(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086321
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】糸カットツール
(51)【国際特許分類】
B65H 54/71 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
B65H54/71 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201391
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128923
【弁理士】
【氏名又は名称】納谷 洋弘
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100180297
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 裕子
(72)【発明者】
【氏名】山本 真人
【テーマコード(参考)】
3F057
【Fターム(参考)】
3F057AA02
3F057AB00
(57)【要約】
【課題】糸条テールの切断作業において、作業者の技能に依存せずに切断作業を行うことができ、作業者の負担も軽減することができる糸カットツールを提供する。
【解決手段】本体11は、引掛け部17と押さえ部18とで紙管106の縁部106bに取り付けられる。操作部12は、本体11に軸24を介して連結され、回動操作される。糸条テール103を切断する刃部13は、軸24で操作部12に連結される。付勢部14は、操作部12の回動の際に刃部13を付勢する。本体11には、案内部20と当接部21とが設けられる。第1の回動操作で、軸24を中心として操作部12が回動し、付勢された刃部13が糸条テール103に当接し、操作部12が当接部21で本体11に当接する。第2の回動操作で、操作部12が当接部21を支点として回動し、軸24が案内部20で案内され、刃部13がスライド移動し、糸条テール103が切断される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙管に糸条が巻かれて形成された糸条パッケージの内層側の糸条である糸条テールを切断する糸カットツールであって、
前記紙管の縁部の内側に引っ掛けられる引掛け部、及び、前記紙管の縁部の外側を押さえる押さえ部、を有し、前記引掛け部と前記押さえ部とによって前記紙管の縁部に取り付けられる本体と、
軸が設けられて前記本体に対して前記軸を介して揺動自在に連結され、前記本体に対して回動するように操作される操作部と、
前記操作部に前記軸を介して回転自在に連結され、前記糸条テールを切断する刃部と、
前記刃部と前記操作部とを連結するとともに、前記操作部が前記本体に対して回動する際に前記刃部を前記操作部が前記本体に対して回動する方向に沿って付勢する付勢部と、
を備え、
前記本体には、前記軸の両端部がそれぞれ挿入されて、前記本体に対して前記刃部とともに変位する前記軸の前記本体に対する移動を案内するとともに前記刃部の前記本体に対する移動量を規制する案内部と、前記案内部で前記軸の移動が案内される際に、前記操作部と当接して前記操作部の前記本体に対する回動動作の支点となる当接部と、が設けられ、
前記引掛け部と前記押さえ部とによって前記紙管の縁部に前記本体が取り付けられた状態で前記操作部が前記糸条パッケージの外層側の糸条に接近する方向に回動操作される第1の回動操作によって、前記案内部によって移動が規制された前記軸を中心として前記操作部が前記本体に対して回動し、前記付勢部を介して前記操作部によって前記紙管の縁部に向かって付勢された前記刃部が前記糸条テールに当接するとともに、前記操作部が前記当接部で前記本体に当接し、
前記操作部が前記当接部で前記本体に当接した状態で前記操作部が前記外層側の糸条に接近する方向に更に回動操作される第2の回動操作によって、前記操作部が前記当接部を支点として回動し、前記付勢部を介して前記操作部によって前記操作部が前記本体に対して回動する方向に沿って付勢された前記刃部とともに移動する前記軸が前記案内部によって案内されて移動することで、前記刃部が前記外層側の糸条から前記紙管の軸方向に沿って離間するようにスライド移動し、前記刃部によって前記糸条テールが切断される、
ことを特徴とする、糸カットツール。
【請求項2】
前記付勢部は、バネ部材である、
ことを特徴とする請求項1に記載の糸カットツール。
【請求項3】
前記案内部は、前記本体に設けられた長孔である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の糸カットツール。
【請求項4】
操作された前記操作部が前記本体に対して回動する方向と反対方向に沿って前記操作部を前記本体に対して付勢するように配置されたバネ部材として設けられ、前記第1の回動操作が行われる前の状態における前記本体に対する前記操作部の位置を位置決めする位置決めバネ部材を更に備えている、
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の糸カットツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙管に糸条が巻かれて形成された糸条パッケージの内層側の糸条である糸条テールを切断する糸カットツールに関する。
【背景技術】
【0002】
仮撚加工機などの繊維機械においては、紙管に糸条が巻かれて形成された糸条パッケージから繰り出されて供給される糸条に対して加工処理が行われる。繊維機械においては、糸条は、連続的に加工処理される。このため、繊維機械に先に糸条を供給する糸条パッケージの内層側の糸条である糸条テールと、繊維機械に次に糸条を供給する糸条パッケージの外層側の糸端とを結んで繋ぐテール繋ぎ作業が行われる。
【0003】
糸条パッケージの内層側の糸条テールは、テール繋ぎ作業を行い易くするために設けられる。糸条パッケージの形成の際には、まず、紙管の長手方向の一方の端部側に設けられたスリットに対して糸条が重ね巻きされてバンチ巻き部が形成されることで、糸条が紙管に対して固定される。そして、バンチ巻き部が形成された後、糸条は、紙管に対して数周程度螺旋状に巻かれる。このように、バンチ巻き部と数周程度螺旋状に巻かれた部分とが形成されることで、糸条パッケージの内層側の糸条テールが設けられる。糸条テールが設けられると、糸条は、紙管に対して紙管の軸方向に往復しながら巻き上げられ、紙管に糸条が筒状に巻かれた本巻き部分が形成され、糸条パッケージが形成される。
【0004】
テール繋ぎ作業が行われる際には、まず、糸条テールの切断が行われ、糸条テールからバンチ巻き部が切除される。切断によりバンチ巻き部が切除された糸条テールは、テール繋ぎが行われる相手となる別の糸条パッケージの外層側の糸端と結び合わされて繋がれる。テール繋ぎ作業の際の糸条テールの切断方法として、例えば特許文献1には、作業者がはさみ或いはカッターを操作して糸条テールを切断する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
糸条テールの切断においては、テール繋ぎ作業に必要な糸条テールの長さが適切に確保される位置で糸条テールの切断が行われる必要がある。更に、切断された糸条テールにおいて、切断された端部以外の部分に損傷が生じていると、テール繋ぎが行われた際に糸条の繋ぎ部分の品質の低下を招くことになるため、糸条テールへ損傷を与えずに切断することも必要となる。また、紙管は、再利用されることがあり、糸条テールの切断の際に紙管に大きな損傷が生じてしまうと、再利用で紙管に糸条が巻かれる際に、紙管に生じた損傷部分に糸条が引っ掛かり糸条に損傷が生じてしまうことになる。このため、糸条テールの切断の際には、紙管に損傷を与えてしまうことを抑制するように細心の注意をもって作業が行われる必要がある。しかし、特許文献1に開示された方法によると、作業者がはさみ或いはカッターを操作して糸条テールを切断するため、糸条テールの切断作業が作業者の技能に依存してしまうことになり、作業者の負担も増大することになる。
【0007】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、糸条テールの切断作業において、作業者の技能に依存せずに切断作業を行うことができ、作業者の負担も軽減することができる糸カットツールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の糸カットツールは、
紙管に糸条が巻かれて形成された糸条パッケージの内層側の糸条である糸条テールを切断する糸カットツールであって、
前記紙管の縁部の内側に引っ掛けられる引掛け部、及び、前記紙管の縁部の外側を押さえる押さえ部、を有し、前記引掛け部と前記押さえ部とによって前記紙管の縁部に取り付けられる本体と、
軸が設けられて前記本体に対して前記軸を介して揺動自在に連結され、前記本体に対して回動するように操作される操作部と、
前記操作部に前記軸を介して回転自在に連結され、前記糸条テールを切断する刃部と、
前記刃部と前記操作部とを連結するとともに、前記操作部が前記本体に対して回動する際に前記刃部を前記操作部が前記本体に対して回動する方向に沿って付勢する付勢部と、
を備え、
前記本体には、前記軸の両端部がそれぞれ挿入されて、前記本体に対して前記刃部とともに変位する前記軸の前記本体に対する移動を案内するとともに前記刃部の前記本体に対する移動量を規制する案内部と、前記案内部で前記軸の移動が案内される際に、前記操作部と当接して前記操作部の前記本体に対する回動動作の支点となる当接部と、が設けられ、
前記引掛け部と前記押さえ部とによって前記紙管の縁部に前記本体が取り付けられた状態で前記操作部が前記糸条パッケージの外層側の糸条に接近する方向に回動操作される第1の回動操作によって、前記案内部によって移動が規制された前記軸を中心として前記操作部が前記本体に対して回動し、前記付勢部を介して前記操作部によって前記紙管の縁部に向かって付勢された前記刃部が前記糸条テールに当接するとともに、前記操作部が前記当接部で前記本体に当接し、
前記操作部が前記当接部で前記本体に当接した状態で前記操作部が前記外層側の糸条に接近する方向に更に回動操作される第2の回動操作によって、前記操作部が前記当接部を支点として回動し、前記付勢部を介して前記操作部によって前記操作部が前記本体に対して回動する方向に沿って付勢された前記刃部とともに移動する前記軸が前記案内部によって案内されて移動することで、前記刃部が前記外層側の糸条から前記紙管の軸方向に沿って離間するようにスライド移動し、前記刃部によって前記糸条テールが切断される、
ことを特徴とする。
【0009】
上記(1)の糸カットツールによれば、引掛け部と押さえ部とによって本体が紙管の縁部に取り付けられるため、糸条テールの切断作業の際には、糸カットツールを紙管の縁部に対して機構的に所定の位置に位置決めすることができる。そして、第1の回動操作が行われることで、紙管の縁部における所定の位置で刃部が糸条テールに当接し、次いで、第2の回動操作が行われることで、刃部がスライド移動して糸条テールが切断される。このため、作業者の技能に依存せずに、テール繋ぎ作業に必要な糸条テールの長さが適切に確保される位置で糸条テールの切断を行うことができ、更に、切断される端部以外の部分に損傷を与えずに糸条テールを切断することもできる。また、刃部は、第1の回動操作で糸条テールに当接し、第2の回動操作でスライド移動して糸条を切断するため、紙管に大きな損傷を与えてしまうことも防止することができる。よって、上記(1)の糸カットツールによると、糸条テールの切断作業において、作業者の技能に依存せずに切断作業を行うことができ、作業者の負担も軽減することができる。
【0010】
(2)本発明の糸カットツールにおいて、
前記付勢部は、バネ部材である、
ことを特徴とする。
【0011】
上記(2)に記載の糸カットツールによれば、付勢部がバネ部材であるため、第1の回動操作の際に、刃部が付勢部を介して操作部に付勢されて糸条テールに当接する際に、操作部から刃部へと伝達される付勢力を付勢部が弾性変形して吸収することができる。このため、刃部が過度に紙管の縁部に対して押し付けられてしまうことを防止でき、紙管に大きな損傷を与えてしまうことを更に防止することができる。
【0012】
(3)本発明の糸カットツールにおいて、
前記案内部は、前記本体に設けられた長孔である、
ことを特徴とする。
【0013】
上記(3)に記載の糸カットツールによれば、本体に長孔を設けた簡素な構成で、本体に対して刃部とともに変位する軸の本体に対する移動を案内するとともに刃部の本体に対する移動量を規制する案内部を実現することができる。
【0014】
(4)本発明の糸カットツールにおいて、
操作された前記操作部が前記本体に対して回動する方向と反対方向に沿って前記操作部を前記本体に対して付勢するように配置されたバネ部材として設けられ、前記第1の回動操作が行われる前の状態における前記本体に対する前記操作部の位置を位置決めする位置決めバネ部材を更に備えている、
ことを特徴とする。
【0015】
上記(4)に記載の糸カットツールによれば、第1の回動操作が行われる前の状態における本体に対する操作部の位置をバネ部材によって簡単に位置決めすることができる。
【0016】
本発明に係る糸カットツールは、上記(1)~(4)に記載された構成の全部を備えることは必須でない。例えば、上記(1)に記載された糸カットツールに係る発明において、上記(2)~(4)に記載された構成の全部は必須でない。また、整合を図ることができる範囲で、上記(1)に記載された構成と、上記(2)~(4)のいずれかに記載された構成と、を任意に組み合わせたものを、本発明に係る糸カットツールとすることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、糸条テールの切断作業において、作業者の技能に依存せずに切断作業を行うことができ、作業者の負担も軽減することができる糸カットツールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】テール繋ぎが行われた状態の糸条パッケージを模式的に示す図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係る糸カットツールを示す斜視図である。
【
図4】
図4(A)は、糸カットツールの正面図であり、
図4(B)は、糸カットツールの背面図である。
【
図5】糸カットツールを一部分解した状態で示す斜視図である。
【
図6】糸カットツールが糸条パッケージの紙管に取り付けられた状態を示す図である。
【
図7】糸カットツールが糸条パッケージの紙管に取り付けられた状態を拡大して示す図であって、糸条パッケージを断面の状態で示す図である。
【
図8】糸カットツールが糸条パッケージの紙管に取り付けられた状態を拡大して示す図であって、糸カットツールの内部構造を示すために糸カットツールの本体の一部を省略した状態で示す図である。
【
図9】糸カットツールにおいて第1の回動操作が行われた状態を拡大して示す図であって、糸カットツールの内部構造を示すために糸カットツールの本体の一部を省略した状態で示す図である。
【
図10】糸カットツールにおいて第2の回動操作が行われた状態を拡大して示す図であって、糸カットツールの内部構造を示すために糸カットツールの本体の一部を省略した状態で示す図である。
【
図11】糸カットツールによる糸条テールの切断が行われる際における糸カットツールの刃部及び糸条パッケージの糸条テールの状態を示す図であって、
図11(A)は、糸カットツールが糸条パッケージの紙管に取り付けられたときの刃部及び糸条テールの状態を示す図であり、
図11(B)は、第1の回動操作が行われたときの刃部及び糸条テールの状態を示す図であり、
図11(C)は、第2の回動操作が行われたときの刃部及び糸条テールの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、紙管に糸条が巻かれて形成された糸条パッケージの内層側の糸条である糸条テールを切断する糸カットツールとして、種々の用途に広く適用することができるものである。
【0020】
図1は、糸条パッケージ101の斜視図である。
図2は、テール繋ぎが行われた状態の糸条パッケージ101を模式的に示す図である。
図3は、本発明の一実施の形態に係る糸カットツール1を示す斜視図である。糸カットツール1は、糸条パッケージ101の糸条テール103を切断するために用いられる。以下の説明においては、まず、糸条パッケージ101から繰り出される糸条102を連続的に処理するために糸条パッケージ101に対して行われるテール繋ぎ作業と、テール繋ぎ作業に先立って行われる糸条パッケージ101の糸条テール103の切断作業について説明する。次いで、糸条パッケージ101の糸条テール103の切断作業において用いられる本実施形態の糸カットツール1について説明する。
【0021】
[テール繋ぎ作業及び糸条テールの切断作業]
図1を参照して、仮撚加工機などの繊維機械(図示省略)においては、糸条パッケージ101から繰り出されて供給される糸条102に対して加工処理が行われる。繊維機械においては糸条102が連続的に処理されるため、繊維機械に対して先に糸条102を供給する糸条パッケージ101と繊維機械に対して次に糸条102を供給する糸条パッケージ101とを繋ぐテール繋ぎ作業が行われる。なお、説明の便宜上、
図1に示すように、繊維機械に先に糸条102を供給する糸条パッケージ101を糸条パッケージ101aとも称し、繊維機械に次に糸条102を供給する糸条パッケージ101を糸条パッケージ101bとも称する。
【0022】
テール繋ぎ作業としては、繊維機械に先に糸条102を供給する糸条パッケージ101aの内層側の糸条102である糸条テール103と、繊維機械に次に糸条を供給する糸条パッケージ101bの外層側の糸端104とを結ぶ作業が行われる。テール繋ぎ作業が行われることで、糸条パッケージ101aの糸条テール103と糸条パッケージ101bの糸端104とが結ばれ、糸条パッケージ101aの糸条テール103と糸条パッケージ101bの糸端104との間にテール繋ぎ部105が形成される。
【0023】
糸条パッケージ101aの糸条102に対して加工処理が行われている間は、糸条パッケージ101aにおいては外層側から内層側にかけて糸条102が繰り出される。糸条パッケージ101aが内層側の糸条テール103まで繰り出されると、糸条パッケージ101aとテール繋ぎ部105で繋がれた糸条パッケージ101bの糸端104が、連続して繊維機械に供給される。そして、糸条パッケージ101bにおいても外層側から内層側にかけて糸条102が繰り出されて繊維機械に供給されることになる。なお、糸条パッケージ101bに対しても、糸条パッケージ101bの次に繊維機械に糸条102を供給する糸条パッケージ101との間でテール繋ぎ作業が行われる。即ち、糸条パッケージ101bの糸条テール103と、糸条パッケージ101bの次に繊維機械に糸条102を供給する糸条パッケージ101の外層側の糸端104との間に、テール繋ぎ部105が形成される。
【0024】
次いで、テール繋ぎ作業が行われる糸条パッケージ101と、テール繋ぎ作業に先立って行われる糸条パッケージ101の糸条テール103の切断作業とについて説明する。
図2を参照して、糸条パッケージ101は、紙管106に糸条102が巻かれることで形成されている。紙管106は、例えば、円筒状に形成された紙製の管として構成される。紙管106の外周に糸条102が円筒状に巻かれることで糸条パッケージ101が形成される。
【0025】
円筒状の紙管106には、円筒状に延びる方向である紙管106の長手方向の一方の端部側に、スリット106aが設けられている。スリット106aは、紙管106の長手方向の一方の端部側の部分の外周において、周方向に延びる溝として設けられている。糸条パッケージ101の形成の際には、まず、スリット106aに対して糸条102が紙管106の周方向に複数周に亘って重ね巻きされることで、バンチ巻き部103aが形成される。バンチ巻き部103aが形成されることで、糸条102が紙管106に対して固定される。
【0026】
バンチ巻き部103aが形成された後、バンチ巻き部103aに連続する糸条102が、紙管106に対して数周程度螺旋状に巻かれることで、螺旋巻き部103bが形成される。スリット106aに重ね巻きされたバンチ巻き部103aと、バンチ巻き部103aに続いて紙管106に対して数周程度螺旋状に巻かれた螺旋巻き部103bとが形成されることで、糸条パッケージ101の内層側の糸条テール103が設けられる。なお、テール繋ぎ作業に先立って行われる糸条テール103の切断作業が行われる前の状態においては、糸条パッケージ101の内層側の糸条テール103には、バンチ巻き部103aと螺旋巻き部103bとが備えられている。糸条テール103が設けられると、糸条102は、紙管106に対して紙管106の軸方向Xに往復しながら巻き上げられ、紙管106に糸条102が筒状に巻かれた本巻き部分107が形成され、糸条パッケージ101が形成される。なお、紙管106の軸方向Xは、円筒状に延びる紙管106の円筒軸方向であり、
図2においては、軸方向Xと平行な方向を両端矢印Xで示している。
【0027】
テール繋ぎ作業が行われる際には、テール繋ぎ作業に先立ち、糸条パッケージ101の糸条テール103の切断作業が行われる。糸条テール103の切断作業は、糸条テール103を螺旋巻き部103bにおいて切断する作業として行われる。糸条テール103の切断作業においては、後述する糸カットツール1が用いられる。糸条テール103の切断作業が行われることで、糸条テール103は、螺旋巻き部103bからバンチ巻き部103aが切除された状態となる。糸条テール103の切断作業が行われると、次いで、テール繋ぎ作業が行われる。テール繋ぎ作業が行われることで、切断によりバンチ巻き部103aが切除された糸条テール103は、テール繋ぎが行われる相手となる別の糸条パッケージ101の外層側の糸端104と結び合わされて繋がれる。以下、糸条テール103の切断作業に用いられる本実施形態の糸カットツール1について説明する。
【0028】
[糸カットツールの概略]
図4(A)は、糸カットツール1の正面図であり、
図4(B)は、糸カットツール1の背面図である。
図5は、糸カットツール1を一部分解した状態で示す斜視図である。
図6は、糸カットツール1が糸条パッケージ101の紙管106に取り付けられた状態を示す図である。
図7は、糸カットツール1が糸条パッケージ101の紙管106に取り付けられた状態を拡大して示す図であって、糸条パッケージ101を断面の状態で示す図である。なお、
図7においては、糸条テール103における糸条102の断面については、黒色で塗りつぶしたハッチングの断面で示している。即ち、糸条テール103のバンチ巻き部103a及び螺旋巻き部103bにおける糸条102の断面について、黒色で塗りつぶしたハッチングの断面で示している。
【0029】
図2~
図7を参照して、本実施形態に係る糸カットツール1は、紙管106に糸条102が巻かれて形成された糸条パッケージ101の内層側の糸条102である糸条テール103を切断するツールとして設けられる。糸条テール103の切断作業が行われる際には、糸カットツール1は、糸条パッケージ101の紙管106の縁部106bに対して取り付けられる。そして、糸カットツール1が紙管106の縁部106bに取り付けられた状態で作業者によって糸カットツール1が操作されることで、糸条テール103の切断が行われる。なお、糸カットツール1が取り付けられる紙管106の縁部106bは、紙管106の軸方向Xにおける一方の端部側の縁部であって、糸条テール103が設けられている端部側の縁部である。
図6、
図7においては、紙管106の軸方向Xと平行な方向を両端矢印Xで示している。
【0030】
糸カットツール1は、本体11、操作部12、刃部13、付勢部14、位置決めバネ部材15、等を備えて構成されている。糸カットツール1は、本体11において紙管106の縁部106bに取り付けられる。そして、紙管106に取り付けられた状態で、本体11に対して回動自在に設けられた操作部12が作業者によって回動操作される。刃部13は、操作部12に回転自在に連結されるとともに、バネ部材として設けられた付勢部14によって操作部12に連結されている。そして、糸カットツール1は、操作部12が回動操作されることで、付勢部14を介して操作部12によって付勢された刃部13が糸条テール103を切断するように構成されている。以下、糸カットツール1の構成の詳細について更に詳しく説明する。
【0031】
[本体]
図3~
図7を参照して、本体11は、糸カットツール1を紙管106の縁部106bに取り付けられるようにするための部材であるとともに、操作部12を回動自在に支持するための部材として設けられている。本実施形態では、本体11は、ベース部材16aとカバー部材16bとを備えて構成されている。ベース部材16aとカバー部材16bとが組み合わされた状態でネジ部材(図示省略)によって結合されることで、一体的な本体11として構成されている。
【0032】
図3~
図7を参照して、本体11は、引掛け部17及び押さえ部18を有し、引掛け部17と押さえ部18とによって紙管106の縁部106bに取り付けられるように構成されている。引掛け部17は、本体11において、紙管106の縁部106bの内側に引っ掛けられる部分として設けられている。引掛け部17は、本体11の外縁の形状を形成する部分の一部として設けられ、本体11の外縁部分の一部において爪状、板状、或いは突起状の形状で片持ち状に突出した形状に形成されている。引掛け部17は、本体11が紙管106の縁部106bに取り付けられる際に、紙管106の縁部106bの内側に挿入され、紙管106の縁部106bの内周と紙管106の径方向において係合することで、紙管106の縁部106bの内側に引っ掛けられるように構成されている。なお、本実施形態では、引掛け部17は、本体11におけるベース部材16aの一部として設けられている。
【0033】
本体11の押さえ部18は、本体11において、紙管106の縁部106bの外側を押さえる部分として設けられている。押さえ部18は、本体11の外縁の形状を形成する部分の一部として設けられ、本体11の外縁の形状の一部が内側に凹むように形成されることで区画される凹み空間を介して引掛け部17と対向するように設けられている。また、引掛け部17と対向する押さえ部18は、引掛け部17側に向かって凸状に隆起した形状に形成されている。なお、押さえ部18と引掛け部17との間で本体11の外縁の形状の一部が凹むことで区画された凹み空間には、紙管106の縁部106bが挿入される。押さえ部18は、本体11が紙管106の縁部106bに取り付けられる際に、紙管106の縁部106bの外周と紙管106の径方向において当接することで、紙管106の縁部106bの外側を押さえるように構成されている。なお、本実施形態では、押さえ部18は、本体11におけるベース部材16aの一部及びカバー部材16bの一部として設けられている。
【0034】
本体11が紙管106の縁部106bに取り付けられる際には、引掛け部17が紙管106の縁部106bの内側に挿入され、押さえ部18が紙管106の縁部106bの外側に配置される。これにより、引掛け部17が紙管106の縁部106bの内側に引っ掛かり、押さえ部18が紙管106の縁部106bの外側を押さえた状態となる。即ち、引掛け部17と押さえ部18とが紙管106の縁部106bを紙管106の径方向の両側から挟んで保持した状態となる。このように、本体11は、引掛け部17と押さえ部18とによって紙管106の縁部106bを紙管106の径方向の両側から挟んで保持することで、紙管106の縁部106bに取付けられるように構成されている。
【0035】
なお、本体11が紙管106の縁部106bに取り付けられたときは、押さえ部18と引掛け部17との間で本体11の外縁の形状の一部が凹むことで区画された凹み空間には、紙管106の縁部106bが挿入された状態となる。そして、本体11には、押さえ部18と引掛け部17との間の凹み空間の奥側において、凹み空間に挿入された紙管106の縁部106bの端面と当接する当接面19が設けられている(
図3~
図5、
図7を参照)。本体11が紙管106の縁部106bに取り付けられる際には、紙管106の縁部106bが当接面19に当接する位置まで、引掛け部17が紙管106の縁部106bの内側に挿入される。紙管106の縁部106bと当接面19とが当接することで、本体11が紙管106の縁部106bに取り付けられた際における紙管106の軸方向Xにおける本体11の位置が位置決めされる。
【0036】
また、
図3~
図5、
図7を参照して、本体11には、後述する操作部12を回動自在に支持するための構成として、案内部20と当接部21とが設けられている。案内部20及び当接部21は、本体11に対する操作部12の回動操作であって本実施形態に特有の回動操作を可能にするための構成として設けられている。なお、案内部20及び当接部21の構成については後述する。
【0037】
[操作部]
図8は、糸カットツール1が糸条パッケージ101の紙管106に取り付けられた状態を拡大して示す図であって、糸カットツール1の内部構造を示すために糸カットツール1の本体11の一部を省略した状態で示す図である。なお、
図8では、糸カットツール1の内部構造を示すために糸カットツール1の本体11の一部であるカバー部材16bを省略した状態で示している。また、
図8では、糸条テール103における糸条102の断面については、黒色で塗りつぶしたハッチングの断面で示している。
図3~
図8を参照して、操作部12は、本体11に対して揺動自在に連結され、本体11に対して回動するように操作される部材として設けられている。操作部12には、把持部22、回転動作部23、軸24、支点用凸部25、等が設けられている。
【0038】
図3~
図8を参照して、把持部22は、操作部12が本体11に対して回動するように操作される際に作業者によって把持されて操作される部分として設けられている。把持部22は、例えば、細長く延びる角柱状の形状に形成され、作業者の手で把持され易いように設けられている。操作部12が本体11に対して回動するように作業者によって操作される際には、把持部22は、糸条パッケージ101の外層側の糸条102に接近する方向に沿って回動される。換言すると、操作部12が回動操作される際には、把持部22は、糸条パッケージ101の外層側の糸条102に接近する方向であって、紙管106に糸条102が筒状に巻かれることで形成されている本巻き部分107に接近する方向に沿って回動される。なお、
図7及び
図8では、把持部22が作業者によって回動操作される方向である回動操作方向Pについて、矢印Pにて示している。
【0039】
図3~
図5、
図7、
図8を参照して、回転動作部23は、把持部22と一体に設けられており、把持部22の回動操作に伴って、本体11の内側で本体11に対して回転動作を行う部分として設けられている。回転動作部23は、細長く延びる把持部22の長手方向における一方の端部で把持部22と一体に設けられている。回転動作部23は、例えば、板状又はブロック状の基本形状を有する部分として設けられる。また、回転動作部23は、本体11の内側に配置されており、本体11のベース部材16aとカバー部材16bとの間に配置される。
【0040】
図3~
図8を参照して、軸24は、操作部12を本体11に対して揺動自在に連結し、操作部12の本体11に対する回動操作を可能にするための部分として設けられている。即ち、操作部12は、軸24が設けられていることで、軸24を介して本体11に対して揺動自在に連結され、本体11に対して回動するように操作されるように構成されている。軸24は、回転動作部23に一体に設けられており、回転動作部23の両側に向かって円形断面で円柱状に突出するように設けられている。即ち、軸24は、回転動作部23から本体11のベース部材16a側とカバー部材16b側との両側に向かって円柱状に突出するように設けられている。回転動作部23からベース部材16a側に突出した軸24の一方の端部は、ベース部材16aにおいて長孔として設けられた案内部20に遊嵌状態で挿入されている。回転動作部23からカバー部材16b側に突出した軸24の他方の端部は、カバー部材16bにおいて長孔として設けられた案内部20に遊嵌状態で挿入されている。本体11のベース部材16a及びカバー部材16bに設けられた案内部20に軸24の両端部がそれぞれ遊嵌状態で挿入されていることで、操作部12は、本体11に対して揺動自在に連結されている。
【0041】
支点用凸部25は、操作部12が本体11に対して回動操作された際に本体11に設けられた当接部21と当接し、当接部21と支点用凸部25との当接位置を支点とした操作部12の回動操作を可能にするための部分として設けられている。支点用凸部25は、把持部22と一体に設けられて把持部22から両側に向かって凸状に突出するように設けられている。より具体的には、支点用凸部25は、把持部22における回転動作部23に一体に連結されている端部側から突出するように設けられており、把持部22から本体11のベース部材16a側とカバー部材16b側との両側に向かって突出するように設けられている。なお、支点用凸部25は、本体11の外側で把持部22から両側に突出するように設けられている。即ち、把持部22からベース部材16a側に突出した支点用凸部25は、ベース部材16aの外側でベース部材16a側に向かって突出している。把持部22からカバー部材16b側に突出した支点用凸部25は、カバー部材16bの外側でカバー部材16b側に向かって突出している。
【0042】
[刃部]
図3~
図5、
図7、
図8を参照して、刃部13は、操作部12に対して操作部12の軸24を介して回転自在に連結され、糸条テール103を切断する糸条切断用部材として設けられている。刃部13は、直線状に延びる刃先13aを有し、刃先13aにて糸条テール103を切断するように構成されている。また、刃部13には、貫通孔13bが設けられている。刃部13の貫通孔13bには操作部12の軸24が貫通しており、操作部12の軸24は、貫通孔13bに対して回転自在な状態で挿入されている。これにより、刃部13は、操作部12に対して軸24を介して回転自在に連結されている。なお、刃部13の貫通孔13bに対しては、操作部12の回転動作部23の両側で突出する軸24の両端部のうちの一方の端部が貫通している。
【0043】
[付勢部]
図5及び
図8を参照して、付勢部14は、刃部13と操作部12とを連結するとともに、操作部12が本体11に対して回動する際に刃部13を操作部12が本体11に対して回動する方向に沿って付勢する部材として設けられている。本実施形態では、付勢部14は、バネ部材として設けられており、例えば、コイルバネとして設けられている。
【0044】
付勢部14は、本体11の内側に配置された状態で、刃部13と操作部12とを連結している。付勢部14の一端側の端部は、操作部12の回転動作部23に対して固定された状態で取り付けられている。そして、付勢部14の他端側の端部は、刃部13に対して固定された状態で取り付けられている。付勢部14の一端側の端部と回転動作部23とは、例えば、溶接によって固定されており、或いは、付勢部14の一端側の端部及び回転動作部23のうちの一方に設けられた突起と他方に設けられた溝とが係合することによって固定されている。同様に、付勢部14の他端側の端部と刃部13とは、例えば、溶接により固定されており、或いは、付勢部14の他端側の端部及び刃部13のうちの一方に設けられた突起と他方に設けられた溝とが係合することによって固定されている。
【0045】
[位置決めバネ部材]
図4(A)、
図5、
図7、
図8を参照して、位置決めバネ部材15は、作業者によって操作された操作部12が本体11に対して回動する方向と反対方向に沿って操作部12を本体11に対して付勢するように配置されたバネ部材として設けられている。そして、位置決めバネ部材15は、紙管106の縁部106bに本体11が取り付けられた状態で操作部12が糸条パッケージ101の外層側の糸条102に接近する方向に回動操作される前の状態における本体11に対する操作部12の位置を位置決めするためのバネ部材として設けられている。なお、
図8では、操作された操作部12が本体11に対して回動する方向である回動操作方向Pについて矢印Pで示している。そして、位置決めバネ部材15が、回動操作方向Pと反対方向に沿って操作部12を本体11に対して付勢する方向である反回動操作方向Qについて、矢印Qで示している。
【0046】
バネ部材として設けられた位置決めバネ部材15は、例えば、コイルバネとして構成されている。また、位置決めバネ部材15は、本実施形態では、圧縮コイルバネとして設けられている。位置決めバネ部材15は、本体11の内側に配置され、一端側の端部が操作部12に当接して操作部12を付勢し、他端側の端部が本体11に当接して本体11を付勢するように配置されている。位置決めバネ部材15が本体11に対して操作部12を付勢するように設けられていることで、操作部12の本体11に対する回動操作が行われる前の状態において、本体11に対する操作部12の位置が位置決めされる。
【0047】
なお、
図5及び
図8を参照して、操作部12には、位置決めバネ保持部26が設けられている。位置決めバネ保持部26は、把持部22及び回転動作部23と一体に設けられ、本体11の内側に配置され、位置決めバネ部材15の一端側の端部を保持する部分として設けられている。位置決めバネ保持部26には、凹み形成された保持穴26aが設けられている。位置決めバネ部材15の一端側の端部は、保持穴26aに挿入されて保持穴26aに嵌り込んだ状態で位置決めバネ保持部26と当接して位置決めバネ保持部26に保持されている。また、位置決めバネ保持部26は、本体11の内側において、本体11におけるベース部材16aの内壁に設けられた段部27とも当接可能に設けられている(
図5及び
図8を参照)。本体11の段部27と位置決めバネ保持部26とが当接することで、位置決めバネ部材15によって付勢された操作部12の位置決めバネ保持部26の反回動操作方向Qにおける位置が規制されている。このため、操作部12の本体11に対する回動操作が行われる前の状態において、位置決めバネ部材15が本体11に対して操作部12を付勢することで位置決めされる本体11に対する操作部12の位置は、本体11の段部27と位置決めバネ保持部26とが当接する位置に位置決めされる。
【0048】
また、
図5及び
図8を参照して、本体11には、ベース部材16aにおいて、位置決めバネ保持部28が設けられている。位置決めバネ保持部28は、位置決めバネ部材15の他端側の端部を保持する部分として設けられている。位置決めバネ保持部28には、凹み形成された保持孔28aが設けられている。位置決めバネ部材15の他端側の端部は、保持穴28aに挿入されて保持穴28aに嵌り込んだ状態で位置決めバネ保持部28と当接して位置決めバネ保持部28に保持されている。
【0049】
上記のように、位置決めバネ部材15は、圧縮コイルバネとして設けられて、本体11の内側で、操作部12が本体11に対して回動操作される回動操作方向Pと反対方向である反回動操作方向Qに沿って操作部12を本体11に対して付勢するように配置されている。
【0050】
[操作部の回動操作及びそれに伴う刃部の作動に関する構成]
次に、本体11に対する操作部12の回動操作であって本実施形態に特有の回動操作を可能にするための構成と、操作部12の回動操作に伴う刃部13の作動に関する構成とについて更に詳しく説明する。
図3~
図5、
図7、
図8を参照して、本体11には、操作部12を回動自在に支持するための構成として、案内部20と当接部21とが設けられている。
【0051】
案内部20は、本実施形態では、操作部12に設けられた軸24の両端部がそれぞれ挿入される長孔として設けられている。長孔として本体11に設けられる案内部20は、本体11において一対で設けられており、本体11におけるベース部材16aとカバー部材16bとにそれぞれ設けられている。なお、
図8では、カバー部材16bの図示を省略しており、カバー部材16bに設けられる案内部20を二点鎖線で示している。
【0052】
案内部20は、ベース部材16a及びカバー部材16bをそれぞれ貫通する孔として設けられるとともに、例えば、細長い楕円状の長孔として設けられている。操作部12の軸24の両端部のうちの一方は、ベース部材16aに設けられた案内部20を貫通するとともに遊嵌状態で案内部20に挿通されている。そして、操作部12の軸24の両端部のうちの他方は、カバー部材16bに設けられた案内部20を貫通するとともに遊嵌状態で案内部20に挿通されている。
【0053】
また、各案内部20に挿入されている軸24の両端部のそれぞれは、長孔としての案内部20の長手方向の両端側で案内部20の縁部と当接することで、軸24の案内部20の長手方向に沿った変位量が規制されている。より具体的には、各案内部20に挿入された軸24の両端部のそれぞれは、長孔としての案内部20の長手方向における一端側の縁部20aと他端側の縁部20bとにおいてそれぞれ当接することで、各案内部20の長手方向に沿った変位量が規制されている(
図3、
図4、
図7を参照)。案内部20の一端側の縁部20aと他端側の縁部20bとは、いずれも半円弧状に形成されている。そして、軸24は、円形断面で円柱状に延びる形状に形成されており、円形の外周面において案内部20の一端側の縁部20a及び他端側の縁部20bと当接可能に設けられている。このため、案内部20の一端側の縁部20a又は他端側の縁部20bに当接した軸24は、案内部20の一端側の縁部20a又は他端側の縁部20bと摺接しながら案内部20内で回転可能な状態となっている。なお、
図3、
図4、
図7においては、軸24の両端部のそれぞれが各案内部20の長手方向における一端側の縁部20aと当接した状態を示している。
【0054】
また、各案内部20に挿入された軸24の両端部のそれぞれは、案内部20の長手方向に沿って変位することで、軸24の案内部20の長手方向に沿った移動が案内されるように構成されている。即ち、各案内部20に挿入された軸24の両端部のそれぞれは、長孔としての案内部20の長手方向に沿って延びる案内部20の縁部に沿って摺接しながら変位することで案内部20の長手方向に沿った移動が案内されるように構成されている。
【0055】
案内部20は、上述した構成を備えることにより、軸24の移動を案内するとともに軸24の本体11に対する移動量を規制するように構成されている。また、軸24は、刃部13の貫通孔13bに挿通されて刃部13に対して回転自在に連結されている。そして、刃部13は、付勢部14を介して操作部12と連結されており、操作部12の本体11に対する回動操作が行われた際の操作部12からの付勢力が付勢部14を介して刃部13に伝達されると、刃部13に連結された軸24は、本体11に対して刃部13とともに変位する。したがって、案内部20は、本体11に対して刃部13とともに変位する軸24の移動を案内するとともに刃部13の本体11に対する移動量を規制するように構成されている。
【0056】
図3~
図5、
図7、
図8を参照して、当接部21は、案内部20で軸24の移動が案内される際に、操作部12と当接して操作部12の本体11に対する回動動作の支点となる部分として設けられている。当接部21は、本体11において一対で設けられており、本体11におけるベース部材16aとカバー部材16bとにそれぞれ設けられている。当接部21は、操作部12に設けられた支点用凸部25と当接して操作部12の本体11に対する回動動作の支点となるように設けられている。なお、ベース部材16aに設けられた当接部21は、操作部12においてベース部材16a側に向かって突出した支点用凸部25と当接するように構成されている。そして、カバー部材16b側に設けられた当接部21は、操作部12においてカバー部材16b側に向かって突出した支点用凸部25と当接するように構成されている。
【0057】
当接部21は、ベース部材16a及びカバー部材16bのそれぞれにおいて、外側に向かって突出する形状に形成されている。そして、当接部21は、本体11に揺動自在に支持された操作部12における把持部22が本体11から外側に向かって突出して延びる方向に沿って、ベース部材16a及びカバー部材16bのそれぞれから突出して延びている。また、当接部21は、ベース部材16a及びカバー部材16bのそれぞれから外側に向かって突出して延びる先端側にかけて窄まるような形状に設けられている。更に、当接部21における突出して延びる先端側の部分は、円弧状の断面を有する曲面で形成されている。このため、当接部21は、操作部12の支点用凸部25と滑らかに摺接しながら当接することができるように構成されている。
【0058】
ここで、本体11に対する操作部12の回動操作と操作部12の回動操作に伴う刃部13の作動に関する構成について更に詳しく説明する。
図6~
図8を参照して、糸カットツール1を用いた糸条テール103の切断作業が行われる際には、まず、糸条パッケージ101の紙管106の縁部106bに糸カットツール1が取り付けられる。このとき、本体11の引掛け部17と押さえ部18とによって紙管106の縁部106bに本体11が取り付けられる。即ち、
図7及び
図8に示すように、本体11は、引掛け部17と押さえ部18とによって紙管106の縁部106bを挟んだ状態で保持することで、紙管106の縁部106bに取り付けられる。この状態では、操作部12の軸24は、案内部20の長手方向における一端側の縁部20aと当接しており、本体11に対する移動が規制された状態となっている。なお、案内部20の一端側の縁部20aにて本体11に対する移動が規制された軸24は、案内部20の一端側の縁部20aと摺接しながら案内部20内で回転可能な状態となっている。また、本体11が紙管106の縁部106bに取り付けられた状態では、操作部12に対して軸24で回転自在に支持されるとともに付勢部14で連結された刃部13の刃先13aは、糸条テール103の螺旋巻き部103bの糸条102に対して隙間を介して離間した状態で配置されている。
【0059】
上記のように、本体11が紙管106の縁部106bに取り付けられた状態で、操作部12が本体11に対して回動するように操作される回動操作が行われる。操作部12は、糸条パッケージ101の外層側の糸条102に接近する方向に沿って回動操作される。操作部12の回動操作としては、連続的に続けて行われる操作である第1の回動操作と第2の回動操作とが行われる。第1の回動操作と第2の回動操作とは、連続して行われ、1回動作的な回動操作として行われる。
【0060】
図8に示すように紙管106の縁部106bに本体11が取り付けられた状態で操作部12が糸条パッケージ101の外層側の糸条102に接近する方向に回動操作される第1の回動操作が行われる。即ち、操作部12の把持部22が回動操作方向Pに沿って操作され、操作部12が、糸条パッケージ101の本巻き部分107に接近する方向に沿って回動操作される第1の回動操作が行われる。
【0061】
図9は、糸カットツール1において第1の回動操作が行われた状態を拡大して示す図であって、糸カットツール1の内部構造を示すために糸カットツール1の本体11の一部を省略した状態で示す図である。
図9を参照して、第1の回動操作が行われると、これによって、案内部20の一端側の縁部20aによって移動が規制された軸24を中心として操作部12が本体11に対して回動する。そして、第1の回動操作によって操作部12が軸24を中心として本体11に対して回動すると、付勢部14を介して操作部12によって紙管106の縁部106bに向かって付勢された刃部13の刃先13aが糸条テール103の螺旋巻き部103bに当接する。更に、このとき、操作部12が当接部21で本体11に当接する。より具体的には、操作部12の支点用凸部25が、本体11の当接部21に対して当接する。このように、糸カットツール1は、第1の回動操作によって、案内部20によって移動が規制された軸24を中心として操作部12が本体11に対して回動し、付勢部14を介して操作部12によって紙管106の縁部106bに向かって付勢された刃部13が糸条テール103に当接するとともに、操作部12が当接部21で本体11に当接するように構成されている。
【0062】
第1の回動操作が行われると、続いて第2の回動操作が行われる。第1の回動操作と第2の回動操作とは、連続的に行われる。本体11が紙管106の縁部106bに取り付けられた状態で操作部12が糸条パッケージ101の外層側の糸条102に接近する方向に回動操作が行われると、まず、第1の回動操作が行われ、軸24を中心として操作部12が回動して刃部13が付勢されて刃部13が糸条テール103に当接するとともに操作部12が当接部21で本体11に当接した状態となる。そして、操作部12が当接部21で本体11に当接した状態で操作部12が糸条パッケージ101の外層側の糸条102に接近する方向に更に回動操作される第2の回動操作が行われる。即ち、操作部12の把持部22が回動操作方向Pに沿って更に操作され、操作部12が糸条パッケージ101の本巻き部分107に接近する方向に沿って更に回動操作される第2の回動操作が行われる。
【0063】
図10は、糸カットツール1において第2の回動操作が行われた状態を拡大して示す図であって、糸カットツール1の内部構造を示すための糸カットツール1の本体11の一部を省略した状態で示す図である。
図10を参照して、第2の回動操作が行われると、これによって、操作部12が当接部21を支点として回動する。即ち、操作部12は、支点用凸部25で本体11の当接部21に当接しており、この状態で第2の回動操作が行われることで、支点用凸部25が当接した本体11の当接部21を支点として操作部12が本体11に対して回動する。
【0064】
そして、第2の回動操作によって操作部12が当接部21を支点として本体11に対して回動すると、付勢部14を介して操作部12によって回動操作方向P(操作部12が本体11に対して回動する方向)に沿って付勢された刃部13とともに移動する軸24が案内部20によって案内されて移動する。即ち、第2の回動操作によって操作部12が当接部21を支点として回動すると、付勢される刃部13とともに移動する軸24が、長孔としての案内部20の長手方向に沿って案内部20の一端側の縁部20a側から他端側の縁部20b側に向かって案内部20によって案内されて移動する。そして、第2の回動操作によって操作部12が当接部21を支点として回動し、刃部13とともに移動する軸24が案内部20によって案内されて移動することで、刃部13が糸条パッケージ101の外層側の糸条102から紙管106の軸方向Xに沿って離間するようにスライド移動する。刃部13が糸条パッケージ101の外層側の糸条102から紙管106の軸方向Xに沿って離間するようにスライド移動することで、刃部13の刃先13aが糸条テール103の螺旋巻き部103bの糸条102を通過する。これにより、刃部13の刃先13aによって糸条テール103の糸条102が切断される。なお、
図10では、切断された状態の糸条テール103の螺旋巻き部103bの糸条102の端面について、黒色で塗りつぶすハッチングを付さずに、糸条102の外形のみを示した円形の端面で示している。
【0065】
[糸条テールの切断作業]
次に糸カットツール1を用いた糸条テール103の切断作業について説明する。
図2に示すようなテール繋ぎ作業が行われる前の状態の糸条パッケージ101に対して糸条テール103の切断作業が行われる。このとき、
図6~
図8に示すように、本体11が紙管106の縁部106bに取り付けられることで、糸カットツール1が紙管106の縁部106bに取り付けられる。
【0066】
図11は、糸カットツール1による糸条テール103の切断が行われる際における糸カットツール1の刃部13及び糸条パッケージ101の糸条テール103の状態を示す図である。なお、
図11(A)は、糸カットツール1が糸条パッケージ101の紙管106に取り付けられたときの刃部13及び糸条テール103の状態を模式的に示す図である。
図11(B)は、第1の回動操作が行われたときの刃部13及び糸条テール103の状態を模式的に示す図である。
図11(C)は、第2の回動操作が行われたときの刃部13及び糸条テール103の状態を模式的に示す図である。
【0067】
糸カットツール1が紙管106の縁部106bに取り付けられた状態では、第1の回動操作が行われる前の状態における本体11に対する操作部12の位置が位置決めバネ部材15によって位置決めされている(
図8を参照)。そして、
図8及び
図11(A)に示すように、軸24は、案内部20の一端側の縁部20aで移動が規制されており、刃部13は、糸条テール103から離間している。この状態で、第1の回動操作が行われる。第1の回動操作が行われることによって、軸24を中心として操作部12が回動し、操作部13によって付勢部14を介して付勢された刃部13も、
図11(A)において一点鎖線の矢印Rで示す回動方向Rに沿って軸24を中心として回動する。
【0068】
第1の回動操作が行われると、
図9及び
図11(B)に示すように、回動する操作部12によって付勢部14を介して付勢されて回動した刃部13が糸条テール103に当接する。なお、付勢部14はバネ部材として設けられているため、刃部13が糸条テール103に当接する際、操作部12から刃部13へと伝達される付勢力を付勢部14が弾性変形して吸収し、刃部13が過度に紙管106の縁部106bに押し付けられてしまうことが防止される。また、第1の回動操作が行われると、操作部12の支点凸部25が本体11の当接部21に当接した状態となる。
【0069】
第1の回動操作が行われ、刃部13が糸条テール103に当接するとともに操作部12が当接部21で本体11に当接した状態となると、続いて第2の回動操作が連続的に行われる。第2の回動操作が行われることによって、当接部21を支点として操作部12が本体11に対して回動し、操作部12によって付勢部14を介して付勢された刃部13とともに軸24が案内部20によって案内されて移動する。これにより、刃部13は、糸条パッケージ101の外層側の糸条102から紙管106の軸方向Xに沿って離間するようにスライド移動する(
図9及び
図10を参照)。尚、
図11(B)においては、刃部13がスライド移動するスライド移動方向Sについて、一点鎖線の矢印Sで示している。
【0070】
第2の回動操作が行われると、
図10及び
図11(C)に示すように、刃部13が、糸条パッケージ101の外層側の糸条102から離間する方向にスライド移動し、刃部13によって糸条テール103の螺旋巻き部103bの糸条102が切断される。これにより、糸条テール103の切断が完了することになる。なお、糸カットツール1においては、第2の回動操作が行われた状態では、軸24が、案内部20における他端側の縁部20bに当接するように構成されている。これにより、第2の回動操作の回動操作量が規制され、過度な回動操作が行われないように構成されている。
【0071】
第2の回動操作が行われ、糸条テール103の切断が完了すると、操作部12が第2の回動操作及び第1の回動操作の方向と反対方向に回動するように操作される。これにより、本体11に対する操作部12の状態が、第1の回動操作が行われる前と同じ状態に戻される。この状態で、本体11が紙管106の縁部106bから取り外される。これにより、糸条テール103の切断作業が終了する。糸条テール103の切断作業が終了すると、テール繋ぎ作業が行われることになる。
【0072】
[本実施形態の作用効果]
上述の本実施形態の糸カットツール1によれば、引掛け部17と押さえ部18とによって本体11が紙管106の縁部106bに取り付けられるため、糸条テール103の切断作業の際には、糸カットツール1を紙管106の縁部106bに対して機構的に所定の位置に位置決めすることができる。そして、第1の回動操作が行われることで、紙管106の縁部106bにおける所定の位置で刃部13が糸条テール103に当接し、次いで、第2の回動操作が行われることで、刃部13がスライド移動して糸条テール103が切断される。このため、作業者の技能に依存せずに、テール繋ぎ作業に必要な糸条テール103の長さが適切に確保される位置で糸条テール103の切断を行うことができ、更に、切断される端部以外の部分に損傷を与えずに糸条テール103を切断することもできる。また、刃部13は、第1の回動操作で糸条テール103に当接し、第2の回動操作でスライド移動して糸条102を切断するため、紙管106に大きな損傷を与えてしまうことも防止することができる。よって、本実施形態の糸カットツール1によると、糸条テール103の切断作業において、作業者の技能に依存せずに切断作業を行うことができ、作業者の負担も軽減することができる。
【0073】
また、本実施形態の糸カットツール1によれば、付勢部14がバネ部材であるため、第1の回動操作の際に、刃部13が付勢部14を介して操作部12に付勢されて糸条テール103に当接する際に、操作部12から刃部13へと伝達される付勢力を付勢部14が弾性変形して吸収することができる。このため、刃部13が過度に紙管106の縁部106bに対して押し付けられてしまうことを防止でき、紙管106に大きな損傷を与えてしまうことを更に防止することができる。
【0074】
また、本実施形態の糸カットツール1によれば、本体11に長孔を設けた簡素な構成で、本体11に対して刃部13とともに変位する軸24の本体11に対する移動を案内するとともに刃部13の本体11に対する移動量を規制する案内部20を実現することができる。
【0075】
また、本実施形態の糸カットツール1によれば、第1の回動操作が行われる前の状態における本体11に対する操作部12の位置を位置決めバネ部材15によって簡単に位置決めすることができる。
【0076】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0077】
(1)前述の実施形態では、紙管106が円筒状に形成された形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。紙管106は、円筒状以外の形状に形成されているものであってもよく、例えば、円錐状に形成されたものであってもよい。
【0078】
(2)前述の実施形態では、付勢部14がコイルバネとして設けられる形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。付勢部14が、コイルバネ以外の形態のバネ部材として設けられる形態が実施されてもよい。例えば、付勢部14が、ゴム部材として設けられる形態が実際されてもよい。また、付勢部14は、バネ部材以外の形態であってもよい。
【0079】
(3)前述の実施形態では、案内部20が長孔として設けられる形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。案内部20は、長孔以外の形態であってもよく、例えば、軸24が挿入されるように構成されて細長く延びる溝として設けられてもよい。
【0080】
(4)前述の実施形態では、紙管106の長手方向の一方の端部側に設けられたスリット106aを使用して、糸条102を紙管106に対して固定することで糸条102を把持する形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。スリット106aを使用せずに、糸条102が紙管106に対して保持されてもよい。例えば、紙管106と紙管106との間において糸条102が挟まれることによって、糸条102が把持される形態が実施されてもよい。また、紙管106を保持するボビンホルダー自体に糸条102を把持する機構が設けられ、この機構によって糸条102が把持される形態が実施されてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 糸カットツール
11 本体
12 操作部
13 刃部
14 付勢部
15 位置決めバネ部材
17 引掛け部
18 押さえ部
20 案内部
21 当接部
24 軸
101 糸条パッケージ
102 糸条
103 糸条テール
106 紙管
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
糸カットツール1が紙管106の縁部106bに取り付けられた状態では、第1の回動操作が行われる前の状態における本体11に対する操作部12の位置が位置決めバネ部材15によって位置決めされている(
図8を参照)。そして、
図8及び
図11(A)に示すように、軸24は、案内部20の一端側の縁部20aで移動が規制されており、刃部13は、糸条テール103から離間している。この状態で、第1の回動操作が行われる。第1の回動操作が行われることによって、軸24を中心として操作部1
3が回動し、操作部13によって付勢部14を介して付勢された刃部13も、
図11(A)において一点鎖線の矢印Rで示す回動方向Rに沿って軸24を中心として回動する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
(2)前述の実施形態では、付勢部14がコイルバネとして設けられる形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。付勢部14が、コイルバネ以外の形態のバネ部材として設けられる形態が実施されてもよい。例えば、付勢部14が、ゴム部材として設けられる形態が実施されてもよい。また、付勢部14は、バネ部材以外の形態であってもよい。