IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイムラー トラック エージーの特許一覧

<>
  • 特開-トラックのハイルーフ構造 図1
  • 特開-トラックのハイルーフ構造 図2
  • 特開-トラックのハイルーフ構造 図3
  • 特開-トラックのハイルーフ構造 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086324
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】トラックのハイルーフ構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 33/06 20060101AFI20240620BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B62D33/06 C
B62D25/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201395
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中里 潤
(72)【発明者】
【氏名】宝田 淳志
(72)【発明者】
【氏名】井口 大史
(72)【発明者】
【氏名】スレンドラン カーテック サヤマラ
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニア ムルガン
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA14
3D203BB06
3D203BB54
3D203BB55
3D203BB56
3D203BB57
3D203BB59
3D203BB62
3D203CA53
3D203CB03
3D203DA37
(57)【要約】
【課題】フレームの支持剛性を向上させる。
【解決手段】キャブ本体の上方にハイルーフ型のルーフパネルが取り付けられたトラックのハイルーフ構造であって、ルーフパネルは、天井部をなす本体部と、本体部から側方下向きに湾曲形成されたコーナー部を有する側面部とを備え、ルーフフレームにより車室内側から支持され、ルーフフレームは、本体部に沿った幅方向部31と、幅方向部から側方下向きにコーナー部よりも小曲率でコーナー部から離隔した湾曲部33を有する上下方向部35とを備え、上下方向部の下端部がキャブ本体に取り付けられるメインフレーム3と、メインフレーム3とルーフパネルとの間に配置され、本体部と側面部との連結部近傍から側方下向きに湾曲して延びるサブフレーム4と、を有し、サブフレーム4は、コーナー部の形状に沿った湾曲部41を備え、一端部が連結部近傍でメインフレーム3と接合され、他端部がキャブ本体5に取り付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井部が開放されたキャブ本体の上方にハイルーフ型のルーフパネルが取り付けられたトラックのハイルーフ構造であって、
前記ルーフパネルは、前記天井部をなす本体部と、前記本体部から車両左右の側方下向きに湾曲形成されたコーナー部を有する側面部とを備え、ルーフフレームにより車室内側から支持され、
前記ルーフフレームは、
前記本体部に沿って車幅方向に直線状に延在する幅方向部と、前記幅方向部から車両左右の側方下向きに前記コーナー部よりも小さな曲率で湾曲形成され前記コーナー部から離隔した湾曲部を有する上下方向部とを備え、前記上下方向部の下端部が前記キャブ本体に取り付けられるメインフレームと、
前記メインフレームの前記上下方向部と前記ルーフパネルの前記側面部との間に配置され、前記本体部と前記側面部との連結部近傍から前記車両左右の側方下向きに湾曲し前記キャブ側へ向かって延びるサブフレームと、を有し、
前記サブフレームは、前記ルーフパネルの前記コーナー部の形状に沿って成形された湾曲部を備え、
前記サブフレームは、一端部が前記連結部近傍で前記メインフレームと接合され、他端部が前記キャブ本体に取り付けられている
ことを特徴とする、トラックのハイルーフ構造。
【請求項2】
前記メインフレームは、横断面形状がウェブ部,フランジ部及びアーム部からなるハット型に形成されるとともに、前記幅方向部の前記アーム部が、前記ルーフパネルに重合し接合されている
ことを特徴とする請求項1に記載のトラックのハイルーフ構造。
【請求項3】
前記サブフレームは、横断面形状がウェブ部,フランジ部及びアーム部からなるハット型に形成されるハット型断面部を有し、前記ハット型断面部の前記ウェブ部及び前記フランジ部からなる凹部内に前記メインフレームが内包され、前記一端部において前記メインフレームと重合し接合されている
ことを特徴とする請求項2に記載のトラックのハイルーフ構造。
【請求項4】
前記サブフレームの前記フランジ部は、前記一端部に近づくに従って高さが低くなり、前記一端部では、前記サブフレームの前記ウェブ部と前記アーム部と面一になるように形成され、
前記サブフレームの前記ウェブ部と前記アーム部とが面一となった部分で、前記サブフレームが前記メインフレーム及び前記ルーフパネルと重合し接合されている
ことを特徴とする請求項3に記載のトラックのハイルーフ構造。
【請求項5】
前記サブフレームの前記湾曲部は、前記メインフレームの前記湾曲部よりも大きな曲率に形成され、
前記サブフレームは、前記メインフレームと重合する部分よりも車両左右の側方寄りで、前記ルーフパネルを車室内側から支持している
ことを特徴とする請求項1に記載のトラックのハイルーフ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャブ本体の上方にハイルーフ型のルーフパネルが取り付けられたトラックのハイルーフ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大型のトラックでは、キャブ内に形成される車室を拡張するために、ルーフパネルを通常よりも高い位置に設けたハイルーフ構造が採用されることがある。このようなハイルーフ構造は、天井部が開放されたキャブ本体の上方に取り付けられる(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-144884号公報
【特許文献2】特開2017-144967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ハイルーフ構造を採用したキャブにおいては、ルーフパネルを支持するためルーフパネルの車室内側に車幅方向に延在するフレームが配置されている。このフレームは一般的に厚板で成形するため成形しにくく、特に、ルーフパネルの車幅方向左右縁部のコーナー部の形状に追従するように形成することは困難である。
【0005】
このため、ルーフパネルの左右コーナー部では、フレームの曲率はルーフパネルの曲率も小さくなり(曲率半径が大きくなり)、フレームはルーフパネルの下方に離隔してしまうことになる。この結果、ルーフパネルの上方から荷重が入力された場合、フレームで荷重を受けられるのは、フレームの車幅方向中央の直線部分のみとなり、支持構造が脆弱となってしまう。
【0006】
本件は、上記の課題に着目して創案されたもので、ハイルーフ型のルーフパネルの左右コーナー部におけるフレームのルーフパネル形状への追従部分を増大させて、フレームの支持剛性を向上させるようにしたトラックのハイルーフ構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本件は上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現できる。
(1)本適用例に係るトラックのハイルーフ構造は、天井部が開放されたキャブ本体の上方にハイルーフ型のルーフパネルが取り付けられたトラックのハイルーフ構造であって、前記ルーフパネルは、前記天井部をなす本体部と、前記本体部から車両左右の側方下向きに湾曲形成されたコーナー部を有する側面部とを備え、ルーフフレームにより車室内側から支持され、前記ルーフフレームは、前記本体部に沿って車幅方向に直線状に延在する幅方向部と、前記幅方向部から車両左右の側方下向きに前記コーナー部よりも小さな曲率で湾曲形成され前記コーナー部から離隔した湾曲部を有する上下方向部とを備え、前記上下方向部の下端部が前記キャブ本体に取り付けられるメインフレームと、前記メインフレームの前記上下方向部と前記ルーフパネルの前記側面部との間に配置され、前記本体部と前記側面部との連結部近傍から前記車両左右の側方下向きに湾曲し前記キャブ側へ向かって延びるサブフレームと、を有し、前記サブフレームは、前記ルーフパネルの前記コーナー部の形状に沿って成形された湾曲部を備え、前記サブフレームは、一端部が前記連結部近傍で前記メインフレームと接合され、他端部が前記キャブ本体に取り付けられていることを特徴としている。
【0008】
本適用例によれば、ルーフパネルの本体部から側面部にわたって車幅方向に延在するメインフレームに加えて、メインフレームとルーフパネルとの間に配置され、ルーフパネルの本体部と側面部との連結部近傍から前記車両左右の側方下向きに湾曲し前記キャブ側へ向かって延びるサブフレームが追加して配置されることで、サブフレームによりルーフフレームのルーフパネル形状への追従部分を増大させることができ、サブフレームによってルーフフレームの支持剛性が向上し、ルーフパネルの上方からの入力荷重に対する耐久性が向上する。
【0009】
(2)前記メインフレームは、横断面形状がウェブ部,フランジ部及びアーム部からなるハット型に形成されるとともに、前記幅方向部の前記アーム部が、前記ルーフパネルに重合し接合されていることが好ましい。
このようにメインフレームの横断面形状をハット型に形成することで剛性を確保でき、メインフレームのアーム部をルーフパネルと重合し接合することで閉断面形状が形成されてハイルーフ構造の剛性がさらに向上する。
【0010】
(3)前記サブフレームは、横断面形状がウェブ部,フランジ部及びアーム部からなるハット型に形成されるハット型断面部を有し、前記ハット型断面部の前記ウェブ部及び前記フランジ部からなる凹部内に前記メインフレームが内包され、前記一端部において前記メインフレームと重合し接合されていることが好ましい。
サブフレームのハット型断面部のウェブ部及びフランジ部からなる凹部内にメインフレームが内包され、サブフレームがその一端部においてメインフレームと重合し接合されることで、メインフレームにサブフレームを追加しても、ルーフフレームが車室内空間に張り出す量を極力抑えることができ、且つサブフレームのサイズを大きくできて、ハイルーフ構造の剛性がさらに向上する。また、メインフレームとサブフレームとで二重の閉断面形状が形成されるため、ハイルーフ構造の剛性がさらに向上する。
【0011】
(4)前記サブフレームの前記フランジ部は、前記一端部に近づくに従って高さが低くなり、前記一端部では、前記サブフレームの前記ウェブ部と前記アーム部と面一になるように形成され、前記サブフレームの前記ウェブ部と前記アーム部とが面一となった部分で、前記サブフレームが前記メインフレーム及び前記ルーフパネルと重合し接合されていることが好ましい。
このように、サブフレームの凹部内にメインフレームが内包される構成と、サブフレームの一端部でウェブ部とアーム部とが面一となった部分で、サブフレームをメインフレーム及びルーフパネルと重合させ接合させることで、ルーフパネルの支持剛性を向上させることができる。
【0012】
(5)前記サブフレームは、前記メインフレームと重合する部分よりも車両左右の側方寄りで、前記ルーフパネルを車室内側から支持していることが好ましい。
これにより、ルーフパネルの上方からの入力荷重に対する耐久性が向上する。
【発明の効果】
【0013】
本件によれば、サブフレームによりルーフフレームのルーフパネル形状への追従部分を増大させることができ、サブフレームによってルーフフレームの支持剛性が向上し、ルーフパネルの上方からの入力荷重に対する耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係るハイルーフ型トラック車両のルーフフレームの要部を示す図であり、(a),(b)はその要部を車両左側で前側上方から見た斜視図(図2のE部相当図)であり、(a)は隠れ形状をすべて破線で示しており、(b)は(a)からメインフレームの隠れ形状を省いており、(c)は図1(a)のA-A矢視断面図、(d)は図1(a)のB-B矢視断面図、(e)は図1(a)のC-C矢視断面図である。
図2】一実施形態に係るハイルーフ型トラック車両のルーフフレームのメインフレームを車両左側で前側上方から見た斜視図である。
図3図1に示すハイルーフ型トラック車両のルーフフレームの要部の分解斜視図である。
図4図1に示すハイルーフ型トラック車両のルーフフレームの作用効果を説明する図であって、(a)は図1に示す要部の延在方向に沿って切った縦断面図(図1(a)のD-D矢視断面図)であり、(b)は図4(a)からサブフレームを省いた場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照して、本件の実施形態について説明する。この実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0016】
[1.装置構成]
本実施形態では、トラックのハイルーフ構造の例として、大型トラックのスーパーハイルーフ構造を説明する。
なお、以下の説明では、車両の前進方向を前方FRとし、その反対方向(車両の後退方向)を後方RRとし、車両が前方FRを向いた状態を基準にして左右(左方LH及び右方RH)を定める。また、前後方向を車長方向ともいい、左右方向を車幅方向ともいう。さらに、車長方向と車幅方向とのいずれにも直交する方向を上下方向(上方UP及び下方DW)という。車両は、水平な路面上にあり、上下方向が鉛直方向と一致する(下方向が重力の作用方向と一致する)姿勢であるものとする。この姿勢で、鉛直上方を高さ方向とする。
【0017】
本実施形態に係る大型トラックは、そのルーフ部が一般的なルーフ(以下、「通常ルーフ」ともいう)よりも高い所謂ハイルーフに比べてさらに高いハイルーフ車(以下、スーパハイルーフ車と言う)として形成されている。スーパーハイルーフ車は、キャブの内部に高い車室内空間を確保できるため、車室内の居住性が高まり、大型トラックなどでは長距離移動時にドライバ等が車室で仮眠など休息する場合があり、この際の快適性を向上させることができる。ただし、スーパーハイルーフもハイルーフの一種であり、スーパーハイルーフ車はハイルーフ車に含まれるものとする。
【0018】
図2はスーパーハイルーフ車(ハイルーフ車)のルーフ部に装備されたハイルーフ型のルーフパネル1を車室内側から支持するルーフフレーム2を示す斜視図である。なお、図2には、ルーフパネル1と、ルーフフレーム2及びルーフパネル1を支持するキャブ本体上部の骨格部材5の一部を二点鎖線で示している。
【0019】
図2に示すように、ハイルーフ型のルーフパネル1は、天井部が開放されたキャブ本体(図示略)の上方に取り付けられる。ルーフパネル1は、天井部をなす本体部11と、この本体部11から車両左右の側方下向きに湾曲形成されたコーナー部12及びコーナー部12の下方で上下方向に直線状(平面上)に延びた側面部本体13を有する側面部14とを備えている。
【0020】
また、本体部11と側面部14とは溶接によって結合される(この結合個所を「連結部15」という)。このようなルーフパネル1は、ルーフフレーム2により車室内側(図2中、下方)から支持されている。なお、ルーフパネル1の本体部11は、全体としてやや前傾斜し、前部は次第に前傾斜の角度を大きくしている。また、ルーフパネル1の側面部14のコーナー部12よりも下方の側面部本体13は、下に行くにしたがって僅かに車幅方向外側に位置するように僅かだけ傾斜している。
【0021】
ルーフフレーム2は、図1図2及び図4(a)に前部左側のフレーム部分について例示するように、メインフレーム3と、サブフレーム(アウタフレームとも呼ぶ)4と、を有している。なお、前部右側のフレーム部分も同様に構成される。
【0022】
メインフレーム3は、ルーフパネル1の本体部11に沿ってほぼ水平に(ただし、全体としてやや前傾斜し、前部は急激に前傾斜する)配置されている。メインフレーム3は、互いに平行に車両の幅方向に延びる二本の幅方向部31と、これらの幅方向部31と交差し互いに平行に車両の前後方向に延びる三本の前後方向部32とを有し、これらが一体となって、平面視で概略井桁状に形成されている。前後方向部32は、ルーフパネル1の形状に沿っており、全体としてやや前傾斜し、前部は次第に前傾斜の角度を大きくしている。
【0023】
幅方向部31の左右端部には、幅方向部31から車両左右の側方下向きに湾曲形成された湾曲部33及び湾曲部33の下方で上下方向に直線状(平面上)に延びた上下方向部本体34を有する上下方向部35が備えられている。上下方向部35の下端部はキャブ本体の一部であってキャブ本体の上部に位置する骨格部材5に取り付けられている。なお、本実施形態では、図2に示すように、メインフレーム3の左右において、前後に並ぶ上下方向部35の各上下方向部本体34にこれらを連結する補強部材16が内側から固設されているが、これらは必須ではない。
【0024】
湾曲部33は、ルーフパネル1のコーナー部12よりも小さな曲率で(大きな曲率半径で)湾曲形成されている。これは、メインフレーム3は要求される剛性が高く厚板で成形されるため成形し難く、コーナー部12の大きな曲率形状に追従するように形成することが困難なためである。
【0025】
湾曲部33の曲率が小さいため、図4(a)に示すように、湾曲部33はコーナー部12よりも車幅方向内側(車両の車幅方向中心側)にシフトすることになり、上下方向部35の湾曲部33よりも下方の上下方向部本体34は、側面部14の側面部本体13に比べて、傾斜が大きくなっている。したがって、湾曲部33はコーナー部12から車幅方向内側に離隔し、上下方向部本体34もその大半は側面部本体13から車幅方向内側に離隔している。
【0026】
サブフレーム4は、ルーフパネル1のコーナー部12の形状に沿って成形された湾曲部41と、湾曲部41の下方で上下方向に直線状(平面上)に延びた上下方向部42とが備えられている。サブフレーム4は、その一端部(湾曲部41の車幅方向内側の端部)が連結部15でメインフレーム3と接合され、他端部(上下方向部42の下端部)がキャブ本体の上部の骨格部材5に取り付けられている。
【0027】
ところで、図1に示すように、メインフレーム3は、横断面形状がウェブ部3W,フランジ部3F及びアーム部3Aからなるハット型に形成されるとともに、幅方向部31及び前後方向部32のアーム部3Aが、ルーフパネル1に重合し接合されている。
【0028】
一方、サブフレーム4は、横断面形状がウェブ部4W,フランジ部4F及びアーム部4Aからなるハット型に形成されるハット型断面部43を有している。
このサブフレーム4のハット型断面部43のフランジ部4Fは、その一端部(湾曲部41の車幅方向内側の端部)に近づくに従って高さが低くなり、一端部では、フランジ部4Fがなくなってハット型断面部43は終わり、ハット型断面部43のウェブ部4Wとアーム部4Aと面一になるように形成された平面状部44となっている。
【0029】
図1(c),(d)に示すように、サブフレーム4のハット型断面部43のウェブ部4Wの幅は、メインフレーム3の全幅よりも大きく、ハット型断面部43のウェブ部4W及びその両側のフランジ部4Fからなる凹部45内に、メインフレーム3が内包されるように、メインフレーム3に対し車幅方向外側から取り付けられる。
【0030】
つまり、メインフレーム3は、ウェブ部3Wが車両内側に配置され、フランジ部3Fがウェブ部3Wから車両外側に突出し、フランジ部3Fの突出端(車両外側)にアーム部3Aが配置される。
これに対して、サブフレーム4のハット型断面部43のウェブ部4Wが車両外側に配置され、フランジ部4Fがウェブ部4Wから車両内側に突出し、フランジ部4Fの突出端(車両内側)にアーム部4Aが配置され、ハット型がメインフレーム3と逆向きになっており、図1に示すように、車両内側に開口した凹部45内にメインフレーム3が内包されている。
【0031】
そして、サブフレーム4は、その一端部(湾曲部41の車幅方向内側の端部)の平面状部44において、メインフレーム3と重合し接合されると共にルーフパネル1と重合し接合されている。
【0032】
また、サブフレーム4は、メインフレーム3と同じ板厚の材料だが、成形性の良い形状で形成しており、サブフレーム4の湾曲部41は、メインフレーム3の湾曲部33の曲率よりも大きく、コーナー部12の曲率に近い曲率に形成されている。これにより、サブフレーム4の湾曲部41は、コーナー部12に接近し、上下方向部42も側面部本体13に接近している。
この結果、図4(a)に示すように、サブフレーム4のウェブ部4Wは、メインフレーム3と重合する平面状部44よりも車両左右の側方寄り(車幅方向外側)で、ルーフパネル1を車室内側から支持する。
【0033】
[2.作用及び効果]
本実施形態に係るトラックのハイルーフ構造によれば、以下の作用及び効果を得ることができる。
(1)ルーフパネル1の本体部11から側面部14にわたって車幅方向に延在するメインフレーム3に加えて、サブフレーム4が追加して配置されるので、サブフレーム4によりルーフフレーム2のルーフパネル1形状への追従部分を増大させることができ、サブフレーム4によってルーフフレーム2の支持剛性が向上し、ルーフパネル1の上方からの入力荷重に対する耐久性が向上する。
【0034】
図4(a),(b)は、本実施形態に係る構造を、ルーフ圧壊試験に対応する荷重を与えた状況を示しており、図4(a)は本実施形態を示し、図4(b)はサブフレーム4を備えない比較例を示す。
【0035】
図4(b)に示すように、サブフレーム4を備えない場合、ルーフフレーム2はメインフレーム3のみとなり、ルーフ上面でルーフフレーム2が荷重を受けられるのはc1部までとなり、a部は弱部となってしまう。また、フレーム着地点のb1点は骨格部材5で高剛性点であり、位置が決まっている。このため、ルーフフレーム2の荷重受点c1とフレーム着地点b1とが車幅方向に距離d1だけの大きなずれが発生し、荷重に対し大きく不利になってしまう。
【0036】
これに対して、本実施形態の場合、サブフレーム4が追加されて、サブフレーム4は、メインフレーム3と重合する部分よりも車両左右の側方寄りで、ルーフパネル1を車室内側から支持しているので、ルーフ上面でルーフフレーム2が荷重を受けられるのはc2部までとなる。この結果、比較例のような弱部(a部)は解消される。そして、ルーフフレーム2の荷重受点c2とフレーム着地点b2との距離が車幅方向にd2だけとなり、距離d1に比べて小さくなり、荷重に対し十分に支持できるようになる。
【0037】
(2)メインフレーム3は、横断面形状がウェブ部3W,フランジ部3F及びアーム部3Aからなるハット型に形成され、幅方向部のアーム部3Aが、ルーフパネル1に重合し接合されているので、ルーフパネル1を支持する支持剛性を確保できる。また、メインフレーム3のアーム部3Aをルーフパネル1と重合し接合することで閉断面形状が形成されてハイルーフ構造の剛性がさらに向上する。
【0038】
(3)サブフレーム4は、横断面形状がウェブ部4W,フランジ部4F及びアーム部4Aからなるハット型に形成されるハット型断面部43を有し、このハット型断面部43のウェブ部4W及びフランジ部4Fからなる凹部45内にメインフレーム3が内包され、サブフレーム4の一端部(平面状部44)においてメインフレーム3と重合し接合されているので、メインフレーム3にサブフレーム4を追加しても、ルーフフレーム2が車室内空間に張り出す量を極力抑えることができる。また、サブフレーム4のサイズを大きくできて、ハイルーフ構造の剛性がさらに向上する。また、メインフレーム3とサブフレーム4とで二重の閉断面形状が形成されるため、ハイルーフ構造の剛性がさらに向上する。
【0039】
(4)サブフレーム4のフランジ部4Fは、一端部に近づくに従って高さが低くなり、一端部では、サブフレーム4のウェブ部4Wとアーム部4Aとが面一になり平面状部44が形成され、平面状部44で、サブフレーム4がメインフレーム3及びルーフパネル1と重合し接合されている(図1(b)の網掛け部参照)ので、ルーフパネル1に対する支持剛性を向上させることができる。
【0040】
(5)上記のように、サブフレーム4は、メインフレーム3と重合する部分よりも車両左右の側方寄りで、ルーフパネル1を車室内側から支持しているので、ルーフパネル1の上方からの入力荷重に対する耐久性が向上する。
【0041】
[3.その他]
以上、実施形態を説明したが、上記実施形態の構成は一例であって、本件発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
例えば、前部左右のフレーム部分についてサブフレームを追加する例を説明したが、後部左右のフレーム部分についても適用可能である。
また、サブフレームの形状もその目的とする機能を確保していれば適宜変形することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 ルーフパネル
11 ルーフパネル1の本体部
12 ルーフパネル1のコーナー部
13 ルーフパネル1の側面部本体
14 ルーフパネル1の側面部
15 連結部
16 補強部材
2 ルーフフレーム
3 メインフレーム
3A メインフレーム3のアーム部
3F メインフレーム3のフランジ部
3W メインフレーム3のウェブ部
31 メインフレーム3の幅方向部
32 メインフレーム3の前後方向部
33 メインフレーム3の湾曲部
34 メインフレーム3の上下方向部本体
35 メインフレーム3の上下方向部
4 サブフレーム(アウタフレーム)
4A サブフレーム4のアーム部
4F サブフレーム4のフランジ部
4W サブフレーム4のウェブ部
41 サブフレーム4の湾曲部
42 サブフレーム4の上下方向部
43 サブフレーム4のハット型断面部
44 サブフレーム4の平面状部
45 サブフレーム4の凹部
5 骨格部材(キャブ本体)
図1
図2
図3
図4