IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 資生堂の特許一覧

特開2024-86374目元トレーニングデバイス及び目元トレーニング方法
<>
  • 特開-目元トレーニングデバイス及び目元トレーニング方法 図1
  • 特開-目元トレーニングデバイス及び目元トレーニング方法 図2
  • 特開-目元トレーニングデバイス及び目元トレーニング方法 図3
  • 特開-目元トレーニングデバイス及び目元トレーニング方法 図4
  • 特開-目元トレーニングデバイス及び目元トレーニング方法 図5
  • 特開-目元トレーニングデバイス及び目元トレーニング方法 図6
  • 特開-目元トレーニングデバイス及び目元トレーニング方法 図7
  • 特開-目元トレーニングデバイス及び目元トレーニング方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086374
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】目元トレーニングデバイス及び目元トレーニング方法
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/00 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
G09B19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201467
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】那須 美恵子
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直樹
(57)【要約】
【課題】目元のたるみを予防または改善するための適切なトレーニングを実施できる目元トレーニングデバイスを提供する。
【解決手段】目元トレーニングデバイス1は、利用者の顔面Fのうち眼部領域Aに配置可能な本体部2と、利用者に視認可能に構成され、利用者の眼球Eの移動方向を教示する教示部5と、を備える。この構成により、利用者が教示部5により教示される移動方向に眼球Eを移動させることによって、眼球Eの周囲の眼輪筋を積極的に収縮させることができるので、眼輪筋を効果的に鍛えることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の顔面のうち眼部領域に配置可能な本体部と、
前記利用者に視認可能に構成され、前記利用者の眼球の移動方向を教示する教示部と、
を備える目元トレーニングデバイス。
【請求項2】
前記本体部は、前記眼部領域を覆って配置される、
請求項1に記載の目元トレーニングデバイス。
【請求項3】
前記眼球の動きを計測する計測部を備える、請求項1に記載の目元トレーニングデバイス。
【請求項4】
前記計測部は、眼電位を計測し、計測した前記眼電位に基づき前記教示部による教示方向に応じた前記眼球の移動方向に関する情報を算出する、請求項3に記載の目元トレーニングデバイス。
【請求項5】
前記計測部は、目周りの筋肉の筋電位を計測し、計測した前記筋電位に基づき前記教示方向に応じた前記目周りの筋肉の収縮度合いを算出する、請求項4に記載の目元トレーニングデバイス。
【請求項6】
前記教示部による教示内容と、前記計測部による計測結果とに基づき、前記眼球の動かし方を評価する評価部を備える、
請求項3~5のいずれか一項に記載の目元トレーニングデバイス。
【請求項7】
前記教示部は、前記評価部の評価結果に応じて教示内容の難易度を変更する、
請求項6に記載の目元トレーニングデバイス。
【請求項8】
前記教示部は、前記本体部が前記眼部領域に配置された状態において、前記利用者の視界の外周部分に配置される複数の点光源を有し、前記複数の点光源の少なくとも1つを点灯させて前記移動方向を教示する、
請求項1に記載の目元トレーニングデバイス。
【請求項9】
前記本体部が前記眼部領域に配置された状態において前記利用者の前頭骨の眼窩との境界部分より上方の眼輪筋を含む範囲に配置される押し当て部を有する、
請求項1に記載の目元トレーニングデバイス。
【請求項10】
前記教示部により教示される前記移動方向の切り替えを報知する報知部を備える、
請求項1に記載の目元トレーニングデバイス。
【請求項11】
前記本体部は、前記利用者の頭部に装着可能に構成される、
請求項1に記載の目元トレーニングデバイス。
【請求項12】
前記本体部が前記眼部領域に配置された状態で前記利用者の視野内となる位置に開閉可能に設けられる窓部を備え、
前記教示部は、前記窓部を開放したときに、前記窓部から外部の遠方の風景を見るように前記利用者に指示する、
請求項1に記載の目元トレーニングデバイス。
【請求項13】
前記眼部領域をマッサージするマッサージ部を備える、
請求項1に記載の目元トレーニングデバイス。
【請求項14】
前記眼部領域を温める温熱部を備える、
請求項1に記載の目元トレーニングデバイス。
【請求項15】
たるみ予防または改善用の請求項1に記載の目元トレーニングデバイス。
【請求項16】
目元トレーニングデバイスの本体部が、利用者の顔面のうち眼部領域に配置される配置ステップと、
前記目元トレーニングデバイスの教示部が、前記配置ステップの後に前記利用者の眼球の移動方向を教示する教示ステップと、
を含む目元トレーニング方法。
【請求項17】
前記目元トレーニングデバイスの計測部が、前記教示ステップにおいて教示された前記移動方向に応じた前記利用者の前記眼球の動きを計測する計測ステップと、
前記目元トレーニングデバイスの評価部が、前記教示ステップにおける教示内容と、前記計測ステップにおける計測結果とに基づき、前記眼球の動かし方を評価する評価ステップと、
を含む請求項16に記載の目元トレーニング方法。
【請求項18】
たるみ予防または改善用の請求項16または17に記載の目元トレーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、目元トレーニングデバイス及び目元トレーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
目の疲れは顔の印象に影響を及ぼしやすい。顔のたるみの中でも目元のたるみは老けて見えるため好まれない。パソコンやスマートフォンに依存する現代人の目の疲れは、老若男女問わず課題である。
【0003】
目元のたるみを抑制するための対策としては、例えば目の体操などを行うなど、目の周囲の筋肉のトレーニングを行うのが望ましい。特許文献1には、眼輪筋をストレッチすることにより眼輪筋をやわらかくして鍛える美顔具について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3137758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、既存の美顔具では、目元のたるみを予防または改善するための適切なトレーニングを提供する点で改善の余地がある。
【0006】
本開示は、目元のたるみを予防または改善するための適切なトレーニングを実施できる目元トレーニングデバイス及び目元トレーニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の一観点に係る目元トレーニングデバイスは、利用者の顔面のうち眼部を含む領域に配置可能な本体部と、前記利用者に視認可能に構成され、前記利用者の眼球の移動方向を教示する教示部と、を備える。
【0008】
同様に、本発明の実施形態の一観点に係る目元トレーニング方法は、目元トレーニングデバイスの本体部が、利用者の顔面のうち眼部を含む領域に配置される配置ステップと、前記目元トレーニングデバイスの教示部が、前記配置ステップの後に前記利用者の眼球の移動方向を教示する教示ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、目元のたるみを予防または改善するための適切なトレーニングを実施できる目元トレーニングデバイス及び目元トレーニング方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る目元トレーニングデバイスの斜視図
図2図1に示す目元トレーニングデバイスの顔面への装着状態を示す模式図
図3】目元トレーニングデバイスの機能ブロック図
図4】目元トレーニング方法の手順を示すメインフロー
図5図4のステップS4のサブルーチン処理の一例を示すフローチャート
図6】教示部による眼球の移動方向の教示動作の一例を示す模式図
図7】窓部開放タスクの一例を示す模式図
図8】教示部の変形例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0012】
まず図1図3を参照して、本実施形態に係る目元トレーニングデバイス1の構成について説明する。図1は、実施形態に係る目元トレーニングデバイス1の斜視図である。図2は、図1に示す目元トレーニングデバイス1の顔面Fへの装着状態を示す模式図である。
【0013】
なお、図1図2などに示されるX方向、Y方向、Z方向は、互いに垂直な方向である。X方向は、目元トレーニングデバイス1の本体部2が利用者の顔面Fに装着された状態において頭部Hの前後方向であり、X正方向側が前方側、X負方向側が後方側である。Y方向は、目元トレーニングデバイス1の本体部2が利用者の顔面Fに装着された状態において頭部Hの左右方向であり、Y正方向側が利用者の左側、Y負方向側が利用者の右側である。Z方向は、目元トレーニングデバイス1の本体部2が利用者の顔面Fに装着された状態において頭部Hの上下方向であり、Z正方向側が上側、Z負方向側が下側である。
【0014】
本実施形態に係る目元トレーニングデバイス1は、利用者の目元のたるみを予防または改善するための適切な目元トレーニング方法を提供するための装置である。本実施形態における「目元トレーニング」では、利用者に眼球Eの移動方向を教示して眼球Eを移動させることによって、目周りの筋肉、特に外眼筋を積極的に収縮させる。目周りの筋肉が衰えると目元のたるみが出やすい傾向があることが知られている。本実施形態の目元トレーニングは、目周りの筋肉を積極的に収縮させて鍛えることができるので、目元のたるみの予防や改善に効果的である。また、外眼筋を鍛えることで、眼精疲労や血行不良を防ぎ目元の印象の改善が期待できる。
【0015】
ここで、本実施形態で用いる「目周りの筋肉」とは、眼球Eのまわりを取り囲む筋肉であり、例えば外眼筋など視線を変更するために眼球Eを回旋移動させるための筋肉や、眼輪筋などまぶたを閉じる時などにはたらく筋肉、などが含まれる。
【0016】
目元トレーニングデバイス1は本体部2を備える。本体部2は、図2に示すように、利用者の顔面Fのうち眼部領域Aを覆って配置可能である。ここで眼部領域Aとは、図2に示すように、顔面Fのうち、2個の眼球Eと、これらの眼球Eの周囲の外眼筋などの目周りの筋肉を含む領域である。本体部2は、例えば図2に例示するように、本体部2に連結されるベルト3などの器具を頭部Hに巻回させて位置を固定することによって、利用者の頭部Hに装着可能に構成される。
【0017】
図1図2に示すように、本体部2は、前方壁2Aと周壁2Bとを有する。前方壁2Aは、X方向視において眼部領域Aを完全に覆う大きさ及び形状に形成される。図1図2の例では、前方壁2AはY方向を長軸方向、X方向を短軸方向とする略楕円形状に形成されている。また、図1に示すように、前方壁2Aの中央下端部には、装着時に利用者の鼻がある位置に上方に窪む凹部2Cを設けて、装着時の顔面Fとの密着性を向上させる構成としてもよい。なお、前方壁2AのX方向視の形状は、少なくとも眼部領域Aを完全に覆う形状であればよく、例えば多角形状など楕円以外の形状で形成されてもよい。
【0018】
図1に示すように、周壁2Bは、前方壁2Aの外縁の全体に亘って形成され、前方壁2Aの外縁部分からX負方向側に突出して形成される。なお、周壁2Bの形状は、少なくとも筒型であればよく、例えばX負方向側の端部の形状がX正方向側の端部より外側に広がる末広形状でもよいし、その逆向きの形状でもよい。
【0019】
周壁2BのX負方向側の端部には環状の縁部2Dが形成されている。縁部2Dは、本体部2が装着されたときに利用者の顔面Fと接触する部分の割合が極力大きくなるように、例えば標準的な顔面Fの凹凸形状に合わせてX方向の各位置が調整されて、湾曲形状に形成されている。このように縁部2Dを形成することによって、本体部2が顔面Fに装着されたときに、周壁2Bは顔面Fとの密着性を向上できるので、前方壁2Aと顔面Fとの隙間をより少なくできる。これにより、デバイス1の装着状態において、本体部2によって利用者の視野に形成されるトレーニング用の内部空間に、本体部2と顔面Fとの隙間から外光が侵入することを抑制できるので、利用者の没入感や集中力を向上でき、目元トレーニングの効果を向上できる。
【0020】
また、本体部2の内部には、一対の押し当て部4A、4Bが設けられる。押し当て部4A、4Bは、本体部2が眼部領域Aに配置された状態において、利用者の前頭骨の眼窩との境界部分より上方の眼輪筋を含む範囲に配置され、デバイス1の装着時に顔面Fに押し当てられる。押し当て部4A、4Bは、例えば図1図2に示すような板状部材であり、X負方向側の端面が顔面Fと接触する。端面の形状は例えばY方向を長径とする略長方形状である。押し当て部4A、4Bの位置である「利用者の前頭骨の眼窩との境界部分より上方の眼輪筋を含む範囲」とは、例えば図2に示すように、X方向視において利用者の眉毛と重畳する部分が含まれ、例えば各押し当て部4A、4Bがそれぞれ左右の眉毛の位置に配置される。また、押し当て部4A、4BのY方向の寸法は、例えば眉毛と同程度である。
【0021】
一対の押し当て部4A、4Bのうち顔面Fと接触する端面の部分は、例えばゴムや発泡体などの弾性材料で形成され、これにより装着時にX方向の外力によって弾性変形して顔面Fとの密着性や接触力を高める構成としてもよい。
【0022】
目元トレーニングデバイス1は教示部5を備える。教示部5は、利用者に視認可能に構成され、利用者の眼球Eの移動方向を教示する。図1図2に示すように、本実施形態における教示部5は、本体部2が眼部領域Aに配置された状態において、利用者の視界の外周部分に配置される複数の点光源5A~5Hを有し、複数の点光源5A~5Hの1つを点灯させて眼球Eの移動方向を教示する。点光源5A~5Hには例えばLEDを適用できる。図1図2の例では、8個の点光源5A~5Hを設ける構成が例示される。各点光源の配置は、眼球Eの外周部分の周方向に沿って略等間隔であるのが好ましく、例えば時計回りの0時方向、3時方向、6時方向、9時方向の上下左右の4方向に配置される点光源5A、5C、5E、5Gと、これらの4方向のそれぞれの中間の4方向に配置される点光源5B、5D、5F、5Hと、とを含む。
【0023】
また、目元トレーニングデバイス1は、眼球Eの動きを計測する計測部6を備える。計測部6は、例えば眼電位(Electrooculogram:EOG)を計測し、計測した眼電位に基づき教示部5による教示方向に応じた眼球Eの移動方向を算出することができる。
【0024】
計測部6は、眼電位を計測する要素として例えば複数の眼電位センサ6A~6Fを有する。図1図2の例では、左目の眼電位計測用の3個の眼電位センサ6A~6Cと、右目の眼電位計測用の3個の眼電位センサ6D~6Fとを有する。眼電位センサ6A、6Dは、それぞれ左目、右目の上方に配置される。眼電位センサ6B、6Eは、それぞれ左目、右目の下方に配置される。眼電位センサ6C、6Fは、それぞれ左目、右目の側方外側に配置される。各眼電位センサ6A~6Fは、図1に示すように前方壁2AからX負方向側に突出する略円筒形状で形成されており、X負方向側の先端部分に電極を有する。円筒形状の軸長は、本体部2が装着されたときに先端の電極が顔面に接触可能な長さで形成される。また、円筒形状の内部にはスプリングが内蔵されており、先端の電極が顔面に接触する際に接触力を調整可能に構成されている。
【0025】
また、図1に示すように、本体部2には電装ボックス7が設らけれる。電装ボックス7の内部には、教示部5や計測部6の動作を制御するための制御装置8や、教示部5、計測部6、制御装置8の各要素などに電源を供給するバッテリ9などが設置されている(図3参照)。電装ボックス7は、トレーニング時に利用者の視野を阻害しない位置に配置されるのが好ましく、例えば図1に示すように、本体部2の周壁2Bの上方部分と、一対の押し当て部4A、4Bとのなす隙間などに配置することができる。
【0026】
また、図1に示すように、目元トレーニングデバイス1は、本体部2に窓部10を備える。窓部10は、本体部2が眼部領域Aに配置された状態で、利用者の視野内となる位置に開閉可能に設けられる。窓部10は、本体部2の前方壁2Aの一部として構成され、窓部10が開くことにより、デバイス1を装着している利用者が外部の風景を視認可能となる。窓部10の開閉は、例えば教示部5によるトレーニングの一環として実施される。教示部5は、窓部10を開放したときに、窓部10から外部の風景を見るように利用者に指示することができる。
【0027】
また、図2に示すように、目元トレーニングデバイス1は、例えばスマートフォンなどの携帯端末20と通信可能に接続され、スマートフォン20からの操作指令に応じて目元トレーニングの実行や評価、データ記録などの各種制御を行ったり、スマートフォン20を介して利用者にトレーニング結果の評価などの情報を提示したりできる。
【0028】
図3は、目元トレーニングデバイス1の機能ブロック図である。上述のように、目元トレーニングデバイス1は、本体部2に教示部5の要素としてのLEDなどの複数の点光源5A~5Hと、計測部6の要素としての複数の眼電位センサ6A~6Fとを有する。そして、目元トレーニングデバイス1は、さらに本体部2に制御装置8と、バッテリ9と、報知部11と、マッサージ部12と、温熱部13とを備える。
【0029】
制御装置8は、目元トレーニングに関する教示部5や計測部6の動作を制御する。バッテリ9は、教示部5、計測部6、制御装置8の各要素などに電源を供給する。
【0030】
報知部11は、目元トレーニングに関する情報を例えば音や光、振動などを利用して利用者に報知する。報知部11は、例えば教示部5により教示される眼球Eの移動方向の切り替えを報知することができる。
【0031】
マッサージ部12は、眼部領域Aをマッサージする。マッサージ部12は、例えば本体部2が眼部領域Aに配置された状態において、利用者の眼輪筋に沿って顔面Fに接触する部分に設けられ、接触する部分を揉む、叩く、振動させるなどのマッサージを行う機構を有する。
【0032】
温熱部13は、眼部領域Aを温める。温熱部13は、例えば本体部2が眼部領域Aに配置された状態において、利用者の眼輪筋に沿って顔面Fに接触する部分に設けられ、発熱して接触する部分を温める機構を有する。
【0033】
マッサージ部12や温熱部13の動作は、例えばスマートフォン20を介した利用者の操作入力に応じて、制御装置8によって制御することができる。または、マッサージ部12や温熱部13の動作を、目元トレーニングの一部に組み込んでもよい。マッサージ部12及び温熱部13も、バッテリ9からの電源供給によって動作することができる。
【0034】
制御装置8は、目元トレーニングに関する機能として、訓練計画部81と、眼球動作算出部82と、評価部83と、を有する。
【0035】
訓練計画部81は、デバイス利用者の目元トレーニングの訓練内容(トレーニングプラン)の作成や更新、実施を行う。訓練計画部81は、訓練内容に基づき、LED5A~5H(点光源)、報知部11、または窓部10に制御指令を出力して、各部の動作を制御する。
【0036】
また、訓練計画部81は、複数の利用者の訓練内容の情報を保存する構成でもよい。この場合、スマートフォン20などを介して入力される利用者の個人情報等に基づき、該当の利用者の訓練内容の情報を抽出して、抽出した情報に基づきトレーニングを実施する。また、この場合、訓練計画部81は、評価部83から受け取る該当利用者のトレーニングの評価結果に応じて、該当利用者の教示内容の難易度を変更するなどの更新を行うこともできる。
【0037】
つまり、訓練計画部81は、点光源5A~5Hと共に、目元トレーニングにおいて利用者の眼球Eの移動方向を教示する教示部5に含まれる。報知部11や窓部10も教示部5に含めることができる。訓練計画部81は、利用者に応じた訓練内容の情報、例えば利用者に教示する眼球Eの移動方向や教示タイミングなどの情報を評価部83に出力する。
【0038】
眼球動作算出部82は、眼電位センサ6A~6Fにより計測されたトレーニング中の利用者の眼電位の情報に基づき、教示部5による教示方向に応じた眼球Eの動作を算出する。本実施形態では、眼球動作算出部82は、眼球Eの移動方向を算出して評価部83に出力する。
【0039】
つまり、眼球動作算出部82は、眼電位センサ6A~6Fと共に、利用者の眼球Eの動きを計測する計測部6に含まれる。
【0040】
評価部83は、教示部5による教示内容と、計測部6による計測結果とに基づき、利用者の眼球Eの動かし方を評価する。評価部83は、評価の情報を訓練計画部81に出力して訓練内容にフィードバックさせたり、スマートフォン20に出力して利用者に提示することができる。
【0041】
制御装置8は、物理的には、例えばCPU(Central Processing Unit)、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール、補助記憶装置、などを含む制御基板として実装することができる。上記の制御装置8の各機能は、CPU、RAM等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPUの制御のもとで通信モジュール、などを動作させるとともに、RAMや補助記憶装置におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0042】
なお、制御装置8は、訓練計画部81と、眼球動作算出部82と、評価部83、などを含む訓練制御装置としての機能を発揮できればよく、本体部2に内蔵される制御基板の他にも、スマートフォン20に実装される構成でもよいし、本体部2の外部に設置され、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置や、ディスプレイ等の出力装置なども有する汎用のPCなどのコンピュータシステムに実装される構成でもよい。訓練計画部81と、眼球動作算出部82と、評価部83とが本体部2の外部に実装される場合には、本体部2に内蔵される制御装置8は、訓練計画部81、眼球動作算出部82、評価部83の各要素と各種情報の送受信を行い、LED5A~5Hや、眼電位センサ6A~6Fなど本体部2に搭載される各種装置の動作を制御する機能のみに絞ることができる。
【0043】
また、上記の制御装置8の機能を絞り込む構成とは反対に、本体部2にスマートフォン20などの携帯端末を利用していた入出力機能も搭載して、本体部2単体で目元トレーニングを実施可能な構成としてもよい。この場合、例えば本体部2の表面の前面側などにタッチパネルなどの入出力装置を設け、操作入力の受付や、情報提示を行う構成としてもよい。
【0044】
また、図3の例ではバッテリ9によって本体部2内の各種装置に電源供給する構成を例示しているが、外部の電源装置やコンセントに有線接続されて外部から電源供給される構成でもよい。
【0045】
図4図7を参照して、本実施形態に係る目元トレーニング方法について説明する。図4は、目元トレーニングデバイス1を用いる目元トレーニング方法の手順を示すメインフローである。
【0046】
ステップS1では、例えばスマートフォン20などを介して、目元トレーニングデバイス1を用いて目元トレーニングを行う利用者の情報が入力される。利用者情報としては、例えば氏名、年齢、性別、などの情報が含まれる。入力された利用者情報は制御装置8の訓練計画部81に送信される。
【0047】
ステップS2では、制御装置8の訓練計画部81により、ステップS1にて入力された利用者情報に基づきトレーニングプランが取得される。トレーニングプランとは、利用者情報に基づき特性される該当利用者向けに設定されている訓練内容を含む情報である。
【0048】
ステップS3では、利用者によって目元トレーニングデバイス1が当該利用者の顔面Fの眼部領域Aに装着される(配置ステップ)。ステップS1~S3の処理が完了すると、目元トレーニングの準備が完了する。
【0049】
ステップS4では、制御装置8により目元トレーニング制御が実施される(教示ステップ、計測ステップ、評価ステップ)。図5は、図4のステップS4において実施される目元トレーニング制御のサブルーチン処理の一例を示すフローチャートである。サブルーチン処理では、図5に示すステップS11~S22の各処理が実施される。
【0050】
ステップS11では、訓練計画部81により、報知部11を用いて一定のリズム(例えば30rpm)が提示される。例えば報知部11が音声機能を有する場合には、メトロノームの音や音楽を発音させる。
【0051】
ステップS12では、訓練計画部81により、図4のステップS2にて取得されたトレーニングプランに基づき、複数のLED5A~5Hのうち任意の1つのLED(第1のLED)が所定時間(例えば2秒)点灯され、利用者に眼球Eの移動方向が教示される(教示ステップ)。利用者は、点灯したLEDの方向に眼球Eを移動させ、その後に中央の初期位置に戻す。
【0052】
ステップS13では、眼球動作算出部82により、ステップS12の教示に応じて眼球Eが動いた際に眼電位センサ6A~6Fにより計測された眼電位の変化の情報が取得される(計測ステップ)。なお、眼球動作算出部82は、本ステップにおいて、眼電位の変化に基づいて眼球Eの移動方向や移動量の推移を算出する構成でもよい。
【0053】
ステップS14では、訓練計画部81により、ステップS12にて点灯された第1のLEDが消灯され、それと同時に、複数のLED5A~5Hのうちトレーニングプランに基づき第1のLEDの次に点灯させる任意の1つのLED(第2のLED)が所定時間(例えば2秒)点灯され、利用者に新たな眼球Eの移動方向が教示される(教示ステップ)。利用者は、新たに点灯したLEDの方向に眼球Eを移動させ、その後に中央の初期位置に戻す。
【0054】
ステップS15では、眼球動作算出部82により、ステップS14の教示に応じて眼球Eが動いた際に眼電位センサ6A~6Fにより計測された眼電位の変化の情報が取得される(計測ステップ)。
【0055】
ステップS16では、訓練計画部81により、トレーにングの継続有無が判定される。訓練計画部81は、例えばトレーニングプランを参照して、まだ教示する眼球移動方向が残っている場合に、トレーニングを継続すると判定し(ステップS16のYes)、ステップS14に戻り、トレーニングプランが完了するまでステップS14、S15の処理を繰り返す。例えば一度目の繰り返しのときには、先のステップS14にて2番目に点灯されたLED(第1のLED)が消灯され、それと同時に、複数のLED5A~5Hのうちトレーニングプランに基づき3番目に点灯させる任意の1つのLED(第2のLED)が所定時間(例えば2秒)点灯され、利用者に新たな眼球Eの移動方向が教示される。ステップS14、S15の処理のループが繰り返される間は、先のループにて点灯された第2のLEDが次のループでは第1のLEDとして消灯され、別のLEDが第2のLEDとして点灯されることが繰り返される。
【0056】
図6は、教示部5による眼球Eの移動方向の教示動作の一例を示す模式図である。図6には、図1に示す本体部2の各要素のうち、教示部5に係る8つのLED5A~5Hを図示している。
【0057】
図6(A)に示すように、ステップS12の前段階では、訓練計画部81は、8つのLED5A~5Hのすべてを消灯させている。
【0058】
次に図6(B)に示すように、ステップS12では、訓練計画部81は、例えば第1のLEDとして、9時方向に配置されるLED5Gを点灯させる。このとき利用者は、LED5Gの点灯に応じて眼球Eを左方向(Y正方向側)に移動させ、その後に眼球Eの位置を正面方向に戻す。眼球動作算出部82は、ステップS13にて、眼球Eの左方向への移動に伴う眼電位の変化を計測する。
【0059】
次に図6(C)に示すように、ステップS14では、訓練計画部81は、第1のLEDであるLED5Gを消灯させると共に、例えば第2のLEDとして、0時方向に配置されるLED5Aを点灯させる。このとき利用者は、LED5Aの点灯に応じて眼球Eを上方向(Z正方向側)に移動させ、その後に眼球Eの位置を正面方向に戻す。眼球動作算出部82は、ステップS15にて、眼球Eの上方向への移動に伴う眼電位の変化を計測する。
【0060】
以降は、トレーニングプランが完了するまでの期間、図6(B)、(C)と同様に、点灯していた第1のLEDを消灯すると共に、第2のLEDを点灯させる動作が繰り返される。なお、トレーニング中には、ステップS14で点灯LEDを切り替える際に、報知部11を用いて振動や音などによって切り替えタイミングを利用者に報知してもよい。
【0061】
図5に戻り、トレーニングプランが完了したと判定された場合(ステップS16のNo)には、評価部83により、LED点灯のタイミングと、眼電位変化のタイミングのズレの平均値Tavgが算出される。評価部83は、例えば上述のステップS12、S14の処理のたびに訓練計画部81から教示タイミングの情報を受け取り、ステップS13、S15の処理のたびに眼球動作算出部82から眼電位変化のタイミングの情報を受け取って、各方向への教示ごとに両者のタイミングのズレ量を算出して記憶しておき、トレーニングプラン内のすべての教示に係る情報を取得した後に平均値Tavgを算出することができる。
【0062】
ステップS18では、評価部83により、ステップS17にて算出されたズレの平均値Tavgが、所定のズレ基準時間Taと比較される(評価ステップ)。
【0063】
ステップS18の比較の結果、ズレ平均値Tavgがズレ基準時間Taより小さい場合(Tavg<Ta)には、眼球Eが教示に対して比較的反応良く動いており高評価と判定される。この場合、ステップS19に進み、高評価の評価結果の情報が評価部83からスマートフォン20に出力されて、スマートフォン20の画面上に例えば「とても調子いいです」などの評価コメントが表示される。
【0064】
ステップS18の比較の結果、ズレ平均値Tavgがズレ基準時間Taと同一の場合(Tavg=Ta)には、眼球Eが教示に対して平均的に動いており中評価と判定される。この場合、ステップS20に進み、中評価の評価結果の情報が評価部83からスマートフォン20に出力されて、スマートフォン20の画面上に例えば「よくがんばりました」などの評価コメントが表示される。
【0065】
ステップS18の比較の結果、ズレ平均値Tavgがズレ基準時間Taより大きい場合(Tavg>Ta)には、教示に対する眼球Eの動作の反応が比較的悪いので低評価と判定される。この場合、ステップS21に進み、低評価の評価結果の情報が評価部83からスマートフォン20に出力されて、スマートフォン20の画面上に例えば「お疲れのようです」などの評価コメントが表示される。
【0066】
また、ステップS19、S20、S21では、評価結果の情報は訓練計画部81にもフィードバックされる。ステップS19、S20、S21の処理が完了すると図4のメインフローに戻る。
【0067】
図4に戻り、ステップS5では、訓練計画部81により、ステップS19、S20、S21において評価部83から送信された評価結果の情報が該当利用者のトレーニングの成績ログとして記録される。
【0068】
ステップS6では、訓練計画部81により、ステップS5で受振した評価結果の情報や、これまでの成績ログに基づいて、今回トレーニングを行った利用者のトレーニングプランが更新される。例えば、評価結果が高評価だった場合には、LEDの点灯順番を複雑にしたり、点灯時間や点灯間隔を短くしたりして、訓練内容をより難しくなるよう変更することができる。一方、評価結果が低評価だった場合には、LEDの点灯順番を簡単にしたり、点灯時間や点灯間隔を長くしたりして、訓練内容をより簡易に変更することができる。なお、トレーニングプランは、訓練計画部81により自動的に更新する以外にも、利用者がスマートフォン20などを介してトレーニング開始時に手動で難易度などの設定を任意に変更できる構成としてもよい。
【0069】
また、トレーニングプランでは、LED5A~5Hによる眼球Eの移動方向の教示の他に、窓部10を開いて窓部10から外部の遠方の風景を見るように利用者に指示するタスクを追加してもよい。
【0070】
図7は、窓部開放タスクの一例を示す模式図である。トレーニング中は通常は図7(A)に示すように窓部10は閉まっていて、図6に示したようなLEDによる眼球Eの移動方向の教示が行われる。例えば、トレーニング中に、所定回数のLED点灯ごとや、所定時間経過ごとに、LEDによる教示を一旦中止して、図6(B)に示すように窓部10を開放して、窓部10から外部の風景を見るように利用者に指示するタスクを実行させ、これにより利用者の眼球Eの疲労を回復させるよう構成してもよい。
【0071】
次に本実施形態に係る目元トレーニングデバイス1の効果を説明する。本実施形態の目元トレーニングデバイス1は、利用者の顔面Fのうち眼部領域Aに配置可能な本体部2と、利用者に視認可能に構成され、利用者の眼球Eの移動方向を教示する教示部5と、を備える。この構成により、利用者が教示部5により教示される移動方向に眼球Eを移動させることによって、目周りの筋肉を積極的に収縮させることができるので、目周りの筋肉を効果的に鍛えることができる。目周りの筋肉が衰えると目元のたるみが出やすい傾向があることが知られているが、本実施形態のデバイスを用いることで、目周りの筋肉を効果的に鍛えることが可能となり、目元のたるみを予防または改善するための適切なトレーニングを実施できる。
【0072】
また、本実施形態の目元トレーニングデバイス1では、本体部2は、眼部領域Aを覆って配置されるのが好ましい。この構成により、デバイス1の装着状態において、本体部2によって利用者の視野に形成されるトレーニング用の内部空間に、本体部2と顔面Fとの隙間から外光が侵入することを抑制できるので、利用者の没入感や集中力を向上でき、目元トレーニングの効果を向上できる。
【0073】
また、本実施形態の目元トレーニングデバイス1は、眼球Eの動きを計測する計測部6を備える。より詳細には、計測部6は、複数の眼電位センサ6A~6Fによって利用者の眼電位を計測し、計測した眼電位に基づき教示部5による教示方向に応じた眼球Eの移動方向に関する情報を算出する。これらの構成により、教示部5による教示方向に応じた眼球Eの移動方向を精度良く取得することが可能となるので、トレーニングの評価やトレーニングプランへのフィードバックなどに活用でき、トレーニング効果をさらに向上できる。
【0074】
また、本実施形態の目元トレーニングデバイス1は、教示部5による教示内容と、計測部6による計測結果とに基づき、眼球Eの動かし方を評価する評価部83を備える。この構成により、利用者ごとに個別にトレーニングの評価を行うことができるので、トレーニング評価の情報を利用者や管理者に提供すれば、より適切なトレーニングを行う指標にでき、トレーニング効果をさらに向上できる。
【0075】
また、本実施形態の目元トレーニングデバイス1では、教示部5の訓練計画部81は、評価部83の評価結果に応じて教示内容の難易度を変更するのが好ましい。この構成により、個々の利用者のトレーニングの習熟度合いに基づくより適切なトレーニングプランを作成できるので、個々の利用者に適したトレーニングを実施でき、トレーニング効果をさらに向上できる。
【0076】
また、本実施形態の目元トレーニングデバイス1では、教示部5は、本体部2が眼部領域Aに配置された状態において、利用者の視界の外周部分に配置される複数の点光源5A~5Hを有し、複数の点光源5A~5Hの少なくとも1つを点灯させて眼球Eの移動方向を教示するのが好ましい。この構成により、利用者に眼球Eの移動方向を明確に教示できるので、眼球運動をより確実に行わせることができる。
【0077】
また、本実施形態の目元トレーニングデバイス1は、本体部2が眼部領域Aに配置された状態において利用者の前頭骨の眼窩との境界部分より上方の眼輪筋を含む範囲に配置される押し当て部4A、4Bを有するのが好ましい。この構成により、眼球Eを移動させる際に主に目周りの筋肉を使用させることが可能となる。特に眼球を上方向に移動させる際に、おでこの筋肉を使いがちであるが、おでこと眼球Eとの間に押し当て部4A、4Bを介在させることによって、利用者におでこの筋肉を使わず上を見ることを促すことができる。この結果、目周りの筋肉をより確実に使用させることが可能となり、トレーニング効果をより向上できる。
【0078】
また、本実施形態の目元トレーニングデバイス1は、教示部5により教示される眼球Eの移動方向の切り替えを報知する報知部11を備えるのが好ましい。この構成により、トレーニング中の移動方向の切り替えタイミングを利用者により的確に指示することが可能となるので、移動タイミングの遅れなど評価部83によるトレーニング評価への影響を低減して、より精度良くトレーニングの評価を行うことができる。
【0079】
また、本実施形態の目元トレーニングデバイス1では、本体部2は、利用者の頭部Hに装着可能に構成されるのが好ましい。この構成により、利用者は例えば自宅など任意の場所でデバイスを使用して目元トレーニングを行うことが可能となるので、トレーニングの自由度や利便性を向上でき、デバイス1の汎用性を向上できる。
【0080】
また、本実施形態の目元トレーニングデバイス1は、本体部2が眼部領域Aに配置された状態で利用者の視野内となる位置に開閉可能に設けられる窓部10を備え、教示部5は、窓部10を開放したときに、窓部10から外部の遠方の風景を見るように利用者に指示するのが好ましい。この構成により、例えばトレーニング中に眼球Eの移動をとめて目周りの筋肉を休ませることができるので、トレーニングの実施時間を長くしたり、トレーニング強度を上げることを容易に行うことが可能となり、より効果的なトレーニングを実施できる。さらに、トレーニング中に眼前にあるLEDの点灯を視認する状態から、窓部10から外部の風景を眺めさせるタスクを行わせることにより、利用者の眼球Eまわりの遠近調節筋肉の強化も併せて行うことができる。
【0081】
また、本実施形態の目元トレーニングデバイス1は、眼部領域Aをマッサージするマッサージ部12や、眼部領域Aを温める温熱部13を備えるのが好ましい。この構成により、例えばトレーニング中に眼球Eの移動をとめて目周りの筋肉の疲労を回復させることができるので、窓部10と同様により効果的なトレーニングを実施できる。また、目元トレーニングの実施中以外でも、窓部10やマッサージ部12や温熱部13を使用して眼部の疲労回復を行うことも可能であり、デバイス1の汎用性を向上できる。
【0082】
図8は、教示部5の変形例を示す模式図である。上記実施形態では、教示部5が眼球移動方向を教示する要素の一例として、8個の点光源(LED)5A~5Hを環状に配置する構成を例示したが、これに限られない。例えば図8に示す変形例のように、環状に配置されるLED5A~5Hのさらに径方向外側に、別の環状に配置される複数のLED5A1~5H1を配置する構成としてもよい。図8の例では、外側のLED5A1~5H1の個数は、内側のLED5A~5Hと同数の8個であり、それぞれが内側のLED5A~5Hのそれぞれと同じ方向に、中心からより離れた位置に配置されている。
【0083】
図8の構成では、例えば0時方向に配置される内側のLED5Aと外側のLED5A1とに着目すると、デバイスを装着状態の利用者にとっては、内側のLED5Aが点灯した場合よりも、外側のLED5A1が点灯した場合のほうがより視野の外側に教示用の点光源が見える。このため、内側のLED5Aを点灯させたときの眼球Eの移動量に対して、外側のLED5A1を点灯させたときの眼球Eの移動量を増やすよう利用者に促すことができるので、より強度の高いトレーニングを行わせることが可能となる。
【0084】
なお、図8では、教示部5として視野の中央の周囲に二重の環状となるように複数の点光源を配置する構成を例示したが、さらに環状の組数を増やしてもよい。このように複数組の環状の点光源を設けることにより、目元トレーニングにおける眼球Eの移動量の増減の調整が可能となり、トレーニングプランのバリエーションを増やすことができるので、個々の利用者により則したきめ細かなトレーニングを実施できる。
【0085】
なお、教示部5は、少なくとも眼球Eの移動方向を利用者に教示できればよく、教示する構成は上記実施形態に例示した複数の点光源の1つを用いる構成に限られない。例えば、図8に示したような複数の環状の点光源を備える構成の場合には、同一方向に配置される複数の点光源を同時に点灯させたり、時間差をつけて点灯させるなどして、移動方向を複数の点光源で教示する構成でもよい。または、本体部2の前方壁2Aの中央に複数方向の矢印を表示できる表示装置を設置して、矢印表示によって移動方向を教示する構成でもよい。または、同様の表示装置にカーソルなどの目標物を表示して、この目標物を所定方向に移動させて追従させることによって、眼球Eの移動方向を教示する構成でもよい。
【0086】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0087】
上記実施形態では、目元トレーニングデバイス1の本体部2がベルト3などによって利用者の頭部Hに装着可能な構成、すなわち目元トレーニングデバイス1がウェアラブルデバイスである構成を例示したが、少なくとも本体部2が利用者の顔面Fのうち眼部領域Aに配置可能な構成であればよく、ウェアラブルデバイスに限られない。例えば、目元トレーニングデバイス1の全体が据え置き型の装置であり、本体部2が装置に固定される構成でもよい。この構成の場合、利用者は本体部2の位置に自分の顔面Fを接近させて、本体部2の縁部2Dに眼部領域Aを接触させた状態とし、眼部領域Aと本体部2とを図2に示す使用時の状態と同様の位置関係としてデバイス1を使用すればよい。
【0088】
上記実施形態では、本体部2のX負方向側の縁部2Dが顔面Fに接触して眼部領域Aを覆って本体部2を配置する構成を例示したが、少なくとも本体部2が眼部領域Aに配置可能であればよく、本体部2によって眼部領域Aを覆わない構成でもよい。例えば目元トレーニングデバイス1の全体がメガネと同様の形状であり、本体部2がメガネのレンズ、リム(レンズ縁)、ブリッジに該当する要素で構成され、メガネのテンプル(つる)に該当する要素によって顔面Fに装着される構成などであってもよい。この構成の場合、一般的なメガネの使用状態と同様に、本体部2と顔面Fとの間には隙間が生じるので、本体部2は顔面Fの眼部領域Aを覆う形状ではなくなる。
【0089】
上記実施形態では、一対の押し当て部4A、4Bを顔面Fに押し当てることによってトレーニング中の眼輪筋の動きを促進する構成を例示したが、一対の押し当て部4A、4Bを設けない構成としてもよい。
【0090】
上記実施形態では、計測部6は、利用者の眼球Eの眼電位を計測し、計測した眼電位に基づき教示部5による教示方向に応じた眼球Eの移動方向を算出する構成を例示したが、計測部6は、少なくとも眼球Eの動きを計測できればよく、眼電位以外の情報を利用してもよい。例えば、目周りの筋肉の筋電位(Electromyogram:EMG)を計測し、計測した筋電位に基づき教示方向に応じた目周りの筋肉の収縮度合いを算出する構成でもよい。本実施形態の目元トレーニングは、目周りの筋肉を鍛えることによって目元のたるみの予防や抑制を効果的に行うことが目的であるので、目周りの筋肉の収縮度合いを直接計測して評価を行えば、トレーニング評価をより精度良く行うことが可能となる。同様に、アイトラッキングなどの周知技術を用いて視線の変位を計測して、計測した視線情報に基づいて眼球Eの移動方向に関する情報を取得する構成でもよい。
【0091】
上記実施形態では、評価部83によるトレーニング評価手法の一例として、教示タイミングと実際の眼球移動タイミングとのズレ量の平均値Tavgを算出し、ズレ基準時間Taと比較する構成を例示したが、評価部83は少なくとも利用者の眼球Eの動かし方を評価することができればよく、評価手法は上記手法に限られない。例えば挟持方向に応じた眼球Eの回旋スピードを評価し点数化して利用者に提示する、などの手法でもよい。また、トレーニングの評価情報を、スマートフォン20のカレンダー機能などに日別に表示させたり、評価の推移をグラフ表示することにより、利用者のトレーニングに対する継続意欲を向上させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 目元トレーニングデバイス
2 本体部
4A、4B 押し当て部
5 教示部
5A~5H 点光源
81 訓練計画部
6 計測部
6A~6F 眼電位センサ
82 眼球動作算出部
10 窓部
11 報知部
12 マッサージ部
13 温熱部
83 評価部
H 頭部
F 顔面
E 眼球
A 眼部領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8