(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086292
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】美容機器
(51)【国際特許分類】
A61H 23/02 20060101AFI20240620BHJP
A61N 2/04 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
A61H23/02 352
A61N2/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201347
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】518461344
【氏名又は名称】株式会社MUK
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】井沢 良弘
【テーマコード(参考)】
4C074
4C106
【Fターム(参考)】
4C074AA05
4C074BB01
4C074DD04
4C074GG01
4C074HH09
4C106AA03
4C106BB21
4C106CC40
4C106EE03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡素な構成によって複数の美容処置を実行可能な美容機器を提供すること。
【解決手段】ヘッド部と、前記ヘッド部に設けられた少なくとも一対の電磁ユニットと、を含み、前記一対の電磁ユニットの各々は、少なくとも一部が前記ヘッド部の外側に露出するように配置されており、人体と接触させ得るように構成された被接触部と、前記被接触部と一体に構成されており前記ヘッド部の内側に配置された鉄心部と、前記鉄心部の周囲に配置されたコイルと、を有する、美容機器である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置面を有するヘッド部と、
前記ヘッド部に設けられた少なくとも一対の電磁ユニットと、
を含み、
前記一対の電磁ユニットの各々は、
少なくとも一部が前記処置面の外側に露出するように配置されており、人体と接触させ得るように構成された被接触部と、
前記被接触部と一体に構成されており前記処置面の内側に配置された鉄心部と、
前記鉄心部の周囲に配置されたコイルと、
を有する、美容機器。
【請求項2】
前記一対の電磁ユニットと接続されており当該一対の電磁ユニットを駆動する駆動回路を更に含む、請求項1に記載の美容機器。
【請求項3】
前記駆動回路は、
前記一対の電磁ユニットの各前記コイルへ電流を流して磁界を発生させるための第1回路と、
前記一対の電磁ユニットの各前記被接触部の間に前記人体を介して電流経路が構成された際に当該人体へ電流を流すための第2回路と、
を含む、請求項2に記載の美容機器。
【請求項4】
前記処置面の内側において前記一対の電磁ユニットの各々を囲んで配置される遮蔽部を更に含む、請求項1に記載の美容機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容機器に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2021/182615号(特許文献1)には、人体に対面する処置面と、少なくとも3つのヘッド部と、発信部とを備える美容処置装置が記載されている。この美容処置装置において、各ヘッド部は、処置面において互いに間隔を空けて並ぶとともに、超音波振動子を有し、超音波振動子とともに振動するように構成されており、発信部は、超音波振動子を振動させるように構成されている。また、各ヘッド部は、人体に接触させるための電磁ユニット部を有しており、電圧印加部から電磁ユニット部へ電圧印加するように構成されている。上記構成を有する美容処置装置では、人体に対して超音波振動を伝達することができるとともに、各ヘッド部の電磁ユニット部を用いることで、他の電気的美容処置も提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明に係る具体的態様は、簡素な構成によって複数の美容処置を実行可能な美容機器を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る一態様の美容機器は、(a)処置面を有するヘッド部と、(b)前記ヘッド部に設けられた少なくとも一対の電磁ユニットと、を含み、(c)前記一対の電磁ユニットの各々は、(c1)少なくとも一部が前記処置面の外側に露出するように配置されており、人体と接触させ得るように構成された被接触部と、(c2)前記被接触部と一体に構成されており前記処置面の内側に配置された鉄心部と、(c3)前記鉄心部の周囲に配置されたコイルと、を有する、美容機器である。この構成によれば、簡素な構成によって複数の美容処置を実行可能な美容機器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、一実施形態の美容機器の外観を模式的に示した斜視図である。
【
図2】
図2は、ヘッド部の各電磁ユニットの配置について示した平面図である。
【
図3】
図3は、電磁ユニット及びその周辺の構造を説明するための断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態の美容機器の回路構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、一実施形態の美容機器の外観を模式的に示した斜視図である。本実施形態の美容機器1は、人体へ美容的処置を与えるためのものであり、ヘッド部10、ハンドル部12、処置面14、4つの電磁ユニット16、及び操作部18を備える。ユーザは、この美容機器1のハンドル部12を手に持ち、ヘッド部10における処置面14の各電磁ユニット16が身体の所望位置の皮膚(肌)に接触するようにして美容機器1を作動させることで、人体に対する美容的処置を受けることができる。各電磁ユニット16を接触させる部位は、顔の皮膚であってもよいし、それ以外の身体の皮膚であってもよい。なお、美容機器1は、充電によって繰り返し利用可能なバッテリ(図示せず)を内蔵しており、このバッテリから電力供給を受けて動作するとともに、ACアダプター(図示せず)を接続した状態でも動作する。
【0008】
本実施形態の美容機器1によって与えることが可能な美容的処置は、電気的信号によるトリートメントと、磁気によるトリートメントである。電気的信号によるトリートメントとは、例えばラジオ波(RF波)の周波数帯域の高周波電流を皮膚に与えることや、筋肉に対して電気的な刺激を与えること(いわゆるEMS;Electrical Muscle Stimulation)を含む。また、磁気によるトリートメントとは、皮膚から体内に磁力線を通過させることによって血流改善などの効果を得ることを含む。以下、これらの美容的処置を実現可能とするための構成について詳細に説明する。
【0009】
図2は、ヘッド部における各電磁ユニットの配置について示した平面図である。なお、ここでは各電磁ユニット16を区別するために電磁ユニット16a~16dと符号を分ける。図示のように、各電磁ユニット16a~16dは、処置面14の略中央を囲むようにして配置されている。電磁ユニット16aと電磁ユニット16dとの間、電磁ユニット16bと電磁ユニット16cとの間、電磁ユニット16aと電磁ユニット16cとの間、電磁ユニット16bと電磁ユニット16dとの間のそれぞれの距離は、例えば略同一に設定される。また、各電磁ユニット16a等の平面視での直径は、例えば20mm程度とすることができる。
【0010】
本実施形態では、電磁ユニット16aと電磁ユニット16bが対をなし、電磁ユニット16cと電磁ユニット16dが対をなし、それぞれ電気的信号並びに磁気によるトリートメントに用いられる。なお、ここでは二対(4つ)の電磁ユニット16a~16dを示しているが、電磁ユニットは少なくとも一対(2つ)があればよく、他方で三対以上の電磁ユニットを設けるようにしてもよい。また、各電磁ユニット16a等の処置面14での配置についても図示のものに限定されない。
【0011】
図3は、電磁ユニット及びその周辺の構造を説明するための断面図である。ここでは、電磁ユニット16aとその周辺の構造を示しているが、他の電磁ユニット16b~16dとその周辺においても構造は共通である。以下、代表して電磁ユニット16aとその周辺の構造を説明する。
【0012】
電磁ユニット16aは、少なくとも一部が処置面14の外側(すなわちヘッド部14の外側)に露出して配置されており人体に接触し得るように構成された部位である被接触部20aと、この被接触部20aと一体に構成されており処置面14の内側(すなわちヘッド部14の内側)に配置されている鉄心部20bと、鉄心部20bの周囲に螺旋状に配置されたコイル22を有して構成されている。電磁ユニット16aの被接触部22a及び鉄心部20bは、電流を通し得るとともに鉄心部20bの周囲に配置されたコイル22への通電によって磁化し得る素材を用いて構成される。一例として、鉄をメッキしたものを素材として用いることができる。電磁ユニット16aと他の電磁ユニット(本例では電磁ユニット16b)との間に電流を流すことで、人体に対して電気的信号によるトリートメントを行うことができる。
【0013】
コイル22は、電流を通し得る素材を用いて構成されるものである。例えば、銅線を素材として用いることができる。本実施形態では、このコイル22と鉄心部20bによって電磁石が構成されており、コイル22に通電することによって鉄心部20bが磁化され、鉄心部20bを通る磁束(磁界)を発生させることができる。この磁束を用いて磁気によるトリートメントが実現される。
【0014】
遮蔽部24は、処置面14の内側において、鉄心部20b及びコイル22を囲むようにしてこれらの周辺に配置されている。この遮蔽部24は、鉄心部20bとコイル22による電磁石によって発生した磁束を遮蔽するためのものである。遮蔽部24を有することで、磁束をより効率よく電磁ユニット16aの周辺へ集中させることができる。
【0015】
底部26は、遮蔽部24の下部をふさぐためのものであり、貫通孔28を有する。貫通孔28は、電磁ユニット16aに接続するための配線やコイル22に接続するための配線を通すためのものである。
【0016】
図4は、本実施形態の美容機器の回路構成を説明するための図である。図示のように美容機器1は、各電磁ユニット16a、16b、操作部18、磁気発生回路(第1回路)30、電気的信号発生回路(第2回路)32、制御部34を含んで構成されている。なお、ここでは電磁ユニット16aと電磁ユニット16bの対を示しているが、他の電磁ユニット16c、16dの対についても同様にして磁気発生回路30及び電気的信号発生回路32と接続されている。
【0017】
磁気発生回路30は、各電磁ユニット16a、16bのコイル22に対して電流を出力するための回路である。この磁気発生回路30によって各コイル22に電流が流されることで、各コイル22の内側に配置された各鉄心部20bが磁化されるとともに、コイル22を通る磁束が発生する。この磁束により、人体に磁気を用いたトリートメントを施すことができる。各コイル22に流す電流としては、例えば10Hz程度の交流電流を用いることができるが直流電流を用いてもよい。
【0018】
本実施形態では、電磁ユニット16aのコイル22と電磁ユニット16bのコイル22とを直列接続し、それらのコイル22の直列接続体の両端と磁気発生回路30とが接続されている。これにより回路構成の簡素化が図られる。なお、電磁ユニット16aのコイル22と電磁ユニット16bのコイル22のそれぞれが別個に磁気発生回路30と接続され、別個に電流が与えられてもよい。
【0019】
電気的信号発生回路32は、各電磁ユニット16a、16bと接続されており、電気的信号によるトリートメントを行うための電流を出力する。図示のように、各電磁ユニット16a、16bにおいて被接触部20aの処置面14の外側に露出した部分が人体の皮膚に接触することで当該人体を電流経路36として利用して各電磁ユニット16a、16bの被接触部20aの間に電流を流すことができ、電気的信号によるトリートメントが実現される。
【0020】
電気的信号としてラジオ波(RF波)の周波数帯域の高周波電流を皮膚に与える場合であれば、例えば1MHz程度の交流電流を用いることができる。また、筋肉に対して電気的な刺激を与える場合(いわゆるEMS)であれば、例えば5~100Hz程度の交流電流を用いることができる。
【0021】
制御部34は、美容機器1の全体動作を制御するものであり、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータを用い、このマイクロコンピュータに所定の動作プログラムを実行させることによって実現される。具体的には、制御部34は、操作部18を用いたユーザによる操作指示に応じて、磁気発生回路30及び電気的信号発生回路32の動作を制御する。また、制御部34は、ハンドル部12などに適宜設けられたランプ等のインジケータ(図示せず)の点灯状態を制御する。それにより、ユーザに現在の動作モードを報知することができる。
【0022】
以上のような実施形態によれば、電気的信号によるトリートメントを行うための被接触部と磁気によるトリートメントを行うための電磁石を構成する鉄心とが一体に構成された電磁ユニットを用いているので、簡素な構成によって複数の美容処置を実行可能な美容機器を提供することが可能となる。
【0023】
なお、本発明は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、
図1に示した美容機器の全体の外観形状や各電磁ユニットの形状などについては一例であってこれに限定されるものではない。
【0024】
また、
図4に示した回路構成についても一例であり、他の回路要素がさらに追加されることを除外するものでもない。つまり、本明細書において、回路要素同士が「接続」されると表現した場合、それらの回路要素同士が配線等を介して直接的に接続される場合のほか、回路要素同士の間に他の回路要素が介在することも含む。ここでいう回路要素とは、電気的な機能を発揮し得るものであればよく、例えば抵抗素子、容量素子などの受動素子、トランジスタ等の能動素子を含む。
【符号の説明】
【0025】
1:美容機器
10:ヘッド部
12:ハンドル部
14:処置面
16、16a、16b、16c、16d:電磁ユニット
18:操作部
20a:被接触部
20b:鉄心部
22:コイル
24:遮蔽部
26:底部
28:貫通孔
30:磁気発生回路
32:電気的信号発生回路
34:制御部
36:電流経路