(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086284
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】アナログスイッチ回路
(51)【国際特許分類】
H03K 17/00 20060101AFI20240620BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H03K17/00 D
H03K17/687 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201335
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000143031
【氏名又は名称】コーデンシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】福田 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】佐野 とし恵
(72)【発明者】
【氏名】曽根 源
(72)【発明者】
【氏名】福井 啓之
(72)【発明者】
【氏名】平田 舞
(72)【発明者】
【氏名】川本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】岡田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】原田 一徹
(72)【発明者】
【氏名】岡本 紗衣
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX25
5J055AX55
5J055AX56
5J055AX66
5J055BX17
5J055DX13
5J055DX14
5J055DX22
5J055DX42
5J055DX73
5J055DX83
5J055EY01
5J055EY10
5J055EY21
5J055GX01
(57)【要約】
【課題】制御信号の値(電圧)が急激に変化した場合であっても、メイントランジスタのON状態とOFF状態の切替りに起因するノイズを十分に低減可能なアナログスイッチ回路を提供する。
【解決手段】アナログスイッチ回路は、スイッチ本体回路と、制御回路3と、を備える。制御回路3は、第1論理ゲート31と、第2論理ゲート32と、第1帰還回路3aと、第2帰還回路3bと、を備える。第1論理ゲート31及び第2論理ゲート32には、制御入力信号が入力される。第1帰還回路3aは、第1論理ゲート31の出力を分岐した信号を第2論理ゲート32に入力する。第2帰還回路3bは、第2論理ゲート32の出力を分岐した信号を第1論理ゲート31に入力する。制御入力信号のHi/Loが反転した際に、第1帰還回路3aと第2帰還回路3bに起因して、第1タイミング信号のHi/Loと第2タイミング信号は、Hi/Loの反転タイミングが異なる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1反転信号と第1非反転信号を含む第1タイミング信号と、第2反転信号と第2非反転信号を含む第2タイミング信号がタイミング信号として入力され、当該タイミング信号に基づいてON状態とOFF状態を切り替えるスイッチ本体回路と、
前記タイミング信号を出力する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
制御入力信号が入力される第1論理ゲートと、
前記制御入力信号が入力される第2論理ゲートと、
前記第1論理ゲートの出力を分岐した信号を前記第2論理ゲートに入力する第1帰還回路と、
前記第2論理ゲートの出力を分岐した信号を前記第1論理ゲートに入力する第2帰還回路と、
を備え、
前記第1論理ゲートの出力を分岐して反転した信号が前記第1反転信号であり、
前記第1論理ゲートの出力を分岐して非反転した信号が前記第1非反転信号であり、
前記第2論理ゲートの出力を分岐して反転した信号が前記第2反転信号であり、
前記第2論理ゲートの出力を分岐して非反転した信号が前記第2非反転信号であり、
前記制御入力信号のHi/Loが反転した際に、前記第1帰還回路と前記第2帰還回路に起因して、前記第1タイミング信号のHi/Loの反転タイミングと、前記第2タイミング信号のHi/Loの反転タイミングと、が異なることを特徴とするアナログスイッチ回路。
【請求項2】
請求項1に記載のアナログスイッチ回路であって、
前記制御回路は、
前記第1論理ゲートの出力を遅延させる第1遅延回路と、
前記第2論理ゲートの出力を遅延させる第2遅延回路と、
を備えることを特徴とするアナログスイッチ回路。
【請求項3】
請求項2に記載のアナログスイッチ回路であって、
前記第1遅延回路及び前記第2遅延回路は、それぞれ、偶数個のインバータを含むことを特徴とするアナログスイッチ回路。
【請求項4】
請求項2に記載のアナログスイッチ回路であって、
前記第1遅延回路及び前記第2遅延回路は、それぞれ、ローパスフィルタ回路を含むことを特徴とするアナログスイッチ回路。
【請求項5】
請求項1に記載のアナログスイッチ回路であって、
前記第1論理ゲートの出力を分岐して1つのインバータを介して反転した信号が前記第1反転信号であり、
前記第1論理ゲートの出力を分岐して前記インバータを介さない信号が前記第1非反転信号であり、
前記第2論理ゲートの出力を分岐して1つの前記インバータを介して反転した信号が前記第2反転信号であり、
前記第2論理ゲートの出力を分岐して前記インバータを介さない信号が前記第2非反転信号であることを特徴とするアナログスイッチ回路。
【請求項6】
請求項1に記載のアナログスイッチ回路であって、
前記第1論理ゲートの出力を分岐して奇数個のインバータを介して反転した信号が前記第1反転信号であり、
前記第1論理ゲートの出力を分岐して偶数個の前記インバータを介した信号が前記第1非反転信号であり、
前記第2論理ゲートの出力を分岐して奇数個の前記インバータを介して反転した信号が前記第2反転信号であり、
前記第2論理ゲートの出力を分岐して偶数個の前記インバータを介した信号が前記第2非反転信号であることを特徴とするアナログスイッチ回路。
【請求項7】
請求項1に記載のアナログスイッチ回路であって、
前記第1論理ゲートが第1NANDゲートであり、
前記第2論理ゲートが第2NANDゲートであり、
前記第1NANDゲートに入力される前記制御入力信号は非反転であり、
前記第2NANDゲートに入力される前記制御入力信号はインバータにより反転されることを特徴とするアナログスイッチ回路。
【請求項8】
請求項1に記載のアナログスイッチ回路であって、
前記第1論理ゲートが第1NORゲートであり、
前記第2論理ゲートが第2NORゲートであり、
前記第1NORゲートに入力される前記制御入力信号は非反転であり、
前記第2NORゲートに入力される前記制御入力信号はインバータにより反転されることを特徴とするアナログスイッチ回路。
【請求項9】
請求項1に記載のアナログスイッチ回路であって、
前記第1論理ゲートがANDゲートであり、
前記第2論理ゲートがORゲートであり、
前記ANDゲートに入力される前記制御入力信号は非反転であり、
前記ORゲートに入力される前記制御入力信号は非反転であることを特徴とするアナログスイッチ回路。
【請求項10】
請求項1に記載のアナログスイッチ回路であって、
前記スイッチ本体回路は、
当該スイッチ本体回路のON状態とOFF状態を切り替えるスイッチとして機能し、第1非反転信号が入力される第1メイントランジスタと、
当該スイッチ本体回路のON状態とOFF状態を切り替えるスイッチとして機能し、第1反転信号が入力される第2メイントランジスタと、
前記第1メイントランジスタの出力側に接続されており、前記第1メイントランジスタとバックゲート同士が接続されており、前記第1反転信号が入力される第1ダミートランジスタと、
前記第2メイントランジスタの出力側に接続されており、前記第2メイントランジスタとバックゲート同士が接続されており、前記第1非反転信号が入力される第2ダミートランジスタと、
を備えることを特徴とするアナログスイッチ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ本体回路と制御回路を備えるアナログスイッチ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタを並列に配置して構成されるアナログスイッチ本体回路と、アナログスイッチ本体回路を動作させる制御回路と、を開示する。制御回路には複数のインバータが配置されており、PMOSトランジスタのゲートとNMOSトランジスタのゲートに互いに逆相の制御電圧を供給することにより、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタがONの状態と、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタがOFFの状態と、を切り替えることができる。
【0003】
更に、特許文献1のアナログスイッチ本体回路は、上述したメイントランジスタ(PMOSトランジスタとNMOSトランジスタ)に加え、複数のサブトランジスタを備える。サブトランジスタは、メイントランジスタのバックゲートをソースに接続する状態と、メイントランジスタのバックゲートを所定の電位(PMOSトランジスタの場合は高電位、NMOSトランジスタの場合は低電位)に接続する状態と、を切り替える。特許文献1では、閾値が異なる複数のインバータを配置し、傾斜特性を有する制御信号を入力することにより、メイントランジスタの動作タイミングと、サブトランジスタの動作タイミングと、に時間差を設けている。これにより、メイントランジスタのON状態とOFF状態の切り替わりに起因するノイズを低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の回路構成では、制御信号の値(電圧)が急激に変化した場合、メイントランジスタの動作タイミングと、サブトランジスタの動作タイミングと、の時間差が短くなる。その結果、メイントランジスタのON状態とOFF状態の切替りに起因するノイズを十分に低減できない可能性がある。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、制御信号の値(電圧)が急激に変化した場合であっても、メイントランジスタのON状態とOFF状態の切替りに起因するノイズを十分に低減可能なアナログスイッチ回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成のアナログスイッチ回路が提供される。即ち、アナログスイッチ回路は、スイッチ本体回路と、制御回路と、を備える。前記スイッチ本体回路には、第1反転信号と第1非反転信号を含む第1タイミング信号と、第2反転信号と第2非反転信号を含む第2タイミング信号と、がタイミング信号として入力される。前記スイッチ本体回路は、前記タイミング信号に基づいてON状態とOFF状態を切り替える。前記制御回路は、前記タイミング信号を出力する。前記制御回路は、第1論理ゲートと、第2論理ゲートと、第1帰還回路と、第2帰還回路と、を備える。前記第1論理ゲートには、制御入力信号が入力される。前記第2論理ゲートには、前記制御入力信号が入力される。前記第1帰還回路は、前記第1論理ゲートの出力を分岐した信号を前記第2論理ゲートに入力する。前記第2帰還回路は、前記第2論理ゲートの出力を分岐した信号を前記第1論理ゲートに入力する。前記第1論理ゲートの出力を分岐して反転した信号が前記第1反転信号である。前記第1論理ゲートの出力を分岐して非反転した信号が前記第1非反転信号である。前記第2論理ゲートの出力を分岐して反転した信号が前記第2反転信号である。前記第2論理ゲートの出力を分岐して非反転した信号が前記第2非反転信号である。前記制御入力信号のHi/Loが反転した際に、前記第1帰還回路と前記第2帰還回路に起因して、前記第1タイミング信号のHi/Loの反転タイミングと、前記第2タイミング信号のHi/Loの反転タイミングと、が異なる。
【0009】
制御入力信号の値(電圧)が急激に変化しても、第1タイミング信号と第2タイミング信号のHi/Loの反転タイミングを異ならせることができる。また、論理ゲートを用いた単純な構成で両者のHi/Loの反転タイミングを異ならせることができる。その結果、制御入力信号の値が急激に変化しても、スイッチ本体回路のON状態とOFF状態の切替りに起因するノイズを十分に低減できる。
【0010】
前記のアナログスイッチ回路においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記制御回路は、第1遅延回路と、第2遅延回路と、を備える。前記第1遅延回路は、前記第1論理ゲートの出力を遅延させる。前記第2遅延回路は、前記第2論理ゲートの出力を遅延させる。
【0011】
これにより、第1タイミング信号と第2タイミング信号のHi/Loの反転タイミングを、更に大きく異ならせることができる。
【0012】
前記のアナログスイッチ回路においては、前記第1遅延回路及び前記第2遅延回路は、それぞれ、偶数個のインバータを含むことが好ましい。
【0013】
これにより、信号を反転させることなく信号を遅延させることができる。
【0014】
前記のアナログスイッチ回路においては、前記第1遅延回路及び前記第2遅延回路は、それぞれ、ローパスフィルタ回路を含むことが好ましい。
【0015】
これにより、信号の高周波成分をカットしつつ、信号を遅延させることができる。
【0016】
前記のアナログスイッチ回路においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1論理ゲートの出力を分岐して1つのインバータを介して反転した信号が前記第1反転信号である。前記第1論理ゲートの出力を分岐して前記インバータを介さない信号が前記第1非反転信号である。前記第2論理ゲートの出力を分岐して1つの前記インバータを介して反転した信号が前記第2反転信号である。前記第2論理ゲートの出力を分岐して前記インバータを介さない信号が前記第2非反転信号である。
【0017】
これにより、単純な構成で反転と非反転の信号を生成できる。
【0018】
前記のアナログスイッチ回路においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1論理ゲートの出力を分岐して奇数個の前記インバータを介して反転した信号が前記第1反転信号である。前記第1論理ゲートの出力を分岐して偶数個の前記インバータを介した信号が前記第1非反転信号である。前記第2論理ゲートの出力を分岐して奇数個の前記インバータを介して反転した信号が前記第2反転信号である。前記第2論理ゲートの出力を分岐して偶数個の前記インバータを介した信号が前記第2非反転信号である。
【0019】
これにより、インバータを介することにより、波形が整形されるため、制御回路の出力負荷が増加しても当該スイッチ本体回路を駆動できる。
【0020】
前記のアナログスイッチ回路においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1論理ゲートが第1NANDゲートである。前記第2論理ゲートが第2NANDゲートである。前記第1NANDゲートに入力される前記制御入力信号は非反転である。前記第2NANDゲートに入力される前記制御入力信号はインバータにより反転される。
【0021】
前記のアナログスイッチ回路においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1論理ゲートが第1NORゲートである。前記第2論理ゲートが第2NORゲートである。前記第1NORゲートに入力される前記制御入力信号は非反転である。前記第2NORゲートに入力される前記制御入力信号はインバータにより反転される。
【0022】
前記のアナログスイッチ回路においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1論理ゲートがANDゲートである。前記第2論理ゲートがORゲートである。前記ANDゲートに入力される前記制御入力信号は非反転である。前記ORゲートに入力される前記制御入力信号は非反転である。
【0023】
前記のアナログスイッチ回路においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記スイッチ本体回路は、第1メイントランジスタと、第2メイントランジスタと、第1ダミートランジスタと、第2ダミートランジスタと、を備える。前記第1メイントランジスタは、当該スイッチ本体回路のON状態とOFF状態を切り替えるスイッチとして機能し、第1非反転信号が入力される。前記第2メイントランジスタは、当該スイッチ本体回路のON状態とOFF状態を切り替えるスイッチとして機能し、第1反転信号が入力される。前記第1ダミートランジスタは、前記第1メイントランジスタの出力側に接続されており、前記第1メイントランジスタとバックゲート同士が接続されており、前記第1反転信号が入力される。前記第2ダミートランジスタは、前記第2メイントランジスタの出力側に接続されており、前記第2メイントランジスタとバックゲート同士が接続されており、前記第1非反転信号が入力される。
【0024】
これにより、第1及び第2のダミートランジスタはメイントランジスタとは逆の動作をするため、電荷の充放電をキャンセルできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】実施形態の制御回路の回路図とタイミングチャート。
【
図3】第1変形例の制御回路の回路図とタイミングチャート。
【
図7】第5変形例の制御回路の回路図とタイミングチャート。
【
図8】第6変形例の制御回路の回路図とタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、実施形態に係るアナログスイッチ回路1の回路図である。
【0027】
図1に示すアナログスイッチ回路1は、スイッチ本体回路2と、制御回路3と、を備える。
【0028】
スイッチ本体回路2には、入力端子4及び出力端子5が接続される。スイッチ本体回路2がON状態のときは、スイッチ本体回路2は、入力端子4から入力された信号を出力端子5に出力する。スイッチ本体回路2がOFF状態のときは、スイッチ本体回路2は、入力端子4から入力された信号を出力端子5に出力しない。
【0029】
制御回路3には、制御端子6から制御入力信号が入力される。本実施形態の制御入力信号は電圧信号である。制御回路3は、制御入力信号に基づき、4つのタイミング信号を出力する。制御入力信号は、デジタル信号であり、Hi又はLoの何れかの値をとる。スイッチ本体回路2には、制御回路3が出力した4つのタイミング信号が入力される。これにより、スイッチ本体回路2のON状態とOFF状態とが切り替えられる。
【0030】
本明細書では、4つのタイミング信号を、第1タイミング信号B+、第1タイミング信号B-、第2タイミング信号A+、第2タイミング信号A-と称する。後述するように、第1タイミング信号B+と第1タイミング信号B-は逆相であり、第2タイミング信号A+と第2タイミング信号A-は逆相である。更に、第1タイミング信号B+及び第2タイミング信号A+は、制御入力信号と同相である。第1タイミング信号B-及び第2タイミング信号A-は、制御入力信号と逆相である。ただし、詳細は後述するが、信号の遅延の関係により、厳密には瞬時に同相/逆相とはならず、時間差がある。
【0031】
次に、スイッチ本体回路2の回路構成について説明する。スイッチ本体回路2はMOSトランジスタをスイッチ素子として用いたスイッチ回路である。スイッチ本体回路2は、ON状態とOFF状態を切り替えるための素子として、第1PMOSトランジスタ11と、第1NMOSトランジスタ21と、を備える。第1PMOSトランジスタ11と第1NMOSトランジスタ21は、メイントランジスタに相当する。
【0032】
第1PMOSトランジスタ11のソースは入力端子4に接続されており、第1PMOSトランジスタ11のドレインは出力端子5に接続される。第1PMOSトランジスタ11のゲートには、制御回路3が出力した第2タイミング信号A+が入力される。第2タイミング信号A+がLoである場合、入力端子4と出力端子5は、第1PMOSトランジスタ11を介して接続される(ON状態)。一方、第2タイミング信号A+がHiである場合、入力端子4と出力端子5は、第1PMOSトランジスタ11により遮断される(OFF状態)。
【0033】
第1NMOSトランジスタ21のソースは入力端子4に接続されており、第1NMOSトランジスタ21のドレインは出力端子5に接続される。第1NMOSトランジスタ21のゲートには、制御回路3が出力した第2タイミング信号A-が入力される。第2タイミング信号A-がHiである場合、入力端子4と出力端子5は、第1NMOSトランジスタ21を介して接続される(ON状態)。一方、第2タイミング信号A-がLoである場合、入力端子4と出力端子5は、第1NMOSトランジスタ21により遮断される(OFF状態)。
【0034】
第2タイミング信号A+と第2タイミング信号A-は逆相である。そのため、第1PMOSトランジスタ11と第1NMOSトランジスタ21は制御入力信号に応じて、両方がON状態となるか、両方がOFF状態となる。つまり、制御入力信号のHi/Loを反転させることにより、スイッチ本体回路2のON状態とOFF状態とを切り替えることができる。
【0035】
第1PMOSトランジスタ11の近傍には、第2PMOSトランジスタ12と、第3PMOSトランジスタ13と、が設けられている。第2PMOSトランジスタ12及び第3PMOSトランジスタ13は、第1PMOSトランジスタ11のバックゲート電圧を調整する。第2PMOSトランジスタ12は、第1PMOSトランジスタ11のバックゲートとソースの間に配置される。第2PMOSトランジスタ12のゲートには、第1タイミング信号B+が入力される。
【0036】
第3PMOSトランジスタ13は、第1PMOSトランジスタ11のバックゲートと所定の電位VDDの間に配置される。電位VDDは、電源電位であるため高電位である。第3PMOSトランジスタ13のゲートには、第1タイミング信号B-が入力される。
【0037】
ここで、第2タイミング信号A+がLoである場合、第1PMOSトランジスタ11がON状態となる。その間において、第1タイミング信号B+がLoであるため、第2PMOSトランジスタ12がON状態となる。このとき、第1タイミング信号B-がHiであるため、第3PMOSトランジスタ13がOFF状態となる。これにより、第1PMOSトランジスタ11のバックゲート電圧がソースに接続される。そのため、第1PMOSトランジスタ11の閾値電圧の変動を抑制できる。
【0038】
一方、第2タイミング信号A+がHiである場合、第1PMOSトランジスタ11がOFF状態となる。その間において、第1タイミング信号B+がHiであるため、第2PMOSトランジスタ12がOFF状態となる。このとき、第1タイミング信号B-がLoであるため、第3PMOSトランジスタ13がON状態となる。これにより、第1PMOSトランジスタ11のバックゲート電圧がVDDに接続される。そのため、第1PMOSトランジスタ11のバックゲートとドレインの間に存在する寄生ダイオードが動作する電位差が生じないので、OFF状態を維持できる。
【0039】
第1NMOSトランジスタ21側においても、同様に、第2NMOSトランジスタ22と、第3NMOSトランジスタ23と、が設けられている。第2NMOSトランジスタ22及び第3NMOSトランジスタ23の回路構成及び機能は、第2PMOSトランジスタ12及び第3PMOSトランジスタ13と同様であるため、簡単に説明する。
【0040】
第2NMOSトランジスタ22は、第1NMOSトランジスタ21のバックゲートとソースの間に配置される。第2NMOSトランジスタ22のゲートには、第1タイミング信号B-が入力される。第3NMOSトランジスタ23は、第1NMOSトランジスタ21のバックゲートとGND(グランド)の間に配置される。第3NMOSトランジスタ23のゲートには、第1タイミング信号B+が入力される。
【0041】
第1NMOSトランジスタ21がON状態の場合、第2NMOSトランジスタ22がON状態となり、第1NMOSトランジスタ21のバックゲート電圧がソースに接続される。そのため、第1NMOSトランジスタ21の閾値電圧の変動を抑制できる。第1NMOSトランジスタ21がOFF状態の場合、第3NMOSトランジスタ23がON状態となり、第1NMOSトランジスタ21のバックゲート電圧がGNDに接続される。そのため、第1NMOSトランジスタ21のバックゲートとドレインの間に存在する寄生ダイオードが動作する電位差が生じないので、OFF状態を維持できる。
【0042】
次に、
図2を参照して、制御回路3の回路構成について説明する。
【0043】
上述したように、第2タイミング信号A+及び第2タイミング信号A-は、スイッチとして機能するメイントランジスタ(第1PMOSトランジスタ11、第1NMOSトランジスタ21)の動作タイミングを制御する。第1タイミング信号B+と第1タイミング信号B-は、バックゲート電圧を調整するためのサブのトランジスタ(第2PMOSトランジスタ12、第3PMOSトランジスタ13、第2NMOSトランジスタ22、第3NMOSトランジスタ23)の動作タイミングを制御する。
【0044】
ここで、第1PMOSトランジスタ11及び第1NMOSトランジスタ21のON状態とOFF状態が切り替わる際には、電荷の充放電に伴う電流が発生するため、出力端子5に出力される信号にノイズが含まれる。しかし、第1PMOSトランジスタ11及び第1NMOSトランジスタ21のHi/Loの反転タイミングにおいて、第1PMOSトランジスタ11及び第1NMOSトランジスタ21のバックゲートとソースが接続されていれば電荷の充放電を抑制できる。つまり、第2タイミング信号A+,A-のHi/Loの反転タイミングにおいて、第1タイミング信号B+がLoで第1タイミング信号B-がHiであれば、上記のノイズの問題を回避できる。
【0045】
この点、本実施形態の制御回路3では、
図2(a)に示す回路構成を採用することにより、このタイミングで第1タイミング信号B+,B-を反転させることができる。具体的には、制御回路3は、第1論理ゲート31と、第2論理ゲート32と、第1インバータ41と、第2インバータ42と、第3インバータ43と、を備える。
【0046】
第1論理ゲート31及び第2論理ゲート32はNANDゲートである。制御端子6に接続される回路は2つに分岐され、一方は第1論理ゲート31の入力に接続され、他方は第1インバータ41を介して、第2論理ゲート32の入力に接続される。第1インバータ41を介することにより、制御入力信号のHi/Loが反転する。
【0047】
第1論理ゲート31の出力は、3つに分岐される。1つ目は、第2インバータ42を介してHi/Loが反転された後に、第1タイミング信号B+として出力される。2つ目は、インバータを介さずに(Hi/Loが反転されずに)、第1タイミング信号B-として出力される。3つ目は、第1帰還回路3aにより帰還され、第2論理ゲート32に入力される。
【0048】
第2論理ゲート32の出力は、3つに分岐される。1つ目は、インバータを介さずに(Hi/Loが反転されずに)、第2タイミング信号A+として出力される。2つ目は、第3インバータ43を介してHi/Loが反転された後に、第2タイミング信号A-として出力される。3つ目は、第2帰還回路3bにより帰還され、第1論理ゲート31に入力される。
【0049】
次に、
図2(b)を参照しながら、制御回路3の動作を説明する。
【0050】
制御端子6の電圧VaがLoのとき、第1論理ゲート31には、制御端子6からのLoが入力される。そのため、第1論理ゲート31の出力はHiになる。従って、第1タイミング信号B+はLoになり、第1タイミング信号B-はHiになる。
【0051】
制御端子6の電圧VaがLoのとき、第2論理ゲート32には、制御端子6からのHiと、第1論理ゲート31からのHiと、が入力される。従って、第2論理ゲート32の出力はLoになる。従って第2タイミング信号A+はLoになり、第2タイミング信号A-はHiになる。
【0052】
その後、制御端子6の電圧VaがLoからHiに反転することにより、制御端子6から第1論理ゲート31への入力がHiになり、制御端子6から第2論理ゲート32への入力がLoになる。これにより、時刻T1において、第2論理ゲート32の出力がLoからHiに反転する。その結果、第2タイミング信号A+はHiになり、第2タイミング信号A-はLoになる。
【0053】
そして、第1論理ゲート31の入力は、制御端子6からの入力のHiと、第2論理ゲート32からの入力のHiと、になる。これにより、少し後の時刻T2において、第1論理ゲート31の出力がHiからLoに反転する。その結果、第1タイミング信号B+はHiになり、第1タイミング信号B-はLoになる。
【0054】
その後、制御端子6の電圧VaがHiからLoに反転することにより、制御端子6から第1論理ゲート31への入力がLoになり、制御端子6から第2論理ゲート32への入力がHiになる。その結果、時刻T3において、第1論理ゲート31の出力がLoからHiに反転する。その結果、第1タイミング信号B+はLoになり、第1タイミング信号B-はHiになる。
【0055】
そして、第2論理ゲート32の入力は、制御端子6からの入力のHiと、第1論理ゲート31からの入力のHiと、になる。これにより、少し後の時刻T4において、第2論理ゲート32の出力がHiからLoに反転する。その結果、第2タイミング信号A+はLoになり、第2タイミング信号A-はHiになる。
【0056】
以上に示したように、制御端子6の電圧Vaが反転した場合、第1論理ゲート31と第2論理ゲート32の一方の論理ゲートの出力が先に反転する。その後、一方の論理ゲートの反転した出力が他方の論理ゲートに入力された後に、他方の論理ゲートの出力が反転する。これにより、第1タイミング信号B+,B-のHi/Loの反転タイミングと、第2タイミング信号A+,A-の反転タイミングと、を異ならせることができる。更に言えば、第2タイミング信号A+,A-の反転タイミングにおいて、常に、第1タイミング信号B+がLoであり第1タイミング信号B-がHiである。これにより、第1PMOSトランジスタ11及び第1NMOSトランジスタ21のHi/Loの反転タイミングにおいて、第1PMOSトランジスタ11及び第1NMOSトランジスタ21のバックゲートとソースが接続されていることになるので、上記のノイズの問題を回避できる。更に、制御回路3では、制御端子6の電圧Vaの傾斜が急峻であっても問題なく動作できる。
【0057】
次に、
図3を参照して、第1変形例を説明する。
図3は、第1変形例の制御回路3の回路図とタイミングチャートである。なお、以後の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0058】
第1変形例は、第1遅延回路7及び第2遅延回路8が設けられている点において、上記実施形態とは異なる。第1遅延回路7及び第2遅延回路8は信号を遅延させる回路である。
【0059】
第1遅延回路7は、第1論理ゲート31の出力を遅延させる。具体的には、第1遅延回路7は、第1論理ゲート31の出力と、第1論理ゲート31の出力を分岐させる分岐箇所と、の間に配置されている。第1遅延回路7は、第4インバータ44と、第5インバータ45と、を備える。第4インバータ44及び第5インバータ45を通過することにより、信号の伝達が遅くなる。また、インバータを偶数個接続しているため、信号のHi/Loは反転しない。
【0060】
第2遅延回路8は、第2論理ゲート32の出力を遅延させる。具体的には、第2遅延回路8は、第2論理ゲート32の出力と、第2論理ゲート32の出力を分岐させる分岐箇所と、の間に配置されている。第2遅延回路8は、第6インバータ46と、第7インバータ47と、を備える。第6インバータ46及び第7インバータ47を通過することにより、信号の伝達が遅くなる。また、インバータが偶数であるため、信号のHi/Loは反転しない。
【0061】
第1論理ゲート31の出力を遅延させることにより、第1論理ゲート31の出力が反転してから、第1タイミング信号B+,B-が反転するまでの時間が長くなる(時刻T1から時刻T2までの時間が長くなる)。第2論理ゲート32の出力を遅延させることにより、第2論理ゲート32の出力が反転してから、第2タイミング信号A+,A-が反転するまでの時間が長くなる(時刻T3から時刻T4までの時間が長くなる)。これにより、ノイズの問題をより確実に回避できる。
【0062】
なお、第1変形例では、インバータを用いて信号を遅延させるが、インバータ以外を用いて信号を遅延させてもよい。例えば、
図4の第2変形例に示すように、ローパスフィルタ回路により信号を遅延させてもよい。
図4に示すように、第2変形例の第1遅延回路7は、第1抵抗61と、第1キャパシタ62と、を含むローパスフィルタ回路である。第2変形例の第2遅延回路8は、第2抵抗63と、第2キャパシタ64と、を含むローパスフィルタ回路である。これにより、信号の高周波成分をカットしつつ、信号を遅延させることができる。
【0063】
また、
図5の第3変形例に示すように、第1変形例と第2変形例を組み合わせてもよい。第3変形例の第1遅延回路7は、第4インバータ44と、第5インバータ45と、第1抵抗61と、第1キャパシタ62と、を含む。第3変形例の第2遅延回路8は、第6インバータ46と、第7インバータ47と、第2抵抗63と、第2キャパシタ64と、を含む。
【0064】
なお、第1変形例及び第3変形例では、インバータが2個ずつ配置される。これに代えて、インバータが、2より大きい偶数個(4個、6個、・・・)ずつ配置されてもよい。
【0065】
次に、
図6を参照して、第4変形例について説明する。
図6は、第4変形例の制御回路3の回路図である。
【0066】
第4変形例は、第8インバータ48、第9インバータ49、第10インバータ50、第11インバータ51が設けられる点において、上記実施形態とは異なる。
【0067】
第8インバータ48及び第9インバータ49は、第1論理ゲート31の出力の分岐箇所と、第1タイミング信号B-の端子と、の間に配置されている。つまり、第1論理ゲート31の出力は、第8インバータ48及び第9インバータ49を介して、第1タイミング信号B-として出力される。なお、2つのインバータを介しても、出力のHi/Loは変化しない。
【0068】
第10インバータ50及び第11インバータ51は、第2論理ゲート32の出力の分岐箇所と、第2タイミング信号A+の端子と、の間に配置されている。つまり、第2論理ゲート32の出力は、第10インバータ50及び第11インバータ51を介して、第2タイミング信号A+として出力される。なお、2つのインバータを介しても、出力のHi/Loは変化しない。
【0069】
これにより、4つのタイミング信号は何れもインバータを介するため、信号の波形が整形される。その結果、制御回路3の出力負荷が増加しても当該スイッチ本体回路2を駆動できる。
【0070】
なお、第1論理ゲート31の出力の分岐箇所と、第1タイミング信号B-の端子と、の間には、2より大きい偶数個(4個、6個、・・・)のインバータが配置されてもよい。第1論理ゲート31の出力の分岐箇所と、第1タイミング信号B+の端子と、の間には、1より大きい奇数個(3個、5個、・・・)のインバータが配置されてもよい。また、第2論理ゲート32の出力の分岐箇所と、第2タイミング信号A+の端子と、の間には、2より大きい偶数個(4個、6個、・・・)のインバータが配置されてもよい。第2論理ゲート32の出力の分岐箇所と、第2タイミング信号A-の端子と、の間には、1より大きい奇数個(3個、5個、・・・)のインバータが配置されてもよい。
【0071】
上記実施形態の制御回路3の第1論理ゲート31及び第2論理ゲート32は、NANDゲートである。しかし、同じ機能を実現可能であれば、第5変形例及び第6変形例のように、NANDゲート以外の論理ゲートを用いてもよい。
【0072】
図7に示す第5変形例では、第1論理ゲート33及び第2論理ゲート34として、それぞれNORゲートが用いられている。制御端子6は、インバータを介さずに第1論理ゲート33の入力に接続されるとともに、第1インバータ41を介して第2論理ゲート34の入力に接続される。第1論理ゲート33の出力は、第2インバータ42を介して反転されて第2タイミング信号A+として出力される。第1論理ゲート33の出力は、反転されずに第2タイミング信号A-として出力される。第1論理ゲート33の出力は第1帰還回路3aにより帰還されて第2論理ゲート34に入力される。第2論理ゲート34の出力は、反転されずに第1タイミング信号B+として出力される。第2論理ゲート34の出力は、第3インバータ43により反転されて、第1タイミング信号B-として出力される。第2論理ゲート34の出力は、第2帰還回路3bにより帰還されて第1論理ゲート33に入力される。
【0073】
このように、第5変形例では、第1論理ゲート33及び第2論理ゲート34の機能が異なることに伴い、上記実施形態とは、第1タイミング信号B+,B-と、第2タイミング信号A+,A-が入れ替わっている。なお、第5変形例においても、時刻T1と時刻T2、時刻T3と時刻T4にそれぞれ時間差が生じる原理は上記実施形態と同じである。即ち、第1論理ゲート33及び第2論理ゲート34のうち、一方の論理ゲートは制御端子6の電圧Vaの変化に起因して即座に出力が反転し、他方の論理ゲートは一方の論理ゲートの出力の変化に起因して出力が反転する。
【0074】
図8に示す第6変形例では、第1論理ゲート35としてANDゲートが用いられ、第2論理ゲート36としてORゲートが用いられる。制御端子6は、インバータを介さずに第1論理ゲート35及び第2論理ゲート36の入力にそれぞれ接続される。第1論理ゲート35の出力は、反転されずに第1タイミング信号B+として出力される。第1論理ゲート35の出力は、第2インバータ42を介して反転されて、第1タイミング信号B-として出力される。第1論理ゲート35の出力は、第1帰還回路3aにより帰還されて第2論理ゲート36に入力される。第2論理ゲート36の出力は、反転されずに第2タイミング信号A+として出力される。第2論理ゲート36の出力は、第3インバータ43により反転されて、第2タイミング信号A-として出力される。第2論理ゲート36の出力は、第2帰還回路3bにより帰還されて第1論理ゲート35に入力される。
【0075】
このように、第6変形例では、第1論理ゲート35及び第2論理ゲート36の機能が異なることに伴い、第1インバータ41が省略されており、更に、第1タイミング信号B-として出力する信号が第2インバータ42を通過する。また、第6変形例においても、時刻T1と時刻T2、時刻T3と時刻T4にそれぞれ時間差が生じる原理は上記実施形態と同じである。
【0076】
次に、
図9を参照して、第7変形例を説明する。
図9は、第7変形例のスイッチ本体回路2の回路図である。
【0077】
第7変形例は、上述したそれぞれのMOSトランジスタに隣接して、更にダミーMOSトランジスタが設けられている点において、上記実施形態とは異なる。
【0078】
第1PMOSトランジスタ11と出力端子5の間(即ち、第1PMOSトランジスタ11のドレイン側)には、第1ダミーPMOSトランジスタ11aが設けられている。第1ダミーPMOSトランジスタ11aのバックゲートは、第1PMOSトランジスタ11のバックゲートと接続されている。また、第1ダミーPMOSトランジスタ11aのゲートには、第2タイミング信号A-が入力されている。上記実施形態と同様、第1PMOSトランジスタ11のゲートには、制御回路3が出力した第2タイミング信号A+が入力される。言い換えれば、第1PMOSトランジスタ11のゲートと、第1ダミーPMOSトランジスタ11aのゲートと、には逆相の信号が入力される。これにより、第1PMOSトランジスタ11と第1ダミーPMOSトランジスタ11aは逆動作するため、一方で発生した電荷の充電を他方で発生した電荷の放電でキャンセルできる。また、第1ダミーPMOSトランジスタ11aの容量(サイズ)は、第1PMOSトランジスタ11の容量よりも小さいことが好ましく、1/2であることが更に好ましい(他のダミーMOSトランジスタについても同様)。
【0079】
第1ダミーNMOSトランジスタ21aの配置や機能については、第1ダミーPMOSトランジスタ11aと同様であるため、簡単に説明する。第1ダミーNMOSトランジスタ21aは、第1NMOSトランジスタ21と出力端子5の間に設けられている。第1ダミーNMOSトランジスタ21aのバックゲートは、第1NMOSトランジスタ21のバックゲートと接続されている。第1NMOSトランジスタ21のゲートと、第1ダミーNMOSトランジスタ21aのゲートと、には逆相の信号が入力される。これにより、一方で発生した電荷の充電を他方で発生した電荷の放電でキャンセルできる。
【0080】
また、第2PMOSトランジスタ12のVDD側には第2ダミーPMOSトランジスタ12aが設けられている。第3PMOSトランジスタ13の入力端子4側には第3ダミーPMOSトランジスタ13aが設けられている。第2NMOSトランジスタ22のGND側には第2ダミーNMOSトランジスタ22aが設けられている。第3NMOSトランジスタ23の入力端子4側には第3ダミーNMOSトランジスタ23aが設けられている。ダミーのトランジスタのゲートには、メインのトランジスタのゲートと逆相の信号が入力される。これにより、一方で発生した電荷の充電を他方で発生した電荷の放電でキャンセルできる。
【0081】
上述した上記実施形態及び変形例は、矛盾が生じない限り、適宜組み合わせることができる。例えば、第7変形例のスイッチ本体回路2は、上記実施形態、第1変形例から第6変形例の何れに対しても適用できる。
【0082】
以上に説明したように、上記実施形態及び変形例のアナログスイッチ回路1は、スイッチ本体回路2と、制御回路3と、を備える。スイッチ本体回路2には、第1反転信号と第1非反転信号を含む第1タイミング信号と、第2反転信号と第2非反転信号を含む第2タイミング信号と、がタイミング信号として入力される。スイッチ本体回路2は、タイミング信号に基づいてON状態とOFF状態を切り替える。制御回路3は、タイミング信号を出力する。制御回路3は、第1論理ゲート31,33,35と、第2論理ゲート32,34,36と、第1帰還回路3aと、第2帰還回路3bと、を備える。第1論理ゲート31,33,35には、制御入力信号(制御入力信号を反転した信号を含む)が入力される。第2論理ゲート32,34,36には、制御入力信号(制御入力信号を反転した信号を含む)が入力される。第1帰還回路3aは、第1論理ゲート31,33,35の出力を分岐した信号を第2論理ゲート32,34,36に入力する。第2帰還回路3bは、第2論理ゲート32,34,36の出力を分岐した信号を第1論理ゲート31,33,35に入力する。第1論理ゲート31,33,35の出力を分岐して反転した信号が第1反転信号である。第1論理ゲート31,33,35の出力を分岐して非反転した信号が第1非反転信号である。第2論理ゲート32,34,36の出力を分岐して反転した信号が第2反転信号である。第2論理ゲート32,34,36の出力を分岐して非反転した信号が第2非反転信号である。制御入力信号のHi/Loが反転した際に、第1帰還回路3aと第2帰還回路3bに起因して、第1タイミング信号のHi/Loの反転タイミングと、第2タイミング信号のHi/Loの反転タイミングと、が異なる。
【0083】
制御入力信号の値(電圧)が急激に変化しても、第1タイミング信号と第2タイミング信号のHi/Loの反転タイミングを異ならせることができる。また、論理ゲートを用いた単純な構成で両者のHi/Loの反転タイミングを異ならせることができる。その結果、制御入力信号の値が急激に変化しても、スイッチ本体回路2のON状態とOFF状態の切替りに起因するノイズを十分に低減できる。
【0084】
また、第1から第3変形例のアナログスイッチ回路1において、制御回路3は、第1遅延回路7と、第2遅延回路8と、を備える。第1遅延回路7は、第1論理ゲート31の出力を遅延させる。第2遅延回路8は、第2論理ゲート32の出力を遅延させる。
【0085】
これにより、第1タイミング信号と第2タイミング信号のHi/Loの反転タイミングを、更に大きく異ならせることができる。
【0086】
また、第1及び第3変形例のアナログスイッチ回路1において、第1遅延回路7及び第2遅延回路8は、それぞれ、偶数個のインバータ44,45,46,47を含む。
【0087】
これにより、信号を反転させることなく信号を遅延させることができる。
【0088】
また、第2及び第3変形例のアナログスイッチ回路1において、第1遅延回路7及び第2遅延回路8は、それぞれ、ローパスフィルタ回路を含む。
【0089】
これにより、信号の高周波成分をカットしつつ、信号を遅延させることができる。
【0090】
上記実施形態、第1から第3変形例、及び、第5、第6変形例のアナログスイッチ回路1において、第1論理ゲート31,33,35の出力を分岐して1つの第2インバータ42を介して反転した信号が第1反転信号である。第1論理ゲート31,33,35の出力を分岐してインバータを介さない信号が第1非反転信号である。第2論理ゲート32,34,36の出力を分岐して1つの第3インバータ43を介して反転した信号が第2反転信号である。第2論理ゲート32,34,36の出力を分岐してインバータを介さない信号が第2非反転信号である。
【0091】
これにより、単純な構成で反転と非反転の信号を生成できる。
【0092】
第4変形例のアナログスイッチ回路1において、第1論理ゲート31の出力を分岐して奇数個のインバータ(1つの第2インバータ42)を介して反転した信号が第1反転信号である。第1論理ゲート31の出力を分岐して偶数個のインバータ(第8インバータ48及び第9インバータ49)を介した信号が第1非反転信号である。第2論理ゲート32の出力を分岐して奇数個のインバータ(第3インバータ43)を介して反転した信号が第2反転信号である。第2論理ゲートの出力を分岐して偶数個のインバータ(第10インバータ50及び第11インバータ51)を介した信号が第2非反転信号である。
【0093】
これにより、インバータを介することにより、波形が整形されるため、制御回路3の出力負荷が増加しても当該スイッチ本体回路2を駆動できる。
【0094】
上記実施形態、第1から第4変形例のアナログスイッチ回路1において、第1論理ゲート31が第1NANDゲートである。第2論理ゲート32が第2NANDゲートである。第1NANDゲートに入力される制御入力信号は非反転である。第2NANDゲートに入力される制御入力信号はインバータにより反転される。
【0095】
第5変形例のアナログスイッチ回路1において、第1論理ゲート33が第1NORゲートである。第2論理ゲート34が第2NORゲートである。第1NORゲートに入力される制御入力信号は非反転である。第2NORゲートに入力される制御入力信号はインバータにより反転される。
【0096】
第6変形例のアナログスイッチ回路1において、第1論理ゲート35がANDゲートである。第2論理ゲート36がORゲートである。ANDゲートに入力される制御入力信号は非反転である。ORゲートに入力される制御入力信号は非反転である。
【0097】
第7変形例のアナログスイッチ回路1のスイッチ本体回路2は、第1PMOSトランジスタ11と、第1NMOSトランジスタ21と、第1ダミーPMOSトランジスタ11aと、第1ダミーNMOSトランジスタ21aと、を備える。第1PMOSトランジスタ11は、当該スイッチ本体回路2のON状態とOFF状態を切り替えるスイッチとして機能し、第2非反転信号が入力される。第1NMOSトランジスタ21は、当該スイッチ本体回路2のON状態とOFF状態を切り替えるスイッチとして機能し、第2反転信号が入力される。第1ダミーPMOSトランジスタ11aは、第1PMOSトランジスタ11の出力側に接続されており、第1PMOSトランジスタ11とバックゲート同士が接続されており、第2反転信号が入力される。第1ダミーNMOSトランジスタ21aは、第1NMOSトランジスタ21の出力側に接続されており、第1NMOSトランジスタ21とバックゲート同士が接続されており、第2非反転信号が入力される。
【0098】
これにより、第1及び第2のダミートランジスタはメイントランジスタとは逆の動作をするため、電荷の充放電をキャンセルできる。
【符号の説明】
【0099】
1 アナログスイッチ回路
2 スイッチ本体回路
3 制御回路
31,33,35 第1論理ゲート
32,34,36 第2論理ゲート
3a 第1帰還回路
3b 第2帰還回路