(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086426
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】放熱構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/14 20060101AFI20240620BHJP
H02K 9/22 20060101ALI20240620BHJP
H02K 5/18 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H02K15/14 Z
H02K9/22 Z
H02K5/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201540
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】岩垣 洋平
(72)【発明者】
【氏名】中野 淳一
(72)【発明者】
【氏名】上津原 才司
【テーマコード(参考)】
5H605
5H609
5H615
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605BB05
5H605CC01
5H605DD12
5H605GG02
5H609PP05
5H609QQ01
5H609QQ23
5H609RR63
5H615AA01
5H615BB01
5H615SS16
5H615TT16
(57)【要約】
【課題】機械的強度の高い放熱構造体を低コストで製造する方法を提供すること。
【解決手段】放熱構造体の製造方法は、円筒形状を有する第1構造体に対して、板形状を有する複数の第2構造体を、加圧しながら通電抵抗加熱により溶接することを含む。上記放熱構造体の製造方法において、前記第2構造体は、前記第1構造体に溶接される側に突起部を有してもよい。前記第1構造体は、前記第2構造体の前記突起部が延伸する方向と交差する方向に第2突起部を有してもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状を有する第1構造体に対して、一つ以上の第2構造体を、加圧しながら通電抵抗加熱により溶接することを含む、放熱構造体の製造方法。
【請求項2】
前記第2構造体は、前記第1構造体に溶接される側の端部に突起部を有する、
請求項1に記載の放熱構造体の製造方法。
【請求項3】
前記第2構造体は、前記第1構造体に溶接される側の端部に複数の突起部を有する、
請求項1に記載の放熱構造体の製造方法。
【請求項4】
前記第1構造体は、前記第2構造体の前記突起部が延伸する方向と交差する方向に第2突起部を有する、
請求項2に記載の放熱構造体の製造方法。
【請求項5】
前記第2構造体は、板形状、柱形状または筒形状を有する、
請求項1に記載の放熱構造体の製造方法。
【請求項6】
前記第2構造体は、湾曲部を有する、
請求項5に記載の放熱構造体の製造方法。
【請求項7】
前記第1構造体の材料と、前記第2構造体の材料は同じである、
請求項1に記載の放熱構造体の製造方法。
【請求項8】
前記第1構造体と前記前記第2構造体は同一の組成を有し、それぞれアルミニウム、亜鉛、マグネシウム、および銅を含む、
請求項1に記載の放熱構造体の製造方法。
【請求項9】
前記第1構造体と前記前記第2構造体は同一の組成を有し、それぞれアルミニウム、マグネシウム、およびケイ素を含む、
請求項1に記載の放熱構造体の製造方法。
【請求項10】
前記一つ以上の第2構造体は、複数の第2構造体を含み、
前記複数の第2構造体の一つを、固定具に固定して前記第1構造体の第1位置に溶接し、
前記複数の第2構造体の一つを固定解除した後、前記第1構造体を回転させて、前記複数の第2構造体の他の一つを、前記固定具に固定して前記第1構造体の前記第1位置に隣接する第2位置に溶接する、
請求項1に記載の放熱構造体の製造方法。
【請求項11】
前記固定具は、前記複数の第2構造体の一つを吸着することによって固定する、
請求項10に記載の放熱構造体の製造方法。
【請求項12】
前記第1構造体は、前記放熱構造体のハウジングを構成し、
前記第2構造体は、前記放熱構造体のフィンを構成する、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の放熱構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、冷却機能を備える放熱構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータやインバータ、ポンプ、コンプレッサなどの電動機は、駆動時に発熱するため、電動機を収容するケース(電動機用ケース)に放熱用のフィンが取り付けられることがある。例えば特許文献1には、複数のフィンが設けられた円筒状の電動機用ケースが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電動機用ケースの場合、アルミニウムを押出成形や切削加工にすることによって製造される。しかしながら、押出成形の場合、専用の金型を用意する必要がある。また、切削加工の場合、長い加工時間を必要するとともに、切削された部分は廃棄されてしまうために、材料のムダが生じる。このため、電動機用ケースを製造するためのコストが高くなってしまう。
【0005】
上記課題を鑑み、本発明は、放熱構造体を低コストで製造する方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の一実施形態によれば、円筒形状を有する第1構造体に対して、一つ以上の第2構造体を、加圧しながら通電抵抗加熱により溶接することを含む、放熱構造体の製造方法が提供される。
【0007】
上記放熱構造体の製造方法において、前記第2構造体は、前記第1構造体に溶接される側の端部に突起部を有してもよい。
【0008】
上記放熱構造体の製造方法において、前記第2構造体は、前記第1構造体に溶接される側の端部に複数の突起部を有してもよい。
【0009】
上記放熱構造体の製造方法において、前記第1構造体は、前記第2構造体の前記突起部が延伸する方向と交差する方向に第2突起部を有してもよい。
【0010】
上記放熱構造体の製造方法において、前記第2構造体は、板形状、柱形状または筒形状を有してもよい。
【0011】
上記放熱構造体の製造方法において、前記第2構造体は、湾曲部を有してもよい。
【0012】
上記放熱構造体の製造方法において、前記第1構造体の材料と、前記第2構造体の材料は同じであってもよい。
【0013】
上記放熱構造体の製造方法において、前記第1構造体と前記前記第2構造体は同一の組成を有し、それぞれアルミニウム、亜鉛、マグネシウム、および銅を含んでもよい。
【0014】
上記放熱構造体の製造方法において、前記第1構造体と前記前記第2構造体は同一の組成を有し、それぞれアルミニウム、マグネシウム、およびケイ素を含んでもよい。
【0015】
上記放熱構造体の製造方法において、前記一つ以上の第2構造体は、複数の第2構造体を含み、前記複数の第2構造体の一つを、固定具に固定して前記第1構造体の第1位置に溶接し、前記複数の第2構造体の一つを固定解除した後、前記第1構造体を回転させて、前記複数の第2構造体の他の一つを、前記固定具に固定して前記第1構造体の前記第1位置に隣接する第2位置に溶接してもよい。
【0016】
上記放熱構造体の製造方法において、前記固定具は、前記複数の第2構造体の一つを吸着することによって固定してもよい。
【0017】
上記放熱構造体の製造方法において、前記第1構造体は、放熱構造体のハウジングを構成し、前記第2構造体は、放熱構造体のフィンを構成してもよい。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、放熱構造体を低コストで製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る放熱構造体の模式的斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る放熱構造体の模式的上面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る放熱構造体の模式的斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る放熱構造体の模式的斜視図である。
【
図5A】本発明の一実施形態に係る放熱構造体の模式的斜視図である。
【
図5B】本発明の一実施形態に係る放熱構造体の模式的斜視図である。
【
図6A】本発明の一実施形態に係る放熱構造体の模式的斜視図である。
【
図6B】本発明の一実施形態に係る放熱構造体の模式的斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る放熱構造体の模式的側面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る放熱構造体の模式的斜視図である。
【
図9A】本発明の一実施形態に係る放熱構造体の製造方法を示す模式的側面図である。
【
図9B】本発明の一実施形態に係る放熱構造体の製造方法を示す模式的側面図である。
【
図10A】本発明の一実施形態に係る放熱構造体の製造方法を示す模式的側面図である。
【
図10B】本発明の一実施形態に係る放熱構造体の製造方法を示す模式的側面図である。
【
図10C】本発明の一実施形態に係る放熱構造体の製造方法を示す模式的側面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る放熱構造体の製造方法を示す模式的側面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る放熱構造体の製造方法を示す模式的側面図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る板構造体の模式的側面図である。
【
図14A】本発明の一実施形態に係る板構造体の模式的側面図である。
【
図14B】本発明の一実施形態に係る板構造体の模式的側面図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る放熱構造体の製造方法を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本出願で開示される発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0021】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0022】
以下、本発明の実施形態の一つである放熱構造体100とその製造方法について説明する。
【0023】
(1.放熱構造体の構造)
図1と
図2に放熱構造体100の模式的斜視図と上面図をそれぞれ示す。放熱構造体100は、円筒形状を有する金属製のハウジング102、およびハウジング102の外周(外壁)に設けられ、ハウジング102から放射状に延伸する金属製の複数のフィン104を備える。ハウジング102の内部に種々の電動機が収容される。図示しないが、放熱構造体100の外部または内部に、放熱構造体100を冷却するための冷媒を還流するための流路を設けてもよい。以下、各図面において、ハウジング102の円筒形状の軸が延伸する方向をz方向とし、z方向に垂直であり、互いに直交する方向をx方向とy方向とする。
【0024】
ハウジング102の大きさ(円筒形状の外径やz方向の長さ)は電動機の種類や大きさによって適宜選択される。例えば、外径は200mm以上500mm以下でもよく、z方向の長さは30mm以上300mm以下でもよい。ハウジング102のアスペクト比(外径/長さ)は、例えば1以上20以下でもよい。また、ハウジング102の厚さ(外径と内径の差の1/2)も放熱構造体100に要求される強度によって選択され、例えば1mm以上20mm以下の範囲から選択すればよい。フィン104の厚さや高さ(ハウジング102の外壁からz方向に垂直な方向の長さ)、間隔も、放熱構造体100に要求される冷却効率やフィン104の数に応じて適宜選択され、例えば厚さは0.5mm以上5mm以下の範囲から、高さは30mm以上90mm以下、間隔は1mm以上20mm以下の選択から選択すればよい。
【0025】
図1や
図2に示すように、フィン104はハウジング102の外壁の全体にわたって等間隔に配置してもよく、あるいは、
図3に示すように、ハウジング102の外周の一部に配置されてもよい。この場合、フィン104が設けられない部分には、配線や流路のための一つまたは複数の開口102aを設けてもよい。フィン104のz方向における長さは、ハウジング102の長さと同一でもよく(
図3)、ハウジング102の長さよりも小さくてもよい(
図4)。また、フィン104は、その主面(最大面積を有する面)104aがハウジング102の軸であるz方向と平行になるように配置してもよく、
図5Aに示すように、主面104aがz方向から傾くように配置してもよい。あるいは、
図5Bに示すように、ハウジング102の外壁上で複数の列を形成するように複数のフィン104を配置してもよい。図示しないが、フィン104は、ハウジング102の外壁上で千鳥配列を形成してもよい。なお、各フィン104の形状は、主面104aが四角形である六面体に限られない。例えば
図6Aに示すように、各フィン104は、輪郭が直線と曲線または曲線のみで形成される主面104aを有してもよく、あるいは
図6Bに示すように、屈曲した主面104aを有してもよい。あるいは、
図7に示すように、各フィン104は分岐構造を有してもよいし、
図8に示すように、各フィン104が下部において一体化されてもよい。分岐構造を各フィン104に付与することで、フィン104の面積が増大するため、より効率の高い冷却が可能となる。
【0026】
ハウジング102とフィン104は異なる組成を有してもよく、同一の組成を有してもよい。ハウジング102とフィン104に含まれる材料としては、アルミニウムや鉄、チタンなどの金属やその合金が例示されるが、好ましくは、軽量で熱導電率の高い、アルミニウム合金が挙げられる。アルミニウム合金としては、例えばA7072、A7050、A7075、A7N01などと称されるアルミニウム、亜鉛、マグネシウム、および銅を含む合金や、A6061、A6063、A6N01などと称されるケイ素を含むアルミニウムとマグネシウムの合金が挙げられる。ただし、アルミニウム合金は上記合金に限られず、A5052やA5056、A5083、A5454などに例示されるアルミニウムとマグネシウムの合金、A4032やA4043に例示されるケイ素が添加されたアルミニウム、A3003やA3005、A3105などに例示されるアルミニウムとマンガンの合金を用いてもよい。アルミニウム合金をハウジング102とフィン104に用いることで、アルミニウムの高い熱伝導率に起因し、放熱構造体100は高い放熱特性を示すことができる。
【0027】
(2.放熱構造体の製造方法)
以下、放熱構造体100の製造方法について
図9A~
図10Cを用いて詳細に説明する。
【0028】
まず、
図9Aに示すように、
図1Aにおいてハウジング102となる円筒形状を有する円筒構造体1020(第1構造体ともいう)上にフィン104となる板形状を有する板構造体1040(第2構造体ともいう)(具体的には板構造体1040-1)を所定の位置(第1位置P1)に配置する。このとき、板構造体1040-1は固定具2000に固定される。例えば、板構造体1040-1は、真空吸着機構により固定される。円筒構造体1020は、固定具2100により固定される。円筒構造体1020と板構造体1040は同一の組成を有する。この例では、円筒構造体1020と板構造体1040には、アルミニウム合金を含む。より具体的には、円筒構造体1020と板構造体1040は、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、および銅を含む銅合金(A7075)、またはアルミニウム、マグネシウム、およびケイ素を含む銅合金(A6061)が用いられる。
【0029】
次に、
図9Bおよび
図9Bの拡大図である
図10Aに示すように、板構造体1040および円筒構造体1020を接触させたのち、板構造体1040および円筒構造体1020に対して加圧しながら固定具2000に設けられた電極を介して電圧を印加する。印加される電圧は、板構造体1040の形状、大きさ、接合面積、材質によって適宜選択される。この例では、円筒構造体1020を0Vとし、板構造体に対して200V以上1000V以下の範囲で適宜設定された電圧を印加する。また、加えられる圧力は5kN以上50kN以下の範囲で適宜設定される。このとき、板構造体1040から円筒構造体1020に電流(例えば30kA以上50kA以下の電流)が流れる際に、通電抵抗が生じ、抵抗熱が発生する。これにより、板構造体1040と、円筒構造体1020の界面部分が軟化し、塑性変形が起こる(
図10B)。
【0030】
このとき、板構造体1040は、円筒構造体1020に溶接される側の端部に突出する突起部1040aを有することが望ましい。この例では、板構造体1040は、z方向に延伸する突起部1040a(第1突起部ともいう)有する。これにより、加圧しやすくなるとともに接触部の接触面積が小さくなるため抵抗が大きく発熱しやすくなる。結果として、通電抵抗による抵抗熱をより効果的に利用することができる。突起部1040aの形状は適宜選択することができ、先端が尖ってもよいし、丸みを帯びてもよい。
【0031】
さらに、板構造体1040と、円筒構造体1020の界面部分が加熱されることにより、金属間において金属結合が形成される。結果的に、
図10Cに示すように、板構造体1040(板構造体1040-1)と、円筒構造体1020とが接合される。
図11に示すように、接合が完了した後、板構造体1040-1と固定具2000との固定(吸着)が解除される。次に、
図12に示すように、固定具2000は、新たな板構造体1040(1040-2)を固定する。円筒構造体1020は回転し、板構造体1040-2は、円筒構造体1020のうち第1位置P1に隣接する第2位置P2に配置され、溶接される。これを繰り返すことにより、放熱構造体100が製造される。
【0032】
なお、本発明の実施形態では、板構造体1040は、固定具に真空吸着により固定される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、板構造体1040は、静電吸着により固定されてもよいし、板構造体1040の一部を把持することにより固定されてもよい。
【0033】
なお、本発明の実施形態において、
図13に示すように、円筒構造体1020には長手方向(z方向)に設けられる溝1020gを有してもよい。これにより、板構造体1040の突起部1040aの位置決めをしやすくなるとともに加圧しやすくなる。
【0034】
上述したように、本実施形態に係る放熱構造体100は、A7075やA6061などのアルミニウム合金を含む。このため、放熱構造体100は、アルミニウムの高い熱伝導率に起因する高い冷却効率が達成できるだけでなく、軽量でありかつ強度が高い。このことは、例えば航空機エンジン用のモータなどの高い信頼性が要求される放熱構造体への応用を可能にする。
【0035】
また、本発明の実施形態に係る放熱構造体100の製造方法では、ハウジング102とフィン104が一体化され、電動機が発生する熱をハウジング102からフィン104へ効率良く伝えることができる。これにより、高効率で電動機を冷却することができる。また、本実施形態の場合、従来の押出成形や鋳型加工と比較すると、金型や鋳型が不要であるため、製造コストが低く、かつ、大きな高さを有するフィン104を高密度、すなわち狭いピッチで設けることが可能である。さらに、本発明の実施形態に係る製造方法ではフィンとなる板構造体1040をハウジングとなる円筒構造体1020に溶接することで製造することができるため、切削加工により材料の使用効率が高い。このことは、本発明の実施形態に係る製造方法を適用することで、低コストで放熱構造体を製造することができることを意味している。
【0036】
また、本発明の実施形態の場合、溶融部に直接熱源を当てる必要がないため、板構造体1040と、円筒構造体1020とが接する(電流を流す)ことができれば溶接することができる。このため、平坦な板状のものだけでなく、波型形状などの湾曲部を有するもの、円柱、四角柱などの柱形状、パイプなどの筒形状など、様々な形状を有する板構造体1040を円筒構造体1020の全周に亘って溶接することができる。
【0037】
(変形例)
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0038】
また、上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと理解される。
【0039】
また、本実施形態の実施形態において、板構造体1040は、z方向に延伸する一つの突起部1040a有する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図14Aに示すように、板構造体1040は、z方向に複数の突起部1040aを有してもよい。又は、
図14Bに示すように、板構造体1040は、板構造体1040の厚さ方向(x方向)に複数の突起部1040aを有してもよい。これにより、突起部の接触面積を増やすことができ、溶接後の強度を向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態の実施形態において、板構造体1040が突起部1040aを有する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、円筒構造体1020が円筒面外周にz方向に延伸する複数の突起部1020aを備えてもよい。この場合、板構造体1040の位置決めと、溶接時における加圧がしやすくなる。
【0041】
また、
図15に示すように、板構造体1040が長手方向(z方向)に延伸する突起部1040aを有しつつ、円筒構造体1020にも複数の突起部1020a(第2突起部ともいう)が設けられてもよい。この場合、円筒構造体1020の突起部1020aは、突起部1040aの延伸する方向と交差する方向(周方向)に設けられてもよい。これにより、板構造体1040と、円筒構造体1020とが、点接触することができ、溶接時における加圧がしやすくなる。
【0042】
本実施形態の実施形態では、一つの板構造体を円筒構造体1020に溶接する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、2つの板構造体1040、さらには3つ以上の板構造体を円筒構造体1020に対して溶接してもよい。この場合、それぞれの構造体に対して、独立で電圧を印加することが望ましい。これにより、溶接時間を短縮することができ、製造コストの短縮に加えて放熱構造体の製造能力を向上させることができる。
【符号の説明】
【0043】
100:放熱構造体,102:ハウジング,102a:開口,104:フィン,104a:主面,1020:円筒構造体,1020a:突起部,1040:板構造体,1040a:突起部,2000:固定具,2100:固定具