(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086276
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】搬送機構
(51)【国際特許分類】
B31B 70/04 20170101AFI20240620BHJP
【FI】
B31B70/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201321
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100138254
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 容子
(72)【発明者】
【氏名】西松 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 円
【テーマコード(参考)】
3E075
【Fターム(参考)】
3E075AA05
3E075AA23
3E075BA41
3E075CA02
3E075DA04
3E075DA15
3E075DA41
3E075DB00
3E075DD00
3E075GA01
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、切断後の袋体に反りがあっても、正確な検査や処理を行うことができ、検査や処理のための機構と干渉することなく、円滑な搬送を行うことが可能な搬送機構を提供すること。
【解決手段】製袋装置100において切断後の袋体を搬送する搬送機構であって、袋体を搬送面に沿って搬送する搬送ベルト110と、搬送面の上方所定距離離れた位置に設けられるアッパーガイドとを有し、アッパーガイドは両端が固定されて搬送方向に延びる線条体121を含むこと。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ねた状態の長尺のフィルム材をシールした後に切断する製袋装置において切断後の袋体を搬送する搬送機構であって、
前記搬送機構は、前記袋体を搬送面に沿って搬送する搬送ベルトと、前記搬送面の上方所定距離離れた位置に設けられるアッパーガイドとを有し、
前記アッパーガイドは、両端が固定されて搬送方向に延びる線条体を含むことを特徴とする搬送機構。
【請求項2】
前記線条体は、ナイロン製であることを特徴とする請求項1に記載の搬送機構。
【請求項3】
前記アッパーガイドは、前記袋体の端部の上方に位置するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送機構。
【請求項4】
前記搬送機構は、少なくとも追加処理部あるいは検査部を前記袋体が通過するように配置され、
前記アッパーガイドは、前記搬送機構の最上流から少なくとも前記追加処理部あるいは検査部を超える位置まで配置されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重ねた状態の長尺のフィルム材をシールした後に切断する製袋装置において切断後の袋体を搬送する搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
パウチ等の製袋装置において、重ねた状態の長尺のフィルム材をシールした後に切断し、個別の袋体を製造するものは周知である。
また、切断後の袋体にコーナーカット等のさらなる追加処理を行ったり検査を行うものも公知であり、例えば、特許文献1には、切断後の袋体を搬送しながら切りカス等の異物の付着を検知するものが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、切断後の袋体に反りが発生した場合、搬送中に検査や追加加工を行う際に、正確な検査や処理が行えない可能性があった。
また、検査や処理のための機構と干渉して搬送自体に支障が生じて詰まりが発生し、製袋装置全体を停止しなければならない可能性もあった。
正確な検査や処理を行うため、検査や処理の位置の近傍で上方からガイドしたり、押し当てる機構を設けることも考えられるが、袋体の反りが大きい場合、搬送時にこれらの機構と干渉して搬送不良がおこる可能性があった。
【0005】
本発明は、前述のような課題を解決するものであり、簡単な構成で、切断後の袋体に反りがあっても、正確な検査や処理を行うことができ、検査や処理のための機構と干渉することなく、円滑な搬送を行うことが可能な搬送機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る搬送機構は、重ねた状態の長尺のフィルム材をシールした後に切断する製袋装置において切断後の袋体を搬送する搬送機構であって、前記搬送機構は、前記袋体を搬送面に沿って搬送する搬送ベルトと、前記搬送面の上方所定距離離れた位置に設けられるアッパーガイドとを有し、前記アッパーガイドは、両端が固定されて搬送方向に延びる線条体を含むことにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0007】
本請求項1に係る搬送機構によれば、アッパーガイドは、両端が固定されて搬送方向に延びる線条体を含むことにより、単純な構造で僅かな設置スペースでも搬送方向の長区間に連続的に配置可能であり、切断後の袋体に反りがあっても搬送面に沿って平らな形状を連続的に保つことで正確な検査や処理を行うことができ、検査や処理のための機構と干渉することなく、円滑な搬送を行うことが可能となる。
【0008】
本請求項2に記載の構成によれば、線条体がナイロン製であることにより、袋体(パウチP)の詰まり等により線条体121が動いてコーナーカット機構105のカット刃に当たったとしてもカット刃が欠けない。
本請求項3に記載の構成によれば、アッパーガイドは、前記袋体の端部の上方に位置するように配置されていることにより、搬送ベルトが吸引しにくい端部を上方からガイドすることで、ベルト幅を小さくしても円滑な搬送を行うことが可能となる。
本請求項4に記載の構成によれば、必要な部分にのみ配置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る搬送機構を有する製袋装置の概略側面図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る搬送機構の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る搬送機構は、重ねた状態の長尺のフィルム材をシールした後に切断する製袋装置100において切断後の袋体を搬送する搬送機構であって、前記搬送機構は、前記袋体を搬送面に沿って搬送する搬送ベルト110と、前記搬送面の上方所定距離離れた位置に設けられるアッパーガイド(後述の実施形態では板状ガイド124、線条体121)とを有し、前記アッパーガイドは、両端が固定されて搬送方向に延びる線条体121を含むものである。
【0011】
本発明の一実施形態に係る搬送機構を有する製袋装置100は、例えば
図1に示すように、原反ロール101からフィルム材が繰り出し機構102において繰り出されるとともに重ね合わされ、重ねた状態のフィルム材がシール機構103でシールされ、シャーカット機構104で個別の袋体(パウチP)に切断分離され、後処理や検査を経て集積機構(図示せず)で集積されるように構成されている。
【0012】
本発明の一実施形態に係る搬送機構は、シャーカット機構104の下流から集積機構の間で個別の袋体(パウチP)を水平状態で搬送するように配置されている。
図2に示すように、シャーカット機構104の下流には、搬送面に沿ってシャーカット機構104により切断された個別の袋体(パウチP)を水平状態で搬送する搬送ベルト110が配置されている。
本実施形態では、個別の袋体(パウチP)が幅方向で3列並行して搬送されるように3本の搬送ベルト110が設けられ、それぞれの個別の袋体(パウチP)の幅方向中心部のみを搬送ベルト110に設けられた吸引孔によって吸引することで下流に搬送するように構成されている。
【0013】
搬送ベルト110による搬送経路上方に、上流から追加処理部としてのコーナーカット機構105、検査部としての検査機構106が配置されており、コーナーカット機構105の下方にはカットくずを吸引排出する吸引ダクト125が配置されている。
検査機構106では、袋体(パウチP)のコーナー部が適切な形状にカットされているかを袋体(パウチP)上方からカメラで監視している。
搬送ベルト110の下流には、検査機構106によって不良と判断された袋体(パウチP)を下方に排除するパウチリジェクト機構107が設けられており、良品はさらに下流に搬送されるように構成されている。
袋体(パウチP)に反りがあった場合、袋体(パウチP)の曲がりの形状をカットした形状として誤検知して不良と判断されてパウチリジェクト機構107で良品が排除され、無駄が生じるおそれがある。
なお、検査部は、本実施形態のようにコーナーカットをカメラで監視するものに限定されず、パウチの形状、孔開け等の加工部を検査するものであってもよく、その他の加工、印刷、シールの状態を検査するものであってもよい。
【0014】
搬送面の上方のコーナーカット機構105近傍、および、検査機構106近傍には、アッパーガイドとして金属製の板状ガイド124が設けられるとともに、搬送ベルト110の最上流からパウチリジェクト機構107の直前まで、アッパーガイドとして搬送ベルト110の上方で袋体(パウチP)の幅方向両端部寄りに、それぞれ線条体121が配置されている。
なお、本実施形態においては、線条体121はコーナーカット部にはかからないように設定されている。
線条体121は、上流側と下流側の線条体支持部材122によって中間で支持されることなく張設されており、
図3(下段)に示すように、搬送ベルト110の中央に設けられた吸引孔111に吸引されていない袋体(パウチP)の幅方向両端部の上方への反り上がりを規制している。
このことで、切断後の袋体(パウチP)に反りがあっても、
図3(上段)のように袋体(パウチP)の幅方向両端部の上方への反り上がった状態で搬送されることなく、
図3(下段)に示すように、搬送面に沿って平らな形状を連続的に保つことが可能となる。
このことで、
【0015】
線条体121はナイロン製とすることで、袋体(パウチP)の詰まり等により線条体121が動いてコーナーカット機構105のカット刃に当たったとしてもカット刃が欠けない。
また、搬送中に袋体(パウチP)が線条体121に強く擦れた場合でも、線条体121はナイロン製とすることで袋体(パウチP)に疵がつくことを防止できる。
また、線条体121としてナイロンを使用する場合、直径が細すぎると切れやすくなるとともに、反り対策効果も小さく、太すぎると各部に干渉しやすくなることから、2φ程度のものが好適である。
また、線条体121は、ナイロン以外のもの(ポリエステル、樹脂系等)であってもよい。
なお、本実施形態の説明図である
図2では、線条体支持部材122と押えローラ123の位置が搬送方向で同じ位置となっているが、シャーカット機構104による切断直後に袋体(パウチP)の両端部が円滑に線条体121の下方に誘導されるように構成されていればその配置はいかなるものであってもよく、押えローラ123の支持体が線条体支持部材122を兼ねていてもよい。
【0016】
搬送経路上の処理機構としては、上記のコーナーカット機構105以外に、孔開け加工、ミシン目加工等いかなる処理機構を配置してもよい。
また、本実施形態では搬送ベルト110として吸引孔111を有する吸引ベルトを用いているが、袋体(パウチP)を確実に搬送できる構成であればいかなる形態のベルトであってもよい。
さらに、搬送ベルト110はいかなる幅のものであってもよく、袋体(パウチP)に対していかなる位置に配置されてもよく、1列の袋体(パウチP)に対して数本の搬送ベルト110が並列配置されてもよい。
【符号の説明】
【0017】
100 ・・・ 製袋装置
101 ・・・ 原反ロール
102 ・・・ 繰り出し機構
103 ・・・ シール機構
104 ・・・ シャーカット機構
105 ・・・ コーナーカット機構
106 ・・・ 検査機構
107 ・・・ パウチリジェクト機構
110 ・・・ 搬送ベルト
111 ・・・ 吸引孔
121 ・・・ 線条体
122 ・・・ 線条体支持部材
123 ・・・ 押えローラ
124 ・・・ 板状ガイド
125 ・・・ 吸引ダクト
P ・・・ パウチ