部10hの剛性よりも高くなっている。
【0046】
モジュール取付部10aは、正方形の平板状に形成されている。モジュール取付部10aは、カメラモジュール2に固定されている。具体的には、モジュール取付部10aは、カメラモジュール2の反被写体側の端面(すなわち、カメラモジュール2の下端面)に固定されている。モジュール取付部10aは、モジュール取付部10aの厚さ方向とカメラモジュール2の光軸方向とが一致するように配置されている。モジュール取付部10aの被写体側の面(上面)には、撮像素子が実装されている。
【0047】
固定体固定部10cは、長方形の平板状に形成されている。固定体固定部10cは、配線基板収容部17bの固定面17eに固定されている。固定体固定部10cは、固定体固定部10cの厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。また、固定体固定部10cは、固定体固定部10cの長辺の方向と左右方向とが一致するように配置されている。
【0048】
引出部10fは、固定体固定部10cの前端面の右側部分に繋がっている。引出部10fは、固定体固定部10cの前端面から斜め前右側に向かって伸びた後、右側に向かって伸びている。接続部10gは、引出部10fの右端に繋がっている。接続部10gは、光学ユニット1が搭載される携帯機器の内部に設けられたコネクタに接続される。基板接続部10hは、固定体固定部10cの前端面の左側部分に繋がっている。基板接続部10hは、固定体固定部10cの前端面から上側に向かって伸びた後、後ろ側に向かって伸びている。基板接続部10hの、後ろ側に向かって伸びる部分は、配線基板収容部17bの上面に固定されており、この部分に配線基板11が接続されている。
【0049】
ホルダ固定部10bは、略長方形の平板状に形成されている。ホルダ固定部10bは、ホルダ16の基板固定部16aに固定されている。ホルダ固定部10bは、ホルダ固定部10bの厚さ方向とカメラモジュール2の光軸方向とが一致するように配置されている。すなわち、ホルダ固定部10bの厚さ方向は、カメラモジュール2の光軸方向と一致している。また、ホルダ固定部10bは、ホルダ固定部10bの長辺の方向と前後方向とが略一致するように配置されている。ホルダ固定部10bは、モジュール取付部10aよりも左側かつ上側に配置されている。また、ホルダ固定部10bは、固定体固定部10cよりも後ろ側に配置されている。ホルダ固定部10bと固定体固定部10cとは上下方向においてほぼ同じ位置に配置されている。
【0050】
カメラモジュール2の光軸方向に直交する所定の方向を第1方向とすると、ホルダ固定部10bには、第1方向の一方側に向かって突出する凸部10jが形成されている。凸部10jは、半円形状に形成されている。可動体3および中間部材4が基準位置に配置されている状態では、第1方向は、左右方向と一致しており、凸部10jは、右側に向かって突出している。上述のように、ピッチング方向およびヨーイング方向の振れ補正が行われるときの、上下方向に対するカメラモジュール2の光軸Lの傾きはわずかである。そのため、第1方向は、左右方向とほぼ一致している。また、第1方向の一方側は、右側とほぼ一致し、第1方向の他方側は、左側とほぼ一致している。すなわち、凸部10jは、略右側に向かって突出している。また、凸部10jは、ホルダ固定部10bの前後方向の2箇所に形成されている。
【0051】
第1帯状部10dは、可動体3および固定体5に固定されていない。第1帯状部10dは、第1帯状部10dの幅方向と前後方向とが一致するように配置されている。帯状に形成される第1帯状部10dの一端部は、モジュール取付部10aの左端面に繋がっている。第1帯状部10dの他端部は、ホルダ固定部10bの右端面に繋がっている。第1帯状部10dを構成する2枚のフレキシブルプリント基板30の一端部は、モジュール取付部10aで纏まっており、互いにずれないようになっている。第1帯状部10dを構成する2枚のフレキシブルプリント基板30の他端部は、ホルダ固定部10bで纏まっており、互いにずれないようになっている。
【0052】
図5に示すように、第1帯状部10dは、モジュール取付部10aの左端面から左側に向かって引き出されてから、斜め右上側に向かって引き回されるとともに、その後、上側に向かって引き回されてから、左側に向かってわずかに引き回されてホルダ固定部10bの右端面に繋がっている。すなわち、第1帯状部10dは、3箇所で曲がっている。
【0053】
第2帯状部10eは、可動体3および固定体5に固定されていない。第2帯状部10eは、上下方向においてホルダ固定部10bおよび固定体固定部10cとほぼ同じ位置に配置されており、第2帯状部10eの厚さ方向と上下方向とが略一致するように配置されている。また、第2帯状部10eは、上下方向において第1支点部12および第2支点部13とほぼ同じ位置に配置されている。帯状に形成される第2帯状部10eの一端部は、ホルダ固定部10bの左端面に繋がっている。第2帯状部10eの他端部は、固定体固定部10cの後端面に繋がっている。
【0054】
第2帯状部10eを構成する2枚のフレキシブルプリント基板30の一端部は、ホルダ固定部10bで纏まっており、互いにずれないようになっている。第2帯状部10eを構成する2枚のフレキシブルプリント基板30の他端部は、固定体固定部10cで纏まっており、互いにずれないようになっている。第2帯状部10eは、複数の直線部と複数の湾曲部とによって構成されており、上下方向から見たときに、ホルダ固定部10bと固定体固定部10cの間で蛇行している。光学ユニット1で振れ補正が行われるとき(すなわち、固定体5に対して可動体3が回動するとき)には、第2帯状部10eが撓む。
【0055】
(ホルダの構成)
図7は、図4に示す基板固定部16aの構成を説明するための斜視図である。
【0056】
上述のように、ホルダ16には、ホルダ固定部10bが固定される基板固定部16aが形成されている。基板固定部16aは、中間部材保持部17aの切欠き17cの中に配置されている。基板固定部16aには、ホルダ固定部10bの上面(被写体側の面)が接触する接触面16bが形成されている。接触面16bは、光軸方向に直交する平面である。本形態の接触面16bは第1接触面である。
【0057】
また、基板固定部16aは、ホルダ固定部10bの左端面が接触する接触面16cが形成される壁部16dと、ホルダ固定部10bの凸部10jの先端部(右端部)が接触する接触面16eが形成される壁部16fとを備えている。壁部16d、16fは、基板固定部16aの前後方向の2箇所に形成されている。2個の壁部16dの間、および、2個の壁部16fの間は、配線基板10が配置される切欠きとなっている。本形態の接触面16cは第2接触面であり、接触面16eは第3接触面であり、壁部16dは第1壁部であり、壁部16fは第2壁部である。
【0058】
カメラモジュール2の光軸方向における壁部16dの高さは、光軸方向における壁部16fの高さよりも低くなっている。具体的には、接触面16bを基準とする壁部16dの光軸方向の高さは、接触面16bを基準とする壁部16fの光軸方向の高さよりも低くなっている。接触面16c、16eは、第1方向に直交する平面である。すなわち、接触面16c、16eは、左右方向に略直交する平面である。
【0059】
接触面16cの下側は、下側に向かうにしたがって左側に向かうように傾斜する傾斜面16gとなっている。傾斜面16gの上端は、接触面16cの下端に繋がっている。接触面16eの下側は、下側に向かうにしたがって右側に向かうように傾斜する傾斜面16hとなっている。傾斜面16hの上端は、接触面16eの下端に繋がっている。ホルダ固定部10bは、たとえば、接着剤によって基板固定部16aに固定されている。基板固定部16aにホルダ固定部10bを固定するときには、下側から基板固定部16aにホルダ固定部10bを圧入する。そのため、ホルダ固定部10bの左端面は、接触面16cに所定の接触圧で接触し、凸部10jの先端部は、接触面16eに所定の接触圧で接触している。
【0060】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、第1帯状部10dを構成する2枚のフレキシブルプリント基板30の端部は、ホルダ16に固定されるホルダ固定部10bで纏まっており、ホルダ固定部10bを介してホルダ16に固定されている。そのため、本形態では、光学ユニット1の組立時に、互いに重なる2枚のフレキシブルプリント基板30によって構成されるとともに3箇所で曲がる第1帯状部10dに撓みが生じても、第1帯状部10dで生じる撓みの影響で第2帯状部10eが撓むのを防止することが可能になる。
【0061】
すなわち、本形態では、光学ユニット1の組立時に、第1帯状部10dに撓みが生じても、可動体3に固定されるホルダ固定部10bと固定体5に固定される固定体固定部10cとを繋ぐ第2帯状部10eが、第1帯状部10dで生じる撓みの影響で撓むのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、2枚のフレキシブルプリント基板30によって構成される第1帯状部10dが3箇所で曲がっていても、光学ユニット1の組立時に可動体3と固定体5との間で配線基板10に撓みが発生するのを抑制することが可能になる。
【0062】
本形態では、ホルダ固定部10bの剛性は、第1帯状部10dおよび第2帯状部10eの剛性よりも高くなっている。そのため、本形態では、ホルダ16の基板固定部16aにホルダ固定部10bを固定しやすくなる。また、本形態では、モジュール取付部10a、ホルダ固定部10b、固定体固定部10cおよび接続部10gが、積層されるフレキシブルプリント基板とリジッド基板とによって構成されているため、モジュール取付部10a、ホルダ固定部10b、固定体固定部10cおよび接続部10gの剛性が、第1帯状部10d、第2帯状部10e、引出部10fおよび基板接続部10hの剛性よりも高くなっていても、配線基板10をリジッドフレキシブル基板として一体で製造することが可能になる。したがって、本形態では、配線基板10を容易に製造することが可能になる。
【0063】
本形態では、基板固定部16aに、ホルダ固定部10bの上面(被写体側の面)が接触する接触面16bと、ホルダ固定部10bの左端面が接触する接触面16cとが形成されている。そのため、本形態では、接触面16b、16cを用いて光軸方向および第1方向において基板固定部16aに対してホルダ固定部10bを位置決めすることが可能になる。したがって、本形態では、基板固定部16aへのホルダ固定部10bの固定作業を容易に行うことが可能になる。
【0064】
特に本形態では、基板固定部16aに、ホルダ固定部10bの凸部10jの先端部が接触する接触面16eが形成されているため、基板固定部16aへのホルダ固定部10bの固定作業を行うときに、凸部10jの先端部を潰しながら、接触面16cと接触面16eとの間にホルダ固定部10bを圧入することが可能になる。したがって、本形態では、基板固定部16aへのホルダ固定部10bの固定作業をより容易に行うことが可能になる。また、本形態では、第2帯状部10eが繋がるホルダ固定部10bの左端面が接触面16cに接触しているため、光学ユニット1が振れ補正を行うときに撓む第2帯状部10eを精度良く引き回すことが可能になる。
【0065】
本形態では、カメラモジュール2の光軸方向における壁部16dの高さは、光軸方向における壁部16fの高さよりも低くなっている。そのため、本形態では、基板固定部16aへのホルダ固定部10bの固定作業を行うときに、ホルダ固定部10bを目視で確認しやすくなる。したがって、本形態では、基板固定部16aへのホルダ固定部10bの固定作業の作業性を高めることが可能になる。
【0066】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0067】
上述した形態において、ホルダ固定部10bは、リジッド基板を備えていなくても良い。この場合には、ホルダ固定部10bは、たとえば、ポリイミドやガラスエポキシ等の樹脂またはステンレス鋼板等の金属によって形成される平板状の補強板と2枚のフレキシブルプリント基板とによって構成されている。ホルダ固定部10bの一部を構成する2枚のフレキシブルプリント基板は、接着等によって補強板に固定され、補強板は、ホルダ16の基板固定部16aに固定されている。第1帯状部10dを構成する2枚のフレキシブルプリント基板30の端部は、ホルダ固定部10bの一部を構成する2枚のフレキシブルプリント基板に繋がっており、ホルダ固定部10bで纏まっている。第2帯状部10eを構成する2枚のフレキシブルプリント基板30の端部は、ホルダ固定部10bの一部を構成する2枚のフレキシブルプリント基板に繋がっており、ホルダ固定部10bで纏まっている。
【0068】
また、上述した形態において、モジュール取付部10a、固定体固定部10cおよび接続部10gは、リジッド基板を備えていなくても良い。この場合には、モジュール取付部10a、固定体固定部10cおよび接続部10gは、たとえば、ガラスエポキシ等の樹脂やステンレス鋼板等の金属によって形成される平板状の補強板とフレキシブルプリント基板とによって構成されている。
【0069】
上述した形態において、第1帯状部10dは、2箇所で曲がっていても良い。この場合には、たとえば、第1帯状部10dは、モジュール取付部10aの左端面から左側に向かって引き出されてから、上側に向かって引き回された後、左側に向かって引き回されてホルダ固定部10bの右端面に繋がっている。また、第1帯状部10dは、4箇所以上で曲がっていても良い。また、上述した形態において、第1帯状部10dは、3枚以上のフレキシブルプリント基板30によって構成されていても良い。同様に、第2帯状部10eは、3枚以上のフレキシブルプリント基板30によって構成されていても良い。
【0070】
上述した形態において、カメラモジュール2の光軸方向における壁部16dの高さと、光軸方向における壁部16fの高さとが等しくなっていても良いし、光軸方向における壁部16dの高さが光軸方向における壁部16fの高さより高くなっていても良い。また、上述した形態において、凸部10jは、左側に向かって突出するように形成されていても良い。この場合には、接触面16eは、ホルダ固定部10bの右端面が接触する第2接触面となり、接触面16cは、凸部10jの先端部(左端部)が接触する第3接触面となる。
【0071】
上述した形態において、ホルダ固定部10bに凸部10jが形成されていなくても良い。この場合には、ホルダ固定部10bの右端面と接触面16eとの間に隙間が形成されている。また、ホルダ固定部10bに凸部10jが形成されていない場合には、ホルダ固定部10bの右端面が接触面16eに接触していても良い。この場合には、ホルダ固定部10bの左端面と接触面16cとの間に隙間が形成されており、接触面16eが第2接触面となる。
【0072】
上述した形態において、光学ユニット1は、カメラモジュール2の光軸Lを回動中心にして中間部材4に対してカメラモジュール2を回動させる回動機構を備えていても良い。この場合には、回動機構は、配線基板11に実装される駆動用コイルと、この駆動用コイルに対向配置される駆動用磁石とを備えている。また、この場合には、中間部材4は、第1中間部材と第2中間部材とを備えている。可動体3は、カメラモジュール2の光軸Lを回動中心にして第1中間部材に対して回動可能になっており、第1中間部材は、第1軸線L1を回動中心にして第2中間部材に対して回動可能となっている。
【0073】
上述した形態において、固定体5は、カメラモジュール2の光軸Lが任意の方向に傾くように板バネを介して可動体3を回動可能に保持していても良い。この場合には、板バネは、たとえば、ホルダ16に固定される可動側の固定部と、ケース体17に固定される固定側の固定部と、可動側の固定部と固定側の固定部とを繋ぐ腕部とを備えている。また、この場合には、光学ユニット1は、中間部材4、第1支点部12および第2支点部13を備えていなくても良い。また、上述した形態において、光学ユニット1は、携帯機器以外の各種の機器に搭載されても良い。
【符号の説明】
【0074】
1 光学ユニット(振れ補正機能付き光学ユニット)
2 カメラモジュール
3 可動体
5 固定体
8、9 駆動機構
10 配線基板
10a モジュール取付部
10b ホルダ固定部
10c 固定体固定部
10d 第1帯状部
10e 第2帯状部
10j 凸部
16 ホルダ
16a 基板固定部
16b 接触面(第1接触面)
16c 接触面(第2接触面)
16d 壁部(第1壁部)
16e 接触面(第3接触面)
16f 壁部(第2壁部)
30 フレキシブルプリント基板
L 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7