(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086300
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】誘導加熱調理器
(51)【国際特許分類】
H05B 6/12 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
H05B6/12 334
H05B6/12 308
H05B6/12 316
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201362
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】相田 泰志
(72)【発明者】
【氏名】村上 忠正
(72)【発明者】
【氏名】今堀 洋二
【テーマコード(参考)】
3K151
【Fターム(参考)】
3K151AA09
3K151BA93
3K151CA06
3K151CA24
3K151CA32
(57)【要約】
【課題】鍋などの被加熱物を自由に置くことのできる加熱調理器において、被加熱物の中身の沸騰状態を検知できるようにする。
【解決手段】トッププレート1に載置された被加熱物を誘導加熱する誘導加熱調理器100であって、トッププレート1の裏側に設けられた誘導近接コイル3を有するセンサ30と、センサ30からの出力値の所定周波数成分に基づいて、被加熱物の中身の沸騰状態を検知する沸騰検知部53とを備えるようにした。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トッププレートに載置された被加熱物を誘導加熱する誘導加熱調理器であって、
前記トッププレートの裏側に設けられた誘導近接コイルを有するセンサと、
前記センサからの出力値の所定周波数成分に基づいて、前記被加熱物の中身の沸騰状態を検知する沸騰検知部とを備えることを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項2】
前記センサが、前記誘導近接コイルを用いて前記被加熱物の位置を検出する位置検出用センサとして兼用されることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
【請求項3】
複数の前記被加熱物が前記トッププレートに載置されている状態において、
前記沸騰検知部が、それぞれの前記被加熱物の中身の沸騰状態を個別に検知することを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
【請求項4】
前記沸騰検知部が、前記被加熱物の中身がサブクール沸騰しているか飽和沸騰しているかを判断することを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
【請求項5】
前記被加熱物を加熱するための加熱コイルをさらに備え、
前記誘導近接コイルと前記加熱コイルとが同一基板に設けられていることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍋などの被加熱物を誘導加熱する誘導加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の誘導加熱調理器としては、特許文献1に示すように、調理中のふきこぼれを防止する機能を備えたものがある。
【0003】
具体的にこのものは、トッププレートの振動を検出する振動センサを備えており、その振動レベルの変化により、鍋などの中身の沸騰状態を検知するように構成されている。
【0004】
ところで、近年の調理器には、鍋などをドッププレートのどこにでも自由に置けるもの(以下、Any Place調理器ともいう)が開発されている。
【0005】
しかしながら、このAny Place調理器に上述した振動センサによる沸騰検知技術を適用しようとすると、鍋などの配置の自由度が向上している分、多くの箇所に振動センサを設ける必要があり、現実的には実装が困難である。
【0006】
仮に数多くの振動センサを実装できたとしても、複数の鍋が置かれている場合には、どの鍋の振動を検出しているかを分離して判別することが難しいといった課題も生じる。
【0007】
これらの理由から、これまでの実用的なAny Place調理器としては、沸騰状態を検知する機能が搭載されたものはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、被加熱物を自由に置くことのできる誘導加熱調理器において、被加熱物の中身の沸騰状態を検知できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明に係る誘導加熱調理器は、トッププレートに載置された被加熱物を誘導加熱する誘導加熱調理器であって、前記トッププレートの裏側に設けられた誘導近接コイルを有するセンサと、前記センサからの出力値の所定周波数成分に基づいて、前記被加熱物の中身の沸騰状態を検知する沸騰検知部とを備えることを特徴とするものである。
【0011】
このように構成された誘導加熱調理器によれば、誘導近接コイルを有するセンサからの出力値の所定周波数成分に基づいて沸騰状態を検知するので、被加熱物を自由に置くことのできるAny Place調理器において、被加熱物の中身の沸騰状態を検知することが可能となる。
さらに、Any Place調理器には、トッププレート上の被加熱物の位置を検出するためのセンサコイルが敷設されているところ、この既存のセンサコイルを本発明に係る誘導近接センサとして利用することで、実用的なAny Place調理器として沸騰状態を検知する機能を搭載したものを提供することができる。
【0012】
上述した作用効果がより顕著に発揮される実施態様としては、前記センサが、前記誘導近接コイルを用いて前記被加熱物の位置を検出する位置検出用センサである態様を挙げることができる。
このような構成であれば、複数の調理器具を用いている場合であっても、どの調理器具の中身が沸騰しているかを分離して判別することができる。
【0013】
複数の前記被加熱物が前記トッププレートに載置されている状態において、前記沸騰検知部が、それぞれの前記被加熱物の中身の沸騰状態を個別に検知することが好ましい。
このような構成であれば、例えば、ある調理器具にふきこぼれが起こりそうな場合に、その他の調理器具の火力を保ちつつ、ふきこぼれが起こりそうな調理器具の火力を調整することができる。
【0014】
前記沸騰検知部が、前記被加熱物の中身がサブクール沸騰しているか飽和沸騰しているかを判断することが好ましい。
このような構成であれば、例えば沸騰状態がサブクール沸騰から飽和沸騰に移り変わった場合に加熱を停止したり火力を弱めたりすることができ、ふきこぼれを未然に防ぐことができる。
【0015】
前記被加熱物を加熱するための加熱コイルをさらに備え、前記誘導近接コイルと前記加熱コイルとが同一基板に設けられていることが好ましい。
このような構成であれば、配線等の部品点数を削減することができ、製造コストの低減を図れる。
【発明の効果】
【0016】
このように構成した本発明によれば、被加熱物を自由に置くことのできる実用的な加熱調理器において、被加熱物の中身の沸騰状態を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る誘導加熱調理器の全体構成を示す模式図。
【
図2】同実施形態の加熱コイル及びセンサコイルを示す模式図。
【
図3】同実施形態の位置検出用センサの構成を示す模式図。
【
図4】同実施形態の制御機器の機能を示す機能ブロック図。
【
図5】同実施形態の位置検出部の動作を説明するための模式図。
【
図6】センサコイルのインダクタンス値と被加熱物の高さとの相関を示すグラフ。
【
図7】同実施形態の制御機器の動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る誘導加熱調理器の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
本実施形態に係る誘導加熱調理器は、トッププレートに載置された調理用鍋などの調理器具たる被加熱物を誘導加熱するものであり、被加熱物をトッププレートのどこにでも自由に置いて加熱できるように構成されている。
【0020】
具体的に誘導加熱調理器100は、
図1に示すように、被加熱物が置かれるトッププレート1と、被加熱物を加熱するための複数の加熱コイル2と、被加熱物の位置を検出するためのセンサコイル3と、加熱コイル2に交流電流を供給するインバータ回路4と、インバータ回路4を制御する制御機器5とを備えている。
【0021】
トッププレート1は、表側に被加熱物が置かれる平坦な載置面を有するものであり、例えばガラスやセラミックなどの電気絶縁材料からなる平板状のものである。
【0022】
加熱コイル2は、トッププレート1の裏側に設けられており、ここでは
図1に示すように、複数の加熱コイル2が、平面視において二次元アレイ状(縦横マトリクス状)をなすように配置されている。
【0023】
より具体的に説明すると、
図2に示すように、共通の基板Bに一対の加熱コイル2が設けられており、この基板Bが平面視において二次元アレイ状(縦横マトリクス状)をなすように敷設されている。
【0024】
各加熱コイル2は、基板Bに設けられたシート状をなすものであり、具体的にはフォトレジスト等により作成されたプリント基板として形成されたものである。ここでは、複数の加熱コイル2それぞれが、同じ形状及び大きさのものであるが、形状及び大きさは適宜変更して構わない。また、加熱コイル2としては、リッツ線を巻回してなるものを用いても構わない。
【0025】
なお、上述した構成において、
図1及び
図2に示すように、基板B上や互いに隣り合う基板Bの間には温度センサTが設けられており、被加熱物や加熱コイル2の温度を検知できるようにしてある。
【0026】
センサコイル3は、トッププレート1の裏側に設けられており、具体的には上述した基板Bに設けられた誘導近接コイルである。
【0027】
このセンサコイル3は、トッププレート1に置かれた被加熱物の位置を検出するためのものであり、
図3に示すように、共振用コンデンサ31、発振用アンプ32、発振周波数検知回路33、及び制御部34などとともに位置検出用センサ30を構成するものである。
【0028】
ここで、上述した基板Bは、
図2に示すように、加熱コイル2が設けられた加熱コイル層B1と、センサコイル3が設けられたセンサ層B2とを有しており、これらの層を絶縁層を介して積層して一体化させたものである。なお、本実施形態では、センサ層B2がトッププレート1側に位置し、加熱コイル層B1がセンサ層B2に対してトッププレート1の反対側に位置するように積層されている。
【0029】
かかる構成により、加熱コイル2とセンサコイル3とが一体的に設けられるとともに、加熱コイル2に対してセンサコイル3が位置決めされる。つまり、敷設された複数枚の基板Bそれぞれにおいて、加熱コイル2とセンサコイル3との相対的な位置関係が共通している。
【0030】
インバータ回路4は、電源から供給される交流電圧を任意の駆動周波数に変換して加熱コイル2に出力するものである。ここでのインバータ回路4は、スイッチング素子を用いたハーフブリッジ方式のものであるが、フルブリッジ方式のものを用いても構わない。
【0031】
制御機器5は、物理的にはCPU、メモリ、入力手段などを備えるものであり、機能的には、前記メモリの記憶されたプログラムに従ってCPUやその周辺機器が協働することにより、
図4に示すように、位置検出部51及びインバータ制御部52としての機能を発揮するものである。
【0032】
位置検出部51は、上述した位置検出用センサ30の出力値に基づいて被加熱物の位置を検出するものであり、
図5に示すように、トッププレート1に置かれている被加熱物の位置及び大きさ(すなわち、斜線で囲まれた領域)を検出する。
【0033】
ここで、本実施形態の位置検出用センサ30は、センサコイル3のインダクタンス値を出力するものであり、このインダクタンス値は、センサコイル3の上方に被加熱物が位置しているか否かにより変動する。
【0034】
より詳細には、位置検出用センサ30から出力されるインダクタンス値は、被加熱物からセンサコイル3までの距離に応じて変動する値であり、例えば、センサコイル3から離れた位置にある被加熱物をセンサコイル3に近づけていくと、インダクタンス値は減少する。
【0035】
そこで、位置検出部51は、位置検出用センサ30から出力されるインダクタンス値と予め設定した閾値とを比較して、被加熱物の位置及び大きさとして検出する。
【0036】
具体的には、この位置検出部51は、閾値よりも低いインダクタンス値のセンサコイル3の上方に被加熱物が位置していると判断し、それらのセンサコイル3の上方を、被加熱物が置かれている検出位置として出力する。
【0037】
インバータ制御部52は、電源から供給される実際の電力である実電力を算出するとともに、その実電力がユーザの設定した火力に対応する目標電力に近づくように、上述した駆動周波数を制御するものである。ただし、インバータ制御部52としては、上述したスイッチング素子のオン・オフのデューティ比を制御するものであっても良い。
【0038】
本実施形態のインバータ制御部52は、トッププレート1に置かれた被加熱物の下方に位置する加熱コイル2にのみ選択的に通電できるように構成されている。
【0039】
具体的には、このインバータ制御部52は、上述した位置検出部51が出力した検出位置を取得し、その検出位置の下方に一部又は全体が位置している加熱コイル2にのみ選択的に通電するようにしている。
【0040】
然して、本実施形態の制御機器5は、
図4に示すように、被加熱物の中身の沸騰状態を検知する沸騰検知部53としての機能をさらに備えてなる。
【0041】
ここで、被加熱物の中身が沸騰していると、被加熱物が振動するので、その振動によって被加熱物とセンサコイル3との距離が変動し、言い換えれば、位置検出用センサ30の出力値が変動する。
【0042】
より詳細に説明すると、
図6に示すグラフは、センサコイル3から被加熱物までの高さと、センサコイル3のインダクタンス値との相関関係を示すものであり、この相関関係から、特に被加熱物の中心部に位置するセンサコイル3のインダクタンス値は、被加熱物の高さの僅かな変動によっても大きく変わることが分かる。
【0043】
そこで、本実施形態の沸騰検知部53は、位置検出用センサ30からの出力値であるセンサコイル3のインダクタンス値に基づいて沸騰状態を検知するものである。つまり、センサコイル3は、位置検出のみならず、沸騰検知にも兼用されている。
【0044】
以下では、
図7を参照しながら沸騰検知部53の動作を説明する。
【0045】
沸騰検知部53は、センサコイル3の経時的に変動するインダクタンス値から所定周波数成分を抽出するように構成されており(S1)、その所定周波数成分に基づいて沸騰状態を検知するものである。
【0046】
より詳細に説明すると、被加熱物の中身が沸騰している場合、経時的に変動するインダクタンス値には例えば1kHz程度の周波数成分が含まれる。
【0047】
そこで、本実施形態の沸騰検知部53は、位置検出用センサ30から出力されるインダクタンス値から1kHzの周波数成分を抽出する。
【0048】
次いで、沸騰検知部53は、抽出した周波数成分の振幅を取得し(S2)、その振幅を用いて、被加熱物の中身の沸騰状態を検知するように構成されている。
【0049】
より具体的に説明すると、沸騰検知部53は、抽出した周波数成分の振幅を用いて、被加熱物の中身がサブクール沸騰しているか飽和沸騰しているかを判断する。
【0050】
サブクール沸騰とは、液体が飽和温度未満の温度にある場合の沸騰状態であり、表面沸騰とも呼ばれる。これに対して、飽和沸騰は、液体が飽和温度にある場合の沸騰状態であり、サブクール沸騰に比べて被加熱物の振動は小さくなる。
【0051】
そこで、沸騰検知部53は、まず振幅と第1基準値Th1とを比較する(S3)。
【0052】
そして、S3において、振幅が所定の第1基準値Th1よりも大きい場合に、被加熱物の中身がサブクール沸騰している判断する(S4)。
【0053】
一方、S3において、振幅が第1基準値Th1以下である場合には、S3の比較を繰り返す。
【0054】
S4において、被加熱物の中身がサブクール沸騰していると判断した後、沸騰検知部53は、振幅と、第1基準値Th1よりも小さい第2基準値Th2とを比較する(S5)。
【0055】
そして、S5において、振幅が所定の第2基準値Th2よりも小さい場合に、被加熱物の中身がサブクール沸騰から飽和沸騰に移行したと判断する(S6)。
【0056】
一方、S5において、振幅が所定の第2基準値Th2以上である場合には、S5の比較を繰り返す。
【0057】
S6において、被加熱物の中身が飽和沸騰している判断された後は、そのことが沸騰検知部53からインバータ制御部52に出力されて、インバータ制御部52が、その被加熱物を加熱している加熱コイル2の出力を低下又は停止させる(S7)。
【0058】
上述した構成において、本実施形態の沸騰検知部53は、被加熱物の下方に位置している複数のセンサコイル3、言い換えれば、インダクタンス値が上述した閾値を下回っている複数のセンサコイル3それぞれのインダクタンス値を用いている。
【0059】
具体的に沸騰検知部53は、複数のセンサコイル3それぞれの経時的に変動するインダクタンス値から所定周波数成分を抽出して、それらの周波数成分の振幅を取得し、それらの振幅の例えば平均値や最大値などと、上述した第1基準値Th1や第2基準値Th2とを比較して、被加熱物の中身の沸騰状態を判断する。
【0060】
本実施形態の沸騰検知部53は、複数の被加熱物がトッププレート1に載置されている状態において、それぞれの被加熱物の中身の沸騰状態を個別に検知するように構成されている。
【0061】
具体的には、位置検出部51が検出した検出位置の下方に位置する一群のセンサコイル3のインダクタンス値を用いて、その検出位置に置かれている被加熱物の中身の沸騰状態を判断し、位置検出部51が検出した別の検出位置の下方に位置する別の一群のセンサコイル3のインダクタンス値を用いて、別の被加熱物の中身の沸騰状態を判断する。
【0062】
このように構成された誘導加熱調理器100によれば、位置検出用センサ30を構成するセンサコイル3を沸騰検知に兼用しており、このセンサコイル3のインダクタンス値の所定周波数成分に基づいて沸騰状態を検知するので、鍋などの被加熱物を自由に置くことのできる実用的な誘導加熱調理器100において、被加熱物の中身の沸騰状態を検知することが可能となる。
【0063】
また、沸騰検知部53が、複数の被加熱物それぞれの中身の沸騰状態を個別に検知するので、例えば、ある調理器具にふきこぼれが起こりそうな場合に、その他の調理器具の火力を保ちつつ、ふきこぼれが起こりそうな調理器具の火力を調整することができる。
【0064】
さらに、沸騰検知部53が、被加熱物の中身がサブクール沸騰しているか飽和沸騰しているかを判断し、インバータ制御部52がサブクール沸騰から飽和沸騰に移り変わった場合に加熱コイル2の出力を低下又は停止させるので、ふきこぼれを未然に防ぐことができる。
【0065】
そのうえ、加熱コイル2とセンサコイル3とが同一基板Bに設けられているので、配線等の部品点数を削減することができ、製造コストの低減を図れる。
【0066】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではない。
【0067】
例えば、前記実施形態では、センサコイル3の出力値を用いて沸騰を検知していたが、基板Bの複数箇所に温度センサを設けておき、これらの温度センサの出力値をも併用して沸騰を検知しても良い。
【0068】
また、前記実施形態では、沸騰を検知するためのセンサとして、位置検出用センサ30を用いていたが、センサコイル3とは別に誘導近接コイルを設けて、位置検出用センサ30とは別のセンサを用いて沸騰を検知しても良い。
【0069】
さらに、前記実施形態では、位置検出用センサ30の出力値がインピーダンス値である態様を説明したが、この出力値は、センサコイル3の上方に被加熱物が位置しているか否かにより変動する値であれば例えば電流値や電圧値などであっても良い。
【0070】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0071】
100・・・誘導加熱調理器
1 ・・・トッププレート
2 ・・・加熱コイル
3 ・・・センサコイル
30 ・・・位置検出用センサ
B ・・・基板
B1 ・・・加熱コイル層
B2 ・・・センサ層
4 ・・・インバータ回路
5 ・・・制御機器
51 ・・・位置検出部
52 ・・・インバータ制御部
53 ・・・沸騰検知部