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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086326
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】カニューレ
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
A61M16/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201397
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】土方 氷
(72)【発明者】
【氏名】内山 豊
(72)【発明者】
【氏名】前田 徹
(72)【発明者】
【氏名】松原 功
(72)【発明者】
【氏名】中西 良介
(57)【要約】
【課題】簡易な構成としつつも、医療ガス用流路の内部に水滴が生じにくくし、かつ高流量の医療ガスを供給しつつ、被検者の呼吸状態の測定も行うことができるカニューレを提供する。
【解決手段】高流量酸素療法に用いられるカニューレ4である。カニューレ4は、被検者Pの鼻腔内に装着される装着部40と、装着部40に接続される中継部50と、を備える。中継部50のうち医療ガス供給装置21側に設けられた第一接続部51には、医療ガス供給装置21から医療ガスを被検者Pに供給するための単一の医療ガス用流路401が設けられており、中継部50のうち呼吸測定モジュール22側に設けられた第二接続部52には、被検者Pの呼吸状態を測定するための単一の測定用管路402が設けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高流量酸素療法に用いられるカニューレであって、
被検者の鼻腔内に装着される装着部と、
前記装着部に接続される中継部と、を備え、
前記中継部のうち医療ガス供給装置側に設けられた第一接続部には、前記医療ガス供給装置から医療ガスを前記被検者に供給するための単一の医療ガス用流路が設けられており、
前記中継部のうち呼吸測定モジュール側に設けられた第二接続部には、前記被検者の呼吸状態を測定するための単一の測定用管路が設けられている、カニューレ。
【請求項2】
前記装着部は、前記被検者の右側鼻腔内に装着される第一装着部と、前記被検者の左側鼻腔内に装着される第二装着部と、を含み、
前記中継部は、前記医療ガス用流路および前記測定用管路を前記第一装着部および前記第二装着部にそれぞれ分岐させる分岐部を備え、
前記第一装着部および前記第二装着部のぞれぞれは、前記医療ガス用流路および前記測定用管路を有する、請求項1に記載のカニューレ。
【請求項3】
前記第一接続部に接続される医療ガス用導管をさらに備え、
前記医療ガス用導管が前記中継部の右方向または左方向に延びるように、前記医療ガス用導管は前記第一接続部に接続される、請求項1または請求項2に記載のカニューレ。
【請求項4】
前記第一接続部が前記中継部に対して回動することで、前記医療ガス用導管が延びる方向は前記中継部の右方向または左方向に変更可能である、請求項3に記載のカニューレ。
【請求項5】
前記第一接続部は、前記装着部のうち前記被検者の鼻腔内に装着される部分が向いている方向とは反対の方向において、前記中継部に設けられている、請求項4に記載のカニューレ。
【請求項6】
前記カニューレが前記被検者に装着された状態において、前記中継部と前記第一接続部の接続面は、前記装着部のうち前記被検者側の開口面に向いている、請求項5に記載のカニューレ。
【請求項7】
前記中継部は、第一取付部および第二取付部を備えており、
前記中継部が前記装着部に接続されている状態は、前記第一装着部に前記第一取付部が取り付けられ、前記第二装着部に前記第二取付部が取り付けられた第一接続状態と、前記第一装着部に前記第二取付部が取り付けられ、前記第二装着部に前記第一取付部が取り付けられた第二接続状態と、の間で切り替え可能である、請求項2に記載のカニューレ。
【請求項8】
前記第一取付部および前記第二取付部は、前記第一取付部および前記第二取付部の中間点を中心として、180度回転対称の形状を有する、請求項7に記載のカニューレ。
【請求項9】
前記装着部は、前記中継部よりも柔らかい、請求項1または請求項2に記載のカニューレ。
【請求項10】
前記第一接続部に接続される医療ガス用導管をさらに備え、
前記医療ガス用導管は、前記中継部よりも柔らかい、請求項1または請求項2に記載のカニューレ。
【請求項11】
前記第二接続部は、前記第一接続部の内部にあり、
前記第二接続部に接続される測定用導管は、前記第一接続部に接続される医療ガス用導管の内部にある、請求項1または請求項2に記載のカニューレ。
【請求項12】
前記第二接続部は、前記第一接続部の外部にあり、
前記第二接続部に接続される測定用導管は、前記第一接続部に接続される医療ガス用導管の外部にある、請求項1または請求項2に記載のカニューレ。
【請求項13】
前記第一接続部に接続される医療ガス用導管と、前記第二接続部に接続される測定用導管と、をさらに備え、
前記第一接続部に対する前記医療ガス用導管の接続方向と前記第二接続部に対する前記測定用導管の接続方向は同じである、請求項1または請求項2に記載のカニューレ。
【請求項14】
前記第一接続部の内径は前記装着部の内径よりも大きい、請求項1または請求項2に記載のカニューレ。
【請求項15】
前記カニューレを前記被検者に固定するための固定部をさらに備え、
前記固定部は、前記被検者の鼻を基準として左右方向に延びる帯状部と、前記第一接続部に接続される医療ガス用導管を前記固定部に対して取り付けるための導管取付部と、を有し、
前記導管取付部は、前記帯状部の左右にそれぞれに設けられている、請求項1または請求項2に記載のカニューレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カニューレに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ガス供給導管および圧力導管を有する二つ管状インターフェースを備えるカニューレを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0296721号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高流量酸素療法に用いられるカニューレにおいては、当該カニューレに備わる医療ガス用流路に酸素を含む高流量の医療ガスが流れるため、医療ガス用流路にかかる抵抗が比較的大きい。そこで、例えば、複数の医療ガス用流路を設けることで医療ガス用流路一つあたりに流れる医療ガスを少なくすることが考えられる。しかし、医療ガス用流路の数が増えると外気と接触する医療ガス用流路の数も増えるので、高温高湿の医療ガスが流れる医療ガス用流路の内部には水滴が生じやすい。さらに、高流量酸素療法においては、カニューレを装着した被検者への医療ガスの供給と被検者の呼吸状態の測定を同時に行いたいことがある。この場合、呼吸状態を測定するための装置を別途用意する必要があった。
【0005】
本開示は、簡易な構成としつつも、医療ガス用流路の内部に水滴が生じにくくし、かつ高流量の医療ガスを供給しつつ、被検者の呼吸状態の測定も行うことができるカニューレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための一態様に係るカニューレは、
高流量酸素療法に用いられるカニューレであって、
被検者の鼻腔内に装着される装着部と、
前記装着部に接続される中継部と、を備え、
前記中継部のうち医療ガス供給装置側に設けられた第一接続部には、前記医療ガス供給装置から医療ガスを前記被検者に供給するための単一の医療ガス用流路が設けられており、
前記中継部のうち呼吸測定モジュール側に設けられた第二接続部には、前記被検者の呼吸状態を測定するための単一の測定用管路が設けられている。
【0007】
上記構成に係るカニューレによれば、第一接続部には医療ガス供給装置から医療ガスを被検者に供給するための単一の医療ガス用流路が設けられており、第二接続部には被検者の呼吸状態を測定するための単一の測定用管路が設けられている。つまり、上記構成に係るカニューレに備わる医療ガス供給装置へ向けた医療ガス用流路と被検者の呼吸状態を測定するための測定用管路の数はそれぞれ一つであるため、当該カニューレは簡易な構成である。また、上記構成に係るカニューレにおいては、医療ガス用流路が一つなので、高流量の医療ガスが医療ガス用流路を流れても医療ガス用流路の内部に水滴が生じにくく、かつ測定用管路も備えているので、被検者の呼吸状態を測定することもできる。このように、上記構成に係るカニューレによれば、簡易な構成としつつも、医療ガス用流路の内部に水滴が生じにくくし、かつ高流量の医療ガスを供給しつつ、被検者の呼吸状態の測定も行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、簡易な構成としつつも、医療ガス用流路の内部に水滴が生じにくくし、かつ高流量の医療ガスを供給しつつ、被検者の呼吸状態の測定も行うことができるカニューレを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る医療システムの概要図である。
図2図2は、第一実施形態に係るカニューレを例示する斜視図である。
図3図3は、カニューレのうち装着部および中継部の近傍を例示する斜視図である。
図4図4は、第一実施形態に係るカニューレに備わる装着部および中継部の内部構造を例示する縦断面図である。
図5図5は、第一実施形態に係るカニューレに備わる中継部の内部構造を例示する横断面図である。
図6図6は、図2に例示する状態から中継部を180度反転させて装着部に取り付けた状態におけるカニューレを例示する斜視図である。
図7図7は、第二実施形態に係るカニューレを例示する斜視図である。
図8図8は、第二実施形態に係るカニューレに備わる装着部および中継部の内部構造を例示する縦断面図である。
図9図9は、第一実施形態および第二実施形態の変形例に係る装着部を例示する図である。
図10図10は、第三実施形態に係るカニューレを例示する斜視図である。
図11図11は、第三実施形態に係るカニューレに備わる装着部および中継部の構造を例示する縦断面図である。
図12図12は、図10に例示する状態から第一接続部を中継部に対して180度回動させた状態におけるカニューレを例示する斜視図である。
図13図13は、第三実施形態の変形例に係る中継部を例示する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態の一例について図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「上下方向」、「前後方向」について適宜言及する場合がある。これらの方向は、図2および図6に例示するカニューレ4、図7に例示するカニューレ4A、図9に例示する装着部40A、図10に例示するカニューレ4Bおよび図13に例示する中継部50Cのそれぞれについて設定された相対的な方向である。ここで、「左右方向」は、「左方向」および「右方向」を含む方向である。「上下方向」は、「上方向」および「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」および「後方向」を含む方向である。前後方向は、左右方向および上下方向に直交する方向である。なお、各図において図中に示した符号Uは上方向を示す。符号Dは下方向を示す。符号Fは前方向を示す。符号Bは後方向を示す。符号Lは左方向を示す。符号Rは右方向を示す。
【0011】
(第一実施形態)
図1および図2を参照しつつ、本実施形態の医療システム1について説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る医療システム1を例示する概略図である。医療システム1は、例えば、病院等の医療施設で用いられる。図1に例示するように、医療システム1は、統合装置2と、加温加湿器3と、カニューレ4と、を備えている。なお、カニューレ4は、医療ガス用導管60および測定用導管70を備えている。また、カニューレ4は、被検者Pに装着される。
【0012】
統合装置2は、医療ガス供給装置21と、呼吸測定モジュール22と、を備えている。医療ガス供給装置21は、医療ガス用導管60を介して、加温加湿器3およびカニューレ4に接続されている。医療ガス供給装置21は、高圧下で窒素を吸着すると共に低圧下で吸着した窒素を離脱させるゼオライト等の吸着剤を用いることによって、高濃度に濃縮された酸素を含む医療ガスを生成する。なお、当該医療ガスは、酸素以外の成分を含んでいてもよい。低圧下において吸着剤から離脱された窒素は、医療ガス供給装置21の外部に排出される。医療ガス供給装置21は、生成した医療ガスを加温加湿器3に供給する。なお、本実施形態において、医療ガス供給装置21から加温加湿器3に供給される医療ガスの量は、例えば、30L/mから60L/mである。このように、本実施形態においては、医療ガス供給装置21から加温加湿器3に向けて、高流量の医療ガスが供給される。
【0013】
呼吸測定モジュール22は、測定用導管70を介して、カニューレ4に接続されている。呼吸測定モジュール22は、例えば、被検者Pの呼気や吸気の圧力および/または被検者Pの呼気吸気の流量によって出力が変化する圧電素子を備えている。呼吸測定モジュール22は、被検者Pの呼気吸気の圧力変化および/または流量変化に基づいて被検者Pの呼吸数を算出することで、被検者Pの呼吸状態を測定する。
【0014】
加温加湿器3は、医療ガス供給装置21から供給された医療ガスを適度な温度および湿度にするために、当該医療ガスを加温加湿する。加温加湿器3は、例えば、加温加湿器3の内部に水蒸気を発生させ、当該水蒸気中に医療ガス供給装置21から供給された医療ガスを通過させることで、当該医療ガスを加温加湿する。
【0015】
次に、図2から図6を参照しつつ、カニューレ4について詳細に説明する。なお、カニューレ4が被検者P(図1参照)に装着されている状態において、被検者Pの顔部は、固定部80の内側に形成される空間S1内にある。また、図2においては図示していないが、医療ガス用導管60のうちカニューレ4に接続されている出口とは反対側の第一出口部61には直接または他の導管を介して医療ガス供給装置21(図1参照)および加温加湿器3(図1参照)が接続される。測定用導管70のうちカニューレ4に接続されている出口とは反対側の第二出口部62には直接または他の導管を介して呼吸測定モジュール22(図1参照)が接続される。図2に例示するように、カニューレ4は、装着部40と、中継部50と、固定部80と、を備えている。
【0016】
装着部40は、カニューレ4を被検者Pの鼻腔内に装着するための部材である。装着部40は、例えば、シリコーン等の樹脂材料等から形成される。装着部40は比較的軟質であり、装着部40の硬度は、例えば、ショアA30である。装着部40は、台座部41と、第一装着部42と、第二装着部43と、を含む。
【0017】
図3に例示するように、台座部41は、略直方体状である。台座部41の前方両端に設けられた右前角部411および左前角部412は、丸みを有する。ただし、右前角部411および左前角部412は、角ばっていてもよい。台座部41の長手方向(図3における左右方向)の長さは、中継部50の長手方向(図3における左右方向)の長さよりも僅かに長い。台座部41の短手方向(図3における前後方向)の長さは、中継部50の短手方向(図3における前後方向)の長さよりも僅かに長い。台座部41の厚さ方向(図3における上下方向)の長さは、中継部50の厚さ方向(図3における上下方向)の長さよりも短い。台座部41の中央後端部413には凹状の窪み部414が設けられている。カニューレ4が被検者Pに装着されている状態において、窪み部414には被検者Pの鼻柱が当接する。
【0018】
第一装着部42および第二装着部43は、窪み部414を基準として、左右対称の位置に配置されている。第一装着部42は、窪み部414よりも右側に位置しており、被検者Pの右側鼻腔内に装着される。第二装着部43は、窪み部414よりも左側に位置しており、被検者Pの左側鼻腔内に装着される。第一装着部42および第二装着部43は台座部41の上面から上方向に突出するように延びている。第一装着部42および第二装着部43は、上方に向かうにつれて後方に向かって延びるように、湾曲している。換言すると、第一装着部42および第二装着部43は、略J字状である。第一装着部42の底部および第二装着部43の底部は開状態である。第一装着部42には、後述する第一取付部54(図4参照)または第二取付部55(図4参照)が取り付けられ、第二装着部43には第一取付部54および第二取付部55のうち第一装着部42に取り付けられていない方の取付部が取り付けられる。
【0019】
図3および図4に例示するように、第一装着部42は、第一医療ガス用流路421と、第一測定用管路422と、を有する。第二装着部43は、第二医療ガス用流路431と、第二測定用管路432と、を有する。したがって、第一装着部42および第二装着部43のぞれぞれは、医療ガス用流路および測定用管路を有するダブルルーメン構造である。
【0020】
第一医療ガス用流路421および第二医療ガス用流路431は、例えば、断面円形状である。第一医療ガス用流路421の内径および第二医療ガス用流路431の内径は、例えば、4mmから5mmである。第一測定用管路422および第二測定用管路432は、例えば、断面円形状である。第一測定用管路422の内径および第二測定用管路432の内径は、例えば、1mmから2mmである。したがって、第一医療ガス用流路421の内径は第一測定用管路422の内径よりも大きく、第二医療ガス用流路431の内径は第二測定用管路432の内径よりも大きい。また、第一医療ガス用流路421の内径と第一測定用管路422の内径の和を第一装着部42の内径とすると、第一装着部42の内径は、例えば、5mmから7mmである。第二医療ガス用流路431の内径と第二測定用管路432の内径の和を第二装着部43の内径とすると、第二装着部43の内径は、例えば、5mmから7mmである。
【0021】
第一装着部42において、第一医療ガス用流路421および第一測定用管路422はそれぞれが独立した別体の空間(通路)である。第一医療ガス用流路421は、装着部40の長手方向(図3および図4における左右方向)において、第一測定用管路422よりも窪み部414から離れた位置にある。
【0022】
第二装着部43において、第二医療ガス用流路431および第二測定用管路432はそれぞれが独立した別体の空間(通路)である。第二医療ガス用流路431は、装着部40の長手方向(図3および図4における左右方向)において、第二測定用管路432よりも窪み部414から離れた位置にある。
【0023】
中継部50は、装着部40に接続されるように構成されている。図3に例示するように、中継部50は、略直方体状である。中継部50の角部は面取りされており、丸みを有する。中継部50は、例えば、ポリプロピレン等の樹脂材料等から形成されている。中継部50の硬度は、例えば、ショアD70である。したがって、装着部40は、中継部50よりも柔らかい。
【0024】
ここで、図4および図5を参照しつつ、中継部50の内部構造について説明する。図4および図5に例示するように、中継部50は、第一接続部51と、第二接続部52と、分岐部53と、第一取付部54と、第二取付部55と、第一孔部56と、第二孔部57と、を備えている。
【0025】
図4に例示するように、第一接続部51は、中継部50の右端部50Rに設けられている。第一接続部51には、医療ガス用導管60(図2参照)が接続される。したがって、第一接続部51は、中継部50のうち医療ガス供給装置21側に設けられている。第一接続部51の内径は、例えば、10mmから12mmである。したがって、第一接続部51の内径は、第一装着部42の内径および第二装着部43の内径、すなわち、装着部40の内径よりも大きい。第一接続部51には、医療ガス供給装置21から医療ガスを被検者Pに供給するための単一の医療ガス用流路401が設けられている。医療ガス用流路401は、例えば、断面円形状である。
【0026】
第二接続部52は、中継部50の下端部50Dに設けられている。第二接続部52は、第一接続部51の内部にある。第二接続部52には、測定用導管70(図2参照)が接続される。したがって、第二接続部52は、中継部50のうち呼吸測定モジュール22側に設けられている。第二接続部52には、被検者Pの呼吸状態を測定するための単一の測定用管路402が設けられている。測定用管路402は、例えば、断面円形状である。測定用管路402の内径は、例えば、1mmから2mmである。つまり、測定用管路402の内径は、例えば、第一測定用管路422の内径および第二測定用管路432の内径と等しい。測定用管路402の内径は、医療ガス用流路401の内径よりも小さい。
【0027】
分岐部53は、中継部50において、第一接続部51および第二接続部52よりも左側に設けられている。分岐部53は、医療ガス用流路401および測定用管路402を、第一装着部42および第二装着部43にそれぞれ分岐させるように構成されている。つまり、医療ガス用流路401は、分岐部53によって、第一医療ガス用流路421と、第二医療ガス用流路431と、に分岐される。なお、医療ガス用流路401は、第一医療ガス用流路421および第二医療ガス用流路431と連続して繋がっている。また、測定用管路402は、分岐部53によって、第一測定用管路422と、第二測定用管路432と、に分岐される。なお、測定用管路402は、第一測定用管路422および第二測定用管路432と連続して繋がっている。このように、医療ガス用流路401および測定用管路402は、分岐部53によって、二又に分岐する。
【0028】
第一取付部54は、第一装着部42または第二装着部43を中継部50に取り付けるための部材である。図4および図5に例示するように、第一取付部54は、略凸状である。より具体的には、第一取付部54は、円筒状であり、その頂部が略円錐台状である。第一取付部54の頂部における外径は、上端部から下端部に向かうほど大きい。第一取付部54は装着部40(第一装着部42および第二装着部43)に対して雄型であり、装着部40は第一取付部54に対して雌型である。例えば、第一装着部42は、第一取付部54に挿入されることで、中継部50に取り付けられる。第一取付部54の上端面には、第一円形孔部541が設けられている。第一取付部54は、第一孔部56よりも左側に設けられている。
【0029】
第二取付部55は、第二装着部43または第二装着部43を中継部50に取り付けるための部材である。第二取付部55は、略凸状である。より具体的には、第二取付部55は、円筒状であり、その頂部が略円錐台状である。第二取付部55の頂部における外径は、上端部から下端部に向かうほど大きい。第二取付部55は装着部40(第一装着部42および第二装着部43)に対して、雄型であり、装着部40は第二取付部55に対して雌型である。例えば、第二装着部43は、第二取付部55に挿入されることで、中継部50に取り付けられる。このように、本実施形態においては、中継部50が雄型であり、装着部40が雌型である。第二取付部55の上端面には、第二円形孔部551が設けられている。第二取付部55は、第二孔部57よりも右側に設けられている。
【0030】
第一取付部54と第二取付部55は、図5に例示するように、中継部50の二つの長辺、すなわち中継部50の長手方向(図5において左右方向)に延びる二辺の中間点P1,P2を通る中間線M1に対して線対称の位置に配置されている。なお、中間線M1は、第一取付部54および第二取付部55の中間点P3を通り、かつ第一取付部54および第二取付部55が並ぶ方向に延びる仮想線V1と直交する方向に延びる線である。中間線M1は、第一取付部54と第二取付部55を結ぶ直線を二等分する。また、第一取付部54と第二取付部55は、中間点P3を中心として、180度回転対称の形状を有しており、中間線M1に対して左右対称の形状である。このため、本実施形態においては、装着部40または中継部50を180度反転させた状態であっても、中継部50を装着部40に取り付けることができる。このように、本実施形態において、中継部50が装着部40に接続されている状態は、第一装着部42に第一取付部54が取り付けられ、第二装着部43に第二取付部55が取り付けられた第一接続状態と、第一装着部42に第二取付部55が取り付けられ、第二装着部43に第一取付部54が取り付けられた第二接続状態と、の間で切り替え可能である。さらに、中継部50の第一接続部51以外の部分における上面の外形は、中間線M1に対して左右対称の形状である。
【0031】
第一孔部56は、上面視で略楕円状である。第一孔部56は、第一円形孔部541よりも大きい。第二孔部57は、上面視で略楕円状である。第二孔部57は、第二円形孔部551よりも大きい。第一孔部56と第二孔部57は、中間線M1に対して線対称の位置に配置されている。
【0032】
図2に戻り、医療ガス用導管60について説明する。医療ガス用導管60は、第一接続部51(図4参照)に接続されている。医療ガス用導管60は、例えば、塩化ビニル樹脂等の軟質な樹脂材料等から形成される。医療ガス用導管60の硬度は、例えば、ショアA60である。したがって、医療ガス用導管60は、中継部50よりも柔らかい。図2に例示するように、医療ガス用導管60は、蛇腹状の管である。医療ガス用導管60は、可撓性を有している。したがって、医療ガス用導管60は、所望の方向に屈曲する。本実施形態において、医療ガス用導管60は、中継部50から右方向に延びており、図2では一例として略U字状に屈曲している。
【0033】
測定用導管70は、第二接続部52(図4参照)に接続されている。第一接続部51および第二接続部52は、共に中継部50の右側に設けられている。また、測定用導管70は、医療ガス用導管60の内部にあり、医療ガス用導管60が延びる方向に沿って延びている。測定用導管70も軟質の樹脂材料により形成されており、所望の方向に屈曲する。このため、測定用導管70も、中継部50から右方向に延びており、図2では一例としてU字状に屈曲している。したがって、第一接続部51に対する医療ガス用導管60の接続方向と第二接続部52に対する測定用導管70の接続方向は同じである。なお、測定用導管70は、医療ガス用導管60に設けられた第二出口部62を介して、医療ガス用導管60の外部に出すことができる。
【0034】
固定部80は、帯状部81と、導管取付部82と、を有する。帯状部81は、被検者Pの鼻(すなわち、窪み部414の位置)を基準として左右方向に延びている。図2に例示する状態において、帯状部81は環状である。帯状部81は、伸縮部811と、非伸縮部812と、を備えている。
【0035】
伸縮部811は、例えば、ゴム等の伸縮性を有する材料から形成されている。図2に例示する状態において、伸縮部811は、非伸縮部812よりも後方に配置されている。非伸縮部812は、例えば、プラスチック等の合成樹脂等から形成されている。非伸縮部812は、装着部40に接続されている。
【0036】
導管取付部82は、医療ガス用導管60を固定部80に対して取り付けるための部材である。導管取付部82は、帯状部81の左右それぞれに設けられている。なお、本実施形態では、装着部40を基準として、右側に設けられている導管取付部82を右導管取付部82Rと称し、左側に設けられている導管取付部82を左導管取付部82Lと称する。導管取付部82は、板状部821と、留め部822と、を備えている。板状部821は、薄板状である。板状部821の前面には、留め部822が設けられている。留め部822は、前方から見たとき、略I字状である。留め部822は、例えば、医療ガス用導管60を保持する保持部材90が挿入されることで、医療ガス用導管60を留めることができる。なお、図2に例示する状態において、医療ガス用導管60を保持する保持部材90は、右導管取付部82Rの留め部822に挿入されている。
【0037】
一方で、図2に例示する状態から中継部50を180度反転させて装着部40に取り付けると、図6に例示する状態になる。なお、図2に例示する状態における中継部50が装着部40に接続されている状態は第一接続状態であり、図6に例示する状態における中継部50が装着部40に接続されている状態は第二接続状態である。図6に例示する状態において、医療ガス用導管60を保持する保持部材90は、左導管取付部82Lの留め部822に挿入されている。このため、図6に例示する状態において、医療ガス用導管60および測定用導管70は、中継部50から左方向に延びており、U字状に屈曲している。つまり、医療ガス用導管60が中継部50の右方向または左方向に延びるように、医療ガス用導管60は第一接続部51に接続される。このように、導管取付部82は、医療ガス用導管60を保持する保持部材90が右導管取付部82Rまたは左導管取付部82Lに挿入されることで、医療ガス用導管60を固定部80に対して取り付けることができる。
【0038】
ここで、図1および図2を参照しつつ、カニューレ4を用いた高流量酸素療法および当該高流量酸素療法の際に行う被検者Pの呼吸状態の測定について説明する。初めに、装着部40を被検者Pの鼻腔内に装着することで、カニューレ4を被検者Pに装着させる。このとき、被検者Pの顔部は、固定部80の内側に形成される空間S1内にあり、被検者Pの鼻柱は窪み部414に当接する。次に、医療ガス供給装置21からカニューレ4を装着している被検者Pに向けて、高流量の医療ガスが供給される。当該医療ガスは、加温加湿器3で加温加湿された後に、医療ガス用導管60、医療ガス用流路401(図4参照)、第一医療ガス用流路421(図4参照)および第二医療ガス用流路431(図4参照)を介して、被検者Pに供給される。このようにして、高流量酸素療法が行われる。一方で、高流量酸素療法が行われている間、測定用導管70を介してカニューレ4に接続されている呼吸測定モジュール22は、被検者Pの呼気吸気の圧力変化および/または流量変化に基づいて被検者Pの呼吸状態を測定する。このようにして、被検者Pに対して高流量酸素療法を行いつつ、被検者Pの呼吸状態も測定する。
【0039】
ところで、高流量酸素療法に用いられるカニューレにおいては、当該カニューレに備わる医療ガス用流路に酸素を含む高流量の医療ガスが流れるため、医療ガス用流路にかかる抵抗が比較的大きい。そこで、例えば、複数の医療ガス用流路を設けることで医療ガス用流路一つあたりに流れる医療ガスを少なくすることが考えられる。しかし、医療ガス用流路の数が増えると外気と接触する医療ガス用流路の数も増えるので、高温高湿の医療ガスが流れる医療ガス用流路の内部には水滴が生じやすい。さらに、高流量酸素療法においては、カニューレを装着した被検者への医療ガスの供給と被検者の呼吸状態の測定を同時に行いたいことがある。この場合、呼吸状態を測定するための装置を別途用意する必要があった。
【0040】
上記構成に係るカニューレ4によれば、第一接続部51には医療ガス供給装置21から医療ガスを被検者Pに供給するための単一の医療ガス用流路401が設けられており、第二接続部52には被検者Pの呼吸状態を測定するための単一の測定用管路402が設けられている。つまり、カニューレ4に備わる医療ガス用流路401と測定用管路402の数はそれぞれ一つであるため、カニューレ4の構成は簡易である。また、カニューレ4においては、医療ガス用流路401が一つなので、高流量の医療ガスが医療ガス用流路401を流れても医療ガス用流路401の内部に水滴が生じにくい。さらに、カニューレ4は、測定用管路402も備えているので、被検者Pの呼吸状態を測定することもできる。このように、カニューレ4は、簡易な構成としつつも、医療ガス用流路401の内部に水滴が生じにくくし、かつ高流量の医療ガスを供給しつつ、被検者Pの呼吸状態の測定も行うことができる。
【0041】
また、上記構成に係るカニューレ4によれば、医療ガス用流路401および測定用管路402は、分岐部53によって、第一装着部42および第二装着部43にそれぞれ分岐している。また、第一装着部42は第一医療ガス用流路421および第一測定用管路422を有し、第二装着部43は第二医療ガス用流路431および第二測定用管路432を有している。第一装着部42は被検者Pの右側鼻腔に装着され、第二装着部43は被検者Pの左側鼻腔に装着されるので、カニューレ4によれば、高流量酸素療法を効果的に行うことと、被検者Pの呼吸状態をより容易に把握することと、を実現させることができる。
【0042】
また、上記構成に係るカニューレ4によれば、医療ガス用導管60が中継部50の右方向または左方向に延びるように、医療ガス用導管60は第一接続部51に接続される。このため、医療従事者や被検者P等は、医療ガス用導管60を中継部50の右方向に延ばすか、それとも中継部50の左方向に延ばすかを、被検者Pの姿勢等の状況に応じて決定することができる。
【0043】
また、上記構成に係るカニューレ4によれば、中継部50が装着部40に接続されている状態は、第一装着部42に第一取付部54が取り付けられ、第二装着部43に第二取付部55が取り付けられた第一接続状態と、第一装着部42に第二取付部55が取り付けられ、第二装着部43に第一取付部54が取り付けられた第二接続状態と、の間で切り替え可能である。したがって、例えば、装着部40または中継部50を180度反転させた場合であっても、中継部50を装着部40に接続させることができる。
【0044】
また、上記構成に係るカニューレ4によれば、第一取付部54および第二取付部55は、中間点P3を中心として、180度回転対称の形状を有する。なお、本実施形態において、装着部40の台座部41は、中継部50を覆うように配置されており、中間点P3を中心として、180度回転対称の形状を有する。したがって、中継部50における装着部40に対する嵌合部分(取付部分)は、第一取付部54および第二取付部55以外の部分においても、中間点P3を中心として、180度回転対称の形状である。このため、カニューレ4によれば、中継部50を装着部40に対して左右方向に反転して取り付ける場合であっても、中継部50を装着部40に良好に取り付けることができる。
【0045】
また、上記構成に係るカニューレ4によれば、装着部40は中継部50よりも柔らかいので、カニューレ4が装着される被検者Pに対する負担感を低減させつつ、カニューレ4を被検者Pにしっかりと装着させることができる。
【0046】
また、上記構成に係るカニューレ4によれば、第一接続部51に接続される医療ガス用導管60は中継部50よりも柔らかいので、医療ガス用導管60を所望の方向に容易に曲げることができる。すなわち、使用状況に応じて医療ガス用導管60を適切な位置に配置して、被検者Pに与える煩わしさを低減させることができる。
【0047】
また、上記構成に係るカニューレ4によれば、第二接続部52に接続される測定用導管70は、第一接続部51に接続される医療ガス用導管60の内部にある。このため、上記構成に係るカニューレ4によれば、測定用導管70が医療ガス用導管60の外部にある場合と比べて、被検者Pに与える煩わしさを低減させることができる。
【0048】
また、上記構成に係るカニューレ4によれば、第一接続部51に対する医療ガス用導管60の接続方向と第二接続部52に対する測定用導管70の接続方向は同じである。このため、上記構成に係るカニューレ4によれば、例えば、医療ガス用導管60と測定用導管70を沿わせて配置することで、医療ガス用導管60と測定用導管70をまとめて取り回すことができる。
【0049】
また、上記構成に係るカニューレ4によれば、第一接続部51の内径は装着部40の内径よりも大きいので、高流量の医療ガスを流すのに好適である。
【0050】
また、上記構成に係るカニューレ4によれば、医療ガス用導管60を固定部80に対して取り付けるための導管取付部82は、帯状部81の左右それぞれに設けられている。このため、上記構成に係るカニューレ4によれば、例えば、被検者Pの態勢に応じた適切な位置に医療ガス用導管60を取り付けることができる。
【0051】
(第二実施形態)
次に、図7および図8を参照しつつ、第二実施形態に係るカニューレ4Aについて説明する。なお、本実施形態において、第一実施形態と同様の部分については、同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。図7は、第二実施形態に係るカニューレ4Aを例示する斜視図である。図8は、第二実施形態に係るカニューレ4Aに備わる装着部40および中継部50Aの内部構造を例示する縦断面図である。図7および図8に例示するように、カニューレ4Aは、中継部50の代わりに中継部50Aを備えている点と、第二接続部52が第一接続部51Aの外部にある点と、医療ガス用導管60の代わりに医療ガス用導管60Aを備えている点と、測定用導管70が医療ガス用導管60Aの外部にある点で第一実施形態に係るカニューレ4と異なる。カニューレ4Aは、装着部40と、中継部50Aと、医療ガス用導管60Aと、測定用導管70と、固定部80と、を備えている。
【0052】
中継部50Aの硬度は、例えば、ショアD70である。したがって、装着部40は、中継部50Aよりも柔らかい。図8に例示するように、中継部50Aは、第一接続部51Aと、第二接続部52と、分岐部53と、第一取付部54と、第二取付部55と、第一孔部56と、第二孔部57と、を備えている。第一接続部51Aの内径は第一実施形態に係る第一接続部51の内径よりも短く、第二接続部52は第一接続部51Aの外部にある。なお、第一接続部51Aの内径は、第一装着部42および第二装着部43の内径、すなわち、装着部40の内径よりも大きい。第一接続部51Aには、断面円形状の医療ガス用流路401Aが設けられている。医療ガス用流路401Aの内径は、第一実施形態に係る医療ガス用流路401の内径よりも短い。また、第一接続部51Aには医療ガス用導管60A(図7参照)が接続され、第二接続部52には測定用導管70(図7参照)が接続されるので、図7に例示するように、測定用導管70は医療ガス用導管60Aの外部にある。
【0053】
医療ガス用導管60Aは、基本的に医療ガス用導管60と同様であるが、医療ガス用導管60Aの内径が医療ガス用導管60の内径よりも小さい点と、第二出口部62が設けられていない点で、医療ガス用導管60と異なる。なお、医療ガス用導管60Aの硬度は、例えば、ショアA60である。したがって、医療ガス用導管60Aは、中継部50Aよりも柔らかい。
【0054】
図7に例示するように、本実施形態において、医療ガス用導管60Aを保持する保持部材90は、右導管取付部82Rの留め部822に挿入されている。カニューレ4Aに備わる医療ガス用導管60Aは、中継部50Aから右方向に延びており、U字状に屈曲している。
【0055】
カニューレ4Aに備わる測定用導管70は、医療ガス用導管60Aが延びる方向に沿って延びている。測定用導管70は、医療ガス用導管60Aと共に、保持部材90によって保持されている。ただし、測定用導管70は、保持部材90によって保持されていなくてもよい。この場合、医療ガス用導管60Aに依存することなく、測定用導管70を配置することができるので、例えば、測定用導管70を医療ガス用導管60Aが延びる方向とは異なる方向に延ばすこともできる。
【0056】
第二実施形態に係るカニューレ4Aにおいても、第一実施形態に係るカニューレ4と同様の効果を奏することができる。
【0057】
また、上記構成に係るカニューレ4Aによれば、第二接続部52に接続される測定用導管70は、第一接続部51Aに接続される医療ガス用導管60Aの外部にある。つまり、カニューレ4Aにおいては、医療ガス用導管60Aと測定用導管70はそれぞれが独立しているので、医療ガス用導管60Aと測定用導管70のメンテナンスを個別に行うことができる。このように、カニューレ4Aによれば、医療ガス用導管60Aと測定用導管70のメンテナンス性が高い。
【0058】
(第一実施形態および第二実施形態の変形例)
次に、図9を参照しつつ、変形例に係る装着部40Aについて説明する。なお、本変形例において、第一実施形態と同様の部分については、同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。図9は、変形例に係る装着部40Aを例示する図である。装着部40Aは、第一装着部42および第二装着部43の代わりに第一装着部42Aおよび第二装着部43Aを含む点で、第一実施形態に係る装着部40と異なる。なお、装着部40Aの硬度は、例えば、ショアA30である。したがって、装着部40Aは、中継部50,50Aよりも柔らかい。なお、本変形例においても、装着部40Aが雌型であり、中継部50,50Aが雄型である。
【0059】
図9に例示するように、装着部40Aは、台座部41と、第一装着部42Aと、第二装着部43Aと、を含む。第一装着部42Aおよび第二装着部43Aは、窪み部414を基準として、左右方向において、左右対称の位置に配置されている。第一装着部42Aは、窪み部414よりも右側に位置しており、被検者P(図1参照)の右側鼻腔内に装着される。第二装着部43Aは、窪み部414よりも左側に位置しており、被検者Pの左側鼻腔内に装着される。第一装着部42Aおよび第二装着部43Aは、第一実施形態に係る第一装着部42および第二装着部43と同様に、台座部41の上面から上方向に突出するように延びており、略J字状である。第一装着部42Aおよび第二装着部43Aの内径は、例えば、5mmから7mmである。したがって、第一接続部51,51Aの内径は、第一装着部42Aおよび第二装着部43Aの内径、すなわち、装着部40Aの内径よりも大きい。
【0060】
第一装着部42Aは、第一医療ガス用流路421Aと、第一測定用管路422Aと、第一ハウジング部423と、を有する。したがって、第一装着部42Aは、医療ガス用流路および測定用管路を有するダブルルーメン構造である。第一医療ガス用流路421Aは、例えば、断面円形状である。第一測定用管路422Aは、カニューレ4を装着している被検者Pから見て、例えば、断面三日月状である。第一医療ガス用流路421Aは、第一測定用管路422Aよりも後ろ側(被検者P側)に設けられている。ただし、第一医療ガス用流路421Aは、例えば、第一測定用管路422Aよりも前側に設けられていてもよいし、第一測定用管路422Aの右方または左方に設けられていてもよい。第一医療ガス用流路421Aは、第一測定用管路422Aよりも大きい。
【0061】
第一ハウジング部423は、第一医療ガス用流路421Aおよび第一測定用管路422Aを内包している。したがって、第一医療ガス用流路421Aおよび第一測定用管路422Aは、第一ハウジング部423の内部に設けられている。
【0062】
第二装着部43Aは、第二医療ガス用流路431Aと、第二測定用管路432Aと、第二ハウジング部433と、を有する。したがって、第二装着部43Aは、医療ガス用流路および測定用管路を有するダブルルーメン構造である。第二医療ガス用流路431Aは、例えば、断面円形状である。第二測定用管路432Aは、カニューレ4を装着している被検者Pから見て、例えば、断面三日月状である。第二医療ガス用流路431Aは、第二測定用管路432Aよりも後ろ側(被検者P側)の下方に設けられている。ただし、第二医療ガス用流路431Aは、例えば、第二測定用管路432Aよりも前側に設けられていてもよいし、第二測定用管路432Aの右方または左方に設けられていてもよい。第二医療ガス用流路431Aは、第二測定用管路432Aよりも大きい。
【0063】
第二ハウジング部433は、第二医療ガス用流路431Aおよび第二測定用管路432Aを内包している。したがって、第二医療ガス用流路431Aおよび第二測定用管路432Aは、第二ハウジング部433の内部に設けられている。
【0064】
本変形例に係る装着部40Aを備えるカニューレ4においても、第一実施形態に係る装着部40を備えるカニューレ4と同様の効果を奏することができる。
【0065】
(第三実施形態)
次に、図10から図12を参照しつつ、第三実施形態に係るカニューレ4Bについて説明する。なお、本実施形態において、第一実施形態と同様の部分については、同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。図10は、第三実施形態に係るカニューレ4Bを例示する斜視図である。図11は、第三実施形態に係るカニューレ4Bに備わる装着部40Bおよび中継部50Bの構造を例示する縦断面図である。図12は、図10に例示する状態から第一接続部51Bを中継部50Bに対して180度回動させた状態におけるカニューレ4Bを例示する斜視図である。図10に例示するように、カニューレ4Bは、装着部40の代わりに装着部40Bを備えている点と、中継部50の代わりに中継部50Bを備えている点で第一実施形態に係るカニューレ4と異なる。カニューレ4Bは、装着部40Bと、中継部50Bと、医療ガス用導管60と、測定用導管70と、固定部80と、を備えている。なお、装着部40Bの硬度は、例えば、ショアA30である。中継部50Bの硬度は、例えば、ショアD70である。したがって、装着部40Bは、中継部50Bよりも柔らかい。なお、本実施形態においても、装着部40Bが雌型であり、中継部50Bが雄型である。
【0066】
図10に例示するように、装着部40Bは、台座部41と、第一装着部42Bと、第二装着部43Bと、を含む。第一装着部42Bおよび第二装着部43Bは、窪み部414を基準として、左右方向において、左右対称の位置に配置されている。第一装着部42Bは、窪み部414よりも右側に位置しており、被検者P(図1参照)の右側鼻腔内に装着される。第二装着部43Bは、窪み部414よりも左側に位置しており、被検者Pの左側鼻腔内に装着される。第一装着部42Bおよび第二装着部43Bは、第一実施形態に係る第一装着部42および第二装着部43と同様に、台座部41の上面から上方向に突出するように延びており、略J字状である。第一装着部42Bおよび第二装着部43Bの内径は、例えば、5mmから7mmである。
【0067】
図11に例示するように、第一装着部42Bは、第一医療ガス用流路421Bと、第一測定用管路422Bと、第一ハウジング部423Bと、を有する。したがって、第一装着部42Bは、医療ガス用流路および測定用管路を有するダブルルーメン構造である。第一医療ガス用流路421Bは、例えば、断面円形状である。第一測定用管路422Bは、カニューレ4Bを装着している被検者Pから見て、例えば、断面三日月状である。第一医療ガス用流路421Bは、第一測定用管路422Bよりも後ろ側(被検者P側)に設けられている。ただし、第一医療ガス用流路421Bは、例えば、第一測定用管路422Bよりも前側に設けられていてもよいし、第一測定用管路422Bの右方または左方に設けられていてもよい。第一医療ガス用流路421Bは、第一測定用管路422Bよりも大きい。
【0068】
第一ハウジング部423Bは、第一医療ガス用流路421Bおよび第一測定用管路422Bを内包している。したがって、第一医療ガス用流路421Bおよび第一測定用管路422Bは、第一ハウジング部423Bの内部に設けられている。
【0069】
第二装着部43Bは、第二医療ガス用流路431Bと、第二測定用管路432Bと、第二ハウジング部433Bと、を有する。したがって、第二装着部43Bは、医療ガス用流路および測定用管路を有するダブルルーメン構造である。第二医療ガス用流路431Bは、例えば、断面円形状である。第二測定用管路432Bは、カニューレ4Bを装着している被検者Pから見て、例えば、断面三日月状である。第二医療ガス用流路431Bは、第二測定用管路432Bよりも後ろ側(被検者P側)に設けられている。ただし、第二医療ガス用流路431Bは、例えば、第二測定用管路432Bよりも前側に設けられていてもよいし、第二測定用管路432Bの右方または左方に設けられていてもよい。第二医療ガス用流路431Bは、第二測定用管路432Bよりも大きい。
【0070】
第二ハウジング部433Bは、第二医療ガス用流路431Bおよび第二測定用管路432Bを内包している。したがって、第二医療ガス用流路431Bおよび第二測定用管路432Bは、第二ハウジング部433Bの内部に設けられている。
【0071】
図10および図11に例示するように、中継部50Bは、第一接続部51Bと、第二接続部52Bと、分岐部53Bと、第一取付部54と、第二取付部55と、を備えている。なお、中継部50Bの上部は開口しているため、中継部50Bは、第一実施形態に係る中継部50が備えている第一孔部56および第二孔部57に対応する孔部を備えていてない。第一接続部51Bは、略円筒状である。第一接続部51Bは、中継部50Bの前側面501に形成された取付孔502に取り付けられている。なお、取付孔502は略円形である。また、第一接続部51Bはラッチ機構を備えていてもよい。この場合、第一接続部51Bは、取付孔502に挿入された後に所定の位置まで回動されると、第一接続部51Bに備わるラッチ機構により、取付孔502に対して抜け止めされた状態となる。
【0072】
第一接続部51Bは、装着部40Bのうち被検者Pの鼻腔内に装着される部分(第一装着部42Bの上部420Bおよび第二装着部43Bの上部430B)が向いている方向(図10における後方向)とは反対の方向(図10における前方向)において、中継部50Bに設けられている。つまり、第一接続部51Bは、中継部50Bの前側面501に設けられている。このように、第一接続部51Bは、カニューレ4Bが被検者Pに装着された状態において、被検者Pの反対側(図10における前側)に設けられている。第一接続部51Bは、取付孔502に取り付けられた状態において、中継部50Bに対して取付孔502を中心に回動可能である。つまり、中継部50Bの構造はスイベル構造である。なお、第一接続部51Bが取付孔502に取り付けられた状態において回動する範囲は、取付孔502を基準として、0度から360度である。ただし、第一接続部51Bが回動する範囲はこれに限られない。第一接続部51Bが回動する範囲は、取付孔502を基準として、0度から180度であってもよい。
【0073】
図10に例示するように、第一接続部51Bには、医療ガス用導管60が接続される。したがって、第一接続部51Bは、中継部50Bのうち医療ガス供給装置21(図1参照)側に設けられている。第一接続部51Bの内径は、例えば、10mmから12mmである。したがって、第一接続部51Bの内径は、第一装着部42Bおよび第二装着部43の内径、すなわち、装着部40Bの内径よりも大きい。図11に例示するように、第一接続部51Bには、医療ガス供給装置21から医療ガスを被検者Pに供給するための単一の医療ガス用流路401Bが設けられている。医療ガス用流路401Bは、例えば、断面円形状である。
【0074】
図11に例示するように、第二接続部52Bは、中継部50Bの内部にある。なお、本実施形態において、第二接続部52Bは、第一接続部51Bの内部にはない。ただし、第二接続部52Bは、第一接続部51Bの内部にあってもよい。第二接続部52Bには、測定用導管70が接続される。したがって、測定用導管70は、中継部50Bの内部を経由して、第二接続部52Bに接続される。また、測定用導管70は、中継部50Bの外部では、医療ガス用導管60の内部にある。このような構造であるため、本実施形態においては、測定用導管70の取り外しを行うことなく第一接続部51Bを回動させるだけで、医療ガス用導管60および測定用導管70を所望の方向に延ばすことができる。第二接続部52には、被検者Pの呼吸状態を測定するための単一の測定用管路402Bが設けられている。測定用管路402Bは、例えば、断面円形状である。測定用管路402Bの内径は、例えば、1mmから2mmである。測定用管路402Bは、中継部50Bの長手方向(図11における左右方向)に延びている。測定用管路402Bには、第一取付部54および第二取付部55が設けられている。第一取付部54とおよび第二取付部55は、図11における上方向に向かって延びている。
【0075】
分岐部53Bは、医療ガス用流路401Bおよび測定用管路402Bを、第一装着部42Bおよび第二装着部43Bにそれぞれ分岐させるように構成されている。つまり、医療ガス用流路401Bは、分岐部53Bによって、第一医療ガス用流路421Bと、第二医療ガス用流路431Bと、に分岐される。また、測定用管路402Bは、分岐部53Bによって、第一測定用管路422Bと、第二測定用管路432Bと、に分岐される。なお、測定用管路402Bは、第一測定用管路422Bおよび第二測定用管路432Bと連続して繋がっている。このように、医療ガス用流路401Bおよび測定用管路402Bは、分岐部53Bによって、二又に分岐する。
【0076】
図10に例示する状態において、医療ガス用導管60を右導管取付部82Rの留め部822に挿入されている保持部材90から外し、第一接続部51Bを中継部50Bに対して取付孔502を中心に180度回動させた後に、保持部材90を左導管取付部82Lの留め部822に挿入し、医療ガス用導管60を当該保持部材90に保持させると、図12に例示する状態になる。このように、医療ガス用導管60が中継部50Bの右方向または左方向に延びるように、医療ガス用導管60は第一接続部51Bに接続される。また、図10に例示する状態において、医療ガス用導管60は、中継部50Bの右方向に延びているが、図12に例示する状態において、医療ガス用導管60は、中継部50Bの左方向に延びている。つまり、第一接続部51Bが中継部50Bに対して取付孔502を中心に180度回動することで、医療ガス用導管60が延びる方向は右方向または左方向に変更される。
【0077】
第三実施形態に係るカニューレ4Bにおいても、第一実施形態に係るカニューレ4と同様の効果を奏することができる。
【0078】
また、上記構成に係るカニューレ4Bによれば、第一接続部51Bが中継部50Bに対して回動することで、医療ガス用導管60が延びる方向は中継部50Bの右方向または左方向に変更することができる。このため、医療従事者や被検者Pは、医療ガス用導管60が延びる方向を、中継部50Bの右方向にするのか、それとも中継部50Bの左方向にするのかを、被検者Pの姿勢等の状況に応じて臨機応変に決定することができる。また、上記構成に係るカニューレ4Bによれば、第二接続部52Bに接続されている測定用導管70の取り外しを行うことなく第一接続部51Bを回動させることもできるので、容易に医療ガス用導管60が延びる方向を変更することもできる。
【0079】
また、上記構成に係るカニューレ4Bによれば、第一接続部51Bは、装着部40Bのうち被検者Pの鼻腔内に装着される部分(第一装着部42Bの上部420Bおよび第二装着部43Bの上部430B)が向いている方向(図10における後方向)とは反対の方向(図10における前方向)において、中継部50Bに設けられている。つまり、第一接続部51Bは、中継部50Bの前側面501に設けられている。例えば、第一接続部が中継部の下側に設けられている場合、このようなカニューレが被検者Pに装着されると、第一接続部は被検者Pの口元近くに位置するため、被検者Pに煩わしさを与えてしまう虞がある。しかし、カニューレ4Bにおいて、第一接続部51Bは、装着部40Bのうち被検者Pの鼻腔内に装着される部分が向いている方向とは反対の方向において、中継部50Bに設けられている。このため、カニューレ4Bが被検者Pに装着されても、第一接続部51Bは被検者Pの口元近くに位置しないので、被検者Pに煩わしさを与えてしまうことを抑制することができる。
【0080】
(第三実施形態の変形例)
次に、図13を参照しつつ、第三実施形態の変形例に係る中継部50Cについて説明する。なお、本変形例において、第三実施形態と同様の部分については、同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。図13は、本変形例に係る中継部50Cを例示する側面図である。図13に例示するように、中継部50Cは、カニューレ4Bが被検者P(図1参照)に装着された状態における被検者Pの反対側(図13における前側)に斜面505が設けられている点で、第三実施形態に係る中継部50Bと異なる。なお、本変形例においても、装着部40Bが雌型であり、中継部50Cが雄型である。中継部50Cの硬度は、例えば、ショアD70である。したがって、装着部40Bは、中継部50Cよりも柔らかい。また、医療ガス用導管60は、中継部50Cよりも柔らかい。
【0081】
本変形例において、斜面505は、中継部50Cの前側面501Cに連続しており、前側面501Cよりも下方に設けられている。なお、本変形例においても、測定用導管70は医療ガス用導管60の内部にある。また、本変形例に係る中継部50Cに内部構造は、基本的に第三実施形態に係る中継部50Bの内部構造と同様である。さらに、本変形例において、測定用導管70は、中継部50Cの外部では、医療ガス用導管60の内部にある。
【0082】
斜面505は、後方から前方に向かうにつれて中継部50Cの高さ方向(図13における上下方向)の長さが徐々に短くなるように、傾斜している。斜面505には、第一接続部51Bが設けられている。カニューレ4Bが被検者Pに装着された状態において、中継部50Cと第一接続部51Bの接続面506は、装着部40Bのうち被検者P側の開口面400に向いている。医療ガス供給装置21から供給された医療ガスは、医療ガス用導管60、中継部50Cおよび装着部40Bを介して被検者Pに供給されるが、接続面506が開口面400に向いているため、中継部50Cおよび装着部40Bの内部における医療ガスへの抵抗は小さい。このため、中継部50Cおよび装着部40Bの内部を通る医療ガスは、大きな抵抗を受けることなく被検者Pに供給される。
【0083】
本変形例に係る中継部50Cを備えるカニューレ4Bにおいても、第三実施形態に係る中継部50Bを備えるカニューレ4Bと同様の効果を奏することができる。
【0084】
また、本変形例に係る中継部50Cを備えるカニューレ4Bによれば、カニューレ4Bが被検者Pに装着された状態において、中継部50Cと第一接続部51Bの接続面506は、装着部40Bのうち被検者P側の開口面400に向いている。このため、中継部50Cおよび装着部40Bの内部を通る医療ガスは、大きな抵抗を受けることなく被検者Pに供給される。したがって、本変形例に係る中継部50Cを備えるカニューレ4Bによれば、効率よく被検者Pに医療ガスを供給することができる。
【0085】
上記の実施形態は本開示の理解を容易にするためのものであって、本開示を限定するものではない。本開示は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されうる。
【0086】
上記の実施形態において、医療システム1は、医療ガス供給装置21および呼吸測定モジュール22を備える統合装置2と、加温加湿器3と、カニューレ4,4A,4Bと、を備えているが、本開示はこれに限られない。医療システム1は、例えば、医療ガス供給装置21と、呼吸測定モジュール22と、加温加湿器3と、カニューレ4,4A,4Bと、を備えていてもよい。つまり、医療ガス供給装置21および呼吸測定モジュール22は、一つの装置に組み込まれていなくてもよい。
【0087】
上記の実施形態において、装着部40,40A,40Bは、第一装着部42,42A,42Bおよび第二装着部43,43A,43Bを含んでいるが、第一装着部42,42A,42Bおよび第二装着部43,43A,43Bのどちらか一方のみを含んでいてもよい。この場合、装着部40,40A,40Bは、被検者Pの右側鼻腔および左側鼻腔のどちらか一方にのみ装着される。
【0088】
上記の実施形態において、第一取付部54および第二取付部55は、中間点P3を中心として、180度回転対称の形状を有しているが、中間点P3を中心として、180度回転対称の形状を有していなくてもよい。また、中継部50,50A,50B,50Cの第一接続部51,51A,51B以外の部分における上面の外形は、中間点P3を中心として、180度回転対称の形状を有しているが、中間点P3を中心として、180度回転対称の形状を有していなくてもよい。
【0089】
上記の実施形態において、装着部40,40A,40Bは、中継部50,50A,50B,50Cよりも柔らかいが、中継部50,50A,50B,50Cと同程度の硬さを有していてもよいし、中継部50,50A,50B,50Cより硬くてもよい。
【0090】
上記の実施形態において、医療ガス用導管60,60Aは、中継部50,50A,50B,50Cよりも柔らかいが、中継部50,50A,50B,50Cと同程度の硬さを有していてもよいし、中継部50,50A,50B,50Cより硬くてもよい。
【0091】
上記の実施形態において、第一接続部51,51A,51Bの内径は、装着部40,40A,40Bの内径よりも大きいが、装着部40,40A,40Bの内径と同程度の長さであってもよいし、装着部40,40A,40Bの内径よりも小さくてもよい。
【0092】
上記の実施形態において、固定部80は、二つの導管取付部82(右導管取付部82Rおよび左導管取付部82L)を有しているが、左右の帯状部81にそれぞれ少なくとも一つの導管取付部82が設けられていればよく、三つ以上の導管取付部82を有していてもよい。
【0093】
上記の第一実施形態および第二実施形態において、第一医療ガス用流路421、第二医療ガス用流路431、第一測定用管路422および第二測定用管路432は断面円形状であるが、例えば、断面角筒状等の他の形状であってもよい。
【0094】
上記の第一実施形態および第二実施形態の変形例と、第三実施形態と、第三実施形態の変形例において、第一医療ガス用流路421A,421Bおよび第二医療ガス用流路431A,431Bは断面円形状であるが、例えば、断面角筒状等の他の形状であってもよい。また、上記の第一実施形態および第二実施形態の変形例と、第三実施形態と、第三実施形態の変形例において、第一測定用管路422A,422Bおよび第二測定用管路432A,432Bは、カニューレ4,4A,4Bを装着している被検者Pから見て、断面三日月状であるが、例えば、断面円形状等の他の形状であってもよい。
【0095】
上記の第一実施形態および第二実施形態において、第一医療ガス用流路421は、装着部40の長手方向において、第一測定用管路422よりも窪み部414から離れた位置にあるが、例えば、第一測定用管路422よりも窪み部414に近い位置にあってもよい。また、第二医療ガス用流路431は、装着部40の長手方向において、第二測定用管路432よりも窪み部414から離れた位置にあるが、例えば、第二測定用管路432よりも窪み部414に近い位置にあってもよい。
【0096】
上記の実施形態において、第一測定用管路422,422A,422Bは、第一医療ガス用流路421,421A,421Bを形成している管の内側に設けられていてもよい。また、第二測定用管路432,432A,432Bは、第二医療ガス用流路431,431A,431Bを形成している管の内側に設けられていてもよい。
【0097】
上記の実施形態においては、装着部40,40A,40Bが雌型であり、中継部50,50A,50B,50Cが雄型であるが、装着部40,40A,40Bが雄型であり、中継部50,50A,50B,50Cが雌型であってもよい。なお、第一実施形態と、第二実施形態と、第一実施形態および第二実施形態の変形例では、装着部40,40Aが雄型であり、中継部50,50Aが雌型の場合においても、装着部40,40Aまたは中継部50,50Aを180度反転させた状態であっても、装着部40,40Aを中継部50,50Aに取り付けることができる。また、装着部40,40A,40Bおよび中継部50,50A,50B,50Cのそれぞれは、雄型および雌型の取付部を一つずつ備えており、これにより、装着部40,40A,40Bが中継部50,50A,50B,50Cに取り付けられてもよい。
【0098】
上記の実施形態においては、雄型である第一取付部54および第二取付部55が雌型である装着部40,40A,40Bに接続されることで、医療ガス用流路401,401A,401Bと、第一医療ガス用流路421,421A,421Bおよび第二医療ガス用流路431,431A,431Bとの空間(通路)の接続と、測定用管路402,402Bと、第一測定用管路422,422A,422Bおよび第二測定用管路432,432A,432Bの空間(通路)との接続と、が実現されるが、本開示はこれに限られない。医療ガス用流路401,401A,401Bと、第一医療ガス用流路421,421A,421Bおよび第二医療ガス用流路431,431A,431Bとの空間(通路)の接続と、測定用管路402,402Bと、第一測定用管路422,422A,422Bおよび第二測定用管路432,432A,432Bの空間(通路)との接続と、は第一取付部54および第二取付部55および装着部40,40A,40B以外の部分における接続により実現されてもよい。例えば、装着部40,40A,40Bおよび中継部50,50A,50B,50Cが粘着テープ等により固定されることで、医療ガス用流路401,401A,401B、第一医療ガス用流路421,421A,421Bおよび第二医療ガス用流路431,431A,431Bと、測定用管路402,402B、第一測定用管路422,422A,422Bおよび第二測定用管路432,432A,432Bとが、それぞれ突き合わされた状態となり、上記の空間(通路)の接続が実現されてもよい。
【0099】
上記の実施形態において、中継部50,50A,50B,50Cは略直方体状であるが、例えば、三角錐台状や四角錐台状等の他の形状であってもよい。
【0100】
上記の実施形態において、第一取付部54と第二取付部55は円筒状であるが、例えば、四角形状等の他の形状であってもよい。
【0101】
第三実施形態および第三実施形態の変形例において、測定用導管70は、中継部50B,50Cの外部では、医療ガス用導管60の内部にあるが、医療ガス用導管60の外部にあってもよい。
【0102】
第三実施形態および第三実施形態の変形例において、第一接続部51Bは、中継部50B,50Cの前側面501,501Cに設けられているが、例えば、中継部50B,50Cの左右側面や下側面に設けられていてもよい。
【0103】
以上説明したように、本明細書には次の事項が開示されている。
(1)高流量酸素療法に用いられるカニューレであって、
被検者の鼻腔内に装着される装着部と、
前記装着部に接続される中継部と、を備え、
前記中継部のうち医療ガス供給装置側に設けられた第一接続部には、前記医療ガス供給装置から医療ガスを前記被検者に供給するための単一の医療ガス用流路が設けられており、
前記中継部のうち呼吸測定モジュール側に設けられた第二接続部には、前記被検者の呼吸状態を測定するための単一の測定用管路が設けられている、カニューレ。
(2)前記装着部は、前記被検者の右側鼻腔内に装着される第一装着部と、前記被検者の左側鼻腔内に装着される第二装着部と、を含み、
前記中継部は、前記医療ガス用流路および前記測定用管路を前記第一装着部および前記第二装着部にそれぞれ分岐させる分岐部を備え、
前記第一装着部および前記第二装着部のぞれぞれは、前記医療ガス用流路および前記測定用管路を有する、(1)に記載のカニューレ。
(3)前記第一接続部に接続される医療ガス用導管をさらに備え、
前記医療ガス用導管が前記中継部の右方向または左方向に延びるように、前記医療ガス用導管は前記第一接続部に接続される、(1)または(2)に記載のカニューレ。
(4)前記第一接続部が前記中継部に対して回動することで、前記医療ガス用導管が延びる方向は前記中継部の右方向または左方向に変更可能である、(3)に記載のカニューレ。
(5)前記第一接続部は、前記装着部のうち前記被検者の鼻腔内に装着される部分が向いている方向とは反対の方向において、前記中継部に設けられている、(4)に記載のカニューレ。
(6)前記カニューレが前記被検者に装着された状態において、前記中継部と前記第一接続部の接続面は、前記装着部のうち前記被検者側の開口面に向いている、(5)に記載のカニューレ。
(7)前記中継部は、第一取付部および第二取付部を備えており、
前記中継部が前記装着部に接続されている状態は、前記第一装着部に前記第一取付部が取り付けられ、前記第二装着部に前記第二取付部が取り付けられた第一接続状態と、前記第一装着部に前記第二取付部が取り付けられ、前記第二装着部に前記第一取付部が取り付けられた第二接続状態と、の間で切り替え可能である、(2)または(3)に記載のカニューレ。
(8)前記第一取付部および前記第二取付部は、前記第一取付部および前記第二取付部の中間点を中心として、180度回転対称の形状を有する、(7)に記載のカニューレ。
(9)前記装着部は、前記中継部よりも柔らかい、(1)から(8)のいずれか一つに記載のカニューレ。
(10)前記第一接続部に接続される医療ガス用導管をさらに備え、
前記医療ガス用導管は、前記中継部よりも柔らかい、(1)から(9)のいずれか一つに記載のカニューレ。
(11)前記第二接続部は、前記第一接続部の内部にあり、
前記第二接続部に接続される測定用導管は、前記第一接続部に接続される医療ガス用導管の内部にある、(1)から(10)のいずれか一つに記載のカニューレ。
(12)前記第二接続部は、前記第一接続部の外部にあり、
前記第二接続部に接続される測定用導管は、前記第一接続部に接続される医療ガス用導管の外部にある、(1)から(11)のいずれか一つに記載のカニューレ。
(13)前記第一接続部に接続される医療ガス用導管と、前記第二接続部に接続される測定用導管と、をさらに備え、
前記第一接続部に対する前記医療ガス用導管の接続方向と前記第二接続部に対する前記測定用導管の接続方向は同じである、(1)から(12)のいずれか一つに記載のカニューレ。
(14)前記第一接続部の内径は前記装着部の内径よりも大きい、(1)から(13)のいずれか一つに記載のカニューレ。
(15)前記カニューレを前記被検者に固定するための固定部をさらに備え、
前記固定部は、前記被検者の鼻を基準として左右方向に延びる帯状部と、前記第一接続部に接続される医療ガス用導管を前記固定部に対して取り付けるための導管取付部と、を有し、
前記導管取付部は、前記帯状部の左右それぞれに設けられている、(1)から(14)のいずれか一つに記載のカニューレ。
【符号の説明】
【0104】
1:医療システム、2:統合装置、3:加温加湿器、4,4A,4B:カニューレ、21:医療ガス供給装置、22:呼吸測定モジュール、40,40A,40B:装着部、41:台座部、42,42A,42B:第一装着部、43,43A,43B:第二装着部、50,50A,50B,50C:中継部、50D:下端部、50R:右端部、51,51A,51B:第一接続部、52,52B:第二接続部、53,53B:分岐部、54:第一取付部、55:第二取付部、56:第一孔部、57:第二孔部、60,60A:医療ガス用導管、61:第一出口部、62:第二出口部、70:測定用導管、80:固定部、81:帯状部、82:導管取付部、82L:左導管取付部、82R:右導管取付部、90:保持部材、400:開口面、401,401A,401B:医療ガス用流路、402,402B:測定用管路、411:右前角部、412:左前角部、413:中央後端部、414:窪み部、420B:第一装着部の上部、421,421A,421B:第一医療ガス用流路、422,422A,422B:第一測定用管路、423,423B:第一ハウジング部、430B:第二装着部の上部、431,431A,431B:第二医療ガス用流路、432,432A,432B:第二測定用管路、433,433B:第二ハウジング部、501,501C:前側面、505:斜面、506:接続面、541:第一円形孔部、551:第二円形孔部、811:伸縮部、812:非伸縮部、821:板状部、822:留め部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13