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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086390
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 13/00 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
B60C13/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201493
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 雄仁
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕二郎
(72)【発明者】
【氏名】星野 裕紀
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131AA06
3D131AA26
3D131AA39
3D131BB01
3D131BB03
3D131BB04
3D131BC55
3D131DA01
3D131GA01
3D131LA05
3D131LA20
3D131LA24
(57)【要約】
【課題】タイヤ周方向の位置を容易に特定可能な標識部を備えるタイヤを提供する。
【解決手段】本発明に係るタイヤは、サイド部の外面に設けられ、視覚を通じてタイヤの外部から視認可能な標識部を備え、前記標識部は、タイヤ周方向に離間して複数配置されており、前記タイヤ周方向の全域を複数の領域に区画する領域区画部、及び、前記複数の領域区画部により区画されている前記複数の領域それぞれを一意に識別可能にする領域識別部、又は、前記タイヤ周方向に離間して複数配置されており、前記タイヤ周方向の全域を、それぞれが一意に識別可能な複数の領域に区画している領域区画識別部、の少なくとも一方を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイド部の外面に設けられ、視覚を通じてタイヤの外部から視認可能な標識部を備え、
前記標識部は、
タイヤ周方向に離間して複数配置されており、前記タイヤ周方向の全域を複数の領域に区画する領域区画部、及び、前記複数の領域区画部により区画されている前記複数の領域それぞれを一意に識別可能にする領域識別部、又は、
前記タイヤ周方向に離間して複数配置されており、前記タイヤ周方向の全域を、それぞれが一意に識別可能な複数の領域に区画している領域区画識別部、
の少なくとも一方を備えるタイヤ。
【請求項2】
前記標識部は、前記複数の領域区画部及び前記領域識別部を備え、
前記複数の領域区画部それぞれは、前記タイヤ周方向よりタイヤ径方向に長い、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記複数の領域区画部それぞれは、前記タイヤ径方向において、前記タイヤの高さの1/3以上の長さを有する、請求項2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記複数の領域区画部それぞれは、前記サイド部の前記外面上で突出している、請求項2又は3に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記複数の領域区画部それぞれは、前記タイヤ周方向の周囲と異なる色相を備える、請求項2又は3に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記複数の領域区画部それぞれは、発光領域を備える、請求項2又は3に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記複数の領域区画部は、前記タイヤ周方向に等間隔で配置されている、請求項2又は3に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記複数の領域区画部それぞれは、タイヤ径方向に延在する線状の区画線部である、請求項2又は3に記載のタイヤ。
【請求項9】
前記領域識別部は、前記複数の領域区画部により区画されている前記複数の領域のうち、半数以下の領域のみに配置されている、請求項2又は3に記載のタイヤ。
【請求項10】
前記領域識別部は、前記サイド部の前記外面上で突出している、請求項2又は3に記載のタイヤ。
【請求項11】
前記標識部は、前記複数の領域区画識別部を備え、
前記複数の領域区画識別部は、相互に識別可能な異なる態様で、前記タイヤ周方向に等間隔で配置されている、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項12】
前記標識部は、前記複数の領域区画識別部を備え、
前記複数の領域区画識別部は、相互に識別不能な同じ態様で、前記タイヤ周方向に異なる間隔で配置されている、請求項1に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば建設機械用タイヤ、鉱山車両用タイヤなど、過酷な環境で使用される超重荷重用タイヤでは、岩、瓦礫等により、トレッド部やサイド部の一部に損傷が生じることがある。かかる場合に、損傷個所を補修したタイヤ(補修タイヤ)を継続して使用することがある。特許文献1には、この種の補修タイヤが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-168127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば補修タイヤの補修箇所の耐久性等を監視するため、補修タイヤの補修箇所の位置は容易に特定できることが好ましい。しかしながら、例えば補修箇所が泥によって覆われる場合等、外部から補修箇所を容易に特定できない場合がある。また、超重荷重用タイヤに限られず、その他の用途で使用されるタイヤであっても、例えばRFタグ等の通信装置の埋設位置の特定等のために、タイヤ周方向の位置を容易に特定できることが好ましい場合がある。
【0005】
本発明は、タイヤ周方向の位置を容易に特定可能な標識部を備えるタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様としてのタイヤは、
(1)
サイド部の外面に設けられ、視覚を通じてタイヤの外部から視認可能な標識部を備え、
前記標識部は、
タイヤ周方向に離間して複数配置されており、前記タイヤ周方向の全域を複数の領域に区画する領域区画部、及び、前記複数の領域区画部により区画されている前記複数の領域それぞれを一意に識別可能にする領域識別部、又は、
前記タイヤ周方向に離間して複数配置されており、前記タイヤ周方向の全域を、それぞれが一意に識別可能な複数の領域に区画している領域区画識別部、
の少なくとも一方を備えるタイヤ、である。
上記(1)の構成とすることで、タイヤ周方向の位置を容易に特定できる。
【0007】
本発明の1つの実施形態としてのタイヤは、
(2)
前記標識部は、前記複数の領域区画部及び前記領域識別部を備え、
前記複数の領域区画部それぞれは、前記タイヤ周方向よりタイヤ径方向に長い、上記(1)に記載のタイヤ、である。
上記(2)の構成とすることで、領域区画部の外部からの視認性を高めることができる。
【0008】
本発明の1つの実施形態としてのタイヤは、
(3)
前記複数の領域区画部それぞれは、前記タイヤ径方向において、前記タイヤの高さの1/3以上の長さを有する、上記(2)に記載のタイヤ、である。
上記(3)の構成とすることで、領域区画部の外部からの視認性を、より高めることができる。
【0009】
本発明の1つの実施形態としてのタイヤは、
(4)
前記複数の領域区画部それぞれは、前記サイド部の前記外面上で突出している、上記(2)又は(3)に記載のタイヤ、である。
上記(4)の構成とすることで、領域区画部の外部からの視認性を、より高めることができる。
【0010】
本発明の1つの実施形態としてのタイヤは、
(5)
前記複数の領域区画部それぞれは、前記タイヤ周方向の周囲と異なる色相を備える、上記(2)から(4)のいずれか1つに記載のタイヤ、である。
上記(5)の構成とすることで、日中などの明るい環境において、領域区画部の外部からの視認性を高めることができる。
【0011】
本発明の1つの実施形態としてのタイヤは、
(6)
前記複数の領域区画部それぞれは、発光領域を備える、上記(2)から(5)のいずれか1つに記載のタイヤ、である。
上記(6)の構成とすることで、夜間や暗所等の暗い環境において、領域区画部の外部からの視認性を高めることができる。
【0012】
本発明の1つの実施形態としてのタイヤは、
(7)
前記複数の領域区画部は、前記タイヤ周方向に等間隔で配置されている、上記(2)から(6)のいずれか1つに記載のタイヤ、である。
上記(7)の構成とすることで、タイヤ周方向の一部で局所的に剛性が変化することを抑制できる。
【0013】
本発明の1つの実施形態としてのタイヤは、
(8)
前記複数の領域区画部それぞれは、タイヤ径方向に延在する線状の区画線部である、上記(2)から(7)のいずれか1つに記載のタイヤ、である。
上記(8)の構成とすることで、簡易な構成の領域区画部により、タイヤ周方向の全域を複数の領域に区画できる。
【0014】
本発明の1つの実施形態としてのタイヤは、
(9)
前記領域識別部は、前記複数の領域区画部により区画されている前記複数の領域のうち、半数以下の領域のみに配置されている、上記(2)から(8)のいずれか1つに記載のタイヤ、である。
上記(9)の構成とすることで、領域識別部によるタイヤ周方向での剛性変動を抑制できる。
【0015】
本発明の1つの実施形態としてのタイヤは、
(10)
前記領域識別部は、前記サイド部の前記外面上で突出している、上記(2)から(9)のいずれか1つに記載のタイヤ、である。
上記(10)の構成とすることで、領域識別部の外部からの視認性を高めることができる。
【0016】
本発明の1つの実施形態としてのタイヤは、
(11)
前記標識部は、前記複数の領域区画識別部を備え、
前記複数の領域区画識別部は、相互に識別可能な異なる態様で、前記タイヤ周方向に等間隔で配置されている、上記(1)に記載のタイヤ、である。
上記(11)の構成とすることで、標識部の構成を簡素化し得る。
【0017】
本発明の1つの実施形態としてのタイヤは、
(12)
前記標識部は、前記複数の領域区画識別部を備え、
前記複数の領域区画識別部は、相互に識別不能な同じ態様で、前記タイヤ周方向に異なる間隔で配置されている、上記(1)に記載のタイヤ、である。
上記(12)の構成とすることで、標識部の構成を簡素化し得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、タイヤ周方向の位置を容易に特定可能な標識部を備えるタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態としてのタイヤのタイヤ幅方向断面図である。
図2図1に示すタイヤの側面図である。
図3図2に示す標識部の一変形例を示す図である。
図4図2に示す標識部の一変形例を示す図である。
図5図2のI-I線の位置での断面図である。
図6図2のII-II線の位置での断面図である。
図7】本発明の第2実施形態としてのタイヤの側面図である。
図8図7に示すタイヤの標識部の一変形例を示す図である。
図9図7のIII-III線の位置での断面図である。
図10図7に示すタイヤの標識部の一変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るタイヤの実施形態について図面を参照して例示説明する。各図において同一の構成には同一の符号を付している。本明細書において、タイヤ幅方向とは、タイヤの中心軸と平行な方向をいう。タイヤ径方向とは、タイヤの中心軸と直交し、中心軸を中心とした半径方向をいう。タイヤ周方向とは、タイヤの中心軸を中心にタイヤが回転する方向をいう。
【0021】
<第1実施形態>
以下、本発明に係るタイヤの一実施形態としての空気入りタイヤ1(以下、単に「タイヤ1」と記載する。)について例示説明する。タイヤ1の種類は特に限定されない。本実施形態のタイヤ1は、建設機械用タイヤ、鉱山車両用タイヤ等の超重荷重用タイヤであるが、本発明に係るタイヤは、トラック・バス用タイヤ等の重荷重用タイヤ、乗用車用タイヤであってもよい。
【0022】
図1は、タイヤ1のタイヤ幅方向断面図である。図1に示すタイヤ1は、タイヤ赤道面CLに対して対称な構成であるため、図1では、タイヤ赤道面CLを挟んでタイヤ幅方向Aの一方側のみのタイヤ幅方向断面を示している。但し、タイヤ1は、タイヤ赤道面CLに対して非対称な構成であってもよい。
【0023】
図1に示すように、タイヤ1は、トレッド部1aと、このトレッド部1aのタイヤ幅方向Aの両端部からタイヤ径方向Bの内側に延びる一対のサイドウォール部1bと、各サイドウォール部1bのタイヤ径方向Bの内側の端部に設けられた一対のビード部1cと、を備えている。ここで、「トレッド部1a」は、タイヤ幅方向Aにおいて両側のトレッド端TEにより挟まれる部分を意味する。また、「ビード部1c」とは、タイヤ径方向Bにおいて後述するビード部材2が位置する部分を意味する。そして「サイドウォール部1b」とは、トレッド部1aとビード部1cとの間の部分を意味する。なお、「トレッド端TE」とは、タイヤ1を所定の適用リムに装着し、規定内圧を充填し、最大負荷荷重を負荷した状態での接地面のタイヤ幅方向最外側の位置を意味する。
【0024】
タイヤ1は、ビード部材2、カーカス3、ベルト4、サイドゴム5、トレッドゴム6、インナーライナ7、及び、通信装置40、を備えている。
【0025】
ビード部材2は、ビード部1cに埋設されている。ビード部材2は、一対のビードコア2aと、各ビードコア2aに対してタイヤ径方向Bの外側に位置するゴム製のスティフナ2bと、を備える。ビードコア2aは、周囲をゴムにより被覆されている複数のビードコードを備えている。ビードコードはスチールコードにより形成されている。スチールコードは、例えば、スチールのモノフィラメント又は撚り線からなるものとすることができる。
【0026】
カーカス3は、所謂ラジアルカーカスであってよい。カーカス3は、一対のビードコア2a間に跨ってトロイダル状に延在しているカーカスプライ3aを備える。カーカスプライ3aは、各ビードコア2a周りにタイヤ幅方向Aの内側から外側に折り返されている。また、カーカスプライ3aは、複数のカーカスコードを備えている。
【0027】
本実施形態のカーカス3は、1枚のみのカーカスプライ3aを備えるが、この構成に限られない。カーカス3は、2枚以上のカーカスプライ3aを含む構成であってもよい。カーカスプライ3aのカーカスコードは、スチールコード等の金属コードとすることができる。
【0028】
より具体的に、本実施形態のカーカスプライ3aは、一対のビードコア2aの間に跨るプライ本体部13と、各ビードコア2aのタイヤ幅方向Aの外側に位置するプライ折り返し部14と、を備えている。プライ折り返し部14は、プライ本体部13に連なり、一対のビードコア2a周りに折り返されて形成されている。図1に示すように、本実施形態のタイヤ1では、タイヤ幅方向Aにおいて、プライ本体部13とプライ折り返し部14との間の位置に、ビードコア2aからタイヤ径方向Bの外側に先細状に延びるスティフナ2bが配置されている。
【0029】
ベルト4は、カーカス3のクラウン部に対してタイヤ径方向Bの外側に配置されている1層以上(図1では4層)のベルト層4a~4dを備えている。図1に示すベルト4の各ベルト層4a~4dはゴムで被覆されているベルトコードを含む。各ベルト層4a~4dは、傾斜ベルト層とされてもよく、周方向ベルト層とされてもよい。傾斜ベルト層とは、例えば、タイヤ周方向Cに対して10°より大きく、40°以下の角度で傾斜配列されたベルトコードを含むベルトプライにより構成されてよい。また、周方向ベルト層は、例えば、タイヤ周方向Cに平行に、又は、タイヤ周方向Cに対して10°以下、好ましくは5°以下の角度で傾斜して配列されたベルトコードを含むベルトプライにより構成されてよい。各ベルト層4a~4dのベルトコードは、スチールコードなどの金属コードにより構成されている。図1に示すベルト4は4層のベルト層4a~4dを備える構成であるが、3層以下のベルト層を備えるベルト4であってもよく、5層以上のベルト層を備えるベルト4であってもよい。
【0030】
サイドゴム5は、カーカス3のタイヤ幅方向Aの外側を覆っている。また、サイドゴム5は、サイドウォール部1b及びビード部1cからなるサイド部20のタイヤ幅方向Aの外側の外面20aを構成している。
【0031】
トレッドゴム6は、カーカス3のタイヤ径方向Bの外側を覆っている。トレッドゴム6は、トレッド部1aのタイヤ径方向Bの外側の外面である、タイヤ1のトレッド面6aを構成している。また、トレッドゴム6は、サイドゴム5のタイヤ径方向Bの外側に連なっている。トレッドゴム6が構成するトレッド面6aには、タイヤ幅方向Aに延在するラグ溝6a1が形成されている。ラグ溝6a1は、トレッドゴム6のタイヤ幅方向Aの外側端まで貫通している。つまり、ラグ溝6a1のタイヤ幅方向Aの外側端は、トレッド面6a内で終端せず、タイヤ側面側に開口している。なお、トレッド面6aには、ラグ溝6a1に加えて、タイヤ周方向Cに延在する周方向溝6a2が形成されていてもよい。
【0032】
インナーライナ7は、カーカス3に対してタイヤ内腔100側を覆っている。より具体的に、本実施形態のインナーライナ7は、カーカスプライ3aのプライ本体部13のタイヤ内腔100側を覆っており、タイヤ内腔100に面するタイヤ内面を構成している。
【0033】
図1に示すように、通信装置40は、サイド部20の内部に埋設されていてよい。但し、通信装置40の配置位置は特に限定されず、例えば、タイヤ内面に取り付けられていてもよい。通信装置40が取り付けられるタイヤ内面の位置としては、トレッド部1aの内面であってもよく、サイド部20の内面であってもよい。また、通信装置40は、例えば、トレッド部1aの内部に埋設されていてもよい。
【0034】
通信装置40は、タイヤ1の外部の所定の装置と無線通信可能な構成であればよく、通信装置40の構成は特に限定されない。通信装置40としては、例えば、RFタグが挙げられる。通信装置40としてのRFタグは、タイヤ1の外部に位置するリーダ、又は、リーダ/ライタ(以下、「リーダ等」と記載する。)と無線通信可能である。RFタグは、例えば、タイヤ1の外部に位置するリーダ等から供給される電力により動作するパッシブ型のRFタグとしてよい。具体的に、通信装置40としてのRFタグは、リーダ等のアンテナ部から、電波又は磁界に乗せて送信される情報を、RFタグのアンテナ部により受信可能である。整流(電波の場合)または共振(磁界の場合)により、RFタグのアンテナ部に電力が発生し、RFタグの記憶部及び制御部が所定の動作を実行する。RFタグの制御部は、例えば、RFタグの記憶部内の情報を読み出し、電波または磁界に乗せてアンテナ部から、リーダ等に返信(送信)することができる。リーダ等のアンテナ部は、RFタグからの電波又は磁界を受信する。リーダ等の制御部は、受信した情報を取り出すことで、RFタグの記憶部に記憶されている情報を取得することができる。なお、RFタグの上述の記憶部及び制御部は、例えば、不揮発性メモリを含む集積回路(ICチップ)により構成されてよい。
【0035】
通信装置40は、例えば、その周囲に予め被覆ゴムが被覆されている被覆通信装置の状態で、サイド部20内に埋設されていてもよい。
【0036】
次に、図2を参照して、サイド部20の外面20aに設けられている標識部50について説明する。図2は、タイヤ1をタイヤ幅方向Aに沿って見た、タイヤ1の側面図である。
【0037】
図2に示すように、標識部50は、視覚を通じてタイヤ1の外部から視認可能に構成されている。ここで、標識部50が「視覚を通じてタイヤ1の外部から視認可能」とは、タイヤ1の外部から、視覚を通じて、標識部50の周囲の部位に対して標識部50が識別できることを意味する。
【0038】
図2に示すように、本実施形態の標識部50は、複数の領域区画部51、領域識別部52及び情報表示部53を備えている。
【0039】
複数の領域区画部51は、タイヤ周方向Cの全域を複数の領域60a~60jに区画している。図2に示す例では、複数の領域区画部51それぞれは、タイヤ径方向Bに延在する線状の区画線部51aからなる。複数の区画線部51aは、タイヤの中心軸から放射状に延在している。図2に示すように、本実施形態の領域区画部51としての区画線部51aは、タイヤ周方向Cに離間して複数配置されている。より具体的に、本実施形態では、複数の領域区画部51としての複数の区画線部51aは、サイド部20の外面20aにおいて、タイヤ周方向Cに等間隔に配置されている。本実施形態では、10本の区画線部51aが、サイド部20の外面20aを、タイヤ周方向Cに10個の領域60a~60jに区画している。但し、領域区画部51は、少なくとも2個設けられていればよい。したがって、領域区画部51は、サイド部20の外面20aを、9個未満の領域に区画する構成であってもよく、11個以上の領域に区画する構成であってもよい。但し、領域区画部51は、タイヤ周方向Cを10個以上の領域に区画することが好ましい。このようにすることで、タイヤ周方向Cの位置を、より正確に特定できる。
【0040】
本実施形態の複数の領域区画部51としての複数の区画線部51aは、視覚を通じて相互に識別不能な同じ態様で、タイヤ周方向Cに同じ間隔で配置されている。すなわち、本実施形態の複数の領域区画部51は、サイド部20の外面20aを、タイヤ周方向Cにおいて複数の領域60a~60jに区画しているが、複数の領域60a~60jそれぞれは、複数の領域区画部51のみに基づき一意に識別できない。
【0041】
これに対して、本実施形態の標識部50は、複数の領域区画部51に加えて、領域識別部52を備えている。領域識別部52は、複数の領域区画部51により区画されている複数の領域60a~60jそれぞれを、視覚を通じて一意に識別可能に構成されている。具体的に、本実施形態の領域識別部52は、複数の領域60a~60jそれぞれを一意に識別可能にする複数の数字形状部52aからなる。本実施形態の領域識別部52としての複数の数字形状部52aは、複数の領域60a~60jそれぞれに配置され、相互に識別可能な異なる態様を有する。具体的に、本実施形態の複数の数字形状部52aは、複数の領域60a~60jそれぞれに配置されている1~10の数字の形状を有している。これにより、複数の領域60a~60jそれぞれを一意に識別可能になる。但し、複数の領域識別部52は、相互に識別可能な態様であればよく、本実施形態の数字形状部52aに限られない。複数の領域識別部52は、例えば、視覚を通じて相互に識別可能な形状を有する記号形状部であってもよい。また、複数の領域識別部52は、上述した数字形状部52a、記号形状部等、相互に識別可能な態様とすることによる区別に代えて又は加えて、領域識別部52の有無によって、複数の領域60a~60jを一意に識別可能に構成されていてもよい。
【0042】
つまり、領域識別部52は、領域区画部51により区画されている複数の領域60a~60jそれぞれを、視覚を通じて一意に識別可能に構成されていればよく、複数の領域60a~60jの一部の領域のみに配置されていてもよい。図3図4は、図2に示す標識部50の変形例を示す図である。図3図4では、複数の領域60a~60jの一部の領域のみに領域識別部52としての数字形状部52aが設けられている例を示す。図3に示すように、標識部50の領域識別部52は、例えば、複数の領域60a~60jのうちタイヤ周方向Cにおいて一領域おきに配置されている数字形状部52aであってもよい。また、領域識別部52は、領域区画部51により区画されている複数の領域60a~60jそれぞれを一意に識別可能に構成されていれば、図4に示すように、一領域おきに配置されない数字形状部52aであってもよい。更に、例えば、外面20aに、タイヤ周方向Cを2個の領域に区画する2個の領域区画部51のみが設けられている場合、領域識別部52は、2個の領域のいずれか一方のみに配置されてもよい。つまり、領域識別部52は、複数に限られない。この例では、領域識別部52は、数字形状、記号形状等である必要は無く、その有無のみで、2個の領域それぞれを一意に識別可能である。
【0043】
以上のように、本実施形態の標識部50は、タイヤ周方向Cに離間して複数配置されており、タイヤ周方向Cの全域を複数の領域60a~60jに区画する領域区画部51、及び、この領域区画部51により区画されている複数の領域60a~60jそれぞれを一意に識別可能にする領域識別部52、を備える。そのため、タイヤ1の外部から、視覚を通じて、タイヤ周方向Cの位置を、容易に特定できる。そのため、例えば補修タイヤの補修箇所等、そのタイヤ周方向Cの位置を管理したい管理対象を、一意に識別可能な複数の領域60a~60jそれぞれに対応付けて管理できる。つまり、タイヤ周方向Cの位置を管理したい管理対象のタイヤ周方向Cの位置を、タイヤ1の外部から容易に特定できる。
【0044】
なお、管理対象と、この管理対象が位置するタイヤ周方向Cの位置は、例えば、管理対象を示す識別情報と、複数の領域60a~60jのうち管理対象が位置する領域を示す領域情報と、を組み合わせて、RFタグ等の通信装置40に記憶されてよい。このようにすることで、タイヤ1の外部からリーダ等で通信装置40と通信することで、管理対象のタイヤ周方向Cの位置を容易に入手できる。また、通信装置40のタイヤ周方向Cの位置についても、複数の領域60a~60jに対応付けて、別途管理しておくことが好ましい。このようにすることで、タイヤ1の外部から、サイド部20に埋設されている通信装置40の位置を、容易に特定できる。また、複数の領域60a~60jのうち通信装置40が位置する領域の外面20aに、通信装置40があることを示す表示部があってもよい。このような表示部は、例えば、外面20aに設けられている凸部等であってよい。
【0045】
情報表示部53は、例えば、タイヤ1のサイズ情報、製造番号、標章など、タイヤ1に関する情報を表示する、数字、記号、文字等である。情報表示部53は、例えば、タイヤ1のサイド部20の外面20aに設けられている凸部、凹部等により構成されており、サイド部20の外面20aの周囲から識別可能な態様で形成されている。
【0046】
以下、本実施形態の領域区画部51及び領域識別部52の更なる詳細について説明する。
【0047】
図2に示すように、本実施形態の複数の領域区画部51それぞれは、タイヤ周方向Cよりタイヤ径方向Bに長い。このようにすることで、サイド部20の外面20aの一部が泥等により覆われていても、領域区画部51のタイヤ径方向Bの一部が、タイヤ1の外部から見え易く、領域区画部51が泥等により完全に覆われることを抑制できる。つまり、領域区画部51の外部からの視認性を高めることができる。特に、領域区画部51は、タイヤ径方向Bにおいて、タイヤ1の高さHの1/3以上の長さを有することが好ましい。このようにすることで、領域区画部51の外部からの視認性を、より高めることができる。更に、領域区画部51は、タイヤ径方向Bにおいて、タイヤ1の高さHの1/2以上の長さを有することがより好ましく、2/3以上の長さを有することが更に好ましい。このようにすることで、領域区画部51の外部からの視認性を、より一層、高めることができる。
【0048】
また、領域区画部51の少なくとも一部は、タイヤ1の高さHの1/2となる位置よりタイヤ径方向Bの内側の位置に配置されていることが好ましい。このようにすることで、地面から飛び散る泥により、領域区画部51が完全に覆われることを抑制できる。
【0049】
上述したように、本実施形態の領域区画部51は、タイヤ径方向Bに延在する線状の区画線部51aであるが、この構成に限られない。領域区画部51は、例えば、タイヤ径方向Bに細長い三角形状、ひし形形状等、別の形状であってもよい。また、本実施形態の領域区画部51としての区画線部51aは、タイヤ径方向Bに直線状に延在するが、例えば、波形状等であってもよい。但し、本実施形態のように、領域区画部51を、タイヤ径方向Bに直線状に延在する区画線部51aとすることで、簡易な構成で、タイヤ周方向Cの全域を複数の領域60a~60jに区画できる。
【0050】
また、図5は、図2のI-I線の位置での断面図である。図5に示すように、領域区画部51は、サイド部20の外面20a上で突出していることが好ましい。このようにすることで、領域区画部51が泥等により覆われ難くなる。そのため、領域区画部51の外部からの視認性を、より高めることができる。
【0051】
特に、領域区画部51としての区画線部51aは、その延在方向と直交する断面視(図5参照)で、弧状に突出している凸湾曲面のみにより構成されていることが好ましい。このようにすることで、区画線部51a上に泥が付いたとしても、凸湾曲面に沿って落ち易く、区画線部51a上に泥が止まることを抑制できる。
【0052】
また、本実施形態のように、領域区画部51は、タイヤ周方向Cの周囲と異なる色相を備えることが好ましい。つまり、領域区画部51は、サイド部20の外面20aのうち、領域区画部51と隣接する位置と、異なる色相を有することが好ましい。このようにすることで、日中などの明るい環境において、領域区画部51の外部からの視認性を高めることができる。
【0053】
更に、本実施形態のように、領域区画部51は、発光領域LA1を備えることが好ましい。このような発光領域LA1を設けることで、夜間や暗所等の暗い環境において、領域区画部51の外部からの視認性を高めることができる。
【0054】
領域区画部51の発光領域LA1は、光を外部に放出する領域であれば特に限定されない。発光領域LA1は、例えば、蓄えた光を放出する蓄光領域であってよい。発光領域LA1としての蓄光領域は、例えば、蓄光材を含む蓄光塗料により構成されてよい。また、発光領域LA1は、例えば、サイド部20の外面20aを構成するゴム組成物の一部に、蓄光材が混合されることにより形成されてよい。蓄光材を含むゴム組成物は、例えば、未加硫タイヤに貼着されて、未加硫タイヤと共に加硫されてもよい。また、蓄光材を含むゴム組成物は、例えば、加硫後のタイヤに貼着されてもよい。
【0055】
蓄光材としては、特に限定されず、公知の蓄光材を用いてよい。蓄光材としては、例えば、組成式:SrAl2O4:Eu,Dy、Sr4Al14O25:Eu,Dy、SrAl2O4:Eu,Dy+Sr4Al14O25:Eu,Dy、Sr4Al14O25:Eu,Dy+CaAl2O4:Eu,Nd、CaAl2O4:Eu,Nd、ZnS:Cu,Mn,Co、ZnS:Cuなどが挙げられる。
【0056】
なお、本実施形態の領域区画部51は、サイド部20の外面20aのうちタイヤ周方向Cに隣接する部分と異なる色相を有すると共に、上述した発光領域LA1を備えている。そのため、本実施形態の領域区画部51は、日中などの明るい環境、及び、夜間や暗所などの暗い環境、の両方において、タイヤ1の外部から容易に識別できる。
【0057】
また、図2に示すように、本実施形態の複数の領域区画部51としての複数の区画線部51aは、タイヤ周方向Cに、等間隔に配置されているが、この構成に限られない。複数の領域区画部51は、タイヤ周方向Cの位置によって、タイヤ周方向Cの離間する間隔が異なっていてもよい。つまり、複数の領域区画部51としての複数の区画線部51aは、タイヤ周方向Cに、等間隔に配置されていなくてもよい。しかしながら、上述したように、領域区画部51がサイド部20の外面20aで突出している場合は、複数の領域区画部51は、タイヤ周方向Cにおいて等間隔に配置されていることが好ましい。このようにすることで、タイヤ周方向Cにおいて領域区画部51が存在する位置が均等に分散されるため、凸状の領域区画部51がタイヤ周方向Cの一部に偏ることで、タイヤ周方向Cの一部で局所的に剛性が変化することを抑制できる。
【0058】
図2に示すように、領域識別部52についても、領域区画部51と同様、タイヤ周方向Cよりタイヤ径方向Bに長いことが好ましい。このようにすることで、サイド部20の外面20aの一部が泥等により覆われていても、領域識別部52のタイヤ径方向Bの一部が、タイヤ1の外部から見え易く、領域識別部52が泥等により完全に覆われることを抑制できる。つまり、領域識別部52の外部からの視認性を高めることができる。特に、領域識別部52は、タイヤ径方向Bにおいて、タイヤ1の高さHの1/3以上の長さを有することが好ましい。このようにすることで、領域識別部52の外部からの視認性を、より高めることができる。更に、領域識別部52は、タイヤ径方向Bにおいて、タイヤ1の高さHの1/2以上の長さを有することがより好ましく、2/3以上の長さを有することが更に好ましい。このようにすることで、領域識別部52の外部からの視認性を、より一層、高めることができる。
【0059】
また、図2に示すように、領域識別部52の少なくとも一部は、タイヤ1の高さHの1/2となる位置よりタイヤ径方向Bの内側の位置に配置されていることが好ましい。このようにすることで、地面から飛び散る泥により、領域識別部52が完全に覆われることを抑制できる。
【0060】
また、図6は、図2のII-II線の位置での断面図である。図6に示すように、領域識別部52は、サイド部20の外面20a上で突出していることが好ましい。このようにすることで、領域識別部52が泥等により覆われ難くなる。そのため、領域識別部52の外部からの視認性を高めることができる。
【0061】
特に、領域識別部52は、図2に示すタイヤ側面視に直交する断面のうち、領域識別部52の位置でタイヤ径方向Bに直交する任意の断面での断面視(図6参照)において、タイヤ周方向Cの中央部が最も突出するように弧状に突出している凸湾曲面により構成されていることが好ましい。このようにすることで、領域識別部52上に泥が付いたとしても、凸湾曲面に沿って落ち易く、領域識別部52上に泥が止まることを抑制できる。
【0062】
また、本実施形態のように、領域識別部52は、タイヤ周方向Cの周囲と異なる色相を備えることが好ましい。つまり、領域識別部52は、サイド部20の外面20aのうち、領域識別部52と隣接する位置と、異なる色相を有することが好ましい。このようにすることで、領域識別部52の外部からの視認性を、高めることができる。
【0063】
更に、本実施形態のように、領域識別部52は、発光領域LA2を備えることが好ましい。このような発光領域LA2を設けることで、夜間や暗所等の暗い環境において、領域識別部52の外部からの視認性を、高めることができる。
【0064】
領域識別部52の発光領域LA2は、光を外部に放出する領域であれば特に限定されない。発光領域LA2は、例えば、蓄えた光を放出する蓄光領域であってよい。発光領域LA2としての蓄光領域は、上述した領域区画部51の発光領域LA1と同様の構成とされてよい。
【0065】
なお、本実施形態の領域識別部52は、サイド部20の外面20aのうちタイヤ周方向Cに隣接する部分と異なる色相を有すると共に、上述した発光領域LA2を備えている。そのため、本実施形態の領域識別部52は、日中などの明るい環境、及び、夜間や暗所などの暗い環境、の両方において、タイヤ1の外部から容易に識別できる。
【0066】
また、図2に示すように、本実施形態の複数の領域識別部52としての複数の数字形状部52aは、タイヤ周方向Cに、等間隔に配置されているが、この構成に限られない。複数の領域識別部52は、タイヤ周方向Cに、等間隔に配置されていなくてもよい。しかしながら、上述したように、領域識別部52がサイド部20の外面20aで突出している場合は、複数の領域識別部52は、タイヤ周方向Cにおいて等間隔に配置されていることが好ましい。このようにすることで、タイヤ周方向Cにおいて領域識別部52が存在する位置が均等に分散されるため、凸状の領域識別部52がタイヤ周方向Cの一部に偏ることで、タイヤ周方向Cの一部で局所的に剛性が変化することを抑制できる。
【0067】
また、図3図4に示すように、領域識別部52は、複数の領域区画部51により区画されている複数の領域60a~60jのうち、半数以下の領域のみに配置されていることが好ましい。上述したように、領域識別部52がサイド部20の外面20aで突出している場合は、タイヤ周方向Cにおける領域識別部52が配置されている位置で、剛性が若干高くなる。そのため、領域識別部52が、複数の領域区画部51により区画されている複数の領域60a~60jのうち、半数以下の領域のみに配置されていることで、タイヤ周方向Cでの剛性変動を抑制できる。領域識別部52の数は、複数の領域区画部51により区画されている複数の領域60a~60jそれぞれを一意に識別可能である限り、少ないことが好ましい。以上より、複数の領域60a~60jの識別性の向上、及び、タイヤ周方向Cでの剛性変動nの抑制、の両立の観点では、図3に示すように、領域識別部52は、タイヤ周方向Cに一領域おきに配置されていることが、特に好ましい。
【0068】
なお、図2に示すように、領域区画部51及び領域識別部52は、情報表示部53に重ならないように配置されていることが好ましい。このようにすることで、情報表示部53により表示される情報の視認性低下を抑制できる。具体的に、領域区画部51及び領域識別部52は、例えば、情報表示部53と、タイヤ径方向B及びタイヤ周方向Cの少なくとも一方の方向において、異なる位置に配置されてよい。
【0069】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態としてのタイヤ201について説明する。本実施形態のタイヤ201のタイヤ幅方向断面での構成は、上述した第1実施形態のタイヤ1と同様である。本実施形態のタイヤ201は、上述したタイヤ1(図1図6参照)と比較して、サイド部20の外面20aに設けられている標識部250の構成が相違し、その他の構成は同一である。したがって、ここでは、タイヤ201のうち、タイヤ1と相違する標識部250についてのみ説明し、その他の同一の構成は説明を省略する。
【0070】
図7は、タイヤ201をタイヤ幅方向Aに沿って見た、タイヤ201の側面図である。図7に示すように、標識部250は、視覚を通じてタイヤ201の外部から視認可能に構成されている。
【0071】
図7に示すように、本実施形態の標識部250は、複数の領域区画識別部254と、情報表示部53と、を備えている。情報表示部53は、上述した第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0072】
図7に示すように、複数の領域区画識別部254は、タイヤ周方向Cに離間して配置されており、タイヤ周方向Cの全域を、それぞれが一意に識別可能な複数の領域260a~260jに区画している。つまり、領域区画識別部254は、上述した第1実施形態の領域区画部51(図2等参照)及び領域識別部52(図2等参照)の両方の機能を兼ねている。
【0073】
図7に示すように、本実施形態の複数の領域区画識別部254は、相互に識別可能な異なる態様で、タイヤ周方向Cに等間隔で配置されている。より具体的に、本実施形態の複数の領域区画識別部254は、サイド部20の外面20aにおいてタイヤ径方向Bに延在し、相互のタイヤ径方向Bの長さが異なる、10本の区画識別線部254a~254jである。10本の区画識別線部254a~254jは、タイヤ周方向Cにおいて等間隔で配置されている。つまり、10本の区画識別線部254a~254jにより区画されている複数の領域260a~260jそれぞれの中心角は等しい。本実施形態では、10本の区画識別線部254a~254jは、タイヤ周方向Cで、等間隔に配置されているが、タイヤ周方向Cにおいて、区画識別線部254aから区画識別線部254jまで、この順で、そのタイヤ径方向Bの長さが漸減している。このようにすることで、本実施形態の複数の領域区画識別部254としての複数の区画識別線部254a~254jは、相互に識別可能な態様となっている。そのため、複数の区画識別線部254a~254jが、タイヤ周方向Cにおいて等間隔に配置されていても、複数の区画識別線部254a~254jにより区画される複数の領域260a~260jそれぞれは、一意に識別可能である。
【0074】
このように、領域区画識別部254を備える標識部250とすることで、上述した第1実施形態のように領域区画部51(図2等参照)及び領域識別部52(図2等参照)を別々に設ける構成としなくてよい。つまり、標識部250の構成を、上述した第1実施形態の標識部50(図2等参照)と比較して、簡素化し得る。
【0075】
なお、本実施形態の複数の領域区画識別部254は、タイヤ径方向Bの長さが異なる10本の区画識別線部254a~254jとすることで、相互に識別可能な構成としているが、相互に識別可能な構成は、この構成に限られない。複数の領域区画識別部254は、例えば、タイヤ径方向Bの長さ以外で形状を異ならせることにより、相互に識別可能であってもよい。また、本実施形態では、相互に識別可能な複数の領域区画識別部254を、タイヤ周方向Cにおいて等間隔に配置しているが、この構成に限られない。相互に識別可能な複数の領域区画識別部254は、タイヤ周方向Cにおいて等間隔に配置されていなくてもよい。
【0076】
また、複数の領域区画識別部254は、図7に示す構成に限られない。図8は、標識部250の変形例を示す図である。図8に示す標識部250の複数の領域区画識別部254は、相互に識別不能な同じ態様で、タイヤ周方向Cに異なる間隔で配置されている。より具体的に、図8に示す複数の領域区画識別部254は、サイド部20の外面20aにおいてタイヤ径方向Bに延在し、相互のタイヤ径方向Bの長さが等しい、10本の区画識別線部254a~254jである。図8に示す例では、10本の区画識別線部254a~254jは、相互に識別不能な態様であるが、タイヤ周方向Cにおいて、区画識別線部254aから区画識別線部254jまで、この順で、隣接する2本の区画識別線部の間の距離が漸減している。このようにすることで、図8に示すサイド部20の外面20aでは、複数の領域区画識別部254としての複数の区画識別線部254a~254jが等間隔に配置されていないことにより、複数の区画識別線部254a~254jが相互に識別不能であっても、複数の領域260a~260jそれぞれを一意に識別可能である。
【0077】
なお、図8では、タイヤ周方向Cにおいて、区画識別線部254aから区画識別線部254jまで、この順で、隣接する2本の区画識別線部の間の距離が漸減しているが、例えば、上記の順で、隣接する2本の区画識別線部の間の距離が漸増していてもよい。また、複数の領域260a~260jそれぞれを一意に識別可能であれば、上記の順で、隣接する2本の区画識別線部の間の距離が、増えたり減ったりするようになっていてもよい。
【0078】
このように、複数の領域区画識別部254は、それぞれの態様及び配置関係の少なくとも一方を工夫することにより、サイド部20の外面20aのタイヤ周方向Cの全域を、それぞれが一意に識別可能な複数の領域260a~260jに区画できる。但し、領域区画識別部254の数が増えるほど、領域区画識別部254により区画される複数の領域それぞれの中心角が小さくなり、複数の領域それぞれのタイヤ周方向Cの最大長さが小さくなる。そのため、複数の領域区画識別部254を、タイヤ周方向Cに等間隔に配置しない構成としても、タイヤ201の外部から、各領域を一意に識別することが難しい場合がある。そのため、標識部250は、図7に示すように、少なくとも複数の領域区画識別部254を相互に識別可能な態様とすることが、好ましい。
【0079】
なお、図7図8に示すように、複数の領域区画識別部254それぞれは、タイヤ周方向Cよりタイヤ径方向Bに長い。このようにすることで、サイド部20の外面20aの一部が泥等により覆われていても、領域区画識別部254のタイヤ径方向Bの一部が、タイヤ201の外部から見え易く、領域区画識別部254が泥等により完全に覆われることを抑制できる。つまり、領域区画識別部254の外部からの視認性を高めることができる。特に、領域区画識別部254は、タイヤ径方向Bにおいて、タイヤ201の高さHの1/3以上の長さを有することが好ましい。このようにすることで、領域区画識別部254の外部からの視認性を、より高めることができる。更に、領域区画識別部254は、タイヤ径方向Bにおいて、タイヤ201の高さHの1/2以上の長さを有することがより好ましく、2/3以上の長さを有することが更に好ましい。このようにすることで、領域区画識別部254の外部からの視認性を、より一層、高めることができる。
【0080】
また、領域区画識別部254の少なくとも一部は、タイヤ201の高さHの1/2となる位置よりタイヤ径方向Bの内側の位置に配置されていることが好ましい。このようにすることで、地面から飛び散る泥により、領域区画識別部254が完全に覆われることを抑制できる。
【0081】
上述したように、図7図8に示す複数の領域区画識別部254は、タイヤ径方向Bに延在する線状の区画識別線部254a~254jであるが、この構成に限られない。領域区画識別部254は、例えば、タイヤ径方向Bに細長い三角形状、ひし形形状等、別の形状であってもよい。また、図7図8に示す領域区画識別部254としての区画識別線部254a~254jそれぞれは、タイヤ径方向Bに直線状に延在するが、例えば、波形状等であってもよい。但し、図7図8に示すように、領域区画識別部254を、タイヤ径方向Bに直線状に延在する区画識別線部254a~254jとすることで、簡易な構成で、タイヤ周方向Cの全域を、一意に識別可能な複数の領域260a~260jに区画できる。
【0082】
また、図9は、図7のIII-III線の位置での断面図である。図9に示すように、領域区画識別部254は、サイド部20の外面20a上で突出していることが好ましい。このようにすることで、領域区画識別部254が泥等により覆われ難くなる。そのため、領域区画識別部254の外部からの視認性を高めることができる。
【0083】
特に、領域区画識別部254としての区画識別線部254a~254jそれぞれは、その延在方向と直交する断面視(図9参照)で、弧状に突出している凸湾曲面のみにより構成されていることが好ましい。このようにすることで、区画識別線部254a~254j上に泥が付いたとしても、凸湾曲面に沿って落ち易く、区画識別線部254a~254j上に泥が止まることを抑制できる。
【0084】
また、領域区画識別部254は、タイヤ周方向Cの周囲と異なる色相を備えることが好ましい。つまり、領域区画識別部254は、サイド部20の外面20aのうち、領域区画識別部254と隣接する位置と、異なる色相を有することが好ましい。このようにすることで、領域区画識別部254の外部からの視認性を、高めることができる。
【0085】
更に、領域区画識別部254は、発光領域LA3を備えることが好ましい。このような発光領域LA3を設けることで、夜間や暗所等の暗い環境において、領域区画識別部254の外部からの視認性を、高めることができる。
【0086】
領域区画識別部254の発光領域LA3は、光を外部に放出する領域であれば特に限定されない。発光領域LA3は、例えば、蓄えた光を放出する蓄光領域であってよい。発光領域LA3としての蓄光領域は、例えば、蓄光材を含む蓄光塗料により構成されてよい。また、発光領域LA3は、例えば、サイド部20の外面20aを構成するゴム組成物の一部に、蓄光材が混合されることにより形成されてよい。蓄光材を含むゴム組成物は、例えば、未加硫タイヤに貼着されて、未加硫タイヤと共に加硫されてもよい。また、蓄光材を含むゴム組成物は、例えば、加硫後のタイヤに貼着されてもよい。
【0087】
蓄光材としては、特に限定されず、公知の蓄光材を用いてよい。蓄光材としては、例えば、組成式:SrAl2O4:Eu,Dy、Sr4Al14O25:Eu,Dy、SrAl2O4:Eu,Dy+Sr4Al14O25:Eu,Dy、Sr4Al14O25:Eu,Dy+CaAl2O4:Eu,Nd、CaAl2O4:Eu,Nd、ZnS:Cu,Mn,Co、ZnS:Cuなどが挙げられる。
【0088】
なお、図7図8に示す領域区画識別部254は、サイド部20の外面20aのうちタイヤ周方向Cに隣接する部分と異なる色相を有すると共に、上述した発光領域LA3を備えている。そのため、領域区画識別部254は、日中などの明るい環境、及び、夜間や暗所などの暗い環境、の両方において、タイヤ201の外部から容易に識別できる。
【0089】
本発明に係るタイヤは、上述した実施形態及び変形例に示す具体的な構成に限られず、特許請求の範囲を逸脱しない限り、種々の変形、変更、組み合わせが可能である。例えば、図7図8に示すタイヤ201の標識部250は、複数の領域区画識別部254を備えるが、これに加えて、図2等に示す領域識別部52を更に設けてもよい(図10参照)。このようにすることで、サイド部20の外面20aのタイヤ周方向Cの位置を、タイヤ201の外部から、より容易に特定できる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明はタイヤに関する。
【符号の説明】
【0091】
1、201:タイヤ、 1a:トレッド部、 1b:サイドウォール部、 1c:ビード部、 2:ビード部材、 2a:ビードコア、 2b:スティフナ、 3:カーカス、 3a:カーカスプライ、 4:ベルト、 4a~4d:ベルト層、 5:サイドゴム、 6:トレッドゴム、 6a:トレッド面、 6a1:ラグ溝、 6a2:周方向溝、 7:インナーライナ、 13:プライ本体部、 14:プライ折り返し部、 20:サイド部、 20a:サイド部の外面、 40:通信装置、 50、250:標識部、 51:領域区画部、 51a:区画線部(領域区画部の一例)、 52:領域識別部、 52a:数字形状部(領域識別部の一例)、 53:情報表示部、 60a~60j:領域区画部により区画されている領域、 100:タイヤ内腔、 254:領域区画識別部、 254a~254j:区画識別線部(領域区画識別部の一例)、 260a~260j:領域区画識別部により区画されている領域、 A:タイヤ幅方向、 B:タイヤ径方向、 C:タイヤ周方向、 CL:タイヤ赤道面、 H:タイヤの高さ、 LA1~LA3:発光領域、 TE:トレッド端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10