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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008636
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】油性化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/39 20060101AFI20240112BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240112BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240112BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240112BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240112BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240112BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240112BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A61K8/39
A61Q19/10
A61Q19/00
A61K8/86
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/31
A61Q1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110661
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100122345
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 繁久
(72)【発明者】
【氏名】村上 大
(72)【発明者】
【氏名】藤田 麻奈
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC401
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC442
4C083AD112
4C083AD132
4C083AD172
4C083AD662
4C083BB13
4C083CC22
4C083DD30
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE41
(57)【要約】
【課題】塗布時の心地良さおよびマッサージ性に優れ、インバスで使用する場合にはすすぎ性に優れ、こすらずに洗い流すことができ、アウトバスで使用する場合にはメイクアップ化粧料との馴染みが良く、べたつきがなく拭き取ることができる油性化粧料を提供すること。
【解決手段】下記の成分(A)~成分(F)を含有する油性化粧料:(A)HLBが10~14であり、多価アルコールの炭素数が3~6であるポリオキシエチレン脂肪酸多価アルコールエステルを10~25質量%、(B)多価アルコールの炭素数が3~6であるポリオキシエチレン多価アルコールを0.5~10質量%、(C)炭素数が3~6である2価アルコールを0.5~10質量%、(D)モノ脂肪酸ソルビタンエステルを1~12質量%、(E)液状油を50~80質量%、および(F)水を0.1~7質量%。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~成分(F)を含有する油性化粧料:
(A)HLBが10~14であり、多価アルコールの炭素数が3~6であるポリオキシエチレン脂肪酸多価アルコールエステルを10~25質量%、
(B)多価アルコールの炭素数が3~6であるポリオキシエチレン多価アルコールを0.5~10質量%、
(C)炭素数が3~6である2価アルコールを0.5~10質量%、
(D)モノ脂肪酸ソルビタンエステルを1~12質量%、
(E)液状油を50~80質量%、および
(F)水を0.1~7質量%。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔や身体の皮膚の洗浄やマッサージに用いられる油性化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
メイクアップ化粧料や紫外線防止化粧料は、肌を美しく見せ、外界の刺激から肌を保護する効果を有し、現代社会の生活においては欠かせないものとなっている。しかし、これらの化粧料は油性成分や無機顔料を多量に含んでいるため、皮膚の毛穴を塞ぎ、新陳代謝を妨げ、また化粧料自体が徐々に酸化されるため、長時間の使用は肌トラブルの原因となる場合がある。このため、1日1回はクレンジング料を用いて、これらの化粧料を除去する必要がある。
【0003】
メイクアップ化粧料との馴染みに優れるという観点から、流動パラフィン、スクワランや植物油等の液状油を主成分としたオイル状クレンジング料が広く使用されている。クレンジング中の摩擦は肌トラブルの原因となるため、マッサージ性に優れるオイル状クレンジング料が開発されている。例えば、特許文献1には、マッサージしやすく、クレンジング力に優れ、洗い流した後のさっぱり感に優れるオイル状クレンジング料が開示されている。しかし、このオイル状クレンジング料は、すすぎ時に摩擦が生じる場合があった。
【0004】
メイクアップ化粧料と馴染ませている最中はマッサージがしやすく摩擦低減効果に優れるオイル状クレンジング料が開発されているものの、すすぎ時には摩擦が生じる場合があり、すすぎ時の摩擦も低減できるオイル状クレンジング料が望まれている。特に、摩擦低減の観点から、こすらなくてもすっきりと洗い流せるオイル状クレンジング好ましい。例えば、特許文献2には、クレンジング後にこすらなくても洗い流すことができる油性クレンジング化粧料が開示されている。しかし、この油性クレンジング化粧料は、塗布時の心地良さが不十分となる場合があった。
【0005】
近年、使用する化粧品のアイテム数を可能な限り減らしたいという要望があり、オイル状クレンジング料にマッサージ用化粧料の効果を付与することが望まれている。マッサージ用化粧料では、のびの良さや摩擦低減といったマッサージ性に加え、リラックス効果を高めるために塗布時の心地良さが重要である。塗布時の心地良さを高めるためには、塗布時の冷感やべたつきを低減させる必要がある。しかしながら、これらを達成しようとするとすすぎ性が低下する場合があり、塗布時の心地良さとすすぎ性を両立することは困難であった。
【0006】
さらに、クレンジング料には様々な使用状況に対応できることが望まれている。インバス(浴室内)で使用する場合にはすすぎ性に優れることが望まれているのに対し、アウトバス(浴室外)で使用する場合には短時間で手軽にメイクアップ化粧料を肌上から除去するために、クレンジング料をメイクアップ化粧料と馴染ませた後、ティッシュペーパー等で拭き取る方法で使用できることが望まれている。拭き取る方法の場合、拭き取った後のべたつきが課題となる。例えば、特許文献3には、クレンジング力に優れ、拭き取りやすく、後肌のべたつきが無い油性洗浄組成物が開示されている。しかし、この油性洗浄組成物を洗い流す方法で使用した場合、そのすすぎ性は不十分となる場合があった。
【0007】
洗い流す場合のすすぎ性の良さと拭き取る場合のべたつきの無さを兼ね備えた油性化粧料が望まれていたが、すすぎ性の良さと拭き取った後のべたつきの無さを両立することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-8882号公報
【特許文献2】特開2019-196337号公報
【特許文献3】特開2020-158463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
塗布時の心地良さおよびマッサージ性に優れ、インバスで使用する場合にはすすぎ性に優れ、こすらずに洗い流すことができ、アウトバスで使用する場合にはメイクアップ化粧料との馴染みが良く、べたつきがなく拭き取ることができる油性化粧料は未だ開発されていないのが現状である。本発明の目的は、このような油性化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、特定の素材を選択し、その配合割合を特定範囲とすることによって、所期の作用効果を奏する油性化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
上記知見に基づく本発明は、下記成分(A)~成分(F)を含有する油性化粧料である:
(A)HLBが10~14であり、多価アルコールの炭素数が3~6であるポリオキシエチレン脂肪酸多価アルコールエステルを10~25質量%、
(B)多価アルコールの炭素数が3~6であるポリオキシエチレン多価アルコールを0.5~10質量%、
(C)炭素数が3~6である2価アルコールを0.5~10質量%、
(D)モノ脂肪酸ソルビタンエステルを1~12質量%、
(E)液状油を50~80質量%、および
(F)水を0.1~7質量%。
なお、上記成分の含有量は、いずれも、油性化粧料全体を基準とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、塗布時の心地良さおよびマッサージ性に優れ、インバスで使用する場合にはすすぎ性に優れ、こすらずに洗い流すことができ、アウトバスで使用する場合にはメイクアップ化粧料との馴染みが良く、べたつきがなく拭き取ることができる油性化粧料が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、本明細書において記号「~」を用いて規定された数値範囲は「~」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば「2~5」は2以上、5以下を表す。
【0014】
本発明の油性化粧料は、成分(A)~成分(F)を含有する。以下、各成分について説明する。
【0015】
<成分(A):HLBが10~14であり、多価アルコールの炭素数が3~6であるポリオキシエチレン脂肪酸多価アルコールエステル>
本発明で用いられる成分(A)は、HLBが10~14であり、多価アルコールの炭素数が3~6であるポリオキシエチレン脂肪酸多価アルコールエステルである。成分(A)は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
本明細書中、「ポリオキシエチレン脂肪酸多価アルコールエステル」とは、ポリオキシエチレン多価アルコールと脂肪酸とのエステル、または脂肪酸と多価アルコールとの部分エステルにポリオキシエチレン基が結合している構造を有する化合物を意味し、「ポリオキシエチレン多価アルコール」とは、多価アルコールにポリオキシエチレン基が結合している構造を有する化合物を意味し、「脂肪酸と多価アルコールとの部分エステル」とは、脂肪酸と多価アルコールとのエステルであって、多価アルコールに由来するヒドロキシ基が残っているエステルを意味する。ポリオキシエチレン脂肪酸多価アルコールエステルは、ポリオキシエチレン多価アルコールと脂肪酸またはその誘導体(酸塩化物等)とのエステル化反応、または前記部分エステルへのエチレンオキシドの付加反応によって得ることができる。
【0017】
本明細書中、「HLB」とは、Hydrophilic-Lipophilic Balance の略語であり、その値は、化合物の親水性および親油性(疎水性)のバランスを示す。本明細書中の成分(A)のHLBは、アトラス法による下記式:
HLB=20×(1-S/A)
(式中、Sは、成分(A)のケン化価を表し、Aは、成分(A)を構成する脂肪酸の酸価を表す。)
によって算出される値である。また、成分(A)のケン化価は、1グラムの成分(A)をケン化するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数によって算出される値であり、脂肪酸の酸価は、1グラムの脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数によって算出される値である。成分(A)以外のエステルのHLBも、上記と同様にアトラス法によって算出される値である。
【0018】
成分(A)のHLBは、油性化粧料をこすらずに洗い流した際のぬるつきのなさの観点から、10~14であり、10.5~13.5であることが好ましく、11~13であることがより好ましい。
【0019】
成分(A)のオキシエチレン基の平均付加モル数は、油性化粧料の塗布時の心地良さの観点から、5~40が好ましく、6~35がより好ましく、7~30が特に好ましい。本明細書中、「化合物のオキシエチレン基の平均付加モル数」とは、当該化合物1モルあたりのオキシエチレン基が付加している平均量(モル)を意味する。
【0020】
成分(A)を構成する脂肪酸の炭素数は、油性化粧料をこすらずに洗い流した際のぬるつきのなさの観点から、好ましくは10~22、より好ましくは12~18である。
【0021】
ポリオキシエチレン脂肪酸多価アルコールエステルとしては、例えばポリオキシエチレンモノ脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレントリ脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレンテトラ脂肪酸ソルビトール等が挙げられ、好ましくはポリオキシエチレンモノ脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレンテトラ脂肪酸ソルビトールであり、より好ましくはポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレンテトライソステアリン酸ソルビトール、ポリオキシエチレンテトラオレイン酸ソルビトールである。
【0022】
本明細書、「ポリオキシエチレンモノ脂肪酸グリセリル」とは、モノ脂肪酸グリセリルに、ポリオキシエチレン基が結合している構造を有する化合物を意味する。「ポリオキシエチレントリ脂肪酸グリセリル」等も、「ポリオキシエチレンモノ脂肪酸グリセリル」と同様の意味である。
【0023】
本明細書、「モノ脂肪酸グリセリル」とは、1つの脂肪酸と1つのグリセリンとのエステルを意味し、「トリ脂肪酸グリセリル」とは、3つの脂肪酸と1つのグリセリンとのエステルを意味し、「テトラ脂肪酸ソルビトール」とは、4つの脂肪酸と1つのソルビトールとのエステルを意味する。
【0024】
成分(A)の含有量は、油性化粧料全体に対して、10~25質量%であり、好ましくは12~23質量%、より好ましくは14~21質量%である。この含有量が10質量%より少ないと、油性化粧料をこすらずに洗い流した際にぬるつきが生じる場合があり、この含有量が25質量%を超えると、油性化粧料の塗布時の心地良さが不十分である場合、摩擦があってマッサージしにくい場合がある。
【0025】
<成分(B):多価アルコールの炭素数が3~6であるポリオキシエチレン多価アルコール>
本発明で用いられる成分(B)は、多価アルコールの炭素数が3~6であるポリオキシエチレン多価アルコールである。成分(B)は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
本明細書中、「ポリオキシエチレン多価アルコール」の意味は、上述の通りである。ポリオキシエチレン多価アルコールは、多価アルコールへのエチレンオキシドの付加反応によって得ることができる。「ポリオキシエチレングリセリン」等の具体的な化合物も、「ポリオキシエチレン多価アルコール」と同様の意味である。
【0027】
成分(B)としては、例えば、ポリオキシエチレングリセリン、ポリオキシエチレンソルビトール等が挙げられる。
【0028】
成分(B)のオキシエチレン基の平均付加モル数は、5~40が好ましく、6~35がより好ましく、7~30が特に好ましい。
【0029】
成分(B)の含有量は、油性化粧料全体に対して、0.5~10質量%であり、好ましくは0.5~8質量%、より好ましくは1~6質量%である。この含有量が0.5質量%より少ないと、塗布時の心地良さが不十分である場合、こすらずに洗い流した際にぬるつきが生じる場合、拭き取った際にべたつきが生じる場合があり、この含有量が10質量%を超えると、摩擦があってマッサージしにくい場合がある。
【0030】
<成分(C):炭素数が3~6である2価アルコール>
本発明で用いられる成分(C)は、炭素数が3~6の2価アルコールである。成分(C)は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
成分(C)としては、例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、およびジプロピレングリコール等が挙げられる。これらの中では、塗布時の心地良さやマッサージ性の観点から、1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオールおよびジプロピレングリコールが好ましく、1,2-ペンタンジオールおよびジプロピレングリコールがより好ましい。
【0032】
成分(C)の含有量は、油性化粧料全体に対して、0.5~10質量%であり、好ましくは1~8質量%、より好ましくは1~6質量%である。この含有量が0.5質量%より少ないと、油性化粧料の塗布時の心地良さが不十分である場合、摩擦があってマッサージしにくい場合があり、この含有量が10質量%を超えると、拭き取った際にべたつきが生じる場合がある。
【0033】
<成分(D):モノ脂肪酸ソルビタンエステル>
本発明で用いられる成分(D)はモノ脂肪酸ソルビタンエステルである。成分(D)は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
本明細書中、「モノ脂肪酸ソルビタンエステル」とは、1つの脂肪酸と1つのソルビタンとのエステルを意味する。
【0035】
成分(D)を構成する脂肪酸の炭素数は、油性化粧料をこすらずに洗い流した際のぬるつきのなさおよび拭き取った際のべたつきのなさの観点から、好ましくは10~22、より好ましくは12~18である。
【0036】
成分(D)としては、例えば、モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン等が挙げられる。これらの中では、油性化粧料をこすらずに洗い流した際のぬるつきの無さの観点から、モノオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタンが好ましく、モノオレイン酸ソルビタンがより好ましい。
【0037】
成分(D)の含有量は、油性化粧料全体に対して、1~12質量%であり、好ましくは2~11質量%、より好ましくは3~10質量%である。この含有量が1質量%より少ないと、油性化粧料をこすらずに洗い流した際にぬるつきが生じる場合があり、この含有量が12質量%を超えると、油性化粧料を拭き取った際にべたつきが生じる場合がある。
【0038】
<成分(E):液状油>
本発明に用いられる成分(E)は、液状油である。液状油は、化粧品、医薬品などに通常用いられる、25℃で液状の油である。成分(E)は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
液状油は、極性油または非極性油のいずれでもよい。
極性油としては、例えばトリグリセライド(例えば、オリーブ油、ヒマワリ油)、エステル油(例えば、エチルヘキサン酸セチル、オレイン酸エチル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル)等が挙げられる。
非極性油としては、例えば炭化水素油(例えば、水添ポリイソブテン)、シリコーン油(例えば、シクロペンタシロキサン、ジメチコン)等が挙げられる。
【0040】
油性化粧料の塗布時の心地良さおよびマッサージ性の観点から、成分(E)は、好ましくは少なくとも1つの極性油と、少なくとも1つの非極性油との組合せであり、より好ましくはトリグリセライドおよびエステル油からなる群から選ばれる少なくとも1つと、炭化水素油およびシリコーン油からなる群から選ばれる少なくとも1つとの組合せであり、特に好ましくはオリーブ油、ヒマワリ油、イソノナン酸イソノニルおよびパルミチン酸エチルヘキシルからなる群から選ばれる少なくとも1つと、水添ポリイソブテンおよびシクロペンタシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1つとの組合せである。
【0041】
成分(E)として水添ポリイソブテンを使用する場合、その数平均分子量は、好ましくは150~600、より好ましくは180~400、特に好ましくは200~300である。この数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって算出される値である。例えば、下記の条件にてGPCを実施することができる。
<測定条件>
カラム:Shodex KF-805L
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1mL/分
注入量:100μL
カラムオーブン温度:40℃
【0042】
成分(E)の含有量は、油性化粧料全体に対して、50~80質量%であり、好ましくは52~70質量%、より好ましくは55~65質量%である。この含有量が50質量%より少ないと、油性化粧料の塗布時の心地良さが不十分である場合、摩擦があってマッサージしにくい場合があり、この含有量が80質量%を超えると、こすらずに洗い流した際にぬるつきが生じる場合がある。
【0043】
<成分(F):水>
本発明に用いられる成分(F)は、水である。水としては、脱イオン水、イオン交換水、蒸留水が好ましい。
【0044】
成分(F)の含有量は、油性化粧料全体に対して、0.1~7質量%であり、好ましくは1~6質量%、より好ましくは2~5質量%である。この含有量が0.1質量%より少ないと、油性化粧料を拭き取った際にべたつきが生じる場合があり、この含有量が7質量%を超えると、油性化粧料の塗布時の心地良さが不十分である場合がある。
【0045】
<成分(A)~成分(F)の含有量の合計>
上記成分(A)~成分(F)の含有量の合計は、油性化粧料全体に対して、80質量%以上であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましく、95~100質量%であることが特に好ましい。
【0046】
<成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との比>
油性化粧料のマッサージ性および拭き取った際のべたつきの無さの観点から、成分(B)の含有量と成分(C)の含有量との質量比(成分(B)の含有量/成分(C)の含有量)は、0.1~10であることが好ましく、0.5~8であることがより好ましく、0.8~5であることが特に好ましい。
【0047】
<その他の添加成分>
本発明の油性化粧料は、成分(A)~成分(F)に加えて、化粧品に使われる一般的な成分を、その他の添加成分としてさらに含有していてもよい。
その他の添加成分としては、例えば、pH調整剤;酸化防止剤;金属封鎖剤;色素;香料;顔料等が挙げられる。その他の添加成分の含有量は、油性化粧料全体に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
【0048】
<油性化粧料の製造>
本発明の油性化粧料は、成分(A)~成分(F)、および必要に応じてその他の添加成分を公知の方法で混合することによって、製造することができる。
【実施例0049】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0050】
<実施例1~14および比較例1~7>
表1(実施例1~14)および表2(比較例1~7)に示す量で成分を混合して、油性化粧料を調製し、下記の方法により評価した。
【0051】
表1および表2に記載の各成分の数値は、油性化粧料全体に対する含有量(質量%)を示す。
また、下記実施例および比較例で使用する成分(A)または成分(B)における「ポリオキシエチレン」の後の括弧内に記載のモル数は、オキシエチレン基の平均付加モル数を意味する。
また、下記実施例および比較例で使用する成分(A)またはポリソルベート80(即ち、ポリオキシエチレン(20モル)モノオレイン酸ソルビタン)のHLBを、その名称の後ろの括弧内に記載する。
また、下記実施例および比較例で使用する水添ポリイソブテンの数平均分子量を、その名称の後ろの括弧内に記載する。
【0052】
<評価方法>
(1)塗布時の心地良さの評価
25歳から55歳までの女性20名をパネラーとし、油性化粧料3gを顔に塗布した時の心地良さについて下記基準で評価を行った。
2点:非常に心地良いと感じた場合
1点:やや心地良いと感じた場合
0点:心地良くないと感じた場合
【0053】
(2)マッサージ性の評価
メイクアップ化粧料で化粧した25歳から55歳までの女性20名をパネラーとし、油性化粧料3gを顔に塗布してマッサージを行った時の、マッサージ性について下記基準で評価を行った。
2点:摩擦がほとんど無く、非常にマッサージしやすいと感じた場合
1点:摩擦があまり無く、ややマッサージしやすいと感じた場合
0点:摩擦があり、マッサージしにくいと感じた場合
【0054】
(3)こすらずに洗い流した際のぬるつきの無さの評価
メイクアップ化粧料で化粧した25歳から55歳までの女性20名をパネラーとし、油性化粧料3gを顔に塗布してマッサージを行った。その後、手でこすらずにぬるま湯のシャワーで顔をすすいだ時の、ぬるつきの無さについて下記基準で評価を行った。
2点:ぬるつきがほとんど無いと感じた場合
1点:ぬるつきがあまり無いと感じた場合
0点:ぬるつきがあると感じた場合
【0055】
(4)拭き取った際のべたつきの無さの評価
メイクアップ化粧料で化粧した25歳から55歳までの女性20名をパネラーとし、油性化粧料3gをとり、顔に塗布してマッサージを行った。その後、ティッシュペーパーで顔を拭き取り、べたつきの無さについて下記基準で評価を行った。
2点:べたつきがほとんど無いと感じた場合
1点:べたつきがあまり無いと感じた場合
0点:べたつきがあると感じた場合
【0056】
上記(1)~(4)の評点の合計点を下記の基準で判定して、表1および表2にそれぞれ示した。なお、「◎」および「○」を合格と判定した。
◎:合計点が35点以上
○:合計点が30点以上34点以下
△:合計点が20点以上29点以下
×:合計点が19点以下
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
実施例1~14の油性化粧料は、いずれも、塗布時の心地良さおよびマッサージ性に優れ、こすらずに洗い流すことができ、べたつきがなく拭き取ることができた。
これに対して、比較例1~7の油性化粧料は、十分な性能が得られなかった。
【0060】
比較例1の油性化粧料は、HLBが15.7であるポリソルベート80を成分(A)の代わりに含むため、塗布時の心地良さおよびマッサージ性が不十分であり、こすらずに洗い流した際のぬるつきがあり、拭き取った際のべたつきがあった。
比較例2は、成分(B)を含まないため、塗布時の心地良さが不十分であり、こすらずに洗い流した際のぬるつきがあり、拭き取った際のべたつきがあった。
【0061】
比較例3および4の油性化粧料は、成分(C)を含まないため、塗布時の心地良さおよびマッサージ性が不十分であった。
比較例5の油性化粧料は、成分(D)を含まないため、こすらずに洗い流した際のぬるつきがあった。
比較例6の油性化粧料は、成分(F)を含まないため、拭き取った際のべたつきがあった。
比較例7はの油性化粧料、成分(F)の含有量が多いため、塗布時の心地良さおよびマッサージ性が不十分であった。
【0062】
<実施例15>
下記に示す量で成分を混合して油性化粧料を調製し、上記実施例と同様に評価を行った。
(A)ポリオキシエチレン(7モル)モノヤシ油脂肪酸グリセリル(HLB 13) 8質量%
(A)ポリオキシエチレン(30モル)テトラオレイン酸ソルビトール(HLB 11.2) 4質量%
(A)ポリオキシエチレン(30モル)テトライソステアリン酸ソルビトール(HLB 11.1) 4質量%
(B)ポリオキシエチレン(7モル)グリセリン 2質量%
(B)ポリオキシエチレン(30モル)ソルビトール 2質量%
(C)1,3-ブタンジオール 2質量%
(C)1,2-ペンタンジオール 1質量%
(C)ジプロピレングリコール 2質量%
(D)モノオレイン酸ソルビタン 7質量%
(E)オリーブ油 5質量%
(E)ヒマワリ油 5質量%
(E)オレイン酸エチル 5質量%
(E)イソノナン酸イソノニル 5質量%
(E)パルミチン酸エチルヘキシル 10質量%
(E)シクロペンタシロキサン 5質量%
(E)水添ポリイソブテン(数平均分子量 220) 25質量%
(F)水 4質量%
(その他の添加成分)
ポリソルベート80(HLB 15.7) 3.5質量%
グリセリン 0.1質量%
トコフェロール 0.1質量%
香料 0.1質量%
フェノキシエタノール 0.1質量%
エチルヘキシルグリセリン 0.05質量%
ポリクオタニウム-51 0.05質量%
(上記成分量の合計 100質量%)
【0063】
実施例15の油性化粧料は、塗布時の心地良さおよびマッサージ性に優れ、こすらずに洗い流すことができ、べたつきがなく拭き取ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の油性化粧料は、皮膚の洗浄やマッサージのために有用である。