IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エビス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-容器 図1
  • 特開-容器 図2
  • 特開-容器 図3
  • 特開-容器 図4
  • 特開-容器 図5
  • 特開-容器 図6
  • 特開-容器 図7
  • 特開-容器 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086337
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/26 20060101AFI20240620BHJP
   B65D 43/04 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B65D43/26
B65D43/04 200
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201415
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】592199869
【氏名又は名称】エビス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100224627
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 稔
(72)【発明者】
【氏名】森川 淳平
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA26
3E084BA01
3E084CA03
3E084CC05
3E084DA03
3E084DB13
3E084DC05
3E084FA09
3E084FC01
3E084FC19
3E084GA08
3E084GB12
3E084GB26
(57)【要約】
【課題】開封に要する力が軽減され且つ意図しない開封が抑制された容器を提供する。
【解決手段】本発明に係る容器は、容器本体と蓋体とを備える。容器本体は、上縁部から外方に延在し且つ下方に傾斜する傾斜部を有する。蓋体の縁部には、上下方向に直交する横方向に沿って延びる回転中心を有するヒンジ部が設けられる。蓋体には、蓋体が容器本体を密閉することを許容する第1位置と、蓋体と容器本体との間に隙間を形成する第2位置との間で回動可能な回動部が、ヒンジ部を介して接続される。回動部は、下向きの突起部と、突起部よりも外方の外方部とを有する。容器は、傾斜部が支持されるときには、外方部に加わる下向きの外力により、回動部が第1位置から第2位置へ回動し、傾斜部が支持されないときには、前記の外力が突起部を介して傾斜部に作用して、傾斜部が下方に撓み、回動部の回動が阻害されるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に設けられた開口と、前記開口を画定する上縁部の少なくとも一部から外方に延在し且つ外方に向かって下方に傾斜する傾斜部とを有する容器本体と、
前記容器本体を密閉するように前記容器本体に取り付け可能である一方で、前記容器本体から取り外し可能である蓋体と、
前記蓋体の縁部に設けられ、上下方向に直交する横方向に沿って延びる回転中心を有するヒンジ部と、
前記ヒンジ部を介して前記蓋体に接続され、前記蓋体が前記容器本体を密閉することを許容する第1位置と、前記蓋体と前記容器本体との間に隙間を形成する第2位置との間を、前記ヒンジ部の前記回転中心を中心にして回動可能な回動部と、
を備え、
前記回動部には、下方に突出し、前記第1位置及び前記第1位置と前記第2位置との間で前記傾斜部に接触する突起部が設けられ、
前記回動部は、前記突起部よりも外方の部分である外方部を有し、
前記容器本体が前記蓋体によって密閉された密閉状態において、前記傾斜部が下方から支持されるときには、前記外方部に加わる下向きの外力により、前記回動部が前記第1位置から前記第2位置へ回動し、前記傾斜部が下方から支持されないときには、前記外方部に加わる下向きの外力が前記突起部を介して前記傾斜部に作用して、前記傾斜部が下方に撓み、前記回動部の前記第1位置から前記第2位置への回動が阻害されるように構成されている、容器。
【請求項2】
前記傾斜部は、
前記上縁部から外方に延在する第1傾斜部分と、
前記上縁部から外方に延在し、前記上縁部に沿って前記第1傾斜部分の両端部に連続する2つの第2傾斜部分と、
を有し、
前記第1傾斜部分は、前記上下方向及び前記横方向の両方に直交する直交方向に沿って外方に向かうに従って下方に傾斜し、
前記第2傾斜部分は、前記上下方向に直交し且つ前記直交方向に交差する方向に沿って外方に向かうに従って下方に傾斜している、
請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記回動部は、前記第1位置において、前記上下方向及び前記横方向の両方に直交する直交方向に沿って外方に向かうに従って上方に傾斜している、
請求項1又は2に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の容器としては、例えば、特許文献1に記載の容器が知られている。特許文献1に記載の容器は、開口が設けられた容器本体と、当該容器本体を密閉可能な蓋とを備える。容器本体の上縁部には、上向きに窪んだ凹溝を形成するフランジが設けられている。当該フランジの周縁部には、フィルムヒンジを介して開閉板が接続されている。開閉板は、容器の密閉状態において下方に延在している。
【0003】
蓋の周縁部には、容器の密閉状態において容器本体のフランジが挿入される凹状のフランジが設けられている。当該フランジには、下方に延在する蓋延長部が接続されている。蓋延長部は、密閉状態の容器において、容器本体の開閉板の外壁に接触している。開閉板が上方且つ容器本体から離れる向きに回動すると、前記の接触を介して蓋が持ち上げられ、容器が開封される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-193132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の容器には、開封に要する力が軽減され且つ意図しない開封が抑制された容器を提供するという観点で未だ改善の余地がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、開封に要する力が軽減され且つ意図しない開封が抑制された容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る容器は、
上部に設けられた開口と、前記開口を画定する上縁部の少なくとも一部から外方に延在し且つ外方に向かって下方に傾斜する傾斜部とを有する容器本体と、
前記容器本体を密閉するように前記容器本体に取り付け可能である一方で、前記容器本体から取り外し可能である蓋体と、
前記蓋体の縁部に設けられ、上下方向に直交する横方向に沿って延びる回転中心を有するヒンジ部と、
前記ヒンジ部を介して前記蓋体に接続され、前記蓋体が前記容器本体を密閉することを許容する第1位置と、前記蓋体と前記容器本体との間に隙間を形成する第2位置との間を、前記ヒンジ部の前記回転中心を中心にして回動可能な回動部と、
を備え、
前記回動部には、下方に突出し、前記第1位置及び前記第1位置と前記第2位置との間で前記傾斜部に接触する突起部が設けられ、
前記回動部は、前記突起部よりも外方の部分である外方部を有し、
前記容器本体が前記蓋体によって密閉された密閉状態において、前記傾斜部が下方から支持されるときには、前記外方部に加わる下向きの外力により、前記回動部が前記第1位置から前記第2位置へ回動し、前記傾斜部が下方から支持されないときには、前記外方部に加わる下向きの外力が前記突起部を介して前記傾斜部に作用して、前記傾斜部が下方に撓み、前記回動部の前記第1位置から前記第2位置への回動が阻害されるように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、開封に要する力が軽減され且つ意図しない開封が抑制された容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る容器の分解斜視図である。
図2図1の容器の密閉状態における平面図である。
図3図2の容器のIII-III線断面図である。
図4図3におけるZ1領域の拡大断面図である。
図5図4に対応する拡大断面図であって、容器の開放状態を示す図である。
図6図4に対応する拡大断面図であって、第1位置から第2位置へ回動中のフラップを示す図である。
図7図4に対応する拡大断面図であって、傾斜部が撓んだ状態を示す図である。
図8図1の容器の変形例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本発明の基礎となった知見>
本発明者は、開封に要する力が軽減され且つ意図しない開封が抑制された容器を提供するために鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
【0011】
この種の容器では、食品等の収容物の乾燥、変質、汚染などを抑制するために、容器本体と蓋体との嵌め合いを強固にして、容器の密閉性を高める傾向がある。しかしながら、容器本体と蓋体との嵌め合いが強固になるほど、当該嵌め合いの解除、すなわち容器の開封に要する力が大きくなり、容器の利便性が低下する。
【0012】
特許文献1に記載の容器では、容器本体に設けられた開閉板が回動して、蓋が容器本体から持ち上げられることにより、容器が開封される。このような容器では、開封が意図されない状況で回動部(開閉板)が回動することで、不意に容器が開封される可能性がある。特に、回動部が下方に回動することで開封される容器では、回動部が当該容器の上に積まれた物体からの荷重によって下方に回動することも考えられる。
【0013】
そこで、本発明者は、蓋体に接続された回動部が下方に回動することで開封される容器の開発過程で、回動部に下向きの外力が加わったときに、当該回動部に下方から接触している容器本体の傾斜部が撓む構成を見出した。この構成によれば、容器の開封が意図されないとき、すなわち傾斜部が下方から支持されないときには、前記外力の一部が傾斜部の撓み変形に利用されるため、傾斜部から回動部への反作用が小さくなる。これにより、後述するように、回動部の下方への回動が阻害され、容器の意図しない開封が抑制される。この新規な知見に基づき、本発明者は以下の発明に至った。
【0014】
本発明の第1態様によれば、
上部に設けられた開口と、前記開口を画定する上縁部の少なくとも一部から外方に延在し且つ外方に向かって下方に傾斜する傾斜部とを有する容器本体と、
前記容器本体を密閉するように前記容器本体に取り付け可能である一方で、前記容器本体から取り外し可能である蓋体と、
前記蓋体の縁部に設けられ、上下方向に直交する横方向に沿って延びる回転中心を有するヒンジ部と、
前記ヒンジ部を介して前記蓋体に接続され、前記蓋体が前記容器本体を密閉することを許容する第1位置と、前記蓋体と前記容器本体との間に隙間を形成する第2位置との間を、前記ヒンジ部の前記回転中心を中心にして回動可能な回動部と、
を備え、
前記回動部には、下方に突出し、前記第1位置及び前記第1位置と前記第2位置との間で前記傾斜部に接触する突起部が設けられ、
前記回動部は、前記突起部よりも外方の部分である外方部を有し、
前記容器本体が前記蓋体によって密閉された密閉状態において、前記傾斜部が下方から支持されるときには、前記外方部に加わる下向きの外力により、前記回動部が前記第1位置から前記第2位置へ回動し、前記傾斜部が下方から支持されないときには、前記外方部に加わる下向きの外力が前記突起部を介して前記傾斜部に作用して、前記傾斜部が下方に撓み、前記回動部の前記第1位置から前記第2位置への回動が阻害されるように構成されている、容器を提供する。
【0015】
本発明の第2態様によれば、
前記傾斜部は、
前記上縁部から外方に延在する第1傾斜部分と、
前記上縁部から外方に延在し、前記上縁部に沿って前記第1傾斜部分の両端部に連続する2つの第2傾斜部分と、
を有し、
前記第1傾斜部分は、前記上下方向及び前記横方向の両方に直交する直交方向に沿って外方に向かうに従って下方に傾斜し、
前記第2傾斜部分は、前記上下方向に直交し且つ前記直交方向に交差する方向に沿って外方に向かうに従って下方に傾斜している、
第1態様に記載の容器を提供する。
【0016】
本発明の第3態様によれば、前記回動部は、前記第1位置において、前記上下方向及び前記横方向の両方に直交する直交方向に沿って外方に向かうに従って上方に傾斜している、第1又は第2態様に記載の容器を提供する。
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態は、本発明を限定するものではない。また、図面において実質的に同一の部材については、同一の符号を付している。
【0018】
また、以下では、説明の便宜上、容器の通常使用時の向きを想定して「上」、「下」、「前」、「後」等の方向を示す用語を用いるが、これらの用語は、本発明に係る容器の使用状態等を限定するものではない。
【0019】
<実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る容器の分解斜視図である。本実施形態の容器1は、内部に食品等を収容する保存容器であり、電子レンジによる加熱調理に使用できる。
【0020】
図1を参照すると、容器1は、全体として直方体状である。容器1は、平面視で、全体として略長方形である。
【0021】
以下の説明において、容器1の平面視における長手方向を単に長手方向Xといい、容器1の平面視における短手方向を単に短手方向Yといい、長手方向X及び短手方向Yの両方に直交する方向を高さ方向Zという場合がある。長手方向Xと短手方向Yとは、互いに直交している。また、以下の説明において、高さ方向Zに直交し且つ容器1の外側に向かう向きを外方という場合がある。また、高さ方向Zに直交し且つ容器1の内側に向かう向きを内方という場合がある。本実施形態では、長手方向Xが本発明の「直交方向」に対応し、短手方向Yが本発明の「横方向」に対応し、高さ方向Zが本発明の「上下方向」に対応する。
【0022】
容器1は、上部に開口10aを有する容器本体10と、容器本体10を密閉するように容器本体10に取り付け可能である一方で、容器本体10から取り外し可能な蓋体20とを有する。以下の説明において、蓋体20が容器本体10を密閉するように容器本体10に取り付けられている容器1の状態を密閉状態という場合がある。同様に、蓋体20と容器本体10との間に隙間が形成されるように蓋体20が容器本体10に取り付けられている容器1の状態を開放状態という場合がある。
【0023】
容器本体10は、略直方体の有底筒状である。容器本体10の材料は、例えば、ポリプロピレンである。容器本体10は、長方形状の底部11と、底部11の外縁部、つまり四辺から上方に立ち上がった筒状の本体側壁部12と、本体側壁部12の上端部から外方に延びた本体フランジ部13とを備える。底部11と本体側壁部12とは、容器本体10が食品等を収容する収容空間を画定する。本体フランジ部13は、本体側壁部12の上端部を取り囲むように設けられた枠状である。本実施形態では、本体フランジ部13は、容器本体10の上縁部を構成している。また、本体フランジ部13により、開口10aが画定されている。本体側壁部12の上端部の内周面には、後述する蓋体20の蓋側壁部22が嵌め合わされる受け部12aが全周にわたって設けられている。
【0024】
容器本体10は、本体フランジ部13の外縁部の少なくとも一部から外方に延在する傾斜部13aを有する。本実施形態では、傾斜部13aは、2つ設けられ、本体フランジ部13のうち、短手方向Yに延びる一対の短辺の各々から延在している。傾斜部13aは、高さ方向Zに直交する方向に沿って外方に向かうに従って、下方に傾斜している。傾斜部13aは、本体フランジ部13との境界部では上側に湾曲した曲面状であり、当該境界部よりも外方の部分では平面状である。本実施形態の傾斜部13aは、その全体に亘って略同一の厚さを有する。
【0025】
各傾斜部13aは、その短手方向Yにおける中央部である第1傾斜部分13bと、本体フランジ部13に沿って第1傾斜部分13bの両端部に連続する2つの第2傾斜部分13cとを含む。第1傾斜部分13b及び第2傾斜部分13cの各々は、本体フランジ部13から外方に延在している。傾斜部13aと本体フランジ部13との境界51は、第1傾斜部分13bと本体フランジ部13との第1境界52と、第2傾斜部分13cと本体フランジ部13との第2境界53とを含む。
【0026】
第1傾斜部分13bは、長手方向Xに沿って外方に向かうに従って、下方に傾斜している。第1傾斜部分13bの延在方向(前記の曲面状の部分においては、曲面の接線方向)と、長手方向Xとの間の角度θ1は、例えば45度以下である。第1傾斜部分13bには、後述するフラップ40が嵌め合わされるように下方に窪んだ凹部14が形成されている。
【0027】
第2傾斜部分13cは、高さ方向Zに直交し且つ長手方向Xに交差する方向に沿って外方に向かうに従って、下方に傾斜している。本実施形態の第2傾斜部分13cは、本体フランジ部13の平面視における角部13eから外方に延在し、角部13eの外縁の接線方向に直交する方向に沿って傾斜している。つまり、第2傾斜部分13cは、高さ方向Zに直交する方向において、第1傾斜部分13bとは異なる方向に沿って傾斜している。なお、第2傾斜部分13cの傾斜は、高さ方向Zに直交し且つ長手方向Xに交差する方向に沿っていればよく、例えば短手方向Yに沿っていてもよい。
【0028】
図2は、図1の容器の密閉状態における平面図である。図2に示すように、本実施形態の第2傾斜部分13cは、長手方向Xにおいて、第1傾斜部分13bと本体フランジ部13との第1境界52よりも内方まで延在している。つまり、第2境界53は、平面視において曲線形状である。境界51が曲がった第2境界53を有することにより、傾斜部13aが境界51を回転中心として回転することが抑制される。これにより、傾斜部13aに外力が加わったときや、加熱により容器本体10の柔軟性が高まったときにも、傾斜部13aの下向きの傾斜がより確実に維持される。
【0029】
傾斜部13aの下面には、図1に破線で示す突出部13dが設けられている。突出部13dは、後述するように傾斜部13aを下方から指で支持するときに、指が滑るのを抑制する滑り止めとして機能する。本実施形態では、線状の突出部13dが、第1傾斜部分13bの下面に2本設けられ、傾斜部13aの外縁に沿って延びている。
【0030】
蓋体20は、略長方形の板状である。蓋体20の材料は、例えばポリプロピレンである。蓋体20は、略長方形の板状の蓋平面部21と、蓋平面部21の外縁部、つまり四辺から立ち上がった筒状の蓋側壁部22と、蓋側壁部22の上端部から外方に延びた蓋フランジ部23とを備える。蓋平面部21は、蓋体20が容器本体10に取り付けられたときに、開口10aを上側から覆う。蓋フランジ部23は、蓋側壁部22の上端部を取り囲むように設けられた枠状である。
【0031】
蓋側壁部22の外形は、本体側壁部12の受け部12aの内形と概ね相似形である。蓋側壁部22の外形寸法は、本体側壁部12の受け部12aの内形寸法よりも僅かに大きい。これにより、蓋側壁部22が弾性変形した状態で蓋側壁部22と本体側壁部12とが嵌まり合うため、容器1の密閉性を確保できる。本実施形態の蓋体20は、容器本体10の内側に嵌まる所謂内嵌合の蓋である。言い換えれば、本実施形態の容器1は、内嵌合構造の容器である。
【0032】
蓋体20の縁部には、ヒンジ部30が設けられている。ヒンジ部30は、薄肉の樹脂からなる所謂フィルムヒンジである。ヒンジ部30は、蓋フランジ部23の短手方向Yに延びる一対の短辺の一方に設けられている。ヒンジ部30は、短手方向Yに沿って延びる回転中心を有している。
【0033】
蓋体20には、ヒンジ部30を介して、フラップ40が接続されている。具体的には、フラップ40の一端部は、ヒンジ部30に回動可能に接続されており、ヒンジ部30から長手方向Xに沿って外方に延びている。これにより、フラップ40は、ヒンジ部30の回転中心を中心として回動可能である。本実施形態では、蓋体20とヒンジ部30とフラップ40とは、樹脂で一体に成形されている。本実施形態のフラップ40は、本発明の「回動部」に対応する。
【0034】
フラップ40の幅(短手方向Yの寸法)は、長手方向Xにおける外方に向かって、つまりヒンジ部30から離れるに従って、徐々に狭くなっている。言い換えれば、フラップ40の幅は、ヒンジ部30に接続される基端部から先端部に向かって、徐々に狭くなっている。本実施形態のフラップ40は、平面視で略半円形の板状であり、上面40aと下面40bとを有する。
【0035】
図3は、図2の容器のIII-III線断面図である。図4は、図3におけるZ1領域の拡大断面図である。図4に示すように、フラップ40の下面40bには、本体フランジ部13に向かって下方に突出した突起部41が設けられている。突起部41は、短手方向Yに沿って延びる突条である。本実施形態の突起部41は、短手方向Yに直交する断面において、略四分円形状を有している。
【0036】
フラップ40の上面40aには、長手方向Xに沿った断面において、突起部41の形状に対応する形状の凹部42が形成されている。フラップ40のうち、突起部41よりも外方の部分は、フラップ40の外方部43を構成する。フラップ40の下面40bは、外方部43の下面43aを含む。本実施形態では、突起部41の高さは、外方部43の厚さよりも大きい。突起部41の高さは、例えば、外方部43の厚さ方向における外方部43の下面43aからの高さである。
【0037】
蓋体20は、容器本体10を密閉するように容器本体10に取り付け可能である一方で、蓋体20と容器本体10との間に隙間が形成されるように容器本体10に取り付け可能である。図3及び図4を参照すると、容器1が密閉状態にあるとき、蓋側壁部22と本体側壁部12の受け部12aとが嵌まり合っている。これにより、蓋体20が容器本体10を密閉している。
【0038】
容器1が密閉状態にあるとき、フラップ40は、受け部12aと蓋側壁部22との嵌まり合いを阻害しないように、ヒンジ部30から長手方向Xに沿って外方に延びている。以下の説明において、容器1が密閉状態であることを許容する、つまり蓋体20が容器本体10を密閉することを許容するフラップ40の位置を第1位置という場合がある。図3及び図4に示すフラップ40は、第1位置にある。図4に示すように、フラップ40は、第1位置において、長手方向Xに沿って外方に向かうに従って、上方に傾斜している。第1位置にあるフラップ40では、突起部41は、接触部Cにおいて傾斜部13aに接触している。本実施形態の突起部41は、第1傾斜部分13bの曲面状の部分に接触している。
【0039】
図5は、図4に対応する拡大断面図であって、容器の開放状態を示す図である。図5に示すように、容器1が開放状態にあるとき、蓋側壁部22が本体側壁部12の受け部12aから外れて、蓋体20と容器本体10との間に隙間Sが形成されている。
【0040】
容器1が開放状態にあるとき、フラップ40は、長手方向Xにおける外方(図5では左側)に向かって下方に傾斜するように、ヒンジ部30から延びている。フラップ40と蓋体20とは、ヒンジ部30で屈曲するように接続されている。また、容器1が開放状態にあるとき、フラップ40は、容器本体10と蓋体20との間に挟まれている。言い換えれば、容器1が開放状態にあるとき、フラップ40は、先端部において凹部14に嵌まることで本体フランジ部13に支持されるとともに、基端部においてヒンジ部30を介して蓋体20を支持している。これにより、容器1が開放状態にあるとき、蓋体20と容器本体10との間に形成された隙間Sが維持されるようになっている。以下の説明において、容器1が開放状態であることを許容する、つまり蓋体20と容器本体10との間に隙間Sを形成するフラップ40の位置を第2位置という場合がある。
【0041】
本実施形態のフラップ40は、第1位置と第2位置との間を、ヒンジ部30の回転中心を中心にして回動可能である。以下の説明において、フラップ40がヒンジ部30の回転中心を中心にして第1位置から第2位置に回動する方向(図3図7では反時計回り)、つまりフラップ40が容器本体10に近づく方向を一方向という場合がある。また、フラップ40がヒンジ部30の回転中心を中心にして第2位置から第1位置に回動する方向(図3図7では時計回り)、つまりフラップ40が容器本体10から離れる方向を逆方向という場合がある。
【0042】
前述したように、容器1が開放状態にあるとき、つまりフラップ40が第2位置にあるとき、フラップ40は、凹部14に嵌まっている。フラップ40が凹部14に嵌まっているとき、凹部14の係止壁14aにより、フラップ40が逆方向に回動することが規制されている。係止壁14aは、凹部14を画定する壁のうち長手方向Xにおける内方を向く面に位置した隆起部分である。
【0043】
フラップ40は、傾斜部13aが下方から支持されるときには、外方部43に下向きの外力が加えられると、当該外力により第1位置から第2位置へ回動する。フラップ40が第2位置まで回動すると、蓋体20が持ち上げられ、容器1が開放状態になる。一方で、傾斜部13aが下方から支持されないときには、外方部43に加わる下向きの外力が突起部41を介して傾斜部13aに作用し、傾斜部13aは、下方に撓む。傾斜部13aが撓むことにより、フラップ40の第1位置から第2位置への回動が阻害される。
【0044】
(フラップ40の動作)
まず、図4図6を参照して、傾斜部13aが下方から支持される場合のフラップ40の動作を説明する。
【0045】
まず、傾斜部13aが下方から支持されるとともに、外方部43の上面に下向きの外力F1(図4参照)が加えられる。例えば、容器1の使用者が、親指及び人差し指によって、傾斜部13a及び外方部43を挟むように摘まむ。これにより、傾斜部13aが人差し指によって下方から支持されるとともに、親指から下向きの外力F1が外方部43に加えられる。このとき、傾斜部13aは、下向きの外力F1によって撓むように構成されているものの、下方から支持されているために撓みづらい。この状態では、外力F1によって、フラップ40は、第1位置から押し下げられ、ヒンジ部30の回転中心を中心にして一方向に回動する(図4における矢印R1参照)。
【0046】
図6は、図4に対応する拡大断面図であって、第1位置から第2位置へ回動中のフラップを示す図である。図6に示すように、フラップ40は、第1傾斜部分13bと突起部41との接触部Cを支点として回動する。このとき、突起部41は、第1傾斜部分13bに接触しながら、上方且つ長手方向Xにおける内方(図6では右)に向かって滑って移動する。つまり、フラップ40が一方向に回動するに従って、接触部Cは、傾斜部13a内で上方且つ長手方向Xにおける内方に移動する。同様に、フラップ40が一方向に回動するに従って、接触部Cは、突起部41内で外方部43に近づくように移動する。
【0047】
突起部41が第1傾斜部分13bの曲面状の部分に接触している場合、突起部41と傾斜部13aとは線接触する。この構成では、突起部41と傾斜部13aとが面接触する構成よりも、突起部41を第1傾斜部分13b上で滑らかに移動させることができる。
【0048】
本実施形態では、フラップ40が第1位置から第2位置に回動する間において、接触部Cとフラップ40の先端部との間の距離が、接触部Cとヒンジ部30との間の距離よりも長くなるように構成されている。
【0049】
そして、フラップ40を更に押し下げる、つまりフラップ40を更に一方向に回動させると、蓋体20が上方に押し上げられ、容器本体10との密閉が解除される。言い換えれば、フラップ40が第2位置に到達し、蓋体20と容器本体10との間に隙間S(図5参照)が形成される。
【0050】
その後、フラップ40を更に押し下げる、つまりフラップ40を更に一方向に回動させると、フラップ40は、先端部が傾斜部13aの平面状の部分に接触しながら、第2位置に向けて回動し、図5に示すように、傾斜部13aに設けられた凹部14に嵌まる。フラップ40が凹部14に嵌まることにより、フラップ40の逆方向への回動が抑制される。そのため、例えば加熱中に、容器本体10と蓋体20との間の隙間Sをより確実に維持することができる。
【0051】
次に、図4及び図7を参照して、傾斜部13aが下方から支持されない場合、すなわち容器1の開封が意図されない場合のフラップ40及び傾斜部13aの動作について説明する。図7は、図4に対応する拡大断面図であって、傾斜部が撓んだ状態を示す図である。
【0052】
この場合、外方部43に加わる外力F1(図4参照)は、例えば、容器1の上に積まれた物体からの荷重である。下向きの外力F1は、突起部41及び接触部Cを介して傾斜部13aに作用し、図7に示すように第1傾斜部分13bを撓ませる。より詳細には、第1傾斜部分13bは、長手方向Xに沿って外方に向かうに従って下方に傾斜しているため、その傾斜が更に急になるように撓む。つまり、撓んだ第1傾斜部分13bの延在方向と長手方向Xとの間の角度θ2が、撓む前の第1傾斜部分13bの延在方向と長手方向Xとの間の角度θ1(図4参照)よりも大きい。
【0053】
第1傾斜部分13bの撓みには、外力F1の一部が利用される。これにより、傾斜部13aから突起部41への反作用は、傾斜部13aが下方から支持される場合よりも小さくなる。また、第1傾斜部分13bの延在方向と長手方向Xとの間の角度が、撓む前よりも大きくなるため、突起部41が傾斜部13aから受ける力のうち、上向きの分力が小さくなる。その結果、第1傾斜部分13bが撓んだ状態では、突起部41が第1傾斜部分13bに沿って上方且つ長手方向Xにおける内方(図7では右)に滑って移動しにくくなる。そして、突起部41の当該移動に連動する、フラップ40の一方向の回動が阻害される。
【0054】
第1傾斜部分13bの撓みの大きさは、例えば外方部43の厚さ又は突起部41の高さよりも大きくてもよい。第1傾斜部分13bの撓みの大きさは、例えば、第1傾斜部分13bの先端の高さ方向Zにおける移動距離である。また、第1傾斜部分13bの撓みの大きさは、例えば、傾斜部13aが下方から支持されない状態において、フラップ40が回動し、上面40aが高さ方向Zに直交したときに測定される。
【0055】
外方部43に外力F1が加わったとき、第2傾斜部分13cの撓みは、第1傾斜部分13bの撓みよりも小さくなる。これは、第1傾斜部分13bが長手方向Xに沿って撓む一方で、第2傾斜部分13cが長手方向Xに交差する方向に傾斜しているためである。
【0056】
本実施形態に係る容器1によれば、傾斜部13aが下方から支持された状態で、外方部43に下向きの外力が加わると、突起部41が傾斜部13aから受ける反作用によって傾斜部13aを上るように移動するとともに、フラップ40が第1位置から第2位置へ回動する。これにより、ヒンジ部30を介してフラップ40に接続された蓋体20が持ち上げられ、容器1が開封される。つまり、容器1を開封するために、傾斜部13aと突起部41との接触部Cを支点とするてこの原理を利用することができ、容器1の開封に要する力を軽減することができる。
【0057】
一方、傾斜部13aが下方から支持されない状態では、前記の外力の少なくとも一部は、傾斜部13aを撓ませるのに作用する。そのため、フラップ40が傾斜部13aから受ける反作用は、傾斜部13aが撓まない構成と比較して小さくなる。また、傾斜部13aが下方に撓むと、傾斜部13aの傾斜が上下方向に直交する面に対して更に急になり、前記の反作用における上向きの分力が小さくなる。これにより、傾斜部13aが下方から支持されない状態、つまり容器1の開封が意図されない状態では、前記の外力が外方部43に加わったとしても、フラップ40が第2位置まで回動しにくい。したがって、開封に要する力が軽減され且つ意図しない開封が抑制された容器1を提供することができる。
【0058】
傾斜部13aが一方向のみに沿って下方に傾斜している構成では、傾斜部13a全体が容器本体10の他の部分に対して容易に変形し得る。例えば、傾斜部13aが下方から支持される、すなわち傾斜部13aに上向きの力が加わると、傾斜部13aは、外方に向かって上方に傾斜するように変形し得る。この場合、フラップ40を回動させることによる蓋体20の持ち上げが困難となる。
【0059】
一方、本実施形態に係る容器1によれば、第1傾斜部分13bと第2傾斜部分13cとが異なる方向に沿って下方に傾斜しているため、同一方向に沿って下方に傾斜している構成と比較して、傾斜部13aの変形を抑制することができる。つまり、傾斜部13aが下方から支持されるときや、加熱により容器本体10の柔軟性が高まったときにも、傾斜部13aの下方への傾斜をより確実に維持することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る容器1によれば、フラップ40の第1位置と第2位置との間の回動角度は、フラップ40が第1位置において上方に傾斜していない構成と比較して大きくなる。これにより、フラップ40の回動によって、蓋体20をより大きく持ち上げることができる。また、この構成によれば、フラップ40が第1位置において傾斜しているため、フラップ40の上に積まれた物体からフラップ40にかかる垂直荷重は、フラップ40が傾斜していない構成と比較して小さくなる。そのため、フラップ40がその上に積まれた物体の荷重によって回動することを抑制することができ、容器1の意図しない開封が抑制される。
【0061】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施することができる。例えば、前記では、容器1及び開口10aが平面視において略長方形であるものとしたが、本発明はこれに限定されない。容器1及び開口10aの平面視における形状は、多角形、円形、楕円形などであってもよい。
【0062】
<変形例>
図8は、図1の容器の変形例を示す分解斜視図である。図8に示す変形例では、蓋側壁部22は、蓋平面部21の外縁部、つまり四辺から下方に向けて延びた筒状であり、蓋フランジ部23は、蓋側壁部22の下端部から外方に延びている。また、本変形例では、蓋体20の蓋側壁部22が嵌め合わされる受け部12aが、本体側壁部12の上端部の外周面に、全周わたって設けられている。本変形例では、蓋体20の蓋側壁部22が容器本体10の本体側壁部12に設けられた受け部12aに外側から嵌まることで、蓋体20が容器本体10を密閉する。つまり、本変形例の蓋体20は、容器本体10の外側に嵌まる所謂外嵌合の蓋である。言い換えれば、本変形例の容器1は、外嵌合構造の容器である。
【0063】
本発明は、添付図面を参照しながら、好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとって、種々の変形や修正は明白である。このような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係る容器は、開封に要する力が軽減され且つ意図しない開封が抑制されているので、種々の容器に有用である。
【符号の説明】
【0065】
1 容器
10 容器本体
10a 開口
13 本体フランジ部
13a 傾斜部
13b 第1傾斜部分
13c 第2傾斜部分
20 蓋体
30 ヒンジ部
40 フラップ
41 突起部
43 外方部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8