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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086384
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ゴーグル部品及びゴーグル
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/02 20060101AFI20240620BHJP
   G02C 11/00 20060101ALI20240620BHJP
   G02C 5/02 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
A61F9/02 353
G02C11/00
G02C5/02
A61F9/02 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201481
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】506159699
【氏名又は名称】株式会社ジンズホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】北垣内 康文
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006CA00
2H006CA04
(57)【要約】
【課題】着用時における煩わしさを解消すると共に、曇りの発生を抑制できるゴーグル部品及びゴーグルを提供することを目的とする。
【解決手段】ゴーグル部品は、眼鏡30に着脱可能に取り付けられるゴーグル部品である。ゴーグル部品は、眼鏡30を着用する着用者の目の周囲を覆うフード12を有し眼鏡のフロント31と着用者との間に第一空間10sを画成する第一部材10と、着用者とは反対側からフロント31を覆いフロント31との間に第二空間20sを画成する第二部材20とを備える。第一部材10及び第二部材20のうち少なくとも一方は、着用者の前後方向に沿ってフロント31に対向する底面11kと、前後方向と直交する方向に沿ってフロント31の縁に対向する内壁11mとを含む凹部11dを有する。フロント31は、凹部11dに固定されると共に、第二空間20sを第一空間10sから独立させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡に着脱可能に取り付けられるゴーグル部品であって、
前記眼鏡を着用する着用者の目の周囲を覆うフードを有し、前記眼鏡のフロントと前記着用者との間に第一空間を画成する第一部材と、
前記着用者とは反対側から前記フロントを覆い、前記フロントとの間に第二空間を画成する第二部材と、
を備え、
前記第一部材及び前記第二部材のうち少なくとも一方は、前記着用者の前後方向に沿って前記フロントに対向する底面と、前記前後方向と直交する方向に沿って前記フロントの縁に対向する内壁と、を含む凹部を有し、
前記フロントは、前記凹部に固定されると共に、前記第二空間を前記第一空間から独立させる、
ゴーグル部品。
【請求項2】
前記第一部材及び前記第二部材のうち少なくとも一方は、前記第一部材及び前記第二部材を互いに接続する接続部を有し、
前記接続部を介して互いに接続された前記第一部材及び前記第二部材は、前記第一部材と前記第二部材との間に前記フロントを挟んで固定する、
請求項1に記載のゴーグル部品。
【請求項3】
前記接続部は、磁石から構成される、
請求項2に記載のゴーグル部品。
【請求項4】
前記第一部材及び前記第二部材は一体に形成されている、
請求項1に記載のゴーグル部品。
【請求項5】
前記第一部材は、前記フロントの一対のノーズパッドが取り付けられる取付部を有し、
前記一対のノーズパッドは、前記取付部を挟持した状態で前記取付部に取り付けられる、
請求項1~4の何れか一項に記載のゴーグル部品。
【請求項6】
前記フードは、前記着用者に押し当てられる軟質素材を含む、
請求項1~4の何れか一項に記載のゴーグル部品。
【請求項7】
前記フードは、前記第一空間に連通する複数の通気孔を有する、
請求項1~4の何れか一項に記載のゴーグル部品。
【請求項8】
眼鏡に着脱可能に取り付けられるゴーグル部品であって、
前記眼鏡を着用する着用者の目の周囲を覆うフードを有し、前記眼鏡のフロントと前記着用者との間に第一空間を画成する第一部材と、
前記着用者とは反対側から前記フロントを覆い、前記フロントとの間に第二空間を画成する第二部材と、
を備え、
前記第一部材及び前記第二部材のうち少なくとも一方は、前記着用者の前後方向から前記フロントを見たときに前記フロントのレンズを囲むように配置されている固定部を有し、
前記固定部は、前記着用者と前記第二部材との間に前記フロントを固定し、
前記固定部に固定された前記フロントは、前記第二空間を前記第一空間から独立させる、
ゴーグル部品。
【請求項9】
フロントを有する眼鏡と、
前記眼鏡を着用する着用者の目の周囲を覆うフードを有し、前記フロントと前記着用者との間に第一空間を画成する第一部材と、
前記着用者とは反対側から前記フロントを覆い、前記フロントとの間に第二空間を画成する第二部材と、
を備え、
前記第一部材及び前記第二部材のうち少なくとも一方は、前記着用者の前後方向に沿って前記フロントに対向する底面と、前記前後方向と直交する方向に沿って前記フロントの縁に対向する内壁と、を含む凹部を有し、
前記フロントは、前記凹部に固定されると共に、前記第二空間を前記第一空間から独立させる、
ゴーグル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゴーグル部品及びゴーグルに関する。
【背景技術】
【0002】
実用新案登録第3226450号公報には、花粉又は塵埃が目に侵入するのを防止するための花粉防止用眼鏡が記載されている。花粉防止用眼鏡は、フロントフレームと、フロントフレームの後部に対して着脱可能なインナーフレームと、フロントフレームの前部に対して着脱可能なサブフレームとを備える。フロントフレームは、レンズを保持するリム部を有する。サブフレームは、遮光レンズを有する。インナーフレームは、リム部の形状に対応したインナーリム部と、インナーリム部の上下縁部及び曲げ智側の側面部と連続するように形成されたフード部とを含む。フロントフレームは、インナーフレームを着脱するための溝部と、サブフレームを着脱するための磁石とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3226450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、眼鏡の着用者がゴーグルを着用する場合には、着用者から見てゴーグルが眼鏡の外側に位置するようにゴーグルを着用する、いわゆるオーバーグラスとして着用することがある。この場合、ゴーグルがノーズパッド及びテンプルを着用者に押し付けることがあるので、煩わしさを着用者に感じさせることがある。ゴーグルの内側に眼鏡が位置するので、眼鏡の位置がずれたときには、着用者はゴーグルを外して眼鏡のずれを調整しなければならない。
【0005】
前述した花粉防止用眼鏡は、フロントフレームの前後のそれぞれに部品を取り付けることによって一体とされている。しかしながら、当該花粉防止用眼鏡のように眼鏡の前後のそれぞれに部品が取り付けられる場合には、眼鏡の後側の空間に暖かい空気が入り込み、且つ眼鏡の前側の空間に冷たい空気が入り込むことにより、温度差が生じ、眼鏡のレンズ等が曇ることが懸念される。
【0006】
本開示は、着用時における煩わしさを解消すると共に、曇りの発生を抑制できるゴーグル部品及びゴーグルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るゴーグル部品は、(1)眼鏡に着脱可能に取り付けられるゴーグル部品である。ゴーグル部品は、眼鏡を着用する着用者の目の周囲を覆うフードを有し眼鏡のフロントと着用者との間に第一空間を画成する第一部材と、着用者とは反対側からフロントを覆いフロントとの間に第二空間を画成する第二部材とを備える。第一部材及び第二部材のうち少なくとも一方は、着用者の前後方向に沿ってフロントに対向する底面と、前後方向と直交する方向に沿ってフロントの縁に対向する内壁とを含む凹部を有する。フロントは、凹部に固定されると共に、第二空間を第一空間から独立させる。
【0008】
このゴーグル部品では、着用者の目の周囲を覆うフードを有する第一部材と、着用者とは反対側からフロントを覆う第二部材とが眼鏡のフロントに着脱可能に取り付けられる。眼鏡に取り付けられたゴーグル部品がゴーグルとして機能するので、着用者は、眼鏡の外側にゴーグルを着用しなくてもよい。したがって、眼鏡の外側に着用されたゴーグルによってノーズパッド及びテンプルが押し付けられる煩わしさは生じない。また、眼鏡とゴーグル部品とが一体となってゴーグルとして機能するので、第一部材及び第二部材のうち少なくとも一方、又は眼鏡のテンプルを調整することによって眼鏡のずれを調整でき、着用者は眼鏡のずれを容易に調整できる。結果として、オーバーグラスとしてゴーグルを着用した時に比べて煩わしさが解消され得る。
【0009】
第一部材は、フロントと着用者との間に第一空間を画成する。着用者の前後方向において、第一空間は、フロントの後方に位置する。第二部材は、着用者とは反対側からフロントを覆いフロントとの間に第二空間を画成する。第二空間は、フロントの前方に位置する。第一空間と第二空間とは、前後方向においてフロントを挟んで互いに隣り合う。第一部材及び第二部材のうち少なくとも一方は、フロントが固定される凹部を有している。フロントは、凹部の底面と前後方向に沿って対向すると共に、凹部の内壁と前後方向と直交する方向に沿って対向するように、凹部の内側に固定される。凹部の内側に固定されたフロントは、フロントの前方に位置する第二空間をフロントの後方に位置する第一空間から独立させる。第一部材及び第二部材のうちの少なくともいずれかの凹部の内側にフロントが固定されているので、第一部材及び第二部材に対する眼鏡の位置ずれが抑制される。凹部の内側に固定されたフロントが第二空間を独立させることにより、眼鏡の前側の第二空間に冷たい空気が入り込むことを抑制できるので、眼鏡のレンズにおける曇りの発生を抑制できる。
【0010】
(2)上記(1)において、第一部材及び第二部材のうち少なくとも一方は、第一部材及び第二部材を互いに接続する接続部を有してもよい。接続部を介して互いに接続された第一部材及び第二部材は、第一部材と第二部材との間にフロントを挟んで固定してもよい。この場合、互いに接続された第一部材と第二部材との間にフロントが挟まれて固定されるので、第一部材又は第二部材に取り付けられるための構成をフロントから省略できる。結果として、簡易な構成のフロントを有する眼鏡を着脱できるので、ゴーグル部品を取り外した状態で通常の眼鏡としても使用できるデザインの種々の眼鏡を着脱することができる。
【0011】
(3)上記(2)において、接続部は磁石であってもよい。この場合、第一部材及び第二部材が磁石の磁力によって互いに吸着されるので、使用者は、第一部材及び第二部材のそれぞれを容易に着脱できる。
【0012】
(4)上記(1)において、第一部材及び第二部材は一体に形成されていてもよい。この場合、第一部材及び第二部材を別々に眼鏡に取り付けなくてもよいので、着用者は、第一部材及び第二部材が一体に形成されたゴーグル部品を眼鏡に対して容易に着脱できる。
【0013】
(5)上記(1)~(4)において、第一部材は、フロントの一対のノーズパッドが取り付けられる取付部を有してもよい。一対のノーズパッドは、取付部を挟持した状態で取付部に取り付けられてもよい。この場合、一対のノーズパッドが取付部を挟持することにより、第一部材に対する眼鏡の固定をより強固にすることができる。
【0014】
(6)上記(1)~(5)において、フードは、着用者に押し当てられる軟質素材を含んでもよい。この場合、軟質素材が着用者に押し当てられて柔軟に変形するので、着用者に対するフィット感が向上する。また、軟質素材は着用者の前後方向に沿って柔軟に変形するので、着用者はフードを押し当てた状態で眼鏡と着用者との間隔を容易に調整できる。
【0015】
(7)上記(1)~(6)において、フードは、第一空間に連通する複数の通気孔を有してもよい。この場合、第一空間に外気が通気するので、フードの内側と外側との間の温度差が低減する。結果として、曇りの発生をより確実に抑制できる。
【0016】
本開示に係る別のゴーグル部品は、(8)眼鏡に着脱可能に取り付けられるゴーグル部品である。ゴーグル部品は、眼鏡を着用する着用者の目の周囲を覆うフードを有し眼鏡のフロントと着用者との間に第一空間を画成する第一部材と、着用者とは反対側からフロントを覆いフロントとの間に第二空間を画成する第二部材とを備える。第一部材及び第二部材のうち少なくとも一方は、着用者の前後方向からフロントを見たときにフロントのレンズを囲むように配置されている固定部を有する。固定部は、着用者と第二部材との間にフロントを固定する。固定部に固定されたフロントは、第二空間を第一空間から独立させる。
【0017】
上述のように、このゴーグル部品では、眼鏡の外側にゴーグルを着用しなくてもよいので、ゴーグルの着用時における煩わしさが解消され得る。第一部材及び第二部材のうち少なくとも一方は、フロントを固定する固定部を有している。フロントは、前後方向から見たときにフロントのレンズを囲むように配置されている固定部によって第一部材又は第二部材に固定される。固定部によって固定されたフロントは、フロントの前方に位置する第二空間をフロントの後方に位置する第一空間から独立させる。前後方向から見たときにフロントのレンズを囲むように配置される固定部に固定されたフロントが第二空間を独立させることにより、眼鏡の前側の第二空間に冷たい空気が入り込むことを抑制できる。したがって、眼鏡のレンズにおける曇りの発生を抑制できる。
【0018】
本開示に係るゴーグルは、(9)フロントを有する眼鏡と、眼鏡を着用する着用者の目の周囲を覆うフードを有しフロントと着用者との間に第一空間を画成する第一部材と、着用者とは反対側からフロントを覆いフロントとの間に第二空間を画成する第二部材とを備える。第一部材及び第二部材のうち少なくとも一方は、着用者の前後方向に沿ってフロントに対向する底面と、前後方向と直交する方向に沿ってフロントの縁に対向する内壁とを含む凹部を有する。フロントは、凹部に固定されると共に、第二空間を第一空間から独立させる。
【0019】
上述のように、このゴーグルでは、眼鏡のフロントが第一部材又は第二部材の凹部に固定されるので、前述したゴーグル部品と同様、ゴーグルの着用時における煩わしさが解消され得る。第一部材又は第二部材に対する眼鏡の位置ずれが抑制される。そして、凹部の内側に固定されたフロントが第二空間を独立させることにより、眼鏡の前側の第二空間に冷たい空気が入り込むことを抑制できるので、眼鏡のレンズにおける曇りの発生を抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、着用時における煩わしさを解消すると共に、曇りの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係るゴーグルを示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係るゴーグルを示す分解斜視図である。
図3】第1実施形態に係るゴーグルの第一部材を示す斜視図である。
図4】第1実施形態に係るゴーグルの第一部材を示す正面図である。
図5】第1実施形態に係るゴーグルの第二部材を示す斜視図である。
図6】第1実施形態に係るゴーグルの第二部材を示す背面図である。
図7】第1実施形態に係るゴーグルの断面構成を模式的に示す図である。
図8】第2実施形態に係るゴーグルの断面構成を模式的に示す図である。
図9】第3実施形態に係るゴーグルの断面構成を模式的に示す図である。
図10】第1変形例に係るゴーグルを示す分解斜視図である。
図11図11の(A)は、第2変形例に係るゴーグルの構成を示す分解斜視図である。図11の(B)は、第2変形例に係るゴーグルの断面構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るゴーグル及びゴーグル部品の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0023】
本開示において、「ゴーグル」とは、着用者の目を保護する器具を示している。「ゴーグル」は、例えば、風、水、粉塵又は紫外線を含む光線から着用者の目を保護する。「ゴーグル」は、スキーゴーグル、モータースポーツ用ゴーグル、及び作業用の安全ゴーグルを含んでいる。本開示において、「眼鏡」とは、装着者の目を覆うように装着される器具を示している。「眼鏡」は、近視、遠視又は乱視等の視力を矯正する眼鏡、及び目の周辺を装飾するサングラスを含んでいる。
【0024】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るゴーグル1を示す斜視図である。図1に示されるように、ゴーグル1は、第一部材10及び第二部材20を有するゴーグル部品2と、眼鏡30とを備える。ゴーグル1の着用者は、ゴーグル1を構成している眼鏡30を着用する。第一部材10は眼鏡30の着用者側に取り付けられ、第二部材20は眼鏡30の着用者とは反対側に取り付けられる。
【0025】
以下では、着用者から見たときの前後方向を方向D1と称することがある。眼鏡30にゴーグル部品2が取り付けられることで、ゴーグル1が組み立てられる。本実施形態では、ゴーグル1がスキーゴーグルである例について説明する。以下では、方向D1において、着用者側を「後」、「後側」又は「後方」と称することがあり、着用者とは反対側を「前」、「前側」又は「前方」と称することがある。
【0026】
図2は、第1実施形態に係るゴーグル1を示す分解斜視図である。図1及び図2に示されるように、眼鏡30は、着用者の左右方向に沿って延びるフロント31と、フロント31の両側のそれぞれに設けられる一対の蝶番32と、一対の蝶番32から後方に延び出す一対のテンプル33とを備える。以下では、着用者から見たときの左右方向を方向D2と称することがある。方向D2と方向D1とは互いに直交する。例えば、眼鏡30は視力矯正用の眼鏡である。
【0027】
フロント31は、一対のレンズ34cを有する。レンズ34cは、例えば、プラスチックレンズであるが、ガラスレンズであってもよい。レンズ34cは、球面状を呈していてもよいし、非球面状を呈していてもよい。レンズ34cは、視力を矯正する度付きのレンズであってもよいし、コントラストレンズ、又は偏光レンズであってもよい。レンズ34cは、調光機能及び偏光機能を有しないレンズであってもよいし、度無しレンズであってもよい。本実施形態では、眼鏡30は視力矯正用の眼鏡であるので、各レンズ34cは視力を矯正する度付きのレンズである。
【0028】
フロント31は、レンズ34cを固定する一対のリム34と、一対のリム34を互いに連結するブリッジ34dと、ブリッジ34dの下方に位置する一対のノーズパッド34eと、リム34及び蝶番32を互いに連結する一対のヨロイ34gとを備える。ヨロイ34gは、智(ち)とも称される。例えば、リム34、ブリッジ34d、ノーズパッド34e、及びヨロイ34gは、樹脂によって一体成型されている。しかしながら、リム34、ブリッジ34d、ノーズパッド34e、及びヨロイ34gの少なくともいずれかは、独立した部品が組み合わされて構成されてもよい。
【0029】
リム34は、例えば、レンズ34cの全周を囲むフルリムであるが、ハーフリム又はアンダーリムであってもよい。眼鏡がツーポイント等のリムレス眼鏡である場合には、各リム34は、省略されてもよい。リム34の内周面には溝(不図示)が形成されており、この溝にレンズ34cが嵌め込まれている。例えば、リム34は、ブリッジ34dからレンズ34cの上側を通ってヨロイ34gまで延在している上縁部34aと、ブリッジ34dからレンズ34cの下側を通ってヨロイ34gまで延在している下縁部34bとを有する。
【0030】
ブリッジ34dは、眼鏡30の方向D2での中央に位置する。ブリッジ34dは、一対の上縁部34aの間において下方に窪む凹部を形成する。以下では、着用者から見たときの上下方向を方向D3と称することがある。方向D3は、例えば、方向D1及び方向D2の双方に直交する。
【0031】
一対のノーズパッド34eは、着用者の鼻に接触するパッドである。眼鏡30は、一対のノーズパッド34eが着用者の鼻を挟むように着用される。各ノーズパッド34eは、例えば、下縁部34bから後方に延びている。ノーズパッド34eとブリッジ34dとの間には、方向D2に沿うように窪む一対の凹部34fが形成されている。なお、各ノーズパッド34eの形状、大きさ及び材料は適宜変更可能である。
【0032】
一対のテンプル33は、眼鏡30の着用者のこめかみ及び耳に対向する一対の線状の部分を示しており、つる又はアームとも称される。眼鏡30は、一対のテンプル33が着用者の頭部を挟むように着用される。蝶番32は、フロント31とテンプル33とを互いに連結している。テンプル33は、蝶番32において方向D3に沿って延びる回転軸を中心に、フロント31の後部に向かって折り畳み可能とされている。
【0033】
本実施形態において、テンプル33は、蝶番32を介してフロント31に固定されている。しかしながら、テンプル33は、フロント31に対して着脱可能とされていてもよいし、フロント31と一体とされていてもよい。テンプル33のフロント31から離隔した部分が、着用者の頭部に沿うように湾曲していてもよい。
【0034】
図3は、第1実施形態に係るゴーグル1の第一部材10を示す斜視図である。図3に示されるように、第一部材10は、着用者の前方に位置するフレーム11と、着用者の目の周囲を覆うフード12とを有する。第一部材10は、柔軟性を有する素材によって構成されていてもよい。第一部材10は、例えば、TPU樹脂(熱可塑性ポリウレタン樹脂)によって構成されている。
【0035】
フレーム11は、例えば、着用者の目の前方に位置する一対の開口部11bと、一対の開口部11bを形成する一対のサブフレーム11aと、一対のサブフレーム11aを互いに連結する連結部11cとを有する。開口部11bは、着用者の前方の視界を確保するために形成されている。サブフレーム11aは、開口部11bを中心とする環状を呈する。方向D1から見たときに、サブフレーム11aは、眼鏡30のリム34と重なるように配置される。
【0036】
図4は、第1実施形態に係るゴーグル1の第一部材10を示す正面図である。図3及び図4に示されるように、サブフレーム11aは、例えば、開口部11bの上方に位置する上部11yと、開口部11bの下方に位置する下部11zとを含む。方向D1から見たときに、連結部11cは、眼鏡30のブリッジ34dと重なるように配置される。本実施形態では、一対のサブフレーム11a、連結部11c、及びフード12は、樹脂によって一体成型されている。しかしながら、一対のサブフレーム11a、連結部11c、及びフード12の少なくともいずれかは、独立した部品が組み合わされて構成されてもよい。
【0037】
フレーム11は、フロント31が固定される凹部11dを有する。凹部11dは、底面11k及び内壁11mを含む。底面11kは、方向D1に沿ってフロント31に対向する。内壁11mは、方向D1と直交する方向に沿ってフロント31の縁に対向する。方向D1(前後方向)と直交する方向とは、方向D2(左右方向)と、方向D3(上下方向)と、方向D2及び方向D3の双方に傾斜する方向とを含んでいる。
【0038】
開口部11bは、底面11kに形成されている。凹部11dに開口部11bの縁が形成されている。内壁11mは、例えば、方向D1と直交する方向からフロント31の縁を囲む。本実施形態では、フロント31は、凹部11dに入り込んだ状態で凹部11dに固定される。眼鏡30が第一部材10に取り付けられるときに、フロント31は一対の開口部11bを塞ぐように配置される。
【0039】
凹部11dは、例えば、上縁11e、下縁11f、溝11g、曲げ縁11h、及び開口11jを有する。上縁11e、下縁11f、溝11g、曲げ縁11h、及び開口11jのそれぞれは、前述した底面11k及び内壁11mを有する。上縁11eの底面11kは方向D1に沿ってリム34の上縁部34aに対向し、上縁11eの内壁11mは方向D1と直交する方向に沿って上縁部34aに対向する。下縁11fの底面11kは方向D1に沿ってリム34の下縁部34bに対向し、下縁11fの内壁11mは方向D1と直交する方向に沿って下縁部34bに対向する。溝11gの底面11kは方向D1に沿ってブリッジ34dに対向し、溝11gの内壁11mは方向D1と直交する方向に沿ってブリッジ34dに対向する。
【0040】
曲げ縁11hの底面11kは方向D1に沿ってノーズパッド34eに対向し、曲げ縁11hの内壁11mは方向D1と直交する方向に沿ってノーズパッド34eに対向する。開口11jの底面11kは方向D1に沿ってヨロイ34gに対向し、開口11jの内壁11mは方向D1と直交する方向に沿ってヨロイ34gに対向する。上縁11e、下縁11f、溝11g、曲げ縁11h、及び開口11jのそれぞれは、リム34の上縁部34a、下縁部34b、ブリッジ34d、ノーズパッド34e、及びヨロイ34gに倣った形状とされている。図1及び図2に示されるように、第一部材10に眼鏡30のフロント31が取り付けられるときには、凹部11dはフロント31を囲むように配置される。
【0041】
図3に示されるように、フレーム11は、例えば、フレーム11の側面を構成する外縁11tと、凹部11d及び外縁11tの間に位置する段部11pとを有する。段部11pは、凹部11dを囲むように形成されている。段部11pの開口部11b側には、凹部11dの内壁11mが形成されている。外縁11tは、段部11pを囲むと共に、段部11pから前方に突出する。段部11pは、例えば、凹部11dの上方に位置する一対の第一段部11qと、凹部11dの下方に位置する一対の第二段部11rと、溝11gの上下に位置する一対の湾曲部11sとを有する。第一段部11qと第二段部11rとは、方向D3に沿って互いに対向している。
【0042】
図4に示されるように、第一段部11qは、上縁11eに沿って線状に延在している。第二段部11rは、下縁11fに沿って曲線状に延在している。湾曲部11sは、溝11gに沿って線状に延在している。一対の湾曲部11sのうち上の湾曲部11sは、一対の第一段部11qを互いに連結している。一対の湾曲部11sのうち下の湾曲部11sは、一対の第二段部11rを互いに連結している。
【0043】
外縁11tは、方向D1と直交する方向を向くフレーム11の側面を構成している。外縁11tは、例えば、一対の第一段部11qの上方に位置する一対の第一外縁11vと、一対の第二段部11rの下方に位置する一対の第二外縁11wと、湾曲部11sの上下に位置する一対の湾曲部11xとを含んでいる。第一外縁11vと第二外縁11wとは、方向D3に沿って互いに対向している。
【0044】
第一外縁11vは、第一段部11qに沿って延在している。第二外縁11wは、第二段部11rに沿って延在している。湾曲部11xは、湾曲部11sに沿って延在している。一対の湾曲部11xのうち上の湾曲部11xは、一対の第一外縁11vを互いに連結している。一対の湾曲部11xのうち下の湾曲部11xは、一対の第二外縁11wを互いに連結している。
【0045】
開口11jは、フレーム11の側面の一部を切り欠くように方向D2に開口している。開口11jは、方向D2における第一段部11qの端と方向D2における第二段部11rの端との間に位置する。図1及び図2に示されるように、眼鏡30に第一部材10が取り付けられるときには、開口11jからヨロイ34gが突出する。
【0046】
図3及び図4に示されるように、本実施形態では、フレーム11は、複数の磁石13を有する。磁石13は、第一部材10及び第二部材20を互いに接続する接続部である。磁石13は、前方を向く段部11pの底面に埋め込まれていてもよい。例えば、複数の磁石13は、磁石13a,13b,13c,13d,13eから構成されている。
【0047】
磁石13aは、溝11gの下方に設けられている。磁石13aは、例えば、下の湾曲部11sに設けられている。磁石13aは、方向D2におけるフレーム11の中央に配置されている。磁石13b,13dは、第二段部11rに設けられている。磁石13bは、第二段部11rの下部に配置されている。磁石13dは、第二段部11rにおける方向D2の端寄りの位置に配置されている。磁石13c,13eは、第一段部11qに設けられている。磁石13cは、第一段部11qにおける方向D2の中央寄りの位置に配置されている。磁石13eは、第一段部11qにおける方向D2の端寄りの位置に配置されている。方向D1からフレーム11を見たときに、複数の磁石13(磁石13a,13b,13c,13d,13e)は、凹部11dを囲むように配置されている。
【0048】
本実施形態では、フレーム11は、一対のノーズパッド34e(図2参照)が取り付けられる取付部14を有する。取付部14は、フレーム11の段部11pから後方に延在する。取付部14は、方向D2におけるフレーム11の端側を向いている内壁11mに形成されている。取付部14は、例えば、曲げ縁11hの内壁11mに形成されている。一対のノーズパッド34eは、方向D2の両側から取付部14を挟持した状態で取付部14に取り付けられる。取付部14は、方向D2において突出する一対の突出部14cを含んでいてもよい。例えば、一対のノーズパッド34eの一対の凹部34fに一対の突出部14cが嵌合する。
【0049】
フード12は、フレーム11の外縁11tから後方(着用者側)に向かって突出する。方向D3から見たときに、フード12は、例えば、方向D2の両端に向かうにしたがって後方に突出するように湾曲している。すなわち、フード12は、着用者の頭部の形状に沿うように湾曲している。フード12は、フレーム11と着用者の目の周囲との間において環状に延在している。フード12は、例えば、方向D1と交差する方向からの風、水、粉塵、又は紫外線を含む光線の侵入を防ぐ。
【0050】
本実施形態では、フード12は、第一部材10の内部空間である第一空間10sに連通する複数の通気孔12aを有する。複数の通気孔12aは、例えば、フード12の方向D2側を向く側面からフード12の方向D3側を向く上下面まで延びる範囲に点状に形成されている。このように、フード12の方向D2側を向く側面、及びフード12の方向D3側を向く側面に複数の通気孔12aが点状に形成されている場合、第一空間10sへの通気性を良好にできる。よって、ゴーグル1の外部と第一空間10sとの温度差を低減できる。
【0051】
フード12は、例えば、フード12の着用者側の端から方向D1と交差する方向に突出する鍔12bを有する。鍔12bは、着用者の目の周囲に沿うように延在している。本実施形態では、フード12は、着用者に押し当てられる軟質素材12cを含む。一例として、軟質素材12cは、スポンジである。軟質素材12cは、例えば、鍔12bの着用者の側を向く面に設けられている。
【0052】
図5は、第1実施形態に係るゴーグル1の第二部材20を示す斜視図である。図6は、第二部材20を示す背面図である。図7は、第1実施形態に係るゴーグル1の断面構成を模式的に示す図である。本実施形態では、第二部材20の形状は、フロント31の形状に相似している。第二部材20は、一対のレンズ部20gと、レンズ部20gを固定する一対のリム部21と、一対のリム部21を互いに連結しているブリッジ部24とを備える。第二部材20のレンズ部20g以外の部分は、第一部材10と同様に、柔軟性を有する素材によって構成されていてもよい。第二部材20のレンズ部20g以外の部分は、例えば、TPU樹脂によって構成される。
【0053】
第二部材20は、前側(図7では左側)からフロント31を覆い、フロント31との間に第二空間20sを画成する。なお、第二部材20は、ブリッジ部24を備えなくてもよい。この場合、一方のリム部21及び一方のレンズ部20gと、他方のリム部21及び他方のレンズ部20gとが、別々にフロント31を覆い、フロント31との間に一対の第二空間20sのそれぞれを画成する。
【0054】
一対のレンズ部20gは、ゴーグル1のレンズである。レンズ部20gは、例えば、プラスチックレンズであるが、ガラスレンズであってもよい。前述したように、ゴーグル1はスキーゴーグルである。よって、レンズ部20gは、偏光レンズ、遮光レンズ、又は調光レンズである。しかしながら、レンズ部20gは、偏光機能、遮光機能及び調光機能を有しないレンズであってもよい。
【0055】
リム部21は、例えば、レンズ部20gの全周を囲むフルリムであるが、ハーフリム又はアンダーリムであってもよい。リム部21は省略されてもよい。リム部21の内周面には溝(不図示)が形成されており、この溝にレンズ部20gが嵌め込まれている。
【0056】
一例として、第二部材20は、レンズ部20gから後方に向かって突出する凸部21aと、第二部材20の縁を構成している鍔部21eと、レンズ部20gの配置領域を構成する凹部25とを有している。眼鏡30に第二部材20が取り付けられるときには、凹部25に後方からフロント31が入り込んだ状態でフロント31が固定される。後方から第二部材20に取り付けられたフロント31を見たときに、凸部21aがフロント31を囲むように配置されている。
【0057】
凹部25は、例えば、各レンズ部20gを構成する一対の第一凹部25aと、第一凹部25aから第二部材20の方向D2の端に向かって開口する第二凹部25bと、一対の第一凹部25aを互いに連結する第三凹部25cとを含んでもよい。図2図6及び図7に示されるように、眼鏡30に第二部材20が取り付けられるときには、第一凹部25aにリム34が入り込む。このとき、第二凹部25bにはヨロイ34gが入り込み、第三凹部25cにはブリッジ34dが入り込む。そして、第二凹部25bからはヨロイ34gが突出する。
【0058】
凸部21aは、例えば、凹部25の上方に位置する一対の第一凸部21bと、凹部25の下方に位置する一対の第二凸部21cと、第三凹部25cの上下に位置する一対の湾曲部21dとを含む。第一凸部21bと第二凸部21cとは、方向D3に沿って互いに対向している。第一凸部21bは、凹部25の外縁に沿って線状に延在している。第二凸部21cは、凹部25の外縁に沿って曲線状に延在している。一対の湾曲部21dのうち上の湾曲部21dは、一対の第一凸部21bを互いに連結している。一対の湾曲部21dのうち下の湾曲部21dは、一対の第二凸部21cを互いに連結している。
【0059】
鍔部21eは、例えば、第一凸部21bの上方に位置する一対の第一鍔部21hと、第二凸部21cの下方に位置する一対の第二鍔部21gと、湾曲部21dの上下に位置する一対の湾曲部21fとを含んでいる。第一鍔部21h及び第二鍔部21gのそれぞれは、凸部21aに沿って曲線状に延在している。一対の湾曲部21fのうち上の湾曲部21fは、一対の第一鍔部21hを互いに連結している。一対の湾曲部21fのうち下の湾曲部21fは、一対の第二鍔部21gを互いに連結している。
【0060】
本実施形態では、第二部材20は、複数の磁石15を有する。磁石15は、第一部材10の磁石13に吸着して接合する。磁石15は、第一部材10及び第二部材20を互いに接続する接続部である。磁石15は、後方を向く凸部21aに埋め込まれていてもよい。例えば、複数の磁石15は、磁石15a,15b,15c,15d,15eから構成されている。
【0061】
磁石15aは、第三凹部25cの下方に設けられている。磁石15aは、例えば、下の湾曲部21dに設けられている。磁石15aは、第一部材10の磁石13aに吸着する。磁石15b,15dは、第二凸部21cに設けられている。磁石15b,15dのそれぞれは、第一部材10の磁石13b,13dのそれぞれに吸着する。磁石15c,15eは、第一凸部21bに設けられている。磁石15c,15eのそれぞれは、第一部材10の磁石13c,13eのそれぞれに吸着する。方向D1から第二部材20を見たときに、複数の磁石15(磁石15a,15b,15c,15d,15e)は、凹部25を囲むように配置されている。
【0062】
眼鏡30に第一部材10及び第二部材20の双方が取り付けられるときには、一例として、凸部21aと段部11pとが方向D1に沿って互いに対向する。凸部21aに設けられた磁石15と段部11pに設けられた磁石13との間の磁力によって、第一部材10及び第二部材20が互いに接続される。本実施形態では、磁石13,15を介して互いに接続された第一部材10及び第二部材20が、第一部材10と第二部材20との間にフロント31を挟んで固定する。
【0063】
上記では、第一部材10の磁石13、及び第二部材20の磁石15が互いに吸着する例について説明した。しかしながら、第一部材10の磁石13、及び第二部材20の磁石15のいずれかに代えて、金属が配置されていてもよい。この場合、当該金属と、磁石13及び磁石15のいずれかとが互いに吸着するので、上記の例と同様の効果が得られる。上記では、接続部が磁石13,15である例について説明した。しかしながら、この接続部は、磁石以外のものであってもよい。接続部は、互いに嵌合する凹部及び凸部から構成されていてもよい。接続部は、一対の面ファスナーから構成されていてもよい。
【0064】
フロント31は、第一部材10の凹部11dに固定される。本実施形態では、フロント31は、第一部材10の凹部11dと第二部材20の凹部25との間に固定される。このとき、フロント31は、第一部材10と第二部材20との間に収容された状態となる。すなわち、フロント31は、開口11j及び第二凹部25b(図1参照)から突出するヨロイ34gを除いて、第一部材10及び第二部材20の間で隠れた状態となっており、例えば、ゴーグル1の外部から視認不能とされている。凹部11dと凹部25との間に固定されたフロント31は、第二空間20sを第一空間10sから独立させる。例えば、第二空間20sはフロント31によって密閉される。これにより、ゴーグル1の外部から第二空間20sへの気体の侵入が抑制される。開口部11b、レンズ34c及びレンズ部20gは、方向D1から見て重なるように並んでいる。
【0065】
[第1実施形態の作用効果]
次に、ゴーグル1及びゴーグル部品2から得られる作用効果について詳細に説明する。図1図2及び図7に示されるように、ゴーグル1及びゴーグル部品2では、着用者の目の周囲を覆うフード12を有する第一部材10と、着用者とは反対側からフロント31を覆う第二部材20とが眼鏡30のフロント31に着脱可能に取り付けられる。眼鏡30に取り付けられたゴーグル部品2は、ゴーグルとして機能するので、眼鏡30の外側に装着されるゴーグルが不要である。したがって、眼鏡30の外側に着用されたゴーグルによってノーズパッド34e及びテンプル33が押し付けられる煩わしさは生じない。また、第一部材10及び第二部材20のうち少なくとも一方を調整することによって眼鏡30のずれを調整できるので、着用者はゴーグル1を外さずに眼鏡30のずれを容易に調整できる。結果として、ゴーグルの着用時における煩わしさが解消され得る。
【0066】
第一部材10は、フロント31と着用者との間に第一空間10sを画成する。方向D1において、第一空間10sは、フロント31の後方に位置する。第二部材20は、前方からフロント31を覆い、フロント31との間に第二空間20sを画成する。第二空間20sは、フロント31の前方に位置する。第一空間10sと第二空間20sとは、方向D1においてフロント31を挟んで互いに隣り合う。第一部材10は、フロント31が固定される凹部11dを有している。フロント31は、凹部11dの底面11kと方向D1に沿って対向すると共に、凹部11dの内壁11mと方向D1と直交する方向に沿って対向するように、凹部11dの内側に固定される。凹部11dの内側に固定されたフロント31は、フロント31の前方に位置する第二空間20sをフロント31の後方に位置する第一空間10sから独立させる。第一部材10の凹部11dの内側にフロント31が固定されていることにより、第一部材10に対する眼鏡30の位置ずれを抑制できる。凹部11dの内側に固定されたフロント31が第二空間20sを独立させることにより、眼鏡30の前側の第二空間20sに冷たい空気が入り込むことを抑制できるので、眼鏡30のレンズ34cにおける曇りの発生を抑制できる。
【0067】
本実施形態において、第二部材20は、フロント31が固定される凹部25を有している。第二部材20の凹部25の内側にフロント31が固定されていることにより、第二部材20に対する眼鏡30の位置ずれを抑制できる。本実施形態では、第一部材10の凹部11dと第二部材20の凹部25との間にフロント31が挟み込まれた状態でフロント31が固定される。したがって、第一部材10及び第二部材20の間においてフロント31が強固に挟み込まれた状態となるので、眼鏡30の位置ずれをより確実に抑制できる。
【0068】
本実施形態において、第一部材10及び第二部材20は、第一部材10及び第二部材20を互いに接続する接続部(例えば前述した磁石13,15)を有している。接続部を介して互いに接続された第一部材10及び第二部材20は、第一部材10と第二部材20との間にフロント31を挟んで固定する。互いに接続された第一部材10と第二部材20との間にフロント31が挟まれて固定されるので、第一部材10又は第二部材20に取り付けられるための構成をフロント31から省略できる。結果として、簡易な構成のフロントを有する眼鏡を着脱できるので、前述した眼鏡30だけでなく、種々の眼鏡を着脱することができる。
【0069】
本実施形態において、接続部は磁石13,15である。第一部材10及び第二部材20が磁石13,15の磁力によって互いに吸着されるので、使用者は、第一部材10及び第二部材20のそれぞれを容易に着脱できる。
【0070】
図2図4に示されるように、第一部材10は、フロント31の一対のノーズパッド34eが取り付けられる取付部14を有している。一対のノーズパッド34eは、取付部14を挟持した状態で取付部14に取り付けられる。一対のノーズパッド34eが取付部14を挟持することにより、第一部材10に対する眼鏡30の固定をより強固にすることができる。
【0071】
フード12は、着用者に押し当てられる軟質素材12cを含んでいる。軟質素材12cが着用者に押し当てられて柔軟に変形するので、着用者に対するフィット感が向上する。また、軟質素材12cは方向D1に沿って柔軟に変形するので、着用者はフード12を押し当てた状態で眼鏡30と着用者との間隔を容易に調整できる。
【0072】
フード12は、第一空間10sに連通する複数の通気孔12aを有している。第一空間10sに外気が通気するので、フード12の内側と外側との間の温度差が減少する。結果として、曇りの発生をより確実に抑制できる。
【0073】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態に係るゴーグル1Aの断面構成を模式的に示す図である。ゴーグル1Aの構成の一部は、ゴーグル1の構成の一部と同一である。したがって、以降の説明では、ゴーグル1の説明と重複する説明を適宜省略する。
【0074】
ゴーグル1Aでは、第一部材10及び第二部材20は一体に形成されている。第一部材10及び第二部材20は、例えば、一つの部材40を構成する。部材40は、ゴーグル部品2Aである。部材40は、眼鏡30Aを囲むように取り付けられる。ゴーグル1Aにおいて、第一部材10及び第二部材20の少なくとも一方は、フロント31が固定される凹部41を有する。本実施形態では、部材40が凹部41を有する。凹部41は、前方に向かって窪んでいる。凹部41は、フード12の内側に位置する。凹部41は、方向D1に沿ってフロント31の前面に対向する底面41aと、方向D1と直交する方向に沿ってフロント31の縁に対向する内壁41bとを含む。底面41aは、着用者の側(後方)に向けられる面である。内壁41bは、フード12の内壁の一部であってもよい。
【0075】
部材40にフロント31を固定する固定部は、例えば、底面41a及び内壁41bの少なくともいずれか、及び、フロント31のそれぞれに設けられた磁石(不図示)であってもよい。この場合、底面41a及び内壁41bの少なくともいずれかに設けられた磁石にフロント31に設けられた磁石が吸着することにより、部材40にフロント31が固定される。また、当該固定部は、底面41a又は内壁41bに形成された凹部及び凸部の一方と、フロント31に形成された凹部及び凸部の他方であってもよい。この場合、当該凹部に当該凸部が嵌合することによって、部材40にフロント31が固定される。凹部41に固定されたフロント31は、第1実施形態と同様、第二空間20sを第一空間10sから独立させる。
【0076】
[第2実施形態の作用効果]
ゴーグル1A及びゴーグル部品2Aでは、第一部材10及び第二部材20を別々に眼鏡30Aに取り付けなくてもよい。着用者は、第一部材10及び第二部材20が一体に形成されたゴーグル部品2Aを眼鏡30Aに対して容易に着脱できる。
【0077】
[第3実施形態]
図9は、第3実施形態に係るゴーグル1Bの断面構成を模式的に示す図である。ゴーグル1Bは、眼鏡30B、第一部材10B及び第二部材20Bを備える。第一部材10B及び第二部材20Bは、ゴーグル部品2Bを構成する。第一部材10B及び第二部材20Bは、眼鏡30Bのフロント31が固定される凹部を有さない。第一部材10B及び第二部材20Bの少なくとも一方は、着用者と第二部材20Bとの間にフロント31を固定する固定部を有する。この固定部は、例えば、眼鏡30B、第一部材10B及び第二部材20Bのそれぞれに設けられた複数の磁石から構成される。本実施形態では、フロント31は、第一部材10Bと第二部材20Bとの間に固定される。フロント31のリム34における方向D1に交差する面がゴーグル1Bの外方に露出している。
【0078】
方向D1からフロント31を見たときに、前述した複数の磁石(固定部)は、フロント31のレンズ34cを囲むように配置されている。一例として、方向D1からフロント31を見たときに、前述した複数の磁石は、磁石13,15と同様に、ブリッジ34d、上縁部34a、下縁部34b、及びヨロイ34gのそれぞれに対向する位置に配置されている。「複数の磁石(固定部)がフロントのレンズを囲むように配置される」とは、例えば、複数の磁石のうち三つ以上の磁石を結ぶ線分に囲まれた仮想平面が、方向D1からフロント31を見たときにフロント31のレンズ34cと重なるように配置されることを示している。
【0079】
上記では、固定部が眼鏡30B、第一部材10B及び第二部材20Bのそれぞれに設けられた磁石である例について説明した。しかしながら、第1実施形態の磁石13,15と同様に、磁石のいずれかに代えて、金属が配置されていてもよい。
【0080】
[第3実施形態の作用効果]
ゴーグル1B及びゴーグル部品2Bでは、第一部材10B及び第二部材20Bは、眼鏡30Bのフロント31を固定する固定部を有している。フロント31は、方向D1からフロント31を見たときにフロント31のレンズ34cを囲むように配置されている固定部によって、第一部材10B及び第二部材20Bに固定される。固定部に固定されたフロント31は、フロント31の前方に位置する第二空間20sをフロント31の後方に位置する第一空間10sから独立させる。方向D1から見たときにフロント31のレンズ34cを囲むように配置される固定部に固定されたフロント31が第二空間20sを独立させることにより、眼鏡30Bの前側の第二空間20sに冷たい空気が入り込むことを抑制できる。したがって、眼鏡30Bのレンズ34cにおける曇りの発生を抑制できる。
【0081】
以上、本開示に係るゴーグル及びゴーグル部品の種々の実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、ゴーグル及びゴーグル部品の各部の構成、機能、形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、上記の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0082】
図10は、第1変形例に係るゴーグル1Cを示す分解斜視図である。ゴーグル1Cは、眼鏡30C、第一部材10C及び第二部材20Cを備える。第二部材20Cは、一つのレンズ部22を固定する一対のリム部26、及び一対のリム部26を互いに連結しているブリッジ部27を備える。レンズ部22は、偏光レンズ、遮光レンズ、又は調光レンズである。レンズ部22は、第二部材20Cの前面を構成している。レンズ部22は、眼鏡30Cの一対のリム34を覆う一対の部分22aと、ブリッジ34dを覆う部分22cとを含む。部分22cは、一対の部分22aに対して上方に向かって窪む凹みを有する。一対のリム部26は、レンズ部22を後側から固定している。
【0083】
図11の(A)は、第2変形例に係るゴーグル1Dの構成を示す分解斜視図である。図11の(A)では、眼鏡30Dのテンプル33の図示は省略されている。図11の(B)は、第2変形例に係るゴーグル1Dの断面構成を模式的に示す図である。ゴーグル1Dは、眼鏡30D、第一部材10D及び第二部材20Dを備える。第二部材20Dは、眼鏡30Dのブリッジ34dに引っ掛けられる爪部28を有している。第一部材10Dは、ブリッジ34dに引っ掛けられた爪部28が入り込む凹部16を有している。爪部28は、ブリッジ34dに引っ掛けられることによってブリッジ34dを保持する。これにより、眼鏡30Dに第二部材20Dが結合される。
【0084】
爪部28は、鉤状を呈している。図11の(B)に示されるように、爪部28は、後方に向かって突出する第一突出部28aと、第一突出部28aの後端から下方に向かって突出する第二突出部28bとを含んでいる。第一突出部28aは、例えば、一対の湾曲部21dのうち上側に位置する湾曲部21dから後方に向かって突出する。爪部28は、第二突出部28bがブリッジ34dの後部に位置し、かつ、第一突出部28aがブリッジ34dの上部に位置するように、ブリッジ34dに引っ掛けられる。爪部28は、柔軟性を有する素材(例えばTPU樹脂)によって構成されていてもよい。爪部28が柔軟性を有する素材によって構成されている場合、爪部28は、ブリッジ34dに引っ掛けられるときに弾性変形する。
【0085】
凹部16は、ブリッジ34dを保持する爪部28が入り込む部位である。例えば、凹部16には、ブリッジ34dを保持する爪部28が嵌合する。一例として、凹部16には、圧入によって、ブリッジ34dを保持する爪部28が嵌合してもよい。この場合、第一部材10Dに対する第二部材20D及び眼鏡30Dの結合をより強固に行える。凹部16は、第一部材10Dの前面に形成されている。凹部16は、一対の湾曲部11sのうち上側に位置する湾曲部11sと溝11gに形成されている。凹部16は、当該上側に位置する湾曲部11sと溝11gの上部において窪んでいる。凹部16に爪部28が入り込んだ状態では、凹部16の底面と第二突出部28bとが互いに対向する。
【0086】
ゴーグル1Dでは、第二部材20Dの爪部28が眼鏡30Dのブリッジ34dに引っ掛けられるので、第二部材20Dを眼鏡30Dから外れにくくすることができる。眼鏡30Dのブリッジ34dに引っ掛けられた爪部28は、第一部材10Dの凹部16に入り込む。よって、第二部材20D及び眼鏡30Dを第一部材10Dから動きにくくすることができる。結果として、眼鏡30D、第一部材10D及び第二部材20Dを、強固に固定できる。
【0087】
以下では、種々の更なる変形例について説明する。例えば、前述のゴーグル1及びゴーグル部品2では、第一部材10及び第二部材のそれぞれがフロント31を固定する凹部(凹部11d,25)を有していた。しかしながら、第一部材10及び第二部材20のいずれかのみが凹部を有していてもよい。この場合、第一部材10の凹部11d、及び第二部材20の凹部25のいずれかを省略可能である。
【0088】
例えば、前述のゴーグル1及びゴーグル部品2では、第一部材10及び第二部材20のそれぞれが磁石13,15(接続部)を有していた。しかしながら、第一部材10及び第二部材20のいずれかのみが接続部を有していてもよい。例えば、接続部は、第一部材10及び第二部材20のうちの一方が有する爪であってもよく、当該爪が第一部材10及び第二部材20のうちの他方に引っ掛かるものであってもよい。さらに、接続部は、第一部材10及び第二部材20を互いに固定するクリップであってもよい。このクリップは、第一部材10及び第二部材20のいずれかが有するものであってもよいし、第一部材10及び第二部材20とは別部材であってもよい。
【0089】
例えば、前述の第3実施形態では、第一部材10B及び第二部材20Bのそれぞれが複数の磁石(固定部)を有していた。しかしながら、固定部は、一つであってもよい。例えば、固定部は、フロント31が嵌合する一つの凹部から構成されていてもよい。例えば、固定部は、方向D1からフロント31を見たときに、フロント31を囲むように配置される一つの環状の磁石から構成されていてもよい。固定部は、二つであってもよい。例えば、複数の固定部は、第一固定部と、方向D1からフロント31を見たときに線状に延在している第二固定部とから構成されていてもよい。例えば、第一固定部と、線状に延在している第二固定部の両端とを結ぶ線分に囲まれた仮想平面が、方向D1からフロント31を見たときにフロント31のレンズ34cと重なるように配置されていてもよい。
【0090】
第一部材10及び第二部材20は、接続部を有さなくてもよい。この場合、眼鏡30が接続部を有することによって、眼鏡30に対する第一部材10及び第二部材20の接続が可能となる。更に、前述の実施形態では、フード12及び取付部14を有する第一部材10について説明した。しかしながら、フード12及び取付部14の少なくともいずれかを有しない第一部材であってもよい。このように、第一部材の構成は適宜変更可能である。第二部材についても同様である。
【0091】
ゴーグル及びゴーグル部品は、前述の実施形態及び変形例に限られず適宜変更可能である。本開示に係るゴーグル及びゴーグル部品は、前述した第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、及び変形例のうちの2つ以上が組み合わされたものであってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1,1A,1B,1C,1D…ゴーグル、2,2A,2B…ゴーグル部品、10,10B,10C,10D…第一部材、10s…第一空間、11…フレーム、11a…サブフレーム、11b…開口部、11c…連結部、11d…凹部、11e…上縁、11f…下縁、11g…溝、11h…曲げ縁、11j…開口、11k…底面、11m…内壁、11p…段部、11q…第一段部、11r…第二段部、11s…湾曲部、11t…外縁、11v…第一外縁、11w…第二外縁、11x…湾曲部、11y…上部、11z…下部、12…フード、12a…通気孔、12b…鍔、12c…軟質素材、13,13a,13b,13c,13d,13e…磁石、14…取付部、14c…突出部、15,15a,15b,15c,15d,15e…磁石、16…凹部、20,20B,20C,20D…第二部材、20g…レンズ部、20s…第二空間、21a…凸部、21b…第一凸部、21c…第二凸部、21d…湾曲部、21e…鍔部、21h…第一鍔部、21g…第二鍔部、21f…湾曲部、22…レンズ部、22a,22c…部分、21,26…リム部、24,27…ブリッジ部、25…凹部、25a…第一凹部、25b…第二凹部、25c…第三凹部、28…爪部、28a…第一突出部、28b…第二突出部、30,30B,30C,30D…眼鏡、31…フロント、32…蝶番、33…テンプル、34…リム、34a…上縁部、34b…下縁部、34c…レンズ、34d…ブリッジ、34e…ノーズパッド、34f…凹部、34g…ヨロイ、40…部材、41…凹部、41a…底面、41b…内壁、D1,D2,D3…方向。
図1
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