(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086322
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】内燃機関の制御装置
(51)【国際特許分類】
F02D 17/02 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
F02D17/02 M
F02D17/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201392
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 陽
【テーマコード(参考)】
3G092
【Fターム(参考)】
3G092AA01
3G092AA02
3G092AA14
3G092BB10
3G092CA09
3G092DA08
3G092FA06
(57)【要約】
【課題】燃料カット復帰時に内燃機関を良好に稼働させることができる内燃機関の制御装置を提供すること。
【解決手段】複数の気筒5と、気筒5の吸気バルブ14の開弁特性を変更可能な吸気可変動弁機構3Aと、気筒5の排気バルブ24の開弁特性を変更可能な排気可変動弁機構3Bと、全ての気筒5内への燃料の供給を停止中に、吸気可変動弁機構3Aにより吸気バルブ14を閉弁するとともに排気可変動弁機構3Bにより排気バルブ24を開弁する排気導入制御を実行するように制御する制御部51と、を備え、制御部51は、全ての気筒5内への燃料の供給を停止する全気筒燃料カット要求がある場合、全ての気筒5内に新気を導入した後、排気導入制御を実行するように制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気筒と、
前記気筒の吸気弁の開弁特性を変更可能な吸気可変動弁機構と、
前記気筒の排気弁の開弁特性を変更可能な排気可変動弁機構と、
を備える内燃機関の制御装置であって、
全ての前記気筒内への燃料の供給を停止中に、前記吸気可変動弁機構により前記吸気弁を閉弁するとともに前記排気可変動弁機構により前記排気弁を開弁する排気導入制御を実行するように制御する制御部を備え、
前記制御部は、全ての前記気筒内への燃料の供給を停止する全気筒燃料カット要求がある場合、全ての前記気筒内に新気を導入した後、前記排気導入制御を実行するように制御する内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、全ての前記気筒内への燃料の供給を停止する全気筒燃料カット要求がある場合、全ての前記気筒内を新気で満たした後、前記排気導入制御を実行するように制御する請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、一部の前記気筒への燃料カットを実行するとともに前記排気導入制御を実行した後、当該気筒内に新気を導入し、その後、当該気筒を再稼働させる請求項1または請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、一部の前記気筒への燃料カットを実行するとともに前記排気導入制御を実行した後、当該気筒内を新気で満たし、その後、当該気筒を再稼働させる請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、所定運転条件下でエンジンの各気筒を稼働気筒および休止気筒とする可変気筒システムと、吸排気弁の開閉動作タイミングを可変制御する可変バルブタイミング機構とを備えたエンジンの制御装置において、ECUは、休止気筒の吸気弁を閉じるとともに、排気バイパス通路の排気バイパス弁を開けて、稼働気筒の排気管から排気の一部を休止気筒に導入することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、燃料供給が停止されていた気筒に対して燃料供給が再開されるときに、燃料供給が停止されていた気筒内には燃焼に必要な空気が不足しているため、まず気筒内に新気を導入する必要があり、速やかなエンジン再稼働が難しいという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、燃料カットからの復帰時に内燃機関を良好に稼働させることができる内燃機関の制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明は、複数の気筒と、前記気筒の吸気弁の開弁特性を変更可能な吸気可変動弁機構と、前記気筒の排気弁の開弁特性を変更可能な排気可変動弁機構と、を備える内燃機関の制御装置であって、全ての前記気筒内への燃料の供給を停止中に、前記吸気可変動弁機構により前記吸気弁を閉弁するとともに前記排気可変動弁機構により前記排気弁を開弁する排気導入制御を実行するように制御する制御部を備え、前記制御部は、全ての前記気筒内への燃料の供給を停止する全気筒燃料カット要求がある場合、全ての前記気筒内に新気を導入した後、前記排気導入制御を実行するように制御するものである。
【発明の効果】
【0007】
このように、本発明によれば、燃料カット復帰時に内燃機関を良好に稼働させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係る内燃機関及びその制御装置の概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係る内燃機関の制御装置の燃料カット中排気導入要求判定の手順を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係る内燃機関の制御装置の燃料カット中排気導入制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態に係る内燃機関の制御装置は、複数の気筒と、気筒の吸気弁の開弁特性を変更可能な吸気可変動弁機構と、気筒の排気弁の開弁特性を変更可能な排気可変動弁機構と、を備える内燃機関の制御装置であって、全ての気筒内への燃料の供給を停止中に、吸気可変動弁機構により吸気弁を閉弁するとともに排気可変動弁機構により排気弁を開弁する排気導入制御を実行するように制御する制御部を備え、制御部は、全ての気筒内への燃料の供給を停止する全気筒燃料カット要求がある場合、全ての気筒内に新気を導入した後、排気導入制御を実行するように制御するよう構成されている。
【0010】
これにより、本発明の一実施の形態に係る内燃機関の制御装置は、燃料カット復帰時に内燃機関を良好に稼働させることができる。
【実施例0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る内燃機関の制御装置について詳細に説明する。
【0012】
図1に示すように、本発明の一実施例に係る内燃機関1は、例えば直列4気筒のガソリンエンジンで構成されている。なお、内燃機関1の気筒数は4気筒に限られない。また、内燃機関1は、ガソリンエンジンに限らず、ディーゼルエンジンであってもよい。
【0013】
内燃機関1は、シリンダブロック2と、シリンダブロック2の上部に締結されたシリンダヘッド3とを含んで構成されている。シリンダブロック2には、気筒5が形成されている。気筒5には、気筒5内を上下に往復動可能なピストン6が収納されている。また、気筒5の上部には、燃焼室7が設けられている。
【0014】
内燃機関1は、気筒5内でピストン6が往復する間に、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程からなる一連の4行程を行なう、いわゆる4サイクルのガソリンエンジンである。
【0015】
ピストン6は、コネクティングロッド8を介してクランクシャフト9に連結されている。コネクティングロッド8は、ピストン6の往復運動をクランクシャフト9の回転運動に変換する。
【0016】
シリンダヘッド3には、点火プラグ10と、吸気ポート11と、排気ポート12とが設けられている。点火プラグ10は、燃焼室7内に電極を突出させた状態でシリンダヘッド3に設けられ、図示しないイグナイタによってその点火時期が調整される。
【0017】
吸気ポート11は、燃焼室7と後述する吸気通路16aとを連通している。吸気ポート11には、吸気弁としての吸気バルブ14が設けられている。排気ポート12は、燃焼室7と後述する排気通路26aとを連通している。排気ポート12には、排気弁としての排気バルブ24が設けられている。
【0018】
吸気バルブ14および排気バルブ24は、クランクシャフト9との間に巻き掛けられた図示しないタイミングチェーンまたはタイミングベルトによって開閉される。
【0019】
また、シリンダヘッド3の吸気ポート11側には、吸気管16が接続されている。吸気管16の内部には、吸気ポート11と連通する吸気通路16aが形成されている。吸気通路16aには、電子制御式のスロットルバルブ18が設けられている。
【0020】
スロットルバルブ18は、後述するECU50に電気的に接続されている。したがって、スロットルバルブ18は、ECU50からの指令信号に応じてスロットル開度が制御されることで、内燃機関1の吸入空気量を調整する。
【0021】
また、内燃機関1は、インジェクタ13を備えている。インジェクタ13は、ポート噴射式の燃料噴射弁であり、図示しない燃料タンクから燃料ポンプによって圧送された燃料を、吸気ポート11を介して燃焼室7に噴射する。
【0022】
このように構成された内燃機関1において、吸気通路16aを通過する空気は、スロットルバルブ18により流量が調整された後、吸気ポート11に導入される。そして、吸気ポート11に導入された空気は、インジェクタ13から噴射された燃料と混合され、燃焼室7に導入される。
【0023】
一方、シリンダヘッド3の排気ポート12側には、排気管26が接続されている。排気管26の内部には、排気ポート12と連通する排気通路26aが形成されている。排気通路26a上には、触媒27が設けられている。触媒27は、燃焼室7から排出された排気を浄化する。触媒27は、排気中に含まれる有害物質である炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)を同時に浄化する三元触媒からなり、理論空燃比において最大の排気浄化性能を発揮する。
【0024】
内燃機関1は、水温センサ28、O2センサ29、クランク角センサ32、吸気温センサ41、エアフローセンサ42およびアクセル開度センサ43を備えている。
【0025】
水温センサ28は、シリンダブロック2に形成されたウォータジャケット2a内を流通する冷却水の温度(冷却水温度)、すなわちエンジン水温を検出する。
【0026】
O2センサ29は、触媒27よりも排気方向上流側に設けられている。O2センサ29は、空燃比に対して理論空燃比を基準にしてリッチ側とリーン側とで出力が急変する出力特性を有する酸素センサである。なお、酸素センサとしては、O2センサ29に代えて、空燃比に対してリニアな出力特性を有するA/Fセンサを用いてもよい。
【0027】
クランク角センサ32は、クランクシャフト9の回転角度を検出し、検出信号をECU50に出力する。したがって、クランク角センサ32はエンジン回転速度を検出する。
【0028】
吸気温センサ41は、吸気通路16aにおけるスロットルバルブ18の上流側を通過する空気の温度(吸気温度)を検出し、検出信号をECU50に出力する。
【0029】
エアフローセンサ42は、吸気通路16aにおけるスロットルバルブ18の下流側を通過する空気の量(吸入空気量)を検出し、検出信号をECU50に出力する。
【0030】
アクセル開度センサ43は、図示しないアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出し、検出信号をECU50に出力する。
【0031】
内燃機関1は、吸気可変動弁機構3Aと、排気可変動弁機構3Bとを備えている。吸気可変動弁機構3Aは、吸気バルブ14用の図示しないカムシャフトに設けられており、吸気バルブ14のバルブタイミング(開閉時期)を制御する。詳しくは、吸気可変動弁機構3Aは、吸気バルブ14の閉弁時期が遅角側または進角側に可変となるようにバルブタイミングを制御する。
【0032】
排気可変動弁機構3Bは、排気バルブ24用の図示しないカムシャフトに設けられており、排気バルブ24のバルブタイミング(開閉時期)を制御する。詳しくは、排気可変動弁機構3Bは、排気バルブ24の閉弁時期が遅角側または進角側に可変となるようにバルブタイミングを制御する。
【0033】
上述のように構成された内燃機関1は、内燃機関の制御装置としてのECU(Engine Control Unit)50によってその運転状態が制御されるようになっている。ECU50は、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUは、RAMの一時記憶機能を利用するとともにROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。ROMには、各種制御定数や各種マップ等が予め記憶されている。
【0034】
ECU50の入力側には、CAN等の規格の通信ラインを介して、水温センサ28、O2センサ29、クランク角センサ32、吸気温センサ41、エアフローセンサ42、アクセル開度センサ43等の各種センサ類が接続されている。
【0035】
一方、ECU50の出力側には、CAN等の規格の通信ラインを介して、前述した点火プラグ10、インジェクタ13、スロットルバルブ18、吸気可変動弁機構3A、排気可変動弁機構3B等の各種装置が接続されている。
【0036】
ECU50は、ドライバによる操作や内燃機関1の運転状態等に基づいて、点火プラグ10、インジェクタ13、スロットルバルブ18、吸気可変動弁機構3Aおよび排気可変動弁機構3Bを制御する。また、ECU50は、通信ラインを介して各種のセンサ、アクチュエータおよび他の制御ユニットと通信する通信機能を有する。ECU50は、インジェクタ13への通電を制御することで、内燃機関1への燃料噴射時期および燃料噴射量を制御する。
【0037】
ECU50は、アクセルペダルが踏み込まれていないこと等を含む所定の条件の成立時は、内燃機関1の燃料噴射を停止する燃料カットを実行する。
【0038】
ECU50は、内燃機関1の運転状態に応じて、一部の気筒5の燃料カット、または全気筒5の燃料カットを実行する。
【0039】
ECU50は、例えば、現在のエンジン水温が所定の水温設定値以下であるか、または吸気温度が所定の吸気温度設定値以下である場合、燃料カット中排気導入要求成立とする。
【0040】
ECU50は、燃料カット中排気導入要求成立中に燃料カット要求がある場合、燃料カットの実行中に、吸気可変動弁機構3Aにより吸気バルブ14を閉弁させるとともに、排気可変動弁機構3Bにより排気バルブ24を開弁させる排気導入制御を実行するように制御する制御部51を備えている。
【0041】
排気導入制御では、吸気バルブ14を閉じることで新気の導入を極力減らし、吸気行程および排気行程の両方で排気バルブ24を開弁し、エキゾーストマニホールド内の温かい空気を気筒5内に導入することで、気筒5内の温度の低下を抑制させる。
【0042】
制御部51は、全ての気筒5内への燃料の供給を停止する全気筒燃料カット要求がある場合、全ての気筒5内に新気を導入させた後、排気導入制御を実行するように制御する。
【0043】
制御部51は、全ての気筒5内への燃料の供給を停止する全気筒燃料カット要求がある場合、全ての気筒5内を新気で満たした後、排気導入制御を実行するように制御してもよい。
【0044】
制御部51は、例えば、全気筒燃料カット要求がある場合、全ての気筒5で第1設定値サイクル換気を行なってから、全ての気筒5において排気導入制御を実行する。なお、第1設定値には、例えば、内燃機関1の内部EGR率に基づいて算出された、燃料カット中に全ての気筒5を新気で満たすために必要なサイクル数が設定される。
【0045】
全気筒燃料カットの際に新気を導入するのは、新気を排気管26と気筒5の間で往復させることで気筒5内の温度の低下を抑制しつつ、かつ、次にアクセルペダルが踏み込まれた際に直ぐ燃料を噴射させて出力を取り出すことができるようにするためである。
【0046】
制御部51は、一部の気筒5への燃料カットを実行し、その気筒5に対して排気導入制御を実行した後、その気筒5内に新気を導入し、その後、その気筒5を再稼働させる。
【0047】
制御部51は、一部の気筒5への燃料カットを実行し、その気筒5に対して排気導入制御を実行した後、その気筒5内を新気で満たし、その後、その気筒5を再稼働させてもよい。
【0048】
制御部51は、例えば、一部の気筒5への燃料カットを実行し、その気筒5に対して排気導入制御を実行した後、その気筒5の燃料カットが終わるとき、その気筒5で第2設定値サイクル換気を行なってから、その気筒5を再稼働させる。なお、第2設定値には、例えば、気筒5別の内部EGR率に基づいて算出された、燃料カット後にその気筒5を新気で満たすために必要なサイクル数が設定される。
【0049】
一部の気筒5の燃料カットを行なう場合は、排気管26内に他の気筒5の排気が存在するため、全気筒燃料カット時と同様の制御を実行したとしても、新気が排気と混ざり、直ぐに燃焼させることができないが、出力の遅れは他の燃料カットを行なっていない気筒5の点火タイミング等でカバーできるので問題とならない。このため、気筒5内の温度低下を防ぐことを優先して、新気導入を排気導入制御の後としている。
【0050】
以上のように構成された本実施例に係る内燃機関の制御装置による燃料カット中排気導入要求判定処理について、
図2を参照して説明する。なお、以下に説明する燃料カット中排気導入要求判定処理は、ECU50が動作を開始すると開始される。
【0051】
ステップS1において、ECU50は、現在のエンジン水温と吸気温度のデータを取得する。ステップS1の処理を実行した後、ECU50は、ステップS2の処理を実行する。
【0052】
ステップS2において、ECU50は、エンジン水温が水温設定値以下であるか否かを判定する。
【0053】
エンジン水温が水温設定値以下であると判定した場合には、ECU50は、ステップS4の処理を実行する。エンジン水温が水温設定値以下でないと判定した場合には、ECU50は、ステップS3の処理を実行する。
【0054】
ステップS3において、ECU50は、吸気温度が吸気温度設定値以下であるか否かを判定する。
【0055】
吸気温度が吸気温度設定値以下であると判定した場合には、ECU50は、ステップS4の処理を実行する。吸気温度が吸気温度設定値以下でないと判定した場合には、ECU50は、ステップS5の処理を実行する。
【0056】
ステップS4において、ECU50は、燃料カット中排気導入要求成立とする。ステップS4の処理を実行した後、ECU50は、ステップS1の処理を実行する。
【0057】
ステップS5において、ECU50は、燃料カット中排気導入要求不成立とする。ステップS5の処理を実行した後、ECU50は、ステップS1の処理を実行する。
【0058】
本実施例に係る内燃機関の制御装置による燃料カット中排気導入制御処理について、
図3を参照して説明する。なお、以下に説明する燃料カット中排気導入制御処理は、ECU50が動作を開始すると開始され、予め設定された時間間隔で実行される。
【0059】
ステップS11において、ECU50は、燃料カット中排気導入要求成立中であるか否かを判定する。
【0060】
燃料カット中排気導入要求成立中であると判定した場合には、ECU50は、ステップS12の処理を実行する。燃料カット中排気導入要求成立中でないと判定した場合には、ECU50は、ステップS18の処理を実行する。
【0061】
ステップS12において、ECU50は、燃料カット要求が有るか否かを判定する。
【0062】
燃料カット要求が有ると判定した場合には、ECU50は、ステップS13の処理を実行する。燃料カット要求が無いと判定した場合には、ECU50は、ステップS18の処理を実行する。
【0063】
ステップS13において、ECU50は、燃料カット要求が全気筒の燃料カット要求であるか否かを判定する。
【0064】
全気筒の燃料カット要求であると判定した場合には、ECU50は、ステップS14の処理を実行する。全気筒の燃料カット要求でないと判定した場合には、ECU50は、ステップS17の処理を実行する。
【0065】
ステップS14において、ECU50は、全気筒5で第1設定値サイクル換気が済んでいるか否かを判定する。
【0066】
全気筒5で第1設定値サイクル換気が済んでいると判定した場合には、ECU50は、ステップS16の処理を実行する。全気筒5で第1設定値サイクル換気が済んでいないと判定した場合には、ECU50は、ステップS15の処理を実行する。
【0067】
ステップS15において、ECU50は、通常の燃料カットを行なうとともに新気の導入を行なう。ステップS15の処理を実行した後、ECU50は、ステップS14の処理を実行する。
【0068】
ステップS16において、ECU50は、全気筒5の吸気バルブ14を閉じ、全気筒5で排気導入制御を実行する。ステップS16の処理を実行した後、ECU50は、ステップS11の処理を実行する。
【0069】
ステップS17において、ECU50は、燃料カットを行なう気筒5の燃料カットを行なうとともに燃料カットを行なう気筒5の吸気バルブ14を閉じ、燃料カットを行なう気筒5で排気導入制御を実行する。ステップS17の処理を実行した後、ECU50は、ステップS11の処理を実行する。
【0070】
ステップS18において、ECU50は、全気筒以外の燃料カットの経験が有るか否かを判定する。
【0071】
全気筒以外の燃料カットの経験が有ると判定した場合には、ECU50は、ステップS19の処理を実行する。全気筒以外の燃料カットの経験が無いと判定した場合には、ECU50は、ステップS21の処理を実行する。
【0072】
ステップS19において、ECU50は、燃料カットを経験した気筒5は第2設定値サイクル換気が済んでいるか否かを判定する。
【0073】
第2設定値サイクル換気が済んでいると判定した場合には、ECU50は、ステップS21の処理を実行する。第2設定値サイクル換気が済んでいないと判定した場合には、ECU50は、ステップS20の処理を実行する。
【0074】
ステップS20において、ECU50は、燃料カットを経験した気筒5に新気を導入する。ステップS20の処理を実行した後、ECU50は、ステップS19の処理を実行する。
【0075】
ステップS21において、ECU50は、燃料カット中排気導入要求成立中であるか否かを判定する。
【0076】
燃料カット中排気導入要求成立中であると判定した場合には、ECU50は、ステップS11の処理を実行する。燃料カット中排気導入要求成立中でないと判定した場合には、ECU50は、燃料カット中排気導入制御処理を終了する。
【0077】
このように、本実施例では、制御部51は、全ての気筒5内への燃料の供給を停止する全気筒燃料カット要求がある場合、全ての気筒5内に新気を導入させた後、排気導入制御を実行するように制御する。
【0078】
これにより、全気筒燃料カット要求がある場合、全ての気筒5内に新気を導入した後、排気導入制御を実行するため、燃料カット中の気筒5内温度の低下を抑制し、さらに燃料カット復帰時に内燃機関1を良好に稼働させることができる。
【0079】
また、制御部51は、全ての気筒5内への燃料の供給を停止する全気筒燃料カット要求がある場合、全ての気筒5内を新気で満たした後、排気導入制御を実行するように制御する。
【0080】
これにより、全気筒燃料カット要求がある場合、全ての気筒内を新気で満たした後、排気導入制御を実行するため、燃料カット中のシリンダ内温度の低下を抑制し、さらに燃料カット復帰時に内燃機関1を良好に稼働させることができる。
【0081】
また、制御部51は、一部の気筒5への燃料カットを実行するとともに、その気筒5に対して排気導入制御を実行した後、その気筒5内に新気を導入し、その後、その気筒5を再稼働させる。
【0082】
これにより、一部の気筒5への燃料カット時の排気導入制御を実行した後、一部の気筒5内に新気を導入し、その後、一部の気筒5を再稼働するため、燃料カット中の気筒5内温度の低下を抑制し、さらに燃料カット復帰時に内燃機関1を良好に稼働させることができる。
【0083】
制御部51は、一部の気筒5への燃料カットを実行するとともに、その気筒5に対して排気導入制御を実行した後、その気筒5内を新気で満たし、その後、その気筒5を再稼働させる。
【0084】
これにより、一部の気筒5への燃料カット時の排気導入制御を実行した後、一部の気筒5内を新気で満たし、その後、一部の気筒5を再稼働するため、燃料カット中の気筒5内温度の低下を抑制し、さらに燃料カット復帰時に内燃機関1を良好に稼働させることができる。
【0085】
なお、本実施例においては、吸気ポート11に燃料を噴射するポート噴射の場合を示したが、気筒5内に直接燃料を噴射する気筒内燃料噴射の場合にも適用可能である。
【0086】
本実施例では、各種センサ情報に基づきECU50が各種の判定や算出を行なう例について説明したが、これに限らず、車両が外部サーバ等の車外装置と通信可能な通信部を備え、該通信部から送信された各種センサの検出情報に基づき車外装置によって各種の判定や算出が行なわれ、その判定結果や算出結果を通信部で受信して、その受信した判定結果や算出結果を用いて各種制御を行なってもよい。
【0087】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。