(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086352
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ロボット検査システム
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20240620BHJP
B25J 9/10 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G01B11/00 D
B25J9/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201439
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】漆間 正太
(72)【発明者】
【氏名】久保 達哉
(72)【発明者】
【氏名】新藤 裕幸
【テーマコード(参考)】
2F065
3C707
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA16
2F065AA17
2F065BB15
2F065DD03
2F065EE00
2F065FF02
2F065FF04
2F065GG04
2F065HH03
2F065HH14
2F065JJ03
2F065MM16
2F065PP25
2F065QQ03
2F065QQ21
2F065QQ24
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065UU05
3C707BS15
3C707CS08
3C707CV07
3C707CW07
3C707HS27
3C707HT17
3C707KS05
3C707KT01
3C707KT06
3C707LT17
3C707WA16
(57)【要約】
【課題】検査環境の変動を抑制し、検査精度の変動や低下を抑制することのできるロボット検査システムを提供する。
【解決手段】ロボット検査システムは、ロボットを載置する載置台が接続される接続部と、前記接続部と前記載置台との位置決めを行う位置決め機構と、前記接続部に前記載置台が接続された状態で、前記ロボットの検査を行う検査部と、を有する。また、前記載置台は、自動搬送車により前記接続部まで搬送される。また、前記検査部は、前記ロボットに対して複数種類の検査を行う。また、前記接続部は、前記載置台が侵入する侵入口を備える凹部を有し、前記凹部の周囲に前記検査部が配置されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットを載置した載置台が接続される接続部と、
前記接続部と前記載置台との位置決めを行う位置決め機構と、
前記接続部に前記載置台が接続された状態で、前記ロボットの検査を行う検査部と、を有することを特徴とするロボット検査システム。
【請求項2】
前記載置台は、自動搬送車により前記接続部まで搬送される請求項1に記載のロボット検査システム。
【請求項3】
前記検査部は、前記ロボットに対して複数種類の検査を行う請求項1に記載のロボット検査システム。
【請求項4】
前記接続部は、前記載置台が侵入する侵入口を備える凹部を有し、
前記凹部の周囲に前記検査部が配置されている請求項1に記載のロボット検査システム。
【請求項5】
前記ロボットは、ベースと、前記ベースに対して第1回動軸まわりに回動する第1アームと、前記第1アームに対して第2回動軸まわりに回動する第2アームと、前記第2アームに配置されている作業ヘッドと、を有するスカラロボットである請求項1に記載のロボット検査システム。
【請求項6】
前記検査部は、前記第1回動軸および前記第2回動軸の校正を行う校正装置を有する請求項5に記載のロボット検査システム。
【請求項7】
前記校正装置は、水平方向に移動する請求項6に記載のロボット検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、治具シャフトを用いて多関節型ロボットの原点校正を行う方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の多関節型ロボットの原点校正方法では、検査対象の多関節型ロボットが置かれた場所で治具シャフトを用いて原点校正を行うため、多関節型ロボットが置かれた環境が検査結果に影響する場合がある。そのため、原点校正の精度が変動したり、低下したりするおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のロボット検査システムは、ロボットを載置した載置台が接続される接続部と、
前記接続部と前記載置台との位置決めを行う位置決め機構と、
前記接続部に前記載置台が接続された状態で、前記ロボットの検査を行う検査部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】好適な実施形態に係るロボット検査システムの構成図である。
【
図2】ロボット検査システムで検査されるロボットの一例を示す側面図である。
【
図4】載置台および自動搬送車を示す側面図である。
【
図5】自動搬送車で載置台を持ち上げた状態を示す側面図である。
【
図7】ロボット検査システムに載置台が接続された状態を示す上面図である。
【
図13】センサーユニットの測定領域内にロボットの先端を位置させた状態を示す斜視図である。
【
図14】センサーユニットで取得される画像の一例を示す図である。
【
図15】センサーユニットで取得される画像の一例を示す図である。
【
図16】センサーユニットで取得される画像の一例を示す図である。
【
図17】センサーユニットで取得される画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明のロボット検査システムを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0008】
図1は、好適な実施形態に係るロボット検査システムの構成図である。
図2は、ロボット検査システムで検査されるロボットの一例を示す側面図である。
図3は、
図2に示すロボットの拡大図である。
図4は、載置台および自動搬送車を示す側面図である。
図5は、自動搬送車で載置台を持ち上げた状態を示す側面図である。
図6は、ロボット検査システムの上面図である。
図7は、ロボット検査システムに載置台が接続された状態を示す上面図である。
図8は、第2領域で行われる作業を示す図である。
図9および
図10は、それぞれ、第3領域で行われる作業を示す図である。
図11は、第1領域を示す上面図である。
図12は、基準ピンの斜視図である。
図13は、センサーユニットの測定領域内にロボットの先端を位置させた状態を示す斜視図である。
図14ないし
図17は、それぞれ、センサーユニットで取得される画像の一例を示す図である。
【0009】
なお、
図1、
図6ないし
図11に示すように、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸として図示している。また、以下では、X軸に沿う方向をX軸方向とも言い、Y軸に沿う方向をY軸方向とも言い、Z軸に沿う方向をZ軸方向とも言う。また、各軸の矢印側をプラス側とも言い、反対側をマイナス側とも言う。また、Z軸方向は、鉛直方向に沿っている。
【0010】
図1に示すロボット検査システム1は、載置台2に載置された状態で搬送されてきたロボット3に対して所定の検査を行う装置である。つまり、従来のように各ロボット3が設置された場所でロボット3毎に検査を行うのではなく、反対に、全てのロボット3をロボット検査システム1まで搬送して検査する。このようなシステムによれば、全てのロボット3を同じ場所、同じ環境で検査することができるため、ロボット3毎に検査精度がばらつき難くなる。したがって、全てのロボット3について、安定した、かつ、高い精度の検査を行うことができる。
【0011】
以下、ロボット検査システム1について詳細に説明するが、それに先立って、検査対象であるロボット3と、ロボット3を載置する載置台2と、載置台2をロボット検査システム1まで搬送する自動搬送車4(AGV:Automatic Guided Vehicle)と、についてそれぞれ簡単に説明する。
【0012】
[ロボット3]
図2に示すように、ロボット3は、スカラロボット(水平多関節ロボット)である。ロボット3は、ベース30と、基端部がベース30に接続され、ベース30に対して鉛直方向に沿う第1回動軸J1まわりに回動する第1アーム31と、基端部が第1アーム31の先端部に接続され、第1アーム31に対して鉛直方向に沿う第2回動軸J2まわりに回動する第2アーム32と、を有する。
【0013】
また、ロボット3は、第2アーム32の先端部に配置された作業ヘッド33を有する。作業ヘッド33は、同軸的に配置されたスプラインナット331およびボールネジナット332と、スプラインナット331およびボールネジナット332に挿通されたスプラインシャフト333と、を有する。スプラインシャフト333は、第2アーム32に対して、その中心軸でありZ軸方向に沿う第3回動軸J3まわりに回転可能で、かつ、第3回動軸J3に沿って昇降可能である。
【0014】
また、ロボット3は、ベース30と第1アーム31とを連結し、ベース30に対して第1アーム31を第1回動軸J1まわりに回動させる第1関節駆動機構361と、第1アーム31と第2アーム32とを連結し、第1アーム31に対して第2アーム32を第2回動軸J2まわりに回動させる第2関節駆動機構362と、スプラインナット331を回転させてスプラインシャフト333を第3回動軸J3まわりに回転させる第1ヘッド駆動機構363と、ボールネジナット332を回転させてスプラインシャフト333を第3回動軸J3に沿った方向に昇降させる第2ヘッド駆動機構364と、を有する。
【0015】
各駆動機構361、362、363、364は、駆動源としてのモーターと、モーターの回転を検出するパルスエンコーダーと、を有する。そのため、第1関節駆動機構361では、パルスエンコーダーが出力するパルス信号をカウントすることにより第1アーム31の第1回動軸J1まわりの回転角を検出することができる。また、第2関節駆動機構362では、パルスエンコーダーが出力するパルス信号をカウントすることにより第2アーム32の第2回動軸J2まわりの回転角を検出することができる。また、第1ヘッド駆動機構363では、パルスエンコーダーが出力するパルス信号をカウントすることによりスプラインシャフト333の第3回動軸J3まわりの回転角を検出することができる。また、第2ヘッド駆動機構364では、パルスエンコーダーが出力するパルス信号をカウントすることによりスプラインシャフト333のZ軸方向の高さを検出することができる。
【0016】
また、ロボット3は、図示しないホストコンピューターからの位置指令に基づいて各駆動機構361、362、363、364を独立して制御するロボットコントローラー37を有する。ロボットコントローラー37は、例えば、コンピューターから構成され、情報を処理するプロセッサーと、プロセッサーに通信可能に接続されたメモリーと、外部装置との接続を行う外部インターフェースと、を有する。メモリーにはプロセッサーにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサーは、メモリーに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行することができる。
【0017】
また、
図3に示すように、ロボット3は、第2アーム32の下面に配置され、第2アーム32とスプラインシャフト333との隙間を覆うカバー34を有する。カバー34には、後述する検査で使用される下向き三角形のマーカー341が形成されている。マーカー341は、印刷、貼付、エンボス加工等により形成することができる。ただし、マーカー341の構成は、後述する検査に用いることができれば、特に限定されない。また、カバー34の形状に特異な部分がある場合は、その部分をマーカー341として使用してもよい。
【0018】
また、ロボット3は、スプラインシャフト333の途中に配置されたストッパー35を有する。ストッパー35がカバー34に当接することにより、スプラインシャフト333のそれ以上の上昇が規制される。ストッパー35は、両端がネジN1で接続されたC字状の部材であり、ネジ締めによりスプラインシャフト333に固定される。また、ストッパー35がスプラインシャフト333に固定された状態では、ストッパー35の両端が離間し、その間に隙間350が形成されている。この隙間350は、後述する検査に用いられる位置決め用の目印として機能する。ただし、ストッパー35の構成は、上述した効果を発揮することができれば、特に限定されない。
【0019】
以上、ロボット3について説明した。ただし、ロボット3の構成については、特に限定されない。例えば、スカラロボット以外のロボット、具体的には6軸多関節ロボット、双腕ロボット等であってもよい。
【0020】
[載置台2]
図4に示すように、載置台2は、ロボット3が載置、固定される天板部21と、天板部21の下側に位置する底板部22と、天板部21および底板部22を支持する4本の脚部23と、を有する。4本の脚部23は、天板部21および底板部22の四隅に位置し、これらをバランスよく支持している。なお、
図4では、手前側の2本の脚部23のみが図視されているが、この奥側にも2本の脚部23が同じように配置されている。また、各脚部23の下端部にはキャスター24が取り付けられており、キャスター24が回転することにより、載置台2を自在に動かすことができる。このような載置台2は、例えば、ロボット3を組み立てるための作業台であってもよいし、ロボット3を所定箇所に設置するための設置台であってもよい。
【0021】
以上、載置台2について説明した。ただし、載置台2の構成としては、ロボット3を載置することができれば、特に限定されず、例えば、キャスター24を省略してもよい。
【0022】
[自動搬送車4]
図4に示すように、自動搬送車4は、載置台2を載置する荷台41と、荷台41を昇降させる昇降装置42と、車輪43と、車輪43を駆動するモーター44と、モーター44の駆動を制御するコントローラー45と、を有する。
図5に示すように、自動搬送車4は、荷台41を降下させた状態で載置台2の底板部22の下方に潜り込み、その後、昇降装置42で荷台41を上昇させることにより、底板部22を下方から支持するようにして載置台2を持ち上げることができる。また、自動搬送車4は、図示しない管理装置から走行ルートの指示を受け取り、受け取った走行ルートに従って走行する。
【0023】
このような自動搬送車4を用いることにより、ロボット3を載置台2ごとロボット検査システム1まで自動的に搬送することができる。これにより、例えば、作業者が自ら載置台2を押してロボット検査システム1まで移動させる必要がなくなり、人力を削減することができると共にロボット3の検査をスムーズに行うことができる。
【0024】
以上、自動搬送車4について説明した。ただし、自動搬送車4の構成は、ロボット3を載置台2ごとロボット検査システム1まで搬送することができれば特に限定されない。また、自動搬送車4を省略し、作業者が自ら載置台2を押してロボット検査システム1まで搬送してもよい。
【0025】
[ロボット検査システム1]
図1に示すように、ロボット検査システム1は、所定環境に保たれた検査室10内に配置されている。これにより、複数のロボット3の検査を同じ条件で行うことができ、検査精度がより向上する。また、検査室10の床面とロボット検査システム1との間に振動減衰部材11が配置されている。これにより、床面を介して外部からの振動がロボット検査システム1に伝わり難くなり、検査精度がさらに向上する。なお、本実施形態では、振動減衰部材11として金属製の板材、特に鉄板が用いられている。また、この鉄板は、アンカーにより床面に固定され、ロボット検査システム1は、アンカーにより鉄板に固定されている。ただし、ロボット検査システム1の設置場所は、特に限定されない。また、振動減衰部材11を省略し、ロボット検査システム1を床面に直接設置してもよい。
【0026】
また、
図6に示すように、ロボット検査システム1は、載置台2が接続される接続部5と、載置台2を接続部5に対して位置決めする位置決め機構6と、ロボット3の検査を行う検査部7と、を有する。
【0027】
接続部5は、Z軸方向からの平面視で、載置台2が侵入する侵入口511を備える凹部51を有する。なお、本実施形態では、侵入口511は、接続部5のY軸方向マイナス側に位置している。そして、凹部51の周囲に検査部7が配置されている。このように、接続部5の周囲に検査部7を配置することにより、ロボット3の検査を効率よく行うことができる。特に、ロボット3は、スカラロボットであり、第1、第2アーム31、32が水平方向にだけ移動するため、凹部51の周囲に検査部7を配置することにより、スカラロボットの可動範囲内に検査部7を効率的に配置でき、ロボット3に対する検査に特化させることができる。ただし、検査部7の配置は、特に限定されない。
【0028】
また、凹部51には位置決め機構6が配置されている。位置決め機構6は、凹部51内に搬送された載置台2を接続部5に対して位置決する。これにより、ロボット検査システム1に対するロボット3の位置が定まる。そのため、全てのロボット3を同じ位置に配置することができ、検査精度が向上する。なお、本実施形態の位置決め機構6は、凹部51内に突出する一対の当接部61、62を有する。そして、
図7に示すように、これら当接部61、62に載置台2が当接することにより、接続部5に対して載置台2が位置決めされる。ただし、位置決め機構6の構成としては、載置台2を接続部5に対して位置決めすることができれば、特に限定されない。
【0029】
検査部7は、接続部5に接続された載置台2上のロボット3に対して所定の検査を行う。なお、本願明細書中の「検査」は、検査の他、各種点検、各種メンテナンス、各種準備、各種測定、各種校正(キャリブレーション)等、ロボット3の設定、維持管理等に必要な全ての行為を含む意味である。
【0030】
また、検査部7は、ロボット3に対して複数種類の検査を行う。このように、ロボット検査システム1では、ロボット3に対して複数種類の検査を実施できるため、ロボット3の検査をまとめてかつ円滑に行うことができる。このような検査部7は、
図6に示すように、凹部51のY軸方向プラス側に位置する第1領域S1と、第1領域S1のX軸方向マイナス側に位置する第2領域S2と、第1領域S1のX軸方向プラス側に位置する第3領域S3と、を有する。
【0031】
これら領域S1、S2、S3のうち、第2領域S2は、第1領域S1での検査の準備を行う領域である。第2領域S2では、スプラインシャフト333に錘Mを取り付ける作業が行われる。
図6に示すように、第2領域S2には、錘Mと、錘Mをスプラインシャフト333に固定する工具Tと、工具Tを移動させる移動機構80と、が配置されている。
【0032】
本実施形態では、異なる重さの2つの錘Mが配置されており、検査対象であるロボット3の可搬重量に応じてスプラインシャフト333に取り付ける錘Mを選択することができる。各錘Mは、スプラインシャフト333が挿入される貫通孔を備えた円筒状である。また、
図8に示すように、各錘Mは、側面と貫通孔とを貫通するネジ孔を備え、このネジ孔にネジN2が螺号している。工具Tは、例えば、ネジN2を回すドライバーであり、貫通孔にスプラインシャフト333を挿入した状態でネジN2を回し、ネジN2をスプラインシャフト333に押し付けることにより、錘Mをスプラインシャフト333に固定する。
【0033】
以上、第2領域S2について説明した。ただし、第2領域S2の構成は、特に限定されない。例えば、錘Mの数および形状、スプラインシャフト333への錘Mの取り付け方等は、特に限定されない。また、第2領域S2で行う作業についても特に限定されず、ロボット3に求められる各種条件、他の領域S1、S3で行われる作業等に基づいて適宜設定することができる。また、第2領域S2は、省略してもよい。
【0034】
第3領域S3は、第3回動軸J3の原点校正(キャリブレーション)を行う領域である。第3回動軸J3の原点校正は、ロボットコントローラー37が記憶している第3回動軸J3の原点(以下「理想原点」とも言う。)と、ロボットコントローラー37の制御により第3回動軸J3を理想原点に位置させたときの現実の原点(以下「現実原点」とも言う。)と、を一致させる作業を言う。理想原点は、第1、第2ヘッド駆動機構363、364の各モーターが所定位置(以下「0パルス位置」と言う。)にある状態をいう。ただし、第3回動軸J3の原点の設定方法は、特に限定されない。
【0035】
図9および
図10に示すように、このような第3領域S3には、スプラインシャフト333の回転角の校正を行う回転角校正部81と、スプラインシャフト333の高さの校正を行う高さ校正部82と、が配置されている。
【0036】
図9に示すように、回転角校正部81は、画像認識技術を用いてスプラインシャフト333の回転角の校正を行う。回転角校正部81は、スプラインシャフト333を水平方向、図示の構成ではX軸方向プラス側から撮像するカメラ811と、カメラ811をX軸方向およびZ軸方向に移動させる移動機構813と、カメラ811が撮像した画像(以下「取得画像」と言う。)を用いて理想原点と現実原点とのずれ量(偏差)を求める処理部812と、を有する。
【0037】
処理部812は、スプラインシャフト333の理想原点からの回転角が互いに異なりかつその回転角が既知である多数の比較画像を記憶している。そして、処理部812は、これら比較画像とカメラ811で撮像した取得画像とをテンプレートマッチング技術を用いて比較することで、スプラインシャフト333の回転角の校正を行う。
【0038】
具体的には、まず、ロボットコントローラー37を用いて第1ヘッド駆動機構363のモーターを0パルス位置とする。次に、マーカー341とストッパー35の隙間350とを視野に収めた状態をカメラ811で撮像して取得画像を得る。次に、処理部812が取得画像を多数の比較画像とテンプレートマッチングし、その中から取得画像と最も類似度の高い1つの比較画像を抽出する。そして、抽出した比較画像に対応する理想原点からの回転角を第3回動軸J3の回転オフセット値に決定する。そして、決定された第3回動軸J3の回転オフセット値をロボットコントローラー37に設定する。以上により、第3回動軸J3の回転角校正作業が終了する。ただし、第3回動軸J3の回転角校正方法は、特に限定されない。
【0039】
図10に示すように、高さ校正部82は、一対の接触式距離センサー821、822と、一対の接触式距離センサー821、822をX軸方向およびZ軸方向に移動させる移動機構824と、接触式距離センサー821、822の出力に基づいて理想原点と現実原点とのずれ量(偏差)を求める処理部823と、を有する。
【0040】
接触式距離センサー821、822は、先端の押し込み量を精度よく測定することができる。このような接触式距離センサー821、822として、例えば、キーエンス社製の「汎用接触式デジタルセンサー/GTシリーズ」を好適に用いることができる。これら接触式距離センサー821、822は、Z軸方向に離間し、共に上側を向いて配置されている。
【0041】
高さ校正作業では、まず、ロボットコントローラー37を用いて第2ヘッド駆動機構364のモーターを0パルス位置とする。次に、接触式距離センサー821を第2アーム32の下面に、接触式距離センサー822をスプラインシャフト333の先端にそれぞれ接触させる。次に、処理部823は、接触式距離センサー821、822の離間距離およびこれらの出力値から第2アーム32の下面とスプラインシャフト333の先端との現実の距離(以下「現実距離」とも言う。)を算出する。また、処理部823は、第2ヘッド駆動機構364のモーターが0パルス位置にあるときの第2アーム32の下面とスプラインシャフト333の先端との理想的な距離(以下「理想距離」とも言う。)を記憶しており、現実距離と理想距離とのずれ量を第3回動軸J3の高さオフセット値に決定する。そして、決定された第3回動軸J3の高さオフセット値をロボットコントローラー37に設定する。以上により、第3回動軸J3の高さ校正作業が終了する。ただし、第3回動軸J3の高さ校正方法は、特に限定されない。
【0042】
以上、第3領域S3について説明した。ただし、第3領域S3の構成は、特に限定されない。例えば、回転角校正部81および高さ校正部82の一方を省略してもよい。また、第3領域S3で行う作業についても特に限定されず、ロボット3に求められる各種条件、他の領域S1、S2で行われる作業等に基づいて適宜設定することができる。また、第3領域S3は、省略してもよい。
【0043】
第1領域S1は、第1、第2回動軸J1、J2の原点校正、スプラインシャフト333の高さ検査、左手系と右手系との高さズレの検査、繰り返し精度検査等を行う領域である。
【0044】
図11に示すように、第1領域S1には、接続部5に対してY軸方向に移動可能なステージ90と、ステージ90に配置された基準ピン91および一対のセンサーユニット92、93を備える校正装置94と、各センサーユニット92、93で撮像された画像を処理する処理部95と、を有する。ステージ90上に校正装置94を配置することにより、接続部5と校正装置94との離間距離が可変となるため、種々の大きさのロボット3に対応することができる。そのため、ロボット検査システム1の汎用性が高まる。また、載置台2を接続部5に接続する際にステージ90をY軸方向プラス側に移動させて接続部5から遠ざけておくことにより、校正装置94とロボット3との衝突を回避することができる。そのため、ロボット検査システム1やロボット3の故障、破損を抑制することができる。
【0045】
ただし、これに限定されず、ステージ90が固定されており、Y軸方向に移動できない構成であってもよい。また、ステージ90がさらにX軸方向にも移動できる構成であってもよい。
【0046】
基準ピン91は、ステージ90の中央に配置されている。
図12に示すように、基準ピン91は、Z軸方向に延びる柱状であり、Z軸方向からの平面視で直角に屈曲したL字形状をなす。また、基準ピン91は、互いに直交する第1外面911および第2外面912を有する。そして、
図11に示すように、第1外面911の法線Q1および第2外面912の法線Q2がそれぞれX軸およびY軸に対して45°傾斜している。このような基準ピン91は、原点校正の基準となるピンであり、ロボット座標系における位置座標が既知である。また、基準ピン91は、十分に高い寸法精度で形成されている。ただし、基準ピン91の形状は、特に限定されず、後述する検査に用いることができれば、特に限定されない。なお、基準ピン91の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種金属材料、各種樹脂材料、各種ガラス材料等を用いることができる。
【0047】
図11に示すように、一対のセンサーユニット92、93は、互いの光軸O1、O2が直交するように十字状に配置されており、光軸O1、O2の交点に基準ピン91が位置している。また、センサーユニット92の光軸O1が法線Q1と一致し、センサーユニット93の光軸O2が法線Q2と一致する。
【0048】
センサーユニット92は、寸法測定器であり、基準ピン91を介して対向配置された発光装置921および受光装置922を有する。発光装置921および受光装置922は、法線Q1に沿って正対して配置されている。発光装置921は、受光装置922に向けて光を出射する。発光装置921は、光源として緑色LED921aを備え、緑色LEDからの緑色光をレンズで均一な平行光LL1にして出射する。一方、受光装置922は、CCD、CMOS等の撮像素子922aを備える。第1、第2回動軸J1、J2の原点校正を行うとき、撮像素子922aの測定領域(視野)には基準ピン91の先端およびスプラインシャフト333の先端(以下、「ロボット3の先端」とも言う。)が含まれている。そのため、受光装置922は、これらのシルエット画像つまり基準ピン91およびスプラインシャフト333が影として映る画像を撮像する。すなわち、発光装置921が透過照明の方式であるので、測定対象物が金属であってもハレーションが発生することを避けられるので、輪郭を鮮明に観察することが可能となる。
【0049】
センサーユニット93は、前述したセンサーユニット92と同様の構成である。つまり、センサーユニット93は、基準ピン91を介して対向配置された発光装置931および受光装置932を有する。発光装置931および受光装置932は、法線Q2に沿って配置されている。発光装置931は、受光装置932に向けて光を出射する。発光装置931は、光源として緑色LED931aを備え、緑色LEDからの緑色光をレンズで均一な平行光LL2にして出射する。一方、受光装置932は、CCD、CMOS等の撮像素子932aを備える。
【0050】
このようなセンサーユニット92、93としては、特に限定されないが、キーエンス社製の「2次元高速光学センサー/TMシリーズ」、その中でも「TM-6050」を好適に用いることができる。これにより、優れた測定精度が得られ、第1、第2回動軸J1、J2の原点校正を高精度に行うことができる。
【0051】
なお、第1、第2回動軸J1、J2の原点校正の精度を高めるためにセンサーユニット92、93を精度よく直交配置することが重要となる。本実施形態では、次のようにしてセンサーユニット92、93を位置決めしている。前述したように、センサーユニット92は、基準ピン91のシルエット画像を撮像する。ここで、光軸O1が法線Q1に一致する場合に受光装置922で取得される画像上での基準ピン91の幅寸法が最も小さくなり、光軸O1が法線Q1から傾斜する程、画像上での基準ピン91の幅寸法が大きくなる。そこで、受光装置922で取得される画像上での基準ピン91の幅寸法が最も小さくなるようにセンサーユニット92を配置する。センサーユニット93についても同様に、受光装置932で取得される画像上での基準ピン91の幅寸法が最も小さくなるようにセンサーユニット93を配置する。前述したように、法線Q1、Q2が互いに直交しているため、このような方法によれば、センサーユニット92、93を精度よく直交配置することができる。ただし、センサーユニット92、93の位置決め方法は、特に限定されない。
【0052】
次に、第1領域S1で行う各種検査について順に説明する。なお、第1領域S1で行う各種検査は、前述したように、スプラインシャフト333に錘Mを取り付けた状態で行われる。
【0053】
第1領域S1では、第1、第2回動軸J1、J2の原点校正が行われる。第1回動軸J1の原点校正は、ロボットコントローラー37が記憶している第1回動軸J1の原点(以下「理想原点」とも言う。)と、ロボットコントローラー37の制御により第1回動軸J1を理想原点に位置させたときの現実の原点(以下「現実原点」とも言う。)と、を一致させる作業を言う。理想原点は、第1関節駆動機構361のモーターが所定位置(以下「0パルス位置」と言う。)にある状態をいう。同様に、第2回動軸J2の原点校正は、ロボットコントローラー37が記憶している第2回動軸J2の原点(以下「理想原点」とも言う。)と、ロボットコントローラー37の制御により第2回動軸J2を理想原点に位置させたときの現実の原点(以下「現実原点」とも言う。)と、を一致させる作業を言う。理想原点は、第2関節駆動機構362のモーターが所定位置(以下「0パルス位置」と言う。)にある状態をいう。
【0054】
第1、第2回動軸J1、J2の原点校正では、まず、ステージ90を動かして基準ピン91をロボット座標系の所定座標である基準位置に配置する。なお、本実施形態の基準位置は、第1、第2関節駆動機構361、362のモーターを共に0パルス位置にしたときのスプラインシャフト333の中心軸の直下に位置する。ただし、基準位置は、特に限定されない。次に、ロボットコントローラー37を用いて第1、第2関節駆動機構361、362のモーターを共に0パルス位置とする。次に、第2ヘッド駆動機構364を動かしてスプラインシャフト333を下降させ、
図13に示すように、スプラインシャフト333の先端をセンサーユニット92、93の測定領域内に位置させる。仮に、理想原点と現実原点とにずれが無い場合、この状態では、スプラインシャフト333は、基準ピン91の直上に位置する。
【0055】
次に、この状態を受光装置922で撮像して
図14に示すような画像G1を取得すると共に、受光装置932で撮像して
図15に示すような画像G2を取得する。なお、受光装置922、932での撮像タイミングは、特に限定されず、同時であってもよいし、異なっていてもよい。例示した
図14および
図15では、スプラインシャフト333の中心軸である第3回動軸J3が基準ピン91の中心軸Jpに対して画像横方向にずれており、第1、第2回動軸J1、J2の少なくとも一方において理想原点と現実原点とにずれが生じている。このように、画像G1、G2の少なくとも一方において第3回動軸J3が中心軸Jpに対してずれている場合、第1、第2関節駆動機構361、362の駆動と、受光装置922、932による撮像とを繰り返しながら、
図16および
図17に示すように、画像G1、G2のそれぞれにおいて第3回動軸J3を中心軸Jpに一致させる。
【0056】
次に、処理部95は、第3回動軸J3が中心軸Jpに一致したときの第1、第2関節駆動機構361、362の各モーターの位置を実位置として記憶する。次に、処理部95は、第1関節駆動機構361のモーターの実位置と0パルス位置とのずれ量を算出し、算出したずれ量を第1回動軸J1のオフセット値に決定する。同様に、第2関節駆動機構362のモーターの実位置と0パルス位置とのずれ量(偏差)を算出し、算出したずれ量を第2回動軸J2のオフセット値に決定する。そして、例えば、作業者は、処理部95により決定された第1、第2回動軸J1、J2のオフセット値をロボットコントローラー37に設定する。以上により、第1、第2回動軸J1、J2の原点校正が完了する。ロボットコントローラー37は、設定されたオフセット値を基に現実原点が理想原点と一致するように第1、第2関節駆動機構361、362の駆動を制御する。これにより、高精度なロボット3の制御が可能となる。
【0057】
さらに、第1領域S1では、スプラインシャフト333の高さ検査が行われる。例えば、ロボット3の組み立て時に第2ヘッド駆動機構364の取り付け位置がずれ、それに伴ってスプラインシャフト333の高さが設計からずれる場合がある。そこで、本実施形態では、スプラインシャフト333の高さずれを検査する。
【0058】
具体的には、まず、第2ヘッド駆動機構364のモーターを予め設定された測定位置とし、スプラインシャフト333の先端部をセンサーユニット92、93の測定領域内に位置させる。次に、処理部95は、センサーユニット92、93の少なくとも一方でこの状態を撮像し、得られた画像に基づいてスプラインシャフト333の先端のZ軸位置座標(以下「実際位置座標」とも言う。)を算出する。処理部95は、予め、第2ヘッド駆動機構364の取り付け位置にずれが生じていない理想的な状態における前記測定位置でのスプラインシャフト333の先端のZ軸位置座標(以下「理想位置座標」とも言う。)を記憶しており、実際位置座標と理想位置座標とからスプラインシャフト333の高さずれを測定する。
【0059】
さらに、第1領域S1では、左右腕系の高さずれ検査が行われる。例えば、スプラインシャフト333の先端(以下、「ロボット3の先端」とも言う。)をロボット座標系の同じ座標に位置させたとしても、第1、第2アーム31、32がX軸方向プラス側に屈曲した右腕系の姿勢とX軸方向マイナス側に屈曲した左腕系の姿勢とでロボット3の先端の高さにずれが生じる場合がある。そこで、本実施形態では、左右腕系の高さずれを検査する。
【0060】
具体的には、まず、ロボット3の先端を移動させる目標座標を決定する。なお、目標座標は、センサーユニット92、93の測定領域内にある座標である。次に、ロボット3を動かして左腕系の姿勢でロボット3の先端を目標座標に移動させ、その状態をセンサーユニット92、93の少なくとも一方で撮像して左腕系画像を取得する。次に、ロボット3を動かして右腕系の姿勢でロボット3の先端を目標座標に移動させ、その状態をセンサーユニット92、93の少なくとも一方で撮像して右腕系画像を取得する。次に、左腕系画像から算出されるロボット3の先端のZ軸位置座標と、右腕系画像から算出されるロボット3の先端のZ軸位置座標と、に基づいて左腕系と右腕系との高さずれを測定する。
【0061】
さらに、第1領域S1では、ロボット3の繰り返し精度特性の検査が行われる。繰り返し精度は、同じ動作を繰り返し行った際の再現性の高さを表すものであり、繰り返し精度特性が優れる程、精度の高いロボット3となる。具体的には、まず、共にセンサーユニット92、93の測定領域内に位置する第1目標座標と第2目標座標とを設定し、ロボット3の先端が第1目標座標と第2目標座標とを往復するようにロボット3を動かす。そして、ロボット3の先端が第1、第2目標座標に到達する度に、その状態をセンサーユニット92、93の少なくとも一方で撮像する。そして、得られた各画像から第1、第2目標座標からのずれ量を測定し、ずれ量の最大値、平均値等を用いてロボット3の繰り返し精度を測定する。
【0062】
さらに、第1領域S1では、第1アーム31の長さL1および第2アーム32の長さL2を測定する。
図2に示すように、長さL1は、第1回動軸J1と第2回動軸J2との離間距離であり、長さL2は、第2回動軸J2と第3回動軸J3との離間距離である。ロボット3の組み立て精度によっては設計された長さL1、L2に対して実際の長さL1、L2がずれる場合がある。この場合であっても、例えば、ロボット3の先端をある座標から別の座標まで移動させるPTP(Point to Point)移動では軌道が問われないため問題が生じ難い。しかしながら、例えば、ロボット3の先端をある座標から別の座標まで決められた軌道で移動させる場合、長さL1、L2が設計値からずれていると、決められた軌道に対して蛇行してしまい、CP(Continuous Path)精度が悪化する。そこで、本実施形態では、CP精度の悪化を抑制すべく、第1、第2アーム31、32の長さL1、L2を測定する。
【0063】
具体的には、まず、ロボット3を、その先端がセンサーユニット92、93の測定領域内に位置する第1姿勢とし、この状態をセンサーユニット92、93で撮像して第1姿勢画像を取得する。次に、ロボット3の先端がセンサーユニット92、93の測定領域から外れない範囲で第1関節駆動機構361のモーターだけを所定角度だけ動かして第2姿勢とし、この状態をセンサーユニット92、93で撮像して第2姿勢画像を取得する。処理部95は、第1関節駆動機構361のモーターの回転角度と、第1、第2姿勢画像から特定されるロボット3の先端の移動前後の位置座標と、に基づいて第1アーム31の長さL1を求める。次に、再び第1姿勢とする。そして、ロボット3の先端がセンサーユニット92、93の測定領域から外れない範囲で第2関節駆動機構362のモーターだけを所定角度だけ動かして第3姿勢とし、この状態をセンサーユニット92、93で撮像して第3姿勢画像を取得する。処理部95は、第2関節駆動機構362のモーターの回転角度と、第1、第3姿勢画像から特定されるロボット3の先端の移動前後の位置座標と、に基づいて第2アーム32の長さL2を測定する。そして、例えば、作業者は、処理部95により測定された長さL1、L2をロボットコントローラー37に設定する。ロボットコントローラー37は、設定された長さL1、L2を基にロボット3の先端の位置を算出する。これにより、高精度なロボット3の制御が可能となる。
【0064】
以上、第1領域S1で行う検査について説明した。ただし、各検査の方法は、特に限定されない。また、第1領域S1で行う検査は、特に限定されず、少なくともロボット3の原点校正を行うことができれば、それ以外の検査は、特に限定されず、上述した複数の検査内容から少なくとも1つを省略してもよいし、上述した複数の検査内容とは異なる検査を行ってもよい。
【0065】
以上、ロボット検査システム1について説明した。このようなロボット検査システム1は、前述したように、ロボット3を載置する載置台2が接続される接続部5と、接続部5と載置台2との位置決めを行う位置決め機構6と、接続部5に載置台2が接続された状態で、ロボット3の検査を行う検査部7と、を有する。このようなロボット検査システム1では、ロボット検査システム1に搬送されたロボット3を検査するため、全てのロボット3を同じ場所、同じ環境で検査することができる。そのため、全てのロボット3について、安定した、かつ、高い精度の検査を行うことができる。
【0066】
また、前述したように、載置台2は、自動搬送車4により接続部5まで搬送される。これにより、ロボット3を載置台2ごとロボット検査システム1まで自動的に搬送することができる。そのため、例えば、作業者が自ら載置台2を押してロボット検査システム1まで移動させる必要がなくなり、人力を削減することができると共にロボット3の検査をスムーズに行うことができる。
【0067】
また、前述したように、検査部7は、ロボット3に対して複数種類の検査を行う。これにより、ロボット3の検査を円滑に行うことができる。
【0068】
また、前述したように、接続部5は、載置台2が侵入する侵入口511を備える凹部51を有し、凹部51の周囲に検査部7が配置されている。これにより、ロボット3の周囲に検査部7が位置するため、言い換えると、検査部7の中央部にロボット3が位置するため、ロボット3の検査を効率よく行うことができる。
【0069】
また、前述したように、ロボット3は、ベース30と、ベース30に対して第1回動軸J1まわりに回動する第1アーム31と、第1アーム31に対して第2回動軸J2まわりに回動する第2アーム32と、第2アーム32に配置されている作業ヘッド33と、を有するスカラロボットである。ロボット検査システム1では、凹部51の周囲に検査部7が配置されているため、スカラロボットの検査に特化させることができる。
【0070】
また、前述したように、検査部7は、第1回動軸J1および第2回動軸J2の校正を行う校正装置94を有する。これにより、ロボット検査システム1により第1回動軸J1および第2回動軸J2の校正を行うことができる。
【0071】
また、前述したように、校正装置94は、水平方向であるY軸方向に移動する。これにより、接続部5と校正装置94との離間距離が可変となるため、種々の大きさのロボット3に対応することができる。そのため、ロボット検査システム1の汎用性が高まる。また、載置台2を接続部5に接続する際に校正装置94を接続部5から遠ざけておくことにより、校正装置94とロボット3との衝突を回避することができる。そのため、ロボット検査システム1やロボット3の故障、破損を抑制することができる。
【0072】
以上、本発明のロボット検査システムを図示の実施形態に基づいて説明したが本発明はこれに限定されるものではない。各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…ロボット検査システム、10…検査室、11…振動減衰部材、2…載置台、21…天板部、22…底板部、23…脚部、24…キャスター、3…ロボット、30…ベース、31…第1アーム、32…第2アーム、33…作業ヘッド、331…スプラインナット、332…ボールネジナット、333…スプラインシャフト、34…カバー、341…マーカー、35…ストッパー、350…隙間、361…第1関節駆動機構、362…第2関節駆動機構、363…第1ヘッド駆動機構、364…第2ヘッド駆動機構、37…ロボットコントローラー、4…自動搬送車、41…荷台、42…昇降装置、43…車輪、44…モーター、45…コントローラー、5…接続部、51…凹部、511…侵入口、6…位置決め機構、61…当接部、62…当接部、7…検査部、80…移動機構、81…回転角校正部、811…カメラ、812…処理部、813…移動機構、82…高さ校正部、821…接触式距離センサー、822…接触式距離センサー、823…処理部、824…移動機構、90…ステージ、91…基準ピン、911…第1外面、912…第2外面、92…センサーユニット、921…発光装置、921a…緑色LED、922…受光装置、922a…撮像素子、93…センサーユニット、931…発光装置、931a…緑色LED、932…受光装置、932a…撮像素子、94…校正装置、95…処理部、G1…画像、G2…画像、G3…画像、G4…画像、J1…第1回動軸、J2…第2回動軸、J3…第3回動軸、Jp…中心軸、L1…長さ、L2…長さ、LL1…平行光、LL2…平行光、M…錘、N1…ネジ、N2…ネジ、O1…光軸、O2…光軸、Q1…法線、Q2…法線、S1…第1領域、S2…第2領域、S3…第3領域、T…工具