(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086423
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】リスク表示プログラム、リスク表示装置及びリスク表示方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20240620BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20240620BHJP
G06Q 50/26 20240101ALI20240620BHJP
G08G 1/00 20060101ALN20240620BHJP
【FI】
G01C21/26 B
G09B29/00 Z
G06Q50/26
G08G1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201535
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】泰平 苑子
(72)【発明者】
【氏名】逸見 拓弘
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2C032HB05
2C032HC26
2C032HC27
2C032HD23
2F129CC12
2F129DD39
2F129DD62
2F129DD65
2F129EE02
2F129EE26
2F129EE52
2F129EE55
2F129EE81
2F129EE95
2F129FF32
2F129FF36
2F129FF65
2F129HH02
2F129HH12
2F129HH18
2F129HH19
2F129HH20
5H181EE02
5H181EE11
5H181FF10
5H181FF22
5H181FF32
5H181FF40
5H181LL08
5L049CC35
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】算出時点の交通状況には依らず交通事故リスクを算出し表示するリスク表示プログラム、リスク表示装置及びリスク表示方法を提供すること。
【解決手段】リスク表示プログラムは、道路構造情報が対応付けられた道路ブロックを取得し、前記道路構造情報についての交通事故情報を、道路構造情報と交通事故情報とが対応付けられたデータベースから取得し、取得した交通事故情報に基づき、交通事故リスクを算出し、算出した交通事故リスクを、前記道路ブロックに対応する道路区間に重畳表示した地図を出力する処理をコンピュータに実行させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路構造情報が対応付けられた道路ブロックを取得し、
前記道路構造情報についての交通事故情報を、道路構造情報と交通事故情報とが対応付けられたデータベースから取得し、
取得した交通事故情報に基づき、交通事故リスクを算出し、
算出した交通事故リスクを、前記道路ブロックに対応する道路区間に重畳表示した地図を出力する
処理をコンピュータに実行させるリスク表示プログラム。
【請求項2】
前記交通事故リスクは、被害度、発生可能性、及び、責任度に基づき算出する
請求項1に記載のリスク表示プログラム。
【請求項3】
前記交通事故リスクは、信号の有無、又は、地形を加味して算出する
請求項1又は請求項2に記載のリスク表示プログラム。
【請求項4】
前記交通事故リスクを変動させる事故発生時の天候、時間帯、又は、車両速度を含む変動要素を受け付け、
受け付けた変動要素を加味して、前記交通事故リスクを算出する
請求項1又は請求項2に記載のリスク表示プログラム。
【請求項5】
出発地点から到着地点までの経路を構成する複数の前記道路ブロックを取得し、
複数の前記道路ブロック毎に交通事故リスクを算出する
請求項1又は請求項2に記載のリスク表示プログラム。
【請求項6】
算出した前記交通事故リスクの高い前記道路ブロックに対して、低減要素の適用提案を出力する
請求項5に記載のリスク表示プログラム。
【請求項7】
算出した前記交通事故リスクの高い前記道路ブロックを経路として含まない、前記出発地点から前記到着地点までの経路を出力する
請求項5に記載のリスク表示プログラム。
【請求項8】
前記交通事故リスクを値の大小に基づき、表示態様を異ならせて前記地図に表示する
請求項5に記載のリスク表示プログラム。
【請求項9】
前記道路ブロックは、道路区間を交差点又は道路構造の変化がある地点で分割したものである
請求項1又は請求項2に記載のリスク表示プログラム。
【請求項10】
道路構造情報が対応付けられた道路ブロックを取得する第1取得部と、
前記道路構造情報についての交通事故情報を、道路構造情報と交通事故情報とが対応付けられたデータベースから取得する第2取得部と、
取得した交通事故情報に基づき、交通事故リスクを算出する算出部と、
算出した交通事故リスクを、前記道路ブロックに対応する道路区間に重畳表示した地図を出力する出力部と
を備えるリスク表示装置。
【請求項11】
コンピュータが、
道路構造情報が対応付けられた道路ブロックを取得し、
前記道路構造情報についての交通事故情報を、道路構造情報と交通事故情報とが対応付けられたデータベースから取得し、
取得した交通事故情報に基づき、交通事故リスクを算出し、
算出した交通事故リスクを、前記道路ブロックに対応する道路区間に重畳表示した地図を出力する
処理を実行するリスク表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通事故リスクを表示するリスク表示プログラム、リスク表示装置及びリスク表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
交通事故の増加に伴い、事故のリスクを算出することが求められている。特許文献1には以下の事故予測装置が提案されている。事故予測装置は、道路における複数の区間それぞれについて、少なくとも過去の交通状況の情報と過去事故データとを用いて、複数の道路状況ごとに事故の発生しやすさを表す事故発生度が対応付けられた事故発生度情報を作成する。そして、事故予測装置は、複数の区間それぞれについて、現在の交通状況の情報を取得し、所定の時間単位ごとに、複数の区間それぞれについて、事故発生度情報と、現在の交通状況の情報と、に基づいて、現在の事故発生度を算出する。さらに、事故予測装置は、時系列に複数の算出結果を統計的に処理することによって、複数の区間それぞれについて、時間帯ごとの事故発生度の傾向を求め、統計処理結果に基づいて、複数の区間それぞれについて、時間帯ごとの統計的な事故発生度を示す統計事故予測情報を作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術においては、リスクの算出には、算出時点の交通状況の情報が必要であり、算出時点の交通状況には依らない静的なリスク分析には不向きである。本発明はこのような状況に鑑みてなされたものである。その目的は、算出時点の交通状況には依らず交通事故リスクを算出し表示するリスク表示プログラム、リスク表示装置及びリスク表示方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の一態様に係るリスク表示プログラムは、道路構造情報が対応付けられた道路ブロックを取得し、前記道路構造情報についての交通事故情報を、道路構造情報と交通事故情報とが対応付けられたデータベースから取得し、取得した交通事故情報に基づき、交通事故リスクを算出し、算出した交通事故リスクを、前記道路ブロックに対応する道路区間に重畳表示した地図を出力する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0006】
本願の一態様にあっては、算出時点の交通状況には依らず交通事故リスクを算出し表示することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】事故リスク算定システムの構成例を示す説明図である。
【
図2】情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図3】事故リスクの算定手順例を示すフローチャートである。
【
図5】道路属性マスタDBの例を示す説明図である。
【
図6】事故属性マスタDBの例を示す説明図である。
【
図10】ブロック属性DBの例を示す説明図である。
【
図12】ブロック類型DBの例を示す説明図である。
【
図13】事故パターンDBの例を示す説明図である。
【
図14】パターン別リスクDBの例を示す説明図である。
【
図15】類型別リスクDBの例を示す説明図である。
【
図16】ブロック別リスクDBを示す説明図である。
【
図17】道路ブロック作成処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図18】分類作成処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図19】事故パターン作成処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図20】パターン別リスク集計処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図21】類型別リスク算出処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図22】ブロック別リスク設定処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図23】表示処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図25】改善提案処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図26】経路変更提案処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図27】事故リスク更新処理の手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は事故リスク算定システムの構成例を示す説明図である。事故リスク算定システム100は情報処理装置1及びデータベースサーバ2を含む。情報処理装置1及びデータベースサーバ2はネットワークNにより、互いに通信可能に接続されている。情報処理装置1は事故リスクの算定を担当するユーザが利用するコンピュータである。情報処理装置1はデスクトップPC(Personal Computer)、ノートPC、タブレットコンピュータなどで構成する。情報処理装置1をサーバコンピュータ、ワークステーション、複数のコンピュータからなるマルチコンピュータ、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシン、又は、量子コンピュータで構成してもよい。さらに、情報処理装置1の機能をクラウドサービスで実現し、ユーザはシンクライアントを利用して、事故リスクの算定を行ってもよい。データベースサーバ2は事故統計データ等、統計作成機関又は統計作成会社が作成した統計データを記憶する。
【0009】
図2は情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。情報処理装置1は制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、入力部14,表示部15、通信部16及び読み取り部17を含む。制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、入力部14,表示部15、通信部16及び読み取り部17はバスBにより接続されている。
【0010】
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有する。制御部11は、補助記憶部13に記憶された制御プログラム1P(プログラム、プログラム製品)を読み出して実行することにより、事故リスク算定に係る種々の情報処理、制御処理等を行い、第1取得部、第2取得部、算出部、出力部等の機能部を実現する。
【0011】
主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等である。主記憶部12は主として制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0012】
補助記憶部13はハードディスク又はSSD(Solid State Drive)等であり、制御部11が処理を実行するために必要な制御プログラム1Pや各種DB(Database)を記憶する。補助記憶部13は、道路属性マスタDB131、事故属性マスタDB132、ノードDB133、リンクDB134、道路ブロックDB135、ブロック属性DB136、道路類型DB137、ブロック類型DB138、事故パターンDB139、パターン別リスクDB13A、類型別リスクDB13B及びブロック別リスクDB13Cを記憶する。補助記憶部13は情報処理装置1と別体であって、外部接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部13に記憶する各種DB等を、データベースサーバ2やクラウドストレージに記憶してもよい。
【0013】
入力部14はキーボードやマウスである。入力部14は、ユーザによる操作入力を受け付け、操作内容に対応した制御信号を制御部11へ送出する。
【0014】
表示部15は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等である。表示部15は、制御部11からの指示に従って各種の情報を表示する。入力部14及び表示部15を一体化し、タッチパネルディスプレイを構成してもよい。
【0015】
通信部16はネットワークNを介して、データベースサーバ2と通信を行う。また、制御部11が通信部16を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム1Pをダウンロードし、補助記憶部13に記憶してもよい。
【0016】
読み取り部17はCD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROMを含む可搬型記憶媒体1aを読み取る。制御部11が読み取り部17を介して、制御プログラム1Pを可搬型記憶媒体1aより読み取り、補助記憶部13に記憶してもよい。また、半導体メモリ1bから、制御部11が制御プログラム1Pを読み込んでもよい。
【0017】
次に、事故リスク算定システム100を利用した交通事故リスクの算定業務について、大まかな手順を説明する。本明細書において、交通事故リスクの算定は、主として、地域住民だけでなく、路線バスやデマンド交通、宅配の配送車両なども走行する生活道路も含む交通事故リスクを想定している。特に、生活道路の利用場面を想定し、出発地点と目的地点とを定めた経路における交通事故リスクを算定する。なお、以下の説明においては、交通事故リスクを単に事故リスクともいう。
【0018】
図3は事故リスクの算定手順例を示すフローチャートである。情報処理装置1は事故リスクの算定対象である経路を取得する(ステップS1)。経路はベクトルデータである。ベクトルデータは、ノード及びリンクで構成されるデータである。経路がラスタデータで与えられた場合、ユーザがトレース等を行い、情報処理装置1はベクトルデータを取得する。出発地点及び目的地点(到着地点)のみが与えられた場合、情報処理装置1が道路ネットワークデータを利用して、経路を生成してもよい。情報処理装置1は道路ブロックを生成する(ステップS2)。道路ブロックはリンクを道路の属性等で分割したものである。
図4は道路ブロックの作成例を示す説明図である。
図4Aは道路ブロック作成前のベクトルデータを示す。
図4Bは作成された道路ブロックの例を示す。2つのリンクを接続する交差点が追加され、1つのリンクが交差点により2つのリンクに分割されている。道路ブロックの生成に必要な交差点や歩車道区分などの位置データは予め用意されているとする。これらの位置データは、公知のデジタル道路地図(DRM:Digital Road Map)、市区町村等が整備している道路台帳データから取得してもよい。情報処理装置1は生成された道路ブロックを道路属性により分類する(ステップS3)。道路属性は例えば形状(直線、カーブ)、歩車道境界の有無、中央分離帯の有無、交差点、交差点付近などである。本明細書で使用する道路属性については後述する。情報処理装置1は各分類についての事故データを収集・作成する(ステップS4)。交通事故のデータは、公的機関等が提供する交通事故に関する統計データを利用する。統計データに含まれない事故の属性については、ユーザが判断して付与するか、提供されている属性等から所定のアルゴリズムで作成する。情報処理装置1は収集・作成された事故データの分類を行う(ステップS5)。情報処理装置1は事故分類ごとのリスクを算出し、それを足し合わせて、道路分類毎の事故リスクを算出する(ステップS6)。情報処理装置1は道路ブロック毎の事故リスクを記憶する(ステップS7)。道路分類が同じ道路ブロックは事故リスクも同じである。情報処理装置1は道路ブロック毎に事故リスクを表示し(ステップS8)、処理を終了する。例えば、情報処理装置1は事故リスクをランク分けし、ランク毎に道路ブロックを色分けし、地図上に表示する。
【0019】
情報処理装置1に関して、データベース、情報処理の順に説明する。
図5は道路属性マスタDBの例を示す説明図である。道路属性マスタDB131は道路ブロックに付与する属性の定義を記憶する。道路属性マスタDB131は属性名列、値1列、値2列、及び値3列等を含む。属性名列は属性の名称を記憶する。値1列から値3列等は各属性が取り得る値を記憶する。値+数字+列の数は、最も多くの選択肢を取る属性に合わせる。例えば、ある属性が取りうる値が5つの場合、値5列まで設ける。値1列から値3列等において、「-」は値がないこと、及び、以降の列にも値が無いことを示している。
【0020】
図6は事故属性マスタDBの例を示す説明図である。事故属性マスタDB132は交通事故に付与される属性の定義を記憶する。事故属性マスタDB132は項目列、選択肢1列、選択肢2列、及び選択肢3列等を含む。項目列属性項目の名称を記憶する。選択肢1列から選択肢3列等は各項目が取り得る値を記憶する。選択肢+数字+列の数は、最も多くの選択肢を有する項目に合わせる。例えば、ある項目が取りうる選択肢が20個の場合、選択肢20列まで設ける。選択肢1列等において、「-」は値がないことを示している。
【0021】
図7はノードDBの例を示す説明図である。ノードDB133は道路ネットワークデータを構成するノードの情報を記憶する。ノードDB133はノードID列、X列及びY列を含む。ノードID列はノードを一意に特定可能なノードIDを記憶する。X列はノードの位置を示すX座標を記憶する。Y列はノードの位置を示すY座標を記憶する。座標系は地理座標系でも投影座標系でもよい。地理座標系である場合、X列は経度を記憶し、Y列は緯度を記憶する。
【0022】
図8はリンクDBの例を示す説明図である。リンクDB134は道路ネットワークデータを構成するリンクに関するデータを記憶する。リンクDB134はリンクID列、始点列、終点列、中間点列、構成点列、リンク長列、幅員列、及び車線列を含む。リンクID列はリンクを一意に特定可能なリンクIDを記憶する。始点列はリンクの始点となるノードのノードIDを記憶する。終点列はリンクの終点となるノードのノードIDを記憶する。中間列は始点と終点との間に中間点がある場合に、中間点となるノードのノードIDを記憶する。カーブを表現する場合、中間列に複数ノードのノードIDを記憶する。構成点列は、リンクを始点、中間点及び終点で定義することが難しい場合に、リンクを構成する点の座標値を記憶する。カーブの場合、構成点列は複数の中間点の座標値を記憶する。この場合、座標値は始点を基準とした相対座標値でもよい。リンク長列はリンクの長さを記憶する。リンクの長さは対応する道路の路程とし、単位はメートルである。幅員列は道路の幅員を記憶する。単位はメートルである。車線列の道路の車線数を記憶する。
【0023】
図9は道路ブロックDBの例を示す説明図である。道路ブロックDB135は道路ブロックとリンクとの対応関係を記憶する。道路ブロックDB135はNo.列及びリンクID列を含む。No.列は道路ブロックを特定可能な番号を記憶する。リンクID列は道路ブロックを構成するリンクのリンクIDを記憶する。道路ブロックとリンクとが1対1である場合、リンクID列はリンクIDを記憶する。道路ブロックとリンクとが1対多である場合、リンクID列はリンクIDを複数記憶する。
図9では処理対象となる経路が29の道路ブロックから構成されていることを示している。
【0024】
図10はブロック属性DBの例を示す説明図である。ブロック属性DB136は道路ブロックの属性(道路構造情報)を記憶する。ブロック属性DB136はNo.列、道路形状1列、道路形状2列、行動類型(1当)列、信号種別列、地形列、1つ右車線列、1つ右車線との区分列、歩車道区分(左)列、及び歩車道区分(右)列を含む。No.列は道路ブロックの番号を記憶する。道路形状1列は道路形状を示す第1の要素を記憶する。道路形状1列は例えば「単路」、「交差点」等の値を記憶する。道路形状2列は道路形状を示す第2の要素を記憶する。例えば、道路ブロックが交差点に接続する場合、道路形状2列は「交差点付近」を記憶する。第2の要素がない場合、道路形状2列は「-」とする。行動類型(1当)列は、第1当事者が取り得る行動類型を記憶する。第1当事者は、最初に事故に関与した車両等の運転者又は歩行者のうち、当該事故における過失が重い者をいう。また、過失が同程度の場合には人身損傷程度が軽い者を第1当事者とする。なお、本明細書においては、1当が車両である事故を想定しているが、それに限らない。行動類型(1当)列は例えば「直進」、「左折」、「右折」等の値を記憶する。1つ右車線列は1つ右隣の車線についての情報を記憶する。1つ右車線列は例えば「なし」、「対向車線」等の値を記憶する。交差点では右隣の車線は定義し得ないので、1つ右車線列は「-」とする。1つ右車線との区分列は1つ右隣の車線とを区分するものとして設置されているものを記憶する。1つ右車線との区分列は、「なし」、「分離帯」等の値を記憶する。車道中央線に加えて、門型車線分離標が設置されている場合、1つ右車線との区分列は、「白線、門型車線分離標」との値を記憶してもよい。歩車道区分(左)列は左側の状況を記憶する。歩車道区分(左)列は例えば「区分あり(縁石)」、「なし」等の値を記憶する。歩車道区分(右)列は右車線がある場合、その車線とその右側の歩道との区分の状況を記憶する。歩車道区分(右)列は歩車道区分(左)列と同様な値を記憶する。
【0025】
図11は道路類型DBの例を示す説明図である。道路類型DB137は道路ブロックをその属性により分類した場合に、分類毎の各属性の値、すなわち類型を記憶する。道路類型DBは類型ID列、道路形状1列、道路形状2列、行動類型(1当)列、信号種別列、地形列、1つ右車線列、1つ右車線との区分列、歩車道区分(左)列、及び歩車道区分(右)列を含む。類型ID列は類型を一意に特定可能なIDを記憶する。道路形状1列から歩車道区分(右)列は、
図10に示したブロック属性DB136の同名列と同様な値を記憶するので、説明を省略する。
【0026】
図12はブロック類型DBの例を示す説明図である。ブロック類型DB138は各道路ブロックに対応する道路の類型を記憶する。ブロック類型DB138はNo.列及び類型ID列を含む。No.列は道路ブロックの番号を記憶する。類型ID列は道路ブロックに対応する類型の類型IDを記憶する。
【0027】
図13は事故パターンDBの例を示す説明図である。事故パターンDB139は道路類型毎に過去に発生した事故のパターンを記憶する。事故パターンDB139は類型ID列、No.列、事故類型1列、事故類型2列、当事者種別(2当)列、道路形状1列、道路形状2列、行動類型(1当)列、死者列、重症列、軽症列及び総数列を含む。類型ID列は道路類型を示す類型IDを記憶する。No.列は事故パターンの順番号を記憶する。事故類型1列は事故に関係した車両等の情報を記憶する。「人対車両」は人と車両とが関係した事故であることを示す。「車両単独」は、事故に関係したのが1台の車両のみであることを示す。事故類型2列は当事者の事故時の行動を記憶する。「対面通行」は当事者が対面通行していたことを示す。「その他」は予め定めた類型以外の行動を示す。当事者種別(2当)列は事故の第2当事者の種別を記憶する。第2当事者は第1当事者以外の事故の当事者である。道路形状列1及び道路形状2列は事故が発生した道路の形状を記憶する。行動類型(1当)列は、第1当事者の行動類型を記憶する。死者列、重症列、軽症列はそれぞれ各事故パターンの死者数、重症者数、軽症数を記憶する。総数列は各事故パターンの死傷者の総数を記憶する。
【0028】
事故パターンDB139において、事故類型1列、事故類型2列、当事者種別(2当)列、道路形状1列、道路形状2列、及び、行動類型(1当)列は、
図6に示した事故属性マスタDB132に定義された値を記憶する。事故パターンDB139は、道路類型DB137と交通事故に関する統計データとを対照して作成される。
【0029】
図14はパターン別リスクDBの例を示す説明図である。パターン別リスクDB13Aは、事故パターン毎のリスクを記憶する。パターン別リスクDB13Aは類型ID列、No.列、被害度列、発生頻度列、物理的発生可能性列、責任度列、及びパターン別リスク列を含む。類型ID列は道路類型を示す類型IDを記憶する。No.列は事故パターンの順番号を記憶する。被害度列は事故による被害の大きさを示す被害度を記憶する。被害度は、例えば、死亡者数と重症者数との和を当該事故パターンの件数で除した値とする。発生頻度列は事故の発生頻度を記憶する。発生頻度は、例えば当該事故パターンの件数を事故の総数で除した値とする。物理的発生可能性列は物理的発生可能性を記憶する。物理的発生可能性の値は0又は1とする。物理的発生可能性は、歩車道区分など走行環境の特徴上発生しない事故パターンを排除するための値である。物理的発生可能性の値は通常1とし、走行環境の特徴上発生しない事故パターンの場合は0とする。発生頻度に物理的発生可能性を掛けた値を発生可能性とする。責任度列は責任度を記憶する。責任度の値は0又は1とする。責任度は四輪車以外の当事者の責任が重いか否かを示す値である。責任度の値は通常1とし、四輪車以外の当事者の責任が重い場合は0とする。パターン別リスク列は、各パターンの事故リスクを記憶する。事故リスクは、被害度×発生可能性(=発生頻度×物理的発生可能性)×責任度とする。
【0030】
パターン別リスクを算出する際のパラメータとして、上記被害度、発生可能性、責任度の以外に、信号の有無、若しくは、地形、又は、事故発生時の天候、時間帯、車両の通行速度を加えてもよい。
【0031】
図15は類型別リスクDBの例を示す説明図である。類型別リスクDB13Bは道路類型毎の事故リスクを記憶する。類型別リスクDB13Bは類型ID列及びリスク列を含む。類型ID列は道路類型を示す類型IDを記憶する。リスク列は各類型の事故リスクを記憶する。当該事故リスクは、パターン別リスクDB13Aのパターン別リスクを類型毎に足し合わせた値である。
【0032】
図16はブロック別リスクDBを示す説明図である。ブロック別リスクDB13Cは道路ブロック毎の事故リスクを記憶する。ブロック別リスクDB13CはNo.列、類型ID列、リスク点数列、及びランク列を示す。No.列は道路ブロックの番号を記憶する。類型ID列は道路類型を示す類型IDを記憶する。リスク点数列は事故リスクの値を記憶する。リスクは道路類型毎に求めたので、同じ道路類型の道路ブロックは同じリスクの値を持つ。ランク列は事故リスクのランクを記憶する。ここでは事故リスクを5段階に分けて、リスクが最も低い値域をランク1、リスクが最も高い値域をランク5としている。
【0033】
情報処理装置1が行う情報処理について説明する。
図17は道路ブロック作成処理の手順例を示すフローチャートである。ノードとリンクとで構成された経路データを情報処理装置1は得ているものとする。情報処理装置1の制御部11は始点から始まるリンクを選択する(ステップS21)。制御部11は選択したリンクに変化点が含まれているか否かを判定する(ステップS22)。変化点とはリンクの途中に交差点がある、区間の途中に横断歩道があるなどである。交差点や歩車道区分の有無については、別途、整備したポイントデータや注記データ等を用いて判定する。歩車道区分の有無については、地図提供サイトから提供される航空写真を用いて判定することも可能である。制御部11は選択したリンクに変化点が含まれていると判定した場合(ステップS22でYES)、変化点でリンクを分割する(ステップS23)。制御部11は分割したリンクそれぞれを別々の道路ブロックとして番号を付与し、分割して得たリンクのリンクIDと対応付けて、道路ブロックDB135に記憶する(ステップS24)。なお、1つのリンクに変化点が複数ある場合は、リンクを3つ以上に分割する。制御部11は選択したリンクに変化点が含まれていないと判定した場合(ステップS22でNO)、発番した道路ブロックの番号と、選択しているリンクのリンクIDとを対応付けて、道路ブロックDB135に記憶する(ステップS24)。制御部11は未処理のリンクが有るか否かを判定する(ステップS25)。制御部11は未処理のリンクが有ると判定した場合(ステップS25でYES)、処理をステップS21へ戻し、未処理のリンクに対する処理を行う。制御部11は未処理のリンクがないと判定した場合(ステップS25でNO)、処理を終了する。ここでは、道路ブロックは31個となっている。
【0034】
図18は分類作成処理の手順例を示すフローチャートである。制御部11は各道路ブロックの属性を生成し、ブロック属性DB136に記憶する(ステップS31)。属性は道路ブロックを構成するリンクの属性や、地図提供サイトや市区町村が提供している道路台帳平面図等から取得する。データ取得が困難な属性については、ユーザに入力させる。制御部11をブロック属性DB136に記憶している道路ブロックの属性を用いて、道路ブロックをグループ化する(ステップS32)。制御部11は各グループに類型IDを発番し、類型IDと属性とを対応付けて、道路類型DB137に記憶し、各グループに含まれる道路ブロックの番号と類型IDとを対応付けて、ブロック類型DB138に記憶し(ステップS33)、処理を終了する。ここでは、31個の道路ブロックが、13の類型にグループ化されている。
【0035】
図19は事故パターン作成処理の手順例を示すフローチャートである。制御部11は処理対象とする道路類型を選択する(ステップS41)。制御部11は選択した道路類型で発生した事故データを取得する(ステップS42)。制御部11は必要な属性であって、取得した事故データに含まれていない属性については、提供されている属性等から所定のアルゴリズムで生成するか、ユーザに判断させて取得する(ステップS43)。制御部11は属性に基づいて事故の分類を行う(ステップS44)。以降、事故の個々の分類を事故パターンと呼ぶ。制御部11は事故パターン毎に事故件数、死亡者数、重症者数、軽症者数を集計する(ステップS45)。制御部11は結果を事故パターンDB139に記憶する(ステップS46)。制御部11は未処理の道路類型が有るか否かを判定する(ステップS47)。制御部11は未処理の道路類型が有ると判定した場合(ステップS47でYES)、処理をステップS41へ戻し、未処理の道路類型についての処理を行う。制御部11は未処理の道路類型がないと判定した場合(ステップS47でNO)、処理を終了する。
【0036】
図20はパターン別リスク集計処理の手順例を示すフローチャートである。制御部11は処理対象とする道路類型を選択する(ステップS61)。制御部11は選択した道路類型に対応付けられた事故パターンを選択する(ステップS62)。制御部11は選択した事故パターンの物理的発生可能性を設定する(ステップS63)。例えば、「1つ右車線との区分」が「分離帯」の場合、相手位置が「対向」「右から」「右側(2車線の場合は除外しない)」である事故パターンについては、物理的発生可能性を0とする。設定する11は責任度の設定を行う(ステップS64)。例えば、四輪車と歩行者との事故において、歩行者の過失割合が5割を超えた場合、責任度を0とする。制御部11は被害度を算出する(ステップS65)。被害度は、ここでは死亡者数を事件数で除した値とする。制御部11は発生頻度を算出する(ステップS66)。ここでは発生頻度は、当該事故パターンの件数を事故の総数で除した値とする。制御部11はリスクを算出する(ステップS67)。リスクは被害度×物理的発生可能性×責任度である。制御部11は設定又は算出した値をパターン別リスクDB13Aへ記憶する(ステップS68)。制御部11は未処理の事故パターンがあるか否かを判定する(ステップS69)。制御部11は未処理の事故パターンがあると判定した場合(ステップS69でYES)、処理をステップS62へ戻し、未処理の事故パターンに対する処理を行う。制御部11は未処理の事故パターンがないと判定した場合(ステップS69でNO)、未処理の道路類型があるか否かを判定する(ステップS70)。制御部11は未処理の道路類型があると判定した場合(ステップS70でYES)、処理をステップS61へ戻し、未処理の道路類型に対する処理を行う。制御部11は未処理の道路類型がないと判定した場合(ステップS70でNO)、処理を終了する。
【0037】
図21は類型別リスク算出処理の手順例を示すフローチャートである。制御部11は処理対象とする道路類型を選択する(ステップS81)。制御部11は選択した道路類型の事故リスクを算出する(ステップS82)。道路類型の事故リスクは、道路類型に対応付けられた事故パターン毎の事故リスクを足し合わせたものである。制御部11は算出したリスクを選択した道路類型の類型IDと対応付けて、類型別リスクDB13Bに記憶する(ステップS83)。制御部11は未処理の道路類型があるか否かを判定する(ステップS84)。制御部11は未処理の道路類型があると判定した場合(ステップS84でYES)、処理をステップS81へ戻し、未処理の道路類型に対する処理を行う。制御部11は未処理の道路類型がないと判定した場合(ステップS84でNO)、処理を終了する。
【0038】
図22はブロック別リスク設定処理の手順例を示すフローチャートである。制御部11は処理対象とする道路ブロックを選択する(ステップS101)。制御部11は選択した道路ブロックに対応した類型IDを、ブロック類型DB138から取得する(ステップS102)。制御部11は類型IDと対応付けられた事故リスクを類型別リスクDB13Bから取得する(ステップS103)。制御部11は道路ブロックの番号、類型ID、及び事故リスクを対応付けてブロック別リスクDB13Cに記憶する(ステップS104)。制御部11は未処理の道路ブロックがあるか否かを判定する(ステップS105)。制御部11は未処理の道路ブロックがあると判定した場合(ステップS105でYES)、処理をステップS101へ戻し、未処理の道路ブロックに対する処理を行う。制御部11は未処理の道路類型がないと判定した場合(ステップS105でNO)、ランキングを行う(ステップS106)。例えば、5段階にランキングする場合、事故リスクの最小値から最大値までの区間を5つの区間分割し、各道路ブロックの事故リスクの値が、どの区間に入るかによって、1から5のランキング値を設定する。制御部11は求めたランキング値をブロック別リスクDB13Cに記憶し(ステップS107)、処理を終了する。
【0039】
図23は表示処理の手順例を示すフローチャートである。制御部11は表示対象である経路を構成する道路ブロックを取得する(ステップS121)。制御部11は道路ブロックDB135を参照して、道路ブロックに対応するリンクIDを取得する(ステップS122)。制御部11は取得したリンクIDに対応するリンクの全てが表示可能な描画範囲を設定する(ステップS123)。制御部11は描画範囲に対応する背景地図を取得する(ステップS124)。背景地図は補助記憶部13に記憶しておいてもよいし、地図提供サイトから取得してもよい。制御部11はブロック別リスクDB13Cから各道路ブロックのランクを取得し、ランク別の表示設定を行う(ステップS125)。表示設定は例えば、ランク毎に表示色を変えたり、ハッチングを変えたりする。表示設定にしたがって、経路を構成する全ての道路ブロックに対応したリンク(道路区間)を描画した道路地図を作成する(ステップS126)。制御部11は背景地図と道路地図とを重ねた表示用地図を出力し(ステップS127)、処理を終了する。
【0040】
図24は地図表示画面の例を示す説明図である。B+数字の数字は道路ブロックの番号を示す。
図24で示す経路は29個の道路ブロックで構成されている。各道路ブロックは事故リスクに合わせて、表示態様が異なっている。
【0041】
本実施の形態では、道路ブロック毎に交通事故のリスクを算出し、地図に表示することが可能となる。
【0042】
上述の説明において、事故リスクの算出には被害度、発生可能性、責任度を用いたが、その他の要素を加えてもよい。例えば信号有無、地形である。地域の「地形(市街地/非市街地)」、交差点を含むブロックの「信号有無」を加重平均して事故リスクの値に反映し、各事故パターンに当てはめる。また、変動要素として「天候」「時間帯」「車両速度」を用いてもよい。「天候」は事故発生時の天候である。「時間帯」は事故発生の時間帯である。時間帯はどのような区切りでもよいが、例えば、昼、夜、明、暮などに分ける。ここで、昼、夜とは、明、暮以外の昼間又は夜間をいう。昼間とは日の出から日の入りまでを、夜間とは日の入りから日の出までをいう。明とは、日の出の前後1時間の間をいう。暮とは、日の入りの前後1時間の間をいう。「車両速度」は事故を起こした車両の速度である。変動要素について、交通事故統計情報より加重平均を行い、事故リスクの値に反映する。これにより、「天候は晴れ」「時間帯は昼」「速度は40km/h」の場合の交通事故リスクを定量化することができる。
【0043】
(改善提案機能)
上述のように事故リスク算定システム100は、評価対象の経路について、当該経路を構成する道路ブロック毎に事故リスクを算出可能である。そこで、主に道路管理者を対象として、事故リスクを低減するための改善提案(低減要素の適用提案)を行ってもよい。以下、改善提案機能に付いて説明する。
【0044】
改善提案機能では、経路を構成する道路ブロックの中で、事故リスクが高いものに対して、リスク低減策を提案する。
図25は改善提案処理の手順例を示すフローチャートである。制御部11は類型別リスクDB13Bから道路類型毎の事故リスクを取得する(ステップS141)。制御部11は事故リスクが最も高い道路類型を選択する(ステップS142)。制御部11は選択した道路類型の属性「1つ右車線」が「対向車線」であるか否か判定する(ステップS143)。制御部11は属性「1つ右車線」が「対向車線」であると判定した場合(ステップS143でYES)、道路類型の属性「1つ右車線との区分」が「分離帯」であるか否かを判定する(ステップS144)。制御部11は属性「1つ右車線との区分」が「分離帯」でないと判定した場合(ステップS144でNO)、事故パターンDB139を参照し、該当事故パターンがある否かを判定する(ステップS145)。ここでの該当事故パターンは、「相手位置」が、「対向」「右から」「右側(2車線の場合は除外しない)」である事故パターンである。制御部11は該当事故パターンがあると判定した場合(ステップS145でYES)、ブロック類型DB138を参照し、選択した道路類型に該当する道路ブロックを特定する(ステップS146)。制御部11は提案を作成する(ステップS147)。ここでの提案内容は、該当する道路ブロックに分離帯を設けるという提案である。制御部11は提案を出力し(ステップS148)、処理を終了する。制御部11は該当事故パターンがないと判定した場合(ステップS145でNO)、属性「1つ右車線との区分」が「分離帯」であると判定した場合(ステップS144でYES)、又は、属性「1つ右車線」が「対向車線」でないと判定した場合(ステップS143でNO)、処理をステップS142へ戻し、事故リスクの高さが時点の道路類型を選択して処理を継続する。
【0045】
図25では、対向車線があり分離帯が設けられていない道路ブロックにおいて、分離帯を設けることにより事故リスクが低減する場合に、分離帯の設置を提案する場合の処理であるが、それに限定されない。歩車道区分がない道路において、歩車道区分を設けると事故リスクが低減する場合、歩車道区分の設置を提案することも考えられる。
【0046】
(経路変更提案機能)
改善提案機能は、主に道路管理者を対象として、経路を構成する道路ブロックの中で、事故リスクが高いものに対して、リスク低減策を提案する機能である。経路変更提案機能は、主に経路設定者又は経路利用者を対象とした機能である。以下、経路偏光提案機能値ついて説明する。
【0047】
経路変更提案機能では、経路を構成する道路ブロックの中で、事故リスクが高いものについて、迂回路経路を提案する。
図26は経路変更提案処理の手順例を示すフローチャートである。制御部11は類型別リスクDB13Bから道路類型毎の事故リスクを取得する(ステップS161)。制御部11は事故リスクが最も高い道路類型を選択する(ステップS162)。制御部11は、ブロック類型DB138を参照し、選択した道路類型に該当する道路ブロックを特定する(ステップS163)。制御部11は対象とする道路ブロックを選択する(ステップ164)。制御部11は選択した道路ブロックに代わる迂回路を取得する(ステップS165)。迂回路の取得については公知の技術で実現可能であるので説明を省略する。制御部11は迂回路の事故リスクを取得する(ステップS166)。迂回路の事故リスクは次のように求める。制御部11は、迂回路より道路ブロックを生成し、各道路ブロックの事故リスクを算出する。道路ブロックの生成、事故リスクの算出は上述したとおりである。制御部11は各道路ブロックの事故リスクを足し合わせた事故リスクを迂回路の事故リスクとする。制御部11は迂回路の事故リスクが選択した道路ブロックよりも低減したか否かを判定する(ステップS167)。制御部11は事故リスクが低減していないと判定した場合(ステップS167でNO)、処理をステップS164へ戻し、他の道路ブロックについての処理を継続する。制御部11は事故リスクが低減したと判定した場合(ステップS167でYES)、迂回路を含めた新しい経路の提案を作成する(ステップS168)。制御部11は提案を出力し(ステップS169)、処理を終了する。
【0048】
(検討機能)
検討機能は、主に道路管理者を対象とする機能である。検討機能は、事故リスクを低減するために、変動要素の設置を検討する際に用いる。
図27は事故リスク更新処理の手順例を示すフローチャートである。制御部11は道路ブロックの番号、設置を検討している変動要素の情報を取得する(ステップS181)。制御部11は取得した番号の道路ブロックに変動要素が設置されたとして、道路ブロックの属性を更新する(ステップ182)。制御部11は更新後の属性に該当する道路類型がある否かを判定する(ステップS183)。制御部11は該当する道路類型がないと判定した場合(ステップS183でNO)、道路類型DB137に道路類型を追加する(ステップ184)。制御部11は追加した道路類型の事故リスクを算出する(ステップS185)。事故リスクの算出方法は上述したので説明を省略する。制御部11は類型別リスクDB13B、ブロック別リスクDB13Cを更新する(ステップS186)。制御部11は事故リスクを更新した地図を出力し(ステップS187)、処理を終了する。制御部11は該当する道路類型があると判定した場合(ステップS183でYES)、ブロック別リスクDB13Cに記憶してある道路ブロックの事故リスクを更新する(ステップS188)。制御部11はステップS187以降を実行する。
【0049】
各実施の形態で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
また、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0050】
100 事故リスク算定システム
1 情報処理装置
11 制御部
12 主記憶部
13 補助記憶部
131 道路属性マスタDB
132 事故属性マスタDB
133 ノードDB
134 リンクDB
135 道路ブロックDB
136 ブロック属性DB
137 道路類型DB
138 ブロック類型DB
139 事故パターンDB
13A パターン別リスクDB
13B 類型別リスクDB
13C ブロック別リスクDB
14 入力部
15 表示部
16 通信部
17 読み取り部
1P 制御プログラム
1a 可搬型記憶媒体
1b 半導体メモリ
2 データベースサーバ
B バス
N ネットワーク