IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 国立大学法人九州大学の特許一覧 ▶ 株式会社精工技研の特許一覧

<>
  • 特開-光電界センサ装置 図1
  • 特開-光電界センサ装置 図2
  • 特開-光電界センサ装置 図3
  • 特開-光電界センサ装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086303
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】光電界センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/08 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
G01R29/08 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201366
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(71)【出願人】
【識別番号】000147350
【氏名又は名称】株式会社精工技研
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 敏博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美紀子
(72)【発明者】
【氏名】三浦 雄三
(72)【発明者】
【氏名】多喜川 良
(72)【発明者】
【氏名】鬼澤 正俊
(57)【要約】
【課題】光電界センサを含む装置の高感度と小型化とを両立させること。
【解決手段】入力用光ファイバ14と出力用光ファイバ16が、光電界センサ12の一方の端面20aに互いに隣接して設けられている。反射ミラー18が、光電界センサ12の他方の端面20bに設けられている。入力用光ファイバ14から光電界センサ12の光導波路22に光が入力され、入力光は光導波路22を通って反射ミラー18によって反射される。反射された光は、光導波路22を通って出力用光ファイバ16へ伝送される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路を含む光電界センサと、
前記光電界センサの一方の端面に設けられて、前記光導波路に入力光を入力する入力用光ファイバと、
前記一方の端面にて前記入力用光ファイバに隣接して設けられて、前記光導波路から出力される出力光を伝送する出力用光ファイバと、
前記光電界センサにおいて前記一方の端面に対向する端面に設けられた反射ミラーであって、前記入力用光ファイバから前記光導波路に入力された入力光を反射して出力光として前記出力用光ファイバから出力させる反射ミラーと、
を有することを特徴とする光電界センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光電界センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された光電界センサには電波吸収体が設けられている。電波吸収体は、光変調器の基板の裏面側から到達する電磁波を吸収する。これにより、計測対象の電波の伝搬方向が分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-196203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に係る光電界センサとして、1本の光ファイバを用いる光電界センサが知られている。当該光電界センサでは、1本の光ファイバによって光の入力と出力とを担っているため、計測用の出力光を検出するためには、入力光と出力光とを分離する機構が必要となる。しかし、当該機構があることで、低周波域における光の干渉によるノイズが増大し、強度が小さい電磁界に対する検出感度が低下する問題がある。図4を参照して、従来技術に係る光電界センサのノイズレベルについて説明する。図4中の「反射型」は、上述した1本の光ファイバを用いた光電界センサの出力を示しており、「透過型」は、以下に説明する2本の光ファイバを用いた光電界センサの出力を示している。「反射型」では、「透過型」と比べて、特に低周波帯域でノイズが増加しており、検出感度が低下することがわかる。
【0005】
上記の問題に対処するために、2本の光ファイバを用いることが考えられる。この構成では、入力用光ファイバが光電界センサの一方の端面に設けられ、出力用光ファイバが、当該一方の端面に対向する端面に設けられる。この構成によれば、分離機構を設ける必要がないが、2本の光ファイバを互いに対向して配置するため、装置全体が大型になるという問題がある。この構成にて装置全体を小型にするためには、2本の光ファイバを折り曲げる必要があるが、光ファイバは折り曲げに弱く、曲率を大きくする必要があるため、装置の小型化は難しい。
【0006】
本開示の目的は、光電界センサの高感度と小型化とを両立させることになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの態様は、光導波路を含む光電界センサと、前記光電界センサの一方の端面に設けられて、前記光導波路に入力光を入力する入力用光ファイバと、前記一方の端面にて前記入力用光ファイバに隣接して設けられて、前記光導波路から出力される出力光を伝送する出力用光ファイバと、前記光電界センサにおいて前記一方の端面に対向する端面に設けられた反射ミラーであって、前記入力用光ファイバから前記光導波路に入力された入力光を反射して出力光として前記出力用光ファイバから出力させる反射ミラーと、を有することを特徴とする光電界センサ装置である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、光電界センサの高感度と小型化とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る光電界センサ装置を含むシステムの構成を示す図である。
図2】実施形態に係る光導波路の断面図である。
図3】実施形態に係る光電界センサのノイズレベルを示す図である。
図4】従来技術に係る光電界センサの出力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1には、実施形態に係る光電界センサ装置10を含むシステムの構成が示されている。光電界センサ装置10は、光電界センサ12と、入力用光ファイバ14と、出力用光ファイバ16と、反射ミラー18とを含む。光電界センサ12は、光変調器基板20と、光導波路22と、電極24と、コネクタ26,28と、を含む。
【0011】
光変調器基板20は、電気光学効果を有する材料(例えばニオブ酸リチウム(LiNbO))によって構成され、電極24によって印加される電圧によって、光変調器基板20の内部を通る光の位相変調を行う。
【0012】
光導波路22は、光変調器基板20内で光の閉じ込めと伝送を行う。光導波路22は、例えば、チタン(Ti)拡散によって形成される。光の閉じ込めは、光変調器基板20を構成する材料の屈折率と光導波路22を構成する材料と屈折率との差によって実現される。
【0013】
具体的には、光導波路22は、1本の直線伝送部22aと、直線伝送部22aから分岐する2本の分岐伝送部22b,22cと、光を反射ミラー18に導く入射部22dと、反射ミラー18から出力側へ光を導く伝送部22eと、によって構成されている。図2には、光導波路22の断面が示されている。
【0014】
電極24は、光変調器基板20上において分岐伝送部22bを間にして形成され、計測対象の電界に起因する電圧を、光導波路22内を通る光に印加する。例えば、スパッタリングされたクロム(Cr)上に金(Au)をめっきすることで、電極24が形成される。
【0015】
コネクタ26,28は、光変調器基板20の一方の端面20aに互いに隣接して設けられ、光導波路22と光ファイバとを接続する。具体的には、コネクタ26は、入力用光ファイバ14と直線伝送部22aに接続される。コネクタ28は、コネクタ26に隣接して設けられ、出力用光ファイバ16と伝送部22eに接続される。
【0016】
入力用光ファイバ14は、後述する光源32から出力された光を伝送し、コネクタ26を介して光導波路22に入力する。出力用光ファイバ16は、光電界センサ12から出力された光を、後述する検出器36へ伝送する。コネクタ26,28が、端面20aにて互いに隣接して設けられているため、入力用光ファイバ14と出力用光ファイバ16は、端面20aにて互いに隣接して設けられる。
【0017】
反射ミラー18は、光変調器基板20の他方の端面20b(端面20aに対向する端面)に設けられている。後述するように、反射ミラー18は、入力用光ファイバ14から光導波路22に入力された入力光を反射して出力光として出力用光ファイバ16から出力させる。
【0018】
入力用光ファイバ14と出力用光ファイバ16は、コントローラ30に接続される。コントローラ30は、光源32と、電源34,38と、検出器36とを含み、光を送受信する。
【0019】
光源32は、入力用光ファイバ14に接続され、光電界センサ12に光を出力する。電源34は、光源32に電力を供給する。検出器36は、出力用光ファイバ16に接続され、光電界センサ12から出力された光を検出する。電源38は、検出器36に電力を供給する。
【0020】
計測器40が検出器36に接続されている。計測器40は、スペクトルアナライザやオシロスコープ等であり、検出器36の検出結果を受けて計測を行う。
【0021】
以下、実施形態に係るシステムの動作について説明する。
【0022】
光源32から出力された光は、入力用光ファイバ14によって伝送され、コネクタ26を介して光電界センサ12に入力される。具体的には、光源32からの光は、光導波路22の直線伝送部22aに入力される。
【0023】
直線伝送部22aに入力された入力光は、直線伝送部22aを通って分岐伝送部22b,22cへ分岐される。分岐伝送部22bを通る光の位相が、電極24の電圧印加による電気光学効果によって変調される。
【0024】
分岐伝送部22b,22cのそれぞれを通る光は、再び1本の入射部22dに入力され、入射部22dを通って端面20bに達し、反射ミラー18によって、入力光の進行方向とは反対の方向に反射される。つまり、入力光は、反射ミラー18によって、端面20aに向かう方向に折り返される。
【0025】
反射ミラー18によって折り返された光は、伝送部22eを通ってコネクタ28を介して出力用光ファイバ16に伝送される。光電界センサ12からの出力光は、出力用光ファイバ16を通って検出器36に伝送されて、検出器36によって検出される。検出器36の検出結果は計測器40に出力され、計測器40によって計測が行われる。
【0026】
図3には、計測器40の計測結果が示されている。図3は、光電界センサ12のノイズレベルを示すグラフである。横軸は周波数を示しており、縦軸は光電界センサ12の出力値を示している。ここでは、計測器40としてスペクトルアナライザが用いられている。1本の光ファイバを用いる従来技術に係る光電界センサでは、低周波域における光の干渉によるノイズが増大するが、本実施形態では、そのようなノイズの増大は見られず、検出感度の低下を防止できることが分かる。
【0027】
本実施形態によれば、入力用光ファイバ14と出力用光ファイバ16が同じ端面20aに互いに隣接して設けられているため、入力光と出力光とを分離する機構を設ける必要がない。それ故、その機構に起因するノイズの増大を抑制し、検出感度の低下を抑制することができる。
【0028】
また、端面20bに反射ミラー18を設けて光を折り返すことで、出力光を、入力光が入力する端面20aへ伝送させることができる。これにより、2本の光ファイバを同じ端面20aに配置することができるため、光電界センサ装置10を小型化することができる。
【0029】
以上のように、本実施形態によれば、光電界センサ装置10の高感度と小型化とを両立させることができる。
【0030】
小型化が可能となるため、例えば、自動車の内部のようなセンサの取り回しが難しい場所に光電界センサ12を配置し、電磁ノイズを検知することができる。また、電磁ノイズによる電子部品の誤作動に伴う不具合が発生する場面においても、光電界センサ12の搭載の自由度を活かして、様々な位置での計測が可能となる。その結果、早期の原因特定や根本的対策を実現することができる。
【符号の説明】
【0031】
10 光電界センサ装置、12 光電界センサ、14 入力用光ファイバ、16 出力用光ファイバ、18 反射ミラー、22 光導波路。
図1
図2
図3
図4