(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086400
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】カーペット漂白洗浄剤組成物およびそれを用いたカーペットの漂白洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C11D 3/395 20060101AFI20240620BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20240620BHJP
C11D 3/12 20060101ALI20240620BHJP
D06L 4/12 20170101ALI20240620BHJP
【FI】
C11D3/395
C11D3/37
C11D3/12
D06L4/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201508
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】319001710
【氏名又は名称】シーバイエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【弁理士】
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100207295
【弁理士】
【氏名又は名称】寺尾 茂泰
(72)【発明者】
【氏名】榎本 隆晃
(72)【発明者】
【氏名】菊地原 紀裕
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 剛
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB13
4H003AB27
4H003AC08
4H003AC23
4H003BA12
4H003DA01
4H003DC02
4H003EA21
4H003EA25
4H003EB06
4H003EB08
4H003EB28
4H003ED02
4H003ED29
4H003EE04
4H003FA06
4H003FA16
4H003FA28
4H003FA44
(57)【要約】
【課題】優れた漂白洗浄力を有し、しかも煩雑なシミ取り作業が不要で、簡便な日常メンテナンスでカーペットの美観を維持できるカーペット漂白洗浄剤組成物およびそれを用いたカーペットの漂白洗浄方法を提供する。
【解決手段】下記の(A)~(C)成分を含有し、前記(A)および(B)成分をカーペット漂白洗浄剤組成物全体に対し下記の割合で含有し、JIS Z-8802:1984「pH測定方法」におけるpHが4~8であるカーペット漂白洗浄剤組成物。
(A)過酸化水素:0.1~6質量%
(B)平均分子量2000~30000でガラス転移点が50~150℃であるアルカリ可溶性樹脂:0.05~4質量%
(C)水
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)~(C)成分を含有するカーペット漂白洗浄剤組成物であって、前記(A)および(B)成分をカーペット漂白洗浄剤組成物全体に対し下記の割合で含有し、JIS Z-8802:1984「pH測定方法」におけるpHが4~8であることを特徴とするカーペット漂白洗浄剤組成物。
(A)過酸化水素:0.1~6質量%
(B)平均分子量2000~30000でガラス転移点が50~150℃であるアルカリ可溶性樹脂:0.05~4質量%
(C)水
【請求項2】
さらに、(D)成分を含有し、前記(D)成分をカーペット漂白洗浄剤組成物全体に対し下記の割合で含有する請求項1記載のカーペット漂白洗浄剤組成物。
(D)平均粒子径3~500nmであるコロイダルシリカ:0.01~2.5質量%
【請求項3】
さらに、(E)成分を含有し、前記(E)成分をカーペット漂白洗浄剤組成物全体に対し下記の割合で含有する請求項1または2記載のカーペット漂白洗浄剤組成物。
(E)界面活性剤:0.01~2質量%
【請求項4】
請求項1または2記載のカーペット漂白洗浄剤組成物を用いてカーペットを漂白洗浄する方法であって、前記カーペット漂白洗浄剤組成物の原液または水系溶媒で希釈した希釈洗浄液をカーペット表面に噴霧し、カーペットの汚れを漂白する工程と、該原液または希釈洗浄液の乾燥後に、乾燥固化した組成物を吸引除去する工程と、を有することを特徴とするカーペットの漂白洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーペット漂白洗浄剤組成物およびそれを用いたカーペットの漂白洗浄方法に関し、さらに詳しくは、建物の内部の床等に施工されたカーペットの汚れを漂白し、漂白洗浄剤組成物がカーペットに残留することによる汚染(再汚染)を防ぐことができるカーペット漂白洗浄剤組成物およびそれを用いたカーペットの漂白洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーペットは、その外観や歩行感、保温性、および安全性等において他の床材より優れているため、従来、ホテル、オフィスビル、百貨店、会館、空港、小売店舗、スーパーマーケット、ショッピングモール、娯楽施設等の建物内部の有用な床材として多用されている。これらに施工されたカーペットのメンテナンスは、そのほとんどが施工されたその場でカーペットを洗浄することによって行われており、その洗浄には、カーペットの材質や汚染状況および施工場所における歩行量による汚染の傾向等を把握した上で、カーペット用洗剤とカーペット洗浄機器類、ツール等を組合せて行われている。
【0003】
このようなカーペットを洗浄する方法としては、例えば、シャンプー式洗浄方法、ヤーンパッド(ボンネットバフィング)式洗浄方法、エクストラクション式洗浄方法、パウダー式洗浄方法等があげられるが、これらの方法はそれぞれ一長一短がある。そこで、長所を生かしつつ欠点を排除し得るカーペット用防汚洗浄剤として、特許文献1のものが提案されている。
上記特許文献1のものは、大掛かりなシャンプー洗浄が不要で、簡便な日常メンテナンスでカーペットの美観を維持することができるものの、近年の汚れの多様化および重歩行(例えば、大型商業施設等)を考慮すると、洗浄力がやや不足するおそれがある。特に、シミとなってしまった汚れに対する洗浄力のさらなる向上が望まれている。
【0004】
一方、カーペットのシミ汚れに対しては、スポット的に洗浄する方法がある。具体的には洗浄液を散布・滴下し、ヘラ等で洗浄液をシミ汚れ部分に馴染ませた後、汚れを含ませた洗浄液を清浄な布に吸わせる等して回収する。この作業をシミ汚れが充分に薄くなるまで繰り返し行った後、更に水を用いて洗浄部分を濡らし、水と一緒に洗浄液を回収するといった、煩雑な工程が必要となり、日常的な対応が困難なものとなっている。
これを解決するために漂白剤を洗剤成分の一種として用いた洗浄方法が存在しているが、漂白剤の取り扱いは一般に難しく、過剰漂白によりカーペットの色柄がスポット的に白く抜けてしまう恐れがある。また、洗剤成分が残留すると乾燥後ベタつきが生じ、歩行などにより簡単に再汚染されるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、シミ汚れにも十分に対応できる優れた洗浄力を有し、しかも大掛かりなシャンプー洗浄が不要で、簡便な日常メンテナンスでカーペットの美観を維持することができるカーペット漂白洗浄剤組成物およびそれを用いたカーペットの漂白洗浄方法の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
しかるに本発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、特にシミ汚れに対する洗浄力向上をさらに強化するために、カーペット漂白洗浄剤組成物を長時間残留させるべく、カーペットに対する固定力を高めるのではなく、カーペット漂白洗浄剤組成物をカーペットに浸透し易くして漂白力を高め、所定時間経過後には、漂白成分ごとカーペット漂白洗浄剤組成物を除去することが、シミ汚れに対する洗浄力向上とカーペットへのダメージ軽減との両立を図り、カーペットの美観を長期にわたって保つことができることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の態様を有する。
[1] 下記の(A)~(C)成分を含有するカーペット漂白洗浄剤組成物であって、前記(A)および(B)成分をカーペット漂白洗浄剤組成物全体に対し下記の割合で含有し、JIS Z-8802:1984「pH測定方法」におけるpHが4~8であるカーペット漂白洗浄剤組成物。
(A)過酸化水素:0.1~6質量%
(B)平均分子量2000~30000でガラス転移点が50~150℃であるアルカリ可溶性樹脂:0.05~4質量%
(C)水
[2] さらに、(D)成分を含有し、前記(D)成分をカーペット漂白洗浄剤組成物全体に対し下記の割合で含有する[1]記載のカーペット漂白洗浄剤組成物。
(D)平均粒子径3~500nmであるコロイダルシリカ:0.01~2.5質量%
[3] さらに、(E)成分を含有し、前記(E)成分をカーペット漂白洗浄剤組成物全体に対し下記の割合で含有する[1]または[2]記載のカーペット漂白洗浄剤組成物。
(E)界面活性剤:0.01~2質量%
[4] [1]~[3]のいずれかのカーペット漂白洗浄剤組成物を用いてカーペットを漂白洗浄する方法であって、前記カーペット漂白洗浄剤組成物の原液または水系溶媒で希釈した希釈洗浄液をカーペット表面に噴霧し、カーペットの汚れを漂白する工程と、該原液または希釈洗浄液の乾燥後に、乾燥固化した組成物を吸引除去する工程と、を有することを特徴とするカーペットの漂白洗浄方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、漂白成分としての過酸化水素と、特定のアルカリ可溶性樹脂とをそれぞれ特定量含有し、かつ、pHが特定の範囲になるように設定されているため、十分な漂白力を有しながら、過剰漂白(白抜け)の心配が少なく、安心して使用できる。また、貯蔵安定性および過酸化水素の安定性にも優れる。さらに、カーペット漂白洗浄剤組成物が残存することに起因する再汚染が抑制されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態の例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が、次に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0011】
本発明において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意とともに、「好ましくはXより大きい」または「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)または「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」または「Y未満であることが好ましい」旨の意も包含する。
【0012】
<<カーペット漂白洗浄剤組成物>>
本発明の一実施形態に係る漂白洗浄剤組成物は、下記の(A)~(C)成分を含有し、前記(A)および(B)成分をカーペット漂白洗浄剤組成物全体に対し特定の割合で含有し、JIS Z-8802:1984「pH測定方法」におけるpHが4~8であるカーペット漂白洗浄剤組成物である。
(A)過酸化水素:0.1~6質量%
(B)平均分子量2000~30000でガラス転移点が50~150℃であるアルカリ可溶性樹脂:0.05~4質量%
(C)水
以下、各成分について説明する。
【0013】
<A成分:過酸化水素>
本発明のカーペット漂白洗浄剤組成物(以下「洗浄剤組成物」とすることがある)に用いられる(A)過酸化水素は、漂白性能を担保するために用いられる。そして、その含有量は、洗浄剤組成物全体に対し0.1~6質量%含有されているものであり、0.2~4質量%含有されることがより好ましく、0.2~2質量%含有されることがさらに好ましい。上記含有量が低すぎると洗浄性能が低下する傾向がみられ、上記含有量が高すぎると過剰漂白が生じ、いわゆる白抜けが生じる傾向がみられる。
【0014】
<B成分:アルカリ可溶性樹脂>
本発明の洗浄剤組成物に用いられる(B)成分のアルカリ可溶性樹脂は、上記洗浄剤組成物の有効成分をカーペットの繊維に担持させて、その効果を持続させることを目的として配合されるものであり、通常、常温(23℃)では固体形状であり、液性に応じて中和溶解している。
そして、上記アルカリ可溶性樹脂は、平均分子量(Mw)が2000~30000の範囲にあり、3000~25000の範囲にあることが好ましく、5000~20000の範囲にあることがより好ましい。すなわち、上記アルカリ可溶性樹脂の平均分子量(Mw)が大きすぎると、アルカリ可溶性に劣る傾向がみられ、粘性が著しく高くなったり、ゲル状になったりして好ましくない。一方、上記アルカリ可溶性樹脂の平均分子量(Mw)が2000未満であると、上記有効成分をカーペットの繊維に担持させる樹脂としての硬度を維持できない傾向がみられる。
上記平均分子量(Mw)は、標準ポリスチレン分子量換算による質量平均分子量として算出することができる。
【0015】
また、上記アルカリ可溶性樹脂は、ガラス転移点(Tg)が50~150℃の範囲にあり、70~130℃であることが好ましく、90~110℃であることがより好ましい。上記アルカリ可溶性樹脂のガラス転移点が低すぎると、上記洗浄剤組成物が柔らかくなりすぎてカーペットに固着し、上記洗浄剤組成物を乾燥させた皮膜の崩壊性に乏しくなり、除去が困難になる傾向がみられる。一方、上記アルカリ可溶性樹脂のガラス転移点が高すぎると、アルカリ可溶性樹脂の重合が困難になる傾向がみられる。
【0016】
上記アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-アクリル酸エステル-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル-メタクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸エステル-アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-メタクリル酸エステル-アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-メタクリル酸エステル-メタクリル酸共重合体、アクリル酸エステル-アクリル酸共重合体、メタクリル酸エステル-アクリル酸共重合体、メタクリル酸エステル-メタクリル酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン-無水マレイン酸共重合体、ロジン変性マレイン酸、シェラック等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0017】
上記アルカリ可溶性樹脂としては、なかでも、他成分との組み合わせの容易性や産業上の入手のし易さの点から、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-アクリル酸エステル-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル-アクリル酸共重合体,スチレン-メタクリル酸エステル-メタクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸エステル-アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-メタクリル酸エステル-アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-メタクリル酸エステル-メタクリル酸共重合体が好ましく用いられる。
【0018】
上記(B)成分のアルカリ可溶性樹脂は、洗浄剤組成物全体に対して0.05~4質量%の範囲で配合され、より好ましくは0.2~3質量%の範囲で配合される。すなわち、0.05質量%未満の配合量では、洗浄剤組成物の皮膜化には至らず所望の効果が発揮できない上、界面活性剤が配合された場合のベタつきが抑えられない傾向がみられる。これに対し、上記(B)成分のアルカリ可溶性樹脂を4質量%を超えて配合すると、皮膜強度が大き過ぎてカーペットの繊維に固着し、繊維の風合いを損ねたり、白い皮膜が目立ち外観を損ねたり、掃除機での回収が困難となる等の不具合を生じる。
また、(D)成分であるコロイダルシリカが配合された場合に、洗浄剤組成物中での安定性が低下し、(D)コロイダルシリカの分離、沈降の原因となる傾向がみられる。
【0019】
上記(B)成分のアルカリ可溶性樹脂の製造方法については、特に制限するものではないが、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法を採用することが好ましい。
【0020】
より具体的には、例えば、水性媒体中に上記単量体、乳化剤、重合開始剤、還元剤、連鎖移動剤、キレート化剤、pH調整剤等を添加し、温度30~100℃で1~30時間程度重合反応を行うこと等により、上記(B)成分のアルカリ可溶性樹脂を得ることができる。なお、上記(B)成分のアルカリ可溶性樹脂は、市販のものを用いてもよい。
【0021】
上記乳化重合法によって(B)アルカリ可溶性樹脂を製造するには、例えば、以下に述べる乳化剤、重合開始剤等を用いることができる。
【0022】
上記乳化剤としては、例えば、ジアルキルコハク酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホ琥珀酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、スチレンスルホン酸ナトリウム、アルキルアリルスルホン酸ナトリウム、アルキルアリルスルホ琥珀酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルグリセリンエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェノールアルキルグリセリンエーテルサルフェート等の反応性乳化剤、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、水溶性アクリル酸エステル共重合体、水溶性メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体およびその塩、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体およびそれらの塩、ポリアクリルアミド共重合体、ポリメタクリルアミド共重合体等の高分子系界面活性剤等を用いることができ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0023】
上記乳化剤の望ましい使用量は、通常、単量体質量の0.05~5質量%である。乳化剤の使用量が0.05質量%未満では乳化性に乏しく、一方、5質量%を超えると耐水性に劣ることがある。
【0024】
上記重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、ベンゾイルペルオキシド、t-ブチルヒドロキシペルオキシド等の過酸化物等を用いることができる。これらは亜硫酸水素ナトリウム、ピロ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート等の還元剤を併用したレドックス系として使用してもよい。
【0025】
<C成分:水>
本発明の洗浄剤組成物に用いられる(C)成分の水としては、純水、イオン交換水、軟水、蒸留水、水道水等があげられる。これらは、各々単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、上記「水」は、本発明の洗浄剤組成物を構成する各成分に由来する結晶水や水溶液の形で含まれる水と、外から加えられる水との総和であり洗浄剤組成物全体が100質量%となるようバランスとして配合される。
【0026】
本発明の洗浄剤組成物は、上記(A)~(C)成分を必須成分として調製されるが、さらに各種の任意成分を適宜配合することができる。このような任意成分としては、例えば、(D)コロイダルシリカ、(E)界面活性剤、pH水溶性溶剤、キレート剤、中和成分、防腐剤、香料、増粘剤、殺菌剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
【0027】
<任意成分:(D成分)コロイダルシリカ>
上記(D)成分のコロイダルシリカは、例えば、平均粒子径3~500nmの微粒子状のシリカ(二酸化ケイ素)を水中に分散したものが好適に用いられる。平均粒子径が大きすぎると皮膜形成性(結晶性)が低下する傾向がみられ、小さすぎると皮膜崩壊性が低下する傾向がみられる。
上記平均粒子径は、レーザ回折法により測定される値である。
また、上記(D)コロイダルシリカを用いる場合、固形分として、本発明の洗浄剤組成物中に0.01~10質量%の範囲で配合されることが好ましい。
すなわち、(D)コロイダルシリカの配合量が少なすぎると、(B)アルカリ可溶性樹脂の皮膜を脆くすることができず、皮膜がカーペット繊維に固着してしまう原因となる傾向がみられる。なかでも好ましい配合量は、皮膜を脆くする効果の維持と、組成物中での(D)コロイダルシリカの安定性の維持という点から、上記範囲の中でも0.02~5質量%であり、より好ましくは0.03~2.5質量%である。
【0028】
また、上記(D)成分のコロイダルシリカを用いる場合、皮膜の崩壊性に優れる点から、(B)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して2.5~100質量部の範囲で配合されることが好ましく、10~90質量部の範囲であることがより好ましい。
【0029】
<任意成分:(E成分)界面活性剤>
上記(E)成分の界面活性剤は、洗浄力をさらに向上させるための成分であり、例えば、非イオン界面活性剤では、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ポリグリセリンエステル、脂肪酸ショ糖エステル、脂肪酸アルカノールアミド等があげられる。両性界面活性剤では、アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、アルキルジアミノエチルグリシン、ジアルキルジアミノエチルグリシン、アルキルアミンオキサイド、アルキルエーテルアミンオキサイド、アミドアミンオキサイド等があげられる。
【0030】
また、陰イオン界面活性剤では、アルキル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、メタキシレンスルホン酸塩、パラキシレンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩、ドデシルジフェニルオキサイドジスルホン酸塩等があげられる。これらの陰イオン界面活性剤の対イオンは、ナトリウム、マグネシウム、アンモニウム、エタノールアミン等である。
本発明においては、これらの界面活性剤のうち、非イオン界面活性剤や両性界面活性剤は、一般的にカーペットに散布して放置しても、乾燥した状態にはならず高粘性な液状でベタつきがあるため、カーペットに残留した際、再汚染の原因になりやすいので、(E)界面活性剤を用いる場合、極力少なくする必要がある。
【0031】
その点、陰イオン界面活性剤は、カーペットに散布した際のベタつきが非イオン界面活性剤や両性界面活性剤より少ないので好ましい。特に、エチレンオキサイドが付加されていないラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ドデシルジフェニルオキサイドジスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム等は、カーペットに散布した際に、固形物および半固形物の乾燥状態になりベタつきが少ないため、より好ましい。
なお、陽イオン界面活性剤は、洗浄剤組成物に配合される(B)アルカリ可溶性樹脂と錯体を形成して分離しやすいため配合することは好ましくない。
【0032】
さらに、本発明の洗浄剤組成物は、カーペットに噴霧された後、通常、ブラシ付の掃除機で吸引されるため、洗浄ムラの発生を防止する点から、短時間のうちにカーペットの汚れに均一に浸透することが好ましい。
【0033】
そこで、カーペットへの濡れ性(レベリング性)および浸透性を補足して、より効率的な漂白が可能になる点から、(E)界面活性剤のなかでも、とりわけ、アセチレン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。
上記アセチレン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等があげられる。
上記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキル基を持つ界面活性剤等があげられる。
【0034】
上記(E)界面活性剤を用いる場合の配合量は、洗浄剤組成物全体に対して0.1~10質量%であることが好ましい。
すなわち、0.1質量%未満の配合量では、洗浄力や被洗浄物へのレベリング性に乏しく、また10質量%を超えて配合しても洗浄力等の向上は飽和状態になり、かつ(B)アルカリ可溶性樹脂の機能をもってしても、ベタつきは抑えられなくなる傾向がみられる。
さらには、洗浄作業性を損ねる余分な泡立ちの原因にもなる。
よって、(E)界面活性剤を用いる場合の適切な配合量は、洗浄力とカーペットへの濡れ性(レベリング性)および浸透性およびベタつきと、過剰な泡立ちの防止という点から上記範囲の中でも0.2~5質量%が好ましく、より好ましくは0.3~2.5質量%である。
【0035】
<任意成分:pH調整剤>
本発明の洗浄剤組成物は、十分な漂白力を有しながら、過剰漂白(白抜け)を防止することや、組成物の安定性を維持すること等を考慮して、pH(JIS Z-8802:1984「pH測定方法」による)が、25℃で、4~8に設定されていることを特徴としている。貯蔵安定性および(A)過酸化水素濃度の安定性がより向上する点から、とりわけ5~7.5とすることが好ましい。
本発明の洗浄剤組成物において、上記のpHを達成するためにpH調整剤が必要な場合、そのpH調整に用いられる物質としては、例えば、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸、リン酸、アンモニア、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等があげられ、カーペットのベタつきをより抑えることが可能な点で、クエン酸、リンゴ酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく用いられる。
【0036】
本発明の洗浄剤組成物は、前記必須成分(A)~(C)と、必要に応じて配合されるこれらの任意成分を用いて、通常の、洗浄剤組成物を調製する方法にしたがって調製することができる。
【0037】
本発明の洗浄剤組成物によれば、カーペット繊維に付着、および堆積する汚れに噴霧し、全体に浸透させてカーペットのシミ汚れを漂白洗浄し、さらにその洗浄剤組成物を乾燥させて皮膜化させ、皮膜化した該洗浄組成物をブラシ付きの掃除機等で崩壊、吸引、除去するだけで漂白洗浄作業が完了するため、被洗浄物の素材を傷めることなく、従来に比べてより簡便に汚れを取り除くことができ、洗浄後のカーペットを清浄に仕上げることができる。上記洗浄時に、必要に応じてブラッシング等を行う事により、より洗浄性を向上させることができる。
【0038】
<<カーペットの漂白洗浄方法>>
本発明の洗浄剤組成物を用いたーペットの漂白洗浄方法をより詳しく説明する。
本発明の洗浄剤組成物は、カーペット表面の汚れの度合いに応じて、原液ないしは、水またはぬるま湯等の水系溶媒で2~10倍程度に希釈して使用することができる。
上記洗浄剤組成物は、例えば、シミの大きさ約4cm2に対し、噴霧量として約1~2mLの割合で用いることができる。
通常の雰囲気(温度23℃、湿度40%前後)であれば上記洗浄剤組成物は水等の揮発成分が蒸散して皮膜化するため、例えば、ブラシ付き掃除機等用いることにより、皮膜の崩壊と、この崩壊した皮膜の吸引とを同時に行うことができ、漂白洗浄を終えた後の洗浄剤組成物を容易に除去することができる。
【0039】
このように、本発明の洗浄剤組成物によれば、カーペット汚れ(特にシミ汚れ)に対して漂白洗浄を行うに際し、漂白しすぎることがない。また、簡便な清掃方法であり、作業効率が大幅に向上する。
【実施例0040】
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
[実施例1~20、比較例1~12]
後記の表1~5に示す組成(各表の数値は有り姿で示したものであり、各表の%の単位は質量%である)の洗浄剤組成物を調製し、pH、貯蔵安定性、漂白成分の安定性、漂白力、過剰漂白の抑制性、再防汚性および結晶性(皮膜崩壊性)について評価した。これらの結果を下記の表1~5に併せて示す。
なお、各洗浄剤組成物のpHは、下記のpH調整剤1および2を適宜用いて行ったものであり、各項目の試験方法、評価基準は、下記に示すとおりである。
【0042】
[貯蔵安定性]
(試験方法)
洗浄剤組成物200mLを250mLの透明ポリエチレン瓶に入れ、50℃の雰囲気下または5℃の雰囲気下で、それぞれ1か月間保管した。保管中および保管後の洗浄剤組成物の外観を目視により観察し、50℃および5℃の雰囲気下のいずれかで外観変化がみられた(もしくは、みられなかった)ものを下記の判定基準に基づいて評価した。
【0043】
(評価基準)
◎:保管開始1か月経過しても、分離、沈殿、白濁等の外観変化がみられなかった。
○:保管開始2週間経過後1か月以内に、分離、沈殿、白濁等の外観変化がみられた。
△:保管開始1週間経過後2週間以内に、分離、沈殿、白濁等の外観変化がみられた。
×:保管開始1週間以内に、分離、沈殿、白濁等の外観変化がみられた。
【0044】
[漂白成分の安定性]
(試験方法)
上記貯蔵安定性の試験において、50℃の雰囲気下で1か月保管した洗浄剤組成物の漂白成分の濃度をそれぞれ測定し、下記の判定基準に基づいて評価した。なお、比較例5は漂白成分を含有しておらず、濃度の測定を行っていないため評価を「―」とした。
(評価基準)
◎:漂白成分濃度が作製時濃度の95%以上であった。
○:漂白成分濃度が作製時濃度の90%以上95%未満であった。
△:漂白成分濃度が作製時濃度の85%以上90%未満であった。
×:漂白成分濃度が作製時濃度の85%未満であった。
【0045】
[漂白力]
(試験方法)
白色の綿布にコーヒーを浸漬させて24時間放置した後、水道水で十分に洗浄し乾燥させたものを試験片として準備した。上記試験片に対し洗浄剤組成物を1mL滴下し、室温(23℃近傍)で乾燥させた。上記滴下箇所に、再度、洗浄剤組成物を1mL滴下し、乾燥させることを2回繰り返した(滴下および乾燥3回、合計滴下量3mL)。
洗浄剤組成物を滴下する前の試験片と、滴下および乾燥後の試験片との色差(ΔE
*ab)を、色差計(コニカミノルタ社製 カラーリーダー CR-20)を用いて測定し、下記の計算式で算出した値を下記の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:滴下および乾燥2回時点までに5ポイント以上の色差が見られた。
○:滴下および乾燥3回時点で5ポイント以上の色差が見られた。
△:滴下および乾燥3回時点で3ポイント以上5ポイント未満の色差が見られた。
×:滴下および乾燥3回時点で3ポイント未満の色差が見られた。
【0046】
[過剰漂白の抑制性]
(試験方法)
濃青色のナイロン製タイルカーペットに洗浄剤組成物を1mL滴下し、室温(23℃近傍)で乾燥させる。上記滴下箇所に、再度、洗浄剤組成物を1mL滴下し、乾燥させることを4回繰り返した(滴下および乾燥5回、合計滴下量5mL)。滴下箇所の色合いと、本来のカーペットの色合いとを目視にて観察し、その変化の程度を下記の評価基準に基づいて評価した。なお、比較例5は漂白成分を含有しておらず、色合いの観察を行っていないため評価を「―」とした。
(評価基準)
○:両者の色合いに変化が認められなかった。
×:滴下箇所の色合いが薄くなっていると認められた。
【0047】
[再汚染防止性]
(試験方法)
洗浄剤組成物を固形分として0.2~0.3g/cm2になるように、直径60mmのステンレス製の皿に入れ、10日間、室温下に放置した。放置後、皿に残った洗浄剤組成物(乾燥皮膜または液体)の状態を目視により観察して、下記の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:湿気等の影響を受けず、皮膜にベタつきは一切みられなかった。
○:湿気等の影響を少し受けて、皮膜は僅かにベタついていた。
△:湿気等の影響を受けて、皮膜は激しくベタついていた。
×:洗浄剤組成物の揮発成分が蒸散した時点で既にベタついていたか、液体であった。
【0048】
[結晶性(皮膜崩壊性)]
(試験方法)
上記再汚染防止性試験で得られた洗浄剤組成物(乾燥皮膜または液体)を樹脂製のヘラでこすり、皮膜の硬さと崩壊性を下記の判定基準で評価した。
(評価基準)
◎:皮膜に適度な硬さがあり、力を入れなくとも容易に崩壊した。
○:皮膜に適度な硬さがあり、少しの力で崩壊した。
△:皮膜が硬すぎ、崩壊にかなりの力を要した。
×:力を入れても皮膜が崩壊しない、もしくは皮膜が結晶状態にならず、粉状や液状であった。
【0049】
なお、以下の表1~5に示した成分の詳細は以下のとおりであり、特に記載がないかぎり、各表中の数値は、有効濃度で示している。
【0050】
[A成分:過酸化水素]
・過酸化水素
【0051】
[B成分:アルカリ可溶性樹脂]
・アルカリ可溶性樹脂1:
(ガラス転移点50℃、質量平均分子量8100、酸価53)
商品名:ジョンクリル611、BASFジャパン社製
・アルカリ可溶性樹脂2:
(ガラス転移点73℃、質量平均分子量12500、酸価213)
商品名:ジョンクリル67、BASFジャパン社製
・アルカリ可溶性樹脂3:
(ガラス転移点102℃、質量平均分子量16500、酸価240)
商品名:ジョンクリル690、BASFジャパン社製
・アルカリ可溶性樹脂4:
(ガラス転移点128℃、質量平均分子量17250、酸価214)
商品名:ジョンクリルHDP-671、BASFジャパン社製
【0052】
[B成分以外のアルカリ可溶性樹脂]
・アルカリ可溶性樹脂5:
(ガラス転移点19℃、質量平均分子量60000、酸価65)
商品名:ジョンクリルPDX-6102B、BASFジャパン社製
【0053】
[C成分:水]
・イオン交換水
【0054】
[D成分:コロイダルシリカ]
・コロイダルシリカ1:
(粒子径:4~6nm、不揮発分20%)
商品名:スノーテックスXS、日産化学工業社製
・コロイダルシリカ2:
(粒子径:10~20nm、不揮発分20%)
商品名:スノーテックスC、日産化学工業社製
・コロイダルシリカ3:
(粒子径:70~100nm、不揮発分40%)
商品名:スノーテックスZL、日産化学工業社製
・コロイダルシリカ4:
(粒子径:約450nm、不揮発分40%)
商品名:スノーテックスMP-4540M、日産化学工業社製
【0055】
[E成分:界面活性剤]
・界面活性剤1:
(ドデシルジフェニルオキサイドジスルホン酸ナトリウム、46%)
商品名:ダウファックス2A-1、ダウケミカル社製
・界面活性剤2:
(炭素数12のラウリル硫酸ナトリウム、30%)
商品名:テイカライトN2030、テイカ社製
・界面活性剤3:
(クメンスルホン酸ナトリウム、40%)
商品名:テイカトックスN5040、テイカ社製
・界面活性剤4:
(炭素数12のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、99%以上)
商品名:アデカトールLB-83、アデカ社製
・界面活性剤5:
(ラウリル硫酸ナトリウム、96%)
商品名:エマール10G、花王社製
・界面活性剤6:
(アセチレン系アルコール、100%)
商品名:サーフィノール61、エボニック・ジャパン社製
【0056】
[その他の成分]
・pH調整剤1:
(クエン酸(1水和物))
商品名:クエン酸(結晶)レギュラー、扶桑化学社製
・pH調整剤2:
水酸化ナトリウム
・水溶性溶剤:
(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)
商品名:ブチセノール20、協和発酵工業社製
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
上記の結果から、実施例1~20では、どの評価項目に対しても概ね優れた評価が得られていることがわかる。
一方、(A)および(B)成分のいずれかが含まれていないか、含まれていても本発明で規定する範囲から外れているか、または、pHが本発明で規定する範囲から外れている比較例1~12は、「×」の評価があり、貯蔵安定性、漂白成分の安定性、漂白力、過剰漂白の抑制性、再防汚性および結晶性(皮膜崩壊性)のいずれかに問題があることがわかる。
また、pH4~8の範囲にある実施例では、過酸化水素の安定性と漂白性能のバランスがよいのに対し、pHが4未満である比較例では安定性は高いが漂白性能が低下し、pHが8を超える比較例では漂白成分の安定性に難があることがわかる。また、アルカリ可溶性樹脂についてもpHが4未満である場合には白濁し、貯蔵安定性に劣っている。
本発明のカーペット漂白洗浄剤組成物は、優れた漂白洗浄力を有し、しかも煩雑なシミ取り作業が不要で、簡便な日常メンテナンスでカーペットの美観を維持できるため、従来のシミ取り剤と比べ、省人省力化に貢献できる。